満月の子編
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私達は街を抜け、砂漠に足を踏み入れた
途端、もわっとした熱気が身体にあたる
澄み切った青空にカンカン照りの太陽
辺りは白い砂に覆われ所々にサボテンが生えている
少し風が吹くと砂が風に乗って移動している
「・・・影一つない、ですね」
「この暑さ、想像以上だね・・・」
「準備無しで放り出されたらたまんねえな」
「あのおっさんは準備無しでも平気そうよ」
リタの言葉に私達はレイヴンを見るとレイヴンは宙返りしたり、走り回っていた
「おっさん・・・暑くないのか?」
「いや暑いぞ、めちゃ暑い、まったく暑いぞ!」
「うぜぇ・・・」
「暑苦しい・・・」
「うっとうしい・・・」
上から兄さん、アスラ、リタが暑さに負けているような声で言う
「暑いって言われる度に・・・温度が上がっていく気がします」
「水の補給を忘れないようにしときゃ大丈夫よ」
「サボテン、ですね・・・」
「でもあの子達の両親は何も準備してないのよね」
「フェローも探さなきゃ、だけど・・・」
「ええ・・・アルフとライラからの依頼を先にして良いかしら?」
「で、でも・・・」
「人の命が関わってるなら尚更探した方が良いと思うよ」
言い淀むカロルにアスラが口を挟む
だが次に聞こえた言葉はいつもより低めのトーンだった
「・・・人間なんてそう長生き出来る生き物じゃないんだから」
「アスラ・・・」
「「・・・・」」
聞こえた言葉は小声だったから近くにいた私とユーリと兄さんにしか聞こえてなかっただろう
「俺もジュディスとアスラの意見に賛成だな」
「私も。それにまだあんなに小さな子供だし両親がいないと不安になるものね」
「そうだな・・・。よし、二人の両親を探そうぜ」
キュオォォォッ
すると鳥の鳴くような声が聞こえた
「・・・今の」
「フェローの鳴き声?」
「やっぱりフェローはこの砂漠にいたんだ!」
「じゃあやっぱり此処がお伽話の・・・」
エステルはそう言って砂漠を見つめた
「焦んなよ。まずはアルフとライラの両親を探すぞ」
「はい」
「依頼が終わったら存分に相手してやるからさ。行くぞ」
「はい」「「「ええ」」」「「うん」」「ああ」「おう」「ワン」
ユーリの掛け声と共に私達は歩みを進めた
45.コゴール砂漠
砂漠に入ってからもうどれくらい立ったのだろう
地図もない、辺りを見ても変わらない景色の中を私達は歩いていた
「進めども、進めども、見えるのは砂と青空のみよ、っと」
「レイヴン、空が見えるなんて元気だね。ボク、もう砂しか見えなくなってきたよ」
「・・・なんでおっさんのくせに、そんなに元気なのよ」
エステル、カロル、リタはもう暑さで体力を奪われているのか少しずつ歩くスピードが落ちてきていた
「無駄話してると余計に疲れるぞ。誰か一人でも倒れたら、連れて帰るだけでも一苦労だ。この状況下で、背負って歩くなんて勘弁だからな」
「リアが倒れても?」
何でそこで私の名前が出てくるの・・・?
