救出編
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じいさんと話しを終えた後、オレ達は隣の家で休ませてもらう事になった
そこで話しを纏めていると、おっさんが話しについて行けないと言って外に行き、リアは外の空気を吸いにとエステルに此処の事を知らせに外に出て行った
それからまた暫く話しをしていると突然、大きな揺れがした
急いでその揺れの場所を調べると、入り口にあった魔導器が動いていた
此処に来た時は動いてなかったのに・・・
リタが言うにはどうやら誰かが魔刻を持って来て、転送魔導器 を動かしたらしい
だが、此処でふとこの場にいない人物に気が付いた
「リアはどうした?」
オレの言葉に魔導器を見ていたリタが辺りを見て口を開く
「エステル・・・エステルは何処?」
「レイヴンもいないよ」
リタの次にアスラがそれぞれいない人物の名前を出す
「え? まさか・・・リア達が?」
「とにかく探すぞ」
「ええ。長老様、私達の仲間が街にいないか、みんなで探してもらえないかしら?」
「ふむ、良いじゃろ」
じいさんの返事を聞くとリタはフィエルティア号の方に走って行き、カロルは街の中へ走って行き、その後にジュディとじいさんも続いた
「オレ達も行こうぜ」
「ああ。アスラ、リア達の気配を探ってみてくれ」
「了解」
「フキ、お前も手伝ってくれ」
「了解」
そう言うとセイの横にフキが現れてオレ達はリア達を探し出した
62.黒幕とケジメ
暫く探したオレ達だったが、リア達の姿は何処にもなかった
リアはアスラとテレパスが使えるから直ぐに見つかるだろうと思ってた
けど、何故か繋がらなかった
リアとテレパスが出来ないと言う事はリアの身に何か遭った時か、何かに妨害されている時だけだと言う
エステルとおっさんの気配も追ってもらったが二人の気配もなし
これは確実に何か遭ったとしか考えられない
「どうしよう、ユーリ。リアもエステルもレイヴンも何処にもいないよ」
「エステル、何処行っちゃったの・・・」
「これだけ探しても、アスラやフキが気配を追っても見つからないなんて・・・」
「確実に何か遭ったとしか考えられないな・・・」
「・・・・・」
ふと、テムザ山でおっさんが言った事、そして城の牢屋でおっさんと会った時の事を思い出した
あん時、おっさんはアレクセイに連れて行かれた・・・
その途端、何か嫌な予感がした
「・・・っ! 何で今になって思い出す・・・」
「・・・ユーリ?」
オレの顔を見てカロルが首を傾げるが、とにかく今はリア達を探さねえと
「何か良い方法はねえか・・・」
「だったらミョルゾの主に聞いてみたら?」
「ミョルゾの主に?」
「ああ。始祖の隷長だったらエアルの乱れを探れるだろ」
「そう言う事か、ジュディス」
「ええ」
ジュディは返事を返すと、ミョルゾの主にその場所を聞いた
ミョルゾの主である始祖の隷長にエアルの流れを追ってもらい、急いでヨームゲンに向かった
が、街に入ってオレ達は目を疑った
「これは・・・」
そこにあったのは、廃墟だった
「どうなってんの? 完全に廃墟だよ・・・?」
「昨日今日ってものじゃないわ・・・もう何百年も経ってる傷み方よ」
前に着た時は緑豊かでのんびりとした街だったのが、今では緑もなく砂漠の中にある廃墟だった
「・・・あるべき姿に戻ったか」
「え?」
「静かに、誰かいるわ」
セイがぼそりと呟き、その意味をカロルが聞こうとしているとジュディが誰かがいる事に気が付き、オレ達もその方向を見る
「デューク・・・!」
そしてデュークの傍らにいたのはカドスの喉笛で見たあの魔物だったが、直ぐに何処かへ行ってしまった
