長短編
夢主名変更
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「良い天気・・・」
空を見上げれば澄み渡った青空が広がっていた
「・・・風も気持ちいい」
ざわざわとした声が少し離れた場所から聞こえるが、それでも此処は心地良い風が頬に当りこの空と同じ色をしたリアの綺麗な髪を靡かせている
そう思いながら空を見上げていると、カチャンと瓶と瓶が当たる音と人の話し声が徐々に近付いて来ていた
「ユーリ、フレン、こっち」
人波を上手く抜けてユーリとフレンはリアの所へ歩いてくる
「なんだ、リアの方が早かったんだな」
「うん。あ、荷物重くない?」
「これくらいなら大丈夫だよ」
今リア達は町に買い出しに来ていた
今日の買い出し当番はリアだったのだが、思いの外買う物が多く、更に重たい物ばかり買う事になってしまいユーリとフレンも一緒に来たのだった
町に着き重たい物はユーリとフレンが買いに行き、その他の軽い物をリアが買いに行って、市場から少し離れた所で待ち合わせをしていたのだった
「んじゃ、そろそろ帰るか」
「うん」
足下に置いてあった荷物を持って、リアはユーリとフレンの間に行き並んで歩き出した
この町は山の麓にある小さな町でバウルで近くに降りる事も出来ず町から離れた所にフィエルティア号を降ろしてもらい、リア達は買い出しに出たのだった
「小さな町だったが、結構物があったな」
「ああ。お陰で買う物は全部買えたね」
「うん。それに珍しい食材も手に入ったし」
「珍しい食材?」
「料理やお菓子作りの隠し味として入れても美味しいんだって」
各々買い出しであった出来事を話しながらフィエルティア号がある所まで向かいだし、暫く歩いていると森へと続く道が見えた
「準備出来たか?」
「・・、うん。大丈夫」
行きがけは手ぶらだったから魔物と遭遇しても大丈夫だったが、流石に重たい荷物や割れ物などを持っているので、帰りはホーリーボトルを使って魔物を回避して帰ろうと言う事になり、森に入る前にリア達はホーリィボトルを使ったのだった
「じゃ、さっさとこの森抜けるか」
「みんなも待っているだろうからね」
フィエルティア号はこの森を抜けた先の広くなっている場所に泊めている
リア達が買い物に行っている間は各々好きな事をして過ごしていて、リタは近くにあるエアルクレーネの様子を見に行くと言って船を離れていた
「戻ったらリタも帰って来てる頃かな」
「さあな。あいつ、集中すると他の事に気が回らないからな」
「出発までに戻ってなかったらラピードやアスラに呼んで来て貰えば良いんじゃないかな」
誰かが迎えに行くよりその方が手っ取り早く、ラピードやアスラに迎えに行って貰う事もそんなに珍しい事ではなかったし、リタ自身も考えを纏めるのに邪魔されないで済むと言っていた
「そうだね、じゃあ・・、?」
話しをして歩いているとリアの頬にぽつりと何かが落ちた
何かと思って確認しようとしていると急に雨が降り出した
「雨? さっきまで晴れてたのに」
「山の天気は変わりやすいっつーけど、変わりすぎだろ」
「この先に休憩小屋があったからそこまで走ろう」
フレンの言葉に頷いて少し先にある休憩小屋まで走って行った
「はあ・・。小屋があって助かった」
「急に降り出すんだもんな。お、あった」
リア達は小屋に着くと安堵の息を吐き、ユーリはチェストの前に行き引き出しを開けタオルを見つけるとフレンとリアに渡し各々髪や服を拭き、外を見ると先程よりも強い雨になっていた
「・・・本降りになっちゃったね」
「こりゃ暫く此処で雨宿りだな」
フレンはそのまま暖炉の前に行き、暖炉に灯を灯した
