満月の子編
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テムザ山でバウルが始祖の隷長に成長し、魔狩りの剣の追っ手が来ないうちに、私達はバウルに乗ってフィエルティア号まで戻った
そしてバウルは直ぐに船の帆を咥え、そのまま空へと飛んだ
今までの光景とは違う物が目に入り、各々景色を見ていると急にジュディスが倒れた
直ぐに兄さんとエステルが運び、ベッドに寝かせた
ジュディスは疲れが溜まっていた為、その場で倒れてしまった
兄さんとフキがジュディスの加勢に行ったとはいえ、ジュディスは兄さん達よりも倍睡眠を取っていなかったのだろう
フェローの居場所を知っているジュディスが休んでいて場所が解らない
けど今はジュディスを休ませるのを優先して私達も各自休憩を取る事になり、各々好きな所へ行くと兄さんも睡眠を取る為に部屋へと向かって行った
56.空模様
私は何をする訳でもなくただじっと流れる雲を眺めていた
「何か見えるか?」
「ユーリ・・・」
突然声が聞こえちらりと声の主を見るとユーリだった
「そうね、下を見れば色んな景色は見えるよ」
ユーリも隣に来て同じように景色を眺めだした
「「・・・・・」」
が、徐々に重たい空気が流れ出だしお互いに黙ってしまう
そんな中、
「ねえ、ユーリ」
先に口を開いたのは私だった
「私やジュディスや兄さんの事、怒ってる?」
私の言葉にユーリは少し間を置いて答えた
「・・・黙ってた事は、な。けど、リアやセイはギルドの人間じゃねえからケジメをつける事は出来ねえ」
「うん・・・。でも、ユーリはケジメ付けたいんでしょ?」
「ああ・・・」
私の言葉にユーリは深く頷いた
今のユーリはフレンと対立している時と同じような空気を持って私と兄さんに接している
実際黙ってた事は事実だからユーリが怒ってるのも仕方がない事だけど
でも、それはジュディスとの約束でもあったし、私自身も知らない事が多かった事だ
今は兄さんやアスラ達に大部話しを聞いたから知ってる事はユーリ達より多いけど、それは今話す事ではない
私自身もまだ解らない事が多いし、フェローに会って確かめたい事もあるし
だからフェローに会いに行くのならこのままユーリ達と一緒に行くのが妥当な線だろう
ジュディスや兄さんやエステルの事も気になるし・・・
それになりより、ユーリとこのままの状況が続くのはイヤだから・・・
「けど、リアもセイも重いモノ背負ってんのは解ってる」
そう思っていると急にユーリが私に向き合い真剣な顔をして一つ呼吸を置いて言葉を続けた
「オレ達よりずっとツライもん背負ってんだろ?」
ユーリの言葉に私は少し驚いて目を見開いた
どうしてユーリにはいつも見通されてるんだろう
やっぱり長い付き合いから解ってしまうのかもしれない
それが嬉しくもあり、悲しくもあった
「うん・・・。でも、今はツライとは思わないよ」
私は小さく微笑んで言うと今度はユーリが驚いた顔をした
ツラくないと言えば嘘になるけど、今はユーリ達がいるからツラくはない
ツライのは、ユーリとこの状況が続く事だから・・・
すると急にユーリが私の背中に腕を回し抱きしめた
「っ・・・ユーリ?」
「・・・ろ?」
「え?」
ユーリが小さく呟き、聞き取れずユーリを見ると少し悲しい顔をして私を見ていた
「お前はオレと・・・オレ達と今の状況が続くのが嫌なんだろ?」
「・・・うん」
私はユーリの服をギュッと握った
いつも優しく微笑んで、時々は悪戯っ子のような笑みを浮かべているけど、凄く頼りになる彼
下町のみんなからも頼りにされ、騎士団と揉め事を起こしたりと無茶な事ばっかりするけど、ユーリの側にいると落ち着く
それは昔からずっとだ
けど、今はその安心感が感じられない
原因は解ってはいるけど、それでもやっぱり切なくてツラくて私はまたユーリの服をギュッと握った
