星喰み編
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巨大な魔刻に触れた途端に眩い光が放たれ、その光は辺りを包み、私はその光の中に包まれた
95.もうひとりの私
「っ・・・」
気が付くと、白い世界にいた
「・・・此処、いつもの所?」
だけど、少しだけいつも見る私の夢の中とは違う感じがした
少しだけ辺りを見渡すと、何か透明なものに包まれていた
「!? これって、あの巨大な魔刻の中!?」
「そう」
「!」
私は目の前にいる人物を見て目を見開いた
「・・・わ、たし?」
そこにいたのは言霊使いの衣装を身に纏っている私だった
けど、それは一瞬だけでゆっくりと違う女性の姿になった
彼女は私と同じ髪の色をしていて、両目の色が違っていたが、少しだけ似ている
「初めまして、現在の言霊使いの姫」
「現在、の・・・? 貴女は?」
「私は昔の言霊使い。そして貴女の心の中に眠る力の一部よ」
「!」
一体何がどうなってるのか解らない
けど、彼女は女性の姿をしていて私の力の一部と言った
「ふふ、何がどうなってるのか解らない、って顔してるわよ。まあ無理もないけど」
彼女はそう言って私に微笑みかけた
「今私達はあの巨大な魔刻の中にいる。そして魔刻の力と言霊使いの力が反応して色々なものが目覚め、私も実体化した」
「・・・色々なものが目覚めたって・・・?」
「此処の記憶、そして私と貴方の力が」
彼女の言っている事は何となくだけど、理解は出来た
けど、気になるのはそこではなかった
「・・・此処から出る事は出来るの?」
「出来るわ」
その言葉を聞いてほっと安心していると彼女は真剣な表情をして私を見た
「けど、貴女にはやってもらう事がある」
「やってもらう事? っ!」
彼女の言葉に疑問を持っているとまたあの眩い光が辺りを包みだした
「・・・貴女に、全ての記憶を・・・」
光に包まれながら彼女の声が聞こえ、そして一瞬にして世界が変わった
*
色褪せた世界が一変し、新しい世界を彩る
どうやらこれが記憶の一部らしい
私は目の前の光景をじっと見ていた
今映っているのは、私達が生まれるずっと昔の記憶のようだった
そしてこのタルカロンで暮らしていた人達やその生活が見える
「・・・これは此処に住んでた人達の記憶?」
「ええ。それと魔刻が残してる記憶でもあるわね」
タルカロンを歩いている時にジュディス達と話していた通り、此処は最初は人工も少なく街もそんなに大きくはなかった
そして街も発達していき、どんどん人も街も増えてきた
だが、時代の発展やエアルの乱れの所為で星喰みが現れ、この街も文明も滅んでしまったようだった
「けどこの街は魔導器として兵器に替えた。始祖の隷長を全滅させる為に」
「始祖の隷長を全滅させる!?」
「相容れない存在だと思ったんじゃないかしらね・・・。そして、タルカロンは最終的にアスピオの近くの地下深くに封印された」
「だからアスピオの近くにはシャイコス遺跡があったり、魔導器の研究が発達してたのね」
「そしてその封印をデュークが解いて、地上に浮上させた」
「それが今私達がいるこのタルカロン・・・」
「そう。デュークは始祖の隷長側にいたから色々と知ってたみたいだけど・・・」
一瞬だけど彼女の目が寂しそうになったような気がした
そう思っていると、次の世界の色が見えた
そこはまるで今のこの世界と同じく、星喰みが世界を覆っている所だった
そして辺りには十数人の人とクリティア族の人達がいた
「・・・これ、あの壁画にあった」
「まさにあの壁画にあった時代よ」
そう話していると後ろからまた違うものがやって来た
良く見ると、それは始祖の隷長だった
けど、その始祖の隷長は私が知っている始祖の隷長達ではなかった
フェロー達の前にいた始祖の隷長達かもしれない
「・・・世の祈りを受け満月の子等は命燃え果つ。星喰み虚空へと消え去れり」
「・・・それ」
彼女が言った言葉はあの壁画に描かれてあった事だった
そして彼女の視線の先を見ると、ザウデに先程の人達と始祖の隷長が集まっていた
「あそこにいるのは先代の満月の子と言霊使い達」
「ザウデと星喰みを抑えてた?」
「そう。ザウデは満月の子の生命力で動き、星喰みは言霊使いの力に寄って抑えられ、遠ざけられ、ザウデも封印された」
「その秘密を知っているのは始祖の隷長と式神だけ・・・」
「満月の子も言霊使いの方にも多くは語られてはないけど、機密情報として残ってるみたいだけどね」
「・・・貴女はこの事知ってたの?」
「ええ。私も生きてた頃は貴女程じゃないけど結構力強かったし」
「え?」
生きてた頃?
