満月の子編
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翌朝、私達は旅支度を済ませ、宿屋の前に集まっていた
「久しぶりによく寝た~、ふわぁあっ・・・」
「あんた、寝過ぎ」
「もう街出んだから、しゃんと目を覚ませよ」
レイヴンがまた欠伸をしているとカロルがきょろきょろと辺りを見ていた
「・・・あれ? 騎士団が少なくなってる・・・?」
「ああ、フレン達ならノードポリカに戻って行ったぞ」
「夜のうちに、移動してたみたいね」
「何か急ぎの用事でも遭ったのかな?」
「前に魔物が逃げたりして大変だったでしょ。あれの後処理じゃないの」
「多分、戦士の殿堂が騎士団に協力を仰いだんだよ。きっと」
「さあ、どうだろうな」
「・・・?」
エステルが疑問符を出してユーリを見る
「いや、何か、封鎖がどうとか言ってたし」
「封鎖? 何の事かしら」
「まさか例の人魔戦争の件で、ベリウスを捕まえる為・・・?」
「そう簡単に戦士の殿堂が、騎士団に遅れを取るとは思えないけどな」
「何であれ、ゴタゴタしそうな予感はする」
「今はノードポリカに近寄らない方が良いかもね」
「でも新月はもうすぐだよ」
「今を逃したらまた一ヶ月待たなきゃいけないぜ?」
「でもな~。俺様、あんま騎士団と関わり合いたくないのよねえ」
「そりゃオレも出来ればな」
「じゃ慎重に進もうよ。慌てず急いで、ね」
「カドスのエアルクレーネの事も忘れないでよね」
「ああ。解ってるさ。行こうぜ」
ユーリの掛け声で皆歩き出し私も歩き出そうとしていると、ユーリがじっと私を見ていた
「・・・大丈夫か?」
「うん・・・昨日よりかは。ユーリ」
「ん?」
「昨日は、ありがとう///」
昨日ユーリの腕の中で子供のように泣いてしまった事を思い出し少し顔を赤くして言った
「どう致しまして。こっちも久々にリアが泣いてるの見れて良かったけどな」
「も、もうっ!////」
ユーリはそう言って意地悪く笑い、私がむっとしているとユーリが私の頭に手を乗せた
「オレもだけど、お前も何でも背負い込むからな」
「・・・・」
「あんま背負い込むなよ。ツラかったらまた胸貸してやる」
「うん・・・///」
「ユーリ~、リア~! 何してるの~、置いてくよ~!!」
ユーリにそう言われ少し照れくさく笑っていると街の出口でカロルが叫んでいた
「ほら行こうぜ。カロル先生がお呼びだ」
「うん」
ユーリに返事を返すと私はユーリの隣に並んでカロル達の所へ向かった
49.封鎖
ノードポリカに戻る為にカドスの喉笛に向かおうとしていると途中で幸福の市場の人とすれ違い、今カドスの喉笛は帝国騎士団によって封鎖されていると聞いた
免状を持っている幸福の市場ですら通して貰えないと言うのが気がかりだ
だが、このままではベリウスに会える新月が過ぎてしまうので私達はカドスの喉笛へ向かった
カドスの喉笛に入り、少し影になっている所に隠れ私達は中の様子を伺った
「フレン隊です・・・」
「封鎖って言うのはあれ?」
「やっぱりフレン隊がやってたんだね・・・でも・・・あの魔物は何?」
カロルの言う通り、騎士達の中央には一匹の魔物がいた
ただ、その魔物を退治と言う訳ではないようだ
魔物は襲うどころか、騎士達の指示を待っているかのようだった
「騎士団で飼い慣らしたってとこかね」
「何か、フレンに似合わねえ部隊になってんな」
「確かに・・・」
「あいつ何やってんだかな・・・」
フレンの性格を一番知っている私達はその事に疑問を抱いていた
「これだけ大掛かりな作戦ならやっぱ人魔戦争の黒幕って話と関係があるのかもねぇ」
「この検問、どうしよっか・・・」
「こういうのはどうよ?」
そう言ってレイヴンは弓を構え、魔物の近くにその矢を放つと爆発を起こした
「な、何事だ!」
「やめろ! 暴れるな!」
魔物はその爆発に驚き暴れ出した
「今だよ、行こう!」
「おいおい、おっさんを置いてくなよ!」
