満月の子編
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フレンが立ち去った後、アスラと合流した私は闘技場へと続く廊下を歩いていると歓声が聞こえ、丁度ユーリが準決勝を勝ち抜いたと言うアナウンスが聞こえた
「流石ユーリ」
そして次はいよいよ例の現チャンピオンとの対決
急いで見に行かなきゃと思っていると闘技場へと続く階段の所にフレンの姿が見えた
そしてフレンは闘技場へと入って行った
「え、まさか・・・」
「紹介しよう、大会史上、無敗の現闘技場チャンピオン!」
そう思った途端会場アナウンスが響き私は急いで階段を駆け上がり、闘技場が見える位置まで行った
「甘いマスクに鋭い眼光! フレ~~~ン・シ~~~フォ!」
フレンが現れると同時に一気に会場が沸いた
41.黒と白の一騎打ち
「・・・ユーリ・・・こんな所で、何を・・・!」
「お前か、闘技場乗っ取ろうとしてる悪党ってのは」
フレンは会場の真ん中まで行くと、挑戦者の姿の後ろ姿を見て驚き、ユーリはフレンに向き合うとフレンはユーリの前で止まった
「冗談はやめてくれ。一体、何の話だ」
「こりゃ、はめられたかな」
「そうらしいな」
ユーリもフレンも剣を構え、戦闘態勢を取った
「男達よ! 燃えたぎる熱き闘志を見せよ! 注目のファイナル~ファイッ!」
その合図を聞くとユーリもフレンも駆けだし、ユーリがフレンに攻撃を仕掛けた
「危ないじゃないか」
フレンはユーリの攻撃を盾で受け止める
「観客に、八百長試合を見せる訳にはいかねえだろ?」
ユーリはそのまま剣を振りかざし、フレンは後ろに飛び攻撃を交わし、お互いに背中合わせになった
「少しは手加減して欲しいな」
「よく言うぜ、簡単に受け止めやがって」
短い会話を交わすとまた攻撃を仕掛ける二人
「手短に事情を聞こうか?」
「騎士団の任務だ。それ以上は言えない」
「闘技場で勝ち抜く任務って一体何の事だよ。それも隊長自ら・・・」
「言えないんだ」
フレンを首を横に振りユーリに言えないと言うとまた剣を振り翳す
観客達は白熱した試合に大きな歓声を浴びせている
「隊長になって張り切んのも良いがあんま一人で無理すんなよ」
「張り切っているのは君だ。そんな楽しそうな姿を見るのは久しぶりだよ」
フレンの言う通り、確かに今のユーリは凄く楽しそうな顔をしていた
「そう言えば・・・」
そしてフレンはまたユーリに剣を振り翳すとユーリはフレンの剣を受け止める
「リアにキスしたって言うのは本当か?」
「何でお前がそんな事知ってんだよ?」
「さっきリアと会ってね。リアは手の甲に、としか言わなかったけどね」
「成る程な。あいつの態度見てりゃ解るってか」
「そう言う事だよ!」
お互いに剣を弾き、後ろに下がる
「悪いけど、僕も引き下がる気はないからね」
「へっ、言うじゃねぇか。なら、そろそろ本気で白黒衝けるか?」
「望む所だよ」
お互いに睨み合う体制になり、そして一歩前に出ようとした時だった
「ユーリ~~~~・・・・ローウェル!」
何処からかユーリの名を叫ぶ声が聞こえた
「この声、何処かで聞いた事あるような・・・」
その声の主はユーリとフレンの間に降り立った
「あいつ・・・紅の絆傭兵団の船に乗ってた奴だ!」
「確か、ザギ!?」
「これは大変! 大ハプニング! 舞台上の主役達もお株を奪われた感じか!」
突然の乱入者に会場は一気にざわめきだすが、ザギはお構いなしにユーリを見た
「ユーリ! オレに殺される為に生き延びた男よ! 感謝するぜ!」
「ちっ、生き延びたのはお前の為じゃねぇぞ」
「オレを初めて傷つけたお前を、オレは絶対この手で殺す!」
「やる気出すなら、もっと別の事にしとけよ」
「見ろぉ!」
ザギはそう言って自分の左手を空に掲げた
その手はまるで手術して付けたかのように腕から手先まで魔導器になっていた
