満月の子編
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ダングレストを離れた私達は騎士団が追って来ないようにとずっと走りっぱなしだった
「ユーリ、カロルとエステルがしんどそうだぞ」
二人を見ると確かに辛そうに息を吐いていた
「もう何も襲って来ないようだし、休んでも良いと思うわ」
その言葉に一斉にジュディスを見る
「・・・どうして解るんです?」
エステルの問いにジュディスは少し考えて答えた
「勘、かしら」
「勘・・・?」
「ボク達以外の気配はないから休んでも大丈夫だよ」
「それに暗くなって来たし、休むなら今のうちだと思うけど」
「そうだな、じゃあ此処で休憩にするか」
ジュディスとアスラの言葉を聞いて私も賛成するとユーリも納得した
「一休みしたらギルドの事も色々ちゃんと決めようね」
「一休みしたいのはカロル先生だけどな」
「ギルドを作って何をするの? 貴方達」
「何を、か・・・」
「ボクはギルドを大きくしたいな。それでドンの跡を継いで、ダングレストを守るんだ。それが街を守り続けるドンへの恩返しになると思うんだ」
「立派な夢ですね」
確かにギルドの街で育ったカロルならそう思うのも当然だろう
「オレはまぁ、首領 について行くぜ」
「え? ボ、首領? ボクが・・・?」
「ああ、お前が言い出しっぺなんだから」
カロルは首領と言う言葉に狼狽えるがユーリの言う通り、提案したのはカロルだから当然の流れではある
「そ、そうだよね。じゃあ、何からしよっか!」
「とりあえず落ち着け」
「うん!」
そう言って幸せそうな顔をしていると、その様子を見ながらジュディスが微笑む
「ふふっ・・・なんだかギルドって楽しそうね」
「ジュディスもギルドに入ってはどうです?」
「あら、良いのかしら。ご一緒させてもらっても」
「ギルドは掟を守る事が一番大事なんだ。その掟を破ると厳しい処罰を受ける。例えそれが友達でも、兄弟でも。それがギルドの誇りなんだ。だから掟に誓いを立てずには加入は出来ないんだよ」
「カロルのギルドの掟は何なんです?」
「えっと・・・」
まだ掟は決めていないのかカロルは困ったような顔をすると、ユーリが口を開いた
「お互いに助け合う、ギルドの事を考えて行動する。人として正しい行動をする。それに背けばお仕置きだな」
「え?」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為に。義を持って事を成せ。不義には罰を、って事ですね」
「掟に反しない限りは、個々の意思は尊重する」
「ユーリ・・・それ・・・」
「だろ? 首領」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為・・・う、うん! そう! それがボク達の掟!」
ユーリがそう優しく笑うと、カロルはその掟を復唱して反芻する
なんだかユーリらしい掟という気もする
そう思って微笑んでいるとジュディスもそれに賛同する
「今からは私の掟でもある、と言う事ね」
「そんな簡単に決めても良いのか?」
「ええ、気に入ったわ。一人はギルドの為・・・良いわね」
「じゃあ・・・」
「掟を守る誓いを立てるわ、私と・・・あなた達の為に」
「あんたの相棒はどうすんだ?」
「心配してくれて有り難う。でも平気よ、彼なら」
「相棒って・・・?」
「前に一緒に旅をしてた友達よ」
「へえ、そんな人がいたんだね。じゃあ今日からボク等がジュディスの相棒だね」
「よろしくお願いね」
「よろしく!」
「ワンワン!」
「わたしは・・・」
言い淀むエステルを見て、考える時間を与えるべきと判断し、私達は此処で野営をする事にした
32.凛々の明星
