満月の子編
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私とユーリとフレンと兄さん
私達は年が近い、家が近いものあってか、子供の頃からずっと一緒だった
兄さんは少し年上だから私を含めユーリとフレンの面倒を良く見てくれていた
ユーリとフレンにとっても兄さんはお兄ちゃんポジションだった
いつも四人一緒で下町では仲が良いと有名だった
仕事で下町を離れている時以外は毎日と言っていいほど私達は一緒にいた
時々ケンカをしたりもしたが、それも直ぐに仲直りしていた
年齢が上がっていくに連れ、ケンカや対立したりっていうのは増えてきたが、それでも私達はお互いの事を大事に思っていた
二人が騎士団に入ってからは私と兄さんも仕事の方が忙しくなり、下町に戻る機会も少なくなり会える機会も減ったけど、手紙のやり取りをしてお互いの状況を解っていた
ユーリとフレンが対立していたのは騎士団にいた時もだった
それは一番あの事があるからかもしれないけど・・・
それでも皆、それぞれの考えで生きているのだから対立してしまうのは仕方のない事だ
それが私達の生き方だから・・・
52.Falling clock's sand
白い世界、そこから段々と鳥の囀りが聞こえ、その声につられるように現実に引き戻されていく
「・・・・・」
違う世界の色が見え、ゆっくりと瞼を開いていくと徐々に周りの景色も目に映る
「・・・・・」
最初に目に入ったものは板張りされた茶色い天井だった
息を吸うと空気はとても澄んでいて緑豊かな新鮮な空気だった
この感覚、そしてこの懐かしい空気と天井
此処は・・・
「・・・故郷・・・」
ゆっくりと口を開くと人の気配がした
「リア、気が付いた?」
その懐かしい声に惹かれるように私は声の主を見た
そこにいたのはピンクの髪のショートヘアーの女性だった
「・・・イサキ。久しぶり」
イサキと呼ばれた女性はにこりと笑って起き上がろうとしていた私を支えて起こしてくれた
「久しぶり、もう起きても平気?」
「うん・・・」
彼女はイサキ
此処、言霊使いの故郷の生まれで言霊使いの見習いで私の親友
イサキの家は私の家に仕えている一族で故郷にいる時の護衛役でもある
けど、私もイサキもそんな事は気にせずお互いに仲良くしている
「私、どれくらい寝てた?」
「リアが運ばれて来てもう二日位かな」
「二日・・・」
(あれから二日も経ったんだ・・・)
そう思っていると部屋の戸が開き、茶色のロングヘアーの女性が入って来た
「リア様、お目覚めになったのですね」
「ハクスイ・・・」
彼女はハクスイ
アスラとフキと同じく十二神将の一人
戦闘がメインのアスラとフキとは違いハクスイは回復がメインであまり故郷の外に出る事はない
ハクスイは戸を閉じてイサキの隣に座った
「ハクスイ、久しぶり。兄さんとアスラとフキは?」
「お久しぶりです、リア様。セイ様とアスラとフキは今部屋にいらっしゃいます」
「そっか・・・」
「呼んで参りましょうか?」
「じゃあお願いしても良い?」
「はい。では・・・」
ハクスイはすっとお辞儀をして部屋を出て行った
「相変わらずハクスイは綺麗で礼儀正しいよねえ」
「うん。ねえイサキ、私が寝てる間何があったか教えてくれる?」
「もう・・・まずは自分の事心配してよね」
「あははι でも、今はそれどころじゃないから・・・」
「・・・解った。じゃあセイがリアを運んで来た所から話すね」
私の真剣な顔を見てイサキは溜息を吐いて話し出した
*
場所は変わってこちらはフィエルティア号
リア達が立ち去った後、騒動は収まったが駆動魔導器が壊れてしまい今フィエルティア号は海を漂流していた
駆動魔導器はリタが何とか動けるように頑張っていて、レイヴンはハリーの側にいて、カロルとエステルとラピードは別々の場所にいた
「ユーリ・・・」
オレの姿を見つけると、カロルがオレに近付いて来てエステルもオレに顔を向けた
「ねえ・・・ユーリ、フレンが言ってた事だけど・・・」
「・・・・」
「・・・あれって、本当なの?」
「・・・・」
