救出編
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まさか飛んでる街とはねぇ」
フィエルティア号に乗り込み、バウルで空を飛んだ私達は目の前の巨大なモノに目を向ける
「それ以前に、あのばかでかいの何!? 生物みたいだけど・・・」
「あれも始祖の隷長だそうよ。話をした事はないけど」
「始祖の隷長!? それがなんで街を丸ごと飲み込んでんだ?」
「さあ、そこまでは知らないわ」
「こんな街があるなんて、まったく知りませんでした」
「気が遠くなる程長い間、外界との接触を断ってきた街だからね、ミョルゾは」
「私達と一緒、ね」
ジュディスの言葉に肩に乗っているアスラと隣にいる兄さんだけに聞こえる声で言うと小さく頷いた
言霊使いの故郷でクリティア族も言霊使いと同じように何処かに隠れ住んでいると言うのは聞いていた
言霊使いもクリティア族と同じように古い一族であり、隠さなくてはならない事も多いからだったからかもしれない
「このまま近付いても襲って来たりしないよね」
「大丈夫。バウルがいれば中に入れてくれるはずよ」
60.隠された街ミョルゾ
ミョルゾに到着した私達は辺りを見渡した
長い道の向こうに大きな扉が見え、その向こうに街が見えた
「何か、不思議な景色だよね」
「ちょっと、あれ・・・!」
リタが言う方を見ると長い道からクリティア族が私達の方へと歩いて来ていた
クリティア族の人達はぞろぞろと私達の方に来ると近くにいたリタとカロルの周りを囲むようにして止まった
「か、歓迎されてない?」
「こりゃ驚いた。本当に外から人がやって来たぞ!」
「あら、まあまあ、ミョルゾを呼んだのは貴方達?」
「おやおや? これはまた妙な感じだ。変わった飾りを着けてるね」
「ちょっとあんた等、いい加減にしなさいよ」
次々にやって来ては自分達を見て口々に言うクリティア族の人達にリタは少し戸惑いながら言うが、クリティア族の人達は気にした様子なく言葉を続ける
「貴女みたいな小さな子がどうやって此処に来たの?」
「この魔物ってひょっとして始祖の隷長かい?」
「バウルよ。忘れてしまったの?」
「あら、貴女、何年か前に地上に降りた・・・」
「・・・確か、名前は、ジュディス、そうジュディスよ。何かする事があったのよね、それで・・・」
「もう良いかしら? 長老様に会いたいのだけれど」
「そりゃ勿論、好きにすると良い」
「また散歩してるかもしれないけどね」
そう言うとクリティア族の人達は戻って行った
「何か、おかしな連中だな」
「ああ言うのを失礼って言うのよ」
「リタが言うんだ」
リタはそのままカロルの頭を叩き、ジュディスは少し呆れたような口調で言う
「基本的にクリティア族ってああいう人達なの」
「ああいう、人」
「明るくて物怖じしない。楽天的で楽観的。良くも悪くも、ね」
「マイペースでのんびり屋でもあるよね」
「そうとも言うわね」
「で、長老ってのもそんな感じなのか?」
「なんて言うか・・・まさにおかしな人の長老って感じかしら?」
「何か凄い人っぽいね・・・色んな意味で・・・」
「会ってみてのお楽しみだな」
「うん。じゃあ行ってみようか」
そう言って私達はこの長い坂を登り出すと、ふとカロルが口を開いた
「なんか、クリティア族の人達ってボクが想像してたのと違ってた気がする・・・」
「あ~、それ、俺様も同意見」
「どの辺がどう違っていたのかしら?」
その事を不思議に思ってジュディスがカロルに振るとうーんと呻って答えた
「なんかもっとこう・・・。ジュディスっぽい感じを想像してたから」
「そう、それ! 想像以上に、露出が少なくてがっかりよ」
「あんた等、そんな事期待してたわけ」
「あんた等って、ボクまで含めないでよ! ボクが言いたかったのは、性格の話しだからね!」
「ったく、緊張感のねえ連中だな」
「心なしか、ユーリも残念そうですよ?」
「そりゃ気のせ「同志よ!」
「おっわ!」
急にレイヴンがユーリに駆け寄ろうとし、ユーリはさっと避け、ユーリの後ろにいた兄さんにぶつかりそうになり、兄さんもさっと避けた
「でも確かに思ってた感じじゃなかったのは一緒だな」
「学者肌が多いって思ってたからね」