夜、みんなまだ眠れないのか各々別の場所にいた
「カロル、眠れないの?」
「あ、リア」
私は焚火の前にいるカロルに声を掛けて隣に座った
「ボク達のギルドの事考えてたんだ。これからどんな仕事をしようかなって」
「出来る事からゆっくりしていけば良いと思うよ。焦っても空回りするだろうしね」
「うん・・・そうだね」
そう言うとカロルは少し黙った
「カロル、ユーリをギルドに誘ってくれてありがとね」
「え?」
「ユーリが自分でやりたいって言って行動するの久しぶりに見たから」
「そうなの?」
「うん。それにカロルも嬉しそうな顔してるし」
「うん。ユーリとなら上手くやっていけそうな気がするんだ」
カロルは本当に嬉しそうな顔をして話してくれた
「ユーリとカロルとジュディスとラピードが作るギルド、か。上手く行くよ、絶対」
「うん、そうだね! ・・・あ、」
嬉しそうな顔をした後に何かを思い出したのかカロルはそのまま止まった
「どうしたの?」
「名前、決めてないや」
そう言われればそうだ
ギルドには必ず名前が付いている
そう思ってカロルを見るとうーんと唸りながら名前を考えていた
「頑張ってね、首領」
私は小さい声でそう言って微笑んでその場を離れた
カロルの所から少し離れた所に行くと、ジュディスが空を見ていた
「ジュディス」
「あら、リア。どうしたのかしら?」
空を見ていたジュディスは私に向き合う
「バウルと話してた? 邪魔したならごめんね」
「いいえ、大丈夫よ」
ジュディスはにこりと笑う
「言うの遅くなっちゃったけど、色々と助けてくれてありがとね」
「どう致しまして。バウルにも伝えておくわ」
「うん。それにしても・・・ジュディスがギルドに入るなんて意外だったな」
「あら、そう?」
「バウルと一緒に旅してたし、魔導器の事もあるしね」
「そうね。でもそれもバレないように壊すから」
「・・・程々にね。今はいないけど、特にリタにはバレないようにね」
「ええ、気を付けるわ」
にこりと笑うとジュディスは空を仰いだ
バウルと話しを始めたのだろう
私は踵を返し、小さな岩の上に座っているエステルの所へ向かった
「エステル」
「・・・あ、リア。どうかしたんです?」
「エステルが考え込んでるように見えたから様子見に来たの」
「・・・考え込んでるように見えてました?」
「ええ。遠くからでも解ったわ」
そう言うとエステルは少し俯た
「・・・実はこれからどうしようかと考えていました。また旅が出来るなんて思ってなかったので」
確かに急に目的が変わってしまったのだから、考え込むのも仕方がない
「エステルのやりたい事をやれば良いと思うよ」
「わたしの、やりたい事・・・」
「ユーリ達はギルドをやっていくし、リタもエアルクレーネの調査で色んな所に行くだろうし」
「そうですね・・・。リアはこれからどうするんです?」
「私は暫くユーリ達と一緒にいるつもりよ」
「セイもです?」
「うん、大きな仕事が入って来ない限りはいると思うよ」
「そうですか。わたしは・・・」
「あんまり考え過ぎないようにね」
「はい。考え過ぎないように考えてみます」
また考え込みそうになっているエステルを見て私はニコリと笑って言うとエステルも笑って答えた
エステルの答えに苦笑して私はその場を離れた
「見張りご苦労様」
「まだ寝てなかったのか」
「なんだか寝付けなくて。ラピードも見張りご苦労様」
ユーリの隣で一緒に見張りをしているラピードにも声を掛け私はユーリの隣に座った
「カロルもエステルも色々と考え込んでるみたいだった」
「あいつ等、考え過ぎなきゃ良いけどな。ジュディは?」
「ジュディスならバウルとお話し中」
「そっか」
「・・・ねえユーリ」
「ん?」
「あの時の言葉って昔、私がユーリに聞いた事だったね」
