水道魔導器奪還編
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フレンに助けられた私達は無事にトリム港に着く事が出来た
15.トリム港
「有り難う御座います。お陰で助かりました」
「ね、こいつ、誰?」
そう言って礼儀正しく頭を下げるヨーデルを見てリタは隣にいるエステルに尋ねるがエステルは答えづらそうに言う
「え、えっと、ですね・・・」
「今、宿を用意している。詳しい話しはそちらで。それで良いね?」
ユーリが頷くとフレンはヨーデルに向き合い小さく合図するとヨーデルを連れて宿へと歩いて行った
*
「フレンとエステルのあの様子じゃ間違いなさそうだね」
宿に向かう途中リアとアスラとセイは最後尾で何か話していた
「ああ。俺も実際に会うのは初めてだけどな」
「短期間で一気に会うなんて思ってもみなかったけどね」
「確かに」
「ま、後の事は宿でフレンから聞くとして・・・」
リア達はそのまま前を歩くユーリ達の話しに耳を傾けた
どうやらラゴウの屋敷で会った竜使いの事を話しているようだった
リタはやはり魔導器を壊された事に腹を立てており、竜使いの事をバカドラと呼んでいた
「・・・バカドラね。ヒドイ言われようだな」
リタのバカドラ発言を聞いてセイは苦笑した
「本人が聞いたら何て言うだろうね」
「軽く受け流すと思うけど」
「あーそれあり得るわ」
「何があり得るの?」
カロルが不思議そうにリア達を見るがリアは何でもないと言って誤魔化していると宿に着いた
「こいつ・・・っ!」
フレンが用意してくれた部屋に入ると、そこにはフレンとヨーデルの他にラゴウの姿もあり、リタを初めリア達は顔を強張らせて目を見開く
しかしラゴウはリア達の事を初めて見るような感じで接して来て、リタは一歩だけ前に足を出すがユーリに止められ仕方なくその場に留まる
「船での事件がショックで都合の良い記憶喪失か? 良い治癒術師紹介するぜ」
「はて? 記憶喪失も何も、貴方と会うのはこれが初めてですよ?」
「何言ってんだよ!」
「執政官、貴方の罪は明白です。彼等がその一部始終を見ているのですから」
フレンが言うと、ラゴウはいつまでシラを切るつもりなのか「名前を語った誰かが仕組み自分を陥れようとした」などとほざく
それを聞いたリタはいても経ってもいられなかったのか口を尖らせてラゴウに怒鳴る
が、ラゴウは聞く耳を持たず、それどころかフレンに「どちらを信じるか」と問い質した
「・・・・」
その言葉にフレンは何も答えられずに顔を俯かせて小さく握り拳を作っていた
「フレン・・・」「「「・・・・」」」
「決まりましたな。では、失礼しますぞ」
フレンの表情を見てラゴウは勝ち誇ったような笑みを浮かべそう言ってヨーデルに会釈をして早々とこの部屋を出て行った
それを見送ったリア達は眉をしかめて睨むようにラゴウが出て行った扉を見ていた
「なんなのよ、あいつは! それに、こいつは何者よ!!」
リタはヨーデルの方を指差して問い質す
「ちっとは落ち着け」
「この方は・・・・」
ヨーデルの紹介をしようとフレンは口を開くが、どう言って良いのか思いつかないのか直ぐに口を閉じて顎に手を添える
それを見かねたエステルはフレンの所まで歩いて行き、代わりに口を開いた
「この方は、時期皇帝候補のヨーデル殿下です」
「へ? またまたエステルは・・・」
言いながらカロルはエステルのいた場所まで移動しラピードもユーリとフレンの間に移動して座ると、部屋はシンっと静まり、カロルもそれが冗談ではないと分かり、少しばかり慌てる
「・・・って、あれ?」
