長短編
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「はあ・・・」
「どうしたの、そんなに大きな溜息を吐いて?」
「・・あ、・・ちょっと、ね・・・」
「えらく歯切れが悪ぃけど、何か遭ったのか?」
私の溜息を聞き、隣を歩いていたジュディスとユーリが疑問を振った
「・・今の店で売ってたマグロを見て・・ちょっと思い出しちゃって・・・」
「・・ああ・・・アレか」
「今思い出しても嫌な事だったね・・・」
「確かにな・・・」
私の言葉を聞き、ユーリもジュディスも、そして兄さんもアスラも複雑な顔をした
私達が複雑になる出来事、
それは数週間前のある出来事が原因だった
料理の道は険しく困難?
数週間前、私達はある場所で野営をしていた
「みんな、ご飯が出来たわよ」
ジュディスのその言葉を聞き、みんな火の側にやってくる
「今日のご飯当番はジュディスだったんだね」
「ええ。でもリアも一緒に作ってくれたのよ」
「お、天ぷらとご飯と味噌汁か」
「今日は和食にしてみたの」
「美味そうだな」
「美味そうじゃなくて、ちゃんと食べれるから安心して」
「ははっ、知ってるって。リアとジュディの飯が美味いのは」
私はみんなの食事を配膳し終わり、ジュディスの隣に座るとみんなから美味しいと言葉が出て思わず微笑んでいた
「やっぱり美味しいって言ってくれると作った甲斐があるよね」
「うん」
「ジュディスちゃん、リアちゃん、これならいつでも俺様のお嫁さんになれるわ!」
「なーんで、おっさん限定なのよ」
「あははっ、違うか」
「つか、リアは確実に違うだろ」
「そうそう、だってリアは・・・」
「・・・・」
「? エステル?」
レイヴンの言葉にみんなで笑っているとエステルだけ、浮かない顔をしていた
「どうしたの、天ぷらと味噌汁は嫌いじゃなかったわよね?」
隣にいたリタもその様子に気が付き、みんなエステルへと視線を向ける
「はい、むしろ大好きです・・・」
が、やはり何処か浮かないをしている
「お腹でも痛いのエステル? だったらボクが貰うね」
「ふんっ!!」
エステルの隣に座っているがエステルのお皿の上に乗っている天ぷらを取ろうとすると、すかさずリタがカロルの手を叩いて止めた
「いったぁ~。もう・・冗談なんだから・・・手加減してよ、リタ」
「あんたのは冗談に聞こえないのよ」
「でも本当にどうしたのかしら?」
「いえ・・・。どうしたらリアとジュディスのように美味しく作れるんだろう、って思って」
ジュディスと首を傾げて考えているとエステルが小さく呟き私とジュディスへと視線を向けてそう言った
「エステルの料理も十分美味しいと思うけど」
「違うんです。もっと根本的な所で味と素材が・・・こう・・・」
エステルはどう言って良いのか解らない顔をしていた
「あんまり深く考える事じゃないだろ。料理なんてやってれば上達するもんだ」
「そうそう」
「・・・・」
そう言うがまだ納得がいっていないようだった
「だったら道すがら、色々と研究してみたら良いんじゃないの? 先は長いんだし」
「そうだね」
「ありがとう、リタ、アスラ」
リタとアスラの言葉を聞き、エステルは薄く笑った
「でも・・・わたし、決めました」
「何を?」
「わたし、もっと料理を勉強します。そして、皆さんが感動するような料理を作れるようになります!」
「なんか、そんなに大げさにするようなもんなの?」
「まあ美味い料理がもっと食えるようになるってなら別に悪い事じゃねえし、良いんじゃねえか?」
「そうだな。良い勉強にもなるだろうしな」
エステルは立ち上がってそう言うとリタがすかさずツッコむが、直ぐにユーリと兄さんが言葉を続ける
「うん。みんなで応援しようよ!」
「そうね。良かったら私も教えてあげるわ」
「私も勿論協力するよ、エステル」
「はい! 有り難う御座います!」
エステルは私達の言葉を聞き嬉しそうな顔をし、私達も自然と微笑んでいた
「エステルの料理修行か」
「どんな風になるのかな。楽しみだね」
「ワフっ、ワン」
アスラとカロルの言葉にラピードも楽しみにしているような返事を返した