アスラの言葉に私達は一斉に走り出し、遅れてレイヴンも走り出す
「何だ、貴様等! 待て!」
「ユーリ・ローウェル!」
「ほんじゃ、頑張って~!」
レイヴンは騎士団にそう言い残し、私達の後を追い掛けて来た
「珍しく派手に動いたな、おっさん」
「いや何か最近、体動かしてるとテンション上がって来てさ」
「うざっ」
「にしても街からの逃げ道を全部封鎖するとはな・・・」
「やっぱり帝国の力は、まだまだ大きいんだね」
「そりゃね、ギルドとはもともとの力が違うから。いくらユニオンでもこうはいかないわな」
「まさに帝国ならではの力押しの作戦だよな。一体何が目的なんだか。街道の封鎖なんて、胸糞悪い手使いやがってよ」
「フレンがそんな事するとは思えないしね・・・」
「フレンの姿も見当たらないし・・・」
「・・・・」
「それもノードポリカに行けば解るんじゃない? 今は追っ手に捕まらないように急ぎましょう」
私とアスラとエステルが浮かない顔をしているとジュディスが言葉を発し、私達は奥へと進んだ
*
「ふ~。追っ駆けて来ないみたい」
「しっかし、こんな危険なとこまで封鎖してノードポリカを孤立状態にしようってんだから連中、かなりマジ気みたいねぇ。まったく、魔物まで出して来ちゃって」
「きっとロクでもない事しようとしてるのね」
「フレンがこんな事を指示するとは思えません・・・」
「下までは指示が行き届かない、上からは理不尽な指令が来る。隊がでかくなって、偉くなると色々手が回んなくなるんじゃないかね」
「随分物識りだな。流石天を射る矢の一員ってか」
「組織なんてもなぁ何処もそんなもんでしょ」
「そうだな・・・」
「問題は・・・フレンのやつがどこまで本気かって事だ」
「なに、ノードポリカに行けば色々見えてくんでしょ」
「そうですね」
「でも警戒はしておいた方が良さそう。まさかノードポリカが武力制圧されてるって事は無いと思うけれど」
「戦士の殿堂が黙っちゃいないもんね」
「悪い、リタ。エアルクレーネ調べる時間もあんまり取れねぇぜ」
「うー。でもしょうがないか。追っ手とか来ると面倒だし・・・」
そう言ってリタは少し離れた所にあるエアルクレーネへ歩いていき、調査を始めた
「今は完全に治まってる・・・。一時はあんなに溢れてたのに。あれでエアルを制御したって事? 何で魔物にそんな事が・・・」
「そのエアルクレーネはもう安全なんです?」
「前みたいにいきなりエアルが噴出したら危ないよね?」
「その心配はなさそう・・・」
「じゃあなんだってあん時はいきなりエアルが噴出したんだ?」
「問題はそこね」
「自然現象ではないんです?」
「その可能性は低いわね。もしそうなら定期的に同じ現象が起こるはずよ」
「エアルが定期的に噴出するなら周囲に影響が出るはず」
「ケーブ・モックみたいに、植物が異常に繁殖するとかね」
「見たとこ、そう言う異常はないわな」
「だとすると、何かがエアルクレーネに干渉してエアルを大量放出する・・・? でも、一体何が・・・。エアルに干渉するなんて、術式か、魔導器くらいしか・・・」
「グルルル」「!」
突然ラピードが唸りだし、アスラも何かに気付いた
途端、カチャカチャと甲冑の音が聞こえだした
「ち。追っ手か隊長に似てくそ真面目な騎士共だぜ。リタ、行くぞ。調査は終わったんだろ?」
「もうちょっと考えさせて・・・」
「考えを纏めるなら他の場所でも出来るだろ」
「一旦切り上げて今は行こう」
「解ったわよ!」
リタは残念そうにエアルクレーネを見た後、私達と一緒にまた走り出した
*
「隠れて」
もうすぐ出口、と言う所で先頭を歩いていたジュディスが何かに気付き、私達は岩陰に隠れ、この先の様子を伺った
「まあ、当然此処も押さえてるわな」
「レイヴン、さっきみたいに上手く出来ない?」
「真面目な騎士にあまり無体な事はしたくないなあ・・・」
「あれ、真面目に見えないわよ」
そこにいたのは三人の騎士
だが、よくよく見るとその騎士はお馴染みのシュヴァーン隊のあの三人だった
