救出編
夢主名変更
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ヘラクレスの後を追ったオレ達は、正面から行くより上から進入する事の方が良いと判断して、一カ所だけ砲撃されていない左後方へと飛び移った
「死ぬかと思ったよ・・・」
「衛兵が倒されてる・・・」
「だから此処だけ弾幕が薄かったのか」
「誰?」
ジュディの声にオレ達は警戒を強めると通路の向こうから見覚えのある奴等が出て来た
「まったく無計画な連中だな。強行突破しか策がないのか」
「その通りであ~る」
「此処で会ったが100年目なのだ!」
「また出たの? あんた等しつこすぎ!」
「・・・シュヴァーン隊か。あんな事があったってのにまだアレクセイに就くのか?」
「我等は騎士の誇りに従って行動するのみ!」
「・・・もうボク達の邪魔しないでよ!」
「そうよ! あんた等の顔見てると思い出したくない顔が浮かんでくるのよ!」
「どんな顔なんだろうなぁ。よっぽど非道い顔のヤツなのね」
その聞き覚えのある声が聞こえデコとボコの後ろを見るとそこには
「レイヴン・・・!」
おっさんがいた
「「レイヴン!」」「おっさん!」「あなた・・・!」
「おう。レイヴン様参上よ」
そう言っておっさんは宙返りをして親指をグッと立ててオレ達を見た
「なになに? 感動の再会に心いっぱい胸がどきどき?」
「おっさん、何しに来た?」
「冷たいお言葉ね・・・」
するとおっさんは弓を構え、オレ達の横から出て来た騎士に放った矢を当てた
「おう、お前等! 此処は任せるぜ」
「はっ!」「「了解であります!」」
おっさんの言葉を聞くとルブラン達は先に向かって行き、おっさんはオレ達の方に向き合った
「ま、こういうワケ」
「レイヴン・・・」
「そういう事でよろしく頼むわ」
「な、何言ってんのよ! 信用出来るわけ・・・ないでしょ!」
「おっさん、自分が何やったか忘れたとは言わせねぇぜ」
「そっか。なら、サクっと殺っちゃってくれや」
おっさんはそう言ってオレに短剣を投げ、オレはそれを受け取る
「ばっ! なんのつもりよ!」
「命が惜しかった訳じゃないはずなのに何でかこうなっちまった。此処でお前等に殺られっちまうのならそれはそれ」
「アレクセイに刃向かった今、いずれ魔導器を止められてしまって命はない。だから此処で死んでも同じ・・・そう言う事?」
「俺はもう死んだ身なんよ」
おっさんはそう言って溜息を吐きながら肩を落とした
「その死んじまったヤツが何で此処に来たんだ? レイヴン、あんた、ケジメを付けに来たんだろ。じゃあ凛々の明星の掟に従ってケジメを付けさせてもらうぜ」
オレはそう言ってゆっくりとレイヴンの所に歩いて行く
そしてレイヴンの前に来て、右手を翳し、そのままおっさんを殴った
「って~」
「あんたの命、凛々の明星が貰った」
オレはそう言いながら、短剣を投げ捨てた
「生きるも死ぬもオレ達次第」
そして向きを変えてオレはカロル先生を見る
「こんなとこでどうだ? カロル先生」
「えへへ、流石ユーリ。ばっちりだよ」
カロル先生の返事を聞くとオレは先に歩き出した
そしてカロルがレイヴンの所に歩いて来てジャンプをしてレイヴンの頭を殴った
「あだ!」
「とりあえずこれが罰ね」
カロルはそういい、爽やかに歩いていき、蹲っているレイヴンの前にジュディスが止まった
そして片手を出して立たせてあげる体制を取っていた
「ありがと、ジュディスちゃん」
レイヴンはジュディスの手を取って立ち上がると、ジュディスはニコリと笑ってレイヴンの頬を殴った
「ぶへっ」
ジュディスは何も言わずそのまま立ち去り、レイヴンは頬を抑えて座り込むと次にレイヴンの前に来たのはリタだったが、立ち上がったレイヴンを見てリタは直ぐに拳を握りレイヴンの腹目掛けて左ストレートを入れた
「はぐっ!!」
レイヴンはそのまま後ろの壁に当たってしまい、リタは手をパンパンと叩き爽やかな顔をしてレイヴンを見て告げた