それを見てセイはカロルの頭をポンポンと叩きまたヨーデルの顔を見た
「あくまで候補の一人ですよ」
「本当なんだ。先代皇帝の甥御にあたられるヨーデル殿下だ」
「ほ・・ほんとに!?」
「はい」
「殿下ともあろうお方が、執政官ごときに捕まる事情をオレは聞いてみたいね」
ユーリが言った後、暫くその場は重い空気に包まれる
そしてそれを破ったのはエステルの一言で、彼女はこの一件について何か知っているようだった
「市民には聞かせられない事情って訳か」
「あ・・それは・・・」
「エステルが此処まで来たのも関係してんだな」
「・・・・・・」
「・・・ま、好きにすれば良いさ。目の前で困ってる連中をほっとく帝国のごたごたに興味はねえ」
「ユーリ・・・。そうやって帝国に背を向けて何か変わったか? 人々が安定した生活を送る為には帝国の定めた正しい法が必要だ」
「けど、その法が今はラゴウを許してんだろ!」
「だから、それを変える為に僕達は騎士になった。下から吼えてるだけでは何も変えられないから・・・。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。そうだったろ、ユーリ」
「・・・・・・・」
「ユーリ・・・」
フレンに背を向けたまま押し黙るユーリ
リアはそんな彼を見つめながら眉を八の字にして目を伏せる
「・・・だから、出世の為にガキが目の前で魔物のエサにされんのを黙って見てろってか!? 下町の連中が厳しい取立てにあってんのを見過ごすのかよ!! ・・・それができねえから、俺は騎士団を辞めたんだ」
「知ってるよ。けど、辞めて何か変わったか?」
「・・・・・・」
「騎士団に入る前と、何か変わったのか?」
フレンの言葉にユーリはいても経ってもいられなかったのかリア達を残してこの部屋を出て行ってしまった
「ユーリ!」
「あ、待って、ボクも・・・」
そんなユーリの後を追ってリアも足を動かし部屋を出て行き、カロルも追い駆けようとしていたが隣にいたセイに止められてしまう
カロルはセイを見ると無言でリアに任せとけ、と言われた様に思いそのまま部屋に留まった
宿屋の外に出て行くと、近くでユーリは拳を壁に押し付けていた
それを見てリアはゆっくりと彼に近付いて行く
「ったく、痛いとこつきやがって・・・。何も変わってねえのは、俺にだって解ってる」
「ユーリ・・・」
「・・・悪ぃな。みっともねえとこ見せちまって」
「ううん」
「さて、魔核の手掛かりでも探すか」
「・・・ユーリ」
「ん?」
「フレンの言った事・・・」
気にしてるの? と言葉を続ける前にユーリはリアの頭にポンと手を置く
「大丈夫だ。あんま気にしてねぇから。それに、フレンにああ言われるのは慣れてるしな」
「・・・ホントに、気にしてない?」
「ああ」
「・・・ユーリはいつもそんな風に誤魔化すから、余計心配だよ」
「・・・・・」
リアは本当に心配そうな顔でユーリを見ると、ユーリはそんなリアを見て何を思ったのか視線を逸らして思い詰めたような顔をしていた
「およ~? 久しぶりじゃない、ご両人」
すると突然リアとユーリに声を掛けて来ている人物が見えた
「あれは・・・」
「レイヴン!」
彼はリア達の顔を見ると、まるで今まで何事もなかったかのように接して来た
「挨拶の前に言う事あんだろ?」
それを見てユーリは少しだけ顔を顰める
「挨拶より先にする事? ・・・う~ん」
「ま、騙した方より騙された方が忘れずにいるって言うもんな」
「俺って、誤解されやすいんだよね」
「無意識で人に迷惑掛ける病気は医者行って治してもらって来い」
「そっちもさ。その口の悪さ、なんとかした方が良いよ? じゃないとそのうちリアちゃんに逃げられちゃうよぉ~」
