星喰み編
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魔物を一掃した後、フレンは直ぐに騎士団の方に戻って行き、兄さんはアスラと一緒にフキ達に辺りの情報を聞きに行き、エステルは怪我人の手当をしていて、私もハクスイとミズハとカムイを連れて怪我人の手当に向かった
そして気が付けばもう夜になっていた
89.紺碧の空
「リア」
「あまり無理するなよ」
ユーリとフレンの声が聞こえ振り向くとユーリとフレンにラピード、そしてエステル、リタ、ジュディスがいた
「・・・みんな、お疲れ様」
「お疲れ様です。怪我人の手当の方はどうです?」
「思った以上に重傷者が多いですね」
「リアやエステルさん達のお陰で、命は取り留めていますけど・・・」
「直ぐには動かさない方が良いですね」
私と一緒に手当を行っていたハクスイ、ミズハ、カムイが顔を曇らせて言う
いくら回復が出来る私やエステル、ハクスイ達でも回復するにも限度がある
「暫く此処で守り抜くしかないか」
「それなら此処を砦にしてしまえば良いんじゃない?」
別の女性の声が聞こえその声の主を見ると、カロルとレイヴンと兄さんと一緒に歩いて来たのは幸福の市場の社長カウフマンさんだった
「お久しぶりね、ユーリ君。凛々の明星の噂、聞いてるわよ。手配してた傭兵では十分じゃなかったようね。こちらの不手際で迷惑掛けたわ」
「いえ、ギルドも今混乱しているでしょう。ご助力感謝します」
「お詫びと言ってはなんだけど、此処の防衛に協力するわ」
「あんたが戦うってのか?」
「まさか。私は商人よ。まあ見てらっしゃいな」
「フレン隊長、無事で良かった!」
そう言って立ち去って行くと交代するかのようにウィチル君とソディアさんがやって来た
「ウィチル! ・・・何かあったのか」
「その先は俺等が話してやるよ」
その声に反応して声の主を見ると、兄さんとアスラとフキがこちらに向かって来ていた
「兄さん、何か解ったの?」
「ああ。例のタルカロンだが、術式を周囲に展開し始めた」
「それが機動して今、イリキア全土で住民が体調に異変を感じ出してるんだ」
「・・・それって人間の生命力を吸収してるって事じゃあ・・・」
「ああ、デュークの野郎。本格的に動き出しやがったな」
フキとアスラの説明にいち早く気付いたのはリタだった
「生命は純度の高いマナ。 ・・・それを攻撃に使うつもり?」
「人間全ての命と引き換えに星喰みを倒すってのはこういう事だったのね」
「術式は段階的に拡大している。放っておいたら確実に全世界に効力が及ぶな・・・」
「そんな・・・!」
「ウダウダしてらんねえな」
「ええ」
「でも、思った通りこのままだと精霊の力が足りないわ」
「ええ? あんなすごい威力なのに!?」
「星喰みの大きさからすると、あれの何百倍もの力が必要になるわね」
「何百倍~? そりゃまた・・・」
「・・・やっぱ魔刻を精霊に変えるしかないか」
「待ってくれ、僕等にも分かるよう説明してくれないか」
そこで蚊帳の外状態だったフレンが口を挟んで私達を見た
「そうだな。ちゃんと話そうと思ってた事だしな」
ユーリの言葉に私も頷くとユーリはフレンを見た
「なぁ、フレン。ヨーデル殿下やギルドの人間にも聞いてもらいたいんだ。此処に呼べねぇか?」
フレンは一瞬きょとんとして直ぐに笑い出した
「フフ、ハハハハ」
「も~、ユーリ。皇帝をこんな所に呼びつけようって言うの?」
「君はホントに君のままだね」
「だろ」
「変わってないよね」
「なんだってんだ?」
「フフ、ううん。なんでも」
「リアも・・・アスラ達までかよ・・・」
