影法師にアンコール!(krk)※抜け番あり
DREAM
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第1クォーター終了。点差はジャバウォックよりも4点リードでヴォーパルソーズが勝っている。ベンチに座るメンバーを見て、景虎さんも相田さん、さつきちゃんもみんな表情は若干曇っている。それもそうだ、序盤から最高のプレイをしていたにも関わらず、点差はあまり広がっていない上に、みんなの体力の消耗が激しい。ジャバウォック、やはり甘く見てはいけない相手だ。
「まさかこのメンツの全開スタートでも押し切れない相手がいるなんて、初体験かも。正直ビックリっスわ」
「ああ、最高だぜ……相手にとって不足なしだ」
黄瀬君の言葉に頷きつつも獲物を見つけた顔をしている青峰は、なんだか頼もしく思えた。隣に座る敦は深い息を吐きながら、止めるのオレなんだけど、と愚痴をこぼしている。敦だけ、みんなよりも倍は消耗しているように感じた。ポジション的に、おそらく一番消耗が激しいのだろう。けど、おそらく景虎さんは敦を外さない。外せば大穴が空くことは目に見えているからだ。
私は大きな息を吐きながら汗を拭いている敦の額に、キンキンに冷やしたタオルをそっと当てた。
「わっ、何すんの優姫」
「私にできる精一杯のお手伝い中です!敦、気持ちいい?」
「んー…うん、いいかも」
はーーーー天使ーーーーー。
気持ちよさそうに目を閉じる敦はとても天使でした。いや、お菓子の妖精だったか。氷室さんポジになって敦を存分に甘やかしたい。
「水瓶?」
「ひい!笑顔で暗黒オーラ背負ってる!魔王降臨してる!!」
「相手のプレイの所感を簡単に言ってみろ」
タオルを敦に渡して、魔王オーラの赤司に言われた通りに、相手のプレイに対する所感を述べることにする。所感、なんてかっこいい言い方をするものの、結局は私の感想だ。
「多分だけど、全く本気を出してないと思う。あと、ナッシュがね、すごく気になるというか…なんだろう、すごく嫌な感じがするんだよね。あまりにも特化した技術がないというか、見せてないというか…何かとんでもないものを隠してるような…。それから、みどっちの3Pはかなりいけると思う。海外勢も反対側のコートから打たれるなんて思わなかったんだろうなーさすみどっすわ、総受けも視野に入れて」
「なるほど。だが最後のはいらなかったな」
「あいたたたた!!腕!曲がる!!ひい!!」
総受けとはなんだ、とみどっちがみんなに聞いていたが、腐女子用語だったためみんな首を傾げていた。なんだなんだ、みんな総受けだったか。っていたたたたた赤司ほんど腕曲がるし今は休憩して頼むから!!
第2クォーターが始まると、早々にシルバーが動き出した。パスボールを手にしたシルバーは、青峰の前に立っている。青峰にワンオンワンを仕掛けたのだ。不適に笑うシルバーは、速いドリブルで青峰を抜くとそのままゴールへ向かう。追いついた紫原をも力でふき飛ばし、ゴールが決まってしまった。まるで電光石火のようだった。
シルバーはわざとらしく肩を竦めて、ゲラゲラと笑い声を上げた。
「ちょっとやる気出しただけでこれかよ?つくづくサルは貧弱でまいるぜ!ケガしねーように気をつけてやらねえとな!」
聞き取れなくても大体何を言っているのか予想は出来るようで、青峰が青筋を立てて睨み、紫原は全部は聞き取れなかったようだが同じように怒りを抑えられないでいた。
だが、止められたのは二人だけではない。オレも同じくシルバーに止められた。
完全にフリー、さらに後方に飛ぶことでジャンプシュートを止められないよう調整したにも関わらず、想定外の距離から追いつかれたのだ。ジャバウォックの反撃が始まってしまった。
緑間と黄瀬が追うも、全く追いつけず、シルバーはその様子を見てまた笑った。
「それで全力かあ?じゃあ指くわえて見てな!!」