「えっ!!///」
「あれ、違った? おっさんてっきり付き・・・ふごっっ!!」
レイヴンが言葉を続けようとしているとユーリが怖い顔をしてレイヴンの鳩尾を殴った
「・・・おっさんには関係ねえだろ」
「・・・レイヴン、大丈夫?ι」
「リア、ほっとけ」
「・・・う゛ぅ・・・。全く照れちゃって。いやぁ、若いって良いね!」
復活したと思えば直ぐにいつものテンションに戻るレイヴンだった
「・・・たく、口の減らない。つか、ホントに知り合いだったんだな」
「うん。お互いに情報交換したりね」
「そそ」
「ふーん。でもあんまふらふらしてっとまた騎士団にとっ捕まるぞ」
「騎士団も俺相手にしてる程暇じゃないって。さっき物騒なギルドの一団が北西に移動するのも見かけたしね。騎士団はああいうのほっとけないでしょ」
「物騒、か。それって紅の絆傭兵団か?」
「さあ? どうかな?」
「そもそもおっさん。あの屋敷に何しに行ったんだ?」
「ま。ちょっとしたお仕事。聖核 って奴を探してたのよ」
(聖核? 何処かで聞いた事あるような・・・)
リアがそう思っていると聞き慣れない言葉にユーリはレイヴンに聞いた
レイヴンが言うには聖核とは魔核の凄い版らしく、ラゴウの屋敷にあるらしいと聞き屋敷に行ったが結局無かったそうだ
レイヴンとユーリが暫く話していると、宿からカロル達が出て来てリタが「ああ!!」と言う声を出しリア達はその声の方を向く
するとリタはレイヴンの顔を見るなり恐い顔になって彼を睨み、こちらに向って走り出して来た
「逃げた方が良いかね、これ」
「一人好戦的なのがいるからな」
「逃げるなら早めにね」
「そうするわ、じゃね」
それだけ言葉を交わすとレイヴンはリア達から離れて行き、入れ替わりでカロル達がリア達の所まで走ってくる
しかしリタだけはレイヴンをそのまま追い駆けてリア達を通り越して行った
「はぁ・・・はぁ・・・。なんで逃がしちゃうんだよ!」
「誤解されやすいタイプなんだとさ」
「え? それどういう意味?」
「そのままの意味よ」
そう話しているとレイヴンを追い駆けていたリタが戻って来た
「・・・逃がしたわ。いつか捕まえてやる」
「ほっとけ。あんなおっさん、まともに相手してたら疲れるだけだぞ」
「その通りだと思う」
「エステル、平気?」
「・・・少し、休憩させて下さい」
「ああ。じゃあ少しだけな。と、セイはどうした?」
「何かフレンに呼び止められてたよ」
「フレンに?」
「あの様子じゃ話し長くなりそうだったわよ」
「一緒に来るのは無理っぽい感じだったよ」
リアは多分エステルやフレンが言っていた一件の情報を持っているセイを近くに置いておきたいのだろうと思い擦り寄って来たラピードを撫でてあげた
「そっか。じゃあもう少し休憩したら行くぞ」
「行くって・・・何処に行くの?」
「紅の絆傭兵団の後を追う。下町の魔核、返してもらわねぇと・・・」
「足取り、掴めたんです?」
「北西の方に怪しいギルドの一団が向ったんだと。奴等かもしんねぇ」
「北西って言うと、地震で滅んだ街くらいしかなかった気がするけどなぁ」
「確かカルボクラムだよね?」
「そんな所に何しに行ったんでしょう」
「さあな」
「そんな曖昧なので良い訳?」
「だから行って確かめんだろ?」
「とりあえず、行ってみよう」
ユーリ達はレイヴンの言っていた怪しい集団が向ったという北西にある滅びた都市・カルボクラムへ行く事になった
続く
あとがき
はい、やっとトリム港に着きました
此処で一旦セイ兄とは別行動になります
水道魔導器奪還編やっと中間辺りに来ました