それから数日、エステルは本屋に行って料理関係の本を買い、私が昔使っていた料理の本と一緒に料理の勉強を始め、私やジュディスから料理の基本的な事を教わった
「エステル、上手いじゃない」
「本当ですか?」
「ええ。やっぱり飲み込みが早いわね」
「リアとジュディスのお陰です」
博学で本を読むのが好きなエステルは飲み込みも早いのか私達が教えた事を直ぐに覚えてしまった
「これは当日が楽しみだな」
「ああ」「うん」
その様子をキッチンの入り口からセイ、ユーリ、アスラが見て小さく笑っていた
そして、エステルの料理修行の成果を見せる日がやってきた
「今日はいよいよ、エステルの修行を発表する日だね」
「だな」
「なーにが出てくるのかねえ。リアちゃんとジュディスちゃんが教えたんでしょ?」
「私達は基点的な事しか教えてないから、今日は彼女のオリジナルメニューのはずよ」
「そういえば、さっき市場に行ってたよ?」
「魚を買ってきたみたい。手伝おうとしたんだけど、自分一人の力でやりたい、って断られちゃったのよ」
エステルが市場で買ってきた魚を見てリタと手伝いに行ったのだが、さっきも言った通り言われ、エステルが本気で私達の為に美味しい物を作ってくれるのだと分かりリタと一緒に戻ってきたのだった
「みなさーん、お待たせしました! 出来ましたよぉ!」
「お、出来たみたいだな」
「じゃ、エステルの修行の成果を見に行こうか」
「うん」
エステルのいつも以上に明るい声が聞こえ、私達も安心してエステルの元に向かいだした
「さあ皆さん、どんどん食べて下さいね。お代わりもたっくさんありますから!」
私達はテーブルの前に着き、置かれている物を見た
「今日は市場で美味しいマグロが手に入ったので、マグロのお料理にしてみました」
「「「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」
が、それを見て思わず固まってしまった
「・・・あれ? ・・皆さん、どうしたんです?」
エステルは固まっている私達を見て首を傾げて私達に声をかけた
「・・・ねえ・・エステル」
「はい?」
「・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・」
そう言って最初に口を開いたのはリタだった
「なんでマグロとチョコレートが一緒なの?」
リタは目の前にあるマグロとチョコレートが一緒になったモノを見て言うとエステルはニコリとして答えた
「はい。チョコレートマグロという料理です♪」
「・・・あの、・・マンゴーの上にマグロが乗っかっているのは・・・」
「はい。マンゴーマグロです♪」
「・・牛乳の中に、マグロが入ってるのだけど・・・」
「はい。マグロ牛乳です♪」
「マグロの上に、その・・、生のナスが乗ってんだけど・・」
「ナスマグロです♪」
「アイスの中にマグロが入ってるのは・・・」
「マグロアイスです♪」
「わふふうぅぅん」
「うわぁっ・・コンビーフをマグロで包んでる・・・」
「はい。マグロコンビーフです♪」
「ワッ、ワフフゥゥゥ・・・」
「・・・えっと、カマボコとマグロが一緒になってる・・のは?」
「カマボコマグロ・・か?」
「はい、その通りです♪」
「「「「「「「「「・・・・・・ι」」」」」」」」
エステルは私達の目の前に置かれているマグロ料理の説明をニコリとした笑顔で一つ一つしてくれた
「エステル、ちょっと良いか?」
「はい?」
「味見は、したのか?」
「味見・・って、何です?」
「・・そう言えば、知らないって言ってたよな」
「・・・教えてあげれば、良かった」
「ええ・・・」
「うかつだったな・・・」
ユーリの言葉に隣にいたジュディスと顔を見合わせ、お互いに複雑な顔をした
まさか味見を知らないとは思ってなかったので、教えなかったのだけど・・・
兄さんも何とも言えない顔をし、更に空気が重たくなっていく
「あ、あのぉ・・・、わたしが作った料理、何処か可笑しいでしょうか?」
その空気と私達の表情を見てエステルが違和感を感じ疑問を振った
「・・・何処か可笑しいというか・・・」
