影法師にラブコール!(krk)※抜け番あり
DREAM
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「水瓶さん、もしかして赤司君と喧嘩した…?」
冬休みも明け、早々に行われた実力テストも後日返された。全教科80点越えを成し遂げた私はそのまま教壇でガッツポーズを決め、先生に「やかましい」と叩かれたりしたが、赤司の言う泣いて喚いて許しを請うくらいの罰則を免れたことが嬉しすぎて気にならなかった。
放課後、部活へ向かう前にもう一度うへへ、と返ってきたテストを眺めていたら、クラスメイトの竹中さんにおそるおそるといった風に冒頭の台詞を投げかけられた。
はて、なんのことなのか。首を傾げると、きょろきょろと周囲を見回してから、小さな声で答えてくれた。
「だってね、休みに入る前は水瓶さんのこと名前で呼んでたでしょ?なのに、さっき苗字で呼んでたから…」
「色恋沙汰の気配を感じた!なになに、優姫とうとう赤司君に愛想尽かされた?!」
「恋愛勇者の石川っち!!」
「誰が万年フラレ女だ!!」
「そこまで言ってないよ?!ていうか美人の石川っち振るやついんの?!」
「いんのよ!!マジふざけんじゃないわよ!!」
「二人とも話逸れてるから」
「「あっはい」」
竹中さんにスパンっと突っ込まれたので茶番はこの辺でやめておいた。とはいえ、赤司と喧嘩したかどうかと聞かれても、答えはノーだ。とくに喧嘩はしてないし、なんなら初詣だってこの間一緒に行ったばっかりだし。
ああ、そうか。私の中で、赤司は二人いるから呼び名について何の違和感も覚えなかったんだ。魔王の赤司は途中から私のことを名前で呼んでいたけど、王様赤司の方は私含め、全員のことを苗字で呼んでいる。それはキセキの世代であっても同じだった。だから、多分そういうものだと思っていた。ていうかそういうものだと思うし。
それに、呼ばれ方が変わっても、何も変わらない。
「赤司は大切な友達だから、呼ばれ方なんて何でも良いよ」
さすがにゴミくずとかは勘弁して欲しいけども。いやさすがにそこまで酷い呼ばれ方されたことはな…い…はず…あれ、なによね?なんか不安になってきたぞ。
今までのことを思い返していたら、竹中さんと石川っちに盛大に溜息を吐かれてしまった。
「そういう大事なことは私達じゃなくて本人に言ってあげなさいよ」
「いやこれ本人に言う方がはずくない?!いよいよゴミ扱いされない?!」
「今まで何だったっけ?」
「あー、たしか男子から聞いた話によると珍獣…」
「私男子に珍獣扱いされてたの?!」
放課後の部活。いつもの時間。なのにちょっぴりさみしく感じるのは、まゆゆを含めた三年生がいないからだ。
ウィンターカップ後、三年生は引退となり、引退式ももう終えたばかりだ。まゆゆがサボる気満々だったからみんなで引きずってでも連れて行くぞと一致団結して追いかけ回したのも良い思い出だ。。
けど、いつものウォーミングアップも、まゆゆがいなくてさみしい。
「優姫ー?」
「あっすみませんっ!ボールいきます!」
つい考え事をして手を止めてしまっていた。ペアを組んだ葉山先輩が私がパスを出すのを待っていて、慌てて投げる。受け止めながら、葉山先輩はにまーっと意地悪な笑みを浮かべた。
「黛サン恋しがるの早すぎっしょー。お昼一緒じゃねーの?」
「うぐっ…一緒に食べてますけど、最近まゆゆ、ちょっとよそよそしいというか…受験忙しいんですかね…」
「え?たしか推薦決まったって言ってたわよ?」
「え?」
隣で根武谷先輩とペアを組んでアップをしていた実渕先輩が話しに入ってきたのだけど、新情報だったために驚いてぴたりと身体の動きを止めてしまった。
「東京の大学って言ってたかしら…あら?もしかして優姫ちゃん、聞いてなかった…?」
「き、ききき、聞いてないです!!えっまゆゆが東京に?!東京デビュー?!わけあってアイドルに?!」
「なるか馬鹿」
「ふぎゃおう?!」
スッと背後から手が出てきて、私の肩を掴んだ。尻尾を踏まれた猫のような声が出てしまい、体育館中に響き渡るも「ああ、また優姫が騒いでんのか…」みたいな顔で一瞥されただけに終わった。解せぬ。
ていうか、この手とこの声の主はもしや。
「やっぱりまゆゆ?!どしたの?!バスケする?!」
「落ち着け。たまたま通りがかっただけだ。…そしたらオレの進学先の話が聞こえたからな。おい実渕、優姫少し借りると赤司に伝えておいてくれ」
「え、ええ…早めに返してちょうだいね…?」
ん?ん?私まゆゆに借りられるんです?
