水道魔導器奪還編
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リタが休んでいる部屋に着きノックをするとリタから返事が返ってきて私達は部屋の中に入った
21.一難去って
「目、覚めたか。良かったな」
リタが休んでいるベッドの近くに行くとエステルが眠っている姿が見えた
「あれほど倒れる前に言えって言ったのに」
「解ってたんでしょ? 言っても聞かない事くらい」
「うう~ん・・・ふにぅ・・・・・・」
「・・・幸せそうな顔しちゃって」
「・・・ホント」
リタはそう言ってエステルを見てくすりと笑うと急に私達の方を見た
「あのさ、エステリーゼってあたしをどう思ってると思う?」
リタのその言葉に私は隣のベッドにある毛布をエステルに掛けてあげようとしている手が止まり、ユーリと兄さんとアスラは驚き、顔を見合わせていた
「・・・ って、何て顔してんのよ」
「いや、ちょっと意外だなって思ってな」
「自分がどう見られてるかなんて気にしてないと思ってた」
「うん・・・」
「も、もう良い、あっち行って」
リタは返ってきた言葉にか質問をした事に恥ずかしさを感じたのか少し顔を赤くしてそっぽを向いた
「術式なんぞより、こいつは難しくないぜ」
「ふむぅ・・・あれ?」
「あ、起きたみたいだよ」
「リタ! 目が覚めたんですね! あ、でも油断したらダメですよ! 治ったと思った頃が危ないんです」
エステルはそう言ってまたリタに治癒術を掛けてあげた
「もう、大丈夫よ」
その言葉に安心しているとリタから意外な言葉が発された
「後、魔導器使うフリ、もうやめて良いよ」
「な、何の事です?」
「魔導器なくても治癒術使えるなんてすげえよな」
その様子を後ろで見ていたユーリも続けて言うとエステルは驚いた顔をした
「やっぱ気付いてたか」
「流石と言うか何と言うか」
「二人共、観察力良いからね」
私達の言葉を聞きエステルは更に驚き振り返り私達を見ると、暫く沈黙が流れた
「ど、どうしてそれを・・・・」
エステルがその沈黙と私達の視線に耐えきれなくなり俯いていると突然窓の外に気配を感じ、窓の外を見るとあの竜使いがいた
「「「!」」」
「何だ!?」
「あ、バカドラ!」
すると竜使いは槍を前に出し竜に指示を出すと、竜は口を大きく開け、火を噴き出そうとしていた
それに気付いたユーリは剣を抜き窓際へ走って行きエステルはリタを守るようにベッドから降り隅に隠れていた
「何!? どうなってるの?」
「分かんねえ、何で・・・」
「二人共、伏せて!!」
私と兄さんが竜使いの行動に驚いているとアスラが竜が火を噴き出すのを察知し私達に知らせてくれた
煙が消えると竜は体制を変えて何処かへ飛び立とうとしていた
「凄い音がしたけどどうしたの・・・・・って、うわあっ!?」
カロルが物音を聞きつけ部屋に入って来て、窓の外の竜に驚き大きな声を出した
「なに? なんなの? な、何だったの、あれ?」
「「「・・・・・・」」」
竜はそのまま何処かへ飛び去って行き、私達は複雑な顔をしているとリタが少し歩き忌々しそうに呟いた
「大事な話の途中だったのに・・・」
「エステルの治癒術に関しては、とりあえず此処までな」
「別に良いわよ。あたしは大体理解したし」
ユーリとリタの言葉にエステルは少し不安そうな顔をしてユーリを見ていた
「何、悪い様にしないって。オレ、そんなに悪い奴に見える?」
「うん、見える」「見えるわ」
「即答だな」
「ふふっ」「・・・うふふ」
そのやり取りが可笑しくて私とエステルは笑ってしまった
すると一人蚊帳の外のカロルは何の事だか解らず聞こうとした
「何でもねえよ。ほら、そろそろ寝るぞ」
「え~! ねえ、教えてよ~!」
「じゃあこの部屋は『無茶する女子組』で使ってくれ」
「ちょ! 何よ、その『無茶する女子組』って」
「そのままの意味だよ」
「リタ、落ち着いて下さい」
「ほらみんな、他のお客さんに迷惑だからあんまり大きな声出さないの」
結局、リタとカロルは納得しないままカロルはユーリと兄さんに連れられ部屋を出て行き、この部屋は私達女子組が使う事になった
*
夜中、私は急な立ち眩みやあの竜使いの行動が気になって寝付けず宿屋の1階のテラスで外を見ながら考え事をしていた
(・・・今日の立ち眩み、一体何だったんだろう。今まであんな事なかったのに・・・それに、あの二人、何で急に襲って来たの? 狙いは・・・?)
