救出編
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あれから目立たずに頂上に向かった私達だったが、やはりと言うべきか、兵装魔導器がある頂上には先程よりも多くの親衛隊がいた
こっちにも同じ指示があるのか問答無用で私達に襲い掛かって来た
時間は掛かったにせよ、何とか親衛隊を倒し、私達は頂上に足を踏み入れた
59.開かれる扉
「さてと、これで撃たれる心配はなくなったな」
「まだよ。騎士団だけじゃなく、この子も止めないと意味ないでしょ」
リタはそう言って魔導器の側に行き、プログラムを開いた
「この子・・・ヘルメス式じゃないけど術式が暗号化されてる・・・」
「どーいう事よ?」
「早い話、暗号鍵 がないと動力落とす事も出来ないのよ」
「その暗号とやらを解くのは・・・」
「・・・そう簡単じゃないわ。解くとしても時間が必要ね。他の方法は・・・」
「それほど、時間賭ける必要はなさそうよ」
「ちょっと・・・何で・・・!?」
ジュディスは槍を構え、そしてそのまま木の上へと投げた
途端、人の気配を感じ私は木の側から数歩離れると
「ひぃっ・・・!!」
と、悲鳴を上げて一人の魔導師が落ちて来た
「ビンゴ」
「あんた・・・!?」
「この魔導器の技師じゃないかしらね」
「ち、違う、違うんだ。いや技師なのはそうなんだけど、ぼ、僕は命令されただけで、だ、だからこんな事に協力するのはイヤだったんだ・・・」
「早く暗号といてこの子を止めなさい!」
「は、はい、ただいま・・・!」
リタの威圧に圧倒されてなのか、それともただ怯えているのか、技師は急いで魔導器の所に行き、暗号を解き出だした
「ごめんなさい、吃驚させて」
「ふ、ふんだ・・・どうせ、吃驚させるだけだなんて、解ってたわよ」
「そう・・・?」
「でも、これで一件落着。晴れてミョルゾに行けるんだね」
すると何処からか妙な音が聞こえだし、私は気になって後ろを見てみると反対側の丘の上にも兵装魔導器があるのが見えた途端、兵装魔導器はこちらに向きを変えていた
「!」
「ちいっ!」
それにユーリとラピードも気付き、ユーリは走り出した
「ユーリ!」
ユーリが走り出したと当時に光が放たれ、急いでユーリの後を追って、直ぐに壁を作った
「はあぁっ!」
私の作った結界に攻撃は当たり、みんな無事だったが、
「ユーリ!」
風力に飛ばされユーリが崖から落ちそうになっているのが見え、私は急いでユーリの手を掴んだ
「っ!」
「リア!」
ユーリの手を掴んだのは良いが、足場が安定していなく体が前のめりになっていると兄さんと元の姿に戻ったアスラが私を引っ張り、私はそのままユーリの腕を引いて、無事に元の場所に戻って来た
「はあ・・・・」
「サンキュ、リア」
「うん」
ユーリにそう言われ頷くと立ち上がって頂上に戻ろうとしていると、カロルが心配そうな顔をして私達を見ていて、直ぐにエステル達の所に戻った
私達の姿を確認するとエステルとカロルが私とユーリの元へ走って来た
「油断したぜ。もう一台あったとはな」
「ホント。でも、みんなが無事で良かった」
「ユーリとリアのお陰だよ」
「まさか・・・わたしに力を使わせない為に・・・!?」
「言ったでしょ。エステルが力を使わないようにするって」
「でも・・・」
「どうしてそう無茶するかね・・・」
「本当・・・リアはともかくとして、貴方死ぬ気?」
「これくらいの傷、日常茶飯事だっての」
「でもっ!」
「エステル、此処は素直に礼言っとくべきだぜ」
兄さんの言葉にエステルは一瞬戸惑うが直ぐに頭を深く下げた
「・・・そうですね。有り難う御座います、ユーリ、リア」
「どう致しまして。それより・・・」
「ああ、あっちの魔導器もなんとかしねえとな」
「あんた、向こうの・・・って・・・!?」
先程の技師に視線を向けると、いつの間にかいなくなっていた
「いない! 技師の人いなくなってる!」
「今の騒ぎの間に逃げたみたいだね」
