救出編
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神殿の中に入ったユーリ達だったが、上の階から降りて来た部屋はずっと同じような作りになっている部屋ばかりだった
「さっきから同じ作りの部屋ばっかりが目に入るんだけど」
「念の為、地図は書きながら来てるけど・・・」
「心配ないよ」
心配そうな顔をして地図を見るカロルにずっと黙っていたアスラが口を開いた
「ユーリ達が気絶してる間にボクの仲間がアレクセイの後を追ったから」
「連絡取れたのか?」
「うん。エアルの乱れがあったからちょっと手間取ったけど。行ける所までは行ったみたいだからそこまではボクが案内するよ」
「頼むわね」
「了解」
64.冷淡
「アスラ、こっち!」
神殿の地下をずっと進んで行き、だいぶ奥まで来た所で赤い髪のツインテールの女の子がアスラを呼んでいる姿を見つけ、ユーリ達はその子の近くに行った
「お疲れ」
「アスラ、この人は?」
「あたしはセンキ。アスラと同じ神将の一人よ。主に連絡や追跡役をやってるわ」
「よろしく」
「こちらこそ」
「で、アレクセイは?」
「こっち、着いて来て」
軽く挨拶を交わすとセンキは次の部屋へと向かいだし、ユーリ達もその後に続いた
そして部屋に入って目に入ったものは見張りだったと思われる親衛隊だった
「! 親衛隊が倒されてる!!」
「あーそれ、あたしがやったから」
軽く言うとセンキは次の部屋へと続く入り口の前で止まった
「・・・これって」
リタはそれを見てその前で止まった
次の部屋と続く入り口には結界が張ってあった
「暗号化した術式を鍵として使った封印結界・・・?」
「そう。しかもろくに研究されてない古代のね」
「リタ、分かるか?」
「あたしも本で見た事あるだけ・・・まもとに解析しようと思ったら、どれだけ時間が掛かるか見当も付かない・・・」
「アスラ達は分からないのか?」
「残念だけど、魔導器や結界の事知っててもリタみたいに専門じゃないからそこまではね」
「だから此処で足止めさせられてた訳」
「・・・あれ、じゃあアレクセイはどうやって通ったんだろう?」
「そんなの一つしかないでしょ」
ふとした疑問に答えたのはセンキとアスラだった
「エステルの、満月の子の力・・・」
「そして、無理矢理鍵を組み替えたんだわ」
「つまりまた力を使わせた、って事だよな」
「うん」「ええ」
「・・・・」
ユーリの問いにアスラとセンキは目を細めて頷いた
「誰っ!」
途端、ユーリ達が入って来た入り口の方から人の気配がした
そこに現れたのはあの不思議な剣を持ったデュークだった
「デューク・・・何で此処に」
「お前達か・・・あの娘、満月の子はどうした?」
「アレクセイがこの奥に連れ去っちゃったんだ」
「・・・成る程な。そう言う事か。しかし何故お前達式神が此処にいる? 言霊使いの娘が主のはずだろう?」
「「「!」」」
「! 何であんたが言霊使いと式神の事を・・・」
「それに言霊使いの娘って・・・」
デュークの言霊使いと言う言葉にユーリ達は驚いた
更に彼は「言霊使いの娘」と言った
つまりそれはリアの事だった
「ちょっと訳ありよ」
「・・・そうか」
センキが少し拗ねたように言うとデュークはそれで理解したのか、一旦目を閉じた
「で、デュークはエアルの乱れを追ってきた訳?」
「そうだ。私はそれを収めに来た」
「・・・収めにって、あんた具体的に何するつもりよ」
リタがそう言うとデュークは静かに答えた
「エアルクレーネを鎮め、その原因を取り除く」
「はっきり言ったらどう? エステルを殺すって」
「ったく、どいつもこいつも。よってたかって小娘一人に背負い込ませやがって」
「暴走した満月の子を放置してはおけん」
「あんたもフェローと同じ石頭かよ。同じ人間同士もう少し話しが通じるかと思ったんだけどな」