疑問符をこれでもかってくらい飛ばすも、まゆゆはいつものクールフェイスでそれを全てはね除けて私の腕を引いて体育館を出て行くのだった。
「大学の話は事実だ。オレは、東京の大学に進学する」
足を止めたのは、学校の学習棟と実習棟を繋ぐ通路の途中にあるベンチの前。お昼ご飯をここで食べている生徒も多い。とりあえず座ると、正面に立ったままのまゆゆはそう言った。
「そっか…まゆゆ、東京行っちゃうんだね」
「…ああ」
「ねえ、まゆゆ…あのさ、あのね、私ね」
何を、言おうとしているのか。でも、何か言わなきゃ。これからまゆゆは引っ越しの準備とか忙しいだろうし、こうやって一緒に過ごす時間もどんどん減っていって、あっという間に遠いところへ行ってしまうのだから、何か言わないと。でも、何を言えばいいんだろう。私は、まゆゆに何を伝えそびれているのだろう。
まゆゆと友達になりたい。友達になれた。一緒にいたい。終わりになんかしてやらないって言ってくれた。まゆゆ、好き。大好きだよ。
もうこれは、なんて感情なのかわからない。けど、はっきりと言えることはある。
「絶対連絡するし、遊びに行く!!」
「声でけえよ」
「遊びに行くときは泊まるからね!!徹夜でパーティーだからね!!それから連絡だって沢山する!まゆゆが嫌がってもブロックされるまではやめないから!!いやブロックされると困るけど!!電話だってする!!クリスマスとかバレンタインとか、あっ初詣も!!イベントもまゆゆと一緒に、いっしょ、に……」
「…おい」
膝の上においた手をぎゅっと握りしめる。ぽたりと落ちていく涙を堪えようとも、一度落ちてしまえば止めることもできず。
さみしい。
伝えていない言葉は、私の我が儘な感情だけだった。
まゆゆがいないと、さみしいんだ。私の始まりは、まゆゆだったから。校門を越えた先で、まゆゆとぶつかって、出会って、全てが始まったから。
「まゆゆがいないと、さみしいよ…」
俯く私の頭上で、まゆゆが息を詰める音が聞こえた。それから、大きな溜息を吐いて、いつものようにポフ、と頭を撫でられる。
「相変わらず、面と向かってむず痒いこと言いやがって」
「だって…」
「別に、会えなくなるわけじゃねえだろ。会おうと思えばいくらでも会えるし、お前も…卒業したら東京に来れば良い」
「まゆゆとルームシェア…」
「いやしねえけど」
「ムキーッ!!絶対!まゆゆとルームシェアする!!」
立ち上がって主張したら、まゆゆは私の顔を見てブハッと噴き出してそのまま笑い出した。ここ笑う場面じゃないんですけど!
