水道魔導器奪還編
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休憩後、リア達は最初の目的地であるデイドン砦へと向かい、砦の中へ入ったのだった
02.デイドン砦
「何か騎士の数増えてない?」
アスラの言葉にリア達は周りに居る騎士達を見た
確かにリアが帝都に戻る時より騎士の数が増えていた
「ユーリを追って来た騎士でしょうか?」
「どうかな。ま、あんま目立たないようにな」
「そうね。エステルも気を付け・・・て、あれ?」
後ろにいるエステルに声を掛けたはずだったがその当人がいなかった
「・・・あっち」
アスラが言う方を見ればエステルは露天に並べられている1冊の本をまじまじと読んでいた
「・・・ホントに解ってんのかね」
「わふ・・・」
ユーリは溜息を吐きラピードと一緒にエステルの所まで行き、リアもその後に続いた
「いらっしゃい。おや、お嬢さんまた来たのかい」
「こんにちは、おじさん。また来ちゃいました」
そんな話しをしているとユーリが不思議そうにリアを見た
「知り合いなのか?」
「うん。こっちに戻って来る時に此処まで乗せてもらったの」
「お嬢さんには店の手伝いまでしてもらって助かったよ」
「乗せてもらったお礼ですよ。でもどうしてまだ此処にいるんですか?」
リアの疑問におじさんは砦の向こうを見ながら言った
「それが魔物が出るって言うから向こうに行けなくて此処で足止め食ってるんだよ」
「魔物か・・・」
「ああ、何でもかなり凶暴な魔物らしい。此処にいる連中はそれで足止め食らってんだよ」
おじさんの言葉にリア達は辺りを見渡した
旅人、商人、旅行者、家族連れ、どう見ても戦える人達ではない
それも凶暴な魔物と言われればその魔物がいなくなるまで此処に留まるしかないだろう
「情報有り難う御座います。じゃあ私達はこれで失礼します」
「ああ」
リアがおじさんに挨拶しているとユーリはエステルに声を掛け歩き出し、エステルはおじさんから本を貰いお礼を言ってユーリの後に続いた
「さて、どうするかね」
「どうって何がです?」
エステルの疑問にユーリ達は少し呆れた顔をした
「もしかして、さっきの話し聞いてなかった?」
「えっと、本に夢中で・・・」
ユーリは小さく溜息を吐き先程の話しを始めた
「この先に魔物が出るから今は通れないんだとさ」
「そんな、フレンが向かった花の街ハルルはこの先なのに・・・」
通れないと聞いて少し肩を落とすエステルとは別にリアは少し考えてユーリの方を見た
「ねえユーリ、少し情報集めしない?」
「そうだな。此処でじっとしてたら誰かさんが一人でフレンを追っ駆けそうだしな」
ユーリは横目でエステルを見るとエステルは一瞬きょとんとしてユーリとリアを見ると、二人は苦笑いしていた
「じゃあ後で合流しましょ」
そう言ってユーリ達と別の方向に歩き出そうとしたリアにエステルが慌てて声を掛けようとしたが、ユーリがエステルに声を掛けエステルは別の方向に行くリアを見た後ユーリの後を小走りで追い掛けた
ユーリ達と別れたリアは情報を集めつつ仕事の依頼人と会ったりと色々していていた
そして今は平原を見渡せる砦の上で情報屋に情報を聞いていた
「ありがとう。助かったわ」
「お役に立てたなら何よりです。それじゃあ失礼します」
情報屋はリアに別れを告げると砦の中へと戻って行きリアはそのままくるりと体制を変え、手を付いて平原を眺めだした
「とりあえず越え方は見つかったね」
「うん、でもまさかあそこを通る事になるなんてね(苦笑)」
先程の情報屋の情報で平原の越え方見つかったが、どうもその道が引っかかるようだった
「ま、丁度良かったんじゃない?」
「そうね。でもユーリはともかく心配なのはエステルよね」
「あー確かに、ダメそうだしね」
一体何の話しをしているのだろうと思われる会話を繰り広げているリアとアスラ
だが、アスラの姿は普通の人には見えない為、端から見ればリアが独り言を言っているようにしか見えないが、此処にはリアとアスラしかいないのでその心配はない
見えたとしても犬か猫に話し掛けているようにしか見えないだろう
「さて、じゃあそろそろユーリと合流しようか」
話も纏まりリアが踵を返そうとしていると人の気配がした
振り返えると不思議な雰囲気を纏った銀髪の長髪の男がリアとリアの隣を見ていた
(・・・もしかしてこの人、アスラの事見えてる?)
