For paradise -楽園を求めて-
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世界の命運をかけた戦いが終わって数ヶ月、テルカ・リュレミース、そしてこの世界に住む人々の生活は大きく変わった
最初はやっぱり混乱もあったが、帝国やギルドの働きのお陰で人々の生活も豊かになり始めていた
みんなそれぞれ自分のやりべき事を見つけそれを成し遂げている
リア達も今までと変わらず言霊使いの故郷と下町や世界中を行き来して仕事をしながら外界への協力を惜しまなかった
「ふうん、思ってたより頑張ってるみたいね」
「外界の連中も、やるもんだな」
言霊使いの故郷で外界の様子を見ていた神将達、あの戦いの後も干渉せずに故郷で外界の様子をこうして何度も見ていた
干渉はせずだがリアやセイ、そして他の言霊使いや仕えている式神達が行き来する場所である事には変わりはないのでたまにだがこうして様子を見ていた
「リアやセイも協力してるんだから、そうならならいと可笑しいでしょ」
外の様子を見てタイリンとゲツレイが呟いた言葉にユイカが当然のように応えるとハクスイとナセアが小さく笑った
「そうですね」
「協力していく事はとても大事な事です」
「そうだね」
ハクスイの言葉にカムイが頷き、皆星喰みとの戦いの事を思い出す
あの時は外界の人間のユーリ達、満月の子のエステル、クリティア族のジュディス、始祖の隷長が転生した精霊と、始祖の隷長側に身を寄せたデューク、そして言霊使いのリアとセイとシエラ、アスラ達神将と式神達を束ねる長であるハガスミ、この違う種族とテルカ・リュレミースに住む人々の協力のお陰で星喰みを倒し、彼等を精霊に転生させ、世界は救われ、世界も人々も新たな一歩を踏み出した
「人も世界も、変わるものだな」
「ええ。リア達といると凄くそう思うわ」
リンコウもフッと小さく笑い、センキも微笑みながら答えた
言霊使いの姫であるリア、リアも過酷な運命を背負って生まれて来たが、その真実を知っても否定も拒絶もする事なく受け止め最後まで戦い抜いた
その強さと優しさにユーリ達も神将達も、勿論セイもイサキも、他の皆も救われた
そしてそのリアも自分が大切にしていた気持ちに気が付き、今までとは少しだけ違う表情を見せ初めていた
「リアも、凄く幸せそうだしね」
「ああ。これで俺達の心配も少しは減ったんじゃないか」
ミズハはそのリアの様子を思い出して微笑むとケンクも小さく笑って答えた
リアの事で心配していた事は山程あったが、あの旅の中で事が済んだのが大半だった
「あたし達はまだ納得してないんだけどー」
「そう言うなって。リアやセイ、ユーリ達が決めた事だろ」
「心配しなくても、リア達なら大丈夫だよ」
タイリンのちょっと不満そうな声の後に別の二つの声が聞こえ視線を上げるとフキとアスラが神将達の所に向かって来ていた
「アスラ、フキ、お帰りなさい」
「リアとセイは?」
「リアはイサキと話してる。セイは報告に行ってる所だ」
リア達はつい先程まで言霊使いの町の方まで行っていた
外界だけでなく、故郷の人々とのふれあいも大事にしていて買い物も含め人々と色々な話しをしていた
「あ、そうそう、リアが今度の祭りで着る服で悩んでたから、行ってあげたら?」
「イサキも一緒に選んでるが、こういうのは俺達よりお前達の方が良いだろ」
「ホント! じゃあ、行こ・・・「「「「「「「!」」」」」」」
先程の買い出しで買って着た服をイサキと選んでいた事を思い出し、アスラとフキがそう告げるとタイリンとユイカが嬉しそうな顔をして、センキとハクスイとリンコウとミズハもリアの部屋に向かおうかと思っていた途端、急に何かに気が付きアスラ達は一斉に振り返った
「・・・今のは」
「外界、だな・・・」
「けど、何、この感じ・・・」
その妙な異変は言霊使いの外の外界だった為、気が付いたのはアスラ達神将だけだった
が、今まで感じた事のある異変より何か違うものを感じていた
「・・調べるか?」