「逃がしたか・・・」
途端、後ろから声が聞こえ振り返るとそこにはアレクセイと護衛の親衛隊の男が一人いた
「アレクセイ、何でこんなとこに・・・?」
「ほう、姫を追って来たか。良く此処が分かったな」
「エステルが何処にいるか知ってるの?!」
リタがアレクセイに近づいた途端、隣にいた騎士が槍を構えてリタを止めた
「な、何するんだよ!」
それを見てリタは後ずさり、カロルはその態度に声を上げるとアレクセイは鼻で笑ってオレ達を見た
「何の冗談だ? 騎士団長さんよ」
「君達には感謝の言葉もない。君達のくだらない正義感のお陰で私は静かに事を運べた。ラゴウもバルボスもそれなに役に立ったが、諸君はそれを上回る素晴らしい働きだった。まったく見事な道化振りだったよ」
「・・・え? え?」
カロルは一人だけ状況が掴めていない様子でオレとセイを見てまたアレクセイを見て、オレとセイは少し目を細めてアレクセイを見る
「だがもう道化の出番は終わりだ。そろそろ舞台から降りてもらいたい」
「そう言う事かよ・・・」
「何もかもてめぇが黒幕・・・? 笑えねぇぜ! アレクセイ!!」
オレはそのまま剣を抜き構えるとセイも剣を抜こうとしていた
「騎士団長!」
途端、アレクセイの後ろから聞き覚えのある声が聞こえた
「ふん。もう一人の道化も来たか・・・」
「フレン・・・」
「騎士団長! 何故です! 帝国騎士団の誇りと言われた貴方が、何故謀反など・・・」
「謀反ではない。真の支配者たるものの歩むべき覇道だ」
「ヨーデル様の信頼を裏切るのですか!」
必死に訴えるフレンに対しアレクセイは嘲笑うようにフレンを見る
「ヨーデル殿下・・・ああ、殿下にもご退場願わないとな」
「馬鹿な・・・」
「マイロード、準備が整ったようでーす」
フレンが悔しそうに顔を歪めていると少し高くなっている砂山の所にイエガーがいた
「ご苦労。では私は予定通りバクティオンへ行く。此処はお前に任せる・・・ヨーデルの始末もな」
「イエス、マイロード」
イエガーの返事を聞くとアレクセイはそのまま踵を返して歩いて行った
「待て! アレクセイ!」
「逃がすかよ!」
フレンは急いでヤツの後を追おうとし、オレも急いで出口に向かっているとイエガーが連れているあの双子がオレ達の前に出て来た
「通さない」
「邪魔するのなら・・・」
「どきなさいよっ!」
後ろからジュディとリタの怒鳴る声が聞こえる
それに応えるようにラピードとセイもオレの後ろに来て、構えた
「ユー達のプリンセスもバクティオン神殿でーす」
「なんだと!?」
「早く行かないと手遅れちゃうわよん」
イエガーと黄色い髪の言葉に反応していると、またいつものように煙玉を投げてオレ達の前からいなくなった
「アレクセイとイエガーを追え!」
「はい!」
フレンの言葉を聞き、リンゴ頭はそのまま走って行った
「ユーリ、ボク等も! ・・・ユーリ・・・?」
が、オレはそのままじっとフレンを見ているとオレの視線に気付いたのかフレンもカロル達もオレを見る
「ユーリ・ローウェル、大人しく・・・」
副官の姉ちゃんはそこで言葉を切った
フレンが止めたのもあったが、何よりオレの後ろにいたセイとアスラから威圧的なものを感じたからだろう
それはオレとフレン、勿論カロル達にも伝わっていて、誰一人言葉を発さなかった
いや、発せなかったと言う方が正しいだろう
今のセイとアスラは完全に怒りを露わにしている
それも今まで以上に威圧感を出していたからだった
「・・・ユーリ」
セイはオレに聞こえるくらいの声で言うとオレは小さく頷き、フレンの前に行った
「・・・フレン、ちょっと顔貸せ」
