長短編
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天気の良い昼下がり、言霊使いの故郷の一番奥にある大きな屋敷の書庫に数人の男女がいた
「・・と。・・兄さん、これはどうする?」
「そっちに持って行ってくれ」
「解った」
「重たいものならボクが持つよ?」
「じゃあこっちお願いね」
リアは小さな箱の上に数冊の本を載せて指示された場所に移動する
今リア達は書庫の整理をしていた
今日は大きな仕事もなく珍しく兄妹や式神達が揃っていたので、天気も良いし、たまには掃除をしようと言うリアの言葉により式神達やイサキと掃除を始め、リアとセイは相棒のアスラとフキと共に書庫の掃除をしていたのだった
「~~~♪」
リアは楽しそうに鼻歌を歌いながら持ってきた本を綺麗に並べていた
この書庫には古い文献がいくつもある
それは言霊使いに必要な事が書かれた物や古い歴史など、様々な物が置いてる
勿論リア達が言霊使いの仕事をこなした事を纏めた書物などもこの書庫に保管されている
「~~♪ ・・・あ、」
鼻歌を歌いながら綺麗に並んだ本を見ていると、ふと何かに気が付き歌が止まる
「リア、どうかしたの?」
アスラはリアを見て首を傾げるとリアは本棚から一冊の本を取り出してじっと見ていた
本に集中しているのかリアはアスラの呼びかけに気付いていないようで、アスラはもう一度疑問符を出しそのままリアの所に行きリアが見ている本を覗き込んだ
「? ・・・あ、」
その本を見るとアスラもリアと同じように呟いた
護りゆく存在 -前編-
「リア様、セイ様、お茶が入りました」
縁側で一息吐こうと思っている所にハクスイがお茶とお茶菓子を持ってきて書庫にいるリアとセイに声を掛けた
「ああ、ありがとう」
「ありがとう、ハクスイ」
リアは既に縁側に着ていたのかそのままハクスイから湯飲みを受け取り、読んでいた本に目を戻す
「何読んでるんだ?」
セイも縁側まで移動してきてハクスイから湯飲みを受け取り先に縁側に着ていたリアに視線を移す
「これ」
リアは小さく笑って読んでいる本をセイに見せた
「ん? ・・・ああ」
「・・・懐かしいな」
セイと少し遅れて縁側にやってきたフキはその本を見てリアを同じように小さく笑った
いや、正確には皆懐かしいんでいた
それはリアとセイが子供の頃、まだ言霊使いの故郷から出る前、ユーリとフレンと出会う前の写真が飾られているアルバムだった
*
「言霊使いは存在しないもの、“外”ではこう言われているんだ」
「云われは色々とあるからそこは追々教えていくわ」
「お前達は他の奴等と違う。本家の人間だからってだけじゃない」
「他の人達と違って人一倍力が強いの」
「だから俺達はずっとこの家に生まれてくる者達に仕えている」
「誰よりも守っていく存在なの」
「だから“外の世界”では、絶対に言霊使いだって口にしちゃ駄目だよ」
子供の頃からずっと式神達や両親からこう言い聞かされてきた
それは俺もリアも同じだった
いや、この本家に生まれた者全員そうだろう
この他にも色々と言い聞かされた言葉は沢山ある
言霊使いは“外”の人間と違う所が幾つもある
力だけじゃない、
育ちも少しだけ早く身につく事や覚える事も早い
だから早いうちから言霊使いとしての教えを受け、修行に励んでいた
特に本家の長男として生まれた俺は他の奴等より多くの事を教えられた
言霊使いの力が強い子供は故郷に生まれる確率が究めて低い
100年に一度か二度、稀に生まれる程度だった
多少なりとも力が強い子供が生まれるが、本家に産まれる子供ほどではないらしい
力が強いからなのか、本家の人間には必ず式神が側にいる