「ああ。だが外界なら俺とアスラが行った方が良いだろう」
「だね。念の為にみんなはリアとセイに付いてて」
「「解ったわ」」
「それと、この事は」
「まだリアとセイに報せるな、だろ」
ゲツレイの言葉にアスラとフキは微笑して応えた
「私はナセアと共にハガスミの所に行ってみる」
「ええ。長もこの事に気が付いているでしょうからね」
それが合図だったのか、神将達は各々の場所に向かった
「・・・此処か?」
「此処は・・ザウデ不落宮・・・」
アスラとフキが異変を感じて着いた場所はザウデ不落宮だった
世界中から魔刻がなくなり魔導器が使えなくなり、このザウデも力を無くしたはずだった
だが異変を感じるのはこのザウデからだった
「「・・・・」」
アスラとフキはそのまま姿を消し、異変を感じるザウデの奥へと進んだ
「!」
「リタ、ジュディス、パティ!?」
「え?」
アスラとフキがザウデの最深部に着くとリタとジュディスとパティがいた
アスラの声を聞くと三人は振り返りアスラ達を見て同じように驚いた顔をした
「アスラ、フキ、どうしてあんた達が此処に?」
「おお、アスラ、フキ、久しぶりなのじゃ」
「・・・相変わらずパティは動じないなι」
「だね・・・ι」
リタとパティの違った反応を見てアスラとフキは苦笑した
「久しぶりね。リアとセイは一緒じゃないのかしら」
「ジュディスも久しぶり。リアとセイなら故郷だよ」
「それよりお前達、此処で何をしていた?」
「グランカレイの記した楽園を探しに来たのじゃ」
「は・・?」
「グランカレイって、確かエステルが前に読んでた本にあった・・・?」
「のじゃ」
パティの言葉にフキは疑問を持ったがアスラはその時の事を思い出す
あの旅の途中で帝都に寄った時にザーフィアス城のエステルの部屋にみんなで立ち寄った事があった
その時にエステルが読んでいた本の中にグランカレイと言う名が出て来た
パティが探していた麗しの星、そしてサイファーが持っていた馨しの珊瑚とその本に記されている言葉を“大海の芯”に行き鍵を掲げて唱えると”楽園への扉が開かれる”・・・と言う事が記されていた
「それでお前達は此処まで来た、と?」
「あたしとジュディスはザウデの調査よ! パティの用事はそのついでよ」
「そのついでも、当たったみたいだけれどね」
ジュディスの言う通り、三人の前を見ると麗しの星と馨しの珊瑚が一つになり、その下に術式が展開されていた
「「・・・・」」
アスラとフキは感じていた異変が此処から来ている事を感じ、じっとその術式を見ていた
「伝説は本当だったのじゃ! 早速行ってみるのじゃ」
「待て。お前達だけでこの先に進むのは危険だ」
転送術式の上に移動しようとしていたパティをフキが止めると一斉に振り向かれる
「どう言う事よ?」
「この戦力で興味本位で行っても危険だよ」
「今のお前達は、前のように戦えないだろ」
そう言われリタもパティも押し黙ってしまう
魔導器がなくなり、戦力は格段に落ちてしまっている
元から魔導器を使わずに戦っていたジュディスならまだしも、今のリタとパティを何が待っているか解らない場所に行かせる訳にはいかない
それはアスラとフキだけじゃなく、ジュディスもそう思っていたのだろう
「この下に何かあるのかしら?」
二人と違い冷静にアスラとフキに振ると少しだけ硬い表情をして答えた
「正確に、じゃないが・・・」
「嫌な感じがしてるんだ・・・」
アスラもフキもこの下に何があるのか知らない様子だが、二人の表情を見て“何かがある”と言うのは見て取れた
「そう言う事だから、この先には行かせられない」
「・・・どうしてもダメかの?」
「・・・なら、みんなと一緒に来てはどうかしら」
「え?」
「みんな?」
ジュディスの言葉に疑問を持ちジュディスを見るとジュディスの言いたい事が解ったのかアスラとフキもその先の言葉を言う
「此処の調査はあいつ等にも報告してるんだろ? それにザウデはあいつ等も知ってるんだ」
「だったら、この場所を知ってて一番協力してくれるみんなと来た方が得策って事でしょ」
「ええ」