「っ! この感じ・・・まさかあれ・・・」
ザギの左腕にある魔導器を見ていると、客席でその様子を見ていたジュディスが客席から降りて来た
「ジュディス!?」
「リア、ボク達も行こう」
「ええ!」
ジュディスの後を追ってエステル達も客席から降りて来て、私もアスラもユーリとフレンの近くまで駆け寄った
「どうだ、この腕は? お前の所為だ、お前の為だ! くくくく! さぁ、この腕をぶちこんでやるぜ! ユーリ!」
「しつこいと嫌われるぜ!」
ザギはユーリの言葉など聞こえていないようで私達に攻撃を仕掛け、私達は一斉にその場から離れて体制を整え、私はジュディスの隣に移動した
「ジュディス、あの魔導器・・・」
「ええ、間違いないわ・・・」
そう返事を返すとジュディスはザギの左腕の魔導器目掛けて槍を振るうが、ザギの方がスピードが速く擦れただけだった
続いて私も攻撃を仕掛けるが急に魔導器の力を解放し、私は体制を崩した
「きゃっ!」
「もらったぁ!!」
「「リア!!」」
「っ!」
ザギは地面に尻餅を付いていた私目掛けて攻撃をしてくる
急いで剣を構えて攻撃を塞ごうとしていると一閃の光が飛んで来た
「ぐおっ!!」
その攻撃は見事ザギに当たり、私達の前に攻撃を放った人物が降り立った
「大丈夫か?」
「「セイ!」」「兄さん!」
「悪ぃな、遅くなって」
「ううん。ありがとう」
兄さんは私を立たせてくれると、みんな一斉に私と兄さんの所に駆け寄って来た
「セイ」
「遅くなって悪かったな」
「いや、それよりもあいつを何とかしないとな」
「ああ。じゃあ、行くぜ!」
「「ああ!」」「「うん!」」
兄さんの言葉に私達前衛はまた駆けだした
前衛はユーリ、私、兄さん、カロル、ジュディス、ラピードにフレンも加わりいつもより威力が上がっている
それはユーリとフレン、そして私と兄さんの連携が見事に取れているからだった
その見事な連携にカロルとレイヴンは驚いていた
「凄い、息ピッタリだ!」
「こりゃ俺様達も負けてらんないわね」
レイヴンの魔術が発動し、巻き起こった風が消えふとザギを見るとザギの魔導器が怪しく光っていた
「?」
気のせいかと思っているとリタの魔術が発動し、再びザギの魔導器の光が強くなっていた
「・・・成る程、そう言う事。リタ!」
「な、何!?」
急に名前を呼ばれリタは詠唱をやめて私を見た
「ザギの魔導器に向かって魔術を放って!」
「え?」
「レイヴンもお願い」
「俺様も?」
「じゃ、お願いね!」
二人にそう言うと私はユーリとフレンと兄さんの所へ向かった
「ユーリ、フレン、私と兄さんがザギの魔導器に攻撃した後一気に攻撃して」
「解った!」「ああ」
二人の返事を聞くと私は兄さんとアイコンタクトして左右に別れた
「デモンズランス!」
「ハボックゲイル!」
リタとレイヴンの魔術が発動して、ユーリとフレンの攻撃の後に二人の間を抜けて私と兄さんも魔術を発動させた
「インディグネイション!」
「エンシェントノヴァ!」
魔法の連携を受け、ザギの魔導器の色は更に変化した
「ユーリ、フレン、今よ!!」
「任せろ! 行くぞフレン!」
「ああ!」
そう言うとユーリとフレンは左右に別れ、地を蹴って宙で剣を構えた
「見せてやろうぜ! 貫け! 「「武神双天波!!」」
二人は剣を振るうと同時に二閃の光が現れザギの魔導器目掛けていった
「・・・ぐわぁっ!!」
二人の攻撃が当り、ザギは地面に倒れた
それと同時に左腕を押さえ唸りだした
「ぐわぁあぁぁぁっっっ!!」
「な、何!?」
急な事にカロルは驚いていると隣にいたリタが口を開く
「制御しきれてない! あんな無茶な使い方するから!」
「魔導器風情がオレに逆らう気か!」
ザギは左腕を空に掲げると魔導器が暴走して光を放ち近くにあった結界魔導器を壊した
その途端、そこから魔物が出て来た
「ま、魔物!」
「どうして、こんな所に!?」
