影法師にラブコール!(krk)※抜け番あり
DREAM
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
洛山が四回戦を終えて控え室で着替えをしている中、その部屋の前でみんなが出てくるのを待っていた私に、陽泉が負けたと偵察に行っていた一軍の先輩が教えてくれた。
あの陽泉が、負けた。相手は誠凛だった。
「紫原、途中髪を結んで本気になってたけど、誠凛の火神ってやつがすごくてさ。試合の結果を赤司達にも伝えてくるよ」
「わかりました」
青峰との対決の時から、とても嫌な予感がしていたのだ。かがみんは天使だけど、洛山としてはきっと障害になる。キセキの世代が勢揃いのこの大会で、もしかしたら、最後に洛山の前に立っているのは、誠凛なんじゃないかって、少しだけ思った。
紫原君は、どんな試合をしたんだろう。新しく入った選手は、どんなプレイをしたんだろう。きっと試合の様子を録画してくれているだろうから、今日はこの後ミーティングで見られるはずだ。
でも、なんだろう。なんで、こんなに不安なんだろう。桐皇が負けて、陽泉が負けた。他にも、沢山の学校が勝って、負けている。どうして、こんなにも不安になっているんだろう。洛山は強いし、みんなで一生懸命練習してきたから、私はみんなを信じているのに。
「俺達はこれで引退だが、来年はお前達が新しい一年を引っ張ってここまで連れてくるんだぞ!」
「はいっ!!」
長い廊下の途中、声を震わせながら主将らしき人が泣きじゃくる後輩の肩を叩いていた。見れば、負けた学校がいろんなところで涙ぐんでいる。そうだ、負けたら、三年生はここで終わり。これが最後の試合。わかっていたはずなのに。わかっていた、はずなのに。どうして。
「優姫、陽泉と誠凛の試合を全員で見るからデッキの準備を……優姫?どこだ?」
どうして私は、ここから逃げるように廊下を走っているんだろう。後ろで、赤司の声が聞こえたけど、足は止まらなかった。
会場の外に出て、思い切り息を吐く。外は少し肌寒くて、もう空は真っ暗だ。
「…そっか、私、ちゃんと考えてなかったんだ」
冷静になって、ようやくわかった。私は、この大会がまゆゆの最後の試合になることを理解したつもりでいた。口にだって何度も出していたのに、真剣にその意味を考えてはいなかったのだ。
まゆゆは、これで引退になる。それはつまり、もう三年生が練習に来る必要はないのだ。好きな人は来るだろう。高校を卒業してもバスケを続ける人もきっと来る。けど、まゆゆは?まゆゆは、バスケが好きだと思う。でもそれは、引退してからも同じなんだろうか。まゆゆは、この大会が終わったら引退して、部活にはもう来ないんじゃないんだろうか。考えれば考えるほど、想像は嫌な方向に向かっていく。
もしかしたら、もうまゆゆは、私と会ってくれないんじゃ。
「タツヤッ!!」
私の嫌な想像は、どこからか聞こえた女の人の焦りの含む声によってかき消された。
今のは、階段の上のあの角の方から聞こえた気がする。何かあったんだろうか。
気になった私は少し早足で階段を上って角を曲がる。
そこには、ドレッドヘアーの男に首を掴まれている女の人の姿があった。
「何してんだ!!誰だテメエッ!!」
「何してんの!!その手を離せッ!!」
誰かと声が重なった。女の人を助けないといけないという気持ちでいっぱいだったから、隣に誰かがいるのに気がつかなかった。見れば、隣には怒りを露わにしたかがみんがいた。かがみんも私を一瞬見て驚いていたけど、すぐに男に向き直って怒鳴った。
「今すぐ放せよッ!!」
そうだ、早く女の人を助けないと。そう思ってかがみんと同じように男を睨み付けると、そいつは悪意のある笑みを浮かべた。
「お前、さっきアツシに勝った奴じゃん、見てたぜ…ん?そっちの女は知らねえな…」
「とりあえず、はなせよクソガキ」
低い声で女の人がそう言うと、切れのある蹴りで男を自分から引きはがした。ギリギリで避けた男から距離を取って、女の人は息を整えている。
「大丈夫かアレックス!!テメエッ!!」
「タイガ!やめろ!!」
「タツヤッ!!」
「手を出すな。こんなところで選手が喧嘩なんてしたら、問題になるのはお前だけじゃないぞ!」
そう言ってかがみんを止めたのは、陽泉の新顔。たしか、氷室さんだ。かがみんと氷室さんの様子から、きっと二人は知り合いなんだろうと察したけど、それよりも今はこの頭のおかしいやつにもの申さないと気が済まない。こっちは珍しくセンチメンタルになってたというのに!