「・・・確かにその方がまだマシかもしれないわね」
「じゃの。ならユーリ達に報せてまた来るのじゃ」
「リアとセイには俺達から伝えておいてやるよ」
「解ったわ」
その言葉でこの場を後にし始めるリタ達、だがアスラとフキはリタ達が見えなくなるまでその場を動かなかった
「・・・扉が開いた、か」
「ああ・・・」
リタ達の姿が見えなくなるとアスラはぽつりと呟き、フキも少しだけ表情を変えて頷いた
「グランカレイって奴は、十六夜の庭を見つけたのか?」
「本にはそう載ってたよ。 ・・・あの事は載ってなかったけどね」
「そうか・・・。だが、これからどうするかはハガスミに言った方が良いだろうな」
「うん。もうとっくに気付いてると思うけどね」
言うとアスラとフキは転送術式の方を向き壁を作った
そしてそのまま姿を消した
*
「・・・そうか、扉が開いたか」
「はい。今アスラ達がこちらに向かっている所です」
場所は変わって此処は神将達が住む世界、今此処にはハガスミ、リンコウ、ナセアがいた
あの異変を感じた後、言葉通りリンコウとナセアはハガスミの元を訪れた
勿論あの異変をハガスミも感じていた
そしてアスラとフキがザウデの最深部で見た事は少しだけリンコウとナセアに伝え、二人はハガスミに報告していたのだった
「奴等が動き出せば面倒な事になりかねないぞ」
「そうですね。やっと外界も元のような生活を取り戻し始めたのですから」
「人間も精霊も今のままでは奴に対抗する事は出来ないだろう」
「それでもあのまま放っておけば、動き出すぞ」
違う声が聞こえ振り向くとアスラとフキが戻って着た所だった
「姫の仲間はどうした?」
「今の戦力じゃ無理だ、後日ユーリ達と一緒に来て行くなら良いぜとは言ってる」
「・・・また無茶な事を言いましたね」
フキの言葉にナセアは苦笑した
「お前達の判断は正しいな。あの戦力では到底無理だ」
「ヘタにケガでもしてその事がリアの耳に入ったらリアが心配するからね」
リンコウとナセアの言葉にアスラも苦笑して答えた
「だが、都合が良いと言えば良いだろう」
ハガスミの言葉にアスラ達は一斉にハガスミを見る
「・・・リア達に奴等を始末させるつもりか?」
フキの言葉にアスラとナセアは息を詰めて、リンコウは静かにハガスミを見た
「姫とユーリと仲間達、そして満月の子はテルカ・リュレミースの災厄を討ち果たし、命運を変えた。なら、」
「・・・因縁を断ち切る、と言う訳ですね」
ナセアの言葉にハガスミは頷いた
「姫達はアレも持っているのだろう」
「ああ」
フキはハガスミの言っている事が解り頷いたが、リンコウが静かに言う
「だが、実際問題どうするつもりだ。リアとセイ、満月の子とクリティア族の竜使いは別だが・・・」
「それでもリアもセイも、・・もしかしたら満月の子も何かしら影響を受ける可能性もあります」
「ボク等の力も何処まで持つか解らないしね・・・」
その言葉にハガスミ以外は黙ってしまう
が、ハガスミは何かを確信しているかのように、口角を上げて笑っていた
For paradise -楽園を求めて-(一話)
続く
あとがき
久々にヴェスペリア夢書けたーー!!
そしてED後連載スタートぉぉ!!!(すいません、若干まだテンションが可笑しいんですι)
ずっと何か書きたいなーと思って暫く書かずに過ごしていたんですが(笑)、ちょっと前に隠しダンジョンで書けそう・・と思って書いてみました
ED後なのであの後のテルカ・リュレミースの様子を見ていた神将達を書いてみたくて最初は神将達メインで出して見ました(意外とこの子達出番ないのでι)
が、一話にしてまさかの夢主&幼馴染み組出番なしってww
書き終わっておいwwって思わず思ったよ(笑)
けど、此処は神将達の出番で良いんです
リアちゃんや幼馴染み組、そしてパーティメンバーにはこれから頑張って貰うからww
むしろ此処は神将とハガスミの見せ場だったし、後に彼等も登場してくれるはずだから←ww
こちらも何処まで続くか解りませんが、時間を掛けて頑張って書いてみたいと思います!!