「敢えて言えば・・・すべて・・可笑しい・・・」
リタもレイヴンも完全に覇気がない顔と声をして答える
「・・・何処かで、妖しげなレシピを掴まされたんじゃ・・」
「妖しげなんてヒドイです! ちゃんと信頼出来る人から教えて貰ったのに・・・。いいです、もう・・・どうせわたしに料理の才能なんて・・・」
エステルはそう言ってそっぽを向いてしまった
「・・・・」
「・・やれやれ、どうしたもんか」
私は隣にいるユーリに目を向けるとユーリも私の思っている事が解ったのかそう言ってエステルを見ていた
みんなどうするべきか考えだし、沈黙が流れる
だけどその沈黙はいつも以上に長く感じていた
「・・・ボク」
「?」
長い沈黙の中、ぽつりと聞こえ声の主に目を向けようとしていると
「食べるよ!」
「「「「「「「「「!」」」」」」」」
「カ、カロル・・・」
カロルが顔を上げてそう言い、私達は驚いてカロルを見た
「ボク達はエステルの料理を応援するって決めたはず。それにエステルは、ボク達に美味しい物を食べてもらいたいと思って、この料理を作ってくれたんだ。ボク、そんなエステルの気持ちを踏みにじるなんて仲間として出来ない」
「カロル・・・」
カロルの言葉にエステルは少しだけ表情を緩めた
「確かにな」
「カロルの言う通りだね」
「ま、首領も腹括った事だし、一つ凛々の明星の心意気を見せるとするか」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為に、だったものね」
「うん。嬢ちゃん、すまなかった。おっさん、ありがたく頂くよ」
「あ、あたしだって、エステルの、と、とっ、とっ、友達だもん!! 食べるに決まってるじゃない!!」
「この日の為に猛勉強して、私達の為に料理を作ってくれたんだしね」
「ワン、ワン!」
「みんな・・・みんな、ありがとう!」
私達の言葉を聞き、エステルは本当に嬉しそうな顔をした
「それじゃあカロル先生、一つ景気良く頼むぜ!」
「うん! それじゃあ、いただきま~す!!」
「「「「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」」」
カロルは私達が椅子に座ったのを確認すると、合図を出し、私達は一斉にエステルが作った料理に手を伸ばした
この日の為に、エステルは本当に頑張った
私もジュディスも出来るだけサポートしてきた
だから、エステルが一人で作ったこのマグロ料理を無駄にしないようにしないとね
*
「・・・確かこの辺りに、ユーリ達が野営をしていると聞いたんだけど・・」
場所は変わってフレンサイド
フレンはユーリ達がこの辺りで野営をしていると聞き、馬に乗って向かっている所だった
「あ、あそこの光がそうかな」
少し先の茂みの向こうに見える光を見てフレンはそこに向かい出す
「ユーリもリアも、みんなも、元気だと良いけどな」
フレンは幼馴染みとエステル達の楽しそうな姿を思い浮かべ微笑みながら野営地へと向かい出す
「・・・ん? 何か様子が可笑しい・・・」
が、いつもなら聞こえてくる賑やかな声が聞こえない
様子が可笑しい事に気が付き馬を急がせると・・・
「! これは!?」
フレンはその様子を見て急いで馬から下り、野営地へと走った
「ど、どうしたんだ、一体!? なんで、全員倒れているんだ!? 何が遭ったって言うんだ!? エステリーゼ様っ、しっかりして下さい!?」
「・・・・」
フレンは一番近くにいたエステルに駆け寄り声を掛けるが全く反応がない
「エステリーゼ様っ!? リア、リアっ、しっかりするんだ!?」
「・・・っ・・・」
エステルの隣に倒れているリアに声を掛けるとかろうじて小さな声が出るが、やはりエステルと同じく反応がない
「セイ!? アスラまで・・・」
他のメンバーと同じく倒れているセイとアスラにも声を掛けるが同じく反応がなく、フレンはユーリの元へと向かう
「ユーリっ、しっかりしてくれっ!?」
「・・・・」
「くっ・・・君ほどの手練れが、こうも簡単にやられるなんて・・・。一体、どんな恐ろしい敵が来たって言うんだ」
「・・・ぅ"・・っ・・・」