私は目だけでジュディスにそう訴えるとユーリに視線を移す
「・・・そん時は背負ってやるよ」
「・・・う、うん・・・///」
ユーリが少し視線を逸らしながら言い、なんだかお互いに照れくさくなってしまい私も視線を逸らした
「良いなぁ~、リアちゃん。おっさんも背負って欲しいなぁ~」
「一番元気な奴が言うか、それ・・・」
「レイヴンなら倒れないと思うよ・・・」
「じゃあボクが倒れたらレイヴン、よろしく」
「残念、俺様の背中は女性専用よ」
「あぁ、あたしは死んでも倒れないわ」
「わたしもご迷惑はかけません」
「勿論、私もね」
「わざわざ、言わなくて良いんじゃない?」
レイヴンは悲しそうな声を出し、とぼとぼ歩き出した
暫く進んでいると、急にカロルが口を開いた
「ねえ、とても重大な話があるんだけど」
「奇遇ね、あたしも言いたい事があるわ」
「早く砂漠を出ようよ」「早く砂漠を出ましょ」
「それしか言うことないの? もっとこの暑さと砂だらけの風景を楽しんで、だな・・・」
「無理です・・・絶対無理・・・早く砂漠を出ましょう・・・」
「早く出ようぜ・・・」
「同感だ・・・」
「ジュディスちゃーん・・・・!」
「早く出ましょう・・・」
「リアちゃーーん・・・」
「・・・・・」
「・・・あれ? リアちゃん?」
「・・・・」
更に声を掛けるが無言のままだった
「せいねーん、リアちゃんが無言なんですけどー」
「リア、暑さに弱いからしゃべる気力はないみたいだよ・・・」
「無駄に体力使いたくねぇだけだろ」
アスラとセイの答えを聞くとレイヴンは、おっさん寂しいー!! と言って騒いで歩いている
この暑い中、誰だって騒ぎたくはなるがみんなそんな元気すらない
歩くので精一杯だった
*
あれから暫くして少し日の位置が変わったように感じたが実際、今が何時なのかも解らない
完全に迷っている状態で、みんな暑さに体力を奪われ水分補給をして砂漠を歩いているがやっぱり歩くスピードは落ちている
一人を除いては・・・
「ほれ、たらたら歩くと余計疲れるぞ」
「何でそんな元気なの・・・?」
「いるよな、人がバテてる時だけ、元気なヤツ・・・」
「ああ・・・」
「ぶっ飛ばしたい・・・」
「ムダに動くなよ」
「そんな元気もないわ・・・ね、あれから声聞こえた?」
「いえ・・・全然・・・」
「ところで、あんた、こんな砂漠に何しに来てたの?」
エステルの答えを聞き、リタはジュディスへと向き合う
「此処の北の方にある山の中の街に住んでたの、私。友達のバウルと一緒に。だから時々砂漠の近くまで来てたのよ」
「砂漠に・・・?」
リタはその言葉に疑問を持ったがジュディスは気にした様子もなく言葉を続ける
「それにしても何かを探す余裕はなさそうね。これは」
「まったくだな。自分の命繋ぐのに精一杯だ・・・」
「早く何か手掛かりを見つけなきゃ・・・」
「う、もう水がない・・・」
カロルの弱々しい声が聞こえ見ると、カロルは水筒を逆さにして少しでも水が出ないか試していた
「全部飲むんじゃねえぞ」
「ありがと、ユーリ」
そんなカロルを見かねてユーリは自分の水筒をカロルに手渡しカロルは少しだけ水を飲んだ
「ちょっと・・・この辺で・・・休憩に、しない・・・?」
流石のリタももう息が上がっていた
「まったくしょうがないねぇ」
「あ~!」
カロルはそう叫ぶと突然走り出した
「お? 遂に一人壊れた?」
するとザバンっと言う音が聞こえた
「・・・ザバン?」
その音を聞き私達は音が聞こえた方を見るとそこには小さなオアシスがあった
「水っ!」
「あ、ちょっと、気を付けて。砂に足を取られたら危ないですよ!」
そう言ってリタもエステルも走り出した
「なんだよ・・・まだ元気じゃねえか」
「子供は元気が取り柄だからな」
「おっさんも行くか!」
そしてレイヴンも湖の中へ飛び込んで行った
「もう一人、子供がいたね・・・」
「ああ・・・」
「みんなして、力の出し惜しみしやがって」
「ふふっ。私達も行こうか」