「ユーリとこんな険悪な空気になってるのは、イヤだよ」
最後の方は少し掠れたような声になってしまった
「やっと本音言ったな」
その言葉に驚いてユーリを見るといつもの笑みがそこにあった
「リアの本音聞いて安心した。オレもリアとこんな状況続くのイヤだしな」
「ユーリ・・・」
さっきまでの険悪な空気は何処かに去り、段々と穏やかな空気になり始めた
「リアが何を知ってて何を背負ってるかはわかんねえ。けど、ケジメは付けなきゃなんねえ。オレ自身もリア自身もな」
「うん・・・」
私は小さく頷き、ユーリがテムザ山で言っていた事を思い出した
「・・・ドンの覚悟を見てまだまだ甘かった事を思い知らされた。討たなきゃいけないヤツは討つ。例えそれが仲間でも始祖の隷長でも、友でも」
「フレンやフェローでもって事?」
「・・・ああ。それがオレの選んだ道だ」
だからユーリは私と兄さんに対して険悪な空気で接していた
それがユーリが決めた道だから
けど、それだけじゃないように思えた
ユーリが言った通り、私自身もユーリ自身もケジメを付けなきゃいけない
ギルドや情報屋や言霊使いとしてではなく、私自身で
「なら、今度ユーリが納得行く方法でケジメ付けよ?」
考えが纏まり、私は笑って答えるとユーリも笑って答えてくれた
「ああ。解った」
お互いに微笑み合うと険悪な空気は完全になくなり、穏やかな空気が漂っていた
安心して微笑んでいると、急にユーリが口を開いた
「・・・で、おっさんとエステルはいつまでそこに隠れてんだ?」
「えっ?」
「ちぇ~バレてたのね・・・」
ユーリの言葉に答えるかのようにレイヴンとエステルが扉から出て来た
その後ろにはカロルとリタもいた
「お前等まで一緒だったのかよ」
「あ、あたしはただ外の空気を吸いに来ただけで・・・」
「でもリタもエステルとレイヴンの後ろから見てたじゃん」
「う、うっさいっ///!」
リタはそう言ってカロルにチョップをするとカロルは涙目になって頭を抑えた
「みんな、いつからいたの?」
「え、えっと・・・」
「最初から、だよな」
ユーリが意地悪そうに言うとエステルはあたふたして直ぐに申し訳なさそうな顔をして私を見て謝った
「ご、ごめんなさい・・・つい・・・」
つい・・・って・・・ι
まあさっきの状況だと出てくるにも出てこれないかι
あまりにも考え込んでて全然気配なんて感じなかったんだけどねι
「で、あんた達はいつまでそうしてるつもり?」
「え?」
リタは少し顔を赤くして言い、私は今の状況を思い出す
今私はユーリに抱きしめられているんだった
「っ////!?」
私は顔を赤くして思いっきりユーリから離れると、ユーリは少し残念そうな顔をしていた
「あらら、残念だったわね。青年」
と、レイヴンが茶化すようにユーリに言っていたがユーリは気にした様子もなかったが、何処かエステルも残念そうな顔をしていたι
「でも、ユーリもリアも険悪な空気がなくなったから良かったよ!」
カロルの嬉しそうな声にエステルもはい!と答え、レイヴンはうむうむと頷きリタも少し安心した顔をしていた
(みんなにも心配させてたみたいね・・・)
そう思って小さく微笑んで口を開こうとしていると、エステル達が話しを始めた
「でもちょっと残念です」
「よねぇ。もうちょっと続き見たかったわよねぇ」
「はい・・・」
「邪魔したのおっさん達だろ」
「俺様達何にもしてないじゃない」
「エステルと一緒に覗いてただろ」
「そ、それは・・・」
「リタとカロルまで覗いてるしよ」
「だ、だからあたしは違うって言ってるでしょ!」
「なんで、ボク殴られるのぉ~」
さっきよりも痛そうな音が聞こえ、エステルは涙目になって頭を抑えているカロルに駆け寄った
さっきとは打って変わっていつもの空気と光景になり私は思わず笑い出してしまった
「リ、リア・・・?」
急に笑い出した私をエステル達はきょとんとして私を見ていた