「見世物の為に捕まえてあった魔物だ。多分、今ので魔物を閉じ込めていた結界魔導器が壊れたんだ!」
フレンはそう言うとそのまま控えていた騎士団の元へ急いだ
「ぐわあああっ・・・・・!」
ザギは苦しそうに左腕を押さえそのまま何処かへ走り出した
「逃がさないわ・・・!」
「きゃっ!」
「エステル!」
逃げ出したザギの後をジュディスが追おうとしていると魔物の攻撃を受けたエステルが倒れ駆け寄って起こして上げ辺りを見ると既にザギの姿はなく、代わりに魔物達が私達を囲むようにしていた
「ちっ、魔物の掃除が先だな」
「・・・・」
ジュディスは悔しそうにザギが去っていた方を見ていたが直ぐに魔物の退治を始めた
しかし魔物を倒しても魔物は現れる一方で、これではキリがない
「こりゃ、ちょいとしんどいねえ」
「口じゃなくて、手動かして」
リタがそう言って魔術を発動させようとしていると急に眩い光が見えた
「な、何?」
その光はエステルが持っているあの紅の小箱からだった
すると、リタが放った魔術が突然消えた
「ちょっと・・・どういう事!?」
「この箱の所為・・・?」
エステルがその箱を見ていると突然ラーギィさんがその箱を奪い取った
「あいつ!」
それを見たジュディスと兄さんとラピードは急いで後を追った
「騎士団に告ぐ! ソディアは小隊を指揮し、散った魔物の討伐に当たれ!」
「客を避難させるのが先だろ」
「残りは私と、観客の護衛だ! 魔物は一匹たりとも逃がすな!」
「心配しなくても大丈夫みたいね」
「ああ。ちゃんと隊長らしさも板についてるしな。オレ達も行くぞ」
「ジュディスとセイと犬っころが先に行ったわよ」
「ああ」
ユーリはそう言って駆けだし、私達も後に続いた
「やれやれ・・・ちょっと待てよ、おいってば」
レイヴンは小さく呆れるとユーリ達の後を追った
闘技場の出口付近に来ると兄さんとジュディスが私達の所まで来た
「街の外に逃げられたわ」
「・・・逃げ足の速い野郎だ」
「まだラピードが追ってる」
「ラピードが追い着いてくれてれば良いんだが」
「それにしても、どうなってるの? 何で、ラーギィさんが」
「どうやら、はめられたっぽい?」
「らしいな。リア達の言ってた通りだったな」
「フレンの任務を妨害する為に俺達やユーリ達をけしかけたんだろ」
「任務・・・?」
兄さんの言葉にエステルは疑問を持って兄さんを見ると答えのはユーリだった
「お姫様を連れ戻しにって事じゃなさそうだぜ。それなら闘技場の大会に出たりしないからな」
「じゃあ一体何なんでしょう?」
「さあな。ラーギィの思惑を邪魔するものだったってのは間違いなさそうだ」
「でも、あの温厚そうなラーギィさんが・・・」
「箱を奪ってた時のあいつは温厚なんてもんじゃなかったわよ」
「確かに温厚っていう感じじゃなかったね」
「遺講の門は表向きの顔ってヤツかもねぇ・・・」
「それにしてもあの箱を奪っていくなんて」
「橙明の核晶って一体何だったんでしょう?」
「解ってるのはあたしの魔術があの箱の所為で暴走したって事くらいかしら。あんな風に武醒魔導器が制御出来なかったのなんて初めて・・・」
「ねぇ、ラピード追い駆けた方が良いんじゃない? もしかしたら戻って来てるかもしれないし」
「そうね、行きましょ」
「ラーギィの野郎」
「一体、何の為にあの箱を?」
「天才少女の魔法、ちょい異常だったからねぇ。あの箱と関係してるって思ったんじゃない?」
「ラーギィさん、箱の中身が何か解ったって事?」
「追い駆けて捕まえればはっきりするわ」
「そうね、中身が解ったから盗んだというのなら橙明の核晶の事も知ってるんでしょうし」
「捕まえれば、ヨームゲンの街の事も解るかも」
「こりゃ、ますます逃がす訳にはいかねえ」
「うん、急いで追い駆けよう」
「お、ラピード」
街の出口に行くとラピードが服の切れ端みたいな物を咥えて戻って来た
