水道魔導器奪還編
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「こりゃ、完璧に廃墟だな」
カルボクラムに着いた私達は辺りを見渡すと街の面影はあるものの、建物は蔦で覆われ、足元には無造作に草が生えている
まさに廃墟同然だった
「こんな所に誰が来るって言うのよ」
確かにこんな所に好き好んで来る人は早々いないだろう
「またいい加減な情報、掴まされたかな・・・」
「また・・・?」
「そこで止まれ! 当地区は我ら『魔狩りの剣』により現在、完全封鎖中にある」
「この声・・・!?」
カロルはキョロキョロと辺りを見渡すと小さな崖の上にカロルと同じ位の年の女の子がいた
16.滅びた都市・カルボクラム
「これは無力な部外者に被害を及ぼさない為の措置だ」
「ナン! 良かった、やっと追いついたよ」
カロルは女の子の姿を見つけた途端嬉しそうな顔をして叫んだ
ナンと言う名前に聞き覚えがあるなと思っていると以前リタの家でカロルが言っていた子の名前でカロルの想い人だと言う事を思い出した
「・・・・・」
だが、ナンと呼ばれた女の子はカロルを見ると睨み付けて来た
「首領やティソンも一緒? ボクがいなくて大丈夫だった?」
「馴れ馴れしく話し掛けて来ないで」
「冷たいな、少しはぐれただけなのに」
「少しはぐれた? 良くそんなウソが言える! 逃げ出したくせに!」
「逃げ出してなんていないよ!」
「まだ言い訳するの?」
どうやらこの子は魔狩りの剣の一人らしい
が、何やら私達には解らない事を言い合っていた
「昔からいっつもそう! 直ぐに逃げ出して、何処のギルドも追い出されて・・・「わあああああっ! わあああああああっっ!!!!」
突然カロルが言葉を遮るように叫び、私達はそれぞれ違った表情をしカロルを見ていた
「・・・ふん! もう、あんたクビよ!」
「ま、待ってよ!」
「魔狩りの剣により忠告する! 速やかに当地区より立ち去れ! 従わぬ場合、我々はあなた方の命を保障しない」
指を指して言った後、ナンは勢い良く走り去って行った
「ナン!」
「・・・・・」
カロルはがっくりを肩を落とし項垂れ、エステルはカロルに何と言葉を掛けて良いのか悩んでいるとユーリが言葉を発した
「それにしてもどうして魔狩りの剣とやらが此処にいんだろうな」
「さあね」
リタは我関せずと言う感じで歩き出したがそれに気付いたエステルが慌てて声を掛ける
「リタ、待って下さい。忠告忘れたんですか?」
「入っちゃダメとは言ってなかったでしょ?」
「で、でも命の保障をしないって・・・・・」
「あたしが、あんなガキに、どうにかされるとでも? 冗談じゃないわ」
リタは揚げ足をとるような事を平然と口にしてそのまま奥へ奥へと進んで行った
「ま、とにかく紅の絆傭兵団の姿も見えないし奥を調べてみようぜ」
「そうだね」
ユーリの言葉を聞き歩き出したが、カロルはまだ俯いたままで動こうとしなかった
「・・・カロル」
私とユーリがカロルを見ているとカロルはその視線に気付き私達の所へ走って来た
カロルが追い着き、私とユーリの後ろを歩いては来ているものの、ネガティブモード全開で、溜息を吐いていた
「・・・あれは重症だね」
「あの年頃であんな事言われたらねえ・・」
私とアスラはちらりとカロルを見ると誰よりも一番心配していたエステルがカロルの横に並んで慰めの言葉を掛けていた
「カロル、きっと大丈夫ですよ」
「・・・はぁ・・・」
「・・・ダメね。これは」
エステルの慰めの言葉でも元気付けられないようだ
「危ないから入って来るなって心配してくれてたんだ。希望の光はあるんじゃねえの」
「え! そ、そうかな!?」
ユーリのその言葉を聴いた途端、カロルは顔を上げた