「じゃあ、やっぱり東京に来るしかねえな」
そうやって笑うから。そんな優しい笑顔で、私のことを見てくれるから。名前を呼んでくれるから。私は胸が痛いんだ。破裂してしまいそうなくらい、心臓がうるさいんだよ。この感情に名前をつけるのは、もう少し先でもいいかな。だって、名前がついたらきっと、私は……。
「うわあっ?!」
「きゃあっ?!」
「うおっ?!」
「おっと」
ドサドサっと、何かが倒れる音と声がして、まゆゆと二人で振り向けばそこには赤司達がいた。といっても、ドミノ倒しのように倒れているのは下から根武谷先輩、実渕先輩、一番上に葉山先輩が乗っている。赤司はそのそばで普通に立っていた。ていうか、これはもしかして。
「盗み聞きしてましたね?!」
「いや、その、だって、これはもう言っちゃうとしか…うわ黛さん目こわっ!!」
「ていうか言いなさいよ!!相変わらずへたれなんだから!!」
「つーかお前らそろそろ退けよ!!」
「で、二人とも話は終わったかい?そろそろ部活を始めたいんだが?」
赤司に言われて、そういえば部活の時間だったことを思い出した。まゆゆが葉山先輩に謎の一撃を頭に食らわせていたので、その腕を掴んでにんまり笑う。まゆゆが「げ」と嫌そうな声を漏らした。
「推薦決まってるまゆゆは、今空いてるよね?!」
「引っ越しの準備が」
「そういやさっきひぐっさんが今日暇だから貸してくれって言われたDVD持ってきたって、黛サンのこと探してたよ!」
「葉山殺す」
「なんで?!」
うへへーっとまゆゆの腕を引いて体育館に向かう。私に引きずられながら、まゆゆがしょうがねえなって後ろで笑ってる気配がした。そんなまゆゆに向けて、私は決めたことをもう一度伝えるのだ。
「卒業したら、絶対にルームシェアするんだからね、まゆゆ!それまでさみしいけど、たくさん連絡するし、電話するし、遊びに行くから!まゆゆが嫌がったって、絶対に終わりになんかしてやらないんだからね!」
「それオレの台詞だろ。…まあ、オレもなるべく早く覚悟決めるから待ってろ」
「へ?何の話?」
「こっちの話だ」
よくわからないけど、とりあえず。
「まゆゆ、バスケしよーよ!」
冬休みも明け、早々に行われた実力テストも後日返された。全教科80点越えを成し遂げた私はそのまま教壇でガッツポーズを決め、先生に「やかましい」と叩かれたりしたが、赤司の言う泣いて喚いて許しを請うくらいの罰則を免れたことが嬉しすぎて気にならなかった。
放課後、部活へ向かう前にもう一度うへへ、と返ってきたテストを眺めていたら、クラスメイトの竹中さんにおそるおそるといった風に冒頭の台詞を投げかけられた。
はて、なんのことなのか。首を傾げると、きょろきょろと周囲を見回してから、小さな声で答えてくれた。
「だってね、休みに入る前は水瓶さんのこと名前で呼んでたでしょ?なのに、さっき苗字で呼んでたから…」
「色恋沙汰の気配を感じた!なになに、優姫とうとう赤司君に愛想尽かされた?!」
「恋愛勇者の石川っち!!」
「誰が万年フラレ女だ!!」
「そこまで言ってないよ?!ていうか美人の石川っち振るやついんの?!」
「いんのよ!!マジふざけんじゃないわよ!!」
「二人とも話逸れてるから」
「「あっはい」」
