影法師にラブコール!(krk)※抜け番あり
DREAM
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「私さ、首をこう、キュッと締められるのに若干慣れてきた感あるんだけど」
「それ慣れちゃダメなやつだな」
各自今日は他校の試合を観戦するなり、明日の試合に向けてスキルアップの仕上げをしておくなど自由にするように監督に言われて、私はまゆゆと他校の一回戦を見て回っていた。
「それにしても黄瀬君マジイケメンだったね!!ダンクもかっこよかったー!!イケモデル最高ッスわ!!」
「ふーん」
「モデル黄瀬君×御曹司赤司の妄想が滾るね!!」
「それ赤司に言うなよ。試合前に血を見る羽目になるぞ」
海常の試合はすごくテンションの上がるもので、興奮しっぱなしだった。キセキの世代の黄瀬涼太。赤司曰く相手のコピーが武器で、その精度の高さは目を見張るものがあるという。一回戦ではそのコピー能力を見ることができなかったけど、二回戦を観戦できれば見られるだろうか。
さて、次はどこを見に行こうか、とトーナメント表を開く。キセキの世代は見ておきたいよなーと思いながら試合中の学校を確認していたら、ふと桐皇学園の名前が目に入った。
って、桐皇!この時間だと、多分もう後半戦に入ってる!
「まゆゆ!」
「桐皇だろ」
「!!まゆゆが…心を読んできた…サトリのまゆゆ…!」
「お前がわかりやすいだけだ」
呆れたような顔で、まゆゆが笑う。最近、おかしい。まゆゆが笑うと、胸が締め付けられて、顔が熱くなる。もしや、これが。
萌え?!私まゆゆに萌え萌えきゅんきゅんしているのか?!
いやでも、と悶々としていたら、まゆゆが覗き込んできた。
「おい、顔が赤いけどどうした?」
「ふぎゃおう?!なっ、なんでもないよ!早く桐皇観に行こっ!DVDでしか観たことない青峰の野獣プレイ生で観るんだっ!!」
後ろでまゆゆがいつものやれやれをしているんだろうけど、今は早くこの熱を発散させるべく桐皇の試合している会場へと急いだ。
それは、とても異様な光景だった。異様というのは適さない言葉かもしれない。けれど、理解ができなかった。
ゾーンというものを、赤司から聞いたことがある。
練習に練習を重ねた者だけがその扉の前に立つことを許され、それでもなお気まぐれしか開くことはない、選ばれた者のみ入れる究極の領域。余計な思考感情が全てなくなり、極限の集中状態だという。
その領域に、青峰は自分の意志で入った。天才的才能をもって、その扉をいとも容易くこじあけたのだ。青峰の、本当の姿。
「青峰、ほんとに天才だったんだ…」
「そうだ。キセキの世代の中で、間違いなく大輝は最強だ」
「ふぎゃおう?!」
「お前の悲鳴でシリアスが一気にシリアルになったな」
思わず見入っていた私の横に、いつ来たのか赤司がいて、私の独り言に返事をしてきたから驚いて悲鳴を上げてしまった。まゆゆから呆れたようなツッコミをいただきつつ、マジで?と赤司を見る。
「大輝の本当の姿を見るのは僕も初めてだが、あの大輝に勝てるのはもはやキセキの世代くらいだろう」
「もうなんなのキセキの世代…ってあ!かがみんだ!かがみん、ほんとに試合出てたんだ!」
「かがみんって誰だよ」
「今大輝と一対一をしている誠凛の十番、火神大我のことだよ」
「…ふーん…。で、なんで愛称で呼んでんの」
「へ?えっと、朝会場まで道案内?してもらって、その時のかがみんほんと天使でね…かがみんマジ天使…そういえば赤司にぶっ倒すって伝えてくれって言われてたの今思い出した」
「へえ…。返り討ちにするのが楽しみになったね。まあ、それもこの試合を勝つことができなければそんな機会はないだろうけど」
それもそうだ。今の青峰を止められるのは、キセキの世代だというのなら、誠凛に勝ち目はない。けど、何だろう。誠凛は諦めてないし、必死に立ち向かっている。かがみんも、青峰に追いついて。…追いついて?