「ユーリ! しっかりしろ、何が遭ったんだ!?」
フレンはユーリがかろうじて反応した事に気が付き、この状況を聞くと
「・・マッ・・・マグ・・ロ・・っ」
言うとユーリは気を失ってしまった
「マグロ・・? ユーリ、ユーリっ! マグロがどうしたって言うんだ?」
フレンは更にユーリを揺さぶるがユーリは気を失ったままだ
「?」
が、ふと何かに気が付き、フレンは顔を上げた
「・・マグロと言えば最近、何か遭ったような・・・」
そして少しだけ思考を巡らせ、テーブルの上に置かれている料理に近付く
「・・・マグロと柿を組み合わせた料理・・」
フレンは柿マグロを見つめ更に思考を巡らせる
「これは、僕がエステリーゼ様にお教えした料理じゃないか・・・。どうしてこんな所に・・?」
フレンはその柿マグロを一口食べた
そして
「・・ちょっと味が薄いかな?」
「「「「お前かーーーーー!!!!!!」」」」
フレンのその言葉を聞き、ユーリ、セイ、カロル、リタが同時に叫び、その言葉を聞き、リア達も正気を取り戻したのだった
*
「・・・あれ以来、ちょっとトラウマになっちゃって・・・」
「あれはね・・・」
「確かになるよね・・・ι」
数週間前の恐ろしい出来事を思い出し、私達は凄く嫌な顔をした
「つか、エステルもエステルだ。なんでフレンに聞いちまうかな・・・」
「あいつが味音痴なの知らなかったんだろうな」
「はぁ・・・久しぶりにフレンの味音痴の味を味わっちゃった・・・」
「貴方達が料理が上手い理由が解った気がするわ」
「あんなの毎日食べさせられるんなら、自分で作るよねぇ~」
「うん・・・」「「ああ・・・」」
アスラの言葉に私とユーリと兄さんは大いに頷いた
フレンには悪いけど・・・こればかりは、私達じゃどうしようもない事だ
まあそれもあるけど、元々から料理するのが好きだったから私は良いけど、やっぱりフレンの味音痴があったお陰でユーリも兄さんも更に料理の腕を上げたのは事実だし
「あれ以来、エステルはまともな料理を作るようにはなったけど・・・」
「フレンも含め、料理の道は長く険しい・・ってか?」
「困難も、含めて、ね」
「フレンの場合、困難だらけのような気がするけどな」
「とりあえず、食材は大事に美味しく頂かないとね」
「「そうだな」」「そうね」「そうだね」
ユーリの言葉に私達は苦笑し、私は手に持っている食材を見て言うとユーリ達も同意し、私達は宿へと戻って行った
終わり
あとがき
この話しは、コミケ77で発売されたヴェスペリアのギャグ中心のドラマCDの『エステル、料理に挑戦!』を聞いて、オリキャラ達も交ぜてみよう!と思って書いたものです
台詞は殆どドラマCDと一緒です
多少オリキャラに変えてる(言わせてる)所もありますがw
ヴェスペリアのWebラジオを聞いてた人なら、あ~!って思いましたよね!w
知らない人の為に補足
エステル役の中原さんがやっていたWebラジオのコーナーで「ワンダーシェフを目指せ!」と言うコーナーがありまして、そこで出たお題&中原さんが嫌いなマグロを元にしたものがコレですww
因みに、ユーリ達が言っている食材とマグロの組み合わせは中の人達がゲストに来た時に本当に出たものですι
ユーリ:マグロアイス
リタ:チョコレートマグロ
カロル:マンゴーマグロ
レイヴン:ナスマグロ
ジュディス:マグロ牛乳
ラピード:マグロコンビーフ
フレン:柿マグロ
パティ役の千和さんがゲストの回の分は、リアちゃんとセイ兄ちゃんが言ってるカマボコマグロですι
唯一マグロを食べてないのは、デューク役の力也さんだけですねw
毎回凄い食材(マグロ以外も勿論ありますよ)を食べていた中原さん、本当に凄いです
でも、ゲストで一番可哀想なのはやっぱり鳥さんですねι
主役・・・一番可哀想でしたι 最終回はまあ・・良かった方だけどねι
これをフレンの料理に、と考えたのはある意味正解かもですねw
全滅って・・・流石だよw
最後は料理が上手い組で締めてもらいましたw
食材は大事に使いましょうねww
このCD持ってる人は聞きながら見るともっと迫力ありますよ♪←
またギャグ書けたらいいな!