カロルの言葉にエステルも黙ってオレの言葉を待った
「本当だ」
「誤魔化さないんだ」
「言わないといけねえとはずっと思ってた。悪かった」
「ボク達には悪いと思っても、人を殺めた事は後悔してないんだね」
「ああ」
「・・・でも、その事リアは・・・」
「知ってる」
「「!」」
オレの言葉にまたカロルとエステルは驚く
「あいつはオレがラゴウもキュモールを手に懸けた事を知ってるし、実際に見てる。それでもオレの正義を見届けるって言って側を離れなかった」
「「・・・・・」」
「けど、フレンと言い合ってる時はツラそうだったけどな・・・」
「うん・・・それはさっき見てて思った」
「リア、今にも泣きそうな顔してました・・・」
あの状況でエステル達もに伝わるほど、ツライ思いをしてたのか・・・
本当ならまた抱きしめて胸を貸してやっていた
けどジュディが去った後、突然意識を失って倒れた
揺さぶっても全然反応がなく、エステルが治癒術を掛けようとしたらセイがそれを止め、アスラとフキと共に何処かへ消えた
「・・・です」
思いに耽っていると突然エステルが口を開いた
「さっきのでまた色々と解らない事が増えました。ベリウスの事、ジュディスの事も色々と・・・でも、今心配なのはリアの事です」
「突然倒れたからね。揺さぶっても全然反応がなかったし・・・」
「原因を知ってるのはセイとアスラとフキだけだろうしな」
「話し聞こうにも今はいないから聞けないしね・・・」
いつの間にかおっさんがオレ達の所に来て話しに加わっていた
「・・・とにかく、今は駆動魔導器が動くように祈ってようぜ。話しはそれからだ」
「「「・・・・」」」
「お前等も早く休めよ」
そう言ってオレは部屋に向かって歩き出すとラピードがオレの後を追い掛けて来て一緒に部屋に入った
「・・・ユーリ、無理してますね」
「リアちゃんの事が心配なんでしょ」
「ボク達もだけど、一番心配してるのはユーリだからね」
三人の間に少し沈黙が流れる
「・・・リア、無事ですよね」
「そう願ってましょ」
「そうだね・・・。セイもアスラもいるんだから大丈夫だよね」
「そそ。じゃ、俺達もそろそろ休みますか」
「はい」「うん」
そう言ってレイヴン達も部屋へと向かい出した
「・・・無事に戻って来なかったら、ただじゃおかないんだから・・・」
駆動魔導器を見ながらユーリ達の話しを聞いていたリタはそう小さく呟いたのだった
*
「目覚めたか」
「兄さん、アスラ、フキ・・・」
イサキがこれまでの事を話し終えたのと同時に兄さんはアスラとフキと一緒に部屋の戸を開け部屋に入って来た
「もうだいぶ良いみたいだな」
「うん、二日も寝てたみたいだし」
フキは私の顔色を確認すると、兄さんもアスラも少し安心した顔をした
「話しはイサキから聞いたみたいだね」
「うん。でもまだ解らない事があって・・・」
「その辺は今から話してる。イサキ、悪いけど席外してもらっても良いか?」
「うん。じゃあリア、また後でね」
イサキはそう言って部屋を出て行き、兄さんはイサキが座っていた所に座った
「で、聞きたい事だが・・・お前が倒れた原因は二つ」
「二つ・・・?」
「一つは満月の子の力に触れすぎた事」
「それって、エステルの事よね?」
「ああ。普段ならあんまり影響はないんだが、リアやセイみたいに力が強いと言霊使いの力が不安定になるんだ」
「ヘリオードん時に立ち眩みがしただろ。それはその所為だ」
「でも、何で・・・。エステルに治癒術を掛けて貰っても何も起こらなかったのに・・・」
「始祖の隷長みたいになる訳じゃないけど、多少影響を受けちゃうだんよ」
「特にリアもエステルも稀な力の持ち主だ。それが干渉し合うと力の安定が利かなくなってしまう」
「・・・・」
だから、デュークはあんな事を言ったのだろう
「兄さんはどうもないの?」
「ないとは言えない。実際ベリウスが暴走してる時に力が安定しなかったしな」
「そう言えばそうだったね。それでもう一つの原因は?」
「・・・アスラ、フキ」
兄さんは静かにそう告げると、アスラとフキは姿を消した
どうやら此処からは兄さんと二人だけで話すようだ
