星喰み編
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アスピオでリタと合流して、ダングレストでカロルとレイヴンと合流し、蒼穹の水玉を手に入れた私達はアスラと兄さんと会う為、そして私の傷を癒す為に私達『言霊使い』の故郷に向かう事になった
79.言霊使いの故郷
向かった先は、ある森の中だった
「此処がリアの故郷?」
「見渡す限り森しかないけど・・・」
もう随分と深くまで歩いて来た
歩けど歩けど見えるのは木ばっかり
私は微かに違う空気が漂って着たのを確認して、立ち止まり振り返ってみんなを見た
「みんな、これからの事は絶対に他の人には話さないでね」
「どうして?」
「言霊使いは存在しないもの。知っていてもそれを口にするのは禁忌とされている」
ジュディスの言葉に私は頷いた
「禁忌・・・なんで?」
「言霊使いはあまりにも強大な力を持っているからよ」
「満月の子と相応の力を持っているってデュークが言ってたな」
「云われは色々あるんだけどね。実際ホントに知られちゃいけないから。まあ戦士の殿堂の掟と同じと思ってくれれば良いわ」
そこで言葉を切り、みんなを見据えて言葉を待った
「大丈夫だ。絶対に言わねえ」
「わたしもです」
「ボクも言わない」
「言うワケないでしょ」
「約束は守るわ」
「秘密なら守らなきゃでしょ」
「・・・分かった。みんな、聞いての通りよ」
私はみんなの返事を聞き微笑み踵を返し何もない森の方へ言葉を投げる
すると鈴の音が響き眩い光が放たれた
光が消えると、そこには先程までとは違う光景が広がっていた
「え? え?」
「森が・・・消えた?」
「此処は・・・?」
「此処がリア達言霊使いの故郷・・なのか?」
「ええ。此処は本来言霊使いしか入れない場所なんだけどね」
辺りを見渡せば古風な風景が広がっているが、どことなくエゴソーの森に雰囲気が似ていた
「エゴソーの森と似ているわね」
「あっちとはまた違った感じがするけどね」
「此処は街外れの森だから。もう少しすれば見えてくるよ」
そう言って私は先頭を歩き出し、ユーリ達もその後ろに続いた
「緑豊かな所ね」
「空気がとても澄んでます」
「こんな所があったなんて、ボク知らなかったよ」
その言葉に苦笑していると、森から抜け少し先にある橋の手前に人影が見えた
「リア!」
その人物は私の姿を見つけ名前を呼んで走ってきて私に抱きついた
「リア、お帰り」
「イサキ、ただいま」
「心配したんだよ」
イサキはそう言って私をぎゅっと抱きしめた
「ごめんね、心配かけて・・・」
私は小さく笑っていると、ユーリが私の後ろに来てイサキを見た
「お前、もしかしてイサキか?」
イサキはユーリの声に気が付き、私から離れてユーリを見た
「? もしかしてユーリ?」
「ああ。久しぶりだな」
「久しぶり」
「ユーリ、知り合いなの?」
「ああ、何度か帝都に来た事があってそん時にな」
「皆さんとは初めましてですね。初めまして、イサキです」
イサキは一礼して挨拶するとエステルもお辞儀をして挨拶していた
「お前も言霊使いなのか?」
「一応ね、まだ見習いだけど」
「イサキ、兄さんとアスラは?」
「セイならアスラとフキ連れて仕事に出てるよ。直ぐに終わる仕事って言ってたから本家で待ってれば戻って来ると思うわ」
「そっか。じゃあ本家に行こうか」
「みんなも待ってるしね」
そして私達は街の中の一番奥に見える大きな建物に向かって歩き出した
移動中ユーリ達は今までに見た事のない建物や物に興味を抱き、とても珍しそうに見ていた
そして今私達は本家に続く階段を上っていたのだが・・・
「・・・みんな、大丈夫?ι」
「・・・はぁ・・・はあ・・・だ、だいじょう・・ぶ・・です」
「・・・全然大丈夫そうに聞こえないんだけどι」
「な・・・なんて、無駄に・・・長い階段なのよぉ・・・」
「・・・老体の身体にゃ、この長さはツライって」