「逃げ足のはええ・・・早く捕まえましょ」
「待って」
技師を追い駆けようとしているとリタが私達を呼び止め、振り返って「あたしがやるわ」と告げた
「下手に森をうろちょろしたらまたいつ兵装魔導器から狙われるか解らないでしょ。そうなったらまた誰かさんと誰かさんが無茶しちゃうじゃない」
「言われてるぞ、お前等」
「あ、あははι」
「え・・・でも簡単じゃないって・・・」
「騎士団さえいなくなりゃ、そんなに慌てる必要もないでしょ。それに、あたしを誰だと思ってんの? 天才魔導士リタ・モルディオ様よ? 魔導器相手なら死ぬ気でやるわよ」
そう言ってリタは魔導器に向かっていき、後ろでカロルが何か呟いているのが聞こえたが、はっきりとは聞こえなかった
「何してるんです?」
「このままじゃまた使えちゃうから、ちょっと細工を、ね。・・・ごめんね」
「命を賭けるものがある若人は輝いてるわね~」
リタの様子を見ていると、ユーリの後ろにいたレイヴンがそう言い、私とユーリはレイヴンに向き合い、ユーリは言葉を続けた
「一度死にかけた身としては、死ぬ気でってのはシャレにならねぇか」
「ん? 死にかけたって?」
「人魔戦争の時、死にかけたって言ってたろ?」
「ああ、その話したっけか・・・まあ・・・死ぬ気で頑張るのは、生きてる奴の特権だわな。死人にゃ信念も覚悟も・・・」
「「おっさん?」」「レイヴン?」
「あーいやいや、おっさん、ちょっと昔を思い出しておセンチになっちゃった。ささ、いこいこ」
私、ユーリ、兄さんの言葉にレイヴンはいつもの口調で答えると先に歩いて行きだし、その後ろをラピードとカロルが続いた
「・・・レイヴン、どうしたんだろう?」
「さあな」
「とりあえず、ボク達も行こうよ」
「そうだな。けど、お前等、無茶すんなよ」
「はーいι」「解ってるよ」
「エステル、リタ、行くよ」
「はい」「ええ」
二人に声を掛け、私達も急いで反対側にあるもう一台兵装魔導器の所へ向かいだした
*
「皆さん、伏せて下さいっ!」
あれから移動して吊り橋を渡り、岩のトンネルを抜けると急にエステルがそう叫んだ
前を見ると兵装魔導器から放たれた光が私達目掛けて来ていて、急いで岩に背を預けて隠れた
「全員、大丈夫か・・・?」
「なんとか・・・」
「今度はおっさんが辛そうよ」
光は少し先の岩に当り、私達は無事だったが、レイヴンだけは辛そうだった
「おっさん、此処でリタイアするか? 後はオレ達で行くから」
「此処で置いてかれたら、俺様行くとこなくなっちまう」
「ユーリだって本気で置いてく訳ないじゃん。それに行くとこないって、天を射る矢があるじゃない」
「んー? まああれはねえ、何と言うか、ちょっとそう言うのと違うのよ」
「そうなの?」
「ふーん」
「おっさん大丈夫なら次、充填して攻撃仕掛けて来る前にあの魔導器まで行っちゃお」
「あいあい~、了解~」
*
頂上に着くとやはりこちらも先程と同じく十分な警備でそれなりに時間は掛かったものの、彼等を退く事が出来、私達は魔導器の所へ移動した
「・・・どうだ、リタ」
「案の定、こっちにも術式暗号が掛かってるわ」
「解けそうか?」
「死ぬ気でやるって言ったでしょ。こうなったらミョルゾ行く為の条件とかもう関係ないわ。騎士団の奴等の手にこの子そのまま残すなんて絶対出来ないんだから」
そう言うとリタはプログラムを開き、暗号解読を始めた
その目には炎 が灯っていた
「じゃ、そっちは任せたよ!」
「あら、何処行くの? カロル」
「さっきみたいにまた親衛隊が来るといけないから、下で見張ってる!」
「じゃあ、私もお手伝いさせてもらうわ」
「じゃ、俺も行くかな」
「ボクも行くよ」
カロルの言葉にジュディス、兄さん、アスラと続いて行き、その様子を見ていたレイヴンがぼそりと言う
「何か、みんな妙にやる気でコワイわ」
「・・・リアとユーリの影響ですよ」
「とりあえずオレ達はこっちで待機だな」
「うん」