「分かった、向こうで聞こう」
フレンの返事を聞くとオレとフレンは踵を返して歩き出し、その後ろをセイとアスラが続き、少し間を置いてカロル達も続く
オレは廃墟になっている家の近くに来ると足を止め、フレンもその場で止まり、セイとアスラはオレ達の顔が見える所で止まった
「「「「・・・・・」」」」
そして、オレとフレンとセイとアスラの間に張り詰めた空気が流れ出す
カロル達はこの威圧感がある張り詰めた空気の中に入れず少し離れた所で止まった
オレとフレンはセイとアスラを見る
この二人が此処まで怒りを露わにしているは珍しい
確かにオレもセイとアスラ同様怒りを露わにしているが、この二人の場合は違う
身内が攫われたんだからな
けど、それだけじゃないのはなんとなく感じ取れた
そう思ってると、セイが小さく息を吐いてじっとオレとフレンを見た
セイがこういう風にするのは昔から、側で見てるからお前等だけで話せ、という事だった
それを理解するとオレは少し間を置いた後、静かに口を開いた
「お前、何してやがった? 騎士団で上に行って国を正すんじゃなかったのか! アレクセイにまんまと利用されやがって」
オレはフレンに向き合い、言葉を続ける
「ドンもベリウスもあの野郎の為に死んだってのか! 傍に居てまったく気付かなかったのかよ!?」
「すまない・・・」
「何故だ。ヨーデルがアレクセイを信用してたからか?」
「殿下は悪くない。全てアレクセイを信じた僕の責任だ」
「ノードポリカで聖核を欲しがったのもアレクセイの命令だからだろ」
「ああ・・・」
「話せよ、何があった。もう元騎士団長殿に気を遣う意味ねぇだろ」
フレンは一息吐き話し出した
「ヘリオードの軍事拠点化に、マンタイクでの住民迫害、キュモールの行動、更に帝国で禁止されている魔導器の新開発・・・全て騎士団長・・・いや、アレクセイの命令だった」
「立派な騎士様になったもんだな。国への忠節、たいしたモンだ」
「騎士団長は・・・アレクセイは昔はああじゃなかった! 君だって知ってるはずだ。正しい者が正しく生きて行ける。それがアレクセイの理想だった。だからこそ僕は・・・」
「それで自分のやるべき事を見失うようじゃ世話無いぜ」
「・・・・」
オレのその言葉にフレンは悔しそうに顔を歪め、オレは小さく息を吐いた
「リアもエステルも攫われちまったオレも偉そうな事言えた義理じゃねえけどな」
「いや、それも元はといえば僕がアレクセイの本性を見抜けなかったせいだ。疑問を感じながらも騎士として命令を遂行する事に固執してしまった。僕の思慮の浅さが今回の事態を招いたんだ・・・!」
「それで、お前はこれからどうしようってんだ?」
黙ってオレとフレンの話しを聞いていたセイが口を挟み、フレンはセイとアスラの方を見て答える
「僕は責任を取らないといけない。リアとエステリーゼ様は必ず救い出す。だからウィチル、ソディア、それまでユーリ達と共にヨーデル殿下をお守りしてくれ」
「あん!?」
「親衛隊がエステリーゼ様を連れ去るのを僕は阻止出来なかった。僕には彼女を助け出す義務がある」
「待ってよ。連れ去られたのはエステルだけなの?」
「僕が見たのはエステリーゼ様だけだ。リアは他の場所にどうと言う話しをしているのを聞いた」
「つまりリアはエステルと別の場所に連れ去られたって事か」
「ああ」
「隊長! ヨーデル様はどうするんですか! 今、殿下の身に何か遭ったら、帝国は・・・」
「その通りだ。だからこそ我が隊の総力を上げてヨーデル様をお守りするんだ」
「ですが隊長は・・・!」
「ったく・・・オレはお前にそういうけじめをつけさせたくて怒鳴ったワケじゃないっての」