次はカルボクラムです
魔狩りの剣が出て来ます
とりあえず頑張って書きます(笑)
では
2008.11.18
15.トリム港
「有り難う御座います。お陰で助かりました」
「ね、こいつ、誰?」
そう言って礼儀正しく頭を下げるヨーデルを見てリタは隣にいるエステルに尋ねるがエステルは答えづらそうに言う
「え、えっと、ですね・・・」
「今、宿を用意している。詳しい話しはそちらで。それで良いね?」
ユーリが頷くとフレンはヨーデルに向き合い小さく合図するとヨーデルを連れて宿へと歩いて行った
*
「フレンとエステルのあの様子じゃ間違いなさそうだね」
宿に向かう途中リアとアスラとセイは最後尾で何か話していた
「ああ。俺も実際に会うのは初めてだけどな」
「短期間で一気に会うなんて思ってもみなかったけどね」
「確かに」
「ま、後の事は宿でフレンから聞くとして・・・」
リア達はそのまま前を歩くユーリ達の話しに耳を傾けた
どうやらラゴウの屋敷で会った竜使いの事を話しているようだった
リタはやはり魔導器を壊された事に腹を立てており、竜使いの事をバカドラと呼んでいた
「・・・バカドラね。ヒドイ言われようだな」
リタのバカドラ発言を聞いてセイは苦笑した
「本人が聞いたら何て言うだろうね」
「軽く受け流すと思うけど」
「あーそれあり得るわ」
「何があり得るの?」
カロルが不思議そうにリア達を見るがリアは何でもないと言って誤魔化していると宿に着いた
「こいつ・・・っ!」
フレンが用意してくれた部屋に入ると、そこにはフレンとヨーデルの他にラゴウの姿もあり、リタを初めリア達は顔を強張らせて目を見開く
しかしラゴウはリア達の事を初めて見るような感じで接して来て、リタは一歩だけ前に足を出すがユーリに止められ仕方なくその場に留まる
「船での事件がショックで都合の良い記憶喪失か? 良い治癒術師紹介するぜ」
「はて? 記憶喪失も何も、貴方と会うのはこれが初めてですよ?」
「何言ってんだよ!」
「執政官、貴方の罪は明白です。彼等がその一部始終を見ているのですから」
フレンが言うと、ラゴウはいつまでシラを切るつもりなのか「名前を語った誰かが仕組み自分を陥れようとした」などとほざく
それを聞いたリタはいても経ってもいられなかったのか口を尖らせてラゴウに怒鳴る
が、ラゴウは聞く耳を持たず、それどころかフレンに「どちらを信じるか」と問い質した
「・・・・」
その言葉にフレンは何も答えられずに顔を俯かせて小さく握り拳を作っていた
「フレン・・・」「「「・・・・」」」
「決まりましたな。では、失礼しますぞ」
フレンの表情を見てラゴウは勝ち誇ったような笑みを浮かべそう言ってヨーデルに会釈をして早々とこの部屋を出て行った
それを見送ったリア達は眉をしかめて睨むようにラゴウが出て行った扉を見ていた
「なんなのよ、あいつは! それに、こいつは何者よ!!」
リタはヨーデルの方を指差して問い質す
「ちっとは落ち着け」
「この方は・・・・」
ヨーデルの紹介をしようとフレンは口を開くが、どう言って良いのか思いつかないのか直ぐに口を閉じて顎に手を添える
それを見かねたエステルはフレンの所まで歩いて行き、代わりに口を開いた
「この方は、時期皇帝候補のヨーデル殿下です」
「へ? またまたエステルは・・・」
言いながらカロルはエステルのいた場所まで移動しラピードもユーリとフレンの間に移動して座ると、部屋はシンっと静まり、カロルもそれが冗談ではないと分かり、少しばかり慌てる
「・・・って、あれ?」
それを見てセイはカロルの頭をポンポンと叩きまたヨーデルの顔を見た
「あくまで候補の一人ですよ」
