★番外編
DREAM
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※未来の話
※名前有りモブ
私は、運動が苦手だった。
というよりも、自信がなかったのだ。
名門である洛山高校への入学が決まり、これまで文芸部だった私は、深夜に放送されていたとあるバスケの試合を見た。衝撃を受けた。コートの中で、私と体型のほとんど変わらない女性選手がボールをドリブルする姿、ゴールへと放るシュートモーション。どれもすごく綺麗で、楽しそうで。
やってみたいと思った。今まで運動が苦手で、何をやっても鈍くさいと言われていた私だったけど、バスケをやってみたいと思ったのだ。
だから、洛山高校のバスケ部は強くて厳しい部だと知ってたけど、勇気を出して体験入部に行くことにした。
けれど、行ってみれば予想以上に沢山の人がいて、しかもキセキの世代と呼ばれる男子のファン?の人達で溢れていた。そこを一喝したのが三年の主将さんだった。すごく怖かったけど、それでも残った人達がいた。その中に、彼女はいたのだ。
「…あら、貴女は帰らなかったのね」
「へ?」
ポニーテールの彼女、水瓶優姫さんはキョトンとしていた。主将さんは彼女がその有名な赤司くんに媚びを売っていると思い、すごく怒っていた。けれど、彼女は純粋にバスケをするために来ていたようで、ずっと困惑した顔で主将さんと会話をしていた。
結局主将さんの怒りは収まらず、レギュラーと体験入部に来た私達一年の即席チームで試合をすることになったのだけど、彼女はずっと楽しそうにしていた。
「水瓶さん、バスケしたことある…?」
「おうよ!島津さんは未経験?」
「うん…テレビで試合を見て、やってみたいなって思って体験入部に来たんだけど…運動、自信なくて…足引っ張ったらごめんね…」
「失敗したっていいんだよ!みんな最初から何でもできるわけじゃないしさ」
失敗してもいい、なんて。
初めて言われた。
嬉しかったの。その当たり前の言葉達が、私には特別だったの。
試合が始まって、未経験で鈍くさい私を集中的に狙ってきているのに気付いても、何もできなくて役に立たない自分が嫌で涙が溢れていた時に、水瓶さんがニッと笑ってくれたのが嬉しかった。
「島津さん、スポーツはね、やっぱ楽しんでやるのが一番だと思うんだ」
私がボールを持ったら水瓶さんに渡してほしいと言う。どこにいても、絶対にシュートを決めてみせるからと、笑ってくれた。
だから私は、たった一球でいいから、彼女にボールを届けたかった。だって、水瓶さんが頼ってくれたんだ。誰でも良いからパスを出せば良いとは言わなくて、シュートを決めるからって私に頼ってくれたんだ。そう思ったら、私はあの一瞬、私の精一杯の力で水瓶さんにパスを送れたの。
綺麗だった。
水瓶さんが放ったボールが、私達の上空を通ってリングへと落ちていくのがまるで流れ星のように思えた。
「試合負けたのは悔しいですけど、すごく楽しかったです!ありがとうございました!」
「え、あ…」
「でも、お願いですから、本当にバスケがしたい人達に嫌な思いをさせるようなことは、やめてください」
いや私も本当にバスケしたかった勢ですけどね!と、試合が終わった後水瓶さんが残念そうに頭を掻いていた。それから、私達に敬礼をして体育館を出て行く。自分のせいで、私達が巻き込まれたと思っていたんだよね。だから、場をかき乱した謝罪をして、一人出て行ったんだよね。
あの後、主将さんはすごくつらそうな顔をしてたの、知らないよね。他の先輩も私達に謝ってくれたんだよ。
私はあの後、すぐにバスケ部に入った。それから沢山練習をして、沢山試合をして、こんな私でも主将になったんだよ。主将になった報告をしたとき、すごく喜んでくれたよね。
私がここまで頑張れたのは、深夜に見たバスケの試合じゃないんだよ。
水瓶さんのおかげなんだよ。
あの時、私がパスをしたボールを、あんなにも綺麗にシュートしてくれたから。
あの時、バスケは楽しんでやるものだって教えてくれたから。
「だから、私がこの場で、こうしてお話させていただけるのは、全部彼女のおかげなんです。貴女は、これからも私の太陽です。あの日、当たり前の言葉を特別にしてくれた貴女へ感謝を。ありがとう!私、バスケが大好きです!」
若くして女性プロバスケ選手となる島津さん、これからのご活躍期待しています!とそう言ってMCの女性は拍手をしてくれた。客席から沸き起こる沢山の拍手。私を特集してくれたこの番組を彼女が、水瓶さんが見てくれていたら良いなと思いながら手を振った。
――――とあるマンションの一室。
「名前伏せてあったけど、全部優姫の話だったな」
「ええ、懐かしいですね。……おいオレの服で涙を拭くな」
「だってええええ!!島津さんがそんな風に思ってくれてたなんてええええ!!おめでとおおお島津さんおめでとおおお!!」
「赤司、これ動画にして島津さんに送ってやれよ」
「良いですね。スマホスマホ……」
「やめてええええ!!」