「これ・・・」
「ラーギィの服の切れ端だな」
「こいつがあれば匂いで追えるな」
「ワン!」
「あの箱を取り返さなきゃ!」
「それもあるけどな」
「ギルドは裏切りを許さない」
「うん・・・」
カロルは何処か寂しそうな顔をして頷いた
「西の山脈は旅支度のないまま通り抜けるのは無理だと思うから追い詰められそうよ」
「ああ、とっ捕まえるぜ」
「闘技場の方は大丈夫でしょうか?」
「気になる?」
「じゃ、エステル達は此処で待ってる?」
「え?」
「これはギルドの問題だしな。お嬢ちゃん達が着いてくる理由は、ま、ないわな」
「ゴメン、エステル。あたしは行くわ。あの箱が気になるし。それにあの箱盗んだバカに落とし前つけたいから」
「わたしは・・・」
「自分で決めな」
「い、行きます。騎士団を妨害しようとしのなら何か帝国にも関係があるかもしれないから」
「そっか。ま、闘技場の方は大丈夫だろう。フレンが上手くやるさ」
「じゃあラピード、案内頼むぜ」
「ワン!」
ユーリ達はラピードを先頭に歩いて行ったが、エステルはその場に立ち止まっていた
「エステル、心配しなくてもフレンなら大丈夫だから」
そんなエステルの肩に手を置いてニッコリと笑って言うと、エステルは小さく笑ってそうですねと答えて歩き出し、私もその後を追った
続く
あとがき
かなりシリアス展開になってきましたね
けど、ユーリVSフレンで話しが進んでいくから途中で前回と前々回の出来事を挟んでみましたw
そしてザギ戦では遂に、遂にユーリとフレンの協力秘奥義を使っちゃいました!!
PS3版の話しじゃないのに(笑)
せっかく一緒にいるなら使いたいなぁ~っと思ってPV見てニヤニヤしながら書いちゃいました(笑)
あそこは何回見ても良いですよね!
そしてリアちゃんとセイ兄もやっと魔法使かいましたね
しかもヴェスペリアで使わない技を(笑)
実際まだ何使うか考えてないんで好きな魔法使わせたのであんま気にしないで下さい(笑)
それではまた~!
下書き:2008.12.15
完成:2009.07.06
「流石ユーリ」
そして次はいよいよ例の現チャンピオンとの対決
急いで見に行かなきゃと思っていると闘技場へと続く階段の所にフレンの姿が見えた
そしてフレンは闘技場へと入って行った
「え、まさか・・・」
「紹介しよう、大会史上、無敗の現闘技場チャンピオン!」
そう思った途端会場アナウンスが響き私は急いで階段を駆け上がり、闘技場が見える位置まで行った
「甘いマスクに鋭い眼光! フレ~~~ン・シ~~~フォ!」
フレンが現れると同時に一気に会場が沸いた
41.黒と白の一騎打ち
「・・・ユーリ・・・こんな所で、何を・・・!」
「お前か、闘技場乗っ取ろうとしてる悪党ってのは」
フレンは会場の真ん中まで行くと、挑戦者の姿の後ろ姿を見て驚き、ユーリはフレンに向き合うとフレンはユーリの前で止まった
「冗談はやめてくれ。一体、何の話だ」
「こりゃ、はめられたかな」
「そうらしいな」
ユーリもフレンも剣を構え、戦闘態勢を取った
「男達よ! 燃えたぎる熱き闘志を見せよ! 注目のファイナル~ファイッ!」
その合図を聞くとユーリもフレンも駆けだし、ユーリがフレンに攻撃を仕掛けた
「危ないじゃないか」
フレンはユーリの攻撃を盾で受け止める
「観客に、八百長試合を見せる訳にはいかねえだろ?」
ユーリはそのまま剣を振りかざし、フレンは後ろに飛び攻撃を交わし、お互いに背中合わせになった
「少しは手加減して欲しいな」
「よく言うぜ、簡単に受け止めやがって」
短い会話を交わすとまた攻撃を仕掛ける二人
「手短に事情を聞こうか?」
「騎士団の任務だ。それ以上は言えない」
「闘技場で勝ち抜く任務って一体何の事だよ。それも隊長自ら・・・」
「言えないんだ」
フレンを首を横に振りユーリに言えないと言うとまた剣を振り翳す