「本当なんだ。先代皇帝の甥御にあたられるヨーデル殿下だ」
「ほ・・ほんとに!?」
「はい」
「殿下ともあろうお方が、執政官ごときに捕まる事情をオレは聞いてみたいね」
ユーリが言った後、暫くその場は重い空気に包まれる
そしてそれを破ったのはエステルの一言で、彼女はこの一件について何か知っているようだった
「市民には聞かせられない事情って訳か」
「あ・・それは・・・」
「エステルが此処まで来たのも関係してんだな」
「・・・・・・」
「・・・ま、好きにすれば良いさ。目の前で困ってる連中をほっとく帝国のごたごたに興味はねえ」
「ユーリ・・・。そうやって帝国に背を向けて何か変わったか? 人々が安定した生活を送る為には帝国の定めた正しい法が必要だ」
「けど、その法が今はラゴウを許してんだろ!」
「だから、それを変える為に僕達は騎士になった。下から吼えてるだけでは何も変えられないから・・・。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。そうだったろ、ユーリ」
「・・・・・・・」
「ユーリ・・・」
フレンに背を向けたまま押し黙るユーリ
リアはそんな彼を見つめながら眉を八の字にして目を伏せる
「・・・だから、出世の為にガキが目の前で魔物のエサにされんのを黙って見てろってか!? 下町の連中が厳しい取立てにあってんのを見過ごすのかよ!! ・・・それができねえから、俺は騎士団を辞めたんだ」
「知ってるよ。けど、辞めて何か変わったか?」
「・・・・・・」
「騎士団に入る前と、何か変わったのか?」
フレンの言葉にユーリはいても経ってもいられなかったのかリア達を残してこの部屋を出て行ってしまった
「ユーリ!」
「あ、待って、ボクも・・・」
そんなユーリの後を追ってリアも足を動かし部屋を出て行き、カロルも追い駆けようとしていたが隣にいたセイに止められてしまう
カロルはセイを見ると無言でリアに任せとけ、と言われた様に思いそのまま部屋に留まった
宿屋の外に出て行くと、近くでユーリは拳を壁に押し付けていた
それを見てリアはゆっくりと彼に近付いて行く
「ったく、痛いとこつきやがって・・・。何も変わってねえのは、俺にだって解ってる」
「ユーリ・・・」
「・・・悪ぃな。みっともねえとこ見せちまって」
「ううん」
「さて、魔核の手掛かりでも探すか」
「・・・ユーリ」
「ん?」
「フレンの言った事・・・」
気にしてるの? と言葉を続ける前にユーリはリアの頭にポンと手を置く
「大丈夫だ。あんま気にしてねぇから。それに、フレンにああ言われるのは慣れてるしな」
「・・・ホントに、気にしてない?」
「ああ」
「・・・ユーリはいつもそんな風に誤魔化すから、余計心配だよ」
「・・・・・」
リアは本当に心配そうな顔でユーリを見ると、ユーリはそんなリアを見て何を思ったのか視線を逸らして思い詰めたような顔をしていた
「およ~? 久しぶりじゃない、ご両人」
すると突然リアとユーリに声を掛けて来ている人物が見えた
「あれは・・・」
「レイヴン!」
彼はリア達の顔を見ると、まるで今まで何事もなかったかのように接して来た
「挨拶の前に言う事あんだろ?」
それを見てユーリは少しだけ顔を顰める
「挨拶より先にする事? ・・・う~ん」
「ま、騙した方より騙された方が忘れずにいるって言うもんな」
「俺って、誤解されやすいんだよね」
「無意識で人に迷惑掛ける病気は医者行って治してもらって来い」
「そっちもさ。その口の悪さ、なんとかした方が良いよ? じゃないとそのうちリアちゃんに逃げられちゃうよぉ~」
「えっ!!///」