あの時、竜使いが見ていた所を見てある事に気が付く
「・・・まさか、ね」
だけど、それは思い違いだろうと思い苦笑しているとふと人影が見え、私はその人物に近付いた
「こんばんは」
「・・・・」
「前にデイドン砦でお会いしましたよね?」
その人物はデイドン砦で会ったあの銀髪の男性だった
「私、リア・ルーティアって言います」
「・・・ルーティア?」
銀髪の男性は私の名前に反応し私をじっと見ていた
「・・・あの、何か?」
「・・・いや」
男性は私から視線を外し、また外の景色を見出した
「あの、貴方の名前、聞いても良いですか?」
「・・・デュークだ」
「デュークさん」
「デュークで良い。敬語も使わなくて良い」
「あ、はい。あの、デューク」
「何だ?」
「どうして式神や言霊使いの事知ってるの?」
「・・・・」
これはデイドン砦で会った時から気になっていた事だった
まさかまた会えるとは思ってもいなかったし名前まで答えてくれるとは正直思っていなかった
だけど、デュークはその質問を受けてずっと黙ったままだったが突然立ち上がり私の横を通り過ぎ数歩歩き立ち止まった
「・・・今は答えられない」
やっぱりか、と思っていると次に発せられた言葉は意外なものだった
「それから気を付けろ」
「え? ・・・いない」
その言葉に驚き顔を上げるともうデュークの姿はなかった
「・・・気を付けるって、何に?」
最後に言われた事が気になったまま私は暫くその場に立ち竦んでいた
*
次の日、エステルが帝都に戻ると言う事で私達は見送りに来ていた
「ま、帝都までの道中は気を付けてな」
「はい」
「忘れ物とか無いだろうな? 後から思い出して、また迷惑かけんなよ」
「忘れて行ったら、ユーリが届けて下さい」
「バカ言ってんな、さっさとフレンとこ行くぞ。そこまでは送ってやっから」
「あ、あの、ユーリ達はこの後どうするんです?」
「そうだな。紅の絆傭兵団の足取りも途絶えちまったし・・・」
「だったら、この先にあるダングレ・・・「は、ダメだ・・・」? カロル?」
途中で言葉を遮られ不思議に思ってカロルを見るとカロルは俯いて何か言っていた
そう言えば、カロルはダングレストの出身だった
今のカロルの状況を考えれば行きたくないのは当然かもしれない・・・
でもギルドの情報を集めるならダングレストに向かうべきだろう
「ダングレストって言うと、確かギルドの街だったよな?」
「ああ。この街を出て西に行けば着く」
「なら、行くか。ギルド作るにしても、色々と参考になるだろうし」
「え? ギルドの為に? なら、行こう!」
さっきまでの暗い雰囲気は何処へやらと思う程の切り替えの早さでカロルは元気になった
フレンと待ち合わせの広場に向かう途中、私はさっきの会話で気になる事がありユーリの隣に行った
「ねえユーリ」
「ん?」
「さっきギルドを作る参考にって言ってたけど、ギルド作るの?」
「まだ考え中だけどな。昨日の晩、カロルが作らないかって話ししてたからな」
「そうなんだ」
ユーリとカロルが作るギルド、か
そう話していると広場に着いたが、肝心のフレンがいなかった
「フレンって騎士、いないじゃない」
「このままボク等に着いてくる?」