「ええ」
そう言って私達はオアシスへと向かって歩き出した
カロル達は暫くの間、水浴びをしてその場に座り込んだ
「生き返ったぁ~・・・」
「ほんと、もうダメかと思った」
二人の顔はさっきまでの顔とは違い、元気になっていた
「おお、おお、これからの未来をしょって立つ若者が情けないね」
「うっさい」
「このまま進むのも危険だよね・・・」
「でも、此処で引き返したらあの子達悲しむわね、きっと」
「とりあえず力の続く限り、行くわよ」
「あわよくば、フェローだって見つかるかもしれないですから」
「だな。水場も見つけたしもう暫くは捜索出来るだろう」
「毒を食らわば、皿までって事ね」
「そっか、そうだよね」
「そんな事よりカロル、ちゃんと水筒に水入れたか?」
「はい、汲んどいたわ」
「はい、リタも」
「さっすがジュディス!」
「あ、ありがと・・・う・・・」
「どういたしまして」
私とジュディスはカロルとリタの水筒を持って水を汲み、二人に手渡した
「他は平気だな」
「ああ」「はい」「ワン!」
「んじゃ、先へ行きますか」
水に触れたお陰で、みんな元気を取り戻し私達はまた歩みを進めた
*
「ユーリ! 見て、あそこ!」
カロルが言った方に顔を向けると、そこは砂で埋め尽くされた大地の一角に人が倒れていた
「だ、大丈夫!?」
私達はすぐに駆け寄りエステルが手前の男性に、私は隣の女性に治癒術を掛けてあげた
「うぅっ・・・」
「あ、気が付いたみたい」
「あ、貴方方・・は・・・」
男性の方が先に気が付き、よろよろと頭を左右に動かし私達を見た
「楽になりましたか?」
「ああ・・・妻は、妻は・・・」
「こちらの方ですか?」
私は治癒術を掛けている女性に目を向けると男性は少し安心したようだった
「あ、ああ・・・」
「うぅっ・・・」
女性の方もようやく気が付き、私は治癒術を掛けるのをやめた
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」
女性は起き上がろうとするが、エステルに止められる
「まだじっとしていて下さい」
「み、水を・・・」
私とユーリが水筒を手渡すと二人は一気に水を飲み干した
「ぷは~、生き返るな~」
「ええ、潤ってきたわ~」
「有り難う御座います!」
「貴方方のお陰で、命拾いしました・・・貴方方は私達の救いの主です」
二人はなんとか立ち上がるくらい回復し、私達に頭を下げた
「安心するのは生きて帰れてからだ」
「お礼を・・・と言っても、今は何も持ち合わせがなくて・・・」
「ああ、良いって良いってそんなの」
「いえ、そう言う訳には行きません。是非、お礼にマンタイクまで取りに来て下さい」
「マンタイク・・・?」
「貴方達、もしかしてアルフとライラの両親かしら?」
「え、ええ、そうです!」
「もしかして、マンタイクであの子達に・・・?」
「ええ、会いました」
「お父さんとお母さんの事、心配してたよ」
「探しに行こうとまでしてたわ」
「ああ・・・こうしちゃいられない。早く戻らないと・・・」
「焦らないで。二人だけで帰れると思う?」
「そ、それは・・・無理です・・・ね」
「ちょっと落ち着いて、」
キュオォォォォォォォォォッ!
私がにこりと笑って二人を落ち着かせようとしていると、突然鳥の鳴き声が聞こえた
「こんな砂漠に・・・鳥?」
途端、私達の前に巨大なゼリー状のエイのような形をした水色の魔物が現れた
「何!? 気持ちワルッ!」
「あんな魔物・・・ボク知らない・・・」
「魔物じゃないわね、あれは」
「魔物じゃなかったら、何よ!?」
「ワン! ワン! ワン!」
「ラピードがびびるなんて・・・やばそうだな・・・」
「に、逃げよう・・・!」
「こっちに来ます!」
「ちっ、やるしかねえって事か。あんた達は離れてろよ!」
「は、はい!」
「アスラ、二人の護衛お願い!」
「了解!」
二人の姿が見えなくなるのを確認すると私達は戦闘を始めた
*
キュオォォォォォォォォォッ!