「まったくだ・・・」
オレの言葉にセイもアスラも頷き、オレ達はフレンを見て答えた
「エステルを助けるのもリアを探し出して助けるのもオレ達凛々の明星だ。お前にはお前のやる事があるだろ・・・天然殿下のお守りとかな」
「ユーリ・・・!」
「そう言う事だフレン」
「此処はユーリ達に任せなよ」
「セイ、アスラ・・・!」
「隊長、一刻を争います。ヨーデル殿下の元に参りましょう」
「・・・解った」
フレンは少し歩いて小声でオレ達にだけ聞こえる声で言った
「ありがとう、ユーリ、セイ、アスラ」
「お互いな。ちっと安心したぜ。久々にらしい所見れて、な」
その言葉を聞くとフレンもセイもアスラは薄く笑って、今度はセイがオレ達を見た
「ユーリ、俺はリアの行方を追う」
「そうだな。セイが動いた方が早いだろうしな」
「ああ。アスラは連絡取れるようにユーリと一緒にいろ」
「了解」
「・・・頼んだぜ」
「そっちこそ」
そう言うとセイはフレンと一緒に歩いて行った
「アレクセイ・・・彼が・・・ヘルメス式の技術を持ち出していたのね」
「ああ、良くも悪くも一つに繋がったって訳だ。良し! バクティオン神殿に行くぞ。エステルとレイヴンを助けてアレクセイのヤツをぶっ飛ばす!」
「ええ!」「うん!」「「了解」」「ワン!」
(・・・リア、無事でいろよ・・・!)
そしてオレ達はバクティオン神殿へと向かい出した
続く
あとがき
あい、今回はユーリサイドで書いてみました
まぁ視点的にこうなりますよね、うん。
そして今回、セイ兄とアスラがかなり怒ってましたね
この二人の威圧感って・・・絶対に怖そう・・・ι
でも、幼馴染み組和解出来て良かったね!
後はリアちゃんだけだが・・・
あ、暫くユーリ視点で書きますのでι
じゃないと話し的にねι
さ、じゃあ次書こ~!
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.02
そこで話しを纏めていると、おっさんが話しについて行けないと言って外に行き、リアは外の空気を吸いにとエステルに此処の事を知らせに外に出て行った
それからまた暫く話しをしていると突然、大きな揺れがした
急いでその揺れの場所を調べると、入り口にあった魔導器が動いていた
此処に来た時は動いてなかったのに・・・
リタが言うにはどうやら誰かが魔刻を持って来て、
だが、此処でふとこの場にいない人物に気が付いた
「リアはどうした?」
オレの言葉に魔導器を見ていたリタが辺りを見て口を開く
「エステル・・・エステルは何処?」
「レイヴンもいないよ」
リタの次にアスラがそれぞれいない人物の名前を出す
「え? まさか・・・リア達が?」
「とにかく探すぞ」
「ええ。長老様、私達の仲間が街にいないか、みんなで探してもらえないかしら?」
「ふむ、良いじゃろ」
じいさんの返事を聞くとリタはフィエルティア号の方に走って行き、カロルは街の中へ走って行き、その後にジュディとじいさんも続いた
「オレ達も行こうぜ」
「ああ。アスラ、リア達の気配を探ってみてくれ」
「了解」
「フキ、お前も手伝ってくれ」
「了解」
そう言うとセイの横にフキが現れてオレ達はリア達を探し出した
62.黒幕とケジメ
暫く探したオレ達だったが、リア達の姿は何処にもなかった
リアはアスラとテレパスが使えるから直ぐに見つかるだろうと思ってた
けど、何故か繋がらなかった
リアとテレパスが出来ないと言う事はリアの身に何か遭った時か、何かに妨害されている時だけだと言う
エステルとおっさんの気配も追ってもらったが二人の気配もなし
これは確実に何か遭ったとしか考えられない