「そうですね、そうしても良いです?」
「カロル、お姫様を誑かすな」
「勝手をされては困ります。エステリーゼ様には帝都にお戻り頂かないと」
そう話しているとアレクセイと副官のクロームがエステルの元へとやって来た
「フレンは別の用件があり既に旅立った。さて、リタ・モルディオ」
そう告げるとアレクセイはリタの方へ歩き出した
「君には昨日の魔導器の暴走の調査を依頼したい」
「・・・あれ調べるのもう無理。あの子、今朝少し見たけど結局何も解らなかったわ」
「いや、ケーブ・モック大森林に行ってもらいたい」
「・・・ケーブ・モック大森林か。暴走に巻き込まれた植物の感じ、あの森にそっくりだったかも」
「最近、森の木々に異常や魔物の大量発生、それに凶暴化が報告されている」
「それなら俺達情報屋の間でも噂になってるな」
「ええ。異常現象であの辺りは近付けないって」
「君達の言う通りだ。今、帝都に使者を送っているのだが、優秀な魔導士の派遣にはまだまだ時間を要する」
「あたしの専門は魔導器。植物は管轄外なんだけど?」
「エアル関連と考えれば、管轄外でもないはずだ」
「それに・・・あたしは・・・エステルが戻るなら、一緒に帝都に行きたい」
「「え?」」
リタのその言葉に私もエステルも驚き顔を見合わせ、エステルは周りを見て最後にリタを見た
「君は帝都直属の魔導器研究所の研究員だ。我々からの仕事を請け負うのは君達の義務だ」
リタはどうするべきか迷っているとエステルがリタの元へ走って行き、一緒に行けば問題ないですよねと言うとアレクセイは困った顔をして言葉を続けた
「姫様、あまり無理をおっしゃらないで頂きたい」
「エアルが関係しているのなら、私の治癒術も役に立つはずです」
「それは、確かに・・・」
「お願いです、アレクセイ! 私にも手伝わせて下さい」
「しかし、危険な大森林に姫様を行かせる訳には・・・」
「それなら・・・ユーリ、一緒に行きませんか?」
「え? オレが?」
「ユーリが一緒なら構いませんよね?」
アレクセイは暫く目を瞑って考えユーリに視線を向けた
「青年、姫様の護衛をお願いする。一度は騎士団の門を叩いた君を見込んでの頼みだ」
「・・・何でもかんでも勝手に見込んで押し付けやがって」
「その返答は承諾と受け取っても構わないようだな」
「ただし、オレにも用事がある。森に行くのはダングレストの後だ」
「致し方あるまい」
そう言ってアレクセイはクロームと歩いて行き私達から少し距離を取ると何か話しをしていた
すると急にフレンの名前が聞こえ私達はアレクセイに目を向けた
「フレンがどうかしたんですか?」
「『エステリーゼ様を頼む』、フレンからの伝言だ」
その伝言を聞くとエステルはアレクセイの前に行き深くお辞儀をした
「良し! じゃあ、ダングレストの街経由でケーブ・モック大森林だね!」
カロルの言葉に私達は頷きそのまま街の外へと歩き出した
続く
あとがき
とりあえず此処までです
エステルの事、カロル以外にバレてました
それも含め竜使いやリアちゃんの体調不良と色々とまた謎が増えてきました
まだ1章目なのに謎が増える一方で書く方も結構大変ですι
そしてやっとデュークとの会話が書けた!