そんな疑問を思って男を見ていると男がアスラを見て普通の人なら知らない事を言った
「・・・式神と言霊使いか」
「「!」」
男の言葉にリアとアスラは驚き警戒した
「へえ、式神や言霊使いの事知ってるって事はただ者じゃないよね?」
「・・・・」
アスラの問に男は答えず黙ったままお互いに睨み合うような形になった
が、
カーン カーン カーン
「な、何!?」
突然危険を知らせる警戒音が鳴った
それと同時に物凄い地響きが聞こえだした
「リア、向こう!!」
アスラの声に反応し振り返って平原を見てみると魔物の群れがこの砦を目掛けて走って来ていた
「! あれは、平原の主!?」
「早く入りなさい!! 門が閉まるわ!!」
魔物の正体に驚いていると女性の声が聞こえ砦の下を見てみると人々が次々に砦の中へと入って来ていたが、見張りの騎士達は急いで門を閉じようとしていた
だが、平原には小さな女の子と足を怪我した青年が残されていた
「このままじゃあの二人が危ないよ!」
「解ってる! 行くよ、アスラ!」
「了解!!」
「おい! あぶなっ!!」
アスラの返事を聞くとリアは見張りの騎士の制止の声を気にする事なく砦に足を掛けそのまま砦を飛び越え平原へと降りて行った
平原に降りる途中、エステルがユーリの横をすり抜け青年の方に向かって行ったのが見えた
リアは着地すると砦の上を見たが先程の男の姿と気配はなかった
それを確認するとユーリの元へと向かった
「ユーリ!!」
「リア!! お前どっから!?」
「上からだよ。それより女の子を!!」
「ああ!!」
ユーリはそのまま女の子の元へと走って行き、女の子を抱えて戻って来ていたが途中で女の子が人形を落としてしまった
それを見たリアは戻って来ている二人の横をすり抜け人形を拾いに行った
「おい、リア!!」「リア!!」
すり抜ける時にユーリとエステルがリアの名前を呼んだがリアはアスラと共に人形を拾いに行った
人形を手に取ると直ぐに踵を返し走り出すと門が再度動き出していた
「リア、急げ!!」
砦の入り口でユーリが叫ぶとエステルも心配そうな顔をして叫んでいた
そんな二人を見てリアは苦笑いして走るスピードを上げ門に向かい、もう少しで門が閉まるという時にリアは門の中に入った
数秒後、平原の主達は門に体当たりをするように門にぶつかり地響きが鳴った
リアはそれを横目で確認すると女の子に目線を合わせるように座り優しく微笑み人形を渡した
「はい、お人形」
「ありがとう、おねーちゃん!!」
人形を渡すと少女は嬉しそうに微笑み近くにいた母親と、先程エステルが治療した男が感謝した
「なんとお礼を言えばいいか」
「怪我まで治してもらって、本当に助かりました」
「いえ、皆さんが無事で何よりです」
リアは笑顔で言うと母親と男がまたお礼を言い、女の子は人形を大事に抱えリアに手を振って母親と手を繋いで歩いて行った
その姿を見てエステルは嬉しそうに言った
「・・・みんなが無事で本当に良かった・・・あ、あれ?」
すると、安心して力が抜けたのかエステルは地面に座り込んだ
「安心した途端それかよ」
ユーリとリアは苦笑しエステルのようにその場に座った
「結界の外って、凶暴な魔物が沢山いてこんなに危険だったんですね」
「あんな大群でこられたら、結界が欲しくなるな」
「此処に、結界魔導器を設置出来ないんでしょうか?」
エステルは首を傾げリアは寄ってきたラピードを撫でながら答えた
「無理でしょうね。結界は貴重品だし今の技術じゃ作り出せないから」
「それにそんな技術があればもっと良い暮らしが出来てると思うけど・・・」
「けど・・・?」
「帝国が民衆の為にってのはちょっと想像しにくいな」
「同感」「同感だね」
ユーリとリアとアスラの言葉にエステルは肩を落とした
すると1人の騎士がこちらへとやって来るのが見え座っていたリア達は立ち上がり、騎士を見た
「そこの3人、少し話を聞かせてもらいたい」
どうするべきか、そう悩んでいると怒りを含んだ男の声が聞こえた