「っ、ふふっ。ごめん、つい・・・」
少し離れていただけなのにこの雰囲気が懐かしく感じて思わず笑ってしまった
みんなとのこのやり取りがツライ事を忘れさせてくれる
どんなにツライものを背負っていてもみんなといると楽しくなる
だから私はツラくない
私は一呼吸置いてニッコリとしてみんなを見た
「ありがとう、みんな」
「「「「「っ///////!!」」」」」
私はそう言って部屋へと戻って行った
リアと話しを終えた後、扉の所でオレ達の様子を見ていたおっさんとエステルを呼び出すと、その後ろからはカロルとリタまで出て来た
ったく、揃いも揃って覗きやがって
オレ達は見せ物じゃねぇぞι
リアは考え込んでいた所為かおっさん達がいた事全然気付いてなかったみたいだけどな
その後おっさん達と話していると急にリアが笑い出した
何だ?と思ってオレ達は顔を見合わせた後エステルがリアに声をかけるとリアは笑うのを止め、一呼吸置いてオレ達を見た
「ありがとう、みんな」
「「「「「っ///////!」」」」」
満面の笑みで言われオレ達は顔を赤くしてそのまま固まってしまった
リアはそんなオレ達にお構いなくそのまま部屋へと戻って行った
「・・・リアのあの笑顔は反則です///」
最初に口を開いたのはエステルだった
「うん・・・不意打ちだよ///」
「あれで自覚ないんだから///」
だからこっちも困ってんだけどな・・・
・・自覚あってやってたらそれはそれで嫌だけどな
ま、リアの場合ずっと自覚しないだろうけどな
「でも青年、リアちゃんと仲直り出来て良かったわね」
急におっさんに話しを振られおっさんの方に顔を向けると顎に手を当てちらりとオレを見ると言葉を続けた
「好きな子と険悪な空気でいるってのは、おっさんも耐えられないからねぇ」
「個人的な意見は却下な」
「ヒドっ!!」
「ほら、オレ達もそろそろ休むぞ」
「うん、そうだね」
オレはおっさんの言葉を流してカロル達に声をかけ、部屋へと向かいだしその後にカロル達も続いた
「はあ・・・」
オレは部屋に戻るとそのままベッドに横になり、宙を仰いだ
リアとはちゃんと話しも出来るようになったし、険悪な空気もなくなった
ケジメを付ける、と言う事もお互いに言った
後はその付け方だ
「なら、今度ユーリが納得いく方法でケジメ付けよ?」
「ああ、解った」
そうは言ったがまだケジメの付け方を考えていない
それはセイもフレンもだが・・・
「甘い考えじゃオレの道に反しちまう・・・」
ならどうするか
ドンの覚悟を見て決意は決まったが、リアはギルドの人間じゃない
何より惚れた女だ
ケジメはオレが納得いく方法で、だ
そう思っているとふとあの時の事が過ぎった
「・・・そういや、ドンが言ってたあの言葉」
『おめぇはまだあの娘について知らない事が多すぎる。が、それはいずれ解る事だ』
最期にオレに告げた言葉だった
その後にしっかりとリアを護れ、と
リアとドンが情報屋として知っていたのは前から知っていた
そしてあの時にリアが言霊使いだと言う事を知っていたのを聞かされた
だが、ドンはそれ以上の事を知っている感じだった
「・・・ドン、あんたは一体リアの何を知ってたんだ?」
オレは答えが来る訳でもないのに宙に向かってそう呟いた
リアがフェローに会いに行くのも、ジュディが何か知ってるのも関係してるかもしんねえな・・・
「ま、その辺は明日話してくれるか・・・」
言うとオレは向きを代えて目を閉じた
続く
あとがき
お、終わった・・・
何とか書き上がった・・・
けど、ま~たプロットと違う仕上がりになった(笑)
此処で満月の子編終わるはずだったのに次回に続いてしまった(笑)
とりあえず、今回はリアちゃんとユーリが険悪ムードから抜けた所が書きたかったんです
みんなのやり取りはやっぱ書いてて楽しかった
特にリタっちとカロル君(笑)
さて、次回はついにフェローに会いに行きます!
それではっ!!