「せっかくだからあたしもぶっとくわ」
そう言うとリタもそのまますたすたと歩いて行き、レイヴンは壁に手を置いて崩れ落ちそうになっていた
「まだ終わりじゃないよ?」
「へ? ぐほぉっ!」
いつの間にか元の姿に戻ったアスラがそう言うと、アスラは鳩尾の少し下辺りを殴った
「・・・ひ、ひどい・・・」
最後のアスラの一発が見事に決まり、レイヴンは今度こそ崩れ落ちてしまった
「・・・アスラ、容赦ないねι」
「そりゃ一番頭に来てるのはアスラでしょうしね」
「レイヴン。アレクセイのヤツが何処にいるか解るか?」
「うう・・・。作戦司令室だと思う・・・」
「じゃ、行きましょ」
「ああ」
「勝手に死んじゃダメだからね。レイヴン!」
「ラピード、行くよ」
「ワン!」
アスラの呼びかけにラピードは返事を返してユーリ達の所へ向かいだした
「・・・結局、おっさんの事は放置なのねぇ・・・」
レイヴンはゆっくりと立ち上がってユーリ達の後を追った
66.Endless load
ずっと繰り返しあの光景が蘇ってくる
それは、ミョルゾでのあの出来事
レイヴンが私とエステルを気絶させ何処かへ連れ去った事
何度も何度も繰り返し夢の中でも見てしまう
そしてその行動と、あの時の事が重なり、未だに信じられないと心の底から思っていた
「・・・・」
何度目かあの光景を見て、少しずつ意識が戻って来ていた
(・・・この感覚、ヨームゲンで目が覚めた時の感覚に似てる・・・)
それは間違いではなく、私は何処かの部屋のベッドに寝かされていた
唯一違うのは立派な部屋の一室だった事だ
私は身体を起こし、窓際へと移動し外を見た
窓の外に見えるのは街の風景でも緑でもなく、吹き抜けになっている建物とその間に見える中庭だった
だけど部屋が高い位置にあるので、中庭は小さく見えた
これだけでは場所が把握出来ないので私は扉の方に移動しその扉を開けようとした
だが扉に触れた瞬間、何かに弾き返されたような痛みが手に走った
「っ! これ、術式結界? 何で・・・!?」
それは術式が刻まれた結界だった
私は急いでアスラとテレパスをした
「アスラ、アスラ、聞こえる!?」
だが、一向に返事は返ってこない
「もしかして・・・これ」
「貴方の力を封じる為の術式結界です」
そう思っていると、突然扉が開き一人の女性が入って来た
「! クローム!?」
私は驚いて彼女を見て、今の状況を理解した
「貴方がいるって事は、此処はザーフィアス城?」
「その通りです」
「私の力をって事は・・・私が何者か知っている、と言う事ですよね?」
「ええ。貴方は今は存在しないはずの『言霊使い』。そしてその中でも稀な力を持っている姫・・・」
「・・・そこまでご存知なんですね。ところで、エステルと・・・私とエステルを連れて来たレイヴン・・、シュヴァーンは何処?」
私の言葉にクロームは少し驚いた顔をした
「・・・知っていたのですね。彼の事」
私は顔を俯け、少し悲しい顔をして話し始めた
「・・・信じたくはなかった。確信はなかった。だけどあの時から少しずつ疑問は持ってた」
そう、その疑問はカドスの喉笛がフレン隊に封鎖された時の事
ノードポリカ側の出口にルブラン達がいた時・・・
「全員気を付け!」
「「!」」「! は、はっ!」
「あの時の声が・・・シュヴァーンにそっくり・・ううん、シュヴァーンだった」
普通の人なら似てる、そっくり、で済むだろう
だけど私は昔から声の特徴を掴む事が自然に出来ていた
「・・・テムザ山で人魔戦争に参加したって話、エゴソーの森でのあの言葉、そして今回の事。色々不思議に思ってた事があったけど・・・これで確信したわ。多分、今頃ユーリも気付いてると思う」
私はそう言うと小さく息を吐くとクロームはそうですかと小さく言った
「姫様はアレクセイ様と彼と一緒にバクティオン神殿に行っています」
「・・・バクティオン神殿?」