カロル達は呆れていたが、ユーリのこういう所は昔から全然変わっていなくて、私もフレンも兄さんもアスラ達式神もつい笑ってしまった
「フフ。分かった。なんとかしてみるよ。その代わり、ユニオンや戦士の殿堂の人達には君が話をつけてくれ」
「分かった」
「なら、ダングレストとノードポリカね?」
「ああ。またひとっ飛び頼む」
*
「ユーリ・・・殿」
ダングレストに向かおうとしていると、後ろからソディアさんの声が聞こえ私達はゆっくりと振り返った
「隊長を助けてくれて、その・・・感謝している・・・」
そしてソディアさんは顔を俯けてしまう
「・・・みんな、先行こうぜ」
「そうね、行きましょうか」
「リア殿!」
「はい?」
兄さんは小さく溜息を吐きエステル達を促し、私も先に行こうとしているとソディアさんに呼び止められた
「貴女にも話が・・・」
「・・・行ってきなよ、ボクも先に行ってるから」
「・・・うん」
アスラも雰囲気的に何か悟ったのか兄さん達と一緒に先に歩いて行き、みんながいなくなると私もユーリもソディアさんの近くに行った
「別に誰にも話しゃしねえよ」
「・・・何故?」
「あんたがあの時何故オレを殺そうとしたのか、解っちまうからだよ。自分の手を汚してでも守りたいものがある。激しい感情に囚われて自分でも思いがけない事をしちまう」
「・・・許されない事をしたのは分かっている。罪になんの咎めもないなんて、いっそ恨まれた方が・・・」
「甘ったれんな!」
ユーリはさっきより強い口調で言うとソディアさんは肩をビクリとさせ顔を上げてユーリを見た
「オレは別にあんたの為に恨まれない訳じゃなし、あんたを楽にしてやる為に恨むつもりもねえ」
「私は・・・どうすれば・・・」
「オレはあんたにけじめを付ける事なんざ何もねぇからな。てめえで考えな」
「・・・・」
ユーリの言葉にソディアさんはまた黙ってしまう
「分かんねぇなら・・・オレじゃなくて全てを話せる仲間と考えてみな。その上でフレンを守るってんならダチとして感謝するさ」
「あ・・・」
ユーリはそう言って踵を返して歩き出した
「貴女の気持ち、良く分かるわ」
「?」
急にそう振られソディアさんはユーリから私に視線を移し疑問符を出していた
「何も出来なくて悔しい思いをしてる。そして何よりユーリにした事を悔やみ続けて重荷になってる。だけど話そうにも話せない・・・それって凄く辛い事よね・・・」
「・・・・」
私の言葉にソディアさんは少しだけ視線を落とした
「でも、それは大切な人を守りたいって気持ちがあったからでしょう?」
「ああ・・・」
「大切な人を護りたい。・・・それが好きな人なら尚更、ね」
「! わ、私は」
ソディアさんはそこで思いっきり顔を上げて私を見るが、私はにこりと笑い言葉を続ける
「だから、私も大切な人の傍にいて護ってる」
私は自分の先を歩く人物に目を向けながら言うとソディアさんもその人物を見た
「・・・・」
そしてソディアさんは複雑な顔をしてユーリの背中を見て、私に視線を戻し、私の表情を見て少しだけ俯いた
「・・・・」
そしてゆっくりと顔を上げてまた私を見る
けど、その目は悲しいような申し訳ないような凄く複雑な目だった
「私もフレンを守ってくれるなら感謝します」
私はその目に気付いてないようにして、小さく微笑みながら言葉を続ける
「フレン、貴女の事本当に信頼してるみたいだから」
「!」
そう言って私は踵を返しユーリの後を追った
続く
あとがき
話しも本当に架橋に入って来ましたね
そして、ユーリがどんどん格好良く男前になって行ってるよ///
もう大人主人公ってイイね!
リアちゃんもカッコ良い子になってきてますね!