「あれ、違った? おっさんてっきり付き・・・ふごっっ!!」
レイヴンが言葉を続けようとしているとユーリが怖い顔をしてレイヴンの鳩尾を殴った
「・・・おっさんには関係ねえだろ」
「・・・レイヴン、大丈夫?ι」
「リア、ほっとけ」
「・・・う゛ぅ・・・。全く照れちゃって。いやぁ、若いって良いね!」
復活したと思えば直ぐにいつものテンションに戻るレイヴンだった
「・・・たく、口の減らない。つか、ホントに知り合いだったんだな」
「うん。お互いに情報交換したりね」
「そそ」
「ふーん。でもあんまふらふらしてっとまた騎士団にとっ捕まるぞ」
「騎士団も俺相手にしてる程暇じゃないって。さっき物騒なギルドの一団が北西に移動するのも見かけたしね。騎士団はああいうのほっとけないでしょ」
「物騒、か。それって紅の絆傭兵団か?」
「さあ? どうかな?」
「そもそもおっさん。あの屋敷に何しに行ったんだ?」
「ま。ちょっとしたお仕事。
(聖核? 何処かで聞いた事あるような・・・)
リアがそう思っていると聞き慣れない言葉にユーリはレイヴンに聞いた
レイヴンが言うには聖核とは魔核の凄い版らしく、ラゴウの屋敷にあるらしいと聞き屋敷に行ったが結局無かったそうだ
レイヴンとユーリが暫く話していると、宿からカロル達が出て来てリタが「ああ!!」と言う声を出しリア達はその声の方を向く
するとリタはレイヴンの顔を見るなり恐い顔になって彼を睨み、こちらに向って走り出して来た
「逃げた方が良いかね、これ」
「一人好戦的なのがいるからな」
「逃げるなら早めにね」
「そうするわ、じゃね」
それだけ言葉を交わすとレイヴンはリア達から離れて行き、入れ替わりでカロル達がリア達の所まで走ってくる
しかしリタだけはレイヴンをそのまま追い駆けてリア達を通り越して行った
「はぁ・・・はぁ・・・。なんで逃がしちゃうんだよ!」
「誤解されやすいタイプなんだとさ」
「え? それどういう意味?」
「そのままの意味よ」
そう話しているとレイヴンを追い駆けていたリタが戻って来た
「・・・逃がしたわ。いつか捕まえてやる」
「ほっとけ。あんなおっさん、まともに相手してたら疲れるだけだぞ」
「その通りだと思う」
「エステル、平気?」
「・・・少し、休憩させて下さい」
「ああ。じゃあ少しだけな。と、セイはどうした?」
「何かフレンに呼び止められてたよ」
「フレンに?」
「あの様子じゃ話し長くなりそうだったわよ」
「一緒に来るのは無理っぽい感じだったよ」
リアは多分エステルやフレンが言っていた一件の情報を持っているセイを近くに置いておきたいのだろうと思い擦り寄って来たラピードを撫でてあげた
「そっか。じゃあもう少し休憩したら行くぞ」
「行くって・・・何処に行くの?」
「紅の絆傭兵団の後を追う。下町の魔核、返してもらわねぇと・・・」
「足取り、掴めたんです?」
「北西の方に怪しいギルドの一団が向ったんだと。奴等かもしんねぇ」
「北西って言うと、地震で滅んだ街くらいしかなかった気がするけどなぁ」
「確かカルボクラムだよね?」
「そんな所に何しに行ったんでしょう」
「さあな」
「そんな曖昧なので良い訳?」
「だから行って確かめんだろ?」
「とりあえず、行ってみよう」
ユーリ達はレイヴンの言っていた怪しい集団が向ったという北西にある滅びた都市・カルボクラムへ行く事になった
続く
あとがき
はい、やっとトリム港に着きました
此処で一旦セイ兄とは別行動になります
水道魔導器奪還編やっと中間辺りに来ました
次はカルボクラムです
魔狩りの剣が出て来ます
とりあえず頑張って書きます(笑)
では
2008.11.18