ハッと気がついた時には、青峰のボールはかがみんの手によって弾かれ、コートの外へと転がっていった。ゾーン状態の青峰から、ボールを奪った。それは、つまり。
「火神、ゾーンに入ったのか」
「そうみたいだね。まさか誠凛に火神大我のような選手がいるとは思っていなかった。やはり、この初戦観戦にきて正解だった」
まゆゆと赤司が、少し昂ぶったように会話をしている。かくいう私もそうだ。まさか、これほどとは思わなかった。たしかにかがみんは強いだろうと思ったが、青峰と戦えるなんて思ってもみなかったのだ。そういえば、かがみんは言っていた。青峰に、一度負けたことがある、と。勝つために、努力をしたんだ。たくさん、たくさん、きっと想像もつかないくらい、たくさんの練習をして、仲間と共にリベンジするためにここまでやってきたんだ。
二人のゾーン対決は高次元で、どちらのチームも手を出すことができないでいた。一体どのくらいの時間が経ったのか。それは、突然終わりを告げる。
かがみんが青峰を抜き点を入れ、そして青峰の攻めを止めた。隣でまゆゆが「時間制限があるんだな」と呟く。なるほど、青峰の方が先に限界がきてしまったのか。いや、きっとかがみんも、だろうけども。
「かがみんも青峰も、楽しそうだね」
「お前にはあの駆け引きが楽しそう、ですむのか」
「いやだって、お互い一歩も引かない攻防戦って、めちゃくちゃ楽しくない?!青峰もさ、なんかつまらなさそうだった印象なのに、今はすごく必死に戦ってるし」
そうか。兄貴が青峰を気にかける理由が今やっとわかった。きっと、放っておけなかったんだね。孤独になりたいわけじゃないのに、バスケを楽しみたいだけなのに、強すぎた青峰は高いところに登りすぎて、一人になりかけていた。だから兄貴は、心配だったんだね。どうせこの会場まで応援に来ているだろう兄貴は、桐皇が接戦中だけど、多分喜んでるよね。
青峰、全然一人じゃないよ、兄貴。さつきちゃんだっているし、キセキの世代だっているし、それにほら、かがみんがいるんだよ。ライバルがいるって、本当にすてきなことだ。
「もちのろんで、青火だね!!」
「誰も聞いてねえよ」
まゆゆに頭を叩かれた!シリアルにしてごめんなさい!!
と、コートを見ると、審判が何か言っている。桐皇がプッシングで、誠凛にワンスローが与えられた。点数を見ると、九十九対百。ということは。
「これ決めたら誠凛は延長戦に持ち込めるってこと?!
「いや、ここで延長戦は有り得ない。誠凛は新設校故に、控えの戦力が低い。延長戦になればもはや勝ち目はなくなる」
「つーことは、やることは一つか」
「そう、フリースローをわざと外し、リバウンドを取り点を入れる。ここで全てが決まるというわけだ」
しん、と静まりかえる会場。誠凛の七番の選手が、ボールを投げた。
「外した!!」
赤司の言った通りボールは外れ、それを待っていたかのように全員が全力で飛んだ。取ったのは、かがみんだ。掴んだボールをリングに入れる間際、青峰の手がボールを弾いた。コートの真ん中へと転がっていくボール。桐皇の勝ちが決まった、誰もがそう思った。
けど、誰よりも早くボールを追いかけて走る誠凛の選手がいた。
誠凛の十一番。小柄で、儚げな印象の選手。あれは、黒子君だ。まゆゆのプレイスタイルの元となった、キセキの世代と共に戦ってた幻のシックスマン、黒子テツヤ。
黒子君の弾丸のようなパスで、ボールはあっという間にリングまで飛んだ。両チームのエースが飛び、そして。
勝ったのは、かがみんだった。黒子君のボールを受け取り、青峰を越えてボールがリングに叩きこまれたと同時に試合終了の笛が鳴る。
誠凛の勝利だ。大歓声の中、コートの中でかがみんが黒子君を支えていて、青峰と何か話しているのが見えた。
挨拶までを見届けて、私達は会場を出た。
「かがみん、すごかったね。それに黒子君のパスもめちゃくちゃ早かった」
「アレもやれなんて言わねーよな、赤司」
「まさか。やれるならやっても構わないが、アレはテツヤのプレイスタイルだろう。元にしたとはいえ、テツヤはテツヤ、千尋は千尋だ。千尋のまま、プレイしてくれたらいいよ」
「「えっ」」
まさかの赤司のデレ。希少価値の高いデレに驚いてまゆゆと二人、足を止めたら、その反応がご不満なのか、にこりと目の笑っていない笑みを向けられた。怖い。
「何か言いたいことでも?」
「「ございません」」
外はもう真っ暗で、星が見えている。今日最後に見た試合にテンション上がりすぎて、もう早く明日の試合にならないかワクワクして興奮冷めやらぬ、だ。
「なんで試合出ないお前が興奮してんだよ」
「はっ!!そういえば私出れないんだった!!」
「いや忘れるかフツー。…少しなら付き合ってやる」
「え?」
ポフッと、頭に手が乗せられる。それからしょうがないなって笑いながら、ポフポフとされる。
「バスケ。うちで借りてる調整用体育館なら、多少遅くなっても使えるからな」
「!!うんっ!!やろうやろう!!」
「全く…いつの間に千尋は優姫菌に感染してたんだい?」
「ふぎゃおう?!優姫菌って何?!」
まゆゆにポフポフされて幸せな気持ちに浸っていたら、突然の赤司!!ていうか、一瞬とはいえ赤司のこと忘れてた…。ていうか優姫菌ってなんぞ!