「うん」
そうこう話しているうちに坂を上りきった
そしてそこには大きな扉とその近くに今は使われていない魔導器が何台かあった
それを横目に見ているとジュディスが扉を開け、中に入り私達もその後に続いた
扉を開き進んで行くと段々と街が見えてきた
「やっと街に着いたね」
「長い道のりだったわね」
辺りを見ているとリタは近くにあった魔導器に目が止まりじっとそれを見つめた
「あたしの知らない魔導器が沢山ある・・・」
「魔導器を作った民・・・どうやら本当って事か」
「・・・そうね、こんな魔導器を見せられればその話も信じられるわ」
「お嬢ちゃんの力を何とかする方法、此処で案外さらっと見つかったりして」
「そう・・・だったら、良いんですが・・・」
「・・・動いてないね」
「魔刻がない。筐体 だけだわ」
「この街は魔導器を捨てたの。此処にあるのはみんな大昔のガラクタよ」
「どういう事?」
「それがワシ等の選んだ生き方だからじゃよ」
魔導器をじっと見ていると老人の声が耳に入り、振り向くと声の主と思われる老人が私達の所にやって来た
「お久しぶりね。長老様」
「外が騒がしいと思えば、おぬしだったのか。戻ったんじゃの」
「この子達は私と一緒に旅をしている人達」
「ふむ。・・・そちらは言霊使いと式神か?」
「ええ」
長老は私と兄さんとアスラを見るとそう言い、私と兄さんは頷いた
「まだ生存しておったのじゃな」
「ちゃんとした使いはボク等ぐらいだろうけどね」
「リア達・・・いえ、言霊使いの事ご存じなんです?」
「言霊使いもワシ等と一緒で古い一族じゃからな・・・おや?」
長老はふとユーリの腕にある武醒魔導器に目が止まった
「これは・・・魔導器ですな。もしや使ってなさる?」
「ああ、武醒魔導器を使ってる」
「ふーむ。ワシ等と同様、地上の者ももう魔導器を使うのをやめたのかと思うていたが・・・」
「此処の魔導器も特別な術式だから使ってないんです?」
「魔導器に特別も何もないじゃろ。そもそも魔導器とは聖核を砕きその欠片に術式を施して魔刻とし、エアルを取り込む事により・・・」
「ちょっ! 魔刻が聖核を砕いたものって?!」
「左様、そう言われておる。聖核の力はそのままでは強すぎたそうな。それでなくてもいかなる宝石よりも貴重な石じゃ。だから砕き術式を刻む事で力を抑え、同時に数を増やしたんじゃな。魔刻とはそうして作られたものと伝えられておる」
「・・・・・」
長老の話しを聞いて私達は少しだけ黙ってしまった
「・・・皮肉な話だな」
「うん・・・魔導器を嫌う始祖の隷長の生み出す聖核が、魔導器を作り出すのに必要だなんて・・・」
「フェローが聖核の話をしなかったのは触れたくなかったから・・・かもねぇ」
この事は故郷に戻った時に兄さんとアスラとフキから聞かされた事だった
だから以前、アーセルム号で橙明の核晶の事を聞かれた時にアスラは言葉を濁したのだった
「長老様。もっと色々聞かせてもらいたいの」
「オレ達は魔導器が大昔にどんな役割を演じたか調べているんだ。もしそれが災いを呼んだのなら、どうやってそれを収めたのかも。ミョルゾには伝承が残ってるんだろ? それを教えてくれないか」
「ふむ。いいじゃろ。此処よりワシの家にうってつけのものがある。勝手に入って待ってなされ」
長老はそう告げるとそのまま何処かへと歩いて行き出した
「おいおい、何処行くのよ」
「日課の散歩の途中なのでな。もう少ししたら戻るわい」
そして長老はそのまま街の方へと歩いて行った
「・・・・」
「ホントにマイペースだね」
「うん・・・」
「聖核、魔導器、エアルの乱れ、始祖の隷長・・・色々繋がって来やがった」
「だな。その伝承ってのを聞いたらもっと色々繋がるかもな」
「うん。ジュディス、長老の家って何処にあるの?」
「長老様の家は屋根の色が違うあの大きな建物よ。行きましょ」
そう言うとジュディスを先頭に私達は長老の家を目指し歩き出した
続く
あとがき
遂にミョルゾに到着
話しは次回聞ける感じですが、ホント、クリティア族の人達ってマイペースですよねι
学者肌な人やジュディスみたいなって思ってたらビックリしますよね、あのマイペースさはι
さ、次回からは急展開になってきますよ!
お楽しみに!!