「どうしよう、ユーリ。リアもエステルもレイヴンも何処にもいないよ」
「エステル、何処行っちゃったの・・・」
「これだけ探しても、アスラやフキが気配を追っても見つからないなんて・・・」
「確実に何か遭ったとしか考えられないな・・・」
「・・・・・」
ふと、テムザ山でおっさんが言った事、そして城の牢屋でおっさんと会った時の事を思い出した
あん時、おっさんはアレクセイに連れて行かれた・・・
その途端、何か嫌な予感がした
「・・・っ! 何で今になって思い出す・・・」
「・・・ユーリ?」
オレの顔を見てカロルが首を傾げるが、とにかく今はリア達を探さねえと
「何か良い方法はねえか・・・」
「だったらミョルゾの主に聞いてみたら?」
「ミョルゾの主に?」
「ああ。始祖の隷長だったらエアルの乱れを探れるだろ」
「そう言う事か、ジュディス」
「ええ」
ジュディは返事を返すと、ミョルゾの主にその場所を聞いた
ミョルゾの主である始祖の隷長にエアルの流れを追ってもらい、急いでヨームゲンに向かった
が、街に入ってオレ達は目を疑った
「これは・・・」
そこにあったのは、廃墟だった
「どうなってんの? 完全に廃墟だよ・・・?」
「昨日今日ってものじゃないわ・・・もう何百年も経ってる傷み方よ」
前に着た時は緑豊かでのんびりとした街だったのが、今では緑もなく砂漠の中にある廃墟だった
「・・・あるべき姿に戻ったか」
「え?」
「静かに、誰かいるわ」
セイがぼそりと呟き、その意味をカロルが聞こうとしているとジュディが誰かがいる事に気が付き、オレ達もその方向を見る
「デューク・・・!」
そしてデュークの傍らにいたのはカドスの喉笛で見たあの魔物だったが、直ぐに何処かへ行ってしまった
「逃がしたか・・・」
途端、後ろから声が聞こえ振り返るとそこにはアレクセイと護衛の親衛隊の男が一人いた
「アレクセイ、何でこんなとこに・・・?」
「ほう、姫を追って来たか。良く此処が分かったな」
「エステルが何処にいるか知ってるの?!」
リタがアレクセイに近づいた途端、隣にいた騎士が槍を構えてリタを止めた
「な、何するんだよ!」
それを見てリタは後ずさり、カロルはその態度に声を上げるとアレクセイは鼻で笑ってオレ達を見た
「何の冗談だ? 騎士団長さんよ」
「君達には感謝の言葉もない。君達のくだらない正義感のお陰で私は静かに事を運べた。ラゴウもバルボスもそれなに役に立ったが、諸君はそれを上回る素晴らしい働きだった。まったく見事な道化振りだったよ」
「・・・え? え?」
カロルは一人だけ状況が掴めていない様子でオレとセイを見てまたアレクセイを見て、オレとセイは少し目を細めてアレクセイを見る
「だがもう道化の出番は終わりだ。そろそろ舞台から降りてもらいたい」
「そう言う事かよ・・・」
「何もかもてめぇが黒幕・・・? 笑えねぇぜ! アレクセイ!!」
オレはそのまま剣を抜き構えるとセイも剣を抜こうとしていた
「騎士団長!」
途端、アレクセイの後ろから聞き覚えのある声が聞こえた
「ふん。もう一人の道化も来たか・・・」
「フレン・・・」
「騎士団長! 何故です! 帝国騎士団の誇りと言われた貴方が、何故謀反など・・・」
「謀反ではない。真の支配者たるものの歩むべき覇道だ」
「ヨーデル様の信頼を裏切るのですか!」
必死に訴えるフレンに対しアレクセイは嘲笑うようにフレンを見る
「ヨーデル殿下・・・ああ、殿下にもご退場願わないとな」
「馬鹿な・・・」
「マイロード、準備が整ったようでーす」
フレンが悔しそうに顔を歪めていると少し高くなっている砂山の所にイエガーがいた