「私は悲しいのであ~る」
「何故に、栄えあるシュヴァーン隊の我等がフレン隊の手伝いなのだ!」
「ええい、文句を言うな! 悔しければ、結果を出すんだ!」
「いたぞ、捕らえろ!」
「見つかった・・・」
「む、何事であ~る」
「お前達、そいつ等を逃がすな!」
三人の様子を伺っていると後ろから騎士の声が聞こえ、その言葉に私達は岩陰から姿を見せる
「む、お前はユーリ・ローウェル!」
「よう、久しぶりだな」
「そ、それにエステリーゼ様!」
エステルの姿を見た瞬間、ルブラン達は一斉にこちらに向かって走り出した
その後ろからは騎士と魔物が私達に向かって来ていた
完全に挟み撃ち状態だった
「ど、どうすんの!」
「しゃ~ない!」
「おい、おっさん!」
ユーリは突然前に出たレイヴンに声を掛ける
「全員気を付け!」
「「「!」」」「! は、はっ!」
レイヴンのその言葉を聞くと何故か三人は立ち止まり姿勢を正した
「止まった?」
その隙を見てレイヴンはさっさとルブラン達の横を通り過ぎて行った
「何か知らんが、今のうちだ!」
(今の・・・)
「リア、早く!」
「え、ええ・・・」
そして私達もレイヴンのようにルブラン達の横を通り過ぎて行った
「何したの、レイヴン・・・?」
「良いから、良いから。さぁ、ぐずぐずしてると追っ手に追い着かれるぜ」
「だな、一気にノードポリカに向かうぞ」
(気のせい・・・?)
ユーリの言葉に私達は走り出したが、私だけは疑問を抱いて歩いていたのだった・・・
続く
あとがき
とりあえず此処までです
最初は前回の後書きに書いた通り、あの後の事をちょっと触れてみました
最近ちょっとずつだけど、甘いのが書けるようになってきた気がする(笑)
つか、ユーリも言ってたけど今回レイヴンが張り切ってますね(笑)
でも、リアちゃんは何か引っかかってるような感じでしたね
さて、次回はいよいよノードポリカに戻ってベリウスと会います!
そして次は50回だ
それでは!
下書き:2008.12.18
完成:2009.07.17
「久しぶりによく寝た~、ふわぁあっ・・・」
「あんた、寝過ぎ」
「もう街出んだから、しゃんと目を覚ませよ」
レイヴンがまた欠伸をしているとカロルがきょろきょろと辺りを見ていた
「・・・あれ? 騎士団が少なくなってる・・・?」
「ああ、フレン達ならノードポリカに戻って行ったぞ」
「夜のうちに、移動してたみたいね」
「何か急ぎの用事でも遭ったのかな?」
「前に魔物が逃げたりして大変だったでしょ。あれの後処理じゃないの」
「多分、戦士の殿堂が騎士団に協力を仰いだんだよ。きっと」
「さあ、どうだろうな」
「・・・?」
エステルが疑問符を出してユーリを見る
「いや、何か、封鎖がどうとか言ってたし」
「封鎖? 何の事かしら」
「まさか例の人魔戦争の件で、ベリウスを捕まえる為・・・?」
「そう簡単に戦士の殿堂が、騎士団に遅れを取るとは思えないけどな」
「何であれ、ゴタゴタしそうな予感はする」
「今はノードポリカに近寄らない方が良いかもね」
「でも新月はもうすぐだよ」
「今を逃したらまた一ヶ月待たなきゃいけないぜ?」
「でもな~。俺様、あんま騎士団と関わり合いたくないのよねえ」
「そりゃオレも出来ればな」
「じゃ慎重に進もうよ。慌てず急いで、ね」
「カドスのエアルクレーネの事も忘れないでよね」
「ああ。解ってるさ。行こうぜ」
ユーリの掛け声で皆歩き出し私も歩き出そうとしていると、ユーリがじっと私を見ていた
「・・・大丈夫か?」
「うん・・・昨日よりかは。ユーリ」
「ん?」
「昨日は、ありがとう///」
昨日ユーリの腕の中で子供のように泣いてしまった事を思い出し少し顔を赤くして言った
「どう致しまして。こっちも久々にリアが泣いてるの見れて良かったけどな」
「も、もうっ!////」
ユーリはそう言って意地悪く笑い、私がむっとしているとユーリが私の頭に手を乗せた