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.01
フィエルティア号に乗り込み、バウルで空を飛んだ私達は目の前の巨大なモノに目を向ける
「それ以前に、あのばかでかいの何!? 生物みたいだけど・・・」
「あれも始祖の隷長だそうよ。話をした事はないけど」
「始祖の隷長!? それがなんで街を丸ごと飲み込んでんだ?」
「さあ、そこまでは知らないわ」
「こんな街があるなんて、まったく知りませんでした」
「気が遠くなる程長い間、外界との接触を断ってきた街だからね、ミョルゾは」
「私達と一緒、ね」
ジュディスの言葉に肩に乗っているアスラと隣にいる兄さんだけに聞こえる声で言うと小さく頷いた
言霊使いの故郷でクリティア族も言霊使いと同じように何処かに隠れ住んでいると言うのは聞いていた
言霊使いもクリティア族と同じように古い一族であり、隠さなくてはならない事も多いからだったからかもしれない
「このまま近付いても襲って来たりしないよね」
「大丈夫。バウルがいれば中に入れてくれるはずよ」
60.隠された街ミョルゾ
ミョルゾに到着した私達は辺りを見渡した
長い道の向こうに大きな扉が見え、その向こうに街が見えた
「何か、不思議な景色だよね」
「ちょっと、あれ・・・!」
リタが言う方を見ると長い道からクリティア族が私達の方へと歩いて来ていた
クリティア族の人達はぞろぞろと私達の方に来ると近くにいたリタとカロルの周りを囲むようにして止まった
「か、歓迎されてない?」
「こりゃ驚いた。本当に外から人がやって来たぞ!」
「あら、まあまあ、ミョルゾを呼んだのは貴方達?」
「おやおや? これはまた妙な感じだ。変わった飾りを着けてるね」
「ちょっとあんた等、いい加減にしなさいよ」
次々にやって来ては自分達を見て口々に言うクリティア族の人達にリタは少し戸惑いながら言うが、クリティア族の人達は気にした様子なく言葉を続ける
「貴女みたいな小さな子がどうやって此処に来たの?」
「この魔物ってひょっとして始祖の隷長かい?」
「バウルよ。忘れてしまったの?」
「あら、貴女、何年か前に地上に降りた・・・」
「・・・確か、名前は、ジュディス、そうジュディスよ。何かする事があったのよね、それで・・・」
「もう良いかしら? 長老様に会いたいのだけれど」
「そりゃ勿論、好きにすると良い」
「また散歩してるかもしれないけどね」
そう言うとクリティア族の人達は戻って行った
「何か、おかしな連中だな」
「ああ言うのを失礼って言うのよ」
「リタが言うんだ」
リタはそのままカロルの頭を叩き、ジュディスは少し呆れたような口調で言う
「基本的にクリティア族ってああいう人達なの」
「ああいう、人」
「明るくて物怖じしない。楽天的で楽観的。良くも悪くも、ね」
「マイペースでのんびり屋でもあるよね」
「そうとも言うわね」
「で、長老ってのもそんな感じなのか?」
「なんて言うか・・・まさにおかしな人の長老って感じかしら?」
「何か凄い人っぽいね・・・色んな意味で・・・」
「会ってみてのお楽しみだな」
「うん。じゃあ行ってみようか」
そう言って私達はこの長い坂を登り出すと、ふとカロルが口を開いた
「なんか、クリティア族の人達ってボクが想像してたのと違ってた気がする・・・」
「あ~、それ、俺様も同意見」
「どの辺がどう違っていたのかしら?」
その事を不思議に思ってジュディスがカロルに振るとうーんと呻って答えた
「なんかもっとこう・・・。ジュディスっぽい感じを想像してたから」
「そう、それ! 想像以上に、露出が少なくてがっかりよ」
「あんた等、そんな事期待してたわけ」
「あんた等って、ボクまで含めないでよ! ボクが言いたかったのは、性格の話しだからね!」
「ったく、緊張感のねえ連中だな」
「心なしか、ユーリも残念そうですよ?」
「そりゃ気のせ「同志よ!」
「おっわ!」
急にレイヴンがユーリに駆け寄ろうとし、ユーリはさっと避け、ユーリの後ろにいた兄さんにぶつかりそうになり、兄さんもさっと避けた
「でも確かに思ってた感じじゃなかったのは一緒だな」
「学者肌が多いって思ってたからね」
「うん」
そうこう話しているうちに坂を上りきった