竹中さんにスパンっと突っ込まれたので茶番はこの辺でやめておいた。とはいえ、赤司と喧嘩したかどうかと聞かれても、答えはノーだ。とくに喧嘩はしてないし、なんなら初詣だってこの間一緒に行ったばっかりだし。
ああ、そうか。私の中で、赤司は二人いるから呼び名について何の違和感も覚えなかったんだ。魔王の赤司は途中から私のことを名前で呼んでいたけど、王様赤司の方は私含め、全員のことを苗字で呼んでいる。それはキセキの世代であっても同じだった。だから、多分そういうものだと思っていた。ていうかそういうものだと思うし。
それに、呼ばれ方が変わっても、何も変わらない。
「赤司は大切な友達だから、呼ばれ方なんて何でも良いよ」
さすがにゴミくずとかは勘弁して欲しいけども。いやさすがにそこまで酷い呼ばれ方されたことはな…い…はず…あれ、なによね?なんか不安になってきたぞ。
今までのことを思い返していたら、竹中さんと石川っちに盛大に溜息を吐かれてしまった。
「そういう大事なことは私達じゃなくて本人に言ってあげなさいよ」
「いやこれ本人に言う方がはずくない?!いよいよゴミ扱いされない?!」
「今まで何だったっけ?」
「あー、たしか男子から聞いた話によると珍獣…」
「私男子に珍獣扱いされてたの?!」
放課後の部活。いつもの時間。なのにちょっぴりさみしく感じるのは、まゆゆを含めた三年生がいないからだ。
ウィンターカップ後、三年生は引退となり、引退式ももう終えたばかりだ。まゆゆがサボる気満々だったからみんなで引きずってでも連れて行くぞと一致団結して追いかけ回したのも良い思い出だ。。
けど、いつものウォーミングアップも、まゆゆがいなくてさみしい。
「優姫ー?」
「あっすみませんっ!ボールいきます!」
つい考え事をして手を止めてしまっていた。ペアを組んだ葉山先輩が私がパスを出すのを待っていて、慌てて投げる。受け止めながら、葉山先輩はにまーっと意地悪な笑みを浮かべた。
「黛サン恋しがるの早すぎっしょー。お昼一緒じゃねーの?」
「うぐっ…一緒に食べてますけど、最近まゆゆ、ちょっとよそよそしいというか…受験忙しいんですかね…」
「え?たしか推薦決まったって言ってたわよ?」
「え?」
隣で根武谷先輩とペアを組んでアップをしていた実渕先輩が話しに入ってきたのだけど、新情報だったために驚いてぴたりと身体の動きを止めてしまった。
「東京の大学って言ってたかしら…あら?もしかして優姫ちゃん、聞いてなかった…?」
「き、ききき、聞いてないです!!えっまゆゆが東京に?!東京デビュー?!わけあってアイドルに?!」
「なるか馬鹿」
「ふぎゃおう?!」
スッと背後から手が出てきて、私の肩を掴んだ。尻尾を踏まれた猫のような声が出てしまい、体育館中に響き渡るも「ああ、また優姫が騒いでんのか…」みたいな顔で一瞥されただけに終わった。解せぬ。
ていうか、この手とこの声の主はもしや。
「やっぱりまゆゆ?!どしたの?!バスケする?!」
「落ち着け。たまたま通りがかっただけだ。…そしたらオレの進学先の話が聞こえたからな。おい実渕、優姫少し借りると赤司に伝えておいてくれ」
「え、ええ…早めに返してちょうだいね…?」
ん?ん?私まゆゆに借りられるんです?
