星喰み編
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フィエルティア号に戻った私達はバウルに始祖の隷長の居場所を聞いた
けど、やっぱり仲間を危険な目に遭わせたくないのか教えるのを躊躇った
それでも私達の言葉を聞いてバウルは居場所を教えてくれ、エレアルーミンはトルビキア大陸の北東部、レレウィーゼはウェケア大陸にあるという事が解った
ただ、エステルの話しによればウェケア大陸は、時の皇帝カルクス三世が開拓の為に四度にわたって調査隊を派遣したがいずれも更新が途絶え、戻るものもなかった、テルカ・リュミレースに残された最後の秘境、と言われている場所らしい
だからレレウィーゼは最後に回す事になった
そして私達はまず、此処から一番近いフェローがいる岩場に向かう事にした
82.灼熱の君
フェローの所に着くまでまだ時間はある
その間、私達はそれぞれ好きな事をやっていた
私は甲板に出て、空を眺めていた
ザウデが無くなり、星喰みを抑えていた結界もなくなり、私の力が反応する事は無くなった
けど、星喰みがいる限り、今は抑えられている力がいつ発動するか解らないとも言っていた
前ほど負担にはならないけど、あの時の異常な力は今は一時的に抑えられているから発動はしないけど、もう発動はさせてはいけない
いや、してはいけないと脳が告げていた
(あれは自分にも他の人達にも影響を与えてしまうから・・・だから、私達で星喰みをどうにかしなきゃ・・・)
決意を固めるように、空に漂っている星喰みを見て私は小さく拳を握った
「リアちゃん」
すると後ろからレイヴンの声が聞こえ振り向くと、私の方に歩いて来ていた
「レイヴン、どうしたの?」
「いや、リアちゃんに謝っておきたいと思ってね」
「謝る?」
何の事だろう? と思って首を傾げているとレイヴンは苦笑して私を見た
「ほら、ミョルゾで気絶させてアレクセイにリアちゃん渡しちゃったじゃない」
「あ、うん・・・でもあの時つらそうな顔してごめんって言ってくれたじゃない」
「そうだけど」
「本当に悪気がなかったらあんな顔してなかったし、ごめんなんて言わないでしょ。それにその後ユーリ達と一緒に助けてくれたから気にしてないよ」
「・・・・」
言い淀むレイヴンの言葉を遮ってニコリと笑って言うと、レイヴンは少しだけ黙ってしまう
実際に起こってしまったのは事実だけど、それでもあの時のレイヴンは仲間としてユーリ達と一緒に私を助けにきてくれたし、再会した時も安心した顔をしていた
「でも、やっぱり・・・「レイヴンはリアとケジメ付けたいんだとよ」
「ユーリ、兄さん」
レイヴンの言葉を遮り聞こえたのは兄さんの声だった
そしてレイヴンの後ろからユーリとアスラと一緒に私の方に歩いて来た
「ケジメを付けるって言っても・・・」
「ボク達みんなは一発殴る、で、ケジメ付けたけど」
「一発殴るって・・・ι」
実際にはどうしろと? と思っているとアスラが私の横に移動して来て悩んでいる私を見てそう言った
「やりづらかったらエステルみたいに頭をポカリ、でも良いんだぜ?」
「・・・・」
ユーリの言葉にエステルらしいと思いつつ、ユーリを見ると苦笑していた
「まあリアが直ぐにやる訳ないよな。なら、これならどうだ?」
そう言ってユーリは私の隣に移動して小声でこう言った
「ピコハンならリアもやりやすいだろ?」
「あ、そっか。それがあったね」
「じゃ、決まりだな」
ユーリは私の返事を聞くとニッと笑って、私はレイヴンを見た
「じゃあ、私とのケジメはこれで決めるね」
「?」
私はそう言って右手を挙げるとレイヴンと兄さんとアスラが疑問符を出した
「ピコハン!」
「へ? どわぁっ!?」
そう唱えた瞬間、レイヴンの頭に一つのピコハンが落ちて来た
思わぬ出来事にレイヴンはピコハンが当たった所を抑えて蹌踉け、兄さんもアスラも少し驚いていた
「ピコハン・・・そう来たか」
「これで全員ケジメ付いたな」
「そうだね・・・。?」
アスラが苦笑しながら返事を返していると、ふと何かに気が付いた
「どうしたの、アスラ?」
アスラはじっと空の向こうを見ていて、私達は顔を見合わせアスラの視線の先を見ていると徐々にだが鳥が羽ばたいているような音が聞こえだした