「もう一つの原因は精神的なものだ」
「・・・精神的?」
「原因はユーリとフレン、と言った方が早いか?」
「っ!」
その言葉に胸がズキンと痛んだ
「ユーリがラゴウとキュモールを手に懸けてフレンとマンタイクで対立してから、だな。精神的にきてたのは」
「っ! 兄さん知って・・・」
「俺達が知らないとでも思ったか? ラゴウの時から知ってたぞ。お前もユーリもガキん時から面倒見てんだ。言わなくても大体解るって」
“達”と言うのは勿論アスラもフキも含まれているのだろう
確かにアスラ達式神は姿を消して遠視をして私達にその場を見せてくれる
実際ラゴウの時に私はそうしてユーリの行動を見ていた
あの時、兄さんもユーリの行動に薄々気が付いていたのだろう
「お前とユーリがフレンと別れた後は知らねえけどな」
気を遣ってなのか、それとも本当に知らないのか兄さんはそう告げた
「その後は追い打ちを掛けるように色々とあったからな。ベリウスやジュディス、んで、ユーリとフレンの対立・・・」
「・・・・・」
その言葉に私は少しずつだが目尻が熱くなり出した
途端、ポンと兄さんの手が私の頭に乗った
「本音聞いてやる。話せ」
そんな私を見て兄さんは優しく笑ってそう告げ、私はゆっくりと口を開き話しを始めた
「ユーリとフレンが対立してるの・・・見ててツラかった・・・。どっちの考えも正しいし間違ってるとも言えるけど、でも・・・」
「・・・この仕事してりゃ救える命があるなら救う、よな」
兄さんの言葉に私は頷く
「二人が対立してるの、今までもあったけど・・・今回に関しては今までの中で見ていて一番ツラかった・・・」
二人の言ってる事は正しくもあり間違ってる事でもある
ユーリがラゴウを手に懸けた時、最初はやっぱりショックだった
けど、ユーリ自身の正義を見て私は見届けると言った
だからユーリがキュモールを追い掛けていた時も止めずにいた
ユーリの正義を見届ける為に・・・
だけどその後フレンに見つかり、湖で二人が今まで以上に対立しているのを見て段々とツラくなってきて最後は耐えきれず場所を変えた後、ユーリの腕の中で泣いてしまった
ノードポリカで対立していた時も耐えるのが精一杯だった
あのままずっと見ていたらいつか泣いていたと思う
「けど、あの時フレンに声を掛けなかったらもっとツラかったし、そのまま止まっても後悔してたと思う・・・」
話しているうちに段々と涙が溢れて来て、私は布団をギュッと握っていた
「お前はユーリとフレン、どっちも大事に思ってるし、あいつ等もお前の事大事に思ってる」
「・・・うん」
「だから余計ツラかったんだろ」
「・・・う、ん・・・」
兄さんはゆっくりと私の頭を撫で出す
「リアもユーリもフレンも、何でもかんでも背負い込み過ぎなんだよ。背負い込み過ぎるのもキツイんだから本音吐ける時に吐かねえとだぞ」
兄さんはそう言って一旦手を止めて私を見た
「お前はまだ甘えられる場所があるんだからな」
「・・・兄さん」
「此処には俺もイサキもアスラもフキも式神達もいるんだ。いつでも頼って良いんだぞ」
「・・・うん」
その言葉にさっき以上に涙が溢れ出し涙を拭う
「だから甘えろって言ってんだろ」
そう言って兄さんは私を自分の方に引き寄せた
「胸、貸してやるから」
「・・・うん。ありがと、“お兄ちゃん”」
「どう致しまして」
兄さんは私の言葉を聞くと小さく笑い、私は兄さんの胸に顔を埋め、あの時と同じように泣き出した
続く
あとがき
やっと完成しました、完全オリジナル!!
もうこの辺は切なさ切なさですよね!
やっぱ此処はこの二人で視線書いちゃうよね
リアちゃんとユーリの切なさ倍増です!
で、遂にイサキちゃんと珀翠の登場です!
この二人も此処で登場とはぁ!!
良い感じで登場だったので満足です!
そして最後はセイ兄がめっちゃカッコイイ兄貴だ!!
もうホントにセイ兄はお兄ちゃんに欲しいよ!!
そして達ヴォイスで言われたい!(おいι)
最後はお兄ちゃんに甘えて欲しかったのでw
この回もかなり好きな回です!
さて、次回もちょっとオリジナルになるかな?
ユーリ達と会うのはいつやら(笑)
では!!