「だから、何故に通さんのだ! 魔物など俺様がこの拳で、ノックアウトしてやるものを!」
3人と騎士はその声主を見た
緑色のフードを被った今怒鳴った男と、腕を組み、いかにも強そうな男と困惑している騎士の姿が目に入った
「簡単に倒せる魔物じゃない! 何度言えば解るんだ!」
「貴様は我々の実力を侮ると言うのだな?」
そうフードを被った男が言えば、もう1人の男は背中に掛けてある大剣を手にした
「や、やめろ!」
その騒ぎを聞きつけ見張りの騎士達が集まって来た
「今のうちに逃げよう」
アスラの判断にリア達は頷きその場を離れた
「やっぱあの様子じゃ門を抜けんのは無理だな」
「そんな・・・」
エステルは悲しそうな顔をして肩を落としたがリアは苦笑してエステルに声を掛けようとした時だった
「ねえ、貴方達、私の下で働かない?」
突然後ろから女性の声が聞こえた
声の主に視線をやれば赤髪に眼鏡を掛けた女性とサングラスを掛け深い緑の髪をした男性がいた
「報酬は弾むわよ」
女性はユーリとリアを交互に見てお金の入った袋を見せた
ユーリは興味がなさそうに視線を外しリアは小さく溜息を吐いた
「社長 に対して、失礼だぞ。返事はどうした」
「名乗りもせずに金で吊るのは失礼って言わないんだな。いや、勉強になったわ」
「そうね。でも、これは失礼だと思いますけど」
ユーリは視線を向けず、リアは苦笑しながら言った
「お前等っ!」
男が痺れを切らしたのかこちらに足を踏み出したが、女は男の前に腕を出して止めた
「予想通り面白い子達ね。私はギルド『幸福の市場 』のカウフマンよ。商売から流通までを仕切らせてもらってるわ」
「ふ~ん、ギルドね・・・」
ユーリは相変わらず興味がなさそうに小さく呟いた
すると、大きく地面が揺れた
「私、今困っているのよ。この地響きの元凶の所為で」
「・・・平原の主、ですか」
ユーリ達は首を傾げ、カウフマンは嬉しそうに微笑んだ
「あら、貴女良く知ってるじゃない」
「平原の主?」
「平原の主はあの大群の親玉の事よ」
「あの群れの親玉って・・・世の中すげえのがいるな」
ユーリの言葉にリアとアスラは苦笑しているとエステルは困ったようにカウフマンに近付いた
「何処か別の道から平原を越えられませんか? 先を急いでいるんです」
「さあ? 平原の主が去るのを、待つしかないんじゃない?」
カウフマンは何食わぬ顔で言った
リア達は肩を竦めなんと嘘が上手い事・・・と思った
「焦っても仕方ねえって訳だ」
ユーリがそういえば、エステルは真剣な表情をしてこちらへ寄って来た
「待ってなんていられません。わたし他の人にも聞いてきます!」
「あ、エステル!」
リアが声を掛けるがエステルはそのまま走って行きその後をラピードと一緒に追い掛けた
エステルを追い駆けるとエステルはテントの前に座っていた
「エステル」
「リア。あの、ユーリは?」
「ユーリならまだお話中」
リアもエステルの横に座り、その横にラピードが座ったので撫でてあげた
「ねえエステル。平原を越える方法だけど」
その言葉にエステルはリアを見た
「エステル達と別れた後、情報屋に聞いたら越え方が解ったの」
「本当ですか!」
「ええ」
「お、なんだ、エステルの機嫌が直ってるじゃねーか」
「あ、ユーリ」
そう言うとエステルは嬉しそうな顔をして立ち上がると、話し終わったユーリがやって来た
「リアが平原の越え方を見つけたそうなんです!」
「へぇ奇遇だな。オレもついさっき見つけた所だ」
「やっぱり越えるにはあそこを通るみたいだよ」
アスラがリアの元に戻って来て小声で言うとリアはそっかと言ってユーリとエステルを見た
「それじゃあ行きましょうか」
「ああ」「はい!」「ワン!」
それぞれの返事を聞くとリア達は西にあるクオイの森を目指して行った
続く
あとがき
だぁ~やっと2話書けたぁ~~~
あ、どうも遥嘩です
今回はデイドン砦の話しだけで書いてみました
とりあえず書きたかったのはやっぱりデュークとの出会いのシーンです
此処見た時からずっとデュークとの出会いは書きたかったので
何故かって?