空模様…空模様。事のなりゆき。
下書き:2008.12.19
完成:2009.07.29
そしてバウルは直ぐに船の帆を咥え、そのまま空へと飛んだ
今までの光景とは違う物が目に入り、各々景色を見ていると急にジュディスが倒れた
直ぐに兄さんとエステルが運び、ベッドに寝かせた
ジュディスは疲れが溜まっていた為、その場で倒れてしまった
兄さんとフキがジュディスの加勢に行ったとはいえ、ジュディスは兄さん達よりも倍睡眠を取っていなかったのだろう
フェローの居場所を知っているジュディスが休んでいて場所が解らない
けど今はジュディスを休ませるのを優先して私達も各自休憩を取る事になり、各々好きな所へ行くと兄さんも睡眠を取る為に部屋へと向かって行った
56.空模様
私は何をする訳でもなくただじっと流れる雲を眺めていた
「何か見えるか?」
「ユーリ・・・」
突然声が聞こえちらりと声の主を見るとユーリだった
「そうね、下を見れば色んな景色は見えるよ」
ユーリも隣に来て同じように景色を眺めだした
「「・・・・・」」
が、徐々に重たい空気が流れ出だしお互いに黙ってしまう
そんな中、
「ねえ、ユーリ」
先に口を開いたのは私だった
「私やジュディスや兄さんの事、怒ってる?」
私の言葉にユーリは少し間を置いて答えた
「・・・黙ってた事は、な。けど、リアやセイはギルドの人間じゃねえからケジメをつける事は出来ねえ」
「うん・・・。でも、ユーリはケジメ付けたいんでしょ?」
「ああ・・・」
私の言葉にユーリは深く頷いた
今のユーリはフレンと対立している時と同じような空気を持って私と兄さんに接している
実際黙ってた事は事実だからユーリが怒ってるのも仕方がない事だけど
でも、それはジュディスとの約束でもあったし、私自身も知らない事が多かった事だ
今は兄さんやアスラ達に大部話しを聞いたから知ってる事はユーリ達より多いけど、それは今話す事ではない
私自身もまだ解らない事が多いし、フェローに会って確かめたい事もあるし
だからフェローに会いに行くのならこのままユーリ達と一緒に行くのが妥当な線だろう
ジュディスや兄さんやエステルの事も気になるし・・・
それになりより、ユーリとこのままの状況が続くのはイヤだから・・・
「けど、リアもセイも重いモノ背負ってんのは解ってる」
そう思っていると急にユーリが私に向き合い真剣な顔をして一つ呼吸を置いて言葉を続けた
「オレ達よりずっとツライもん背負ってんだろ?」
ユーリの言葉に私は少し驚いて目を見開いた
どうしてユーリにはいつも見通されてるんだろう
やっぱり長い付き合いから解ってしまうのかもしれない
それが嬉しくもあり、悲しくもあった
「うん・・・。でも、今はツライとは思わないよ」
私は小さく微笑んで言うと今度はユーリが驚いた顔をした
ツラくないと言えば嘘になるけど、今はユーリ達がいるからツラくはない
ツライのは、ユーリとこの状況が続く事だから・・・
すると急にユーリが私の背中に腕を回し抱きしめた
「っ・・・ユーリ?」
「・・・ろ?」
「え?」
ユーリが小さく呟き、聞き取れずユーリを見ると少し悲しい顔をして私を見ていた
「お前はオレと・・・オレ達と今の状況が続くのが嫌なんだろ?」
「・・・うん」
私はユーリの服をギュッと握った
いつも優しく微笑んで、時々は悪戯っ子のような笑みを浮かべているけど、凄く頼りになる彼
下町のみんなからも頼りにされ、騎士団と揉め事を起こしたりと無茶な事ばっかりするけど、ユーリの側にいると落ち着く
それは昔からずっとだ
けど、今はその安心感が感じられない
原因は解ってはいるけど、それでもやっぱり切なくてツラくて私はまたユーリの服をギュッと握った
「ユーリとこんな険悪な空気になってるのは、イヤだよ」
最後の方は少し掠れたような声になってしまった
「やっと本音言ったな」