「ご苦労。では私は予定通りバクティオンへ行く。此処はお前に任せる・・・ヨーデルの始末もな」
「イエス、マイロード」
イエガーの返事を聞くとアレクセイはそのまま踵を返して歩いて行った
「待て! アレクセイ!」
「逃がすかよ!」
フレンは急いでヤツの後を追おうとし、オレも急いで出口に向かっているとイエガーが連れているあの双子がオレ達の前に出て来た
「通さない」
「邪魔するのなら・・・」
「どきなさいよっ!」
後ろからジュディとリタの怒鳴る声が聞こえる
それに応えるようにラピードとセイもオレの後ろに来て、構えた
「ユー達のプリンセスもバクティオン神殿でーす」
「なんだと!?」
「早く行かないと手遅れちゃうわよん」
イエガーと黄色い髪の言葉に反応していると、またいつものように煙玉を投げてオレ達の前からいなくなった
「アレクセイとイエガーを追え!」
「はい!」
フレンの言葉を聞き、リンゴ頭はそのまま走って行った
「ユーリ、ボク等も! ・・・ユーリ・・・?」
が、オレはそのままじっとフレンを見ているとオレの視線に気付いたのかフレンもカロル達もオレを見る
「ユーリ・ローウェル、大人しく・・・」
副官の姉ちゃんはそこで言葉を切った
フレンが止めたのもあったが、何よりオレの後ろにいたセイとアスラから威圧的なものを感じたからだろう
それはオレとフレン、勿論カロル達にも伝わっていて、誰一人言葉を発さなかった
いや、発せなかったと言う方が正しいだろう
今のセイとアスラは完全に怒りを露わにしている
それも今まで以上に威圧感を出していたからだった
「・・・ユーリ」
セイはオレに聞こえるくらいの声で言うとオレは小さく頷き、フレンの前に行った
「・・・フレン、ちょっと顔貸せ」
「分かった、向こうで聞こう」
フレンの返事を聞くとオレとフレンは踵を返して歩き出し、その後ろをセイとアスラが続き、少し間を置いてカロル達も続く
オレは廃墟になっている家の近くに来ると足を止め、フレンもその場で止まり、セイとアスラはオレ達の顔が見える所で止まった
「「「「・・・・・」」」」
そして、オレとフレンとセイとアスラの間に張り詰めた空気が流れ出す
カロル達はこの威圧感がある張り詰めた空気の中に入れず少し離れた所で止まった
オレとフレンはセイとアスラを見る
この二人が此処まで怒りを露わにしているは珍しい
確かにオレもセイとアスラ同様怒りを露わにしているが、この二人の場合は違う
身内が攫われたんだからな
けど、それだけじゃないのはなんとなく感じ取れた
そう思ってると、セイが小さく息を吐いてじっとオレとフレンを見た
セイがこういう風にするのは昔から、側で見てるからお前等だけで話せ、という事だった
それを理解するとオレは少し間を置いた後、静かに口を開いた
「お前、何してやがった? 騎士団で上に行って国を正すんじゃなかったのか! アレクセイにまんまと利用されやがって」
オレはフレンに向き合い、言葉を続ける
「ドンもベリウスもあの野郎の為に死んだってのか! 傍に居てまったく気付かなかったのかよ!?」
「すまない・・・」
「何故だ。ヨーデルがアレクセイを信用してたからか?」
「殿下は悪くない。全てアレクセイを信じた僕の責任だ」
「ノードポリカで聖核を欲しがったのもアレクセイの命令だからだろ」
「ああ・・・」
「話せよ、何があった。もう元騎士団長殿に気を遣う意味ねぇだろ」
フレンは一息吐き話し出した
「ヘリオードの軍事拠点化に、マンタイクでの住民迫害、キュモールの行動、更に帝国で禁止されている魔導器の新開発・・・全て騎士団長・・・いや、アレクセイの命令だった」
「立派な騎士様になったもんだな。国への忠節、たいしたモンだ」