「流石に、これは疲れるわね・・・」
「ああ・・・」
御剣の階梯程高くはなく、螺旋状になってはいないがずっと真っ直ぐな為か皆いつも以上に体力を使い疲れていた
「・・・はぁ・・・はあ・・・リア、良く平気・・だね・・・」
「此処にいる時はこれが普通だったからね」
「こっ、これが・・・普通・・・」
「あり得ないわ・・・」
カロルの問に私は苦笑しながら答えると、みんな項垂れたような気がした
「もう少しですよ。皆さん、頑張って下さい」
「え?」
すると階段の上から男性の優しい声が聞こえ皆声の主を見た
階段を登り終えた所には金髪で着物を纏った男性と同じく着物を纏っていて青い髪の女性と茶色い髪をした女性がいた
「セナア、リンコウ、ハクスイ!」
私が三人の名前を呼ぶとナセアとハクスイがニコリと笑いリンコウも小さく笑った
それを確認して私も微笑んで、ユーリ達と一緒に最上階まで上がった
最上階まで登り切ると、みんな息を整えだした
「お疲れ様です」
「あ、えっと」
ユーリ達の前にナセアが移動しその隣にハクスイとリンコウも並んだ
「紹介するね。この子達もアスラと同じく式神で神将の一人よ」
「初めまして、ナセアと言います」
「初めまして、ハクスイと申します」
「私はリンコウだ」
各々紹介が終わり、私は三人とイサキを見た
「イサキ、ナセア、兄さん達が戻って来るまでみんなを休ませてあげて」
「解ったわ」「解りました」
「ではリア様はこちらに」
「うん、じゃあみんなまた後で」
そう言って私はハクスイとリンコウと一緒に歩いて行った
「あ、行っちゃった」
「・・・今、様付けされてなかった?」
「されてましたね」
「そりゃリアは言霊使いの姫だもん」
「そして私達の主ですから」
リアが言霊使いの姫だって事は知ってたが、改めて言われると唖然としちまうな・・・
「あれ? セイの話しじゃその辺は聞いてるって言ってたんだけど」
「あーいや、改めて言われるとね」
「ええ・・・」
様付けで慣れてるエステルですら唖然となってるしな
まあこっちはこっちで違う雰囲気が出てるし、カロル達も唖然となるのも解るな・・・
「とりあえず私達も移動しようか」
「そうですね。ではご案内します」
イサキとナセアにこのデカイ家の中を案内されたオレ達は客間と言って良いほどデカイ部屋に案内され、オレ達は今そこでリアやセイが来るのを待っていた
「それにしても、此処ほんとデカイ所よね」
「本当ですね。見た事ない物も多いですし」
「リアとセイって凄い所の生まれだったのね」
「あれ? でもリアもセイも下町育ちだよね?」
「行き来はしてたみだいぜ」
「どうやってです?」
「さあな」
「此処に来た時みたいに、じゃないかしら?」
「その通りよ」
リタの言葉に返事を返すように聞こえた声はリアだった
扉(此処じゃ襖って言ってたっけ?)を開けて部屋に入って来たが、リアの格好はいつもの格好とは違違い、着物姿だった
そしてリアの隣にはイサキと数人の式神達が着いていた
「リア、もう怪我の方は良いんです?」
「ええ、ハクスイとミズハが治してくれたから」
リアはそう言ってオレ達の前に座り、その隣にイサキとハクスイとミズハが座り、リアの後ろにリンコウが立っていた
「さっきの話しだけど、此処言霊使いの故郷はみんながいる所とは別次元にあるの」
「別次元?」
「そう。簡単にいえば、ミョルゾが外界と遮断してたのと同じようなものよ」
「でも此処って言霊使いしか入れないんでしょ?」
「ええ」
「でもオレ達は入ってこれたぜ」
「それはリアがいるからだろう」
リアの後ろにいたリンコウが答える
「普段他の者は足を踏み入れる事すら出来ないが、姫であるリアが認めたから私達もお前達を見据えて外との扉を開き、此処までこれたんだ」
「普通はこんな事はないんですけど、状況が状況だったので」
「ま、お前等は例外ってとこだな」