「やいお前!!こんな美人に手を出すとか何考えてんだ!!」
「あー?お前、そのジャージ洛山か。赤司のいるとこのマネージャーかよ…めんどくせえ」
「マネージャーじゃないし!!トレーナーだし!!つーかその格好選手じゃないの?!ていうかアツシとか赤司とか、えっ?!知り合いなの?!」
詰め寄ろうとしたその瞬間、バチィッとゴムを叩いたような音が響き渡る。このドレッドヘアーの男が、どこからか飛んできたボールを片手で受け止めた音だった。
「いきなりボールを投げつけるなんて、いーい度胸だな、リョータァ?」
「黄瀬?!」
「どーもっス」
今度はキセキの世代の黄瀬涼太がやってきたではないか。しかも、かがみん同様男を睨んでいる。名前で呼ばれたことを考えると、やはりキセキの世代と知り合いのようだ。
「そいつの名前は灰崎祥吾。帝光でオレが入部する前までスタメンだった奴っス。そして、赤司にバスケ部を強制退部させられた選手っスよ」
黄瀬君が言うには、見ての通りで帝光時代から暴力沙汰が断えず、黄瀬君と入れ替わりで姿を消したという。男、灰崎祥吾は笑う。
「バスケなんてどーでもいい。復讐とかそれらしい理由なんざねえ。けど、オレが辞めてからキセキの世代なんて騒がれただろ?だからお前ら五人のうち一人から、もう一度その座を奪っちまおうと思ってなァ」
ただの暇つぶしだと、嫌な笑い方をした。
「ふと思い出して取り返しに来ただけだ。実際、オレはスタメンだったわけだし、倒せば誰も文句は言わねーだろ?リョータぁ、お前ならなおさらだぜ。なんせお前はオレに一度も勝てないままうやむやに」
「やっかましいわ!!未練ありまくりか!!」
思わず、そう突っ込んでしまった。かがみん含め、全員がぽかんとしてしまっている。灰崎も「え、今オレ遮られた?」って顔をしている。
灰崎が元帝光中だろうとスタメンだったんだろうと、そんなことはどうでもいい。今こいつがしないといけないのは、そんな未練たっぷりの告白をしてもらうことじゃない。
「いいから!!アレックスさんと氷室さんに謝れ!!ここはウィンターカップの会場で、みんなバスケで戦いにきてんだ!!殴り合いがしたかったらさっさとここから出てけッ!!」
「…なんだこいつ。うっぜー。うざすぎてほんとやべーんだけど」
「ッ?!!」
殴ってくると思っていたら、ボールをものすごく力任せに投げつけられた。反射的に左腕を出して守る。やっぱり、顔を狙っていた。なんとか守ったものの、庇った腕の痛みと衝撃で少し吹っ飛ばされた。
「おい水瓶!!」
転んだ私にかがみんとアレックスさんが駆け寄ってきてくれて、氷室さんが私の腕をすぐに見てくれた。赤く腫れているらしい。怖くて見れない。あとめちゃくちゃ痛い。
痛くて顔をしかめる私を見て、黄瀬君がさらに怒りを露わにした。
「アンタ、どこまで最低なんだよ…!」
「知らねーなぁ。オレはお前らと違って、バスケをなんとも思ってねぇからなぁ」
「……赤司の判断は、間違ってなかった」
あ?と灰崎がこちらを見る。私は痛む腕を庇いながら立ち上がって、フッと笑う。所謂、赤司がよくやる私を馬鹿にした時の顔だ。
「バスケ部辞めさせられたの、悔しかったんだろうけど、退部させられて正解だ。バスケをなんとも思ってないやつなんて、キセキの世代の中には一人もいないんだから!!」
「っ、てめえ…ッ」
カッとなった灰崎と私の間に立ったのは、黄瀬君だった。
「本当に悪いんスけど、かがみっち達。この場は収めてくれないっスか。灰崎はオレが責任もって倒すから」
黄瀬君は私達にそう言って、灰崎を振り返る。
「キセキの世代なんて名前にこだわりはない。昔火神っちにそう言ったっスけど、それでもあんたみてーのにホイホイやるほど、安く売ってねーよ。ショウゴ君」
「買わねーよ。言ったろリョータぁ。欲しくなったからよこせっつってるんだよ」
嫌な笑顔を浮かべて、灰崎はそのまま去って行った。