2011.10.11
最初はやっぱり混乱もあったが、帝国やギルドの働きのお陰で人々の生活も豊かになり始めていた
みんなそれぞれ自分のやりべき事を見つけそれを成し遂げている
リア達も今までと変わらず言霊使いの故郷と下町や世界中を行き来して仕事をしながら外界への協力を惜しまなかった
「ふうん、思ってたより頑張ってるみたいね」
「外界の連中も、やるもんだな」
言霊使いの故郷で外界の様子を見ていた神将達、あの戦いの後も干渉せずに故郷で外界の様子をこうして何度も見ていた
干渉はせずだがリアやセイ、そして他の言霊使いや仕えている式神達が行き来する場所である事には変わりはないのでたまにだがこうして様子を見ていた
「リアやセイも協力してるんだから、そうならならいと可笑しいでしょ」
外の様子を見てタイリンとゲツレイが呟いた言葉にユイカが当然のように応えるとハクスイとナセアが小さく笑った
「そうですね」
「協力していく事はとても大事な事です」
「そうだね」
ハクスイの言葉にカムイが頷き、皆星喰みとの戦いの事を思い出す
あの時は外界の人間のユーリ達、満月の子のエステル、クリティア族のジュディス、始祖の隷長が転生した精霊と、始祖の隷長側に身を寄せたデューク、そして言霊使いのリアとセイとシエラ、アスラ達神将と式神達を束ねる長であるハガスミ、この違う種族とテルカ・リュレミースに住む人々の協力のお陰で星喰みを倒し、彼等を精霊に転生させ、世界は救われ、世界も人々も新たな一歩を踏み出した
「人も世界も、変わるものだな」
「ええ。リア達といると凄くそう思うわ」
リンコウもフッと小さく笑い、センキも微笑みながら答えた
言霊使いの姫であるリア、リアも過酷な運命を背負って生まれて来たが、その真実を知っても否定も拒絶もする事なく受け止め最後まで戦い抜いた
その強さと優しさにユーリ達も神将達も、勿論セイもイサキも、他の皆も救われた
そしてそのリアも自分が大切にしていた気持ちに気が付き、今までとは少しだけ違う表情を見せ初めていた
「リアも、凄く幸せそうだしね」
「ああ。これで俺達の心配も少しは減ったんじゃないか」
ミズハはそのリアの様子を思い出して微笑むとケンクも小さく笑って答えた
リアの事で心配していた事は山程あったが、あの旅の中で事が済んだのが大半だった
「あたし達はまだ納得してないんだけどー」
「そう言うなって。リアやセイ、ユーリ達が決めた事だろ」
「心配しなくても、リア達なら大丈夫だよ」
タイリンのちょっと不満そうな声の後に別の二つの声が聞こえ視線を上げるとフキとアスラが神将達の所に向かって来ていた
「アスラ、フキ、お帰りなさい」
「リアとセイは?」
「リアはイサキと話してる。セイは報告に行ってる所だ」
リア達はつい先程まで言霊使いの町の方まで行っていた
外界だけでなく、故郷の人々とのふれあいも大事にしていて買い物も含め人々と色々な話しをしていた
「あ、そうそう、リアが今度の祭りで着る服で悩んでたから、行ってあげたら?」
「イサキも一緒に選んでるが、こういうのは俺達よりお前達の方が良いだろ」
「ホント! じゃあ、行こ・・・「「「「「「「!」」」」」」」
先程の買い出しで買って着た服をイサキと選んでいた事を思い出し、アスラとフキがそう告げるとタイリンとユイカが嬉しそうな顔をして、センキとハクスイとリンコウとミズハもリアの部屋に向かおうかと思っていた途端、急に何かに気が付きアスラ達は一斉に振り返った
「・・・今のは」
「外界、だな・・・」
「けど、何、この感じ・・・」
その妙な異変は言霊使いの外の外界だった為、気が付いたのはアスラ達神将だけだった
が、今まで感じた事のある異変より何か違うものを感じていた
「・・調べるか?」
「ああ。だが外界なら俺とアスラが行った方が良いだろう」
「だね。念の為にみんなはリアとセイに付いてて」
「「解ったわ」」
「それと、この事は」
「まだリアとセイに報せるな、だろ」
ゲツレイの言葉にアスラとフキは微笑して応えた