暫くして、魔物は声を荒げながらその場から消えていった
「消えた・・・?」
ハァ、ハァ・・と息を整えていると空からオレンジ色の羽根のようなものが落ちて来た
「これは・・・?」
「はあ・・・ボク、もうだめ・・・」
エステルはそれを拾って地面に座るとカロルが倒れてしまう
さっきの戦闘でみんな体力を使い果たしたのか、つられてリタもエステルもジュディスもラピードも倒れる
「ジュディス、ラピード・・・しっかり・・・」
「さすがの俺様も、もう限界・・・」
そして、兄さんもレイヴンも倒れてしまう
アスラと夫婦を見てみるとこちらも同じように倒れていた
「・・・こりゃ、やべえ・・・」
そう言ってユーリは座り込みユーリも倒れてしまった
「・・・ユー・・リ・・・」
私ももう立っているのが限界で座り込んでしまい、そのまま倒れてしまった
・・・・・・・・
その場に倒れてしまった私達の間に静かに風が吹く
このままこの状態なのだろうか・・・
そう思っていると不意にユーリの声が聞こえた
「・・・なんだ」
ゆっくりと目を開けると蜃気楼かもしれないが遠くに砂漠とは別の緑豊かな街みたいなものが見えた
「・・・街?」
段々と意識が遠のいて行く中、次に目に入ったものはカドスの喉笛の時に見たあの鳥の魔物だった
「・・・始祖の・・・隷長・・・」
私はそこで完全に意識が途絶えた
続く
あとがき
のわぁぁっぁぁ~~~~!!!
何か凄い所で終わったぞ!?!?!?
あ、これ、ゲームやってた時にも思った&言ったんですけどね(笑)
今までのテイルズシリーズでこんな展開なかったからかなりビビりましたよ(笑)
次回は一体どうなってしまうんでしょうか?
そしてリアちゃん達は無事なのか!?
項、ご期待!!(笑)
下書き:2008.12.15
完成:2009.07.14
途端、もわっとした熱気が身体にあたる
澄み切った青空にカンカン照りの太陽
辺りは白い砂に覆われ所々にサボテンが生えている
少し風が吹くと砂が風に乗って移動している
「・・・影一つない、ですね」
「この暑さ、想像以上だね・・・」
「準備無しで放り出されたらたまんねえな」
「あのおっさんは準備無しでも平気そうよ」
リタの言葉に私達はレイヴンを見るとレイヴンは宙返りしたり、走り回っていた
「おっさん・・・暑くないのか?」
「いや暑いぞ、めちゃ暑い、まったく暑いぞ!」
「うぜぇ・・・」
「暑苦しい・・・」
「うっとうしい・・・」
上から兄さん、アスラ、リタが暑さに負けているような声で言う
「暑いって言われる度に・・・温度が上がっていく気がします」
「水の補給を忘れないようにしときゃ大丈夫よ」
「サボテン、ですね・・・」
「でもあの子達の両親は何も準備してないのよね」
「フェローも探さなきゃ、だけど・・・」
「ええ・・・アルフとライラからの依頼を先にして良いかしら?」
「で、でも・・・」
「人の命が関わってるなら尚更探した方が良いと思うよ」
言い淀むカロルにアスラが口を挟む
だが次に聞こえた言葉はいつもより低めのトーンだった
「・・・人間なんてそう長生き出来る生き物じゃないんだから」
「アスラ・・・」
「「・・・・」」
聞こえた言葉は小声だったから近くにいた私とユーリと兄さんにしか聞こえてなかっただろう
「俺もジュディスとアスラの意見に賛成だな」
「私も。それにまだあんなに小さな子供だし両親がいないと不安になるものね」
「そうだな・・・。よし、二人の両親を探そうぜ」
キュオォォォッ
すると鳥の鳴くような声が聞こえた
「・・・今の」
「フェローの鳴き声?」
「やっぱりフェローはこの砂漠にいたんだ!」
「じゃあやっぱり此処がお伽話の・・・」
エステルはそう言って砂漠を見つめた
「焦んなよ。まずはアルフとライラの両親を探すぞ」
「はい」
「依頼が終わったら存分に相手してやるからさ。行くぞ」
「はい」「「「ええ」」」「「うん」」「ああ」「おう」「ワン」
ユーリの掛け声と共に私達は歩みを進めた