今、彼女はそう言った
けど、彼女は私の心の中に眠る力のはず・・・
どういう事?
そう思っているとまた違う世界に移る
その世界に入ると今度は緑豊かで綺麗な青空と海が広がっていた
だけど、どことなく見覚えのある景色だった
「此処は貴女やセイ様が生まれる少し前の世界よ」
彼女の言葉に世界に目を向けると緑豊かな丘の上に一人の女性が現れた
「え?」
私はその女性を見て固まった
そこにいた女性は今、私の隣にいる彼女だったからだ
「・・・あれ、貴女?」
私は彼女を見るが彼女は小さく頷くだけで、その後は何も答えずただじっとその世界を見ていた
(・・・此処は彼女の記憶?)
彼女からゆっくりと世界に視線を戻すと始祖の隷長と一人の男性が彼女の元にやって来た
「え?」
私は更にその男性の姿を見て驚いた
始祖の隷長と一緒に彼女の元にやってきた男性はデュークだったからだ
「・・・デューク?」
「そう、彼はデューク。そして隣にいる始祖の隷長は貴方の中に眠るエルシフルよ」
「! あれが・・・」
あの始祖の隷長がデュークの友であり、始祖の隷長の長のエルシフル
確かに始祖の隷長の長と言うだけあって、此処から見ていても記憶の中だと言ってもエルシフルには迫力がある
「私達は知り合いだったの」
その世界を見ていると不意に彼女が口を開いた
「ある時、たまたま出会ってそれから何度か会うようになったの」
彼女は懐かしむような目をして目の前の光景を見ていた
私もその光景を見ていると彼女とデューク、そしてエルシフルは楽しそうに話しをしていた
けど、彼女とデュークを見ているとどことなくだけど安心した感が出ていた
まるで私がユーリの傍にいる時みたいに・・・
「私達は信頼出来る友だったの。そして、私は段々と彼に惹かれ始めた・・・」
「・・・デュークの事、好きだったの?」
「ええ」
私の問いに彼女は微笑みながら答えた
「デュークはその事知ってたの?」
「さっき貴女にした事が答えだと思うけど」
「さっき・・・!」
彼女に言われ私は此処に来る前にデュークに触れるだけのキスをされたのを思い出した
「けど、私はその気持ちを伝えずに彼等と別れたの」
「どうして?」
「だって、その時、私にはもう時間が残されてなかったの・・・」
「時間が残されてなかった・・・?」
彼女の言葉を聞いて疑問を抱いて彼女を見ると、寂しそうに微笑んでいた
「私、言霊使いの力は強かったけど、元々病持ちだったの」
「!」
「彼等と出会った時には数年しか生きられないって言われてた。彼の事、好きになったのは良かったけど、一緒にいたら彼にもエルシフルにもツラい思いをさせてしまう。だから私は思いを告げないで彼等の元から去ったの・・・」
「・・・・」
彼女の言葉を聞いて私は黙ってしまい、彼女も言葉を続けようとはしなかった
私も彼女と同じ立場だったら、ユーリにもフレンにもその事を伝えないで同じ行動を取っていたと思う
大事な人だからこそ言いたくない
彼女の気持ちは凄く胸に響いた
「・・・その後、貴方はどうしたの?」
「彼等と離れて故郷で最期を迎えたわ」
「・・・私、全然知らないよ?」
「そりゃ貴女とセイ様が生まれる前の話だもの。知らなくて当然よ」
「でも、貴女さっき私の中に眠る力って言ったわよね? それに言霊使いの故郷で最期を迎えたなら・・・」
「貴女が言いたい事は最もよ。だけど、繋ぎ止めてる思いが強いと残っちゃうのよ。だから、さっき貴女と私が重なってああしたのかもしれないわね・・・」
「・・・・」
彼女の言葉を聞いていると何かが爆発する音が聞こえ、世界に目を戻すと大きな戦いが始まっていた
「・・・これって・・・」
「人魔戦争よ。この時は貴女もセイ様も生まれているから何が遭ったか知ってるでしょう?」
「ええ。人と魔物が戦った。だけど本当は始祖の隷長と人との戦いだった」