フリスローラインから飛んだシルバーは、両手でボールを持ったまま一回転し、そのままリングにたたき込んだ。知識としては知っている、ウインドミルダンク。おそらくオレの知っている中にできた者はいないだろう。
「見たかサル共!!お前らには一生できない芸当だろう?!努力なんかじゃ埋められない絶対的な力の差なんだよ!!」
静まりかえる会場の真ん中で、シルバーは両手を広げてオレ達をあざ笑っていた。
「向こうもいよいよ本性出してきやがったな」
最初にタイムアウトを取ったのはうちだった。戻ってきた面々に、景虎さんがそう顎を撫でながら言う。点差は9点。タイムアウトを取るまでシルバーの独壇場だった。ここで流れを変えなければいけない。
景虎さんは、メンバーチェンジを告げた。
「今の5人はバランスはいいが、シルバーを止めるにはちと馬力不足だ。メンツを変えるぞ。赤司、緑間アウト、黒子、火神インだ」
「ちょっと、それってつまり」
「お、さすが察しがいいな」
敦が立ち上がって、景虎さんに抗議の声を上げるが、景虎さんはにやっと笑うだけだ。
「火神を入れてインサイドを強めたのはそのためだ。赤司のかわりのボール運びは黄瀬にしてもらう。お前の器用さがあればできるだろう」
黄瀬君が頷くも、納得できない敦はもう一度景虎さんに言い募ろうとするも、赤司が立ち上がってそれを止めた。
「紫原、監督の指示に従え。お前一人では勝つのは無理だ」
「はぁ?!」
「今はまだ」
そう言うと、敦が口を閉じた。その様子を見て赤司は続ける。
「もし違うと思えばオレも反論する。だが今は監督の判断がベストだ。…何より、一人の勝利とチームの勝利。どちらが大事かなど、もう痛いほど知っているだろう」
敦が、ん、と小さく頷いた。それから赤司は、青峰に向き直る。
「青峰もいいな?」
「…あー、わってるよ」
そうだ、みんな変わったんだ。かがみんと戦って敗れて、バスケを楽しいと思えるようになって、みんなで勝ちたいと思えるようになったんだ。それから、赤司も。思わず子供の成長を見守るようにみんなを見ていたら、振り返った赤司に笑顔で「ん?」と言われた。アレは「何かろくでもないこと考えていないか?新技食らいたいのか?ん?」の顔だ。全力で首を横に振っておいた。
試合再開して始まるジャバウォックの攻め。シルバーの攻撃に敦が押さえ込もうとするも抜かされたが、かがみんと青峰のダブルブロックで叩き返してシルバーを止めて見せた。
そこから、ルーズボールを拾った敦がボールをサイドラインへ投げ、ジャバウォックが隙を見せた瞬間、どこからともなく出現した黒子っちがイグナイトパス・廻を放った。相変わらずめちゃくちゃ速いパスだ。それをキャッチした黄瀬君はそのままゴールへと走るが、先回りしたナッシュに立ちはだかれ、走ってきた青峰をチラ見する。もちろんみんな青峰にパスすると思っただろう。けど、青峰にはマークがついている。このボールが取られる……。
なんてことはない。なぜなら二対二ではなく、三対二だったからだ。青峰とは反対から走ってきたかがみんにパスが通ると、ゴールへ飛び上がり、ダンクが決まった。
「いやっほー!!かがみんナイス!!」
「黄瀬ポイントガードもいけるな!みんな息ぴったりだ!!」
若松さんがガッツポーズでコートを見ると、青峰とかがみんが言い合っていて、黄瀬君が困った顔している図ができあがっていた。
「……多分!」
「自信!!自信持ってください!!」
でも、さっきと同じくらい、いやそれ以上にみんなの雰囲気が良くなっている気がする。かがみんと黒子っちのおかげだろうか。軽口が言いやすくなって、みんなの調子も良くなっていっているのかもしれない。
「……これもしかして、キセキ火……?!黒火前提キセキ火なのでは?!」
「水瓶」
「ひぎゃあああそういえば今ベンチに赤司いるんだったすみませえええええん!!