やっぱり思ってたよりかは短くなったけどあんま喋る方じゃないからねι
さて、次はダングレストですねぇ~
何処まで書くのか今から悩んでます(苦笑)
でも次は結構好きな所なので気合い入れて書きたいと思います
では~
2008.12.03
21.一難去って
「目、覚めたか。良かったな」
リタが休んでいるベッドの近くに行くとエステルが眠っている姿が見えた
「あれほど倒れる前に言えって言ったのに」
「解ってたんでしょ? 言っても聞かない事くらい」
「うう~ん・・・ふにぅ・・・・・・」
「・・・幸せそうな顔しちゃって」
「・・・ホント」
リタはそう言ってエステルを見てくすりと笑うと急に私達の方を見た
「あのさ、エステリーゼってあたしをどう思ってると思う?」
リタのその言葉に私は隣のベッドにある毛布をエステルに掛けてあげようとしている手が止まり、ユーリと兄さんとアスラは驚き、顔を見合わせていた
「・・・ って、何て顔してんのよ」
「いや、ちょっと意外だなって思ってな」
「自分がどう見られてるかなんて気にしてないと思ってた」
「うん・・・」
「も、もう良い、あっち行って」
リタは返ってきた言葉にか質問をした事に恥ずかしさを感じたのか少し顔を赤くしてそっぽを向いた
「術式なんぞより、こいつは難しくないぜ」
「ふむぅ・・・あれ?」
「あ、起きたみたいだよ」
「リタ! 目が覚めたんですね! あ、でも油断したらダメですよ! 治ったと思った頃が危ないんです」
エステルはそう言ってまたリタに治癒術を掛けてあげた
「もう、大丈夫よ」
その言葉に安心しているとリタから意外な言葉が発された
「後、魔導器使うフリ、もうやめて良いよ」
「な、何の事です?」
「魔導器なくても治癒術使えるなんてすげえよな」
その様子を後ろで見ていたユーリも続けて言うとエステルは驚いた顔をした
「やっぱ気付いてたか」
「流石と言うか何と言うか」
「二人共、観察力良いからね」
私達の言葉を聞きエステルは更に驚き振り返り私達を見ると、暫く沈黙が流れた
「ど、どうしてそれを・・・・」
エステルがその沈黙と私達の視線に耐えきれなくなり俯いていると突然窓の外に気配を感じ、窓の外を見るとあの竜使いがいた
「「「!」」」
「何だ!?」
「あ、バカドラ!」
すると竜使いは槍を前に出し竜に指示を出すと、竜は口を大きく開け、火を噴き出そうとしていた
それに気付いたユーリは剣を抜き窓際へ走って行きエステルはリタを守るようにベッドから降り隅に隠れていた
「何!? どうなってるの?」
「分かんねえ、何で・・・」
「二人共、伏せて!!」
私と兄さんが竜使いの行動に驚いているとアスラが竜が火を噴き出すのを察知し私達に知らせてくれた
煙が消えると竜は体制を変えて何処かへ飛び立とうとしていた
「凄い音がしたけどどうしたの・・・・・って、うわあっ!?」
カロルが物音を聞きつけ部屋に入って来て、窓の外の竜に驚き大きな声を出した
「なに? なんなの? な、何だったの、あれ?」
「「「・・・・・・」」」
竜はそのまま何処かへ飛び去って行き、私達は複雑な顔をしているとリタが少し歩き忌々しそうに呟いた
「大事な話の途中だったのに・・・」
「エステルの治癒術に関しては、とりあえず此処までな」
「別に良いわよ。あたしは大体理解したし」
ユーリとリタの言葉にエステルは少し不安そうな顔をしてユーリを見ていた
「何、悪い様にしないって。オレ、そんなに悪い奴に見える?」
「うん、見える」「見えるわ」
「即答だな」
「ふふっ」「・・・うふふ」
そのやり取りが可笑しくて私とエステルは笑ってしまった
すると一人蚊帳の外のカロルは何の事だか解らず聞こうとした
「何でもねえよ。ほら、そろそろ寝るぞ」
「え~! ねえ、教えてよ~!」
「じゃあこの部屋は『無茶する女子組』で使ってくれ」
「ちょ! 何よ、その『無茶する女子組』って」
「そのままの意味だよ」
「リタ、落ち着いて下さい」
「ほらみんな、他のお客さんに迷惑だからあんまり大きな声出さないの」
結局、リタとカロルは納得しないままカロルはユーリと兄さんに連れられ部屋を出て行き、この部屋は私達女子組が使う事になった
*
夜中、私は急な立ち眩みやあの竜使いの行動が気になって寝付けず宿屋の1階のテラスで外を見ながら考え事をしていた
(・・・今日の立ち眩み、一体何だったんだろう。今まであんな事なかったのに・・・それに、あの二人、何で急に襲って来たの? 狙いは・・・?)