隣のクラスの赤司君から届いた動画に、翌日プロ入りする彼女は心から嬉しそうに微笑んで動画への返信を打ち始めた。
※名前有りモブ
私は、運動が苦手だった。
というよりも、自信がなかったのだ。
名門である洛山高校への入学が決まり、これまで文芸部だった私は、深夜に放送されていたとあるバスケの試合を見た。衝撃を受けた。コートの中で、私と体型のほとんど変わらない女性選手がボールをドリブルする姿、ゴールへと放るシュートモーション。どれもすごく綺麗で、楽しそうで。
やってみたいと思った。今まで運動が苦手で、何をやっても鈍くさいと言われていた私だったけど、バスケをやってみたいと思ったのだ。
だから、洛山高校のバスケ部は強くて厳しい部だと知ってたけど、勇気を出して体験入部に行くことにした。
けれど、行ってみれば予想以上に沢山の人がいて、しかもキセキの世代と呼ばれる男子のファン?の人達で溢れていた。そこを一喝したのが三年の主将さんだった。すごく怖かったけど、それでも残った人達がいた。その中に、彼女はいたのだ。
「…あら、貴女は帰らなかったのね」
「へ?」
ポニーテールの彼女、水瓶優姫さんはキョトンとしていた。主将さんは彼女がその有名な赤司くんに媚びを売っていると思い、すごく怒っていた。けれど、彼女は純粋にバスケをするために来ていたようで、ずっと困惑した顔で主将さんと会話をしていた。
結局主将さんの怒りは収まらず、レギュラーと体験入部に来た私達一年の即席チームで試合をすることになったのだけど、彼女はずっと楽しそうにしていた。
「水瓶さん、バスケしたことある…?」
「おうよ!島津さんは未経験?」
「うん…テレビで試合を見て、やってみたいなって思って体験入部に来たんだけど…運動、自信なくて…足引っ張ったらごめんね…」
「失敗したっていいんだよ!みんな最初から何でもできるわけじゃないしさ」
失敗してもいい、なんて。
初めて言われた。
嬉しかったの。その当たり前の言葉達が、私には特別だったの。
試合が始まって、未経験で鈍くさい私を集中的に狙ってきているのに気付いても、何もできなくて役に立たない自分が嫌で涙が溢れていた時に、水瓶さんがニッと笑ってくれたのが嬉しかった。
「島津さん、スポーツはね、やっぱ楽しんでやるのが一番だと思うんだ」
私がボールを持ったら水瓶さんに渡してほしいと言う。どこにいても、絶対にシュートを決めてみせるからと、笑ってくれた。
だから私は、たった一球でいいから、彼女にボールを届けたかった。だって、水瓶さんが頼ってくれたんだ。誰でも良いからパスを出せば良いとは言わなくて、シュートを決めるからって私に頼ってくれたんだ。そう思ったら、私はあの一瞬、私の精一杯の力で水瓶さんにパスを送れたの。
綺麗だった。
水瓶さんが放ったボールが、私達の上空を通ってリングへと落ちていくのがまるで流れ星のように思えた。
「試合負けたのは悔しいですけど、すごく楽しかったです!ありがとうございました!」
「え、あ…」
「でも、お願いですから、本当にバスケがしたい人達に嫌な思いをさせるようなことは、やめてください」
いや私も本当にバスケしたかった勢ですけどね!と、試合が終わった後水瓶さんが残念そうに頭を掻いていた。それから、私達に敬礼をして体育館を出て行く。自分のせいで、私達が巻き込まれたと思っていたんだよね。だから、場をかき乱した謝罪をして、一人出て行ったんだよね。
あの後、主将さんはすごくつらそうな顔をしてたの、知らないよね。他の先輩も私達に謝ってくれたんだよ。
私はあの後、すぐにバスケ部に入った。それから沢山練習をして、沢山試合をして、こんな私でも主将になったんだよ。主将になった報告をしたとき、すごく喜んでくれたよね。
私がここまで頑張れたのは、深夜に見たバスケの試合じゃないんだよ。
水瓶さんのおかげなんだよ。
あの時、私がパスをしたボールを、あんなにも綺麗にシュートしてくれたから。
あの時、バスケは楽しんでやるものだって教えてくれたから。
「だから、私がこの場で、こうしてお話させていただけるのは、全部彼女のおかげなんです。貴女は、これからも私の太陽です。あの日、当たり前の言葉を特別にしてくれた貴女へ感謝を。ありがとう!私、バスケが大好きです!」
若くして女性プロバスケ選手となる島津さん、これからのご活躍期待しています!とそう言ってMCの女性は拍手をしてくれた。客席から沸き起こる沢山の拍手。私を特集してくれたこの番組を彼女が、水瓶さんが見てくれていたら良いなと思いながら手を振った。
――――とあるマンションの一室。
「名前伏せてあったけど、全部優姫の話だったな」
「ええ、懐かしいですね。……おいオレの服で涙を拭くな」
「だってええええ!!島津さんがそんな風に思ってくれてたなんてええええ!!おめでとおおお島津さんおめでとおおお!!」
「赤司、これ動画にして島津さんに送ってやれよ」
「良いですね。スマホスマホ……」
「やめてええええ!!」
隣のクラスの赤司君から届いた動画に、翌日プロ入りする彼女は心から嬉しそうに微笑んで動画への返信を打ち始めた。