それは今後の話しに影響してくるからですvv
・・・でも、思ったより短かったし書けなかったのが残念でふ(泣)
さて、次はいよいよカロル先生の登場です
どう関わってくるか楽しみです(笑)
それでは次回も頑張って書きます!!(笑)
2008.10.26
02.デイドン砦
「何か騎士の数増えてない?」
アスラの言葉にリア達は周りに居る騎士達を見た
確かにリアが帝都に戻る時より騎士の数が増えていた
「ユーリを追って来た騎士でしょうか?」
「どうかな。ま、あんま目立たないようにな」
「そうね。エステルも気を付け・・・て、あれ?」
後ろにいるエステルに声を掛けたはずだったがその当人がいなかった
「・・・あっち」
アスラが言う方を見ればエステルは露天に並べられている1冊の本をまじまじと読んでいた
「・・・ホントに解ってんのかね」
「わふ・・・」
ユーリは溜息を吐きラピードと一緒にエステルの所まで行き、リアもその後に続いた
「いらっしゃい。おや、お嬢さんまた来たのかい」
「こんにちは、おじさん。また来ちゃいました」
そんな話しをしているとユーリが不思議そうにリアを見た
「知り合いなのか?」
「うん。こっちに戻って来る時に此処まで乗せてもらったの」
「お嬢さんには店の手伝いまでしてもらって助かったよ」
「乗せてもらったお礼ですよ。でもどうしてまだ此処にいるんですか?」
リアの疑問におじさんは砦の向こうを見ながら言った
「それが魔物が出るって言うから向こうに行けなくて此処で足止め食ってるんだよ」
「魔物か・・・」
「ああ、何でもかなり凶暴な魔物らしい。此処にいる連中はそれで足止め食らってんだよ」
おじさんの言葉にリア達は辺りを見渡した
旅人、商人、旅行者、家族連れ、どう見ても戦える人達ではない
それも凶暴な魔物と言われればその魔物がいなくなるまで此処に留まるしかないだろう
「情報有り難う御座います。じゃあ私達はこれで失礼します」
「ああ」
リアがおじさんに挨拶しているとユーリはエステルに声を掛け歩き出し、エステルはおじさんから本を貰いお礼を言ってユーリの後に続いた
「さて、どうするかね」
「どうって何がです?」
エステルの疑問にユーリ達は少し呆れた顔をした
「もしかして、さっきの話し聞いてなかった?」
「えっと、本に夢中で・・・」
ユーリは小さく溜息を吐き先程の話しを始めた
「この先に魔物が出るから今は通れないんだとさ」
「そんな、フレンが向かった花の街ハルルはこの先なのに・・・」
通れないと聞いて少し肩を落とすエステルとは別にリアは少し考えてユーリの方を見た
「ねえユーリ、少し情報集めしない?」
「そうだな。此処でじっとしてたら誰かさんが一人でフレンを追っ駆けそうだしな」
ユーリは横目でエステルを見るとエステルは一瞬きょとんとしてユーリとリアを見ると、二人は苦笑いしていた
「じゃあ後で合流しましょ」
そう言ってユーリ達と別の方向に歩き出そうとしたリアにエステルが慌てて声を掛けようとしたが、ユーリがエステルに声を掛けエステルは別の方向に行くリアを見た後ユーリの後を小走りで追い掛けた
ユーリ達と別れたリアは情報を集めつつ仕事の依頼人と会ったりと色々していていた
そして今は平原を見渡せる砦の上で情報屋に情報を聞いていた
「ありがとう。助かったわ」
「お役に立てたなら何よりです。それじゃあ失礼します」
情報屋はリアに別れを告げると砦の中へと戻って行きリアはそのままくるりと体制を変え、手を付いて平原を眺めだした
「とりあえず越え方は見つかったね」
「うん、でもまさかあそこを通る事になるなんてね(苦笑)」
先程の情報屋の情報で平原の越え方見つかったが、どうもその道が引っかかるようだった
「ま、丁度良かったんじゃない?」
「そうね。でもユーリはともかく心配なのはエステルよね」
「あー確かに、ダメそうだしね」
一体何の話しをしているのだろうと思われる会話を繰り広げているリアとアスラ
だが、アスラの姿は普通の人には見えない為、端から見ればリアが独り言を言っているようにしか見えないが、此処にはリアとアスラしかいないのでその心配はない
見えたとしても犬か猫に話し掛けているようにしか見えないだろう
「さて、じゃあそろそろユーリと合流しようか」
話も纏まりリアが踵を返そうとしていると人の気配がした
振り返えると不思議な雰囲気を纏った銀髪の長髪の男がリアとリアの隣を見ていた
(・・・もしかしてこの人、アスラの事見えてる?)