2009.12.30
「どうしたの、そんなに大きな溜息を吐いて?」
「・・あ、・・ちょっと、ね・・・」
「えらく歯切れが悪ぃけど、何か遭ったのか?」
私の溜息を聞き、隣を歩いていたジュディスとユーリが疑問を振った
「・・今の店で売ってたマグロを見て・・ちょっと思い出しちゃって・・・」
「・・ああ・・・アレか」
「今思い出しても嫌な事だったね・・・」
「確かにな・・・」
私の言葉を聞き、ユーリもジュディスも、そして兄さんもアスラも複雑な顔をした
私達が複雑になる出来事、
それは数週間前のある出来事が原因だった
料理の道は険しく困難?
数週間前、私達はある場所で野営をしていた
「みんな、ご飯が出来たわよ」
ジュディスのその言葉を聞き、みんな火の側にやってくる
「今日のご飯当番はジュディスだったんだね」
「ええ。でもリアも一緒に作ってくれたのよ」
「お、天ぷらとご飯と味噌汁か」
「今日は和食にしてみたの」
「美味そうだな」
「美味そうじゃなくて、ちゃんと食べれるから安心して」
「ははっ、知ってるって。リアとジュディの飯が美味いのは」
私はみんなの食事を配膳し終わり、ジュディスの隣に座るとみんなから美味しいと言葉が出て思わず微笑んでいた
「やっぱり美味しいって言ってくれると作った甲斐があるよね」
「うん」
「ジュディスちゃん、リアちゃん、これならいつでも俺様のお嫁さんになれるわ!」
「なーんで、おっさん限定なのよ」
「あははっ、違うか」
「つか、リアは確実に違うだろ」
「そうそう、だってリアは・・・」
「・・・・」
「? エステル?」
レイヴンの言葉にみんなで笑っているとエステルだけ、浮かない顔をしていた
「どうしたの、天ぷらと味噌汁は嫌いじゃなかったわよね?」
隣にいたリタもその様子に気が付き、みんなエステルへと視線を向ける
「はい、むしろ大好きです・・・」
が、やはり何処か浮かないをしている
「お腹でも痛いのエステル? だったらボクが貰うね」
「ふんっ!!」
エステルの隣に座っているがエステルのお皿の上に乗っている天ぷらを取ろうとすると、すかさずリタがカロルの手を叩いて止めた
「いったぁ~。もう・・冗談なんだから・・・手加減してよ、リタ」
「あんたのは冗談に聞こえないのよ」
「でも本当にどうしたのかしら?」
「いえ・・・。どうしたらリアとジュディスのように美味しく作れるんだろう、って思って」
ジュディスと首を傾げて考えているとエステルが小さく呟き私とジュディスへと視線を向けてそう言った
「エステルの料理も十分美味しいと思うけど」
「違うんです。もっと根本的な所で味と素材が・・・こう・・・」
エステルはどう言って良いのか解らない顔をしていた
「あんまり深く考える事じゃないだろ。料理なんてやってれば上達するもんだ」
「そうそう」
「・・・・」
そう言うがまだ納得がいっていないようだった
「だったら道すがら、色々と研究してみたら良いんじゃないの? 先は長いんだし」
「そうだね」
「ありがとう、リタ、アスラ」
リタとアスラの言葉を聞き、エステルは薄く笑った
「でも・・・わたし、決めました」
「何を?」
「わたし、もっと料理を勉強します。そして、皆さんが感動するような料理を作れるようになります!」
「なんか、そんなに大げさにするようなもんなの?」
「まあ美味い料理がもっと食えるようになるってなら別に悪い事じゃねえし、良いんじゃねえか?」
「そうだな。良い勉強にもなるだろうしな」
エステルは立ち上がってそう言うとリタがすかさずツッコむが、直ぐにユーリと兄さんが言葉を続ける
「うん。みんなで応援しようよ!」
「そうね。良かったら私も教えてあげるわ」
「私も勿論協力するよ、エステル」
「はい! 有り難う御座います!」
エステルは私達の言葉を聞き嬉しそうな顔をし、私達も自然と微笑んでいた
「エステルの料理修行か」
「どんな風になるのかな。楽しみだね」
「ワフっ、ワン」
アスラとカロルの言葉にラピードも楽しみにしているような返事を返した