「ピピオニア大陸にある神殿です」
「何でそんな所に? ・・・まさか!?」
「・・・時が来るまで休んでいて下さい」
私はその場所の事を思い出し、はっとした途端、クロームが私に近付き目の上に手を軽く伸せると急に瞼が重くなった
「っ・・・! これって、・・・貴方、まさか・・・!?」
私はそのまま倒れ、クロームに支えられた
「・・・今は休んでいて下さい。言霊使いの姫」
そう優しく声を掛けクロームはリアを抱え、ベッドにリアを寝かせるとそのまま部屋を出て行った
*
ユーリとフレンと別れて数日、俺はフキと一緒にリアの行方を捜していた
大方騎士団が使っている所は他の式神達と協力して調べたがどれも外れだった
途中、センキがユーリ達の状況を知らせに来てくれた
そしてデュークの事も・・・
相変わらずあの男は、謎が多い
ヨームゲンで少しだけ話したが、デュークは俺達以上に色々と知っているようだった
だがセンキの話しを聞いて一番気掛かりだったのは
「言霊使いの娘も手遅れになる前に見つけ出す事だな」
と告げた事だった
その言葉の意味は俺が考えている内のどれなのか、それがはっきりと繋がらなかった
だが此処の所ずっと嫌な予感がしていた
それは俺だけじゃなくフキや他の式神達も感じているようだった
その嫌な予感を感じつつリアを探しているとふと、声が聞こえた
「セイ、フキ、大変!」
そう言って俺達の前に赤い髪のロングヘアーの女性が姿を現した
「ユイカ、どうしたんだ?」
ユイカの姿を見たフキも俺の隣に姿を現し、ユイカを見た
「アレクセイがエステル連れて帝都に戻って来てる!」
「何だと?」
「ヘラクレスに乗って戻って来てるって事か?」
「ううん、あれは囮。ユーリとフレン達の目を誤魔化す為のね」
「けど、その感じじゃユーリもフレンもヘラクレスに向かったんだな」
「うん。エアルが乱れてる所為でアスラと連絡が取りづらくなってて知らせられないんだけどね。けど、有力な情報はアスラから貰って来たわ」
「有力な情報?」
俺の問いにユイカは頷いて口を開く
「リアはユーリとリアにとって大事な場所の近くにいるって言ったらしいの」
「ユーリとリアにとって大事な場所・・・?」
「下町・・・帝都って事か」
「そう。それに帝都に戻って最終段階に入るって言ってたって」
「つまりザーフィアス城、か」
「ええ。それと、もう一つ・・・」
ユイカはそこで言葉を切って、少し言い淀んだ
「アレクセイ、満月の子と聖核、そしてリアと自分の知識があれば宙の戒典は不要、って言ったらしいの」
「宙の戒典が不要・・・満月の子に聖核、それにリア・・・」
「! まさか!」
俺とフキはその繋がりである答えに辿り着いた
「アスラもこの話を聞いた時にまさかって思ったみたい。でもアスラもあたし達も確証が持ててないからまだユーリ達には言ってない」
「・・・でも、何でアレクセイのヤツが知ってんだ?」
「満月の子の事は知っていたのは解るが、俺達の事は知らないはずだ・・・」
何処で俺達が言霊使いだって事を知ったかはもう知っていたが、この答えに辿り着くものが何処にもない
「この事を知ってるのは俺達と始祖の隷長だけだぜ?」
「どっかで情報手に入れたしか言いようがないな・・・」
「・・・セイ、どうする?」
「とりあえず、俺はこのまま帝都に行く。ユイカは一旦故郷に戻ってこの事知らせてくれ。他の式神達にはフキが連絡する」
「解ったわ」
俺の指示を聞くとユイカは姿を消し、そのまま故郷へと向かった
「さてと、じゃあ俺達も行くか」
「ああ。じゃあ一気に帝都まで行くぜ」
フキはそう言うと風を起こし、俺とフキはその風に包まれ帝都を目指して行った
続く
あとがき
あい、今回はユーリサイド→リアサイド→セイサイドで書いてみました
時間枠としては、ユーリはそのままでリアちゃんはユーリ達がバクティオンに行った直後位、セイ兄はユーリと同じです
ではまず、ユーリサイドの感想から
まずは、レイヴンお帰り!!