あの時の言葉、それはユーリがラゴウを手に懸けて宿に戻って来た時にユーリが言った言葉だった
「・・・ああ、ガキん時にな」
『怖くないの?』
それは昔、私がユーリとフレンに私が言霊使いだと言う事を話した時だった
『リアはリアだろ。特別な力があってもリアはオレ達が知ってるリアだよ』
『それはセイも一緒だよ』
そう言ってユーリとフレンは優しく笑ってくれた
「あの時の言葉、ユーリに言うとは思わなかったな」
「オレも聞き返されるとは思ってなかったけどな」
そう言うとお互いに可笑しくなってくすりと笑った
そしてユーリを見ると昨日と今朝とは違う雰囲気になっている事に気が付いた
(いつものユーリに戻ったみたい)
安堵して微笑んでいると私の視線に気付いたのかユーリがこちらに顔を向ける
「どうかしたか」
「ううん、なんでも」
「そう言う割には嬉しそうな顔してるぜ」
「ユーリがギルド始めた事が嬉しくて。ユーリは騎士団よりギルドの方が合ってると思うな」
「確かにこっちの方が居心地は良いかもな。フレンに格好付けて来ちまった分、頑張らねえとな」
「ワン!」
ユーリの言葉にラピードも返事を返し、立ち上がって私達の所に着た
「どうしたの?」
「ワンワンワン」
私とユーリはラピードが言った事に耳を傾ける
どうやら見張りはラピードがやってくれるらしい
「・・・そっか。んじゃ、頼んだぜ」
「お休みラピード」
「ワン!」
私はラピードの頭を撫でてユーリと一緒にテントへと向かった
翌朝 ――
旅支度も終わり、テントを片付けようとしていると兄さんとアスラに呼ばれ兄さんの所へ向かった
「どうしたの、兄さん?」
「前にヘリオードで調べてた事覚えてるか?」
「確か、住民が失踪してるって言うあれ?」
「うん、それがまだ続いてるらしいから本格的に調べろって依頼が来たんだ」
「だからヘリオードに着いたら直ぐに仕事に向かうぞ」
「了解。 ・・・ユーリ達はどうするんだろ?」
私はユーリ達を見ると兄さんもアスラもユーリ達を見る
「あいつ等もヘリオードに向かうだろうな」
「そうだね。とりあえずみんなの所に行こうか」
「うん」
「よーし! じゃあ勇気凛々胸いっぱい団、出発!」
ユーリ達の方へ歩いているとカロルが元気良くそう叫んだ
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
その言葉に私達(カロル以外)は固まってしまった
「・・・おい、カロル」
「え? なに?」
「それ、なんです?」
「え、ギルド名だよ」
「それ、が?」
「そうだけど」
上から兄さん、エステル、アスラ、間にカロルが言葉を挟む
いや、カロルのネーミングセンスがないのは知ってたけど・・・ιι
昨日一生懸命考えて出たのが『勇気凛々胸いっぱい団』・・・
カロルらしいと言えばらしいけど・・・ιι
私も含めみんな、何とも言えない顔をしていた
「それじゃダメよ。名乗りを上げる時に言いやすくないと」
「そうですよ!」
私の言葉にエステルも賛成の声を上げる
「そ、そうなの? じゃあ・・・」
カロルが考えているとエステルが何かを思いついたようだった
「凛々の明星 なんてどうです? 夜空にあって、最も強い光を放つ星・・・」
「一番の星か、格好良いね!」
「凛々の明星・・・ね。気に入った、それにしようぜ」
「ワン!」
ユーリもラピードもその名前が気に入ったようでまたカロルが嬉しそうな顔をした
「大決定~! じゃあ早速トリム港に行って船を調達しよう! デズエール大陸まで船旅だ!」
「ヘリオードで休むのはもう良いのか?」
「もうへっちゃらだよ!」
「どっちにしろ、ヘリオード通んないとトリム港にゃ行けないけどな」
「ヘリオードと言えば、魔導器の暴走の後、街がどうなったのか気になります」