それから数日、エステルは本屋に行って料理関係の本を買い、私が昔使っていた料理の本と一緒に料理の勉強を始め、私やジュディスから料理の基本的な事を教わった
「エステル、上手いじゃない」
「本当ですか?」
「ええ。やっぱり飲み込みが早いわね」
「リアとジュディスのお陰です」
博学で本を読むのが好きなエステルは飲み込みも早いのか私達が教えた事を直ぐに覚えてしまった
「これは当日が楽しみだな」
「ああ」「うん」
その様子をキッチンの入り口からセイ、ユーリ、アスラが見て小さく笑っていた
そして、エステルの料理修行の成果を見せる日がやってきた
「今日はいよいよ、エステルの修行を発表する日だね」
「だな」
「なーにが出てくるのかねえ。リアちゃんとジュディスちゃんが教えたんでしょ?」
「私達は基点的な事しか教えてないから、今日は彼女のオリジナルメニューのはずよ」
「そういえば、さっき市場に行ってたよ?」
「魚を買ってきたみたい。手伝おうとしたんだけど、自分一人の力でやりたい、って断られちゃったのよ」
エステルが市場で買ってきた魚を見てリタと手伝いに行ったのだが、さっきも言った通り言われ、エステルが本気で私達の為に美味しい物を作ってくれるのだと分かりリタと一緒に戻ってきたのだった
「みなさーん、お待たせしました! 出来ましたよぉ!」
「お、出来たみたいだな」
「じゃ、エステルの修行の成果を見に行こうか」
「うん」
エステルのいつも以上に明るい声が聞こえ、私達も安心してエステルの元に向かいだした
「さあ皆さん、どんどん食べて下さいね。お代わりもたっくさんありますから!」
私達はテーブルの前に着き、置かれている物を見た
「今日は市場で美味しいマグロが手に入ったので、マグロのお料理にしてみました」
「「「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」
が、それを見て思わず固まってしまった
「・・・あれ? ・・皆さん、どうしたんです?」
エステルは固まっている私達を見て首を傾げて私達に声をかけた
「・・・ねえ・・エステル」
「はい?」
「・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・」
そう言って最初に口を開いたのはリタだった
「なんでマグロとチョコレートが一緒なの?」
リタは目の前にあるマグロとチョコレートが一緒になったモノを見て言うとエステルはニコリとして答えた
「はい。チョコレートマグロという料理です♪」
「・・・あの、・・マンゴーの上にマグロが乗っかっているのは・・・」
「はい。マンゴーマグロです♪」
「・・牛乳の中に、マグロが入ってるのだけど・・・」
「はい。マグロ牛乳です♪」
「マグロの上に、その・・、生のナスが乗ってんだけど・・」
「ナスマグロです♪」
「アイスの中にマグロが入ってるのは・・・」
「マグロアイスです♪」
「わふふうぅぅん」
「うわぁっ・・コンビーフをマグロで包んでる・・・」
「はい。マグロコンビーフです♪」
「ワッ、ワフフゥゥゥ・・・」
「・・・えっと、カマボコとマグロが一緒になってる・・のは?」
「カマボコマグロ・・か?」
「はい、その通りです♪」
「「「「「「「「「・・・・・・ι」」」」」」」」
エステルは私達の目の前に置かれているマグロ料理の説明をニコリとした笑顔で一つ一つしてくれた
「エステル、ちょっと良いか?」
「はい?」
「味見は、したのか?」
「味見・・って、何です?」
「・・そう言えば、知らないって言ってたよな」
「・・・教えてあげれば、良かった」
「ええ・・・」
「うかつだったな・・・」
ユーリの言葉に隣にいたジュディスと顔を見合わせ、お互いに複雑な顔をした
まさか味見を知らないとは思ってなかったので、教えなかったのだけど・・・
兄さんも何とも言えない顔をし、更に空気が重たくなっていく
「あ、あのぉ・・・、わたしが作った料理、何処か可笑しいでしょうか?」
その空気と私達の表情を見てエステルが違和感を感じ疑問を振った
「・・・何処か可笑しいというか・・・」
「敢えて言えば・・・すべて・・可笑しい・・・」