暖炉の灯が灯ると薄暗かった部屋が少しだけ明るくなりお互いの顔も見えるようになった
「リア、寒くないかい?」
「うん、だいじょ・・・っくしゅん」
大丈夫、と返事を返そうとしていると小さめだったがくしゃみが出てしまった
「ほらこっちこい」
暖炉の前に来るように言われそのまま暖炉の前に行き座るとユーリが大きめの毛布を掛けてくれた
「ありがとう。? ユーリとフレンの分はないの?」
「ああ、一枚しか無かったからな」
「だからそれはリアが使って良いよ」
「それじゃあユーリとフレンも寒いんじゃないの?」
「オレ達は平気だよ」
二人の言葉を聞くとリアは少しだけ何かを考え、二人を呼んだ
「ユーリ、フレン、こっち来て」
ユーリとフレンはリアの両サイドに座れと手で言われそのままリアを間に挟んで座った
二人が座ったのを確認するとリアは毛布を広げてユーリとフレンに掛けた
「リア?」
今の状況を説明すると、左にユーリ、真ん中にリア、右にフレン、そして大きな一枚の毛布を三人で分け合って暖炉の前に座っている状況だった
「これならみんな暖かいでしょ」
「「ああ」」
ニコリと笑って言われユーリとフレンは一瞬驚いた顔をしたが直ぐに微笑み返した
こういう事をさらりと恥ずかし気もなく出来てしまうのはやっぱり幼馴染みだからだろう
「ふふっ」
「どうしたんだ」
暫く暖炉の火を見ていると急にリアは小さく笑った
「ううん、ちょっと昔の事思い出して」
「昔?」
「うん。兄さんが仕事で出掛けてた時に嵐が来た時があったでしょ。あの時ユーリもフレンも家に遊びに来てて帰れなくなっちゃって、今みたいにこうやって三人で毛布を分けて暖炉の前に居たなって思って」
「そう言えばそうだったね」
幾ら結界で守られていても天気や自然現象は結界でも守る事が出来ない
三人がまだ幼い頃、急に嵐が来て外に出る事も薄暗い部屋でどうする事も出来ず三人で毛布を分けて、唯一暖かい暖炉の前に身を寄せ合って座っていた
「あの時最初は凄く焦っちゃったけど、ユーリとフレンがいてくれたから心細くなかったんだよ」
その言葉を聞きユーリとフレンは優しく微笑んだ
「オレ達も同じだな」
「ああ。まだ子供だったからね」
当時はまだ10歳にもなっていない頃で、いつも面倒を見ていたセイも仕事で帝都を離れていたので、薄暗い部屋で寂しさを感じたが、今みたいに三人一緒にいたからユーリもフレンもリアと同じで心細い思いをせずにすんだ
「結局あん時はセイが帰って来る前にそのまま寝ちまったんだったな」
「起きたらベッドの上だったからちょっと吃驚したけど」
「うん」
その時の事を思い出し小さく笑った
嵐が止み家へと戻って来たセイは暖炉の前で毛布にくるまって寝ているリア達を見て最初は驚いた顔をしたが直ぐに状況を理解したのか小さく微笑んだ後アスラとフキを呼んでリア達をベッドに運んだのだった
「・・・だから、暖かい灯火は好き」
膝を抱え暖炉の灯火を見て微笑んだ
(この温かさが、あの頃を思い出させてくれるし、こうやってユーリとフレンが側に居てくれる事を思い出すから)
「リア・・・?」
灯火を見て微笑んでいるリアを見てフレンが声を掛けるとリアがユーリとフレンの腕を自分の方に引き寄せ
「この灯火のように・・・・・・いな」
「「え?」」
ぽつりと呟いたが、最後の方は聞き取れなかった
「雨が止むまでこうやって暖かい灯火を見てよ」
もう一度尋ねようとしたが優しく微笑んでいるリアを見てユーリもフレンも微笑み返した
この灯火の温かさのように、いつまでも側にいたいな ――
リアは優しく微笑みながら暖炉の中の灯火を見つめそう思い、雨が止むまで三人でこうしていた
暖かい灯火
end.