そして相棒として神将の一人が遣わされる
相棒として神将を選ぶ基準ってのは俺も良く知らねえけどな・・・
そう教えを受け日々を過ごし、五年の月日が流れたある日だった ――
“妹が出来る”
そう言われた数週間後、妹は産まれた
故郷では「若君に続き姫君までお産まれになられてめでたい事です」「早くこの目で確かめたいものだ」と騒がれていた
実際に妹が産まれた事は嬉しかったし、両親も式神達もこの家に仕える者達も故郷のみんなも喜んでいた
が、どことなく式神達の面持ちが重かった
「・・・フキ、どうかしたのか?」
それを感じ取った俺は相棒であるフキに訪ねてみた
「ん、何がだ?」
フキは何もなかったように俺を見て言うが俺はそのまま言葉を続ける
「・・・何となく、暗い顔してたから」
「「「・・・・」」」
俺の言葉を聞き、フキもそして側にいた式神達も視線を落とした
「セイ、此処にいたのか」
そう声が聞こえ顔を上げるとリンコウが俺達の前で止まった
「お呼びだ。お前達も一緒に来い」
誰が、とは言わなかったがそれだけでこの本家の頭首である両親が呼んでいるのだと俺もフキ達も理解し、リンコウの後に続いていく
両親の部屋を訪れると両親の側にアスラとナセア、ハクスイ、ミズハがいて、
「!」
母親の腕に小さな赤ん坊が抱かれていた
「セイ、この子が貴方の妹、リアよ」
「・・・リア」
部屋に入って目に入った赤ん坊をじっと見ていると母親が微笑んで言い、教えられた名前をぽつりと呟いて近付いて行く
「・・・・」
見るとリアは気持ちよさそうな顔をして眠っていた
「・・・・!」
それを見て自然と微笑んでいたが、直ぐに妙な力を感じて眉を寄せる
「「「・・・・」」」
そんな俺を見て式神と両親も少しだけ表情を変えた
「・・・これが言霊使いの姫の・・、いや、稀な力を持って生まれた言霊使いの姫の力だ」
「!?」
父親にそう言われ目を瞠ってしまう
俺が生まれた時も力が強かったと聞いていたが、それよりも強い力だ、と本能的に感じた
生まれたばかりの赤ん坊にはその力を制御する力がない
だがその力の影響を受けていないのはこの部屋に張っている結界と式神達の力のお陰だろう
「・・・セイ、」
そう思っていると父親に呼ばれたが、その雰囲気に緊張感を感じ自然と姿勢を正して座っていた
「これからは今まで以上に式神達にお前達の側にいてもらう」
“達”と言う事はリアも含めと言う事だろう
「今はまだ話すには早すぎる。お前がもう少し成長したらちゃんと話す事になるだろう」
そう言われ自然とこれから生きていく中で大事にしていかなくてはならない事なのだろうと感じた
「・・リアには誰が付く・・んですか?」
危うく普段フキ達に話す口調になりかけて直ぐに言葉を直すと小さく笑って隣を見る
「リアにはアスラに付いて貰う事にした」
女性の式神が付くと思っていたが、さっきのリアの力を考えるとアスラに任せるのが良いのだろう
そう思ってアスラを見るとアスラは了解したと言う顔をして頷いた
「でも新しい家族には違いはないのだからセイもリアの事よろしくね」
「はい」
母親に優しく微笑まれ頷いてまたリアを見る
「よろしくな、リア」
俺はそう言うと小さな返事が聞こえた
*
リアが生まれて二年が経ったある日、俺は両親に呼ばれ部屋に行った
そしてリアが生まれた時に言われていた“あの話し”を聞かされた
続く
あとがき
ずっと謎になっていたオリキャラ、リアちゃんとセイ兄ちゃん、そして言霊使いの話しを書いてみました
まだ前編なのでちょっとだけ触れた感じですが、夢本編で関わっていた&関わってくる事は後編で語る・・のか?(疑問系!?)