「人間同士である事に意味などない。一人の命は世界に優越しない」
「その世界ってのもバラしゃ全部一人一人の命だろうが。良いか、あの馬鹿で世間知らずのお嬢様はオレ達の仲間なんだよ。部外者はすっこんでろ!」
「あの娘がどれほど危険な存在か、知った上で言っているのか? その式神の主であるあの娘にも害があるとしてもか?」
「知ろうが知るまいが、義を持って事を成せ、ってのがウチのモットーなんでな。それにな、んな事言われなくてもリアが此処にいたらリアも同じ事言うはずだぜ」
ユーリの言葉にアスラとセンキは小さく笑って頷いた
「どうしてもってなら、悪いが相手になるぜ」
ユーリはそう言って構えるとリタ達も構える体制に入った
デュークはそれをじっと見てアスラとセンキを見ると、二人もいつでも戦えるような目をしてデュークを見ていた
「・・・良いだろう。ならばフェローと式神達が認めたその覚悟の程見せてもらおう」
そう言うとデュークはユーリの足下に自分の剣を投げた
「宙の戒典だ。エアルを鎮める事が出来るのはその剣だけだ。掲げて念じろ。そうすれば後は剣がやる」
ユーリが足下に転がっている宙の戒典を拾ってじっと見ているとデュークはそのまま立ち去ろうとしていて、ユーリはデュークを呼び止めた
「待てよ、デューク! 宙の戒典といや行方知れずの皇帝の証の名前だ。なんであんたがそれを持ってる? なんでそれがエアルを制御出来る? なんで言霊使いや式神の事知ってる? あんた一体何者だ?」
ユーリが思っている事を一通りデュークに告げると、結界の奥から地響きが鳴った
「その問いの答えを得る事が今のお前達の願いではあるまい。行け。手遅れになる前に。始祖の隷長が背負う重荷、それがどれほどのものか身をもって知るが良い」
「・・・・・」
「それから・・・」
デュークはそう告げ歩み止め、ちらりとアスラとセンキを見た
「言霊使いの娘も手遅れになる前に見つけ出す事だな」
「「「!」」」
デュークの言葉にアスラとセンキ、そしてユーリが驚き、デュークはその反応を見てまた歩いて行った
「・・・今のどういう意味?」
「リアが攫われた事と関係あるって事?」
アスラはセンキとアイコンタクトを取るとセンキはそのまま姿を消した
「セイに知らせに行ったのかしら?」
「うん・・・嫌な予感がする・・・」
アスラはそう言うと表情を曇らせた
その嫌な予感はユーリも感じていた
それはリアなのか、エステルなのか、それとも二人になのか、はたまた違うものになのか・・・
ユーリは軽く頭を振って宙の戒典を持って念じた
するとデュークが使った時と同じ円陣が浮かび上がった
「・・・その術式、エステルと同じ。やっぱりその剣・・・」
ユーリが剣を宙に翳すと、入り口を塞いでいた封印結界が解かれた
「・・・開いた」
「行こう」
「ええ。それにしても・・・宙の戒典、満月の子、それにフェローが認めた覚悟ですって? あのデュークって男、ほんとに一体何者なの?」
「それにリアやアスラ達の事も知ってたし・・・」
リタ達は歩きながら先程の会話の事を思い返す
「話し振りからして、フェローとも交流があるように思えたわね。アスラはどうなのかしら?」
「ボクはヨームゲンにいる時にちょっと話したくらいだよ。あーゆータイプは深く話さないから聞きたい事殆ど聞けなかったけどね」
「ヨーデル殿下が探してた宙の戒典まで持ってるし・・・怪しすぎるよ」
「けど、その大事な宙の戒典を、簡単に貸してくれたぜ。石頭なんて言っちまったけど、話せば分かる奴なんじゃねえかな」
「油断はしない方が良いわ。とにかく今は急ぎましょ」
「ああ、急ごう」
続く
あとがき
やっぱりデュークって不思議な人ですよね
まあ前にリアちゃんより言霊使いの事詳しく知ってるとは言ってたけど、この人ほんとに何処まで知ってるんでしょうね?
さて、次回は遂に最深部まで行きます!!
エステル救出なるのか?