疑問符をこれでもかってくらい飛ばすも、まゆゆはいつものクールフェイスでそれを全てはね除けて私の腕を引いて体育館を出て行くのだった。
「大学の話は事実だ。オレは、東京の大学に進学する」
足を止めたのは、学校の学習棟と実習棟を繋ぐ通路の途中にあるベンチの前。お昼ご飯をここで食べている生徒も多い。とりあえず座ると、正面に立ったままのまゆゆはそう言った。
「そっか…まゆゆ、東京行っちゃうんだね」
「…ああ」
「ねえ、まゆゆ…あのさ、あのね、私ね」
何を、言おうとしているのか。でも、何か言わなきゃ。これからまゆゆは引っ越しの準備とか忙しいだろうし、こうやって一緒に過ごす時間もどんどん減っていって、あっという間に遠いところへ行ってしまうのだから、何か言わないと。でも、何を言えばいいんだろう。私は、まゆゆに何を伝えそびれているのだろう。
まゆゆと友達になりたい。友達になれた。一緒にいたい。終わりになんかしてやらないって言ってくれた。まゆゆ、好き。大好きだよ。
もうこれは、なんて感情なのかわからない。けど、はっきりと言えることはある。
「絶対連絡するし、遊びに行く!!」
「声でけえよ」
「遊びに行くときは泊まるからね!!徹夜でパーティーだからね!!それから連絡だって沢山する!まゆゆが嫌がってもブロックされるまではやめないから!!いやブロックされると困るけど!!電話だってする!!クリスマスとかバレンタインとか、あっ初詣も!!イベントもまゆゆと一緒に、いっしょ、に……」
「…おい」
膝の上においた手をぎゅっと握りしめる。ぽたりと落ちていく涙を堪えようとも、一度落ちてしまえば止めることもできず。
さみしい。
伝えていない言葉は、私の我が儘な感情だけだった。
まゆゆがいないと、さみしいんだ。私の始まりは、まゆゆだったから。校門を越えた先で、まゆゆとぶつかって、出会って、全てが始まったから。
「まゆゆがいないと、さみしいよ…」
俯く私の頭上で、まゆゆが息を詰める音が聞こえた。それから、大きな溜息を吐いて、いつものようにポフ、と頭を撫でられる。
「相変わらず、面と向かってむず痒いこと言いやがって」
「だって…」
「別に、会えなくなるわけじゃねえだろ。会おうと思えばいくらでも会えるし、お前も…卒業したら東京に来れば良い」
「まゆゆとルームシェア…」
「いやしねえけど」
「ムキーッ!!絶対!まゆゆとルームシェアする!!」
立ち上がって主張したら、まゆゆは私の顔を見てブハッと噴き出してそのまま笑い出した。ここ笑う場面じゃないんですけど!
「じゃあ、やっぱり東京に来るしかねえな」
そうやって笑うから。そんな優しい笑顔で、私のことを見てくれるから。名前を呼んでくれるから。私は胸が痛いんだ。破裂してしまいそうなくらい、心臓がうるさいんだよ。この感情に名前をつけるのは、もう少し先でもいいかな。だって、名前がついたらきっと、私は……。
「うわあっ?!」
「きゃあっ?!」
「うおっ?!」
「おっと」
ドサドサっと、何かが倒れる音と声がして、まゆゆと二人で振り向けばそこには赤司達がいた。といっても、ドミノ倒しのように倒れているのは下から根武谷先輩、実渕先輩、一番上に葉山先輩が乗っている。赤司はそのそばで普通に立っていた。ていうか、これはもしかして。
「盗み聞きしてましたね?!」
「いや、その、だって、これはもう言っちゃうとしか…うわ黛さん目こわっ!!」
「ていうか言いなさいよ!!相変わらずへたれなんだから!!」
「つーかお前らそろそろ退けよ!!」
「で、二人とも話は終わったかい?そろそろ部活を始めたいんだが?」
赤司に言われて、そういえば部活の時間だったことを思い出した。まゆゆが葉山先輩に謎の一撃を頭に食らわせていたので、その腕を掴んでにんまり笑う。まゆゆが「げ」と嫌そうな声を漏らした。
「推薦決まってるまゆゆは、今空いてるよね?!」
「引っ越しの準備が」
「そういやさっきひぐっさんが今日暇だから貸してくれって言われたDVD持ってきたって、黛サンのこと探してたよ!」
「葉山殺す」
「なんで?!」
うへへーっとまゆゆの腕を引いて体育館に向かう。私に引きずられながら、まゆゆがしょうがねえなって後ろで笑ってる気配がした。そんなまゆゆに向けて、私は決めたことをもう一度伝えるのだ。
「卒業したら、絶対にルームシェアするんだからね、まゆゆ!それまでさみしいけど、たくさん連絡するし、電話するし、遊びに行くから!まゆゆが嫌がったって、絶対に終わりになんかしてやらないんだからね!」
「それオレの台詞だろ。…まあ、オレもなるべく早く覚悟決めるから待ってろ」
「へ?何の話?」
「こっちの話だ」
よくわからないけど、とりあえず。
「まゆゆ、バスケしよーよ!」
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