この場にいない、そして聞き覚えのある声が聞こえたと思ったらその人物は入り口の所に立っていた
「セイ! それにアスラとフキも」
セイの後ろには元の姿に戻っているアスラとフキとナセアがいた
「よ、みんな久しぶりだな」
「リア、お帰り」
「無事で何よりだ」
「兄さん、アスラ、フキ、ただいま。心配かけてごめんなさい」
「無事に戻って来たんだから気にすんな」
「うん・・・」
セイはそう言ってリアの頭を撫でてやっていた
そうは言ってもやっぱりリアを見て安心したのかセイもアスラ達式神も安心しきった顔をしていた
「「リア~!」」
「わあっ!」
途端この部屋に幼さが残る女の声が二つ響き、オレ達の前に姿を現し思いっきりリアに抱きついた
「リア、お帰り!」
「心配したんだよ!」
リアは少しよろけるが、ぎゅっと抱きついている二人を見て小さく笑った
「タイリン、ユイカ、ただいま。心配かけてごめんね」
「本当だよ。すっごい心配したんだよ!」
「ほーら、お前等、そろそろ離してやれ」
その声の主はリアに抱きついている二人の首根っこを掴んでリアから離した
「ちょ、ケンク~」
「リアはまだ怪我治ったばっかなんだから」
「無茶させちゃ駄目だよ」
その後ろからまた違う式神らしき子供が二人出て来る
「お帰り、リア」
そしてその後ろからはセンキが出て来た
「ただいま、センキ。ただいま、みんな、心配かけてごめんね」
リアは周りにいる式神達にそう言って笑うと、安心した顔をした
「リア、愛されてますね」
「ホントだね」
リアが大事にされてきたのはセイやアスラの話しを聞いてて知ってたが・・・、予想以上だったってのが正直なとこだな
「にしても、すげー人数になったな」
「本当ね。この部屋があっという間に埋まっちゃったわね」
「エステル、どうしたの?」
エステルはリアとセイの周りにいる式神をじっと見ていた
「あ、いえ。人数的にちょっと」
「ああ、もしかして神将の事?」
「はい。人数的にも合うのでもしかしてと思って」
「そうよ。みんな十二神将よ」
イサキはそう言ってアスラ達を見た
前にベリウスに会った時に話していた、式神の上の存在の神将が今此処に揃っている
見た目はオレ達とそんなに変わらないが、何処か不思議な雰囲気が感じられる
それが全員揃ってるから、少しだけ圧倒される
「みんな待たせてごめんね」
そう思っていると話しを終えたのか、リアとセイが式神達を連れてオレ達の所に来た
「えっと、じゃあ改めて。ようこそ言霊使いの故郷へ」
その後神将達の紹介をしてくれて、リアの力が戻るまでもう少しかかるらしいから自由行動になった
まあみんなも色んなもんに興味持ってたみたいだし、丁度良かったか
オレも適当に休んでおくか
*
「じゃあみんな行ってくるね」
怪我も治り力も戻った私はユーリ達と合流して今後の事を話し、ゾフェル氷刃海に向かう事になった
何でもそこにあるエアルクレーネを活性化させ、満月の子の力をどうにかするらしい
詳しくはその場に着いて話す事となり、私達は街の出口へと向かった
そして今、私達は街の出口にいた
私は見送りに来てくれているみんな(イサキと神将達)にそれぞれ挨拶をしていた
「気を付けてね」
「無理しちゃ駄目だよ」
「たまに様子見に行くから」
「うん。ありがとう」
「お前等もこっちの事頼んだぞ」
「ああ」
「じゃあ行くか」
「うん」
「あ、ユーリ」
「ん?」
数歩進んだ所で兄さんとイサキとみんなにユーリが呼び止められていた
その様子を見ているとユーリが苦笑して呆れたように何か言って兄さんと歩いて来た
「どうかしたの?」
「何でもねえよ」
ユーリはそう言って私の頭を撫でて歩いて行った
「?」
「ほら、行くぞ」
「あ、うん」
疑問符を出してユーリを見ていると今度は兄さんが私の頭に手を置いて歩き出し、またみんなに挨拶してその後を追った
続く
あとがき
なんかまた考えてた事と違う終わり方になったなぁ(笑)