そしてそこには大きな扉とその近くに今は使われていない魔導器が何台かあった
それを横目に見ているとジュディスが扉を開け、中に入り私達もその後に続いた
扉を開き進んで行くと段々と街が見えてきた
「やっと街に着いたね」
「長い道のりだったわね」
辺りを見ているとリタは近くにあった魔導器に目が止まりじっとそれを見つめた
「あたしの知らない魔導器が沢山ある・・・」
「魔導器を作った民・・・どうやら本当って事か」
「・・・そうね、こんな魔導器を見せられればその話も信じられるわ」
「お嬢ちゃんの力を何とかする方法、此処で案外さらっと見つかったりして」
「そう・・・だったら、良いんですが・・・」
「・・・動いてないね」
「魔刻がない。
「この街は魔導器を捨てたの。此処にあるのはみんな大昔のガラクタよ」
「どういう事?」
「それがワシ等の選んだ生き方だからじゃよ」
魔導器をじっと見ていると老人の声が耳に入り、振り向くと声の主と思われる老人が私達の所にやって来た
「お久しぶりね。長老様」
「外が騒がしいと思えば、おぬしだったのか。戻ったんじゃの」
「この子達は私と一緒に旅をしている人達」
「ふむ。・・・そちらは言霊使いと式神か?」
「ええ」
長老は私と兄さんとアスラを見るとそう言い、私と兄さんは頷いた
「まだ生存しておったのじゃな」
「ちゃんとした使いはボク等ぐらいだろうけどね」
「リア達・・・いえ、言霊使いの事ご存じなんです?」
「言霊使いもワシ等と一緒で古い一族じゃからな・・・おや?」
長老はふとユーリの腕にある武醒魔導器に目が止まった
「これは・・・魔導器ですな。もしや使ってなさる?」
「ああ、武醒魔導器を使ってる」
「ふーむ。ワシ等と同様、地上の者ももう魔導器を使うのをやめたのかと思うていたが・・・」
「此処の魔導器も特別な術式だから使ってないんです?」
「魔導器に特別も何もないじゃろ。そもそも魔導器とは聖核を砕きその欠片に術式を施して魔刻とし、エアルを取り込む事により・・・」
「ちょっ! 魔刻が聖核を砕いたものって?!」
「左様、そう言われておる。聖核の力はそのままでは強すぎたそうな。それでなくてもいかなる宝石よりも貴重な石じゃ。だから砕き術式を刻む事で力を抑え、同時に数を増やしたんじゃな。魔刻とはそうして作られたものと伝えられておる」
「・・・・・」
長老の話しを聞いて私達は少しだけ黙ってしまった
「・・・皮肉な話だな」
「うん・・・魔導器を嫌う始祖の隷長の生み出す聖核が、魔導器を作り出すのに必要だなんて・・・」
「フェローが聖核の話をしなかったのは触れたくなかったから・・・かもねぇ」
この事は故郷に戻った時に兄さんとアスラとフキから聞かされた事だった
だから以前、アーセルム号で橙明の核晶の事を聞かれた時にアスラは言葉を濁したのだった
「長老様。もっと色々聞かせてもらいたいの」
「オレ達は魔導器が大昔にどんな役割を演じたか調べているんだ。もしそれが災いを呼んだのなら、どうやってそれを収めたのかも。ミョルゾには伝承が残ってるんだろ? それを教えてくれないか」
「ふむ。いいじゃろ。此処よりワシの家にうってつけのものがある。勝手に入って待ってなされ」
長老はそう告げるとそのまま何処かへと歩いて行き出した
「おいおい、何処行くのよ」
「日課の散歩の途中なのでな。もう少ししたら戻るわい」
そして長老はそのまま街の方へと歩いて行った
「・・・・」
「ホントにマイペースだね」
「うん・・・」
「聖核、魔導器、エアルの乱れ、始祖の隷長・・・色々繋がって来やがった」
「だな。その伝承ってのを聞いたらもっと色々繋がるかもな」
「うん。ジュディス、長老の家って何処にあるの?」
「長老様の家は屋根の色が違うあの大きな建物よ。行きましょ」
そう言うとジュディスを先頭に私達は長老の家を目指し歩き出した
続く
あとがき
遂にミョルゾに到着
話しは次回聞ける感じですが、ホント、クリティア族の人達ってマイペースですよねι
学者肌な人やジュディスみたいなって思ってたらビックリしますよね、あのマイペースさはι
さ、次回からは急展開になってきますよ!
お楽しみに!!
下書き:2008.12.25
完成:2009.08.01