「オレもだけど、お前も何でも背負い込むからな」
「・・・・」
「あんま背負い込むなよ。ツラかったらまた胸貸してやる」
「うん・・・///」
「ユーリ~、リア~! 何してるの~、置いてくよ~!!」
ユーリにそう言われ少し照れくさく笑っていると街の出口でカロルが叫んでいた
「ほら行こうぜ。カロル先生がお呼びだ」
「うん」
ユーリに返事を返すと私はユーリの隣に並んでカロル達の所へ向かった
49.封鎖
ノードポリカに戻る為にカドスの喉笛に向かおうとしていると途中で幸福の市場の人とすれ違い、今カドスの喉笛は帝国騎士団によって封鎖されていると聞いた
免状を持っている幸福の市場ですら通して貰えないと言うのが気がかりだ
だが、このままではベリウスに会える新月が過ぎてしまうので私達はカドスの喉笛へ向かった
カドスの喉笛に入り、少し影になっている所に隠れ私達は中の様子を伺った
「フレン隊です・・・」
「封鎖って言うのはあれ?」
「やっぱりフレン隊がやってたんだね・・・でも・・・あの魔物は何?」
カロルの言う通り、騎士達の中央には一匹の魔物がいた
ただ、その魔物を退治と言う訳ではないようだ
魔物は襲うどころか、騎士達の指示を待っているかのようだった
「騎士団で飼い慣らしたってとこかね」
「何か、フレンに似合わねえ部隊になってんな」
「確かに・・・」
「あいつ何やってんだかな・・・」
フレンの性格を一番知っている私達はその事に疑問を抱いていた
「これだけ大掛かりな作戦ならやっぱ人魔戦争の黒幕って話と関係があるのかもねぇ」
「この検問、どうしよっか・・・」
「こういうのはどうよ?」
そう言ってレイヴンは弓を構え、魔物の近くにその矢を放つと爆発を起こした
「な、何事だ!」
「やめろ! 暴れるな!」
魔物はその爆発に驚き暴れ出した
「今だよ、行こう!」
「おいおい、おっさんを置いてくなよ!」
アスラの言葉に私達は一斉に走り出し、遅れてレイヴンも走り出す
「何だ、貴様等! 待て!」
「ユーリ・ローウェル!」
「ほんじゃ、頑張って~!」
レイヴンは騎士団にそう言い残し、私達の後を追い掛けて来た
「珍しく派手に動いたな、おっさん」
「いや何か最近、体動かしてるとテンション上がって来てさ」
「うざっ」
「にしても街からの逃げ道を全部封鎖するとはな・・・」
「やっぱり帝国の力は、まだまだ大きいんだね」
「そりゃね、ギルドとはもともとの力が違うから。いくらユニオンでもこうはいかないわな」
「まさに帝国ならではの力押しの作戦だよな。一体何が目的なんだか。街道の封鎖なんて、胸糞悪い手使いやがってよ」
「フレンがそんな事するとは思えないしね・・・」
「フレンの姿も見当たらないし・・・」
「・・・・」
「それもノードポリカに行けば解るんじゃない? 今は追っ手に捕まらないように急ぎましょう」
私とアスラとエステルが浮かない顔をしているとジュディスが言葉を発し、私達は奥へと進んだ
*
「ふ~。追っ駆けて来ないみたい」
「しっかし、こんな危険なとこまで封鎖してノードポリカを孤立状態にしようってんだから連中、かなりマジ気みたいねぇ。まったく、魔物まで出して来ちゃって」
「きっとロクでもない事しようとしてるのね」
「フレンがこんな事を指示するとは思えません・・・」
「下までは指示が行き届かない、上からは理不尽な指令が来る。隊がでかくなって、偉くなると色々手が回んなくなるんじゃないかね」
「随分物識りだな。流石天を射る矢の一員ってか」
「組織なんてもなぁ何処もそんなもんでしょ」
「そうだな・・・」
「問題は・・・フレンのやつがどこまで本気かって事だ」
「なに、ノードポリカに行けば色々見えてくんでしょ」
「そうですね」
「でも警戒はしておいた方が良さそう。まさかノードポリカが武力制圧されてるって事は無いと思うけれど」
「戦士の殿堂が黙っちゃいないもんね」
「悪い、リタ。エアルクレーネ調べる時間もあんまり取れねぇぜ」
「うー。でもしょうがないか。追っ手とか来ると面倒だし・・・」