そして近付いてくるものを良く見るとそれはフェローだった
「フェロー!」
だが、彼はかなりの傷を負っていた
「かなり傷ついてるな・・・」
「人間に聖核を渡さない為に飛び回ってたんだね・・・」
「あんな状態で馬鹿なヤツに襲われたら一溜まりもねぇだろうからな」
「だろうね・・・」
「フェロー・・・」
フェローの様子を見ていると、フェローはそのまま岩場へと降りて行った
「なんだか・・・呼んでるみたい」
「ああ。・・・行こうぜ」
その後、私達は中にいるエステル達と一緒にフェローが居る岩場に向かった
「フェロー、フェロー、しっかりして」
岩場に着いた私達は急いでフェローの元に向かったが、岩場に着くとフェローはぐったりと横たわっていた
ジュディスはフェローの側に駆け寄り声を掛け、その隣にエステルも並んだ
「ごめんなさい、私達の為に・・・」
「どういう事?」
「ザウデでフェローは私達のオトリになってくれたのよ」
「ザウデでオトリに・・・?」
「俺達がザウデに入る前に、な・・・」
「・・・・」
(私がザウデの中にいる時かその前かに、そんな事があったなんて・・・)
そう思うと自然と手をギュっと握っていた
「世界の運命は決し、我等はその務めを果たせず終わる。無念だ・・・」
「長年、頑張ってきた割に諦めが早いんだな。悪いけど、まだ終わっちゃいないぜ」
「ザウデが失われ、星喰みは帰還した。人間も我等も昔日の力はない。これ以上、何が出来よう」
「まだ望みはあります! まだ新しい力があるんです!」
「あんたに精霊に・・・エアルをもっと制御出来る存在に転生して欲しいの」
「その為には・・・あんたの聖核が必要なんだ」
「・・・我が命を寄越せと言うか」
「そう言う意味じゃ・・・」
私の言葉は兄さんが私の前に出した手によって遮られた
「フェロー、世界を救いたいって思ってるのはみんな同じなんだよ。だからボク等に協力して」
「・・・・」
アスラの言葉にフェローは少しだけ黙って考え口を開く
「・・・心で世界は救えぬが世界を救いたいと言う心を持たねば、また救う事は叶わぬ、か・・・。どのみち遠からず果てる身・・・そなた等の心のままにするが良い」
そう言い、フェローから眩い光が放たれ、光が消えると聖核になって私の手元に下りてきた
「・・・フェロー・・・」
私は聖核をぎゅっと抱きしめ声を聞いた
(言霊使いの姫・・・我が命、預ける)
(ええ・・・)
(・・・エルシフルの・・を・・・し・・・めよ)
「え・・・?」
そこでフェローとの会話は途絶えた
「リア、どうかしたのか?」
現実に引き戻されると、ユーリが心配そうな顔をして私を見ていた
「ううん、何でもない」
「何でもないって顔してないぞ」
「え? あ、あれ・・・?」
ユーリにそう言われた途端、私の頬に一粒の涙が流れた
何故なのか分からないが急に涙が流れた
私よりツライのはジュディスのはずなのに・・・
だけど、フェローが最後に言った言葉、『エルシフル』と言う言葉が胸に突き刺さり、頭から離れなかった
私は涙を拭い、ジュディスを見るとやはり膝を尽き俯いたままだった
「・・・・」
みんな声を掛けるべきか悩んでいると、レイヴンが小さく息を吐いてジュディスの所まで歩いて行った
「・・・精霊になっても協力してくれなかったりしてね・・・」
その言葉を聞いてジュディスは立ち上がり、レイヴンを見た
「フェローは世界を愛しているもの。きっと大丈夫よ」
そう言ってジュディスはエステルの横に歩いて行き、アイコンタクトを送るとエステルは頷き、そして私が持っている聖核を見てやりましょうと言った
「でも此処エアルクレーネが涸れてるんでしょ?」
「エアルの流れの跡を辿れば、深みから引き寄せる事が出来ると思います」
「出来るのか、そんな事が」
「ウンディーネが・・・教えてくれるんです」
「その流れならアスラも辿れるんじゃないか?」
「うん、ウンディーネとエステルを通せばなんとかなると思うよ」
「ユーリ、やろう」
「ああ」
私は聖核を抱きしめながら言うと、ユーリは頷き、ウンディーネを誕生させた時と同じように配置につき、精霊化を始めた
聖核の周りに上手くエアルが集まると、聖核が光り、辺りに炎が集まり精霊が現れた
「やった!」
「うわうわ、火だ、火が」