あとがき
10万ヒット記念夢、ユーリ、フレンでほのぼのを書いてみました
やっぱりこの三人でほのぼの書くの好きだなぁww
今度はセイ兄ちゃんも入れて下町幼馴染み組でほのぼのを書いてみたいなww
完成:2011.05.05
10万ヒット:2011.04.29
空を見上げれば澄み渡った青空が広がっていた
「・・・風も気持ちいい」
ざわざわとした声が少し離れた場所から聞こえるが、それでも此処は心地良い風が頬に当りこの空と同じ色をしたリアの綺麗な髪を靡かせている
そう思いながら空を見上げていると、カチャンと瓶と瓶が当たる音と人の話し声が徐々に近付いて来ていた
「ユーリ、フレン、こっち」
人波を上手く抜けてユーリとフレンはリアの所へ歩いてくる
「なんだ、リアの方が早かったんだな」
「うん。あ、荷物重くない?」
「これくらいなら大丈夫だよ」
今リア達は町に買い出しに来ていた
今日の買い出し当番はリアだったのだが、思いの外買う物が多く、更に重たい物ばかり買う事になってしまいユーリとフレンも一緒に来たのだった
町に着き重たい物はユーリとフレンが買いに行き、その他の軽い物をリアが買いに行って、市場から少し離れた所で待ち合わせをしていたのだった
「んじゃ、そろそろ帰るか」
「うん」
足下に置いてあった荷物を持って、リアはユーリとフレンの間に行き並んで歩き出した
この町は山の麓にある小さな町でバウルで近くに降りる事も出来ず町から離れた所にフィエルティア号を降ろしてもらい、リア達は買い出しに出たのだった
「小さな町だったが、結構物があったな」
「ああ。お陰で買う物は全部買えたね」
「うん。それに珍しい食材も手に入ったし」
「珍しい食材?」
「料理やお菓子作りの隠し味として入れても美味しいんだって」
各々買い出しであった出来事を話しながらフィエルティア号がある所まで向かいだし、暫く歩いていると森へと続く道が見えた
「準備出来たか?」
「・・、うん。大丈夫」
行きがけは手ぶらだったから魔物と遭遇しても大丈夫だったが、流石に重たい荷物や割れ物などを持っているので、帰りはホーリーボトルを使って魔物を回避して帰ろうと言う事になり、森に入る前にリア達はホーリィボトルを使ったのだった
「じゃ、さっさとこの森抜けるか」
「みんなも待っているだろうからね」
フィエルティア号はこの森を抜けた先の広くなっている場所に泊めている
リア達が買い物に行っている間は各々好きな事をして過ごしていて、リタは近くにあるエアルクレーネの様子を見に行くと言って船を離れていた
「戻ったらリタも帰って来てる頃かな」
「さあな。あいつ、集中すると他の事に気が回らないからな」
「出発までに戻ってなかったらラピードやアスラに呼んで来て貰えば良いんじゃないかな」
誰かが迎えに行くよりその方が手っ取り早く、ラピードやアスラに迎えに行って貰う事もそんなに珍しい事ではなかったし、リタ自身も考えを纏めるのに邪魔されないで済むと言っていた
「そうだね、じゃあ・・、?」
話しをして歩いているとリアの頬にぽつりと何かが落ちた
何かと思って確認しようとしていると急に雨が降り出した
「雨? さっきまで晴れてたのに」
「山の天気は変わりやすいっつーけど、変わりすぎだろ」
「この先に休憩小屋があったからそこまで走ろう」
フレンの言葉に頷いて少し先にある休憩小屋まで走って行った
「はあ・・。小屋があって助かった」
「急に降り出すんだもんな。お、あった」
リア達は小屋に着くと安堵の息を吐き、ユーリはチェストの前に行き引き出しを開けタオルを見つけるとフレンとリアに渡し各々髪や服を拭き、外を見ると先程よりも強い雨になっていた
「・・・本降りになっちゃったね」
「こりゃ暫く此処で雨宿りだな」
フレンはそのまま暖炉の前に行き、暖炉に灯を灯した
暖炉の灯が灯ると薄暗かった部屋が少しだけ明るくなりお互いの顔も見えるようになった