流石ユーリと思っていると岸の向こう側に人の気配があり、私達はひっそりと様子を窺った
「・・・紅の絆傭兵団・・・・?」
「・・・じゃなさそうだな」
「あれが魔狩りの剣だよ」
「あ・・・あの人、デイドン砦で見かけた人ですよ」
「あの二人・・・。確か騎士達に文句言ってた人達だよね」
「うん」
確かにあの団体の中心にいる人物、そしてその隣にいる痩身でフードを被った男はデイドン砦で騎士と揉めていた人にだった
「あ、そういや見たな。成る程、あいつがお前んとこのリーダーか」
「うん、あれが魔狩りの剣の首領クリントだよ」
魔狩りの剣に視線を戻すとクリントの目の前には大きな魔物がいた
「一人でやろうってのか?」
クリントは剣を抜き構え、大剣を軽々と振り回し、近付くなというように威嚇する魔物に剣を振り下ろし魔物に斬り付けると魔物は悲鳴を上げて倒れた
どすんと大きな音を立てて倒れる魔物を、それほど興味もなさそうに見つめ、剣についた血を振り払う
「んなっ! 何よ、あいつ!」
「とどめの一発、か・・・・?」
「かなりの使い手ね」
「・・・・・」
その様子を感心しながら、あるいは驚きながら見つめる中、カロルだけは何故だか寂しそうに魔狩りの剣に視線を送っていると後ろにいたリタが口を開いた
「あんた、戻りたいんでしょ」
「そ、そんなの」
「え・・・? カロル、戻ってしまうんです?」
「戻んないよ・・・・! 魔物狩りには飽きたからね」
そう言うカロルだが、やはりナンという子には未練があるのだろう
無理しているのが見えみえだ
「戻らないじゃなくて、戻れないんでしょ? クビって言われてたし」
「ち、違うよ。元々、出て行くつもりだったんだから」
「ふーん。そう。ま、良いんじゃない?」
「だから、みんなと行くよ」
「じゃあ改めてよろしくお願いします。カロル」
エステルはにこりと笑いカロルに改めて挨拶をしていた
私とユーリは魔狩りの剣に目を戻すと彼等は奥へと進んで行った
「それにしてもあいつ等、あんな大所帯で何する気なんだ?」
「さっきの魔物が目当てなら一人で十分だしね」
「こんな人数が集まるの、今までに一度もなかったよ」
「そうなんです?」
「うん。みんな群れたがらないから。首領達が居るなんて相当の事なんじゃ・・・」
「益々胡散臭い」
「後・・・着けてみる?」
「いや、それも楽しそうだけど此処は先に行く」
「ユーリが探しているのは紅の絆傭兵団の方だからね」
「ああ、あいつ等と事を構える必要はないんでな」
「じゃあ行こうか」
私達は魔狩りの剣とは別の道へ進み、本来の目的である紅の絆傭兵団の捜索を再開した
カルボクラムを更に奥に進んで行くと大きな建物が見え私達はその建物に入った
部屋の奥に行くとかなり深く、そして長い螺旋階段があった
「うわぁ、すっごい長いね」
「かなり深くまで続いてますね」
「これ、何処まで降りるの?」
「さあな。降りてみないと」
「螺旋状になってるから酔わない様にね」
「特にカロル」
「え~、ボク限定なの~!」
「あんたが一番三半規管が弱そうだしね」
「私も気を付けます」
「用心に超した事はないからね」
「だな、じゃあ行くぞ」
「暗いから足下気を付けてね」
私達はそれから暫く長い長い螺旋階段を降りて行った
*
数分後、ようやく螺旋階段を降り終わりやっと下に辿り着いた
辿り着いたは良いが急に息苦しさを感じた
それは私だけじゃなくみんなも同じで苦しそうな顔をして息が上がっていた
「な、何だろう。さっきから気持ち悪い」
「もしかしてホントに酔った?」
アスラは心配そうにカロルに聞くが返って来た言葉は思っていた事と違った
「ううん。そんな感じじゃない・・・何か、気持ち悪いんだ」