その辺りはこれから頑張っていきますw
2010.10.01
「・・と。・・兄さん、これはどうする?」
「そっちに持って行ってくれ」
「解った」
「重たいものならボクが持つよ?」
「じゃあこっちお願いね」
リアは小さな箱の上に数冊の本を載せて指示された場所に移動する
今リア達は書庫の整理をしていた
今日は大きな仕事もなく珍しく兄妹や式神達が揃っていたので、天気も良いし、たまには掃除をしようと言うリアの言葉により式神達やイサキと掃除を始め、リアとセイは相棒のアスラとフキと共に書庫の掃除をしていたのだった
「~~~♪」
リアは楽しそうに鼻歌を歌いながら持ってきた本を綺麗に並べていた
この書庫には古い文献がいくつもある
それは言霊使いに必要な事が書かれた物や古い歴史など、様々な物が置いてる
勿論リア達が言霊使いの仕事をこなした事を纏めた書物などもこの書庫に保管されている
「~~♪ ・・・あ、」
鼻歌を歌いながら綺麗に並んだ本を見ていると、ふと何かに気が付き歌が止まる
「リア、どうかしたの?」
アスラはリアを見て首を傾げるとリアは本棚から一冊の本を取り出してじっと見ていた
本に集中しているのかリアはアスラの呼びかけに気付いていないようで、アスラはもう一度疑問符を出しそのままリアの所に行きリアが見ている本を覗き込んだ
「? ・・・あ、」
その本を見るとアスラもリアと同じように呟いた
護りゆく
「リア様、セイ様、お茶が入りました」
縁側で一息吐こうと思っている所にハクスイがお茶とお茶菓子を持ってきて書庫にいるリアとセイに声を掛けた
「ああ、ありがとう」
「ありがとう、ハクスイ」
リアは既に縁側に着ていたのかそのままハクスイから湯飲みを受け取り、読んでいた本に目を戻す
「何読んでるんだ?」
セイも縁側まで移動してきてハクスイから湯飲みを受け取り先に縁側に着ていたリアに視線を移す
「これ」
リアは小さく笑って読んでいる本をセイに見せた
「ん? ・・・ああ」
「・・・懐かしいな」
セイと少し遅れて縁側にやってきたフキはその本を見てリアを同じように小さく笑った
いや、正確には皆懐かしいんでいた
それはリアとセイが子供の頃、まだ言霊使いの故郷から出る前、ユーリとフレンと出会う前の写真が飾られているアルバムだった
*
「言霊使いは存在しないもの、“外”ではこう言われているんだ」
「云われは色々とあるからそこは追々教えていくわ」
「お前達は他の奴等と違う。本家の人間だからってだけじゃない」
「他の人達と違って人一倍力が強いの」
「だから俺達はずっとこの家に生まれてくる者達に仕えている」
「誰よりも守っていく存在なの」
「だから“外の世界”では、絶対に言霊使いだって口にしちゃ駄目だよ」
子供の頃からずっと式神達や両親からこう言い聞かされてきた
それは俺もリアも同じだった
いや、この本家に生まれた者全員そうだろう
この他にも色々と言い聞かされた言葉は沢山ある
言霊使いは“外”の人間と違う所が幾つもある
力だけじゃない、
育ちも少しだけ早く身につく事や覚える事も早い
だから早いうちから言霊使いとしての教えを受け、修行に励んでいた
特に本家の長男として生まれた俺は他の奴等より多くの事を教えられた
言霊使いの力が強い子供は故郷に生まれる確率が究めて低い
100年に一度か二度、稀に生まれる程度だった
多少なりとも力が強い子供が生まれるが、本家に産まれる子供ほどではないらしい
力が強いからなのか、本家の人間には必ず式神が側にいる
そして相棒として神将の一人が遣わされる
相棒として神将を選ぶ基準ってのは俺も良く知らねえけどな・・・