まあでも今回は神将全員出したかったので出せて満足ですvv
次回は最後の所をユーリ視点で書いてから本編に戻ります
では
下書き:2008.12.30
完成:2009.08.14
79.言霊使いの
向かった先は、ある森の中だった
「此処がリアの故郷?」
「見渡す限り森しかないけど・・・」
もう随分と深くまで歩いて来た
歩けど歩けど見えるのは木ばっかり
私は微かに違う空気が漂って着たのを確認して、立ち止まり振り返ってみんなを見た
「みんな、これからの事は絶対に他の人には話さないでね」
「どうして?」
「言霊使いは存在しないもの。知っていてもそれを口にするのは禁忌とされている」
ジュディスの言葉に私は頷いた
「禁忌・・・なんで?」
「言霊使いはあまりにも強大な力を持っているからよ」
「満月の子と相応の力を持っているってデュークが言ってたな」
「云われは色々あるんだけどね。実際ホントに知られちゃいけないから。まあ戦士の殿堂の掟と同じと思ってくれれば良いわ」
そこで言葉を切り、みんなを見据えて言葉を待った
「大丈夫だ。絶対に言わねえ」
「わたしもです」
「ボクも言わない」
「言うワケないでしょ」
「約束は守るわ」
「秘密なら守らなきゃでしょ」
「・・・分かった。みんな、聞いての通りよ」
私はみんなの返事を聞き微笑み踵を返し何もない森の方へ言葉を投げる
すると鈴の音が響き眩い光が放たれた
光が消えると、そこには先程までとは違う光景が広がっていた
「え? え?」
「森が・・・消えた?」
「此処は・・・?」
「此処がリア達言霊使いの故郷・・なのか?」
「ええ。此処は本来言霊使いしか入れない場所なんだけどね」
辺りを見渡せば古風な風景が広がっているが、どことなくエゴソーの森に雰囲気が似ていた
「エゴソーの森と似ているわね」
「あっちとはまた違った感じがするけどね」
「此処は街外れの森だから。もう少しすれば見えてくるよ」
そう言って私は先頭を歩き出し、ユーリ達もその後ろに続いた
「緑豊かな所ね」
「空気がとても澄んでます」
「こんな所があったなんて、ボク知らなかったよ」
その言葉に苦笑していると、森から抜け少し先にある橋の手前に人影が見えた
「リア!」
その人物は私の姿を見つけ名前を呼んで走ってきて私に抱きついた
「リア、お帰り」
「イサキ、ただいま」
「心配したんだよ」
イサキはそう言って私をぎゅっと抱きしめた
「ごめんね、心配かけて・・・」
私は小さく笑っていると、ユーリが私の後ろに来てイサキを見た
「お前、もしかしてイサキか?」
イサキはユーリの声に気が付き、私から離れてユーリを見た
「? もしかしてユーリ?」
「ああ。久しぶりだな」
「久しぶり」
「ユーリ、知り合いなの?」
「ああ、何度か帝都に来た事があってそん時にな」
「皆さんとは初めましてですね。初めまして、イサキです」
イサキは一礼して挨拶するとエステルもお辞儀をして挨拶していた
「お前も言霊使いなのか?」
「一応ね、まだ見習いだけど」
「イサキ、兄さんとアスラは?」
「セイならアスラとフキ連れて仕事に出てるよ。直ぐに終わる仕事って言ってたから本家で待ってれば戻って来ると思うわ」
「そっか。じゃあ本家に行こうか」
「みんなも待ってるしね」
そして私達は街の中の一番奥に見える大きな建物に向かって歩き出した
移動中ユーリ達は今までに見た事のない建物や物に興味を抱き、とても珍しそうに見ていた
そして今私達は本家に続く階段を上っていたのだが・・・
「・・・みんな、大丈夫?ι」
「・・・はぁ・・・はあ・・・だ、だいじょう・・ぶ・・です」
「・・・全然大丈夫そうに聞こえないんだけどι」
「な・・・なんて、無駄に・・・長い階段なのよぉ・・・」
「・・・老体の身体にゃ、この長さはツライって」
「流石に、これは疲れるわね・・・」
「ああ・・・」
御剣の階梯程高くはなく、螺旋状になってはいないがずっと真っ直ぐな為か皆いつも以上に体力を使い疲れていた