「そう。そして戦いは始祖の隷長と協力して戦った人々が勝った。だけど、エルシフルの力を恐れた帝国の連中が私とデュークの友だったエルシフルを殺した・・・」
「・・・・」
「エフミドの丘にあったお墓の事、覚えてる?」
世界の景色と彼女の言葉を聞いて、胸の前に持っていった手をギュっと握っているとふと彼女が口を開き、私は彼女に視線を移した
「あれはデュークが作ったエルシフルのお墓なの」
「あれが・・・」
あの時の事は今でも覚えている
ユーリ達と海を見た後、惹かれるようにしてあのお墓に目が止まった
そして何故か胸が締め付けられる感じがしていた
「あれは貴女の中に眠る私とエルシフルの魂が反応して、不思議な感覚になってたの」
「そう、だったんだ・・・」
「それからさっきの質問だけど」
少しだけしんみりとした空気が漂っていると急に彼女が話しを変えて私を見た
「どうして私が貴方の力の中にいるか、そしてどうしてエルシフルの魂が貴方の稀な力の中にいるか」
彼女はそこで更に真剣な表情をして私を見た
「私もエルシフルも貴女の、いえ、言霊使いの正統後継者である姫に全てを託したからなの」
「全てを託す・・・?」
「私達言霊使いは夢で過去、現在、未来を見る事が出来る。そして、私は未来を見たの・・・」
「未来を?」
「私が見た未来は、今のこの状況・・・」
「!」
「だから人魔戦争の後、エルシフルの魂に語り掛けて私が見た全ての事を話したの。そして、貴方の力と想いを見極めた後、貴方なら全てを託せると確信した。そして、貴方の魂に入ったの」
「・・・・」
私は思わぬ事に驚いてそのまま黙っていると、彼女は少し表情を変えて私を見た
「姫、勝手をした事は謝ります。正統後継者である姫に許しもなく勝手をして申し訳ありません」
彼女は本当に申し訳ない目をして頭を下げて謝った
「顔を上げて下さい」
「でも!」
私はニッコリと微笑むと彼女は驚いて私を見た
「確かに私達本家の人間はみんな一番ツラい事を抱えて生きてるし、私も今までツラい思いをしてきた。けど、真実を知れて良かったって思ってます」
「え?」
「私には心から信頼出来る人もいるし、仲間も式神達も大切な人がいる。みんながいるからツラい事が遭っても重たいものを背負っててもツラくない。そしてみんながいるこの世界を守りたい。貴女もエルシフルもそう思ってるから私に全てを託してくれたんでしょう?」
「ええ」
「だったら、私は貴女達の気持ちを受け止めて応えるわ」
「姫・・・」
私はニッコリと笑って答えると彼女は少しだけ驚いていたが、直ぐに小さく笑った
「貴女達の願いは絶対に叶えてみせるわ。本家の人間としても、私個人としてもね」
「・・・有り難う御座います」
「それから」
「?」
彼女はお礼を言って立ち上がり、彼女が消える前に私は彼女を呼び止めた
「貴女の名前、聞いても良い?」
「私は・・・・・・」
彼女は小さく微笑んで、名前を教えてくれた
そして、世界はまた眩い光に包まれて私も彼女もその光に包まれていった
続く
あとがき
か、書けた・・・、完全オリジナル!!
絶対途中で挫折するって思ってたけど、めちゃくちゃ書けてました(笑)
今回はリアちゃんとリアちゃん似の子の話しでした
本当はリアちゃんの先祖にしようと思って書いてたんですが、途中でやっぱこっちの方が良いなと思って変更にしました
だってさ、初期の頃からデュークってリアちゃんや言霊使いの事知ってたし、妙にリアちゃんの事気にしてたじゃないですか
それにエルシフルの魂の事もあったし・・・
なので結果的にこうなりました!
エルシフルはゲーム本編でも本でもどういう姿で口調はどうなのかって、書かれてないから書くの大変でしたι
あ、過去話(タルカロン辺り)ですが、あくまでも俺の考え(強調)なので・・・ιι
さて、次回からやっと本編に戻ります
いよいよあいつとの決着です
でわは!