観客達は白熱した試合に大きな歓声を浴びせている
「隊長になって張り切んのも良いがあんま一人で無理すんなよ」
「張り切っているのは君だ。そんな楽しそうな姿を見るのは久しぶりだよ」
フレンの言う通り、確かに今のユーリは凄く楽しそうな顔をしていた
「そう言えば・・・」
そしてフレンはまたユーリに剣を振り翳すとユーリはフレンの剣を受け止める
「リアにキスしたって言うのは本当か?」
「何でお前がそんな事知ってんだよ?」
「さっきリアと会ってね。リアは手の甲に、としか言わなかったけどね」
「成る程な。あいつの態度見てりゃ解るってか」
「そう言う事だよ!」
お互いに剣を弾き、後ろに下がる
「悪いけど、僕も引き下がる気はないからね」
「へっ、言うじゃねぇか。なら、そろそろ本気で白黒衝けるか?」
「望む所だよ」
お互いに睨み合う体制になり、そして一歩前に出ようとした時だった
「ユーリ~~~~・・・・ローウェル!」
何処からかユーリの名を叫ぶ声が聞こえた
「この声、何処かで聞いた事あるような・・・」
その声の主はユーリとフレンの間に降り立った
「あいつ・・・紅の絆傭兵団の船に乗ってた奴だ!」
「確か、ザギ!?」
「これは大変! 大ハプニング! 舞台上の主役達もお株を奪われた感じか!」
突然の乱入者に会場は一気にざわめきだすが、ザギはお構いなしにユーリを見た
「ユーリ! オレに殺される為に生き延びた男よ! 感謝するぜ!」
「ちっ、生き延びたのはお前の為じゃねぇぞ」
「オレを初めて傷つけたお前を、オレは絶対この手で殺す!」
「やる気出すなら、もっと別の事にしとけよ」
「見ろぉ!」
ザギはそう言って自分の左手を空に掲げた
その手はまるで手術して付けたかのように腕から手先まで魔導器になっていた
「っ! この感じ・・・まさかあれ・・・」
ザギの左腕にある魔導器を見ていると、客席でその様子を見ていたジュディスが客席から降りて来た
「ジュディス!?」
「リア、ボク達も行こう」
「ええ!」
ジュディスの後を追ってエステル達も客席から降りて来て、私もアスラもユーリとフレンの近くまで駆け寄った
「どうだ、この腕は? お前の所為だ、お前の為だ! くくくく! さぁ、この腕をぶちこんでやるぜ! ユーリ!」
「しつこいと嫌われるぜ!」
ザギはユーリの言葉など聞こえていないようで私達に攻撃を仕掛け、私達は一斉にその場から離れて体制を整え、私はジュディスの隣に移動した
「ジュディス、あの魔導器・・・」
「ええ、間違いないわ・・・」
そう返事を返すとジュディスはザギの左腕の魔導器目掛けて槍を振るうが、ザギの方がスピードが速く擦れただけだった
続いて私も攻撃を仕掛けるが急に魔導器の力を解放し、私は体制を崩した
「きゃっ!」
「もらったぁ!!」
「「リア!!」」
「っ!」
ザギは地面に尻餅を付いていた私目掛けて攻撃をしてくる
急いで剣を構えて攻撃を塞ごうとしていると一閃の光が飛んで来た
「ぐおっ!!」
その攻撃は見事ザギに当たり、私達の前に攻撃を放った人物が降り立った
「大丈夫か?」
「「セイ!」」「兄さん!」
「悪ぃな、遅くなって」
「ううん。ありがとう」
兄さんは私を立たせてくれると、みんな一斉に私と兄さんの所に駆け寄って来た
「セイ」
「遅くなって悪かったな」
「いや、それよりもあいつを何とかしないとな」
「ああ。じゃあ、行くぜ!」
「「ああ!」」「「うん!」」
兄さんの言葉に私達前衛はまた駆けだした
前衛はユーリ、私、兄さん、カロル、ジュディス、ラピードにフレンも加わりいつもより威力が上がっている
それはユーリとフレン、そして私と兄さんの連携が見事に取れているからだった
その見事な連携にカロルとレイヴンは驚いていた
「凄い、息ピッタリだ!」
「こりゃ俺様達も負けてらんないわね」
レイヴンの魔術が発動し、巻き起こった風が消えふとザギを見るとザギの魔導器が怪しく光っていた