そしてレイヴンの行方は・・・?
ではまた!
2009.08.03
「さっきから同じ作りの部屋ばっかりが目に入るんだけど」
「念の為、地図は書きながら来てるけど・・・」
「心配ないよ」
心配そうな顔をして地図を見るカロルにずっと黙っていたアスラが口を開いた
「ユーリ達が気絶してる間にボクの仲間がアレクセイの後を追ったから」
「連絡取れたのか?」
「うん。エアルの乱れがあったからちょっと手間取ったけど。行ける所までは行ったみたいだからそこまではボクが案内するよ」
「頼むわね」
「了解」
64.冷淡
「アスラ、こっち!」
神殿の地下をずっと進んで行き、だいぶ奥まで来た所で赤い髪のツインテールの女の子がアスラを呼んでいる姿を見つけ、ユーリ達はその子の近くに行った
「お疲れ」
「アスラ、この人は?」
「あたしはセンキ。アスラと同じ神将の一人よ。主に連絡や追跡役をやってるわ」
「よろしく」
「こちらこそ」
「で、アレクセイは?」
「こっち、着いて来て」
軽く挨拶を交わすとセンキは次の部屋へと向かいだし、ユーリ達もその後に続いた
そして部屋に入って目に入ったものは見張りだったと思われる親衛隊だった
「! 親衛隊が倒されてる!!」
「あーそれ、あたしがやったから」
軽く言うとセンキは次の部屋へと続く入り口の前で止まった
「・・・これって」
リタはそれを見てその前で止まった
次の部屋と続く入り口には結界が張ってあった
「暗号化した術式を鍵として使った封印結界・・・?」
「そう。しかもろくに研究されてない古代のね」
「リタ、分かるか?」
「あたしも本で見た事あるだけ・・・まもとに解析しようと思ったら、どれだけ時間が掛かるか見当も付かない・・・」
「アスラ達は分からないのか?」
「残念だけど、魔導器や結界の事知っててもリタみたいに専門じゃないからそこまではね」
「だから此処で足止めさせられてた訳」
「・・・あれ、じゃあアレクセイはどうやって通ったんだろう?」
「そんなの一つしかないでしょ」
ふとした疑問に答えたのはセンキとアスラだった
「エステルの、満月の子の力・・・」
「そして、無理矢理鍵を組み替えたんだわ」
「つまりまた力を使わせた、って事だよな」
「うん」「ええ」
「・・・・」
ユーリの問いにアスラとセンキは目を細めて頷いた
「誰っ!」
途端、ユーリ達が入って来た入り口の方から人の気配がした
そこに現れたのはあの不思議な剣を持ったデュークだった
「デューク・・・何で此処に」
「お前達か・・・あの娘、満月の子はどうした?」
「アレクセイがこの奥に連れ去っちゃったんだ」
「・・・成る程な。そう言う事か。しかし何故お前達式神が此処にいる? 言霊使いの娘が主のはずだろう?」
「「「!」」」
「! 何であんたが言霊使いと式神の事を・・・」
「それに言霊使いの娘って・・・」
デュークの言霊使いと言う言葉にユーリ達は驚いた
更に彼は「言霊使いの娘」と言った
つまりそれはリアの事だった
「ちょっと訳ありよ」
「・・・そうか」
センキが少し拗ねたように言うとデュークはそれで理解したのか、一旦目を閉じた
「で、デュークはエアルの乱れを追ってきた訳?」
「そうだ。私はそれを収めに来た」
「・・・収めにって、あんた具体的に何するつもりよ」
リタがそう言うとデュークは静かに答えた
「エアルクレーネを鎮め、その原因を取り除く」
「はっきり言ったらどう? エステルを殺すって」
「ったく、どいつもこいつも。よってたかって小娘一人に背負い込ませやがって」
「暴走した満月の子を放置してはおけん」
「あんたもフェローと同じ石頭かよ。同じ人間同士もう少し話しが通じるかと思ったんだけどな」
「人間同士である事に意味などない。一人の命は世界に優越しない」