「・・・当の本人達はいたってクールなんだが」
「「?」」
「・・・ですね」
「え、何が?」
ユーリと顔見合わせ疑問符を出していると、エステルとレイヴンもリタの方に来て解除の様子を見守っていた
時間が経つに連れて皆、場所を変えたり見張りをしたりしていたがエステルだけはずっとリタの隣にいた
「そう簡単には解けませんってか・・・?」
「親衛隊つったか? 結局、連中、この魔導器で何をするつもり・・・」
途端、下からガシャガシャと鎧の音が沢山聞こえだした
「えいっ・・・」「ぐわぁあっ・・・」
「騎士団戻って来た・・・!」
カロルが走って来て戻って来てその後にジュディスと兄さんも戻って来た
「此処は死守するぞ」
ユーリの言葉にリタ以外は全員、武器を構えて騎士団に向かって行った
「やぁっ!!」
「ほいなっと!」
「・・・休ませてくれないみたいね」
「う、うん・・・こっちがバテるのを待ってるんだ・・・」
次から次へとやって来る親衛隊
下にはジュディス、兄さん、アスラがいてその少し上にカロルとレイヴン、そして頂上に近い所には私とユーリとエステルがいた
「はあぁっ!」
「・・えい!・・・きゃぁ!」
「エステル!」
私はエステルに駆け寄りユーリは目の前の騎士団に攻撃を放つ
「エステル、下がれ」
そう言われ、エステルはリタの所に戻った
「リタ! 何を!」
リタの所に戻るとリタは詠唱を唱え始めていた
「もうこいつ壊して・・・! そいつ等ぶっ倒す!」
「リタ・・・そんな、どうして!?」
「もう時間掛けていられないでしょ! だってこのままじゃあんた等が・・・」
「リタ・・・」
「私達が倒される、そう言いたいの? 貴女は私を、私達を信用出来ないの? 死ぬ気でやるんでしょ?」
「生憎とこいつ等に倒される程俺等はヤワじゃねえよ!」
「わたし達、負けませんから。リタ、その魔導器を助けてあげて下さい」
そう言うとリタは詠唱と構えをやめて、エステルの方に向き合って叫んだ
「・・・解ったわよ! 死ぬ気でやるってやるわよ。その代わり、あんた等も死ぬ気でやんなさいよ!」
「了解」
「はあ・・・やれやれ、んじゃま・・・死ぬ気でやりますか」
「輝いてる若人の仲間入りか?」
「みたいね。とはいえ、こいつは・・・なかなかしんどいね」
「軽口叩けるうちはまだ大丈夫だろ」
「いきなり前言撤回したくなってきた~」
「ちょっと遊んでないで、戦って!!」
「・・・止まったわっ!」
カロルがユーリとレイヴンにそう叫んだ直後、頂上からリタの嬉しそうな声が聞こえた
「流石リタ!」
「あらら・・・やったじゃない」
「・・・騎士団、引き上げて行くみたいね」
私は下にいる騎士団の様子を見てそう告げるとユーリ達もその様子を見た
「魔導器が止まったから? 何だったのかしら、彼等の目的は」
「まあ良いさ、とにかくこれでトートとの約束は果たした。ジュディ、頼む」
「ええ」
私達は武器を収めてそのまま頂上へ移動した
そして全員揃ったのを確認するとジュディスは私達の前に出て、トートから貰った鐘を鳴らし始める
辺りには鐘の音が鳴り響き、私達はその様子を暫く見ていた
すると突然、何か不思議な力を感じ私達は空を見るとそこに不思議なモノが現れた
「あ、あ、あ・・・」
「なんだ、ありゃ・・・!」
これにはこの場にいた全員が驚いた
「扉が開いた・・・あれがミョルゾ。クリティア族の故郷よ」
「・・・あれが・・・」
「こりゃあ・・・えらいもんだ」
空に現れたモノ、それは大きなクラゲみたいなモノだった
そしてその中に古代の建物っぽい物が見えた
長時間扉を開けておいてはもらえないらしく、私達は直ぐにフィエルティア号に乗り、バウルでミョルゾを目指した
続く
あとがき
とりあえず、此処で終わります!
前にも言ったけど、カロル先生、ホント成長しましたよねぇ~!!
ちょっとだけ、お母さん気分だよ(笑)
さて、遂にミョルゾに続く扉が開かれました
次回はそのミョルゾの街に入ります
では!