「火の・・・精霊・・・」
「おお・・・無尽蔵の活力を感じる」
精霊となったフェローはそう言って両手を挙げ、纏っていた炎の力を感じ出すと、その前にウンディーネが姿を現した
「お久しゅう、盟主殿。転生、お祝い申し上げます」
「その気配は・・・ベリウス? そうか、そなたも・・・」
「水を統べるようになった今はウンディーネと呼ばれております」
「在りようを変えし今、我もまた新たな名を求めねばな。我を転生せしめたそなた、我を名付けよ」
「めらめら火の玉キン・・・ゲシッ
その途端、カロルが口を開くが直ぐにリタがカロルの元に走って行き思いっきりチョップをし、カロルは頭を抑えた
その様子を苦笑しながら見ていると、エステルが口を開いた
「力強く猛々しい炎・・・灼熱の君イフリート」
「イフリート・・・」
「世界と深く結びついた今、全てが新しく視える。この死に絶えた荒野でさえ力に満ち溢れている。はははは、愉快だ」
イフリートは豪快に笑った後、空に向かって飛んで行ってしまった
「ちょ、飛んでちゃった!」
「案ずるな。我等はそなたと結びついておる。何処であろうと共に在るのじゃ。始祖の隷長と満月の子とが精霊を生み出す・・・まこと自然の摂理は深遠なものじゃな」
ウンディーネはニコリと笑って私達を安心させるように言うと、姿を消した
「なんつーか、精霊になる前と後で随分とノリ違うもんねえ」
「だな・・・」
「きっと価値観がまるきり変わるのよ。魚が鳥に変わるどころじゃなくね」
「あの方が健全で良いじゃねぇか。世を憂う賢人然としてるより、さ」
「はは、そうかも」
長年生きてきた彼を知っているアスラがこういうのだから、そうなのかもと思いながら私達はフィエルティア号に戻って行った
続く
あとがき
イフリート誕生までやってきました!
確かにイフリートになってから性格変わりましたよね(笑)
でも転生前に気になる事言ってましたね・・・
あれは今後関わってきたり来なかったり(笑)
そして最初の方ではレイヴンとのケジメの話しでした
でもよくよく思えば、頭ポカリよりピコハンの方が威力あるような・・・ι
次は多分エレアルーミンに行きます
ではまた
下書き:2009.01.04
完成:2009.08.17
けど、やっぱり仲間を危険な目に遭わせたくないのか教えるのを躊躇った
それでも私達の言葉を聞いてバウルは居場所を教えてくれ、エレアルーミンはトルビキア大陸の北東部、レレウィーゼはウェケア大陸にあるという事が解った
ただ、エステルの話しによればウェケア大陸は、時の皇帝カルクス三世が開拓の為に四度にわたって調査隊を派遣したがいずれも更新が途絶え、戻るものもなかった、テルカ・リュミレースに残された最後の秘境、と言われている場所らしい
だからレレウィーゼは最後に回す事になった
そして私達はまず、此処から一番近いフェローがいる岩場に向かう事にした
82.灼熱の君
フェローの所に着くまでまだ時間はある
その間、私達はそれぞれ好きな事をやっていた
私は甲板に出て、空を眺めていた
ザウデが無くなり、星喰みを抑えていた結界もなくなり、私の力が反応する事は無くなった
けど、星喰みがいる限り、今は抑えられている力がいつ発動するか解らないとも言っていた
前ほど負担にはならないけど、あの時の異常な力は今は一時的に抑えられているから発動はしないけど、もう発動はさせてはいけない
いや、してはいけないと脳が告げていた
(あれは自分にも他の人達にも影響を与えてしまうから・・・だから、私達で星喰みをどうにかしなきゃ・・・)
決意を固めるように、空に漂っている星喰みを見て私は小さく拳を握った
「リアちゃん」
すると後ろからレイヴンの声が聞こえ振り向くと、私の方に歩いて来ていた
「レイヴン、どうしたの?」
「いや、リアちゃんに謝っておきたいと思ってね」
「謝る?」
何の事だろう? と思って首を傾げているとレイヴンは苦笑して私を見た
「ほら、ミョルゾで気絶させてアレクセイにリアちゃん渡しちゃったじゃない」
「あ、うん・・・でもあの時つらそうな顔してごめんって言ってくれたじゃない」
「そうだけど」
「本当に悪気がなかったらあんな顔してなかったし、ごめんなんて言わないでしょ。それにその後ユーリ達と一緒に助けてくれたから気にしてないよ」