「その世界ってのもバラしゃ全部一人一人の命だろうが。良いか、あの馬鹿で世間知らずのお嬢様はオレ達の仲間なんだよ。部外者はすっこんでろ!」
「あの娘がどれほど危険な存在か、知った上で言っているのか? その式神の主であるあの娘にも害があるとしてもか?」
「知ろうが知るまいが、義を持って事を成せ、ってのがウチのモットーなんでな。それにな、んな事言われなくてもリアが此処にいたらリアも同じ事言うはずだぜ」
ユーリの言葉にアスラとセンキは小さく笑って頷いた
「どうしてもってなら、悪いが相手になるぜ」
ユーリはそう言って構えるとリタ達も構える体制に入った
デュークはそれをじっと見てアスラとセンキを見ると、二人もいつでも戦えるような目をしてデュークを見ていた
「・・・良いだろう。ならばフェローと式神達が認めたその覚悟の程見せてもらおう」
そう言うとデュークはユーリの足下に自分の剣を投げた
「宙の戒典だ。エアルを鎮める事が出来るのはその剣だけだ。掲げて念じろ。そうすれば後は剣がやる」
ユーリが足下に転がっている宙の戒典を拾ってじっと見ているとデュークはそのまま立ち去ろうとしていて、ユーリはデュークを呼び止めた
「待てよ、デューク! 宙の戒典といや行方知れずの皇帝の証の名前だ。なんであんたがそれを持ってる? なんでそれがエアルを制御出来る? なんで言霊使いや式神の事知ってる? あんた一体何者だ?」
ユーリが思っている事を一通りデュークに告げると、結界の奥から地響きが鳴った
「その問いの答えを得る事が今のお前達の願いではあるまい。行け。手遅れになる前に。始祖の隷長が背負う重荷、それがどれほどのものか身をもって知るが良い」
「・・・・・」
「それから・・・」
デュークはそう告げ歩み止め、ちらりとアスラとセンキを見た
「言霊使いの娘も手遅れになる前に見つけ出す事だな」
「「「!」」」
デュークの言葉にアスラとセンキ、そしてユーリが驚き、デュークはその反応を見てまた歩いて行った
「・・・今のどういう意味?」
「リアが攫われた事と関係あるって事?」
アスラはセンキとアイコンタクトを取るとセンキはそのまま姿を消した
「セイに知らせに行ったのかしら?」
「うん・・・嫌な予感がする・・・」
アスラはそう言うと表情を曇らせた
その嫌な予感はユーリも感じていた
それはリアなのか、エステルなのか、それとも二人になのか、はたまた違うものになのか・・・
ユーリは軽く頭を振って宙の戒典を持って念じた
するとデュークが使った時と同じ円陣が浮かび上がった
「・・・その術式、エステルと同じ。やっぱりその剣・・・」
ユーリが剣を宙に翳すと、入り口を塞いでいた封印結界が解かれた
「・・・開いた」
「行こう」
「ええ。それにしても・・・宙の戒典、満月の子、それにフェローが認めた覚悟ですって? あのデュークって男、ほんとに一体何者なの?」
「それにリアやアスラ達の事も知ってたし・・・」
リタ達は歩きながら先程の会話の事を思い返す
「話し振りからして、フェローとも交流があるように思えたわね。アスラはどうなのかしら?」
「ボクはヨームゲンにいる時にちょっと話したくらいだよ。あーゆータイプは深く話さないから聞きたい事殆ど聞けなかったけどね」
「ヨーデル殿下が探してた宙の戒典まで持ってるし・・・怪しすぎるよ」
「けど、その大事な宙の戒典を、簡単に貸してくれたぜ。石頭なんて言っちまったけど、話せば分かる奴なんじゃねえかな」
「油断はしない方が良いわ。とにかく今は急ぎましょ」
「ああ、急ごう」
続く
あとがき
やっぱりデュークって不思議な人ですよね
まあ前にリアちゃんより言霊使いの事詳しく知ってるとは言ってたけど、この人ほんとに何処まで知ってるんでしょうね?
さて、次回は遂に最深部まで行きます!!
エステル救出なるのか?
そしてレイヴンの行方は・・・?
ではまた!
2009.08.03