「私はナセアと共にハガスミの所に行ってみる」
「ええ。長もこの事に気が付いているでしょうからね」
それが合図だったのか、神将達は各々の場所に向かった
「・・・此処か?」
「此処は・・ザウデ不落宮・・・」
アスラとフキが異変を感じて着いた場所はザウデ不落宮だった
世界中から魔刻がなくなり魔導器が使えなくなり、このザウデも力を無くしたはずだった
だが異変を感じるのはこのザウデからだった
「「・・・・」」
アスラとフキはそのまま姿を消し、異変を感じるザウデの奥へと進んだ
「!」
「リタ、ジュディス、パティ!?」
「え?」
アスラとフキがザウデの最深部に着くとリタとジュディスとパティがいた
アスラの声を聞くと三人は振り返りアスラ達を見て同じように驚いた顔をした
「アスラ、フキ、どうしてあんた達が此処に?」
「おお、アスラ、フキ、久しぶりなのじゃ」
「・・・相変わらずパティは動じないなι」
「だね・・・ι」
リタとパティの違った反応を見てアスラとフキは苦笑した
「久しぶりね。リアとセイは一緒じゃないのかしら」
「ジュディスも久しぶり。リアとセイなら故郷だよ」
「それよりお前達、此処で何をしていた?」
「グランカレイの記した楽園を探しに来たのじゃ」
「は・・?」
「グランカレイって、確かエステルが前に読んでた本にあった・・・?」
「のじゃ」
パティの言葉にフキは疑問を持ったがアスラはその時の事を思い出す
あの旅の途中で帝都に寄った時にザーフィアス城のエステルの部屋にみんなで立ち寄った事があった
その時にエステルが読んでいた本の中にグランカレイと言う名が出て来た
パティが探していた麗しの星、そしてサイファーが持っていた馨しの珊瑚とその本に記されている言葉を“大海の芯”に行き鍵を掲げて唱えると”楽園への扉が開かれる”・・・と言う事が記されていた
「それでお前達は此処まで来た、と?」
「あたしとジュディスはザウデの調査よ! パティの用事はそのついでよ」
「そのついでも、当たったみたいだけれどね」
ジュディスの言う通り、三人の前を見ると麗しの星と馨しの珊瑚が一つになり、その下に術式が展開されていた
「「・・・・」」
アスラとフキは感じていた異変が此処から来ている事を感じ、じっとその術式を見ていた
「伝説は本当だったのじゃ! 早速行ってみるのじゃ」
「待て。お前達だけでこの先に進むのは危険だ」
転送術式の上に移動しようとしていたパティをフキが止めると一斉に振り向かれる
「どう言う事よ?」
「この戦力で興味本位で行っても危険だよ」
「今のお前達は、前のように戦えないだろ」
そう言われリタもパティも押し黙ってしまう
魔導器がなくなり、戦力は格段に落ちてしまっている
元から魔導器を使わずに戦っていたジュディスならまだしも、今のリタとパティを何が待っているか解らない場所に行かせる訳にはいかない
それはアスラとフキだけじゃなく、ジュディスもそう思っていたのだろう
「この下に何かあるのかしら?」
二人と違い冷静にアスラとフキに振ると少しだけ硬い表情をして答えた
「正確に、じゃないが・・・」
「嫌な感じがしてるんだ・・・」
アスラもフキもこの下に何があるのか知らない様子だが、二人の表情を見て“何かがある”と言うのは見て取れた
「そう言う事だから、この先には行かせられない」
「・・・どうしてもダメかの?」
「・・・なら、みんなと一緒に来てはどうかしら」
「え?」
「みんな?」
ジュディスの言葉に疑問を持ちジュディスを見るとジュディスの言いたい事が解ったのかアスラとフキもその先の言葉を言う
「此処の調査はあいつ等にも報告してるんだろ? それにザウデはあいつ等も知ってるんだ」
「だったら、この場所を知ってて一番協力してくれるみんなと来た方が得策って事でしょ」
「ええ」
「・・・確かにその方がまだマシかもしれないわね」
「じゃの。ならユーリ達に報せてまた来るのじゃ」
「リアとセイには俺達から伝えておいてやるよ」
「解ったわ」