「・・・・」
言い淀むレイヴンの言葉を遮ってニコリと笑って言うと、レイヴンは少しだけ黙ってしまう
実際に起こってしまったのは事実だけど、それでもあの時のレイヴンは仲間としてユーリ達と一緒に私を助けにきてくれたし、再会した時も安心した顔をしていた
「でも、やっぱり・・・「レイヴンはリアとケジメ付けたいんだとよ」
「ユーリ、兄さん」
レイヴンの言葉を遮り聞こえたのは兄さんの声だった
そしてレイヴンの後ろからユーリとアスラと一緒に私の方に歩いて来た
「ケジメを付けるって言っても・・・」
「ボク達みんなは一発殴る、で、ケジメ付けたけど」
「一発殴るって・・・ι」
実際にはどうしろと? と思っているとアスラが私の横に移動して来て悩んでいる私を見てそう言った
「やりづらかったらエステルみたいに頭をポカリ、でも良いんだぜ?」
「・・・・」
ユーリの言葉にエステルらしいと思いつつ、ユーリを見ると苦笑していた
「まあリアが直ぐにやる訳ないよな。なら、これならどうだ?」
そう言ってユーリは私の隣に移動して小声でこう言った
「ピコハンならリアもやりやすいだろ?」
「あ、そっか。それがあったね」
「じゃ、決まりだな」
ユーリは私の返事を聞くとニッと笑って、私はレイヴンを見た
「じゃあ、私とのケジメはこれで決めるね」
「?」
私はそう言って右手を挙げるとレイヴンと兄さんとアスラが疑問符を出した
「ピコハン!」
「へ? どわぁっ!?」
そう唱えた瞬間、レイヴンの頭に一つのピコハンが落ちて来た
思わぬ出来事にレイヴンはピコハンが当たった所を抑えて蹌踉け、兄さんもアスラも少し驚いていた
「ピコハン・・・そう来たか」
「これで全員ケジメ付いたな」
「そうだね・・・。?」
アスラが苦笑しながら返事を返していると、ふと何かに気が付いた
「どうしたの、アスラ?」
アスラはじっと空の向こうを見ていて、私達は顔を見合わせアスラの視線の先を見ていると徐々にだが鳥が羽ばたいているような音が聞こえだした
そして近付いてくるものを良く見るとそれはフェローだった
「フェロー!」
だが、彼はかなりの傷を負っていた
「かなり傷ついてるな・・・」
「人間に聖核を渡さない為に飛び回ってたんだね・・・」
「あんな状態で馬鹿なヤツに襲われたら一溜まりもねぇだろうからな」
「だろうね・・・」
「フェロー・・・」
フェローの様子を見ていると、フェローはそのまま岩場へと降りて行った
「なんだか・・・呼んでるみたい」
「ああ。・・・行こうぜ」
その後、私達は中にいるエステル達と一緒にフェローが居る岩場に向かった
「フェロー、フェロー、しっかりして」
岩場に着いた私達は急いでフェローの元に向かったが、岩場に着くとフェローはぐったりと横たわっていた
ジュディスはフェローの側に駆け寄り声を掛け、その隣にエステルも並んだ
「ごめんなさい、私達の為に・・・」
「どういう事?」
「ザウデでフェローは私達のオトリになってくれたのよ」
「ザウデでオトリに・・・?」
「俺達がザウデに入る前に、な・・・」
「・・・・」
(私がザウデの中にいる時かその前かに、そんな事があったなんて・・・)
そう思うと自然と手をギュっと握っていた
「世界の運命は決し、我等はその務めを果たせず終わる。無念だ・・・」
「長年、頑張ってきた割に諦めが早いんだな。悪いけど、まだ終わっちゃいないぜ」
「ザウデが失われ、星喰みは帰還した。人間も我等も昔日の力はない。これ以上、何が出来よう」
「まだ望みはあります! まだ新しい力があるんです!」
「あんたに精霊に・・・エアルをもっと制御出来る存在に転生して欲しいの」
「その為には・・・あんたの聖核が必要なんだ」
「・・・我が命を寄越せと言うか」
「そう言う意味じゃ・・・」
私の言葉は兄さんが私の前に出した手によって遮られた
「フェロー、世界を救いたいって思ってるのはみんな同じなんだよ。だからボク等に協力して」
「・・・・」
アスラの言葉にフェローは少しだけ黙って考え口を開く
「・・・心で世界は救えぬが世界を救いたいと言う心を持たねば、また救う事は叶わぬ、か・・・。どのみち遠からず果てる身・・・そなた等の心のままにするが良い」
そう言い、フェローから眩い光が放たれ、光が消えると聖核になって私の手元に下りてきた