45.コゴール砂漠
砂漠に入ってからもうどれくらい立ったのだろう
地図もない、辺りを見ても変わらない景色の中を私達は歩いていた
「進めども、進めども、見えるのは砂と青空のみよ、っと」
「レイヴン、空が見えるなんて元気だね。ボク、もう砂しか見えなくなってきたよ」
「・・・なんでおっさんのくせに、そんなに元気なのよ」
エステル、カロル、リタはもう暑さで体力を奪われているのか少しずつ歩くスピードが落ちてきていた
「無駄話してると余計に疲れるぞ。誰か一人でも倒れたら、連れて帰るだけでも一苦労だ。この状況下で、背負って歩くなんて勘弁だからな」
「リアが倒れても?」
何でそこで私の名前が出てくるの・・・?
私は目だけでジュディスにそう訴えるとユーリに視線を移す
「・・・そん時は背負ってやるよ」
「・・・う、うん・・・///」
ユーリが少し視線を逸らしながら言い、なんだかお互いに照れくさくなってしまい私も視線を逸らした
「良いなぁ~、リアちゃん。おっさんも背負って欲しいなぁ~」
「一番元気な奴が言うか、それ・・・」
「レイヴンなら倒れないと思うよ・・・」
「じゃあボクが倒れたらレイヴン、よろしく」
「残念、俺様の背中は女性専用よ」
「あぁ、あたしは死んでも倒れないわ」
「わたしもご迷惑はかけません」
「勿論、私もね」
「わざわざ、言わなくて良いんじゃない?」
レイヴンは悲しそうな声を出し、とぼとぼ歩き出した
暫く進んでいると、急にカロルが口を開いた
「ねえ、とても重大な話があるんだけど」
「奇遇ね、あたしも言いたい事があるわ」
「早く砂漠を出ようよ」「早く砂漠を出ましょ」
「それしか言うことないの? もっとこの暑さと砂だらけの風景を楽しんで、だな・・・」
「無理です・・・絶対無理・・・早く砂漠を出ましょう・・・」
「早く出ようぜ・・・」
「同感だ・・・」
「ジュディスちゃーん・・・・!」
「早く出ましょう・・・」
「リアちゃーーん・・・」
「・・・・・」
「・・・あれ? リアちゃん?」
「・・・・」
更に声を掛けるが無言のままだった
「せいねーん、リアちゃんが無言なんですけどー」
「リア、暑さに弱いからしゃべる気力はないみたいだよ・・・」
「無駄に体力使いたくねぇだけだろ」
アスラとセイの答えを聞くとレイヴンは、おっさん寂しいー!! と言って騒いで歩いている
この暑い中、誰だって騒ぎたくはなるがみんなそんな元気すらない
歩くので精一杯だった
*
あれから暫くして少し日の位置が変わったように感じたが実際、今が何時なのかも解らない
完全に迷っている状態で、みんな暑さに体力を奪われ水分補給をして砂漠を歩いているがやっぱり歩くスピードは落ちている
一人を除いては・・・
「ほれ、たらたら歩くと余計疲れるぞ」
「何でそんな元気なの・・・?」
「いるよな、人がバテてる時だけ、元気なヤツ・・・」
「ああ・・・」
「ぶっ飛ばしたい・・・」
「ムダに動くなよ」
「そんな元気もないわ・・・ね、あれから声聞こえた?」
「いえ・・・全然・・・」
「ところで、あんた、こんな砂漠に何しに来てたの?」
エステルの答えを聞き、リタはジュディスへと向き合う
「此処の北の方にある山の中の街に住んでたの、私。友達のバウルと一緒に。だから時々砂漠の近くまで来てたのよ」
「砂漠に・・・?」
リタはその言葉に疑問を持ったがジュディスは気にした様子もなく言葉を続ける
「それにしても何かを探す余裕はなさそうね。これは」
「まったくだな。自分の命繋ぐのに精一杯だ・・・」
「早く何か手掛かりを見つけなきゃ・・・」
「う、もう水がない・・・」
カロルの弱々しい声が聞こえ見ると、カロルは水筒を逆さにして少しでも水が出ないか試していた
「全部飲むんじゃねえぞ」
「ありがと、ユーリ」
そんなカロルを見かねてユーリは自分の水筒をカロルに手渡しカロルは少しだけ水を飲んだ
「ちょっと・・・この辺で・・・休憩に、しない・・・?」