その言葉でこの場を後にし始めるリタ達、だがアスラとフキはリタ達が見えなくなるまでその場を動かなかった
「・・・扉が開いた、か」
「ああ・・・」
リタ達の姿が見えなくなるとアスラはぽつりと呟き、フキも少しだけ表情を変えて頷いた
「グランカレイって奴は、十六夜の庭を見つけたのか?」
「本にはそう載ってたよ。 ・・・あの事は載ってなかったけどね」
「そうか・・・。だが、これからどうするかはハガスミに言った方が良いだろうな」
「うん。もうとっくに気付いてると思うけどね」
言うとアスラとフキは転送術式の方を向き壁を作った
そしてそのまま姿を消した
*
「・・・そうか、扉が開いたか」
「はい。今アスラ達がこちらに向かっている所です」
場所は変わって此処は神将達が住む世界、今此処にはハガスミ、リンコウ、ナセアがいた
あの異変を感じた後、言葉通りリンコウとナセアはハガスミの元を訪れた
勿論あの異変をハガスミも感じていた
そしてアスラとフキがザウデの最深部で見た事は少しだけリンコウとナセアに伝え、二人はハガスミに報告していたのだった
「奴等が動き出せば面倒な事になりかねないぞ」
「そうですね。やっと外界も元のような生活を取り戻し始めたのですから」
「人間も精霊も今のままでは奴に対抗する事は出来ないだろう」
「それでもあのまま放っておけば、動き出すぞ」
違う声が聞こえ振り向くとアスラとフキが戻って着た所だった
「姫の仲間はどうした?」
「今の戦力じゃ無理だ、後日ユーリ達と一緒に来て行くなら良いぜとは言ってる」
「・・・また無茶な事を言いましたね」
フキの言葉にナセアは苦笑した
「お前達の判断は正しいな。あの戦力では到底無理だ」
「ヘタにケガでもしてその事がリアの耳に入ったらリアが心配するからね」
リンコウとナセアの言葉にアスラも苦笑して答えた
「だが、都合が良いと言えば良いだろう」
ハガスミの言葉にアスラ達は一斉にハガスミを見る
「・・・リア達に奴等を始末させるつもりか?」
フキの言葉にアスラとナセアは息を詰めて、リンコウは静かにハガスミを見た
「姫とユーリと仲間達、そして満月の子はテルカ・リュレミースの災厄を討ち果たし、命運を変えた。なら、」
「・・・因縁を断ち切る、と言う訳ですね」
ナセアの言葉にハガスミは頷いた
「姫達はアレも持っているのだろう」
「ああ」
フキはハガスミの言っている事が解り頷いたが、リンコウが静かに言う
「だが、実際問題どうするつもりだ。リアとセイ、満月の子とクリティア族の竜使いは別だが・・・」
「それでもリアもセイも、・・もしかしたら満月の子も何かしら影響を受ける可能性もあります」
「ボク等の力も何処まで持つか解らないしね・・・」
その言葉にハガスミ以外は黙ってしまう
が、ハガスミは何かを確信しているかのように、口角を上げて笑っていた
For paradise -楽園を求めて-(一話)
続く
あとがき
久々にヴェスペリア夢書けたーー!!
そしてED後連載スタートぉぉ!!!(すいません、若干まだテンションが可笑しいんですι)
ずっと何か書きたいなーと思って暫く書かずに過ごしていたんですが(笑)、ちょっと前に隠しダンジョンで書けそう・・と思って書いてみました
ED後なのであの後のテルカ・リュレミースの様子を見ていた神将達を書いてみたくて最初は神将達メインで出して見ました(意外とこの子達出番ないのでι)
が、一話にしてまさかの夢主&幼馴染み組出番なしってww
書き終わっておいwwって思わず思ったよ(笑)
けど、此処は神将達の出番で良いんです
リアちゃんや幼馴染み組、そしてパーティメンバーにはこれから頑張って貰うからww
むしろ此処は神将とハガスミの見せ場だったし、後に彼等も登場してくれるはずだから←ww
こちらも何処まで続くか解りませんが、時間を掛けて頑張って書いてみたいと思います!!
2011.10.11
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