「・・・フェロー・・・」
私は聖核をぎゅっと抱きしめ声を聞いた
(言霊使いの姫・・・我が命、預ける)
(ええ・・・)
(・・・エルシフルの・・を・・・し・・・めよ)
「え・・・?」
そこでフェローとの会話は途絶えた
「リア、どうかしたのか?」
現実に引き戻されると、ユーリが心配そうな顔をして私を見ていた
「ううん、何でもない」
「何でもないって顔してないぞ」
「え? あ、あれ・・・?」
ユーリにそう言われた途端、私の頬に一粒の涙が流れた
何故なのか分からないが急に涙が流れた
私よりツライのはジュディスのはずなのに・・・
だけど、フェローが最後に言った言葉、『エルシフル』と言う言葉が胸に突き刺さり、頭から離れなかった
私は涙を拭い、ジュディスを見るとやはり膝を尽き俯いたままだった
「・・・・」
みんな声を掛けるべきか悩んでいると、レイヴンが小さく息を吐いてジュディスの所まで歩いて行った
「・・・精霊になっても協力してくれなかったりしてね・・・」
その言葉を聞いてジュディスは立ち上がり、レイヴンを見た
「フェローは世界を愛しているもの。きっと大丈夫よ」
そう言ってジュディスはエステルの横に歩いて行き、アイコンタクトを送るとエステルは頷き、そして私が持っている聖核を見てやりましょうと言った
「でも此処エアルクレーネが涸れてるんでしょ?」
「エアルの流れの跡を辿れば、深みから引き寄せる事が出来ると思います」
「出来るのか、そんな事が」
「ウンディーネが・・・教えてくれるんです」
「その流れならアスラも辿れるんじゃないか?」
「うん、ウンディーネとエステルを通せばなんとかなると思うよ」
「ユーリ、やろう」
「ああ」
私は聖核を抱きしめながら言うと、ユーリは頷き、ウンディーネを誕生させた時と同じように配置につき、精霊化を始めた
聖核の周りに上手くエアルが集まると、聖核が光り、辺りに炎が集まり精霊が現れた
「やった!」
「うわうわ、火だ、火が」
「火の・・・精霊・・・」
「おお・・・無尽蔵の活力を感じる」
精霊となったフェローはそう言って両手を挙げ、纏っていた炎の力を感じ出すと、その前にウンディーネが姿を現した
「お久しゅう、盟主殿。転生、お祝い申し上げます」
「その気配は・・・ベリウス? そうか、そなたも・・・」
「水を統べるようになった今はウンディーネと呼ばれております」
「在りようを変えし今、我もまた新たな名を求めねばな。我を転生せしめたそなた、我を名付けよ」
「めらめら火の玉キン・・・ゲシッ
その途端、カロルが口を開くが直ぐにリタがカロルの元に走って行き思いっきりチョップをし、カロルは頭を抑えた
その様子を苦笑しながら見ていると、エステルが口を開いた
「力強く猛々しい炎・・・灼熱の君イフリート」
「イフリート・・・」
「世界と深く結びついた今、全てが新しく視える。この死に絶えた荒野でさえ力に満ち溢れている。はははは、愉快だ」
イフリートは豪快に笑った後、空に向かって飛んで行ってしまった
「ちょ、飛んでちゃった!」
「案ずるな。我等はそなたと結びついておる。何処であろうと共に在るのじゃ。始祖の隷長と満月の子とが精霊を生み出す・・・まこと自然の摂理は深遠なものじゃな」
ウンディーネはニコリと笑って私達を安心させるように言うと、姿を消した
「なんつーか、精霊になる前と後で随分とノリ違うもんねえ」
「だな・・・」
「きっと価値観がまるきり変わるのよ。魚が鳥に変わるどころじゃなくね」
「あの方が健全で良いじゃねぇか。世を憂う賢人然としてるより、さ」
「はは、そうかも」
長年生きてきた彼を知っているアスラがこういうのだから、そうなのかもと思いながら私達はフィエルティア号に戻って行った
続く
あとがき
イフリート誕生までやってきました!
確かにイフリートになってから性格変わりましたよね(笑)
でも転生前に気になる事言ってましたね・・・
あれは今後関わってきたり来なかったり(笑)
そして最初の方ではレイヴンとのケジメの話しでした
でもよくよく思えば、頭ポカリよりピコハンの方が威力あるような・・・ι
次は多分エレアルーミンに行きます
ではまた
下書き:2009.01.04
完成:2009.08.17