「リア、寒くないかい?」
「うん、だいじょ・・・っくしゅん」
大丈夫、と返事を返そうとしていると小さめだったがくしゃみが出てしまった
「ほらこっちこい」
暖炉の前に来るように言われそのまま暖炉の前に行き座るとユーリが大きめの毛布を掛けてくれた
「ありがとう。? ユーリとフレンの分はないの?」
「ああ、一枚しか無かったからな」
「だからそれはリアが使って良いよ」
「それじゃあユーリとフレンも寒いんじゃないの?」
「オレ達は平気だよ」
二人の言葉を聞くとリアは少しだけ何かを考え、二人を呼んだ
「ユーリ、フレン、こっち来て」
ユーリとフレンはリアの両サイドに座れと手で言われそのままリアを間に挟んで座った
二人が座ったのを確認するとリアは毛布を広げてユーリとフレンに掛けた
「リア?」
今の状況を説明すると、左にユーリ、真ん中にリア、右にフレン、そして大きな一枚の毛布を三人で分け合って暖炉の前に座っている状況だった
「これならみんな暖かいでしょ」
「「ああ」」
ニコリと笑って言われユーリとフレンは一瞬驚いた顔をしたが直ぐに微笑み返した
こういう事をさらりと恥ずかし気もなく出来てしまうのはやっぱり幼馴染みだからだろう
「ふふっ」
「どうしたんだ」
暫く暖炉の火を見ていると急にリアは小さく笑った
「ううん、ちょっと昔の事思い出して」
「昔?」
「うん。兄さんが仕事で出掛けてた時に嵐が来た時があったでしょ。あの時ユーリもフレンも家に遊びに来てて帰れなくなっちゃって、今みたいにこうやって三人で毛布を分けて暖炉の前に居たなって思って」
「そう言えばそうだったね」
幾ら結界で守られていても天気や自然現象は結界でも守る事が出来ない
三人がまだ幼い頃、急に嵐が来て外に出る事も薄暗い部屋でどうする事も出来ず三人で毛布を分けて、唯一暖かい暖炉の前に身を寄せ合って座っていた
「あの時最初は凄く焦っちゃったけど、ユーリとフレンがいてくれたから心細くなかったんだよ」
その言葉を聞きユーリとフレンは優しく微笑んだ
「オレ達も同じだな」
「ああ。まだ子供だったからね」
当時はまだ10歳にもなっていない頃で、いつも面倒を見ていたセイも仕事で帝都を離れていたので、薄暗い部屋で寂しさを感じたが、今みたいに三人一緒にいたからユーリもフレンもリアと同じで心細い思いをせずにすんだ
「結局あん時はセイが帰って来る前にそのまま寝ちまったんだったな」
「起きたらベッドの上だったからちょっと吃驚したけど」
「うん」
その時の事を思い出し小さく笑った
嵐が止み家へと戻って来たセイは暖炉の前で毛布にくるまって寝ているリア達を見て最初は驚いた顔をしたが直ぐに状況を理解したのか小さく微笑んだ後アスラとフキを呼んでリア達をベッドに運んだのだった
「・・・だから、暖かい灯火は好き」
膝を抱え暖炉の灯火を見て微笑んだ
(この温かさが、あの頃を思い出させてくれるし、こうやってユーリとフレンが側に居てくれる事を思い出すから)
「リア・・・?」
灯火を見て微笑んでいるリアを見てフレンが声を掛けるとリアがユーリとフレンの腕を自分の方に引き寄せ
「この灯火のように・・・・・・いな」
「「え?」」
ぽつりと呟いたが、最後の方は聞き取れなかった
「雨が止むまでこうやって暖かい灯火を見てよ」
もう一度尋ねようとしたが優しく微笑んでいるリアを見てユーリもフレンも微笑み返した
この灯火の温かさのように、いつまでも側にいたいな ――
リアは優しく微笑みながら暖炉の中の灯火を見つめそう思い、雨が止むまで三人でこうしていた
暖かい灯火
end.
あとがき
10万ヒット記念夢、ユーリ、フレンでほのぼのを書いてみました
やっぱりこの三人でほのぼの書くの好きだなぁww
今度はセイ兄ちゃんも入れて下町幼馴染み組でほのぼのを書いてみたいなww
完成:2011.05.05
10万ヒット:2011.04.29