下書き:2008.12.25
完成:2009.07.31
こっちにも同じ指示があるのか問答無用で私達に襲い掛かって来た
時間は掛かったにせよ、何とか親衛隊を倒し、私達は頂上に足を踏み入れた
59.開かれる扉
「さてと、これで撃たれる心配はなくなったな」
「まだよ。騎士団だけじゃなく、この子も止めないと意味ないでしょ」
リタはそう言って魔導器の側に行き、プログラムを開いた
「この子・・・ヘルメス式じゃないけど術式が暗号化されてる・・・」
「どーいう事よ?」
「早い話、暗号
「その暗号とやらを解くのは・・・」
「・・・そう簡単じゃないわ。解くとしても時間が必要ね。他の方法は・・・」
「それほど、時間賭ける必要はなさそうよ」
「ちょっと・・・何で・・・!?」
ジュディスは槍を構え、そしてそのまま木の上へと投げた
途端、人の気配を感じ私は木の側から数歩離れると
「ひぃっ・・・!!」
と、悲鳴を上げて一人の魔導師が落ちて来た
「ビンゴ」
「あんた・・・!?」
「この魔導器の技師じゃないかしらね」
「ち、違う、違うんだ。いや技師なのはそうなんだけど、ぼ、僕は命令されただけで、だ、だからこんな事に協力するのはイヤだったんだ・・・」
「早く暗号といてこの子を止めなさい!」
「は、はい、ただいま・・・!」
リタの威圧に圧倒されてなのか、それともただ怯えているのか、技師は急いで魔導器の所に行き、暗号を解き出だした
「ごめんなさい、吃驚させて」
「ふ、ふんだ・・・どうせ、吃驚させるだけだなんて、解ってたわよ」
「そう・・・?」
「でも、これで一件落着。晴れてミョルゾに行けるんだね」
すると何処からか妙な音が聞こえだし、私は気になって後ろを見てみると反対側の丘の上にも兵装魔導器があるのが見えた途端、兵装魔導器はこちらに向きを変えていた
「!」
「ちいっ!」
それにユーリとラピードも気付き、ユーリは走り出した
「ユーリ!」
ユーリが走り出したと当時に光が放たれ、急いでユーリの後を追って、直ぐに壁を作った
「はあぁっ!」
私の作った結界に攻撃は当たり、みんな無事だったが、
「ユーリ!」
風力に飛ばされユーリが崖から落ちそうになっているのが見え、私は急いでユーリの手を掴んだ
「っ!」
「リア!」
ユーリの手を掴んだのは良いが、足場が安定していなく体が前のめりになっていると兄さんと元の姿に戻ったアスラが私を引っ張り、私はそのままユーリの腕を引いて、無事に元の場所に戻って来た
「はあ・・・・」
「サンキュ、リア」
「うん」
ユーリにそう言われ頷くと立ち上がって頂上に戻ろうとしていると、カロルが心配そうな顔をして私達を見ていて、直ぐにエステル達の所に戻った
私達の姿を確認するとエステルとカロルが私とユーリの元へ走って来た
「油断したぜ。もう一台あったとはな」
「ホント。でも、みんなが無事で良かった」
「ユーリとリアのお陰だよ」
「まさか・・・わたしに力を使わせない為に・・・!?」
「言ったでしょ。エステルが力を使わないようにするって」
「でも・・・」
「どうしてそう無茶するかね・・・」
「本当・・・リアはともかくとして、貴方死ぬ気?」
「これくらいの傷、日常茶飯事だっての」
「でもっ!」
「エステル、此処は素直に礼言っとくべきだぜ」
兄さんの言葉にエステルは一瞬戸惑うが直ぐに頭を深く下げた
「・・・そうですね。有り難う御座います、ユーリ、リア」
「どう致しまして。それより・・・」
「ああ、あっちの魔導器もなんとかしねえとな」
「あんた、向こうの・・・って・・・!?」
先程の技師に視線を向けると、いつの間にかいなくなっていた
「いない! 技師の人いなくなってる!」
「今の騒ぎの間に逃げたみたいだね」
「逃げ足のはええ・・・早く捕まえましょ」
「待って」
技師を追い駆けようとしているとリタが私達を呼び止め、振り返って「あたしがやるわ」と告げた