「・・・はぁ・・・はあ・・・リア、良く平気・・だね・・・」
「此処にいる時はこれが普通だったからね」
「こっ、これが・・・普通・・・」
「あり得ないわ・・・」
カロルの問に私は苦笑しながら答えると、みんな項垂れたような気がした
「もう少しですよ。皆さん、頑張って下さい」
「え?」
すると階段の上から男性の優しい声が聞こえ皆声の主を見た
階段を登り終えた所には金髪で着物を纏った男性と同じく着物を纏っていて青い髪の女性と茶色い髪をした女性がいた
「セナア、リンコウ、ハクスイ!」
私が三人の名前を呼ぶとナセアとハクスイがニコリと笑いリンコウも小さく笑った
それを確認して私も微笑んで、ユーリ達と一緒に最上階まで上がった
最上階まで登り切ると、みんな息を整えだした
「お疲れ様です」
「あ、えっと」
ユーリ達の前にナセアが移動しその隣にハクスイとリンコウも並んだ
「紹介するね。この子達もアスラと同じく式神で神将の一人よ」
「初めまして、ナセアと言います」
「初めまして、ハクスイと申します」
「私はリンコウだ」
各々紹介が終わり、私は三人とイサキを見た
「イサキ、ナセア、兄さん達が戻って来るまでみんなを休ませてあげて」
「解ったわ」「解りました」
「ではリア様はこちらに」
「うん、じゃあみんなまた後で」
そう言って私はハクスイとリンコウと一緒に歩いて行った
「あ、行っちゃった」
「・・・今、様付けされてなかった?」
「されてましたね」
「そりゃリアは言霊使いの姫だもん」
「そして私達の主ですから」
リアが言霊使いの姫だって事は知ってたが、改めて言われると唖然としちまうな・・・
「あれ? セイの話しじゃその辺は聞いてるって言ってたんだけど」
「あーいや、改めて言われるとね」
「ええ・・・」
様付けで慣れてるエステルですら唖然となってるしな
まあこっちはこっちで違う雰囲気が出てるし、カロル達も唖然となるのも解るな・・・
「とりあえず私達も移動しようか」
「そうですね。ではご案内します」
イサキとナセアにこのデカイ家の中を案内されたオレ達は客間と言って良いほどデカイ部屋に案内され、オレ達は今そこでリアやセイが来るのを待っていた
「それにしても、此処ほんとデカイ所よね」
「本当ですね。見た事ない物も多いですし」
「リアとセイって凄い所の生まれだったのね」
「あれ? でもリアもセイも下町育ちだよね?」
「行き来はしてたみだいぜ」
「どうやってです?」
「さあな」
「此処に来た時みたいに、じゃないかしら?」
「その通りよ」
リタの言葉に返事を返すように聞こえた声はリアだった
扉(此処じゃ襖って言ってたっけ?)を開けて部屋に入って来たが、リアの格好はいつもの格好とは違違い、着物姿だった
そしてリアの隣にはイサキと数人の式神達が着いていた
「リア、もう怪我の方は良いんです?」
「ええ、ハクスイとミズハが治してくれたから」
リアはそう言ってオレ達の前に座り、その隣にイサキとハクスイとミズハが座り、リアの後ろにリンコウが立っていた
「さっきの話しだけど、此処言霊使いの故郷はみんながいる所とは別次元にあるの」
「別次元?」
「そう。簡単にいえば、ミョルゾが外界と遮断してたのと同じようなものよ」
「でも此処って言霊使いしか入れないんでしょ?」
「ええ」
「でもオレ達は入ってこれたぜ」
「それはリアがいるからだろう」
リアの後ろにいたリンコウが答える
「普段他の者は足を踏み入れる事すら出来ないが、姫であるリアが認めたから私達もお前達を見据えて外との扉を開き、此処までこれたんだ」
「普通はこんな事はないんですけど、状況が状況だったので」
「ま、お前等は例外ってとこだな」
この場にいない、そして聞き覚えのある声が聞こえたと思ったらその人物は入り口の所に立っていた
「セイ! それにアスラとフキも」
セイの後ろには元の姿に戻っているアスラとフキとナセアがいた