確かにカロルの言う通り、此処に来てからというもの変に息が上がり、気分が悪くなりだした
「こりゃ、何かあんな」
「少し休憩して様子見した方が良いよ」
「そうね。でも、何で急に・・・」
「何か原因があるはずなんだけど・・・」
「こんな時に魔物に襲われたら大変だね」
「そう言う事言ってると、本当にやってくんぜ」
「・・・・・」
急にエステルがふらりとし倒れそうになるが寸での所でユーリが支えて座らせてあげた
「ユーリ・・・!」
「行き倒れになんなら、人の多い街ん中にしといてくれ。オレ、面倒見切れないからな」
ユーリはそう言って立ち上がり数歩離れるとエステルも立ち上がった
「は、はい。ありがとう。まだ、だいじょうぶです」
大丈夫とは言うものの、まだ顔色が優れない
それは此処にいる私達も同じ事だが・・・
そう言えば、似たような事が何処かであったような・・・と思っていると目の前に小さな緑色の光の粒が現れ出した
「・・・これ、エアルだ」
「え? エアルって目に見えるの?」
「濃度が上がるとね」
「そういや、前にリアとアスラとエステルが言ってたな。濃いエアルは体に悪いって」
「うん・・・。濃度の高いエアルは時として人体に悪影響を及ぼすからね」
「クオイの森でぶっ倒れたからな」
そう、クオイの森でも同じようにエステルがエアル酔いで倒れた事があった
だから何処かで見覚えがあったのか
「・・・へえ、そんな事が」
「こりゃ、引き返すかな」
「でも、傭兵団がいるかまだ確かめていませんよ」
「いや、まあそうなんだけど・・・・」
この状況じゃ・・・とユーリが言葉を続けようとしているとリタがふらふらしながら部屋にある魔導器に近付いて行った
「この魔導器がドアと連動してるみたいね」
「どうやって開けるの?」
「ご丁寧にパスワードを入力しなきゃダメみたい」
「壊しちまった方が早くねぇか?」
「無理に解体するのは危険よ。開かなくなるかもしれないし」
「お、何か浮かび上がって来たぞ」
ユーリの言葉に私達も魔導器に近付きその浮かび出て来た物を見た
それは文字だったが普段私達が使っている文字ではなかった
「・・・これ、読めないんだけど」
「そりゃこんなの見た事ねえからな」
「かなり古い文字ね。古代文字かしら?」
「本で似たような物を見た事がありますけど・・・」
「読めそうか?」
「いえ・・・」
「ちょっとごめんね。見せてもらっても良い?」
みんながどうするべきか悩んでいると後ろで様子を見ていた私は場所を変わってもらい魔導器の前に立ち、浮かび上がっている文字を見た
「リア、解るのか?」
「正確にはアスラが、だけど」
アスラは浮かび上がった文字を読みあげるとカロルはきょとんと言う顔をしてアスラを見た
「・・・えーと、つまりどういう意味?」
「現代語に訳すと最初は『光』、次は『空』、そして最後が『球』。これを更に組み替えると『太陽』になるんだ」
「太陽・・・?」
「そう。元々このカルボクラムは雨が降りっぱなしで太陽が出てる日が少なかったからね」
「それでこのパスワードを太陽にしたのね」
「成る程ね・・・良し!」
リタはアスラの言葉を聞き、パスワードを入力すると閉じていた扉が開いた
「開いた!」
「ビンゴ!」
「凄いです、アスラ」
「お役に立てたなら何よりだよ。じゃあ中に行ってみようか」
「うん。まだエアルの濃度が高いから気を付けてね」
「ああ」
アスラのお陰で扉は開き私達は中へ入って行った
続く
あとがき
キリが良いので此処で終わらせてみた
パスワードは現代語だったけどこういうちょっと遺跡っぽい所はひねっても大丈夫かなと思ったのでこんな形にしてみました
さて、次回は結構長くなりそうですよ・・・
色々と面白い展開になりそうです(笑)
では、また!