「オレ、赤司の印象一週間前から結構変わったわ……」
「オレもっす……」
「ブフォっ!!ふ、ふひいっ!!腹痛い……っ!!」
「こっちも誰かさんのおかげで賑やかね」
「桃井、水瓶の言う言葉が全く理解できないのだが、赤司は理解しているのか?」
「なんとなくで関節技してるんだと思う…」
遠い目をしている日向さんと若松さん、あと大爆笑してる高尾!いいから赤司止めてくださいよーーーー!!
相変わらずベンチが騒がしそうだ。
原因は優姫だろうな、と観客席の最上階の通路の手すりに腕を乗せて溜息を吐いた。
別に、心配で来たわけではなかった。結果を見届けようと思っただけだ。
勝つのなんてわかってるし、そもそもこの勝負勝つことしか意味は無い。
(本当は俺も)
あいつらを叩きのめすチャンスがあるのなら参戦したかったというのは、まあ本音だ。だが、実力不足なのも理解しているから、俺はここからあいつらの勝利を見届けるしかできない。
というか、そもそも、一番気になったのは試合の結果ではなくて。
(あーーーーなんで俺あんなことあんな微妙なタイミングでやらかしたんだよマジで)
優姫が取られると思ったら、身体が勝手に動いたのだ。だからって、弱ったあいつにキスするとか、少女漫画じゃもう使い古されているだろう。頭をガシガシ掻いて、もう一度ベンチを見る。いつの間にやらじゃれ合いが終わっていて、赤司と優姫は真剣な顔でコートを見ている。いつもの分析だろうか。
あいつらは、アレをあと2年もやっていくのか。
(……やっぱり、俺も覚悟決めないとな)
ていうか何嫉妬とかしてんだ乙女か俺は、と手すりに乗せた腕に顔を埋めていたら、トイレに行っていたらしい葉山に見つかってしまい、席取ってたんだよ!と根武谷の隣の空席に連れて行かれた。コートの中を見れば、海常の黄瀬がダンクを決めて、そのまま良い流れを作って第2クォーターが終わった。
「まさかこのメンツの全開スタートでも押し切れない相手がいるなんて、初体験かも。正直ビックリっスわ」
「ああ、最高だぜ……相手にとって不足なしだ」
黄瀬君の言葉に頷きつつも獲物を見つけた顔をしている青峰は、なんだか頼もしく思えた。隣に座る敦は深い息を吐きながら、止めるのオレなんだけど、と愚痴をこぼしている。敦だけ、みんなよりも倍は消耗しているように感じた。ポジション的に、おそらく一番消耗が激しいのだろう。けど、おそらく景虎さんは敦を外さない。外せば大穴が空くことは目に見えているからだ。
私は大きな息を吐きながら汗を拭いている敦の額に、キンキンに冷やしたタオルをそっと当てた。
「わっ、何すんの優姫」
「私にできる精一杯のお手伝い中です!敦、気持ちいい?」
「んー…うん、いいかも」
はーーーー天使ーーーーー。
気持ちよさそうに目を閉じる敦はとても天使でした。いや、お菓子の妖精だったか。氷室さんポジになって敦を存分に甘やかしたい。
「水瓶?」
「ひい!笑顔で暗黒オーラ背負ってる!魔王降臨してる!!」
「相手のプレイの所感を簡単に言ってみろ」
タオルを敦に渡して、魔王オーラの赤司に言われた通りに、相手のプレイに対する所感を述べることにする。所感、なんてかっこいい言い方をするものの、結局は私の感想だ。
「多分だけど、全く本気を出してないと思う。あと、ナッシュがね、すごく気になるというか…なんだろう、すごく嫌な感じがするんだよね。あまりにも特化した技術がないというか、見せてないというか…何かとんでもないものを隠してるような…。それから、みどっちの3Pはかなりいけると思う。海外勢も反対側のコートから打たれるなんて思わなかったんだろうなーさすみどっすわ、総受けも視野に入れて」
「なるほど。だが最後のはいらなかったな」
「あいたたたた!!腕!曲がる!!ひい!!」
総受けとはなんだ、とみどっちがみんなに聞いていたが、腐女子用語だったためみんな首を傾げていた。なんだなんだ、みんな総受けだったか。っていたたたたた赤司ほんど腕曲がるし今は休憩して頼むから!!