リタもレイヴンも完全に覇気がない顔と声をして答える
「・・・何処かで、妖しげなレシピを掴まされたんじゃ・・」
「妖しげなんてヒドイです! ちゃんと信頼出来る人から教えて貰ったのに・・・。いいです、もう・・・どうせわたしに料理の才能なんて・・・」
エステルはそう言ってそっぽを向いてしまった
「・・・・」
「・・やれやれ、どうしたもんか」
私は隣にいるユーリに目を向けるとユーリも私の思っている事が解ったのかそう言ってエステルを見ていた
みんなどうするべきか考えだし、沈黙が流れる
だけどその沈黙はいつも以上に長く感じていた
「・・・ボク」
「?」
長い沈黙の中、ぽつりと聞こえ声の主に目を向けようとしていると
「食べるよ!」
「「「「「「「「「!」」」」」」」」
「カ、カロル・・・」
カロルが顔を上げてそう言い、私達は驚いてカロルを見た
「ボク達はエステルの料理を応援するって決めたはず。それにエステルは、ボク達に美味しい物を食べてもらいたいと思って、この料理を作ってくれたんだ。ボク、そんなエステルの気持ちを踏みにじるなんて仲間として出来ない」
「カロル・・・」
カロルの言葉にエステルは少しだけ表情を緩めた
「確かにな」
「カロルの言う通りだね」
「ま、首領も腹括った事だし、一つ凛々の明星の心意気を見せるとするか」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為に、だったものね」
「うん。嬢ちゃん、すまなかった。おっさん、ありがたく頂くよ」
「あ、あたしだって、エステルの、と、とっ、とっ、友達だもん!! 食べるに決まってるじゃない!!」
「この日の為に猛勉強して、私達の為に料理を作ってくれたんだしね」
「ワン、ワン!」
「みんな・・・みんな、ありがとう!」
私達の言葉を聞き、エステルは本当に嬉しそうな顔をした
「それじゃあカロル先生、一つ景気良く頼むぜ!」
「うん! それじゃあ、いただきま~す!!」
「「「「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」」」
カロルは私達が椅子に座ったのを確認すると、合図を出し、私達は一斉にエステルが作った料理に手を伸ばした
この日の為に、エステルは本当に頑張った
私もジュディスも出来るだけサポートしてきた
だから、エステルが一人で作ったこのマグロ料理を無駄にしないようにしないとね
*
「・・・確かこの辺りに、ユーリ達が野営をしていると聞いたんだけど・・」
場所は変わってフレンサイド
フレンはユーリ達がこの辺りで野営をしていると聞き、馬に乗って向かっている所だった
「あ、あそこの光がそうかな」
少し先の茂みの向こうに見える光を見てフレンはそこに向かい出す
「ユーリもリアも、みんなも、元気だと良いけどな」
フレンは幼馴染みとエステル達の楽しそうな姿を思い浮かべ微笑みながら野営地へと向かい出す
「・・・ん? 何か様子が可笑しい・・・」
が、いつもなら聞こえてくる賑やかな声が聞こえない
様子が可笑しい事に気が付き馬を急がせると・・・
「! これは!?」
フレンはその様子を見て急いで馬から下り、野営地へと走った
「ど、どうしたんだ、一体!? なんで、全員倒れているんだ!? 何が遭ったって言うんだ!? エステリーゼ様っ、しっかりして下さい!?」
「・・・・」
フレンは一番近くにいたエステルに駆け寄り声を掛けるが全く反応がない
「エステリーゼ様っ!? リア、リアっ、しっかりするんだ!?」
「・・・っ・・・」
エステルの隣に倒れているリアに声を掛けるとかろうじて小さな声が出るが、やはりエステルと同じく反応がない
「セイ!? アスラまで・・・」
他のメンバーと同じく倒れているセイとアスラにも声を掛けるが同じく反応がなく、フレンはユーリの元へと向かう
「ユーリっ、しっかりしてくれっ!?」
「・・・・」
「くっ・・・君ほどの手練れが、こうも簡単にやられるなんて・・・。一体、どんな恐ろしい敵が来たって言うんだ」
「・・・ぅ"・・っ・・・」
「ユーリ! しっかりしろ、何が遭ったんだ!?」