これはみんな思った事でしょう
でもあの扱い&フルボッコ(笑)
何よりアスラまでフルボッコの中に混じるとは(笑)
でもこれって愛あるフルボッコですよね!ww
そしてリアちゃんサイドではリアちゃんとクロームとの会話
お互いに何か知っているようでしたね
しかもさらっと書けたし(笑)
で、最後はセイ兄ちゃん
こっちはこっちでリアちゃんの知らない事を知っているようでしたね・・・
そしてまたまた新しい神将、ユイカ
彼女も連絡役が主な仕事なので今回登場させてみました
とりあえず、こんな感じで三人から視点で書いてみました
さ、次回は何処からかなぁ~
あ、でも、ヘラクレス内ははしょるんで(笑)
Endless load(果てしない道・終わりなき道) より
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.03
「死ぬかと思ったよ・・・」
「衛兵が倒されてる・・・」
「だから此処だけ弾幕が薄かったのか」
「誰?」
ジュディの声にオレ達は警戒を強めると通路の向こうから見覚えのある奴等が出て来た
「まったく無計画な連中だな。強行突破しか策がないのか」
「その通りであ~る」
「此処で会ったが100年目なのだ!」
「また出たの? あんた等しつこすぎ!」
「・・・シュヴァーン隊か。あんな事があったってのにまだアレクセイに就くのか?」
「我等は騎士の誇りに従って行動するのみ!」
「・・・もうボク達の邪魔しないでよ!」
「そうよ! あんた等の顔見てると思い出したくない顔が浮かんでくるのよ!」
「どんな顔なんだろうなぁ。よっぽど非道い顔のヤツなのね」
その聞き覚えのある声が聞こえデコとボコの後ろを見るとそこには
「レイヴン・・・!」
おっさんがいた
「「レイヴン!」」「おっさん!」「あなた・・・!」
「おう。レイヴン様参上よ」
そう言っておっさんは宙返りをして親指をグッと立ててオレ達を見た
「なになに? 感動の再会に心いっぱい胸がどきどき?」
「おっさん、何しに来た?」
「冷たいお言葉ね・・・」
するとおっさんは弓を構え、オレ達の横から出て来た騎士に放った矢を当てた
「おう、お前等! 此処は任せるぜ」
「はっ!」「「了解であります!」」
おっさんの言葉を聞くとルブラン達は先に向かって行き、おっさんはオレ達の方に向き合った
「ま、こういうワケ」
「レイヴン・・・」
「そういう事でよろしく頼むわ」
「な、何言ってんのよ! 信用出来るわけ・・・ないでしょ!」
「おっさん、自分が何やったか忘れたとは言わせねぇぜ」
「そっか。なら、サクっと殺っちゃってくれや」
おっさんはそう言ってオレに短剣を投げ、オレはそれを受け取る
「ばっ! なんのつもりよ!」
「命が惜しかった訳じゃないはずなのに何でかこうなっちまった。此処でお前等に殺られっちまうのならそれはそれ」
「アレクセイに刃向かった今、いずれ魔導器を止められてしまって命はない。だから此処で死んでも同じ・・・そう言う事?」
「俺はもう死んだ身なんよ」
おっさんはそう言って溜息を吐きながら肩を落とした
「その死んじまったヤツが何で此処に来たんだ? レイヴン、あんた、ケジメを付けに来たんだろ。じゃあ凛々の明星の掟に従ってケジメを付けさせてもらうぜ」
オレはそう言ってゆっくりとレイヴンの所に歩いて行く
そしてレイヴンの前に来て、右手を翳し、そのままおっさんを殴った
「って~」
「あんたの命、凛々の明星が貰った」
オレはそう言いながら、短剣を投げ捨てた
「生きるも死ぬもオレ達次第」
そして向きを変えてオレはカロル先生を見る
「こんなとこでどうだ? カロル先生」
「えへへ、流石ユーリ。ばっちりだよ」
カロル先生の返事を聞くとオレは先に歩き出した
そしてカロルがレイヴンの所に歩いて来てジャンプをしてレイヴンの頭を殴った
「あだ!」
「とりあえずこれが罰ね」
カロルはそういい、爽やかに歩いていき、蹲っているレイヴンの前にジュディスが止まった
そして片手を出して立たせてあげる体制を取っていた
「ありがと、ジュディスちゃん」
レイヴンはジュディスの手を取って立ち上がると、ジュディスはニコリと笑ってレイヴンの頬を殴った
「ぶへっ」
ジュディスは何も言わずそのまま立ち去り、レイヴンは頬を抑えて座り込むと次にレイヴンの前に来たのはリタだったが、立ち上がったレイヴンを見てリタは直ぐに拳を握りレイヴンの腹目掛けて左ストレートを入れた