あの時、竜使いが見ていた所を見てある事に気が付く
「・・・まさか、ね」
だけど、それは思い違いだろうと思い苦笑しているとふと人影が見え、私はその人物に近付いた
「こんばんは」
「・・・・」
「前にデイドン砦でお会いしましたよね?」
その人物はデイドン砦で会ったあの銀髪の男性だった
「私、リア・ルーティアって言います」
「・・・ルーティア?」
銀髪の男性は私の名前に反応し私をじっと見ていた
「・・・あの、何か?」
「・・・いや」
男性は私から視線を外し、また外の景色を見出した
「あの、貴方の名前、聞いても良いですか?」
「・・・デュークだ」
「デュークさん」
「デュークで良い。敬語も使わなくて良い」
「あ、はい。あの、デューク」
「何だ?」
「どうして式神や言霊使いの事知ってるの?」
「・・・・」
これはデイドン砦で会った時から気になっていた事だった
まさかまた会えるとは思ってもいなかったし名前まで答えてくれるとは正直思っていなかった
だけど、デュークはその質問を受けてずっと黙ったままだったが突然立ち上がり私の横を通り過ぎ数歩歩き立ち止まった
「・・・今は答えられない」
やっぱりか、と思っていると次に発せられた言葉は意外なものだった
「それから気を付けろ」
「え? ・・・いない」
その言葉に驚き顔を上げるともうデュークの姿はなかった
「・・・気を付けるって、何に?」
最後に言われた事が気になったまま私は暫くその場に立ち竦んでいた
*
次の日、エステルが帝都に戻ると言う事で私達は見送りに来ていた
「ま、帝都までの道中は気を付けてな」
「はい」
「忘れ物とか無いだろうな? 後から思い出して、また迷惑かけんなよ」
「忘れて行ったら、ユーリが届けて下さい」
「バカ言ってんな、さっさとフレンとこ行くぞ。そこまでは送ってやっから」
「あ、あの、ユーリ達はこの後どうするんです?」
「そうだな。紅の絆傭兵団の足取りも途絶えちまったし・・・」
「だったら、この先にあるダングレ・・・「は、ダメだ・・・」? カロル?」
途中で言葉を遮られ不思議に思ってカロルを見るとカロルは俯いて何か言っていた
そう言えば、カロルはダングレストの出身だった
今のカロルの状況を考えれば行きたくないのは当然かもしれない・・・
でもギルドの情報を集めるならダングレストに向かうべきだろう
「ダングレストって言うと、確かギルドの街だったよな?」
「ああ。この街を出て西に行けば着く」
「なら、行くか。ギルド作るにしても、色々と参考になるだろうし」
「え? ギルドの為に? なら、行こう!」
さっきまでの暗い雰囲気は何処へやらと思う程の切り替えの早さでカロルは元気になった
フレンと待ち合わせの広場に向かう途中、私はさっきの会話で気になる事がありユーリの隣に行った
「ねえユーリ」
「ん?」
「さっきギルドを作る参考にって言ってたけど、ギルド作るの?」
「まだ考え中だけどな。昨日の晩、カロルが作らないかって話ししてたからな」
「そうなんだ」
ユーリとカロルが作るギルド、か
そう話していると広場に着いたが、肝心のフレンがいなかった
「フレンって騎士、いないじゃない」
「このままボク等に着いてくる?」
「そうですね、そうしても良いです?」
「カロル、お姫様を誑かすな」
「勝手をされては困ります。エステリーゼ様には帝都にお戻り頂かないと」