第2クォーターが始まると、早々にシルバーが動き出した。パスボールを手にしたシルバーは、青峰の前に立っている。青峰にワンオンワンを仕掛けたのだ。不適に笑うシルバーは、速いドリブルで青峰を抜くとそのままゴールへ向かう。追いついた紫原をも力でふき飛ばし、ゴールが決まってしまった。まるで電光石火のようだった。
シルバーはわざとらしく肩を竦めて、ゲラゲラと笑い声を上げた。
「ちょっとやる気出しただけでこれかよ?つくづくサルは貧弱でまいるぜ!ケガしねーように気をつけてやらねえとな!」
聞き取れなくても大体何を言っているのか予想は出来るようで、青峰が青筋を立てて睨み、紫原は全部は聞き取れなかったようだが同じように怒りを抑えられないでいた。
だが、止められたのは二人だけではない。オレも同じくシルバーに止められた。
完全にフリー、さらに後方に飛ぶことでジャンプシュートを止められないよう調整したにも関わらず、想定外の距離から追いつかれたのだ。ジャバウォックの反撃が始まってしまった。
緑間と黄瀬が追うも、全く追いつけず、シルバーはその様子を見てまた笑った。
「それで全力かあ?じゃあ指くわえて見てな!!」
フリスローラインから飛んだシルバーは、両手でボールを持ったまま一回転し、そのままリングにたたき込んだ。知識としては知っている、ウインドミルダンク。おそらくオレの知っている中にできた者はいないだろう。
「見たかサル共!!お前らには一生できない芸当だろう?!努力なんかじゃ埋められない絶対的な力の差なんだよ!!」
静まりかえる会場の真ん中で、シルバーは両手を広げてオレ達をあざ笑っていた。
「向こうもいよいよ本性出してきやがったな」
最初にタイムアウトを取ったのはうちだった。戻ってきた面々に、景虎さんがそう顎を撫でながら言う。点差は9点。タイムアウトを取るまでシルバーの独壇場だった。ここで流れを変えなければいけない。
景虎さんは、メンバーチェンジを告げた。
「今の5人はバランスはいいが、シルバーを止めるにはちと馬力不足だ。メンツを変えるぞ。赤司、緑間アウト、黒子、火神インだ」
「ちょっと、それってつまり」
「お、さすが察しがいいな」
敦が立ち上がって、景虎さんに抗議の声を上げるが、景虎さんはにやっと笑うだけだ。
「火神を入れてインサイドを強めたのはそのためだ。赤司のかわりのボール運びは黄瀬にしてもらう。お前の器用さがあればできるだろう」
黄瀬君が頷くも、納得できない敦はもう一度景虎さんに言い募ろうとするも、赤司が立ち上がってそれを止めた。
「紫原、監督の指示に従え。お前一人では勝つのは無理だ」
「はぁ?!」
「今はまだ」
そう言うと、敦が口を閉じた。その様子を見て赤司は続ける。
「もし違うと思えばオレも反論する。だが今は監督の判断がベストだ。…何より、一人の勝利とチームの勝利。どちらが大事かなど、もう痛いほど知っているだろう」
敦が、ん、と小さく頷いた。それから赤司は、青峰に向き直る。
「青峰もいいな?」
「…あー、わってるよ」
そうだ、みんな変わったんだ。かがみんと戦って敗れて、バスケを楽しいと思えるようになって、みんなで勝ちたいと思えるようになったんだ。それから、赤司も。思わず子供の成長を見守るようにみんなを見ていたら、振り返った赤司に笑顔で「ん?」と言われた。アレは「何かろくでもないこと考えていないか?新技食らいたいのか?ん?」の顔だ。全力で首を横に振っておいた。