やまとなでしこ デビューシングル もうひとりの私 より
2009.08.27
95.もうひとりの私
「っ・・・」
気が付くと、白い世界にいた
「・・・此処、いつもの所?」
だけど、少しだけいつも見る私の夢の中とは違う感じがした
少しだけ辺りを見渡すと、何か透明なものに包まれていた
「!? これって、あの巨大な魔刻の中!?」
「そう」
「!」
私は目の前にいる人物を見て目を見開いた
「・・・わ、たし?」
そこにいたのは言霊使いの衣装を身に纏っている私だった
けど、それは一瞬だけでゆっくりと違う女性の姿になった
彼女は私と同じ髪の色をしていて、両目の色が違っていたが、少しだけ似ている
「初めまして、現在の言霊使いの姫」
「現在、の・・・? 貴女は?」
「私は昔の言霊使い。そして貴女の心の中に眠る力の一部よ」
「!」
一体何がどうなってるのか解らない
けど、彼女は女性の姿をしていて私の力の一部と言った
「ふふ、何がどうなってるのか解らない、って顔してるわよ。まあ無理もないけど」
彼女はそう言って私に微笑みかけた
「今私達はあの巨大な魔刻の中にいる。そして魔刻の力と言霊使いの力が反応して色々なものが目覚め、私も実体化した」
「・・・色々なものが目覚めたって・・・?」
「此処の記憶、そして私と貴方の力が」
彼女の言っている事は何となくだけど、理解は出来た
けど、気になるのはそこではなかった
「・・・此処から出る事は出来るの?」
「出来るわ」
その言葉を聞いてほっと安心していると彼女は真剣な表情をして私を見た
「けど、貴女にはやってもらう事がある」
「やってもらう事? っ!」
彼女の言葉に疑問を持っているとまたあの眩い光が辺りを包みだした
「・・・貴女に、全ての記憶を・・・」
光に包まれながら彼女の声が聞こえ、そして一瞬にして世界が変わった
*
色褪せた世界が一変し、新しい世界を彩る
どうやらこれが記憶の一部らしい
私は目の前の光景をじっと見ていた
今映っているのは、私達が生まれるずっと昔の記憶のようだった
そしてこのタルカロンで暮らしていた人達やその生活が見える
「・・・これは此処に住んでた人達の記憶?」
「ええ。それと魔刻が残してる記憶でもあるわね」
タルカロンを歩いている時にジュディス達と話していた通り、此処は最初は人工も少なく街もそんなに大きくはなかった
そして街も発達していき、どんどん人も街も増えてきた
だが、時代の発展やエアルの乱れの所為で星喰みが現れ、この街も文明も滅んでしまったようだった
「けどこの街は魔導器として兵器に替えた。始祖の隷長を全滅させる為に」
「始祖の隷長を全滅させる!?」
「相容れない存在だと思ったんじゃないかしらね・・・。そして、タルカロンは最終的にアスピオの近くの地下深くに封印された」
「だからアスピオの近くにはシャイコス遺跡があったり、魔導器の研究が発達してたのね」
「そしてその封印をデュークが解いて、地上に浮上させた」
「それが今私達がいるこのタルカロン・・・」
「そう。デュークは始祖の隷長側にいたから色々と知ってたみたいだけど・・・」
一瞬だけど彼女の目が寂しそうになったような気がした
そう思っていると、次の世界の色が見えた
そこはまるで今のこの世界と同じく、星喰みが世界を覆っている所だった
そして辺りには十数人の人とクリティア族の人達がいた
「・・・これ、あの壁画にあった」
「まさにあの壁画にあった時代よ」
そう話していると後ろからまた違うものがやって来た
良く見ると、それは始祖の隷長だった
けど、その始祖の隷長は私が知っている始祖の隷長達ではなかった
フェロー達の前にいた始祖の隷長達かもしれない
「・・・世の祈りを受け満月の子等は命燃え果つ。星喰み虚空へと消え去れり」
「・・・それ」
彼女が言った言葉はあの壁画に描かれてあった事だった
そして彼女の視線の先を見ると、ザウデに先程の人達と始祖の隷長が集まっていた
「あそこにいるのは先代の満月の子と言霊使い達」
「ザウデと星喰みを抑えてた?」
「そう。ザウデは満月の子の生命力で動き、星喰みは言霊使いの力に寄って抑えられ、遠ざけられ、ザウデも封印された」
「その秘密を知っているのは始祖の隷長と式神だけ・・・」
「満月の子も言霊使いの方にも多くは語られてはないけど、機密情報として残ってるみたいだけどね」
「・・・貴女はこの事知ってたの?」
「ええ。私も生きてた頃は貴女程じゃないけど結構力強かったし」
「え?」
生きてた頃?