2008.11.19
カルボクラムに着いた私達は辺りを見渡すと街の面影はあるものの、建物は蔦で覆われ、足元には無造作に草が生えている
まさに廃墟同然だった
「こんな所に誰が来るって言うのよ」
確かにこんな所に好き好んで来る人は早々いないだろう
「またいい加減な情報、掴まされたかな・・・」
「また・・・?」
「そこで止まれ! 当地区は我ら『魔狩りの剣』により現在、完全封鎖中にある」
「この声・・・!?」
カロルはキョロキョロと辺りを見渡すと小さな崖の上にカロルと同じ位の年の女の子がいた
16.滅びた都市・カルボクラム
「これは無力な部外者に被害を及ぼさない為の措置だ」
「ナン! 良かった、やっと追いついたよ」
カロルは女の子の姿を見つけた途端嬉しそうな顔をして叫んだ
ナンと言う名前に聞き覚えがあるなと思っていると以前リタの家でカロルが言っていた子の名前でカロルの想い人だと言う事を思い出した
「・・・・・」
だが、ナンと呼ばれた女の子はカロルを見ると睨み付けて来た
「首領やティソンも一緒? ボクがいなくて大丈夫だった?」
「馴れ馴れしく話し掛けて来ないで」
「冷たいな、少しはぐれただけなのに」
「少しはぐれた? 良くそんなウソが言える! 逃げ出したくせに!」
「逃げ出してなんていないよ!」
「まだ言い訳するの?」
どうやらこの子は魔狩りの剣の一人らしい
が、何やら私達には解らない事を言い合っていた
「昔からいっつもそう! 直ぐに逃げ出して、何処のギルドも追い出されて・・・「わあああああっ! わあああああああっっ!!!!」
突然カロルが言葉を遮るように叫び、私達はそれぞれ違った表情をしカロルを見ていた
「・・・ふん! もう、あんたクビよ!」
「ま、待ってよ!」
「魔狩りの剣により忠告する! 速やかに当地区より立ち去れ! 従わぬ場合、我々はあなた方の命を保障しない」
指を指して言った後、ナンは勢い良く走り去って行った
「ナン!」
「・・・・・」
カロルはがっくりを肩を落とし項垂れ、エステルはカロルに何と言葉を掛けて良いのか悩んでいるとユーリが言葉を発した
「それにしてもどうして魔狩りの剣とやらが此処にいんだろうな」
「さあね」
リタは我関せずと言う感じで歩き出したがそれに気付いたエステルが慌てて声を掛ける
「リタ、待って下さい。忠告忘れたんですか?」
「入っちゃダメとは言ってなかったでしょ?」
「で、でも命の保障をしないって・・・・・」
「あたしが、あんなガキに、どうにかされるとでも? 冗談じゃないわ」
リタは揚げ足をとるような事を平然と口にしてそのまま奥へ奥へと進んで行った
「ま、とにかく紅の絆傭兵団の姿も見えないし奥を調べてみようぜ」
「そうだね」
ユーリの言葉を聞き歩き出したが、カロルはまだ俯いたままで動こうとしなかった
「・・・カロル」
私とユーリがカロルを見ているとカロルはその視線に気付き私達の所へ走って来た
カロルが追い着き、私とユーリの後ろを歩いては来ているものの、ネガティブモード全開で、溜息を吐いていた
「・・・あれは重症だね」
「あの年頃であんな事言われたらねえ・・」
私とアスラはちらりとカロルを見ると誰よりも一番心配していたエステルがカロルの横に並んで慰めの言葉を掛けていた
「カロル、きっと大丈夫ですよ」
「・・・はぁ・・・」
「・・・ダメね。これは」
エステルの慰めの言葉でも元気付けられないようだ
「危ないから入って来るなって心配してくれてたんだ。希望の光はあるんじゃねえの」
「え! そ、そうかな!?」
ユーリのその言葉を聴いた途端、カロルは顔を上げた
流石ユーリと思っていると岸の向こう側に人の気配があり、私達はひっそりと様子を窺った