フレンはユーリがかろうじて反応した事に気が付き、この状況を聞くと
「・・マッ・・・マグ・・ロ・・っ」
言うとユーリは気を失ってしまった
「マグロ・・? ユーリ、ユーリっ! マグロがどうしたって言うんだ?」
フレンは更にユーリを揺さぶるがユーリは気を失ったままだ
「?」
が、ふと何かに気が付き、フレンは顔を上げた
「・・マグロと言えば最近、何か遭ったような・・・」
そして少しだけ思考を巡らせ、テーブルの上に置かれている料理に近付く
「・・・マグロと柿を組み合わせた料理・・」
フレンは柿マグロを見つめ更に思考を巡らせる
「これは、僕がエステリーゼ様にお教えした料理じゃないか・・・。どうしてこんな所に・・?」
フレンはその柿マグロを一口食べた
そして
「・・ちょっと味が薄いかな?」
「「「「お前かーーーーー!!!!!!」」」」
フレンのその言葉を聞き、ユーリ、セイ、カロル、リタが同時に叫び、その言葉を聞き、リア達も正気を取り戻したのだった
*
「・・・あれ以来、ちょっとトラウマになっちゃって・・・」
「あれはね・・・」
「確かになるよね・・・ι」
数週間前の恐ろしい出来事を思い出し、私達は凄く嫌な顔をした
「つか、エステルもエステルだ。なんでフレンに聞いちまうかな・・・」
「あいつが味音痴なの知らなかったんだろうな」
「はぁ・・・久しぶりにフレンの味音痴の味を味わっちゃった・・・」
「貴方達が料理が上手い理由が解った気がするわ」
「あんなの毎日食べさせられるんなら、自分で作るよねぇ~」
「うん・・・」「「ああ・・・」」
アスラの言葉に私とユーリと兄さんは大いに頷いた
フレンには悪いけど・・・こればかりは、私達じゃどうしようもない事だ
まあそれもあるけど、元々から料理するのが好きだったから私は良いけど、やっぱりフレンの味音痴があったお陰でユーリも兄さんも更に料理の腕を上げたのは事実だし
「あれ以来、エステルはまともな料理を作るようにはなったけど・・・」
「フレンも含め、料理の道は長く険しい・・ってか?」
「困難も、含めて、ね」
「フレンの場合、困難だらけのような気がするけどな」
「とりあえず、食材は大事に美味しく頂かないとね」
「「そうだな」」「そうね」「そうだね」
ユーリの言葉に私達は苦笑し、私は手に持っている食材を見て言うとユーリ達も同意し、私達は宿へと戻って行った
終わり
あとがき
この話しは、コミケ77で発売されたヴェスペリアのギャグ中心のドラマCDの『エステル、料理に挑戦!』を聞いて、オリキャラ達も交ぜてみよう!と思って書いたものです
台詞は殆どドラマCDと一緒です
多少オリキャラに変えてる(言わせてる)所もありますがw
ヴェスペリアのWebラジオを聞いてた人なら、あ~!って思いましたよね!w
知らない人の為に補足
エステル役の中原さんがやっていたWebラジオのコーナーで「ワンダーシェフを目指せ!」と言うコーナーがありまして、そこで出たお題&中原さんが嫌いなマグロを元にしたものがコレですww
因みに、ユーリ達が言っている食材とマグロの組み合わせは中の人達がゲストに来た時に本当に出たものですι
ユーリ:マグロアイス
リタ:チョコレートマグロ
カロル:マンゴーマグロ
レイヴン:ナスマグロ
ジュディス:マグロ牛乳
ラピード:マグロコンビーフ
フレン:柿マグロ
パティ役の千和さんがゲストの回の分は、リアちゃんとセイ兄ちゃんが言ってるカマボコマグロですι
唯一マグロを食べてないのは、デューク役の力也さんだけですねw
毎回凄い食材(マグロ以外も勿論ありますよ)を食べていた中原さん、本当に凄いです
でも、ゲストで一番可哀想なのはやっぱり鳥さんですねι
主役・・・一番可哀想でしたι 最終回はまあ・・良かった方だけどねι
これをフレンの料理に、と考えたのはある意味正解かもですねw
全滅って・・・流石だよw
最後は料理が上手い組で締めてもらいましたw
食材は大事に使いましょうねww
このCD持ってる人は聞きながら見るともっと迫力ありますよ♪←
またギャグ書けたらいいな!
2009.12.30