「はぐっ!!」
レイヴンはそのまま後ろの壁に当たってしまい、リタは手をパンパンと叩き爽やかな顔をしてレイヴンを見て告げた
「せっかくだからあたしもぶっとくわ」
そう言うとリタもそのまますたすたと歩いて行き、レイヴンは壁に手を置いて崩れ落ちそうになっていた
「まだ終わりじゃないよ?」
「へ? ぐほぉっ!」
いつの間にか元の姿に戻ったアスラがそう言うと、アスラは鳩尾の少し下辺りを殴った
「・・・ひ、ひどい・・・」
最後のアスラの一発が見事に決まり、レイヴンは今度こそ崩れ落ちてしまった
「・・・アスラ、容赦ないねι」
「そりゃ一番頭に来てるのはアスラでしょうしね」
「レイヴン。アレクセイのヤツが何処にいるか解るか?」
「うう・・・。作戦司令室だと思う・・・」
「じゃ、行きましょ」
「ああ」
「勝手に死んじゃダメだからね。レイヴン!」
「ラピード、行くよ」
「ワン!」
アスラの呼びかけにラピードは返事を返してユーリ達の所へ向かいだした
「・・・結局、おっさんの事は放置なのねぇ・・・」
レイヴンはゆっくりと立ち上がってユーリ達の後を追った
66.Endless load
ずっと繰り返しあの光景が蘇ってくる
それは、ミョルゾでのあの出来事
レイヴンが私とエステルを気絶させ何処かへ連れ去った事
何度も何度も繰り返し夢の中でも見てしまう
そしてその行動と、あの時の事が重なり、未だに信じられないと心の底から思っていた
「・・・・」
何度目かあの光景を見て、少しずつ意識が戻って来ていた
(・・・この感覚、ヨームゲンで目が覚めた時の感覚に似てる・・・)
それは間違いではなく、私は何処かの部屋のベッドに寝かされていた
唯一違うのは立派な部屋の一室だった事だ
私は身体を起こし、窓際へと移動し外を見た
窓の外に見えるのは街の風景でも緑でもなく、吹き抜けになっている建物とその間に見える中庭だった
だけど部屋が高い位置にあるので、中庭は小さく見えた
これだけでは場所が把握出来ないので私は扉の方に移動しその扉を開けようとした
だが扉に触れた瞬間、何かに弾き返されたような痛みが手に走った
「っ! これ、術式結界? 何で・・・!?」
それは術式が刻まれた結界だった
私は急いでアスラとテレパスをした
「アスラ、アスラ、聞こえる!?」
だが、一向に返事は返ってこない
「もしかして・・・これ」
「貴方の力を封じる為の術式結界です」
そう思っていると、突然扉が開き一人の女性が入って来た
「! クローム!?」
私は驚いて彼女を見て、今の状況を理解した
「貴方がいるって事は、此処はザーフィアス城?」
「その通りです」
「私の力をって事は・・・私が何者か知っている、と言う事ですよね?」
「ええ。貴方は今は存在しないはずの『言霊使い』。そしてその中でも稀な力を持っている姫・・・」
「・・・そこまでご存知なんですね。ところで、エステルと・・・私とエステルを連れて来たレイヴン・・、シュヴァーンは何処?」
私の言葉にクロームは少し驚いた顔をした
「・・・知っていたのですね。彼の事」
私は顔を俯け、少し悲しい顔をして話し始めた
「・・・信じたくはなかった。確信はなかった。だけどあの時から少しずつ疑問は持ってた」
そう、その疑問はカドスの喉笛がフレン隊に封鎖された時の事
ノードポリカ側の出口にルブラン達がいた時・・・
「全員気を付け!」
「「!」」「! は、はっ!」
「あの時の声が・・・シュヴァーンにそっくり・・ううん、シュヴァーンだった」
普通の人なら似てる、そっくり、で済むだろう
だけど私は昔から声の特徴を掴む事が自然に出来ていた
「・・・テムザ山で人魔戦争に参加したって話、エゴソーの森でのあの言葉、そして今回の事。色々不思議に思ってた事があったけど・・・これで確信したわ。多分、今頃ユーリも気付いてると思う」
私はそう言うと小さく息を吐くとクロームはそうですかと小さく言った
「姫様はアレクセイ様と彼と一緒にバクティオン神殿に行っています」
「・・・バクティオン神殿?」
「ピピオニア大陸にある神殿です」
「何でそんな所に? ・・・まさか!?」
「・・・時が来るまで休んでいて下さい」
私はその場所の事を思い出し、はっとした途端、クロームが私に近付き目の上に手を軽く伸せると急に瞼が重くなった
「っ・・・! これって、・・・貴方、まさか・・・!?」
私はそのまま倒れ、クロームに支えられた
「・・・今は休んでいて下さい。言霊使いの姫」