「下手に森をうろちょろしたらまたいつ兵装魔導器から狙われるか解らないでしょ。そうなったらまた誰かさんと誰かさんが無茶しちゃうじゃない」
「言われてるぞ、お前等」
「あ、あははι」
「え・・・でも簡単じゃないって・・・」
「騎士団さえいなくなりゃ、そんなに慌てる必要もないでしょ。それに、あたしを誰だと思ってんの? 天才魔導士リタ・モルディオ様よ? 魔導器相手なら死ぬ気でやるわよ」
そう言ってリタは魔導器に向かっていき、後ろでカロルが何か呟いているのが聞こえたが、はっきりとは聞こえなかった
「何してるんです?」
「このままじゃまた使えちゃうから、ちょっと細工を、ね。・・・ごめんね」
「命を賭けるものがある若人は輝いてるわね~」
リタの様子を見ていると、ユーリの後ろにいたレイヴンがそう言い、私とユーリはレイヴンに向き合い、ユーリは言葉を続けた
「一度死にかけた身としては、死ぬ気でってのはシャレにならねぇか」
「ん? 死にかけたって?」
「人魔戦争の時、死にかけたって言ってたろ?」
「ああ、その話したっけか・・・まあ・・・死ぬ気で頑張るのは、生きてる奴の特権だわな。死人にゃ信念も覚悟も・・・」
「「おっさん?」」「レイヴン?」
「あーいやいや、おっさん、ちょっと昔を思い出しておセンチになっちゃった。ささ、いこいこ」
私、ユーリ、兄さんの言葉にレイヴンはいつもの口調で答えると先に歩いて行きだし、その後ろをラピードとカロルが続いた
「・・・レイヴン、どうしたんだろう?」
「さあな」
「とりあえず、ボク達も行こうよ」
「そうだな。けど、お前等、無茶すんなよ」
「はーいι」「解ってるよ」
「エステル、リタ、行くよ」
「はい」「ええ」
二人に声を掛け、私達も急いで反対側にあるもう一台兵装魔導器の所へ向かいだした
*
「皆さん、伏せて下さいっ!」
あれから移動して吊り橋を渡り、岩のトンネルを抜けると急にエステルがそう叫んだ
前を見ると兵装魔導器から放たれた光が私達目掛けて来ていて、急いで岩に背を預けて隠れた
「全員、大丈夫か・・・?」
「なんとか・・・」
「今度はおっさんが辛そうよ」
光は少し先の岩に当り、私達は無事だったが、レイヴンだけは辛そうだった
「おっさん、此処でリタイアするか? 後はオレ達で行くから」
「此処で置いてかれたら、俺様行くとこなくなっちまう」
「ユーリだって本気で置いてく訳ないじゃん。それに行くとこないって、天を射る矢があるじゃない」
「んー? まああれはねえ、何と言うか、ちょっとそう言うのと違うのよ」
「そうなの?」
「ふーん」
「おっさん大丈夫なら次、充填して攻撃仕掛けて来る前にあの魔導器まで行っちゃお」
「あいあい~、了解~」
*
頂上に着くとやはりこちらも先程と同じく十分な警備でそれなりに時間は掛かったものの、彼等を退く事が出来、私達は魔導器の所へ移動した
「・・・どうだ、リタ」
「案の定、こっちにも術式暗号が掛かってるわ」
「解けそうか?」
「死ぬ気でやるって言ったでしょ。こうなったらミョルゾ行く為の条件とかもう関係ないわ。騎士団の奴等の手にこの子そのまま残すなんて絶対出来ないんだから」
そう言うとリタはプログラムを開き、暗号解読を始めた
その目には
「じゃ、そっちは任せたよ!」
「あら、何処行くの? カロル」
「さっきみたいにまた親衛隊が来るといけないから、下で見張ってる!」
「じゃあ、私もお手伝いさせてもらうわ」
「じゃ、俺も行くかな」
「ボクも行くよ」
カロルの言葉にジュディス、兄さん、アスラと続いて行き、その様子を見ていたレイヴンがぼそりと言う
「何か、みんな妙にやる気でコワイわ」
「・・・リアとユーリの影響ですよ」
「とりあえずオレ達はこっちで待機だな」
「うん」
「・・・当の本人達はいたってクールなんだが」
「「?」」
「・・・ですね」
「え、何が?」