流石のリタももう息が上がっていた
「まったくしょうがないねぇ」
「あ~!」
カロルはそう叫ぶと突然走り出した
「お? 遂に一人壊れた?」
するとザバンっと言う音が聞こえた
「・・・ザバン?」
その音を聞き私達は音が聞こえた方を見るとそこには小さなオアシスがあった
「水っ!」
「あ、ちょっと、気を付けて。砂に足を取られたら危ないですよ!」
そう言ってリタもエステルも走り出した
「なんだよ・・・まだ元気じゃねえか」
「子供は元気が取り柄だからな」
「おっさんも行くか!」
そしてレイヴンも湖の中へ飛び込んで行った
「もう一人、子供がいたね・・・」
「ああ・・・」
「みんなして、力の出し惜しみしやがって」
「ふふっ。私達も行こうか」
「ええ」
そう言って私達はオアシスへと向かって歩き出した
カロル達は暫くの間、水浴びをしてその場に座り込んだ
「生き返ったぁ~・・・」
「ほんと、もうダメかと思った」
二人の顔はさっきまでの顔とは違い、元気になっていた
「おお、おお、これからの未来をしょって立つ若者が情けないね」
「うっさい」
「このまま進むのも危険だよね・・・」
「でも、此処で引き返したらあの子達悲しむわね、きっと」
「とりあえず力の続く限り、行くわよ」
「あわよくば、フェローだって見つかるかもしれないですから」
「だな。水場も見つけたしもう暫くは捜索出来るだろう」
「毒を食らわば、皿までって事ね」
「そっか、そうだよね」
「そんな事よりカロル、ちゃんと水筒に水入れたか?」
「はい、汲んどいたわ」
「はい、リタも」
「さっすがジュディス!」
「あ、ありがと・・・う・・・」
「どういたしまして」
私とジュディスはカロルとリタの水筒を持って水を汲み、二人に手渡した
「他は平気だな」
「ああ」「はい」「ワン!」
「んじゃ、先へ行きますか」
水に触れたお陰で、みんな元気を取り戻し私達はまた歩みを進めた
*
「ユーリ! 見て、あそこ!」
カロルが言った方に顔を向けると、そこは砂で埋め尽くされた大地の一角に人が倒れていた
「だ、大丈夫!?」
私達はすぐに駆け寄りエステルが手前の男性に、私は隣の女性に治癒術を掛けてあげた
「うぅっ・・・」
「あ、気が付いたみたい」
「あ、貴方方・・は・・・」
男性の方が先に気が付き、よろよろと頭を左右に動かし私達を見た
「楽になりましたか?」
「ああ・・・妻は、妻は・・・」
「こちらの方ですか?」
私は治癒術を掛けている女性に目を向けると男性は少し安心したようだった
「あ、ああ・・・」
「うぅっ・・・」
女性の方もようやく気が付き、私は治癒術を掛けるのをやめた
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」
女性は起き上がろうとするが、エステルに止められる
「まだじっとしていて下さい」
「み、水を・・・」
私とユーリが水筒を手渡すと二人は一気に水を飲み干した
「ぷは~、生き返るな~」
「ええ、潤ってきたわ~」
「有り難う御座います!」
「貴方方のお陰で、命拾いしました・・・貴方方は私達の救いの主です」
二人はなんとか立ち上がるくらい回復し、私達に頭を下げた
「安心するのは生きて帰れてからだ」
「お礼を・・・と言っても、今は何も持ち合わせがなくて・・・」
「ああ、良いって良いってそんなの」
「いえ、そう言う訳には行きません。是非、お礼にマンタイクまで取りに来て下さい」
「マンタイク・・・?」
「貴方達、もしかしてアルフとライラの両親かしら?」
「え、ええ、そうです!」
「もしかして、マンタイクであの子達に・・・?」
「ええ、会いました」
「お父さんとお母さんの事、心配してたよ」
「探しに行こうとまでしてたわ」
「ああ・・・こうしちゃいられない。早く戻らないと・・・」
「焦らないで。二人だけで帰れると思う?」
「そ、それは・・・無理です・・・ね」
「ちょっと落ち着いて、」
キュオォォォォォォォォォッ!