試合再開して始まるジャバウォックの攻め。シルバーの攻撃に敦が押さえ込もうとするも抜かされたが、かがみんと青峰のダブルブロックで叩き返してシルバーを止めて見せた。
そこから、ルーズボールを拾った敦がボールをサイドラインへ投げ、ジャバウォックが隙を見せた瞬間、どこからともなく出現した黒子っちがイグナイトパス・廻を放った。相変わらずめちゃくちゃ速いパスだ。それをキャッチした黄瀬君はそのままゴールへと走るが、先回りしたナッシュに立ちはだかれ、走ってきた青峰をチラ見する。もちろんみんな青峰にパスすると思っただろう。けど、青峰にはマークがついている。このボールが取られる……。
なんてことはない。なぜなら二対二ではなく、三対二だったからだ。青峰とは反対から走ってきたかがみんにパスが通ると、ゴールへ飛び上がり、ダンクが決まった。
「いやっほー!!かがみんナイス!!」
「黄瀬ポイントガードもいけるな!みんな息ぴったりだ!!」
若松さんがガッツポーズでコートを見ると、青峰とかがみんが言い合っていて、黄瀬君が困った顔している図ができあがっていた。
「……多分!」
「自信!!自信持ってください!!」
でも、さっきと同じくらい、いやそれ以上にみんなの雰囲気が良くなっている気がする。かがみんと黒子っちのおかげだろうか。軽口が言いやすくなって、みんなの調子も良くなっていっているのかもしれない。
「……これもしかして、キセキ火……?!黒火前提キセキ火なのでは?!」
「水瓶」
「ひぎゃあああそういえば今ベンチに赤司いるんだったすみませえええええん!!
「オレ、赤司の印象一週間前から結構変わったわ……」
「オレもっす……」
「ブフォっ!!ふ、ふひいっ!!腹痛い……っ!!」
「こっちも誰かさんのおかげで賑やかね」
「桃井、水瓶の言う言葉が全く理解できないのだが、赤司は理解しているのか?」
「なんとなくで関節技してるんだと思う…」
遠い目をしている日向さんと若松さん、あと大爆笑してる高尾!いいから赤司止めてくださいよーーーー!!
相変わらずベンチが騒がしそうだ。
原因は優姫だろうな、と観客席の最上階の通路の手すりに腕を乗せて溜息を吐いた。
別に、心配で来たわけではなかった。結果を見届けようと思っただけだ。
勝つのなんてわかってるし、そもそもこの勝負勝つことしか意味は無い。
(本当は俺も)
あいつらを叩きのめすチャンスがあるのなら参戦したかったというのは、まあ本音だ。だが、実力不足なのも理解しているから、俺はここからあいつらの勝利を見届けるしかできない。
というか、そもそも、一番気になったのは試合の結果ではなくて。
(あーーーーなんで俺あんなことあんな微妙なタイミングでやらかしたんだよマジで)
優姫が取られると思ったら、身体が勝手に動いたのだ。だからって、弱ったあいつにキスするとか、少女漫画じゃもう使い古されているだろう。頭をガシガシ掻いて、もう一度ベンチを見る。いつの間にやらじゃれ合いが終わっていて、赤司と優姫は真剣な顔でコートを見ている。いつもの分析だろうか。
あいつらは、アレをあと2年もやっていくのか。
(……やっぱり、俺も覚悟決めないとな)
ていうか何嫉妬とかしてんだ乙女か俺は、と手すりに乗せた腕に顔を埋めていたら、トイレに行っていたらしい葉山に見つかってしまい、席取ってたんだよ!と根武谷の隣の空席に連れて行かれた。コートの中を見れば、海常の黄瀬がダンクを決めて、そのまま良い流れを作って第2クォーターが終わった。