「よ、みんな久しぶりだな」
「リア、お帰り」
「無事で何よりだ」
「兄さん、アスラ、フキ、ただいま。心配かけてごめんなさい」
「無事に戻って来たんだから気にすんな」
「うん・・・」
セイはそう言ってリアの頭を撫でてやっていた
そうは言ってもやっぱりリアを見て安心したのかセイもアスラ達式神も安心しきった顔をしていた
「「リア~!」」
「わあっ!」
途端この部屋に幼さが残る女の声が二つ響き、オレ達の前に姿を現し思いっきりリアに抱きついた
「リア、お帰り!」
「心配したんだよ!」
リアは少しよろけるが、ぎゅっと抱きついている二人を見て小さく笑った
「タイリン、ユイカ、ただいま。心配かけてごめんね」
「本当だよ。すっごい心配したんだよ!」
「ほーら、お前等、そろそろ離してやれ」
その声の主はリアに抱きついている二人の首根っこを掴んでリアから離した
「ちょ、ケンク~」
「リアはまだ怪我治ったばっかなんだから」
「無茶させちゃ駄目だよ」
その後ろからまた違う式神らしき子供が二人出て来る
「お帰り、リア」
そしてその後ろからはセンキが出て来た
「ただいま、センキ。ただいま、みんな、心配かけてごめんね」
リアは周りにいる式神達にそう言って笑うと、安心した顔をした
「リア、愛されてますね」
「ホントだね」
リアが大事にされてきたのはセイやアスラの話しを聞いてて知ってたが・・・、予想以上だったってのが正直なとこだな
「にしても、すげー人数になったな」
「本当ね。この部屋があっという間に埋まっちゃったわね」
「エステル、どうしたの?」
エステルはリアとセイの周りにいる式神をじっと見ていた
「あ、いえ。人数的にちょっと」
「ああ、もしかして神将の事?」
「はい。人数的にも合うのでもしかしてと思って」
「そうよ。みんな十二神将よ」
イサキはそう言ってアスラ達を見た
前にベリウスに会った時に話していた、式神の上の存在の神将が今此処に揃っている
見た目はオレ達とそんなに変わらないが、何処か不思議な雰囲気が感じられる
それが全員揃ってるから、少しだけ圧倒される
「みんな待たせてごめんね」
そう思っていると話しを終えたのか、リアとセイが式神達を連れてオレ達の所に来た
「えっと、じゃあ改めて。ようこそ言霊使いの故郷へ」
その後神将達の紹介をしてくれて、リアの力が戻るまでもう少しかかるらしいから自由行動になった
まあみんなも色んなもんに興味持ってたみたいだし、丁度良かったか
オレも適当に休んでおくか
*
「じゃあみんな行ってくるね」
怪我も治り力も戻った私はユーリ達と合流して今後の事を話し、ゾフェル氷刃海に向かう事になった
何でもそこにあるエアルクレーネを活性化させ、満月の子の力をどうにかするらしい
詳しくはその場に着いて話す事となり、私達は街の出口へと向かった
そして今、私達は街の出口にいた
私は見送りに来てくれているみんな(イサキと神将達)にそれぞれ挨拶をしていた
「気を付けてね」
「無理しちゃ駄目だよ」
「たまに様子見に行くから」
「うん。ありがとう」
「お前等もこっちの事頼んだぞ」
「ああ」
「じゃあ行くか」
「うん」
「あ、ユーリ」
「ん?」
数歩進んだ所で兄さんとイサキとみんなにユーリが呼び止められていた
その様子を見ているとユーリが苦笑して呆れたように何か言って兄さんと歩いて来た
「どうかしたの?」
「何でもねえよ」
ユーリはそう言って私の頭を撫でて歩いて行った
「?」
「ほら、行くぞ」
「あ、うん」
疑問符を出してユーリを見ていると今度は兄さんが私の頭に手を置いて歩き出し、またみんなに挨拶してその後を追った
続く
あとがき
なんかまた考えてた事と違う終わり方になったなぁ(笑)
まあでも今回は神将全員出したかったので出せて満足ですvv
次回は最後の所をユーリ視点で書いてから本編に戻ります
では
下書き:2008.12.30
完成:2009.08.14