「・・・紅の絆傭兵団・・・・?」
「・・・じゃなさそうだな」
「あれが魔狩りの剣だよ」
「あ・・・あの人、デイドン砦で見かけた人ですよ」
「あの二人・・・。確か騎士達に文句言ってた人達だよね」
「うん」
確かにあの団体の中心にいる人物、そしてその隣にいる痩身でフードを被った男はデイドン砦で騎士と揉めていた人にだった
「あ、そういや見たな。成る程、あいつがお前んとこのリーダーか」
「うん、あれが魔狩りの剣の首領クリントだよ」
魔狩りの剣に視線を戻すとクリントの目の前には大きな魔物がいた
「一人でやろうってのか?」
クリントは剣を抜き構え、大剣を軽々と振り回し、近付くなというように威嚇する魔物に剣を振り下ろし魔物に斬り付けると魔物は悲鳴を上げて倒れた
どすんと大きな音を立てて倒れる魔物を、それほど興味もなさそうに見つめ、剣についた血を振り払う
「んなっ! 何よ、あいつ!」
「とどめの一発、か・・・・?」
「かなりの使い手ね」
「・・・・・」
その様子を感心しながら、あるいは驚きながら見つめる中、カロルだけは何故だか寂しそうに魔狩りの剣に視線を送っていると後ろにいたリタが口を開いた
「あんた、戻りたいんでしょ」
「そ、そんなの」
「え・・・? カロル、戻ってしまうんです?」
「戻んないよ・・・・! 魔物狩りには飽きたからね」
そう言うカロルだが、やはりナンという子には未練があるのだろう
無理しているのが見えみえだ
「戻らないじゃなくて、戻れないんでしょ? クビって言われてたし」
「ち、違うよ。元々、出て行くつもりだったんだから」
「ふーん。そう。ま、良いんじゃない?」
「だから、みんなと行くよ」
「じゃあ改めてよろしくお願いします。カロル」
エステルはにこりと笑いカロルに改めて挨拶をしていた
私とユーリは魔狩りの剣に目を戻すと彼等は奥へと進んで行った
「それにしてもあいつ等、あんな大所帯で何する気なんだ?」
「さっきの魔物が目当てなら一人で十分だしね」
「こんな人数が集まるの、今までに一度もなかったよ」
「そうなんです?」
「うん。みんな群れたがらないから。首領達が居るなんて相当の事なんじゃ・・・」
「益々胡散臭い」
「後・・・着けてみる?」
「いや、それも楽しそうだけど此処は先に行く」
「ユーリが探しているのは紅の絆傭兵団の方だからね」
「ああ、あいつ等と事を構える必要はないんでな」
「じゃあ行こうか」
私達は魔狩りの剣とは別の道へ進み、本来の目的である紅の絆傭兵団の捜索を再開した
カルボクラムを更に奥に進んで行くと大きな建物が見え私達はその建物に入った
部屋の奥に行くとかなり深く、そして長い螺旋階段があった
「うわぁ、すっごい長いね」
「かなり深くまで続いてますね」
「これ、何処まで降りるの?」
「さあな。降りてみないと」
「螺旋状になってるから酔わない様にね」
「特にカロル」
「え~、ボク限定なの~!」
「あんたが一番三半規管が弱そうだしね」
「私も気を付けます」
「用心に超した事はないからね」
「だな、じゃあ行くぞ」
「暗いから足下気を付けてね」
私達はそれから暫く長い長い螺旋階段を降りて行った
*
数分後、ようやく螺旋階段を降り終わりやっと下に辿り着いた
辿り着いたは良いが急に息苦しさを感じた
それは私だけじゃなくみんなも同じで苦しそうな顔をして息が上がっていた
「な、何だろう。さっきから気持ち悪い」
「もしかしてホントに酔った?」
アスラは心配そうにカロルに聞くが返って来た言葉は思っていた事と違った
「ううん。そんな感じじゃない・・・何か、気持ち悪いんだ」
確かにカロルの言う通り、此処に来てからというもの変に息が上がり、気分が悪くなりだした