カッコ良い男女って良いですよね!
さ、次回はあのシーンです!
気合い入れて書きたいと思います!!
下書き:2009.01.14
完成:2009.08.18
そして気が付けばもう夜になっていた
89.紺碧の空
「リア」
「あまり無理するなよ」
ユーリとフレンの声が聞こえ振り向くとユーリとフレンにラピード、そしてエステル、リタ、ジュディスがいた
「・・・みんな、お疲れ様」
「お疲れ様です。怪我人の手当の方はどうです?」
「思った以上に重傷者が多いですね」
「リアやエステルさん達のお陰で、命は取り留めていますけど・・・」
「直ぐには動かさない方が良いですね」
私と一緒に手当を行っていたハクスイ、ミズハ、カムイが顔を曇らせて言う
いくら回復が出来る私やエステル、ハクスイ達でも回復するにも限度がある
「暫く此処で守り抜くしかないか」
「それなら此処を砦にしてしまえば良いんじゃない?」
別の女性の声が聞こえその声の主を見ると、カロルとレイヴンと兄さんと一緒に歩いて来たのは幸福の市場の社長カウフマンさんだった
「お久しぶりね、ユーリ君。凛々の明星の噂、聞いてるわよ。手配してた傭兵では十分じゃなかったようね。こちらの不手際で迷惑掛けたわ」
「いえ、ギルドも今混乱しているでしょう。ご助力感謝します」
「お詫びと言ってはなんだけど、此処の防衛に協力するわ」
「あんたが戦うってのか?」
「まさか。私は商人よ。まあ見てらっしゃいな」
「フレン隊長、無事で良かった!」
そう言って立ち去って行くと交代するかのようにウィチル君とソディアさんがやって来た
「ウィチル! ・・・何かあったのか」
「その先は俺等が話してやるよ」
その声に反応して声の主を見ると、兄さんとアスラとフキがこちらに向かって来ていた
「兄さん、何か解ったの?」
「ああ。例のタルカロンだが、術式を周囲に展開し始めた」
「それが機動して今、イリキア全土で住民が体調に異変を感じ出してるんだ」
「・・・それって人間の生命力を吸収してるって事じゃあ・・・」
「ああ、デュークの野郎。本格的に動き出しやがったな」
フキとアスラの説明にいち早く気付いたのはリタだった
「生命は純度の高いマナ。 ・・・それを攻撃に使うつもり?」
「人間全ての命と引き換えに星喰みを倒すってのはこういう事だったのね」
「術式は段階的に拡大している。放っておいたら確実に全世界に効力が及ぶな・・・」
「そんな・・・!」
「ウダウダしてらんねえな」
「ええ」
「でも、思った通りこのままだと精霊の力が足りないわ」
「ええ? あんなすごい威力なのに!?」
「星喰みの大きさからすると、あれの何百倍もの力が必要になるわね」
「何百倍~? そりゃまた・・・」
「・・・やっぱ魔刻を精霊に変えるしかないか」
「待ってくれ、僕等にも分かるよう説明してくれないか」
そこで蚊帳の外状態だったフレンが口を挟んで私達を見た
「そうだな。ちゃんと話そうと思ってた事だしな」
ユーリの言葉に私も頷くとユーリはフレンを見た
「なぁ、フレン。ヨーデル殿下やギルドの人間にも聞いてもらいたいんだ。此処に呼べねぇか?」
フレンは一瞬きょとんとして直ぐに笑い出した
「フフ、ハハハハ」
「も~、ユーリ。皇帝をこんな所に呼びつけようって言うの?」
「君はホントに君のままだね」
「だろ」
「変わってないよね」
「なんだってんだ?」
「フフ、ううん。なんでも」
「リアも・・・アスラ達までかよ・・・」
カロル達は呆れていたが、ユーリのこういう所は昔から全然変わっていなくて、私もフレンも兄さんもアスラ達式神もつい笑ってしまった