そんな疑問を思って男を見ていると男がアスラを見て普通の人なら知らない事を言った
「・・・式神と言霊使いか」
「「!」」
男の言葉にリアとアスラは驚き警戒した
「へえ、式神や言霊使いの事知ってるって事はただ者じゃないよね?」
「・・・・」
アスラの問に男は答えず黙ったままお互いに睨み合うような形になった
が、
カーン カーン カーン
「な、何!?」
突然危険を知らせる警戒音が鳴った
それと同時に物凄い地響きが聞こえだした
「リア、向こう!!」
アスラの声に反応し振り返って平原を見てみると魔物の群れがこの砦を目掛けて走って来ていた
「! あれは、平原の主!?」
「早く入りなさい!! 門が閉まるわ!!」
魔物の正体に驚いていると女性の声が聞こえ砦の下を見てみると人々が次々に砦の中へと入って来ていたが、見張りの騎士達は急いで門を閉じようとしていた
だが、平原には小さな女の子と足を怪我した青年が残されていた
「このままじゃあの二人が危ないよ!」
「解ってる! 行くよ、アスラ!」
「了解!!」
「おい! あぶなっ!!」
アスラの返事を聞くとリアは見張りの騎士の制止の声を気にする事なく砦に足を掛けそのまま砦を飛び越え平原へと降りて行った
平原に降りる途中、エステルがユーリの横をすり抜け青年の方に向かって行ったのが見えた
リアは着地すると砦の上を見たが先程の男の姿と気配はなかった
それを確認するとユーリの元へと向かった
「ユーリ!!」
「リア!! お前どっから!?」
「上からだよ。それより女の子を!!」
「ああ!!」
ユーリはそのまま女の子の元へと走って行き、女の子を抱えて戻って来ていたが途中で女の子が人形を落としてしまった
それを見たリアは戻って来ている二人の横をすり抜け人形を拾いに行った
「おい、リア!!」「リア!!」
すり抜ける時にユーリとエステルがリアの名前を呼んだがリアはアスラと共に人形を拾いに行った
人形を手に取ると直ぐに踵を返し走り出すと門が再度動き出していた
「リア、急げ!!」
砦の入り口でユーリが叫ぶとエステルも心配そうな顔をして叫んでいた
そんな二人を見てリアは苦笑いして走るスピードを上げ門に向かい、もう少しで門が閉まるという時にリアは門の中に入った
数秒後、平原の主達は門に体当たりをするように門にぶつかり地響きが鳴った
リアはそれを横目で確認すると女の子に目線を合わせるように座り優しく微笑み人形を渡した
「はい、お人形」
「ありがとう、おねーちゃん!!」
人形を渡すと少女は嬉しそうに微笑み近くにいた母親と、先程エステルが治療した男が感謝した
「なんとお礼を言えばいいか」
「怪我まで治してもらって、本当に助かりました」
「いえ、皆さんが無事で何よりです」
リアは笑顔で言うと母親と男がまたお礼を言い、女の子は人形を大事に抱えリアに手を振って母親と手を繋いで歩いて行った
その姿を見てエステルは嬉しそうに言った
「・・・みんなが無事で本当に良かった・・・あ、あれ?」
すると、安心して力が抜けたのかエステルは地面に座り込んだ
「安心した途端それかよ」
ユーリとリアは苦笑しエステルのようにその場に座った
「結界の外って、凶暴な魔物が沢山いてこんなに危険だったんですね」
「あんな大群でこられたら、結界が欲しくなるな」
「此処に、結界魔導器を設置出来ないんでしょうか?」
エステルは首を傾げリアは寄ってきたラピードを撫でながら答えた
「無理でしょうね。結界は貴重品だし今の技術じゃ作り出せないから」
「それにそんな技術があればもっと良い暮らしが出来てると思うけど・・・」
「けど・・・?」
「帝国が民衆の為にってのはちょっと想像しにくいな」
「同感」「同感だね」
ユーリとリアとアスラの言葉にエステルは肩を落とした
すると1人の騎士がこちらへとやって来るのが見え座っていたリア達は立ち上がり、騎士を見た
「そこの3人、少し話を聞かせてもらいたい」
どうするべきか、そう悩んでいると怒りを含んだ男の声が聞こえた
「だから、何故に通さんのだ! 魔物など俺様がこの拳で、ノックアウトしてやるものを!」
3人と騎士はその声主を見た