「黄瀬ぇ!負けんじゃねーぞ、絶対!!」
「トーゼンっッス!!」
かがみんと黄瀬君も結構親しそうだ。そういえば、戦ったことがあるとか言ってたっけ。
「それと、赤司っちのとこの…えーと」
「あ、はい!洛山一年水瓶優姫です!黄瀬君、私からもお願い。普段は他校の応援はしないんだけど、今回は本当に、絶対、本気で!!灰崎ボッコボコにして!!」
「…もちろん!腕、ちゃんと冷やすっスよ!それじゃあね、優姫ちゃん!赤司っちによろしくっス!」
「うん!黄瀬君頑張れええええ!!」
ブンブンと右腕を振ってエールを送ったら、黄瀬君が嬉しそうに手を振ってくれた。これからは黄瀬君と灰崎の試合だけど、洛山は戻ってミーティングだから会場で応援できないから、目一杯ここで応援しておくのだ。
黄瀬君も会場に戻っていって、色々落ち着いた頃、安心したらまた腕が痛み出した。
「いってええええ!!あのやろ、本気でぶつけてきた!!」
「おっおい、大丈夫か?!」
「かがみんがいたいのいたいのとんでけーってしてくれたら治る」
「いたいのいたいの?」
「ああ、ごめんね。タイガはアメリカに住んでたから少し疎くて…自己紹介がちゃんと出来てなかったね。オレは氷室辰也。陽泉高校の二年だよ」
「私はこいつらの師匠、アレクサンドラ=ガルシアだ。さっきの啖呵、なかなか良かったぜ!けど、腕は一回病院で診てもらった方がいいかもしれないな」
「ちょ、ちょっと待って。かがみんはアメリカに住んでて、氷室さんはそれを知ってて名前呼びで、アレクサンドラさんは二人の師匠で?!なにそれ…濃い…だがとても良い…おねしょた…」
兄貴様、とても素敵な設定のメンバーと出会いました。これ薄い本が厚くなりそうだよ。アメリカ組最高だよ。そしてかがみんは天使だよ。
ーーーーー
※以下作業中
あの陽泉が、負けた。相手は誠凛だった。
「紫原、途中髪を結んで本気になってたけど、誠凛の火神ってやつがすごくてさ。試合の結果を赤司達にも伝えてくるよ」
「わかりました」
青峰との対決の時から、とても嫌な予感がしていたのだ。かがみんは天使だけど、洛山としてはきっと障害になる。キセキの世代が勢揃いのこの大会で、もしかしたら、最後に洛山の前に立っているのは、誠凛なんじゃないかって、少しだけ思った。
紫原君は、どんな試合をしたんだろう。新しく入った選手は、どんなプレイをしたんだろう。きっと試合の様子を録画してくれているだろうから、今日はこの後ミーティングで見られるはずだ。
でも、なんだろう。なんで、こんなに不安なんだろう。桐皇が負けて、陽泉が負けた。他にも、沢山の学校が勝って、負けている。どうして、こんなにも不安になっているんだろう。洛山は強いし、みんなで一生懸命練習してきたから、私はみんなを信じているのに。
「俺達はこれで引退だが、来年はお前達が新しい一年を引っ張ってここまで連れてくるんだぞ!」
「はいっ!!」
長い廊下の途中、声を震わせながら主将らしき人が泣きじゃくる後輩の肩を叩いていた。見れば、負けた学校がいろんなところで涙ぐんでいる。そうだ、負けたら、三年生はここで終わり。これが最後の試合。わかっていたはずなのに。わかっていた、はずなのに。どうして。
「優姫、陽泉と誠凛の試合を全員で見るからデッキの準備を……優姫?どこだ?」
どうして私は、ここから逃げるように廊下を走っているんだろう。後ろで、赤司の声が聞こえたけど、足は止まらなかった。
会場の外に出て、思い切り息を吐く。外は少し肌寒くて、もう空は真っ暗だ。
「…そっか、私、ちゃんと考えてなかったんだ」
冷静になって、ようやくわかった。私は、この大会がまゆゆの最後の試合になることを理解したつもりでいた。口にだって何度も出していたのに、真剣にその意味を考えてはいなかったのだ。