Falling clock's sand(零れ落ちる時の砂・零れ落ちている時計の砂)より
2009.07.18
私達は年が近い、家が近いものあってか、子供の頃からずっと一緒だった
兄さんは少し年上だから私を含めユーリとフレンの面倒を良く見てくれていた
ユーリとフレンにとっても兄さんはお兄ちゃんポジションだった
いつも四人一緒で下町では仲が良いと有名だった
仕事で下町を離れている時以外は毎日と言っていいほど私達は一緒にいた
時々ケンカをしたりもしたが、それも直ぐに仲直りしていた
年齢が上がっていくに連れ、ケンカや対立したりっていうのは増えてきたが、それでも私達はお互いの事を大事に思っていた
二人が騎士団に入ってからは私と兄さんも仕事の方が忙しくなり、下町に戻る機会も少なくなり会える機会も減ったけど、手紙のやり取りをしてお互いの状況を解っていた
ユーリとフレンが対立していたのは騎士団にいた時もだった
それは一番あの事があるからかもしれないけど・・・
それでも皆、それぞれの考えで生きているのだから対立してしまうのは仕方のない事だ
それが私達の生き方だから・・・
52.Falling clock's sand
白い世界、そこから段々と鳥の囀りが聞こえ、その声につられるように現実に引き戻されていく
「・・・・・」
違う世界の色が見え、ゆっくりと瞼を開いていくと徐々に周りの景色も目に映る
「・・・・・」
最初に目に入ったものは板張りされた茶色い天井だった
息を吸うと空気はとても澄んでいて緑豊かな新鮮な空気だった
この感覚、そしてこの懐かしい空気と天井
此処は・・・
「・・・故郷・・・」
ゆっくりと口を開くと人の気配がした
「リア、気が付いた?」
その懐かしい声に惹かれるように私は声の主を見た
そこにいたのはピンクの髪のショートヘアーの女性だった
「・・・イサキ。久しぶり」
イサキと呼ばれた女性はにこりと笑って起き上がろうとしていた私を支えて起こしてくれた
「久しぶり、もう起きても平気?」
「うん・・・」
彼女はイサキ
此処、言霊使いの故郷の生まれで言霊使いの見習いで私の親友
イサキの家は私の家に仕えている一族で故郷にいる時の護衛役でもある
けど、私もイサキもそんな事は気にせずお互いに仲良くしている
「私、どれくらい寝てた?」
「リアが運ばれて来てもう二日位かな」
「二日・・・」
(あれから二日も経ったんだ・・・)
そう思っていると部屋の戸が開き、茶色のロングヘアーの女性が入って来た
「リア様、お目覚めになったのですね」
「ハクスイ・・・」
彼女はハクスイ
アスラとフキと同じく十二神将の一人
戦闘がメインのアスラとフキとは違いハクスイは回復がメインであまり故郷の外に出る事はない
ハクスイは戸を閉じてイサキの隣に座った
「ハクスイ、久しぶり。兄さんとアスラとフキは?」
「お久しぶりです、リア様。セイ様とアスラとフキは今部屋にいらっしゃいます」
「そっか・・・」
「呼んで参りましょうか?」
「じゃあお願いしても良い?」
「はい。では・・・」
ハクスイはすっとお辞儀をして部屋を出て行った
「相変わらずハクスイは綺麗で礼儀正しいよねえ」
「うん。ねえイサキ、私が寝てる間何があったか教えてくれる?」
「もう・・・まずは自分の事心配してよね」
「あははι でも、今はそれどころじゃないから・・・」
「・・・解った。じゃあセイがリアを運んで来た所から話すね」
私の真剣な顔を見てイサキは溜息を吐いて話し出した
*
場所は変わってこちらはフィエルティア号
リア達が立ち去った後、騒動は収まったが駆動魔導器が壊れてしまい今フィエルティア号は海を漂流していた
駆動魔導器はリタが何とか動けるように頑張っていて、レイヴンはハリーの側にいて、カロルとエステルとラピードは別々の場所にいた
「ユーリ・・・」
オレの姿を見つけると、カロルがオレに近付いて来てエステルもオレに顔を向けた
「ねえ・・・ユーリ、フレンが言ってた事だけど・・・」
「・・・・」
「・・・あれって、本当なの?」
「・・・・」
カロルの言葉にエステルも黙ってオレの言葉を待った
「本当だ」
「誤魔化さないんだ」