「確かにありゃ凄かったからな」
「「「・・・」」」
「んじゃ、ちょっと街の様子だけでも見て行く?」
「ええ」
「そうしてくれると助かるわ。俺等も仕事でヘリオードに寄りたいからな」
兄さんの言葉に私もアスラも頷く
「んじゃまずはヘリオード、その後トリム港から船でデズエール大陸だな」
「じゃあ改めて・・・凛々の明星、出発!」
カロルの元気良い掛け声と共に、私達はヘリオードへと向かい始めた
おまけ
「・・・・」
「どうしたのエステル?」
前を歩くユーリとリアをじっと見ていたエステルにカロルは声を掛ける
「なんだかユーリとリア、雰囲気変わりましたね」
「え? そう?」
「はい。少し前と違う気がするんです・・・」
「そうね。どことなく空気が和らいだ感じがするわね」
「そんな感じです」
「言われてみれば、そう・・かも」
そう思っているとエステルが何か思い付いたのか手を叩いてキラキラとした目をした
「もしかして何か進展が遭ったんでしょうか!」
「ふふ、そうだったら良いわね」
と、二人の後ろではこんな話しがされていた事は一緒にいたカロルのみが知る事だった(笑)
続く
あとがき
あーやっと終わった・・・
下書きはかなり前からストックしてあったのになかなか出来上がらなかった・・・
さて、今回ですがみんなとの会話をメインで書いてみました
とは言ってもセイ兄とアスラは最後の方しかないけどι
ユーリとの会話は凄く大事な所ですよね
これが書きたくてみんなとの会話入れたんですけどね(笑)
最後はカロル先生、やってくれました(笑)
あれはゲームやってる時に「ちょっ!!」ってエステルと見事にハモりましたからね(笑)(此処ではこの台詞カットしてますがι)
後は久々のおまけです
ホントはエステルと会話の時に入れようと思ってたんですけど、こっちの方がしっくりと来たのでおまけで持って来ましたw
さて次回は久々にヘリオードに戻ります
いよいよ例のアレが来ますww
では、次回もお楽しみに~!
下書き:2008.12.05
完成:2009.07.03
「ユーリ、カロルとエステルがしんどそうだぞ」
二人を見ると確かに辛そうに息を吐いていた
「もう何も襲って来ないようだし、休んでも良いと思うわ」
その言葉に一斉にジュディスを見る
「・・・どうして解るんです?」
エステルの問いにジュディスは少し考えて答えた
「勘、かしら」
「勘・・・?」
「ボク達以外の気配はないから休んでも大丈夫だよ」
「それに暗くなって来たし、休むなら今のうちだと思うけど」
「そうだな、じゃあ此処で休憩にするか」
ジュディスとアスラの言葉を聞いて私も賛成するとユーリも納得した
「一休みしたらギルドの事も色々ちゃんと決めようね」
「一休みしたいのはカロル先生だけどな」
「ギルドを作って何をするの? 貴方達」
「何を、か・・・」
「ボクはギルドを大きくしたいな。それでドンの跡を継いで、ダングレストを守るんだ。それが街を守り続けるドンへの恩返しになると思うんだ」
「立派な夢ですね」
確かにギルドの街で育ったカロルならそう思うのも当然だろう
「オレはまぁ、
「え? ボ、首領? ボクが・・・?」
「ああ、お前が言い出しっぺなんだから」
カロルは首領と言う言葉に狼狽えるがユーリの言う通り、提案したのはカロルだから当然の流れではある
「そ、そうだよね。じゃあ、何からしよっか!」
「とりあえず落ち着け」
「うん!」
そう言って幸せそうな顔をしていると、その様子を見ながらジュディスが微笑む
「ふふっ・・・なんだかギルドって楽しそうね」
「ジュディスもギルドに入ってはどうです?」
「あら、良いのかしら。ご一緒させてもらっても」