そう優しく声を掛けクロームはリアを抱え、ベッドにリアを寝かせるとそのまま部屋を出て行った
*
ユーリとフレンと別れて数日、俺はフキと一緒にリアの行方を捜していた
大方騎士団が使っている所は他の式神達と協力して調べたがどれも外れだった
途中、センキがユーリ達の状況を知らせに来てくれた
そしてデュークの事も・・・
相変わらずあの男は、謎が多い
ヨームゲンで少しだけ話したが、デュークは俺達以上に色々と知っているようだった
だがセンキの話しを聞いて一番気掛かりだったのは
「言霊使いの娘も手遅れになる前に見つけ出す事だな」
と告げた事だった
その言葉の意味は俺が考えている内のどれなのか、それがはっきりと繋がらなかった
だが此処の所ずっと嫌な予感がしていた
それは俺だけじゃなくフキや他の式神達も感じているようだった
その嫌な予感を感じつつリアを探しているとふと、声が聞こえた
「セイ、フキ、大変!」
そう言って俺達の前に赤い髪のロングヘアーの女性が姿を現した
「ユイカ、どうしたんだ?」
ユイカの姿を見たフキも俺の隣に姿を現し、ユイカを見た
「アレクセイがエステル連れて帝都に戻って来てる!」
「何だと?」
「ヘラクレスに乗って戻って来てるって事か?」
「ううん、あれは囮。ユーリとフレン達の目を誤魔化す為のね」
「けど、その感じじゃユーリもフレンもヘラクレスに向かったんだな」
「うん。エアルが乱れてる所為でアスラと連絡が取りづらくなってて知らせられないんだけどね。けど、有力な情報はアスラから貰って来たわ」
「有力な情報?」
俺の問いにユイカは頷いて口を開く
「リアはユーリとリアにとって大事な場所の近くにいるって言ったらしいの」
「ユーリとリアにとって大事な場所・・・?」
「下町・・・帝都って事か」
「そう。それに帝都に戻って最終段階に入るって言ってたって」
「つまりザーフィアス城、か」
「ええ。それと、もう一つ・・・」
ユイカはそこで言葉を切って、少し言い淀んだ
「アレクセイ、満月の子と聖核、そしてリアと自分の知識があれば宙の戒典は不要、って言ったらしいの」
「宙の戒典が不要・・・満月の子に聖核、それにリア・・・」
「! まさか!」
俺とフキはその繋がりである答えに辿り着いた
「アスラもこの話を聞いた時にまさかって思ったみたい。でもアスラもあたし達も確証が持ててないからまだユーリ達には言ってない」
「・・・でも、何でアレクセイのヤツが知ってんだ?」
「満月の子の事は知っていたのは解るが、俺達の事は知らないはずだ・・・」
何処で俺達が言霊使いだって事を知ったかはもう知っていたが、この答えに辿り着くものが何処にもない
「この事を知ってるのは俺達と始祖の隷長だけだぜ?」
「どっかで情報手に入れたしか言いようがないな・・・」
「・・・セイ、どうする?」
「とりあえず、俺はこのまま帝都に行く。ユイカは一旦故郷に戻ってこの事知らせてくれ。他の式神達にはフキが連絡する」
「解ったわ」
俺の指示を聞くとユイカは姿を消し、そのまま故郷へと向かった
「さてと、じゃあ俺達も行くか」
「ああ。じゃあ一気に帝都まで行くぜ」
フキはそう言うと風を起こし、俺とフキはその風に包まれ帝都を目指して行った
続く
あとがき
あい、今回はユーリサイド→リアサイド→セイサイドで書いてみました
時間枠としては、ユーリはそのままでリアちゃんはユーリ達がバクティオンに行った直後位、セイ兄はユーリと同じです
ではまず、ユーリサイドの感想から
まずは、レイヴンお帰り!!
これはみんな思った事でしょう
でもあの扱い&フルボッコ(笑)
何よりアスラまでフルボッコの中に混じるとは(笑)
でもこれって愛あるフルボッコですよね!ww
そしてリアちゃんサイドではリアちゃんとクロームとの会話
お互いに何か知っているようでしたね
しかもさらっと書けたし(笑)
で、最後はセイ兄ちゃん
こっちはこっちでリアちゃんの知らない事を知っているようでしたね・・・
そしてまたまた新しい神将、ユイカ
彼女も連絡役が主な仕事なので今回登場させてみました
とりあえず、こんな感じで三人から視点で書いてみました
さ、次回は何処からかなぁ~
あ、でも、ヘラクレス内ははしょるんで(笑)
Endless load(果てしない道・終わりなき道) より
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.03