そう言ってリタは少し離れた所にあるエアルクレーネへ歩いていき、調査を始めた
「今は完全に治まってる・・・。一時はあんなに溢れてたのに。あれでエアルを制御したって事? 何で魔物にそんな事が・・・」
「そのエアルクレーネはもう安全なんです?」
「前みたいにいきなりエアルが噴出したら危ないよね?」
「その心配はなさそう・・・」
「じゃあなんだってあん時はいきなりエアルが噴出したんだ?」
「問題はそこね」
「自然現象ではないんです?」
「その可能性は低いわね。もしそうなら定期的に同じ現象が起こるはずよ」
「エアルが定期的に噴出するなら周囲に影響が出るはず」
「ケーブ・モックみたいに、植物が異常に繁殖するとかね」
「見たとこ、そう言う異常はないわな」
「だとすると、何かがエアルクレーネに干渉してエアルを大量放出する・・・? でも、一体何が・・・。エアルに干渉するなんて、術式か、魔導器くらいしか・・・」
「グルルル」「!」
突然ラピードが唸りだし、アスラも何かに気付いた
途端、カチャカチャと甲冑の音が聞こえだした
「ち。追っ手か隊長に似てくそ真面目な騎士共だぜ。リタ、行くぞ。調査は終わったんだろ?」
「もうちょっと考えさせて・・・」
「考えを纏めるなら他の場所でも出来るだろ」
「一旦切り上げて今は行こう」
「解ったわよ!」
リタは残念そうにエアルクレーネを見た後、私達と一緒にまた走り出した
*
「隠れて」
もうすぐ出口、と言う所で先頭を歩いていたジュディスが何かに気付き、私達は岩陰に隠れ、この先の様子を伺った
「まあ、当然此処も押さえてるわな」
「レイヴン、さっきみたいに上手く出来ない?」
「真面目な騎士にあまり無体な事はしたくないなあ・・・」
「あれ、真面目に見えないわよ」
そこにいたのは三人の騎士
だが、よくよく見るとその騎士はお馴染みのシュヴァーン隊のあの三人だった
「私は悲しいのであ~る」
「何故に、栄えあるシュヴァーン隊の我等がフレン隊の手伝いなのだ!」
「ええい、文句を言うな! 悔しければ、結果を出すんだ!」
「いたぞ、捕らえろ!」
「見つかった・・・」
「む、何事であ~る」
「お前達、そいつ等を逃がすな!」
三人の様子を伺っていると後ろから騎士の声が聞こえ、その言葉に私達は岩陰から姿を見せる
「む、お前はユーリ・ローウェル!」
「よう、久しぶりだな」
「そ、それにエステリーゼ様!」
エステルの姿を見た瞬間、ルブラン達は一斉にこちらに向かって走り出した
その後ろからは騎士と魔物が私達に向かって来ていた
完全に挟み撃ち状態だった
「ど、どうすんの!」
「しゃ~ない!」
「おい、おっさん!」
ユーリは突然前に出たレイヴンに声を掛ける
「全員気を付け!」
「「「!」」」「! は、はっ!」
レイヴンのその言葉を聞くと何故か三人は立ち止まり姿勢を正した
「止まった?」
その隙を見てレイヴンはさっさとルブラン達の横を通り過ぎて行った
「何か知らんが、今のうちだ!」
(今の・・・)
「リア、早く!」
「え、ええ・・・」
そして私達もレイヴンのようにルブラン達の横を通り過ぎて行った
「何したの、レイヴン・・・?」
「良いから、良いから。さぁ、ぐずぐずしてると追っ手に追い着かれるぜ」
「だな、一気にノードポリカに向かうぞ」
(気のせい・・・?)
ユーリの言葉に私達は走り出したが、私だけは疑問を抱いて歩いていたのだった・・・
続く
あとがき
とりあえず此処までです
最初は前回の後書きに書いた通り、あの後の事をちょっと触れてみました
最近ちょっとずつだけど、甘いのが書けるようになってきた気がする(笑)
つか、ユーリも言ってたけど今回レイヴンが張り切ってますね(笑)
でも、リアちゃんは何か引っかかってるような感じでしたね
さて、次回はいよいよノードポリカに戻ってベリウスと会います!
そして次は50回だ
それでは!
下書き:2008.12.18
完成:2009.07.17