私がにこりと笑って二人を落ち着かせようとしていると、突然鳥の鳴き声が聞こえた
「こんな砂漠に・・・鳥?」
途端、私達の前に巨大なゼリー状のエイのような形をした水色の魔物が現れた
「何!? 気持ちワルッ!」
「あんな魔物・・・ボク知らない・・・」
「魔物じゃないわね、あれは」
「魔物じゃなかったら、何よ!?」
「ワン! ワン! ワン!」
「ラピードがびびるなんて・・・やばそうだな・・・」
「に、逃げよう・・・!」
「こっちに来ます!」
「ちっ、やるしかねえって事か。あんた達は離れてろよ!」
「は、はい!」
「アスラ、二人の護衛お願い!」
「了解!」
二人の姿が見えなくなるのを確認すると私達は戦闘を始めた
*
キュオォォォォォォォォォッ!
暫くして、魔物は声を荒げながらその場から消えていった
「消えた・・・?」
ハァ、ハァ・・と息を整えていると空からオレンジ色の羽根のようなものが落ちて来た
「これは・・・?」
「はあ・・・ボク、もうだめ・・・」
エステルはそれを拾って地面に座るとカロルが倒れてしまう
さっきの戦闘でみんな体力を使い果たしたのか、つられてリタもエステルもジュディスもラピードも倒れる
「ジュディス、ラピード・・・しっかり・・・」
「さすがの俺様も、もう限界・・・」
そして、兄さんもレイヴンも倒れてしまう
アスラと夫婦を見てみるとこちらも同じように倒れていた
「・・・こりゃ、やべえ・・・」
そう言ってユーリは座り込みユーリも倒れてしまった
「・・・ユー・・リ・・・」
私ももう立っているのが限界で座り込んでしまい、そのまま倒れてしまった
・・・・・・・・
その場に倒れてしまった私達の間に静かに風が吹く
このままこの状態なのだろうか・・・
そう思っていると不意にユーリの声が聞こえた
「・・・なんだ」
ゆっくりと目を開けると蜃気楼かもしれないが遠くに砂漠とは別の緑豊かな街みたいなものが見えた
「・・・街?」
段々と意識が遠のいて行く中、次に目に入ったものはカドスの喉笛の時に見たあの鳥の魔物だった
「・・・始祖の・・・隷長・・・」
私はそこで完全に意識が途絶えた
続く
あとがき
のわぁぁっぁぁ~~~~!!!
何か凄い所で終わったぞ!?!?!?
あ、これ、ゲームやってた時にも思った&言ったんですけどね(笑)
今までのテイルズシリーズでこんな展開なかったからかなりビビりましたよ(笑)
次回は一体どうなってしまうんでしょうか?
そしてリアちゃん達は無事なのか!?
項、ご期待!!(笑)
下書き:2008.12.15
完成:2009.07.14