「フフ。分かった。なんとかしてみるよ。その代わり、ユニオンや戦士の殿堂の人達には君が話をつけてくれ」
「分かった」
「なら、ダングレストとノードポリカね?」
「ああ。またひとっ飛び頼む」
*
「ユーリ・・・殿」
ダングレストに向かおうとしていると、後ろからソディアさんの声が聞こえ私達はゆっくりと振り返った
「隊長を助けてくれて、その・・・感謝している・・・」
そしてソディアさんは顔を俯けてしまう
「・・・みんな、先行こうぜ」
「そうね、行きましょうか」
「リア殿!」
「はい?」
兄さんは小さく溜息を吐きエステル達を促し、私も先に行こうとしているとソディアさんに呼び止められた
「貴女にも話が・・・」
「・・・行ってきなよ、ボクも先に行ってるから」
「・・・うん」
アスラも雰囲気的に何か悟ったのか兄さん達と一緒に先に歩いて行き、みんながいなくなると私もユーリもソディアさんの近くに行った
「別に誰にも話しゃしねえよ」
「・・・何故?」
「あんたがあの時何故オレを殺そうとしたのか、解っちまうからだよ。自分の手を汚してでも守りたいものがある。激しい感情に囚われて自分でも思いがけない事をしちまう」
「・・・許されない事をしたのは分かっている。罪になんの咎めもないなんて、いっそ恨まれた方が・・・」
「甘ったれんな!」
ユーリはさっきより強い口調で言うとソディアさんは肩をビクリとさせ顔を上げてユーリを見た
「オレは別にあんたの為に恨まれない訳じゃなし、あんたを楽にしてやる為に恨むつもりもねえ」
「私は・・・どうすれば・・・」
「オレはあんたにけじめを付ける事なんざ何もねぇからな。てめえで考えな」
「・・・・」
ユーリの言葉にソディアさんはまた黙ってしまう
「分かんねぇなら・・・オレじゃなくて全てを話せる仲間と考えてみな。その上でフレンを守るってんならダチとして感謝するさ」
「あ・・・」
ユーリはそう言って踵を返して歩き出した
「貴女の気持ち、良く分かるわ」
「?」
急にそう振られソディアさんはユーリから私に視線を移し疑問符を出していた
「何も出来なくて悔しい思いをしてる。そして何よりユーリにした事を悔やみ続けて重荷になってる。だけど話そうにも話せない・・・それって凄く辛い事よね・・・」
「・・・・」
私の言葉にソディアさんは少しだけ視線を落とした
「でも、それは大切な人を守りたいって気持ちがあったからでしょう?」
「ああ・・・」
「大切な人を護りたい。・・・それが好きな人なら尚更、ね」
「! わ、私は」
ソディアさんはそこで思いっきり顔を上げて私を見るが、私はにこりと笑い言葉を続ける
「だから、私も大切な人の傍にいて護ってる」
私は自分の先を歩く人物に目を向けながら言うとソディアさんもその人物を見た
「・・・・」
そしてソディアさんは複雑な顔をしてユーリの背中を見て、私に視線を戻し、私の表情を見て少しだけ俯いた
「・・・・」
そしてゆっくりと顔を上げてまた私を見る
けど、その目は悲しいような申し訳ないような凄く複雑な目だった
「私もフレンを守ってくれるなら感謝します」
私はその目に気付いてないようにして、小さく微笑みながら言葉を続ける
「フレン、貴女の事本当に信頼してるみたいだから」
「!」
そう言って私は踵を返しユーリの後を追った
続く
あとがき
話しも本当に架橋に入って来ましたね
そして、ユーリがどんどん格好良く男前になって行ってるよ///
もう大人主人公ってイイね!
リアちゃんもカッコ良い子になってきてますね!
カッコ良い男女って良いですよね!
さ、次回はあのシーンです!
気合い入れて書きたいと思います!!
下書き:2009.01.14
完成:2009.08.18