まゆゆは、これで引退になる。それはつまり、もう三年生が練習に来る必要はないのだ。好きな人は来るだろう。高校を卒業してもバスケを続ける人もきっと来る。けど、まゆゆは?まゆゆは、バスケが好きだと思う。でもそれは、引退してからも同じなんだろうか。まゆゆは、この大会が終わったら引退して、部活にはもう来ないんじゃないんだろうか。考えれば考えるほど、想像は嫌な方向に向かっていく。
もしかしたら、もうまゆゆは、私と会ってくれないんじゃ。
「タツヤッ!!」
私の嫌な想像は、どこからか聞こえた女の人の焦りの含む声によってかき消された。
今のは、階段の上のあの角の方から聞こえた気がする。何かあったんだろうか。
気になった私は少し早足で階段を上って角を曲がる。
そこには、ドレッドヘアーの男に首を掴まれている女の人の姿があった。
「何してんだ!!誰だテメエッ!!」
「何してんの!!その手を離せッ!!」
誰かと声が重なった。女の人を助けないといけないという気持ちでいっぱいだったから、隣に誰かがいるのに気がつかなかった。見れば、隣には怒りを露わにしたかがみんがいた。かがみんも私を一瞬見て驚いていたけど、すぐに男に向き直って怒鳴った。
「今すぐ放せよッ!!」
そうだ、早く女の人を助けないと。そう思ってかがみんと同じように男を睨み付けると、そいつは悪意のある笑みを浮かべた。
「お前、さっきアツシに勝った奴じゃん、見てたぜ…ん?そっちの女は知らねえな…」
「とりあえず、はなせよクソガキ」
低い声で女の人がそう言うと、切れのある蹴りで男を自分から引きはがした。ギリギリで避けた男から距離を取って、女の人は息を整えている。
「大丈夫かアレックス!!テメエッ!!」
「タイガ!やめろ!!」
「タツヤッ!!」
「手を出すな。こんなところで選手が喧嘩なんてしたら、問題になるのはお前だけじゃないぞ!」
そう言ってかがみんを止めたのは、陽泉の新顔。たしか、氷室さんだ。かがみんと氷室さんの様子から、きっと二人は知り合いなんだろうと察したけど、それよりも今はこの頭のおかしいやつにもの申さないと気が済まない。こっちは珍しくセンチメンタルになってたというのに!
「やいお前!!こんな美人に手を出すとか何考えてんだ!!」
「あー?お前、そのジャージ洛山か。赤司のいるとこのマネージャーかよ…めんどくせえ」
「マネージャーじゃないし!!トレーナーだし!!つーかその格好選手じゃないの?!ていうかアツシとか赤司とか、えっ?!知り合いなの?!」
詰め寄ろうとしたその瞬間、バチィッとゴムを叩いたような音が響き渡る。このドレッドヘアーの男が、どこからか飛んできたボールを片手で受け止めた音だった。
「いきなりボールを投げつけるなんて、いーい度胸だな、リョータァ?」
「黄瀬?!」
「どーもっス」
今度はキセキの世代の黄瀬涼太がやってきたではないか。しかも、かがみん同様男を睨んでいる。名前で呼ばれたことを考えると、やはりキセキの世代と知り合いのようだ。
「そいつの名前は灰崎祥吾。帝光でオレが入部する前までスタメンだった奴っス。そして、赤司にバスケ部を強制退部させられた選手っスよ」
黄瀬君が言うには、見ての通りで帝光時代から暴力沙汰が断えず、黄瀬君と入れ替わりで姿を消したという。男、灰崎祥吾は笑う。
「バスケなんてどーでもいい。復讐とかそれらしい理由なんざねえ。けど、オレが辞めてからキセキの世代なんて騒がれただろ?だからお前ら五人のうち一人から、もう一度その座を奪っちまおうと思ってなァ」
ただの暇つぶしだと、嫌な笑い方をした。
「ふと思い出して取り返しに来ただけだ。実際、オレはスタメンだったわけだし、倒せば誰も文句は言わねーだろ?リョータぁ、お前ならなおさらだぜ。なんせお前はオレに一度も勝てないままうやむやに」
「やっかましいわ!!未練ありまくりか!!」
思わず、そう突っ込んでしまった。かがみん含め、全員がぽかんとしてしまっている。灰崎も「え、今オレ遮られた?」って顔をしている。