ユーリと顔見合わせ疑問符を出していると、エステルとレイヴンもリタの方に来て解除の様子を見守っていた
時間が経つに連れて皆、場所を変えたり見張りをしたりしていたがエステルだけはずっとリタの隣にいた
「そう簡単には解けませんってか・・・?」
「親衛隊つったか? 結局、連中、この魔導器で何をするつもり・・・」
途端、下からガシャガシャと鎧の音が沢山聞こえだした
「えいっ・・・」「ぐわぁあっ・・・」
「騎士団戻って来た・・・!」
カロルが走って来て戻って来てその後にジュディスと兄さんも戻って来た
「此処は死守するぞ」
ユーリの言葉にリタ以外は全員、武器を構えて騎士団に向かって行った
「やぁっ!!」
「ほいなっと!」
「・・・休ませてくれないみたいね」
「う、うん・・・こっちがバテるのを待ってるんだ・・・」
次から次へとやって来る親衛隊
下にはジュディス、兄さん、アスラがいてその少し上にカロルとレイヴン、そして頂上に近い所には私とユーリとエステルがいた
「はあぁっ!」
「・・えい!・・・きゃぁ!」
「エステル!」
私はエステルに駆け寄りユーリは目の前の騎士団に攻撃を放つ
「エステル、下がれ」
そう言われ、エステルはリタの所に戻った
「リタ! 何を!」
リタの所に戻るとリタは詠唱を唱え始めていた
「もうこいつ壊して・・・! そいつ等ぶっ倒す!」
「リタ・・・そんな、どうして!?」
「もう時間掛けていられないでしょ! だってこのままじゃあんた等が・・・」
「リタ・・・」
「私達が倒される、そう言いたいの? 貴女は私を、私達を信用出来ないの? 死ぬ気でやるんでしょ?」
「生憎とこいつ等に倒される程俺等はヤワじゃねえよ!」
「わたし達、負けませんから。リタ、その魔導器を助けてあげて下さい」
そう言うとリタは詠唱と構えをやめて、エステルの方に向き合って叫んだ
「・・・解ったわよ! 死ぬ気でやるってやるわよ。その代わり、あんた等も死ぬ気でやんなさいよ!」
「了解」
「はあ・・・やれやれ、んじゃま・・・死ぬ気でやりますか」
「輝いてる若人の仲間入りか?」
「みたいね。とはいえ、こいつは・・・なかなかしんどいね」
「軽口叩けるうちはまだ大丈夫だろ」
「いきなり前言撤回したくなってきた~」
「ちょっと遊んでないで、戦って!!」
「・・・止まったわっ!」
カロルがユーリとレイヴンにそう叫んだ直後、頂上からリタの嬉しそうな声が聞こえた
「流石リタ!」
「あらら・・・やったじゃない」
「・・・騎士団、引き上げて行くみたいね」
私は下にいる騎士団の様子を見てそう告げるとユーリ達もその様子を見た
「魔導器が止まったから? 何だったのかしら、彼等の目的は」
「まあ良いさ、とにかくこれでトートとの約束は果たした。ジュディ、頼む」
「ええ」
私達は武器を収めてそのまま頂上へ移動した
そして全員揃ったのを確認するとジュディスは私達の前に出て、トートから貰った鐘を鳴らし始める
辺りには鐘の音が鳴り響き、私達はその様子を暫く見ていた
すると突然、何か不思議な力を感じ私達は空を見るとそこに不思議なモノが現れた
「あ、あ、あ・・・」
「なんだ、ありゃ・・・!」
これにはこの場にいた全員が驚いた
「扉が開いた・・・あれがミョルゾ。クリティア族の故郷よ」
「・・・あれが・・・」
「こりゃあ・・・えらいもんだ」
空に現れたモノ、それは大きなクラゲみたいなモノだった
そしてその中に古代の建物っぽい物が見えた
長時間扉を開けておいてはもらえないらしく、私達は直ぐにフィエルティア号に乗り、バウルでミョルゾを目指した
続く
あとがき
とりあえず、此処で終わります!
前にも言ったけど、カロル先生、ホント成長しましたよねぇ~!!
ちょっとだけ、お母さん気分だよ(笑)
さて、遂にミョルゾに続く扉が開かれました
次回はそのミョルゾの街に入ります
では!
下書き:2008.12.25
完成:2009.07.31