今、彼女はそう言った
けど、彼女は私の心の中に眠る力のはず・・・
どういう事?
そう思っているとまた違う世界に移る
その世界に入ると今度は緑豊かで綺麗な青空と海が広がっていた
だけど、どことなく見覚えのある景色だった
「此処は貴女やセイ様が生まれる少し前の世界よ」
彼女の言葉に世界に目を向けると緑豊かな丘の上に一人の女性が現れた
「え?」
私はその女性を見て固まった
そこにいた女性は今、私の隣にいる彼女だったからだ
「・・・あれ、貴女?」
私は彼女を見るが彼女は小さく頷くだけで、その後は何も答えずただじっとその世界を見ていた
(・・・此処は彼女の記憶?)
彼女からゆっくりと世界に視線を戻すと始祖の隷長と一人の男性が彼女の元にやって来た
「え?」
私は更にその男性の姿を見て驚いた
始祖の隷長と一緒に彼女の元にやってきた男性はデュークだったからだ
「・・・デューク?」
「そう、彼はデューク。そして隣にいる始祖の隷長は貴方の中に眠るエルシフルよ」
「! あれが・・・」
あの始祖の隷長がデュークの友であり、始祖の隷長の長のエルシフル
確かに始祖の隷長の長と言うだけあって、此処から見ていても記憶の中だと言ってもエルシフルには迫力がある
「私達は知り合いだったの」
その世界を見ていると不意に彼女が口を開いた
「ある時、たまたま出会ってそれから何度か会うようになったの」
彼女は懐かしむような目をして目の前の光景を見ていた
私もその光景を見ていると彼女とデューク、そしてエルシフルは楽しそうに話しをしていた
けど、彼女とデュークを見ているとどことなくだけど安心した感が出ていた
まるで私がユーリの傍にいる時みたいに・・・
「私達は信頼出来る友だったの。そして、私は段々と彼に惹かれ始めた・・・」
「・・・デュークの事、好きだったの?」
「ええ」
私の問いに彼女は微笑みながら答えた
「デュークはその事知ってたの?」
「さっき貴女にした事が答えだと思うけど」
「さっき・・・!」
彼女に言われ私は此処に来る前にデュークに触れるだけのキスをされたのを思い出した
「けど、私はその気持ちを伝えずに彼等と別れたの」
「どうして?」
「だって、その時、私にはもう時間が残されてなかったの・・・」
「時間が残されてなかった・・・?」
彼女の言葉を聞いて疑問を抱いて彼女を見ると、寂しそうに微笑んでいた
「私、言霊使いの力は強かったけど、元々病持ちだったの」
「!」
「彼等と出会った時には数年しか生きられないって言われてた。彼の事、好きになったのは良かったけど、一緒にいたら彼にもエルシフルにもツラい思いをさせてしまう。だから私は思いを告げないで彼等の元から去ったの・・・」
「・・・・」
彼女の言葉を聞いて私は黙ってしまい、彼女も言葉を続けようとはしなかった
私も彼女と同じ立場だったら、ユーリにもフレンにもその事を伝えないで同じ行動を取っていたと思う
大事な人だからこそ言いたくない
彼女の気持ちは凄く胸に響いた
「・・・その後、貴方はどうしたの?」
「彼等と離れて故郷で最期を迎えたわ」
「・・・私、全然知らないよ?」
「そりゃ貴女とセイ様が生まれる前の話だもの。知らなくて当然よ」
「でも、貴女さっき私の中に眠る力って言ったわよね? それに言霊使いの故郷で最期を迎えたなら・・・」
「貴女が言いたい事は最もよ。だけど、繋ぎ止めてる思いが強いと残っちゃうのよ。だから、さっき貴女と私が重なってああしたのかもしれないわね・・・」
「・・・・」
彼女の言葉を聞いていると何かが爆発する音が聞こえ、世界に目を戻すと大きな戦いが始まっていた
「・・・これって・・・」
「人魔戦争よ。この時は貴女もセイ様も生まれているから何が遭ったか知ってるでしょう?」
「ええ。人と魔物が戦った。だけど本当は始祖の隷長と人との戦いだった」