「言わないといけねえとはずっと思ってた。悪かった」
「ボク達には悪いと思っても、人を殺めた事は後悔してないんだね」
「ああ」
「・・・でも、その事リアは・・・」
「知ってる」
「「!」」
オレの言葉にまたカロルとエステルは驚く
「あいつはオレがラゴウもキュモールを手に懸けた事を知ってるし、実際に見てる。それでもオレの正義を見届けるって言って側を離れなかった」
「「・・・・・」」
「けど、フレンと言い合ってる時はツラそうだったけどな・・・」
「うん・・・それはさっき見てて思った」
「リア、今にも泣きそうな顔してました・・・」
あの状況でエステル達もに伝わるほど、ツライ思いをしてたのか・・・
本当ならまた抱きしめて胸を貸してやっていた
けどジュディが去った後、突然意識を失って倒れた
揺さぶっても全然反応がなく、エステルが治癒術を掛けようとしたらセイがそれを止め、アスラとフキと共に何処かへ消えた
「・・・です」
思いに耽っていると突然エステルが口を開いた
「さっきのでまた色々と解らない事が増えました。ベリウスの事、ジュディスの事も色々と・・・でも、今心配なのはリアの事です」
「突然倒れたからね。揺さぶっても全然反応がなかったし・・・」
「原因を知ってるのはセイとアスラとフキだけだろうしな」
「話し聞こうにも今はいないから聞けないしね・・・」
いつの間にかおっさんがオレ達の所に来て話しに加わっていた
「・・・とにかく、今は駆動魔導器が動くように祈ってようぜ。話しはそれからだ」
「「「・・・・」」」
「お前等も早く休めよ」
そう言ってオレは部屋に向かって歩き出すとラピードがオレの後を追い掛けて来て一緒に部屋に入った
「・・・ユーリ、無理してますね」
「リアちゃんの事が心配なんでしょ」
「ボク達もだけど、一番心配してるのはユーリだからね」
三人の間に少し沈黙が流れる
「・・・リア、無事ですよね」
「そう願ってましょ」
「そうだね・・・。セイもアスラもいるんだから大丈夫だよね」
「そそ。じゃ、俺達もそろそろ休みますか」
「はい」「うん」
そう言ってレイヴン達も部屋へと向かい出した
「・・・無事に戻って来なかったら、ただじゃおかないんだから・・・」
駆動魔導器を見ながらユーリ達の話しを聞いていたリタはそう小さく呟いたのだった
*
「目覚めたか」
「兄さん、アスラ、フキ・・・」
イサキがこれまでの事を話し終えたのと同時に兄さんはアスラとフキと一緒に部屋の戸を開け部屋に入って来た
「もうだいぶ良いみたいだな」
「うん、二日も寝てたみたいだし」
フキは私の顔色を確認すると、兄さんもアスラも少し安心した顔をした
「話しはイサキから聞いたみたいだね」
「うん。でもまだ解らない事があって・・・」
「その辺は今から話してる。イサキ、悪いけど席外してもらっても良いか?」
「うん。じゃあリア、また後でね」
イサキはそう言って部屋を出て行き、兄さんはイサキが座っていた所に座った
「で、聞きたい事だが・・・お前が倒れた原因は二つ」
「二つ・・・?」
「一つは満月の子の力に触れすぎた事」
「それって、エステルの事よね?」
「ああ。普段ならあんまり影響はないんだが、リアやセイみたいに力が強いと言霊使いの力が不安定になるんだ」
「ヘリオードん時に立ち眩みがしただろ。それはその所為だ」
「でも、何で・・・。エステルに治癒術を掛けて貰っても何も起こらなかったのに・・・」
「始祖の隷長みたいになる訳じゃないけど、多少影響を受けちゃうだんよ」
「特にリアもエステルも稀な力の持ち主だ。それが干渉し合うと力の安定が利かなくなってしまう」
「・・・・」
だから、デュークはあんな事を言ったのだろう
「兄さんはどうもないの?」
「ないとは言えない。実際ベリウスが暴走してる時に力が安定しなかったしな」
「そう言えばそうだったね。それでもう一つの原因は?」
「・・・アスラ、フキ」
兄さんは静かにそう告げると、アスラとフキは姿を消した
どうやら此処からは兄さんと二人だけで話すようだ
「もう一つの原因は精神的なものだ」
「・・・精神的?」
「原因はユーリとフレン、と言った方が早いか?」