「ギルドは掟を守る事が一番大事なんだ。その掟を破ると厳しい処罰を受ける。例えそれが友達でも、兄弟でも。それがギルドの誇りなんだ。だから掟に誓いを立てずには加入は出来ないんだよ」
「カロルのギルドの掟は何なんです?」
「えっと・・・」
まだ掟は決めていないのかカロルは困ったような顔をすると、ユーリが口を開いた
「お互いに助け合う、ギルドの事を考えて行動する。人として正しい行動をする。それに背けばお仕置きだな」
「え?」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為に。義を持って事を成せ。不義には罰を、って事ですね」
「掟に反しない限りは、個々の意思は尊重する」
「ユーリ・・・それ・・・」
「だろ? 首領」
「一人はギルドの為に、ギルドは一人の為・・・う、うん! そう! それがボク達の掟!」
ユーリがそう優しく笑うと、カロルはその掟を復唱して反芻する
なんだかユーリらしい掟という気もする
そう思って微笑んでいるとジュディスもそれに賛同する
「今からは私の掟でもある、と言う事ね」
「そんな簡単に決めても良いのか?」
「ええ、気に入ったわ。一人はギルドの為・・・良いわね」
「じゃあ・・・」
「掟を守る誓いを立てるわ、私と・・・あなた達の為に」
「あんたの相棒はどうすんだ?」
「心配してくれて有り難う。でも平気よ、彼なら」
「相棒って・・・?」
「前に一緒に旅をしてた友達よ」
「へえ、そんな人がいたんだね。じゃあ今日からボク等がジュディスの相棒だね」
「よろしくお願いね」
「よろしく!」
「ワンワン!」
「わたしは・・・」
言い淀むエステルを見て、考える時間を与えるべきと判断し、私達は此処で野営をする事にした
32.
夜、みんなまだ眠れないのか各々別の場所にいた
「カロル、眠れないの?」
「あ、リア」
私は焚火の前にいるカロルに声を掛けて隣に座った
「ボク達のギルドの事考えてたんだ。これからどんな仕事をしようかなって」
「出来る事からゆっくりしていけば良いと思うよ。焦っても空回りするだろうしね」
「うん・・・そうだね」
そう言うとカロルは少し黙った
「カロル、ユーリをギルドに誘ってくれてありがとね」
「え?」
「ユーリが自分でやりたいって言って行動するの久しぶりに見たから」
「そうなの?」
「うん。それにカロルも嬉しそうな顔してるし」
「うん。ユーリとなら上手くやっていけそうな気がするんだ」
カロルは本当に嬉しそうな顔をして話してくれた
「ユーリとカロルとジュディスとラピードが作るギルド、か。上手く行くよ、絶対」
「うん、そうだね! ・・・あ、」
嬉しそうな顔をした後に何かを思い出したのかカロルはそのまま止まった
「どうしたの?」
「名前、決めてないや」
そう言われればそうだ
ギルドには必ず名前が付いている
そう思ってカロルを見るとうーんと唸りながら名前を考えていた
「頑張ってね、首領」
私は小さい声でそう言って微笑んでその場を離れた
カロルの所から少し離れた所に行くと、ジュディスが空を見ていた
「ジュディス」
「あら、リア。どうしたのかしら?」
空を見ていたジュディスは私に向き合う
「バウルと話してた? 邪魔したならごめんね」
「いいえ、大丈夫よ」
ジュディスはにこりと笑う
「言うの遅くなっちゃったけど、色々と助けてくれてありがとね」
「どう致しまして。バウルにも伝えておくわ」
「うん。それにしても・・・ジュディスがギルドに入るなんて意外だったな」
「あら、そう?」
「バウルと一緒に旅してたし、魔導器の事もあるしね」
「そうね。でもそれもバレないように壊すから」
「・・・程々にね。今はいないけど、特にリタにはバレないようにね」
「ええ、気を付けるわ」
にこりと笑うとジュディスは空を仰いだ