「?」
気のせいかと思っているとリタの魔術が発動し、再びザギの魔導器の光が強くなっていた
「・・・成る程、そう言う事。リタ!」
「な、何!?」
急に名前を呼ばれリタは詠唱をやめて私を見た
「ザギの魔導器に向かって魔術を放って!」
「え?」
「レイヴンもお願い」
「俺様も?」
「じゃ、お願いね!」
二人にそう言うと私はユーリとフレンと兄さんの所へ向かった
「ユーリ、フレン、私と兄さんがザギの魔導器に攻撃した後一気に攻撃して」
「解った!」「ああ」
二人の返事を聞くと私は兄さんとアイコンタクトして左右に別れた
「デモンズランス!」
「ハボックゲイル!」
リタとレイヴンの魔術が発動して、ユーリとフレンの攻撃の後に二人の間を抜けて私と兄さんも魔術を発動させた
「インディグネイション!」
「エンシェントノヴァ!」
魔法の連携を受け、ザギの魔導器の色は更に変化した
「ユーリ、フレン、今よ!!」
「任せろ! 行くぞフレン!」
「ああ!」
そう言うとユーリとフレンは左右に別れ、地を蹴って宙で剣を構えた
「見せてやろうぜ! 貫け! 「「武神双天波!!」」
二人は剣を振るうと同時に二閃の光が現れザギの魔導器目掛けていった
「・・・ぐわぁっ!!」
二人の攻撃が当り、ザギは地面に倒れた
それと同時に左腕を押さえ唸りだした
「ぐわぁあぁぁぁっっっ!!」
「な、何!?」
急な事にカロルは驚いていると隣にいたリタが口を開く
「制御しきれてない! あんな無茶な使い方するから!」
「魔導器風情がオレに逆らう気か!」
ザギは左腕を空に掲げると魔導器が暴走して光を放ち近くにあった結界魔導器を壊した
その途端、そこから魔物が出て来た
「ま、魔物!」
「どうして、こんな所に!?」
「見世物の為に捕まえてあった魔物だ。多分、今ので魔物を閉じ込めていた結界魔導器が壊れたんだ!」
フレンはそう言うとそのまま控えていた騎士団の元へ急いだ
「ぐわあああっ・・・・・!」
ザギは苦しそうに左腕を押さえそのまま何処かへ走り出した
「逃がさないわ・・・!」
「きゃっ!」
「エステル!」
逃げ出したザギの後をジュディスが追おうとしていると魔物の攻撃を受けたエステルが倒れ駆け寄って起こして上げ辺りを見ると既にザギの姿はなく、代わりに魔物達が私達を囲むようにしていた
「ちっ、魔物の掃除が先だな」
「・・・・」
ジュディスは悔しそうにザギが去っていた方を見ていたが直ぐに魔物の退治を始めた
しかし魔物を倒しても魔物は現れる一方で、これではキリがない
「こりゃ、ちょいとしんどいねえ」
「口じゃなくて、手動かして」
リタがそう言って魔術を発動させようとしていると急に眩い光が見えた
「な、何?」
その光はエステルが持っているあの紅の小箱からだった
すると、リタが放った魔術が突然消えた
「ちょっと・・・どういう事!?」
「この箱の所為・・・?」
エステルがその箱を見ていると突然ラーギィさんがその箱を奪い取った
「あいつ!」
それを見たジュディスと兄さんとラピードは急いで後を追った
「騎士団に告ぐ! ソディアは小隊を指揮し、散った魔物の討伐に当たれ!」
「客を避難させるのが先だろ」
「残りは私と、観客の護衛だ! 魔物は一匹たりとも逃がすな!」
「心配しなくても大丈夫みたいね」
「ああ。ちゃんと隊長らしさも板についてるしな。オレ達も行くぞ」
「ジュディスとセイと犬っころが先に行ったわよ」
「ああ」
ユーリはそう言って駆けだし、私達も後に続いた
「やれやれ・・・ちょっと待てよ、おいってば」
レイヴンは小さく呆れるとユーリ達の後を追った
闘技場の出口付近に来ると兄さんとジュディスが私達の所まで来た
「街の外に逃げられたわ」
「・・・逃げ足の速い野郎だ」
「まだラピードが追ってる」
「ラピードが追い着いてくれてれば良いんだが」