「っ!」
その言葉に胸がズキンと痛んだ
「ユーリがラゴウとキュモールを手に懸けてフレンとマンタイクで対立してから、だな。精神的にきてたのは」
「っ! 兄さん知って・・・」
「俺達が知らないとでも思ったか? ラゴウの時から知ってたぞ。お前もユーリもガキん時から面倒見てんだ。言わなくても大体解るって」
“達”と言うのは勿論アスラもフキも含まれているのだろう
確かにアスラ達式神は姿を消して遠視をして私達にその場を見せてくれる
実際ラゴウの時に私はそうしてユーリの行動を見ていた
あの時、兄さんもユーリの行動に薄々気が付いていたのだろう
「お前とユーリがフレンと別れた後は知らねえけどな」
気を遣ってなのか、それとも本当に知らないのか兄さんはそう告げた
「その後は追い打ちを掛けるように色々とあったからな。ベリウスやジュディス、んで、ユーリとフレンの対立・・・」
「・・・・・」
その言葉に私は少しずつだが目尻が熱くなり出した
途端、ポンと兄さんの手が私の頭に乗った
「本音聞いてやる。話せ」
そんな私を見て兄さんは優しく笑ってそう告げ、私はゆっくりと口を開き話しを始めた
「ユーリとフレンが対立してるの・・・見ててツラかった・・・。どっちの考えも正しいし間違ってるとも言えるけど、でも・・・」
「・・・この仕事してりゃ救える命があるなら救う、よな」
兄さんの言葉に私は頷く
「二人が対立してるの、今までもあったけど・・・今回に関しては今までの中で見ていて一番ツラかった・・・」
二人の言ってる事は正しくもあり間違ってる事でもある
ユーリがラゴウを手に懸けた時、最初はやっぱりショックだった
けど、ユーリ自身の正義を見て私は見届けると言った
だからユーリがキュモールを追い掛けていた時も止めずにいた
ユーリの正義を見届ける為に・・・
だけどその後フレンに見つかり、湖で二人が今まで以上に対立しているのを見て段々とツラくなってきて最後は耐えきれず場所を変えた後、ユーリの腕の中で泣いてしまった
ノードポリカで対立していた時も耐えるのが精一杯だった
あのままずっと見ていたらいつか泣いていたと思う
「けど、あの時フレンに声を掛けなかったらもっとツラかったし、そのまま止まっても後悔してたと思う・・・」
話しているうちに段々と涙が溢れて来て、私は布団をギュッと握っていた
「お前はユーリとフレン、どっちも大事に思ってるし、あいつ等もお前の事大事に思ってる」
「・・・うん」
「だから余計ツラかったんだろ」
「・・・う、ん・・・」
兄さんはゆっくりと私の頭を撫で出す
「リアもユーリもフレンも、何でもかんでも背負い込み過ぎなんだよ。背負い込み過ぎるのもキツイんだから本音吐ける時に吐かねえとだぞ」
兄さんはそう言って一旦手を止めて私を見た
「お前はまだ甘えられる場所があるんだからな」
「・・・兄さん」
「此処には俺もイサキもアスラもフキも式神達もいるんだ。いつでも頼って良いんだぞ」
「・・・うん」
その言葉にさっき以上に涙が溢れ出し涙を拭う
「だから甘えろって言ってんだろ」
そう言って兄さんは私を自分の方に引き寄せた
「胸、貸してやるから」
「・・・うん。ありがと、“お兄ちゃん”」
「どう致しまして」
兄さんは私の言葉を聞くと小さく笑い、私は兄さんの胸に顔を埋め、あの時と同じように泣き出した
続く
あとがき
やっと完成しました、完全オリジナル!!
もうこの辺は切なさ切なさですよね!
やっぱ此処はこの二人で視線書いちゃうよね
リアちゃんとユーリの切なさ倍増です!
で、遂にイサキちゃんと珀翠の登場です!
この二人も此処で登場とはぁ!!
良い感じで登場だったので満足です!
そして最後はセイ兄がめっちゃカッコイイ兄貴だ!!
もうホントにセイ兄はお兄ちゃんに欲しいよ!!
そして達ヴォイスで言われたい!(おいι)
最後はお兄ちゃんに甘えて欲しかったのでw
この回もかなり好きな回です!
さて、次回もちょっとオリジナルになるかな?
ユーリ達と会うのはいつやら(笑)
では!!
Falling clock's sand(零れ落ちる時の砂・零れ落ちている時計の砂)より
2009.07.18