バウルと話しを始めたのだろう
私は踵を返し、小さな岩の上に座っているエステルの所へ向かった
「エステル」
「・・・あ、リア。どうかしたんです?」
「エステルが考え込んでるように見えたから様子見に来たの」
「・・・考え込んでるように見えてました?」
「ええ。遠くからでも解ったわ」
そう言うとエステルは少し俯た
「・・・実はこれからどうしようかと考えていました。また旅が出来るなんて思ってなかったので」
確かに急に目的が変わってしまったのだから、考え込むのも仕方がない
「エステルのやりたい事をやれば良いと思うよ」
「わたしの、やりたい事・・・」
「ユーリ達はギルドをやっていくし、リタもエアルクレーネの調査で色んな所に行くだろうし」
「そうですね・・・。リアはこれからどうするんです?」
「私は暫くユーリ達と一緒にいるつもりよ」
「セイもです?」
「うん、大きな仕事が入って来ない限りはいると思うよ」
「そうですか。わたしは・・・」
「あんまり考え過ぎないようにね」
「はい。考え過ぎないように考えてみます」
また考え込みそうになっているエステルを見て私はニコリと笑って言うとエステルも笑って答えた
エステルの答えに苦笑して私はその場を離れた
「見張りご苦労様」
「まだ寝てなかったのか」
「なんだか寝付けなくて。ラピードも見張りご苦労様」
ユーリの隣で一緒に見張りをしているラピードにも声を掛け私はユーリの隣に座った
「カロルもエステルも色々と考え込んでるみたいだった」
「あいつ等、考え過ぎなきゃ良いけどな。ジュディは?」
「ジュディスならバウルとお話し中」
「そっか」
「・・・ねえユーリ」
「ん?」
「あの時の言葉って昔、私がユーリに聞いた事だったね」
あの時の言葉、それはユーリがラゴウを手に懸けて宿に戻って来た時にユーリが言った言葉だった
「・・・ああ、ガキん時にな」
『怖くないの?』
それは昔、私がユーリとフレンに私が言霊使いだと言う事を話した時だった
『リアはリアだろ。特別な力があってもリアはオレ達が知ってるリアだよ』
『それはセイも一緒だよ』
そう言ってユーリとフレンは優しく笑ってくれた
「あの時の言葉、ユーリに言うとは思わなかったな」
「オレも聞き返されるとは思ってなかったけどな」
そう言うとお互いに可笑しくなってくすりと笑った
そしてユーリを見ると昨日と今朝とは違う雰囲気になっている事に気が付いた
(いつものユーリに戻ったみたい)
安堵して微笑んでいると私の視線に気付いたのかユーリがこちらに顔を向ける
「どうかしたか」
「ううん、なんでも」
「そう言う割には嬉しそうな顔してるぜ」
「ユーリがギルド始めた事が嬉しくて。ユーリは騎士団よりギルドの方が合ってると思うな」
「確かにこっちの方が居心地は良いかもな。フレンに格好付けて来ちまった分、頑張らねえとな」
「ワン!」
ユーリの言葉にラピードも返事を返し、立ち上がって私達の所に着た
「どうしたの?」
「ワンワンワン」
私とユーリはラピードが言った事に耳を傾ける
どうやら見張りはラピードがやってくれるらしい
「・・・そっか。んじゃ、頼んだぜ」
「お休みラピード」
「ワン!」
私はラピードの頭を撫でてユーリと一緒にテントへと向かった
翌朝 ――
旅支度も終わり、テントを片付けようとしていると兄さんとアスラに呼ばれ兄さんの所へ向かった
「どうしたの、兄さん?」
「前にヘリオードで調べてた事覚えてるか?」
「確か、住民が失踪してるって言うあれ?」
「うん、それがまだ続いてるらしいから本格的に調べろって依頼が来たんだ」
「だからヘリオードに着いたら直ぐに仕事に向かうぞ」
「了解。 ・・・ユーリ達はどうするんだろ?」
私はユーリ達を見ると兄さんもアスラもユーリ達を見る