そう教えを受け日々を過ごし、五年の月日が流れたある日だった ――
“妹が出来る”
そう言われた数週間後、妹は産まれた
故郷では「若君に続き姫君までお産まれになられてめでたい事です」「早くこの目で確かめたいものだ」と騒がれていた
実際に妹が産まれた事は嬉しかったし、両親も式神達もこの家に仕える者達も故郷のみんなも喜んでいた
が、どことなく式神達の面持ちが重かった
「・・・フキ、どうかしたのか?」
それを感じ取った俺は相棒であるフキに訪ねてみた
「ん、何がだ?」
フキは何もなかったように俺を見て言うが俺はそのまま言葉を続ける
「・・・何となく、暗い顔してたから」
「「「・・・・」」」
俺の言葉を聞き、フキもそして側にいた式神達も視線を落とした
「セイ、此処にいたのか」
そう声が聞こえ顔を上げるとリンコウが俺達の前で止まった
「お呼びだ。お前達も一緒に来い」
誰が、とは言わなかったがそれだけでこの本家の頭首である両親が呼んでいるのだと俺もフキ達も理解し、リンコウの後に続いていく
両親の部屋を訪れると両親の側にアスラとナセア、ハクスイ、ミズハがいて、
「!」
母親の腕に小さな赤ん坊が抱かれていた
「セイ、この子が貴方の妹、リアよ」
「・・・リア」
部屋に入って目に入った赤ん坊をじっと見ていると母親が微笑んで言い、教えられた名前をぽつりと呟いて近付いて行く
「・・・・」
見るとリアは気持ちよさそうな顔をして眠っていた
「・・・・!」
それを見て自然と微笑んでいたが、直ぐに妙な力を感じて眉を寄せる
「「「・・・・」」」
そんな俺を見て式神と両親も少しだけ表情を変えた
「・・・これが言霊使いの姫の・・、いや、稀な力を持って生まれた言霊使いの姫の力だ」
「!?」
父親にそう言われ目を瞠ってしまう
俺が生まれた時も力が強かったと聞いていたが、それよりも強い力だ、と本能的に感じた
生まれたばかりの赤ん坊にはその力を制御する力がない
だがその力の影響を受けていないのはこの部屋に張っている結界と式神達の力のお陰だろう
「・・・セイ、」
そう思っていると父親に呼ばれたが、その雰囲気に緊張感を感じ自然と姿勢を正して座っていた
「これからは今まで以上に式神達にお前達の側にいてもらう」
“達”と言う事はリアも含めと言う事だろう
「今はまだ話すには早すぎる。お前がもう少し成長したらちゃんと話す事になるだろう」
そう言われ自然とこれから生きていく中で大事にしていかなくてはならない事なのだろうと感じた
「・・リアには誰が付く・・んですか?」
危うく普段フキ達に話す口調になりかけて直ぐに言葉を直すと小さく笑って隣を見る
「リアにはアスラに付いて貰う事にした」
女性の式神が付くと思っていたが、さっきのリアの力を考えるとアスラに任せるのが良いのだろう
そう思ってアスラを見るとアスラは了解したと言う顔をして頷いた
「でも新しい家族には違いはないのだからセイもリアの事よろしくね」
「はい」
母親に優しく微笑まれ頷いてまたリアを見る
「よろしくな、リア」
俺はそう言うと小さな返事が聞こえた
*
リアが生まれて二年が経ったある日、俺は両親に呼ばれ部屋に行った
そしてリアが生まれた時に言われていた“あの話し”を聞かされた
続く
あとがき
ずっと謎になっていたオリキャラ、リアちゃんとセイ兄ちゃん、そして言霊使いの話しを書いてみました
まだ前編なのでちょっとだけ触れた感じですが、夢本編で関わっていた&関わってくる事は後編で語る・・のか?(疑問系!?)
その辺りはこれから頑張っていきますw
2010.10.01