「騎士団長は・・・アレクセイは昔はああじゃなかった! 君だって知ってるはずだ。正しい者が正しく生きて行ける。それがアレクセイの理想だった。だからこそ僕は・・・」
「それで自分のやるべき事を見失うようじゃ世話無いぜ」
「・・・・」
オレのその言葉にフレンは悔しそうに顔を歪め、オレは小さく息を吐いた
「リアもエステルも攫われちまったオレも偉そうな事言えた義理じゃねえけどな」
「いや、それも元はといえば僕がアレクセイの本性を見抜けなかったせいだ。疑問を感じながらも騎士として命令を遂行する事に固執してしまった。僕の思慮の浅さが今回の事態を招いたんだ・・・!」
「それで、お前はこれからどうしようってんだ?」
黙ってオレとフレンの話しを聞いていたセイが口を挟み、フレンはセイとアスラの方を見て答える
「僕は責任を取らないといけない。リアとエステリーゼ様は必ず救い出す。だからウィチル、ソディア、それまでユーリ達と共にヨーデル殿下をお守りしてくれ」
「あん!?」
「親衛隊がエステリーゼ様を連れ去るのを僕は阻止出来なかった。僕には彼女を助け出す義務がある」
「待ってよ。連れ去られたのはエステルだけなの?」
「僕が見たのはエステリーゼ様だけだ。リアは他の場所にどうと言う話しをしているのを聞いた」
「つまりリアはエステルと別の場所に連れ去られたって事か」
「ああ」
「隊長! ヨーデル様はどうするんですか! 今、殿下の身に何か遭ったら、帝国は・・・」
「その通りだ。だからこそ我が隊の総力を上げてヨーデル様をお守りするんだ」
「ですが隊長は・・・!」
「ったく・・・オレはお前にそういうけじめをつけさせたくて怒鳴ったワケじゃないっての」
「まったくだ・・・」
オレの言葉にセイもアスラも頷き、オレ達はフレンを見て答えた
「エステルを助けるのもリアを探し出して助けるのもオレ達凛々の明星だ。お前にはお前のやる事があるだろ・・・天然殿下のお守りとかな」
「ユーリ・・・!」
「そう言う事だフレン」
「此処はユーリ達に任せなよ」
「セイ、アスラ・・・!」
「隊長、一刻を争います。ヨーデル殿下の元に参りましょう」
「・・・解った」
フレンは少し歩いて小声でオレ達にだけ聞こえる声で言った
「ありがとう、ユーリ、セイ、アスラ」
「お互いな。ちっと安心したぜ。久々にらしい所見れて、な」
その言葉を聞くとフレンもセイもアスラは薄く笑って、今度はセイがオレ達を見た
「ユーリ、俺はリアの行方を追う」
「そうだな。セイが動いた方が早いだろうしな」
「ああ。アスラは連絡取れるようにユーリと一緒にいろ」
「了解」
「・・・頼んだぜ」
「そっちこそ」
そう言うとセイはフレンと一緒に歩いて行った
「アレクセイ・・・彼が・・・ヘルメス式の技術を持ち出していたのね」
「ああ、良くも悪くも一つに繋がったって訳だ。良し! バクティオン神殿に行くぞ。エステルとレイヴンを助けてアレクセイのヤツをぶっ飛ばす!」
「ええ!」「うん!」「「了解」」「ワン!」
(・・・リア、無事でいろよ・・・!)
そしてオレ達はバクティオン神殿へと向かい出した
続く
あとがき
あい、今回はユーリサイドで書いてみました
まぁ視点的にこうなりますよね、うん。
そして今回、セイ兄とアスラがかなり怒ってましたね
この二人の威圧感って・・・絶対に怖そう・・・ι
でも、幼馴染み組和解出来て良かったね!
後はリアちゃんだけだが・・・
あ、暫くユーリ視点で書きますのでι
じゃないと話し的にねι
さ、じゃあ次書こ~!
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.02