「それにしても、どうなってるの? 何で、ラーギィさんが」
「どうやら、はめられたっぽい?」
「らしいな。リア達の言ってた通りだったな」
「フレンの任務を妨害する為に俺達やユーリ達をけしかけたんだろ」
「任務・・・?」
兄さんの言葉にエステルは疑問を持って兄さんを見ると答えのはユーリだった
「お姫様を連れ戻しにって事じゃなさそうだぜ。それなら闘技場の大会に出たりしないからな」
「じゃあ一体何なんでしょう?」
「さあな。ラーギィの思惑を邪魔するものだったってのは間違いなさそうだ」
「でも、あの温厚そうなラーギィさんが・・・」
「箱を奪ってた時のあいつは温厚なんてもんじゃなかったわよ」
「確かに温厚っていう感じじゃなかったね」
「遺講の門は表向きの顔ってヤツかもねぇ・・・」
「それにしてもあの箱を奪っていくなんて」
「橙明の核晶って一体何だったんでしょう?」
「解ってるのはあたしの魔術があの箱の所為で暴走したって事くらいかしら。あんな風に武醒魔導器が制御出来なかったのなんて初めて・・・」
「ねぇ、ラピード追い駆けた方が良いんじゃない? もしかしたら戻って来てるかもしれないし」
「そうね、行きましょ」
「ラーギィの野郎」
「一体、何の為にあの箱を?」
「天才少女の魔法、ちょい異常だったからねぇ。あの箱と関係してるって思ったんじゃない?」
「ラーギィさん、箱の中身が何か解ったって事?」
「追い駆けて捕まえればはっきりするわ」
「そうね、中身が解ったから盗んだというのなら橙明の核晶の事も知ってるんでしょうし」
「捕まえれば、ヨームゲンの街の事も解るかも」
「こりゃ、ますます逃がす訳にはいかねえ」
「うん、急いで追い駆けよう」
「お、ラピード」
街の出口に行くとラピードが服の切れ端みたいな物を咥えて戻って来た
「これ・・・」
「ラーギィの服の切れ端だな」
「こいつがあれば匂いで追えるな」
「ワン!」
「あの箱を取り返さなきゃ!」
「それもあるけどな」
「ギルドは裏切りを許さない」
「うん・・・」
カロルは何処か寂しそうな顔をして頷いた
「西の山脈は旅支度のないまま通り抜けるのは無理だと思うから追い詰められそうよ」
「ああ、とっ捕まえるぜ」
「闘技場の方は大丈夫でしょうか?」
「気になる?」
「じゃ、エステル達は此処で待ってる?」
「え?」
「これはギルドの問題だしな。お嬢ちゃん達が着いてくる理由は、ま、ないわな」
「ゴメン、エステル。あたしは行くわ。あの箱が気になるし。それにあの箱盗んだバカに落とし前つけたいから」
「わたしは・・・」
「自分で決めな」
「い、行きます。騎士団を妨害しようとしのなら何か帝国にも関係があるかもしれないから」
「そっか。ま、闘技場の方は大丈夫だろう。フレンが上手くやるさ」
「じゃあラピード、案内頼むぜ」
「ワン!」
ユーリ達はラピードを先頭に歩いて行ったが、エステルはその場に立ち止まっていた
「エステル、心配しなくてもフレンなら大丈夫だから」
そんなエステルの肩に手を置いてニッコリと笑って言うと、エステルは小さく笑ってそうですねと答えて歩き出し、私もその後を追った
続く
あとがき
かなりシリアス展開になってきましたね
けど、ユーリVSフレンで話しが進んでいくから途中で前回と前々回の出来事を挟んでみましたw
そしてザギ戦では遂に、遂にユーリとフレンの協力秘奥義を使っちゃいました!!
PS3版の話しじゃないのに(笑)
せっかく一緒にいるなら使いたいなぁ~っと思ってPV見てニヤニヤしながら書いちゃいました(笑)
あそこは何回見ても良いですよね!
そしてリアちゃんとセイ兄もやっと魔法使かいましたね
しかもヴェスペリアで使わない技を(笑)
実際まだ何使うか考えてないんで好きな魔法使わせたのであんま気にしないで下さい(笑)
それではまた~!
下書き:2008.12.15
完成:2009.07.06