灰崎が元帝光中だろうとスタメンだったんだろうと、そんなことはどうでもいい。今こいつがしないといけないのは、そんな未練たっぷりの告白をしてもらうことじゃない。
「いいから!!アレックスさんと氷室さんに謝れ!!ここはウィンターカップの会場で、みんなバスケで戦いにきてんだ!!殴り合いがしたかったらさっさとここから出てけッ!!」
「…なんだこいつ。うっぜー。うざすぎてほんとやべーんだけど」
「ッ?!!」
殴ってくると思っていたら、ボールをものすごく力任せに投げつけられた。反射的に左腕を出して守る。やっぱり、顔を狙っていた。なんとか守ったものの、庇った腕の痛みと衝撃で少し吹っ飛ばされた。
「おい水瓶!!」
転んだ私にかがみんとアレックスさんが駆け寄ってきてくれて、氷室さんが私の腕をすぐに見てくれた。赤く腫れているらしい。怖くて見れない。あとめちゃくちゃ痛い。
痛くて顔をしかめる私を見て、黄瀬君がさらに怒りを露わにした。
「アンタ、どこまで最低なんだよ…!」
「知らねーなぁ。オレはお前らと違って、バスケをなんとも思ってねぇからなぁ」
「……赤司の判断は、間違ってなかった」
あ?と灰崎がこちらを見る。私は痛む腕を庇いながら立ち上がって、フッと笑う。所謂、赤司がよくやる私を馬鹿にした時の顔だ。
「バスケ部辞めさせられたの、悔しかったんだろうけど、退部させられて正解だ。バスケをなんとも思ってないやつなんて、キセキの世代の中には一人もいないんだから!!」
「っ、てめえ…ッ」
カッとなった灰崎と私の間に立ったのは、黄瀬君だった。
「本当に悪いんスけど、かがみっち達。この場は収めてくれないっスか。灰崎はオレが責任もって倒すから」
黄瀬君は私達にそう言って、灰崎を振り返る。
「キセキの世代なんて名前にこだわりはない。昔火神っちにそう言ったっスけど、それでもあんたみてーのにホイホイやるほど、安く売ってねーよ。ショウゴ君」
「買わねーよ。言ったろリョータぁ。欲しくなったからよこせっつってるんだよ」
嫌な笑顔を浮かべて、灰崎はそのまま去って行った。
「黄瀬ぇ!負けんじゃねーぞ、絶対!!」
「トーゼンっッス!!」
かがみんと黄瀬君も結構親しそうだ。そういえば、戦ったことがあるとか言ってたっけ。
「それと、赤司っちのとこの…えーと」
「あ、はい!洛山一年水瓶優姫です!黄瀬君、私からもお願い。普段は他校の応援はしないんだけど、今回は本当に、絶対、本気で!!灰崎ボッコボコにして!!」
「…もちろん!腕、ちゃんと冷やすっスよ!それじゃあね、優姫ちゃん!赤司っちによろしくっス!」
「うん!黄瀬君頑張れええええ!!」
ブンブンと右腕を振ってエールを送ったら、黄瀬君が嬉しそうに手を振ってくれた。これからは黄瀬君と灰崎の試合だけど、洛山は戻ってミーティングだから会場で応援できないから、目一杯ここで応援しておくのだ。
黄瀬君も会場に戻っていって、色々落ち着いた頃、安心したらまた腕が痛み出した。
「いってええええ!!あのやろ、本気でぶつけてきた!!」
「おっおい、大丈夫か?!」
「かがみんがいたいのいたいのとんでけーってしてくれたら治る」
「いたいのいたいの?」
「ああ、ごめんね。タイガはアメリカに住んでたから少し疎くて…自己紹介がちゃんと出来てなかったね。オレは氷室辰也。陽泉高校の二年だよ」
「私はこいつらの師匠、アレクサンドラ=ガルシアだ。さっきの啖呵、なかなか良かったぜ!けど、腕は一回病院で診てもらった方がいいかもしれないな」
「ちょ、ちょっと待って。かがみんはアメリカに住んでて、氷室さんはそれを知ってて名前呼びで、アレクサンドラさんは二人の師匠で?!なにそれ…濃い…だがとても良い…おねしょた…」
兄貴様、とても素敵な設定のメンバーと出会いました。これ薄い本が厚くなりそうだよ。アメリカ組最高だよ。そしてかがみんは天使だよ。
ーーーーー
※以下作業中