そう話しているとアレクセイと副官のクロームがエステルの元へとやって来た
「フレンは別の用件があり既に旅立った。さて、リタ・モルディオ」
そう告げるとアレクセイはリタの方へ歩き出した
「君には昨日の魔導器の暴走の調査を依頼したい」
「・・・あれ調べるのもう無理。あの子、今朝少し見たけど結局何も解らなかったわ」
「いや、ケーブ・モック大森林に行ってもらいたい」
「・・・ケーブ・モック大森林か。暴走に巻き込まれた植物の感じ、あの森にそっくりだったかも」
「最近、森の木々に異常や魔物の大量発生、それに凶暴化が報告されている」
「それなら俺達情報屋の間でも噂になってるな」
「ええ。異常現象であの辺りは近付けないって」
「君達の言う通りだ。今、帝都に使者を送っているのだが、優秀な魔導士の派遣にはまだまだ時間を要する」
「あたしの専門は魔導器。植物は管轄外なんだけど?」
「エアル関連と考えれば、管轄外でもないはずだ」
「それに・・・あたしは・・・エステルが戻るなら、一緒に帝都に行きたい」
「「え?」」
リタのその言葉に私もエステルも驚き顔を見合わせ、エステルは周りを見て最後にリタを見た
「君は帝都直属の魔導器研究所の研究員だ。我々からの仕事を請け負うのは君達の義務だ」
リタはどうするべきか迷っているとエステルがリタの元へ走って行き、一緒に行けば問題ないですよねと言うとアレクセイは困った顔をして言葉を続けた
「姫様、あまり無理をおっしゃらないで頂きたい」
「エアルが関係しているのなら、私の治癒術も役に立つはずです」
「それは、確かに・・・」
「お願いです、アレクセイ! 私にも手伝わせて下さい」
「しかし、危険な大森林に姫様を行かせる訳には・・・」
「それなら・・・ユーリ、一緒に行きませんか?」
「え? オレが?」
「ユーリが一緒なら構いませんよね?」
アレクセイは暫く目を瞑って考えユーリに視線を向けた
「青年、姫様の護衛をお願いする。一度は騎士団の門を叩いた君を見込んでの頼みだ」
「・・・何でもかんでも勝手に見込んで押し付けやがって」
「その返答は承諾と受け取っても構わないようだな」
「ただし、オレにも用事がある。森に行くのはダングレストの後だ」
「致し方あるまい」
そう言ってアレクセイはクロームと歩いて行き私達から少し距離を取ると何か話しをしていた
すると急にフレンの名前が聞こえ私達はアレクセイに目を向けた
「フレンがどうかしたんですか?」
「『エステリーゼ様を頼む』、フレンからの伝言だ」
その伝言を聞くとエステルはアレクセイの前に行き深くお辞儀をした
「良し! じゃあ、ダングレストの街経由でケーブ・モック大森林だね!」
カロルの言葉に私達は頷きそのまま街の外へと歩き出した
続く
あとがき
とりあえず此処までです
エステルの事、カロル以外にバレてました
それも含め竜使いやリアちゃんの体調不良と色々とまた謎が増えてきました
まだ1章目なのに謎が増える一方で書く方も結構大変ですι
そしてやっとデュークとの会話が書けた!
やっぱり思ってたよりかは短くなったけどあんま喋る方じゃないからねι
さて、次はダングレストですねぇ~
何処まで書くのか今から悩んでます(苦笑)
でも次は結構好きな所なので気合い入れて書きたいと思います
では~
2008.12.03