「あいつ等もヘリオードに向かうだろうな」
「そうだね。とりあえずみんなの所に行こうか」
「うん」
「よーし! じゃあ勇気凛々胸いっぱい団、出発!」
ユーリ達の方へ歩いているとカロルが元気良くそう叫んだ
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
その言葉に私達(カロル以外)は固まってしまった
「・・・おい、カロル」
「え? なに?」
「それ、なんです?」
「え、ギルド名だよ」
「それ、が?」
「そうだけど」
上から兄さん、エステル、アスラ、間にカロルが言葉を挟む
いや、カロルのネーミングセンスがないのは知ってたけど・・・ιι
昨日一生懸命考えて出たのが『勇気凛々胸いっぱい団』・・・
カロルらしいと言えばらしいけど・・・ιι
私も含めみんな、何とも言えない顔をしていた
「それじゃダメよ。名乗りを上げる時に言いやすくないと」
「そうですよ!」
私の言葉にエステルも賛成の声を上げる
「そ、そうなの? じゃあ・・・」
カロルが考えているとエステルが何かを思いついたようだった
「
「一番の星か、格好良いね!」
「凛々の明星・・・ね。気に入った、それにしようぜ」
「ワン!」
ユーリもラピードもその名前が気に入ったようでまたカロルが嬉しそうな顔をした
「大決定~! じゃあ早速トリム港に行って船を調達しよう! デズエール大陸まで船旅だ!」
「ヘリオードで休むのはもう良いのか?」
「もうへっちゃらだよ!」
「どっちにしろ、ヘリオード通んないとトリム港にゃ行けないけどな」
「ヘリオードと言えば、魔導器の暴走の後、街がどうなったのか気になります」
「確かにありゃ凄かったからな」
「「「・・・」」」
「んじゃ、ちょっと街の様子だけでも見て行く?」
「ええ」
「そうしてくれると助かるわ。俺等も仕事でヘリオードに寄りたいからな」
兄さんの言葉に私もアスラも頷く
「んじゃまずはヘリオード、その後トリム港から船でデズエール大陸だな」
「じゃあ改めて・・・凛々の明星、出発!」
カロルの元気良い掛け声と共に、私達はヘリオードへと向かい始めた
おまけ
「・・・・」
「どうしたのエステル?」
前を歩くユーリとリアをじっと見ていたエステルにカロルは声を掛ける
「なんだかユーリとリア、雰囲気変わりましたね」
「え? そう?」
「はい。少し前と違う気がするんです・・・」
「そうね。どことなく空気が和らいだ感じがするわね」
「そんな感じです」
「言われてみれば、そう・・かも」
そう思っているとエステルが何か思い付いたのか手を叩いてキラキラとした目をした
「もしかして何か進展が遭ったんでしょうか!」
「ふふ、そうだったら良いわね」
と、二人の後ろではこんな話しがされていた事は一緒にいたカロルのみが知る事だった(笑)
続く
あとがき
あーやっと終わった・・・
下書きはかなり前からストックしてあったのになかなか出来上がらなかった・・・
さて、今回ですがみんなとの会話をメインで書いてみました
とは言ってもセイ兄とアスラは最後の方しかないけどι
ユーリとの会話は凄く大事な所ですよね
これが書きたくてみんなとの会話入れたんですけどね(笑)
最後はカロル先生、やってくれました(笑)
あれはゲームやってる時に「ちょっ!!」ってエステルと見事にハモりましたからね(笑)(此処ではこの台詞カットしてますがι)
後は久々のおまけです
ホントはエステルと会話の時に入れようと思ってたんですけど、こっちの方がしっくりと来たのでおまけで持って来ましたw
さて次回は久々にヘリオードに戻ります
いよいよ例のアレが来ますww
では、次回もお楽しみに~!
下書き:2008.12.05
完成:2009.07.03