「そう。そして戦いは始祖の隷長と協力して戦った人々が勝った。だけど、エルシフルの力を恐れた帝国の連中が私とデュークの友だったエルシフルを殺した・・・」
「・・・・」
「エフミドの丘にあったお墓の事、覚えてる?」
世界の景色と彼女の言葉を聞いて、胸の前に持っていった手をギュっと握っているとふと彼女が口を開き、私は彼女に視線を移した
「あれはデュークが作ったエルシフルのお墓なの」
「あれが・・・」
あの時の事は今でも覚えている
ユーリ達と海を見た後、惹かれるようにしてあのお墓に目が止まった
そして何故か胸が締め付けられる感じがしていた
「あれは貴女の中に眠る私とエルシフルの魂が反応して、不思議な感覚になってたの」
「そう、だったんだ・・・」
「それからさっきの質問だけど」
少しだけしんみりとした空気が漂っていると急に彼女が話しを変えて私を見た
「どうして私が貴方の力の中にいるか、そしてどうしてエルシフルの魂が貴方の稀な力の中にいるか」
彼女はそこで更に真剣な表情をして私を見た
「私もエルシフルも貴女の、いえ、言霊使いの正統後継者である姫に全てを託したからなの」
「全てを託す・・・?」
「私達言霊使いは夢で過去、現在、未来を見る事が出来る。そして、私は未来を見たの・・・」
「未来を?」
「私が見た未来は、今のこの状況・・・」
「!」
「だから人魔戦争の後、エルシフルの魂に語り掛けて私が見た全ての事を話したの。そして、貴方の力と想いを見極めた後、貴方なら全てを託せると確信した。そして、貴方の魂に入ったの」
「・・・・」
私は思わぬ事に驚いてそのまま黙っていると、彼女は少し表情を変えて私を見た
「姫、勝手をした事は謝ります。正統後継者である姫に許しもなく勝手をして申し訳ありません」
彼女は本当に申し訳ない目をして頭を下げて謝った
「顔を上げて下さい」
「でも!」
私はニッコリと微笑むと彼女は驚いて私を見た
「確かに私達本家の人間はみんな一番ツラい事を抱えて生きてるし、私も今までツラい思いをしてきた。けど、真実を知れて良かったって思ってます」
「え?」
「私には心から信頼出来る人もいるし、仲間も式神達も大切な人がいる。みんながいるからツラい事が遭っても重たいものを背負っててもツラくない。そしてみんながいるこの世界を守りたい。貴女もエルシフルもそう思ってるから私に全てを託してくれたんでしょう?」
「ええ」
「だったら、私は貴女達の気持ちを受け止めて応えるわ」
「姫・・・」
私はニッコリと笑って答えると彼女は少しだけ驚いていたが、直ぐに小さく笑った
「貴女達の願いは絶対に叶えてみせるわ。本家の人間としても、私個人としてもね」
「・・・有り難う御座います」
「それから」
「?」
彼女はお礼を言って立ち上がり、彼女が消える前に私は彼女を呼び止めた
「貴女の名前、聞いても良い?」
「私は・・・・・・」
彼女は小さく微笑んで、名前を教えてくれた
そして、世界はまた眩い光に包まれて私も彼女もその光に包まれていった
続く
あとがき
か、書けた・・・、完全オリジナル!!
絶対途中で挫折するって思ってたけど、めちゃくちゃ書けてました(笑)
今回はリアちゃんとリアちゃん似の子の話しでした
本当はリアちゃんの先祖にしようと思って書いてたんですが、途中でやっぱこっちの方が良いなと思って変更にしました
だってさ、初期の頃からデュークってリアちゃんや言霊使いの事知ってたし、妙にリアちゃんの事気にしてたじゃないですか
それにエルシフルの魂の事もあったし・・・
なので結果的にこうなりました!
エルシフルはゲーム本編でも本でもどういう姿で口調はどうなのかって、書かれてないから書くの大変でしたι
あ、過去話(タルカロン辺り)ですが、あくまでも俺の考え(強調)なので・・・ιι
さて、次回からやっと本編に戻ります
いよいよあいつとの決着です
でわは!
やまとなでしこ デビューシングル もうひとりの私 より
2009.08.27