緑色のフードを被った今怒鳴った男と、腕を組み、いかにも強そうな男と困惑している騎士の姿が目に入った
「簡単に倒せる魔物じゃない! 何度言えば解るんだ!」
「貴様は我々の実力を侮ると言うのだな?」
そうフードを被った男が言えば、もう1人の男は背中に掛けてある大剣を手にした
「や、やめろ!」
その騒ぎを聞きつけ見張りの騎士達が集まって来た
「今のうちに逃げよう」
アスラの判断にリア達は頷きその場を離れた
「やっぱあの様子じゃ門を抜けんのは無理だな」
「そんな・・・」
エステルは悲しそうな顔をして肩を落としたがリアは苦笑してエステルに声を掛けようとした時だった
「ねえ、貴方達、私の下で働かない?」
突然後ろから女性の声が聞こえた
声の主に視線をやれば赤髪に眼鏡を掛けた女性とサングラスを掛け深い緑の髪をした男性がいた
「報酬は弾むわよ」
女性はユーリとリアを交互に見てお金の入った袋を見せた
ユーリは興味がなさそうに視線を外しリアは小さく溜息を吐いた
「
「名乗りもせずに金で吊るのは失礼って言わないんだな。いや、勉強になったわ」
「そうね。でも、これは失礼だと思いますけど」
ユーリは視線を向けず、リアは苦笑しながら言った
「お前等っ!」
男が痺れを切らしたのかこちらに足を踏み出したが、女は男の前に腕を出して止めた
「予想通り面白い子達ね。私はギルド『
「ふ~ん、ギルドね・・・」
ユーリは相変わらず興味がなさそうに小さく呟いた
すると、大きく地面が揺れた
「私、今困っているのよ。この地響きの元凶の所為で」
「・・・平原の主、ですか」
ユーリ達は首を傾げ、カウフマンは嬉しそうに微笑んだ
「あら、貴女良く知ってるじゃない」
「平原の主?」
「平原の主はあの大群の親玉の事よ」
「あの群れの親玉って・・・世の中すげえのがいるな」
ユーリの言葉にリアとアスラは苦笑しているとエステルは困ったようにカウフマンに近付いた
「何処か別の道から平原を越えられませんか? 先を急いでいるんです」
「さあ? 平原の主が去るのを、待つしかないんじゃない?」
カウフマンは何食わぬ顔で言った
リア達は肩を竦めなんと嘘が上手い事・・・と思った
「焦っても仕方ねえって訳だ」
ユーリがそういえば、エステルは真剣な表情をしてこちらへ寄って来た
「待ってなんていられません。わたし他の人にも聞いてきます!」
「あ、エステル!」
リアが声を掛けるがエステルはそのまま走って行きその後をラピードと一緒に追い掛けた
エステルを追い駆けるとエステルはテントの前に座っていた
「エステル」
「リア。あの、ユーリは?」
「ユーリならまだお話中」
リアもエステルの横に座り、その横にラピードが座ったので撫でてあげた
「ねえエステル。平原を越える方法だけど」
その言葉にエステルはリアを見た
「エステル達と別れた後、情報屋に聞いたら越え方が解ったの」
「本当ですか!」
「ええ」
「お、なんだ、エステルの機嫌が直ってるじゃねーか」
「あ、ユーリ」
そう言うとエステルは嬉しそうな顔をして立ち上がると、話し終わったユーリがやって来た
「リアが平原の越え方を見つけたそうなんです!」
「へぇ奇遇だな。オレもついさっき見つけた所だ」
「やっぱり越えるにはあそこを通るみたいだよ」
アスラがリアの元に戻って来て小声で言うとリアはそっかと言ってユーリとエステルを見た
「それじゃあ行きましょうか」
「ああ」「はい!」「ワン!」
それぞれの返事を聞くとリア達は西にあるクオイの森を目指して行った
続く
あとがき
だぁ~やっと2話書けたぁ~~~
あ、どうも遥嘩です
今回はデイドン砦の話しだけで書いてみました
とりあえず書きたかったのはやっぱりデュークとの出会いのシーンです
此処見た時からずっとデュークとの出会いは書きたかったので
何故かって?
それは今後の話しに影響してくるからですvv
・・・でも、思ったより短かったし書けなかったのが残念でふ(泣)
さて、次はいよいよカロル先生の登場です
どう関わってくるか楽しみです(笑)
それでは次回も頑張って書きます!!(笑)
2008.10.26