その言葉に驚いてユーリを見るといつもの笑みがそこにあった
「リアの本音聞いて安心した。オレもリアとこんな状況続くのイヤだしな」
「ユーリ・・・」
さっきまでの険悪な空気は何処かに去り、段々と穏やかな空気になり始めた
「リアが何を知ってて何を背負ってるかはわかんねえ。けど、ケジメは付けなきゃなんねえ。オレ自身もリア自身もな」
「うん・・・」
私は小さく頷き、ユーリがテムザ山で言っていた事を思い出した
「・・・ドンの覚悟を見てまだまだ甘かった事を思い知らされた。討たなきゃいけないヤツは討つ。例えそれが仲間でも始祖の隷長でも、友でも」
「フレンやフェローでもって事?」
「・・・ああ。それがオレの選んだ道だ」
だからユーリは私と兄さんに対して険悪な空気で接していた
それがユーリが決めた道だから
けど、それだけじゃないように思えた
ユーリが言った通り、私自身もユーリ自身もケジメを付けなきゃいけない
ギルドや情報屋や言霊使いとしてではなく、私自身で
「なら、今度ユーリが納得行く方法でケジメ付けよ?」
考えが纏まり、私は笑って答えるとユーリも笑って答えてくれた
「ああ。解った」
お互いに微笑み合うと険悪な空気は完全になくなり、穏やかな空気が漂っていた
安心して微笑んでいると、急にユーリが口を開いた
「・・・で、おっさんとエステルはいつまでそこに隠れてんだ?」
「えっ?」
「ちぇ~バレてたのね・・・」
ユーリの言葉に答えるかのようにレイヴンとエステルが扉から出て来た
その後ろにはカロルとリタもいた
「お前等まで一緒だったのかよ」
「あ、あたしはただ外の空気を吸いに来ただけで・・・」
「でもリタもエステルとレイヴンの後ろから見てたじゃん」
「う、うっさいっ///!」
リタはそう言ってカロルにチョップをするとカロルは涙目になって頭を抑えた
「みんな、いつからいたの?」
「え、えっと・・・」
「最初から、だよな」
ユーリが意地悪そうに言うとエステルはあたふたして直ぐに申し訳なさそうな顔をして私を見て謝った
「ご、ごめんなさい・・・つい・・・」
つい・・・って・・・ι
まあさっきの状況だと出てくるにも出てこれないかι
あまりにも考え込んでて全然気配なんて感じなかったんだけどねι
「で、あんた達はいつまでそうしてるつもり?」
「え?」
リタは少し顔を赤くして言い、私は今の状況を思い出す
今私はユーリに抱きしめられているんだった
「っ////!?」
私は顔を赤くして思いっきりユーリから離れると、ユーリは少し残念そうな顔をしていた
「あらら、残念だったわね。青年」
と、レイヴンが茶化すようにユーリに言っていたがユーリは気にした様子もなかったが、何処かエステルも残念そうな顔をしていたι
「でも、ユーリもリアも険悪な空気がなくなったから良かったよ!」
カロルの嬉しそうな声にエステルもはい!と答え、レイヴンはうむうむと頷きリタも少し安心した顔をしていた
(みんなにも心配させてたみたいね・・・)
そう思って小さく微笑んで口を開こうとしていると、エステル達が話しを始めた
「でもちょっと残念です」
「よねぇ。もうちょっと続き見たかったわよねぇ」
「はい・・・」
「邪魔したのおっさん達だろ」
「俺様達何にもしてないじゃない」
「エステルと一緒に覗いてただろ」
「そ、それは・・・」
「リタとカロルまで覗いてるしよ」
「だ、だからあたしは違うって言ってるでしょ!」
「なんで、ボク殴られるのぉ~」
さっきよりも痛そうな音が聞こえ、エステルは涙目になって頭を抑えているカロルに駆け寄った
さっきとは打って変わっていつもの空気と光景になり私は思わず笑い出してしまった
「リ、リア・・・?」
急に笑い出した私をエステル達はきょとんとして私を見ていた
「っ、ふふっ。ごめん、つい・・・」
少し離れていただけなのにこの雰囲気が懐かしく感じて思わず笑ってしまった