「こりゃ、何かあんな」
「少し休憩して様子見した方が良いよ」
「そうね。でも、何で急に・・・」
「何か原因があるはずなんだけど・・・」
「こんな時に魔物に襲われたら大変だね」
「そう言う事言ってると、本当にやってくんぜ」
「・・・・・」
急にエステルがふらりとし倒れそうになるが寸での所でユーリが支えて座らせてあげた
「ユーリ・・・!」
「行き倒れになんなら、人の多い街ん中にしといてくれ。オレ、面倒見切れないからな」
ユーリはそう言って立ち上がり数歩離れるとエステルも立ち上がった
「は、はい。ありがとう。まだ、だいじょうぶです」
大丈夫とは言うものの、まだ顔色が優れない
それは此処にいる私達も同じ事だが・・・
そう言えば、似たような事が何処かであったような・・・と思っていると目の前に小さな緑色の光の粒が現れ出した
「・・・これ、エアルだ」
「え? エアルって目に見えるの?」
「濃度が上がるとね」
「そういや、前にリアとアスラとエステルが言ってたな。濃いエアルは体に悪いって」
「うん・・・。濃度の高いエアルは時として人体に悪影響を及ぼすからね」
「クオイの森でぶっ倒れたからな」
そう、クオイの森でも同じようにエステルがエアル酔いで倒れた事があった
だから何処かで見覚えがあったのか
「・・・へえ、そんな事が」
「こりゃ、引き返すかな」
「でも、傭兵団がいるかまだ確かめていませんよ」
「いや、まあそうなんだけど・・・・」
この状況じゃ・・・とユーリが言葉を続けようとしているとリタがふらふらしながら部屋にある魔導器に近付いて行った
「この魔導器がドアと連動してるみたいね」
「どうやって開けるの?」
「ご丁寧にパスワードを入力しなきゃダメみたい」
「壊しちまった方が早くねぇか?」
「無理に解体するのは危険よ。開かなくなるかもしれないし」
「お、何か浮かび上がって来たぞ」
ユーリの言葉に私達も魔導器に近付きその浮かび出て来た物を見た
それは文字だったが普段私達が使っている文字ではなかった
「・・・これ、読めないんだけど」
「そりゃこんなの見た事ねえからな」
「かなり古い文字ね。古代文字かしら?」
「本で似たような物を見た事がありますけど・・・」
「読めそうか?」
「いえ・・・」
「ちょっとごめんね。見せてもらっても良い?」
みんながどうするべきか悩んでいると後ろで様子を見ていた私は場所を変わってもらい魔導器の前に立ち、浮かび上がっている文字を見た
「リア、解るのか?」
「正確にはアスラが、だけど」
アスラは浮かび上がった文字を読みあげるとカロルはきょとんと言う顔をしてアスラを見た
「・・・えーと、つまりどういう意味?」
「現代語に訳すと最初は『光』、次は『空』、そして最後が『球』。これを更に組み替えると『太陽』になるんだ」
「太陽・・・?」
「そう。元々このカルボクラムは雨が降りっぱなしで太陽が出てる日が少なかったからね」
「それでこのパスワードを太陽にしたのね」
「成る程ね・・・良し!」
リタはアスラの言葉を聞き、パスワードを入力すると閉じていた扉が開いた
「開いた!」
「ビンゴ!」
「凄いです、アスラ」
「お役に立てたなら何よりだよ。じゃあ中に行ってみようか」
「うん。まだエアルの濃度が高いから気を付けてね」
「ああ」
アスラのお陰で扉は開き私達は中へ入って行った
続く
あとがき
キリが良いので此処で終わらせてみた
パスワードは現代語だったけどこういうちょっと遺跡っぽい所はひねっても大丈夫かなと思ったのでこんな形にしてみました
さて、次回は結構長くなりそうですよ・・・
色々と面白い展開になりそうです(笑)
では、また!
2008.11.19