みんなとのこのやり取りがツライ事を忘れさせてくれる
どんなにツライものを背負っていてもみんなといると楽しくなる
だから私はツラくない
私は一呼吸置いてニッコリとしてみんなを見た
「ありがとう、みんな」
「「「「「っ///////!!」」」」」
私はそう言って部屋へと戻って行った
リアと話しを終えた後、扉の所でオレ達の様子を見ていたおっさんとエステルを呼び出すと、その後ろからはカロルとリタまで出て来た
ったく、揃いも揃って覗きやがって
オレ達は見せ物じゃねぇぞι
リアは考え込んでいた所為かおっさん達がいた事全然気付いてなかったみたいだけどな
その後おっさん達と話していると急にリアが笑い出した
何だ?と思ってオレ達は顔を見合わせた後エステルがリアに声をかけるとリアは笑うのを止め、一呼吸置いてオレ達を見た
「ありがとう、みんな」
「「「「「っ///////!」」」」」
満面の笑みで言われオレ達は顔を赤くしてそのまま固まってしまった
リアはそんなオレ達にお構いなくそのまま部屋へと戻って行った
「・・・リアのあの笑顔は反則です///」
最初に口を開いたのはエステルだった
「うん・・・不意打ちだよ///」
「あれで自覚ないんだから///」
だからこっちも困ってんだけどな・・・
・・自覚あってやってたらそれはそれで嫌だけどな
ま、リアの場合ずっと自覚しないだろうけどな
「でも青年、リアちゃんと仲直り出来て良かったわね」
急におっさんに話しを振られおっさんの方に顔を向けると顎に手を当てちらりとオレを見ると言葉を続けた
「好きな子と険悪な空気でいるってのは、おっさんも耐えられないからねぇ」
「個人的な意見は却下な」
「ヒドっ!!」
「ほら、オレ達もそろそろ休むぞ」
「うん、そうだね」
オレはおっさんの言葉を流してカロル達に声をかけ、部屋へと向かいだしその後にカロル達も続いた
「はあ・・・」
オレは部屋に戻るとそのままベッドに横になり、宙を仰いだ
リアとはちゃんと話しも出来るようになったし、険悪な空気もなくなった
ケジメを付ける、と言う事もお互いに言った
後はその付け方だ
「なら、今度ユーリが納得いく方法でケジメ付けよ?」
「ああ、解った」
そうは言ったがまだケジメの付け方を考えていない
それはセイもフレンもだが・・・
「甘い考えじゃオレの道に反しちまう・・・」
ならどうするか
ドンの覚悟を見て決意は決まったが、リアはギルドの人間じゃない
何より惚れた女だ
ケジメはオレが納得いく方法で、だ
そう思っているとふとあの時の事が過ぎった
「・・・そういや、ドンが言ってたあの言葉」
『おめぇはまだあの娘について知らない事が多すぎる。が、それはいずれ解る事だ』
最期にオレに告げた言葉だった
その後にしっかりとリアを護れ、と
リアとドンが情報屋として知っていたのは前から知っていた
そしてあの時にリアが言霊使いだと言う事を知っていたのを聞かされた
だが、ドンはそれ以上の事を知っている感じだった
「・・・ドン、あんたは一体リアの何を知ってたんだ?」
オレは答えが来る訳でもないのに宙に向かってそう呟いた
リアがフェローに会いに行くのも、ジュディが何か知ってるのも関係してるかもしんねえな・・・
「ま、その辺は明日話してくれるか・・・」
言うとオレは向きを代えて目を閉じた
続く
あとがき
お、終わった・・・
何とか書き上がった・・・
けど、ま~たプロットと違う仕上がりになった(笑)
此処で満月の子編終わるはずだったのに次回に続いてしまった(笑)
とりあえず、今回はリアちゃんとユーリが険悪ムードから抜けた所が書きたかったんです
みんなのやり取りはやっぱ書いてて楽しかった
特にリタっちとカロル君(笑)
さて、次回はついにフェローに会いに行きます!
それではっ!!
空模様…空模様。事のなりゆき。
下書き:2008.12.19
完成:2009.07.29