赤司は携帯を弄りながら、「脳天気ってことだよ」と言ってきた。誰が脳天気か。
「まあ、今日は僕も感染してやろう。ついでにあと三人も電波感染したようだよ」
「電波感染って何?!ウイルスなの私?!あっ実渕先輩から連絡きてる。三人とも体育館いるから早くおいでって!」」
「結局いつもの練習になるわけか」
「おや、千尋は二人きりが良かったのかな?」
「その意地の悪い顔やめろ。一対五にするぞ」
「それでも負ける気は全くしないが、今は優姫菌に感染しているからね。やるなら三対三がいいな。千尋もそうだろう?」
「…優姫菌のせいでな」
「さっきから優姫菌優姫菌って言い過ぎじゃない?!私そんな毒素撒いてる?!あっちょっ、二人して噴き出してなんなのさーっ!!」
何故か笑っている二人はさっさと先に行ってしまう。ちょっと!いつ黛赤会話してたんですか!私聞いてませんけど!!
調整用体育館に行けばもう実渕先輩達がバスケをしていて、そのまま三対三で練習をした。ほどよく疲れた後は、根武谷先輩おすすめの牛丼屋に行って、あの完璧超人とも思える赤司が実は紅ショウガが苦手なことを知るのだった。
「紅ショウガ苦手とか…なにそれ赤司可愛い…もがふっ!!」
「征ちゃん優姫ちゃんの口の中に紅ショウガ突っ込まないであげて!!」
「黛サン!あれ”あーん”じゃない?!”あーん”を赤司が優姫にしてあげてもがふっ!!」
「黛サンも小太郎の口の中に紅ショウガ突っ込まないで?!」
「牛丼やっぱうめー」
「それ慣れちゃダメなやつだな」
各自今日は他校の試合を観戦するなり、明日の試合に向けてスキルアップの仕上げをしておくなど自由にするように監督に言われて、私はまゆゆと他校の一回戦を見て回っていた。
「それにしても黄瀬君マジイケメンだったね!!ダンクもかっこよかったー!!イケモデル最高ッスわ!!」
「ふーん」
「モデル黄瀬君×御曹司赤司の妄想が滾るね!!」
「それ赤司に言うなよ。試合前に血を見る羽目になるぞ」
海常の試合はすごくテンションの上がるもので、興奮しっぱなしだった。キセキの世代の黄瀬涼太。赤司曰く相手のコピーが武器で、その精度の高さは目を見張るものがあるという。一回戦ではそのコピー能力を見ることができなかったけど、二回戦を観戦できれば見られるだろうか。
さて、次はどこを見に行こうか、とトーナメント表を開く。キセキの世代は見ておきたいよなーと思いながら試合中の学校を確認していたら、ふと桐皇学園の名前が目に入った。
って、桐皇!この時間だと、多分もう後半戦に入ってる!
「まゆゆ!」
「桐皇だろ」
「!!まゆゆが…心を読んできた…サトリのまゆゆ…!」
「お前がわかりやすいだけだ」
呆れたような顔で、まゆゆが笑う。最近、おかしい。まゆゆが笑うと、胸が締め付けられて、顔が熱くなる。もしや、これが。
萌え?!私まゆゆに萌え萌えきゅんきゅんしているのか?!
いやでも、と悶々としていたら、まゆゆが覗き込んできた。
「おい、顔が赤いけどどうした?」
「ふぎゃおう?!なっ、なんでもないよ!早く桐皇観に行こっ!DVDでしか観たことない青峰の野獣プレイ生で観るんだっ!!」
後ろでまゆゆがいつものやれやれをしているんだろうけど、今は早くこの熱を発散させるべく桐皇の試合している会場へと急いだ。
それは、とても異様な光景だった。異様というのは適さない言葉かもしれない。けれど、理解ができなかった。
ゾーンというものを、赤司から聞いたことがある。
練習に練習を重ねた者だけがその扉の前に立つことを許され、それでもなお気まぐれしか開くことはない、選ばれた者のみ入れる究極の領域。余計な思考感情が全てなくなり、極限の集中状態だという。
その領域に、青峰は自分の意志で入った。天才的才能をもって、その扉をいとも容易くこじあけたのだ。青峰の、本当の姿。
「青峰、ほんとに天才だったんだ…」
「そうだ。キセキの世代の中で、間違いなく大輝は最強だ」
「ふぎゃおう?!」
「お前の悲鳴でシリアスが一気にシリアルになったな」
思わず見入っていた私の横に、いつ来たのか赤司がいて、私の独り言に返事をしてきたから驚いて悲鳴を上げてしまった。まゆゆから呆れたようなツッコミをいただきつつ、マジで?と赤司を見る。
「大輝の本当の姿を見るのは僕も初めてだが、あの大輝に勝てるのはもはやキセキの世代くらいだろう」
「もうなんなのキセキの世代…ってあ!かがみんだ!かがみん、ほんとに試合出てたんだ!」
「かがみんって誰だよ」
「今大輝と一対一をしている誠凛の十番、火神大我のことだよ」
「…ふーん…。で、なんで愛称で呼んでんの」
「へ?えっと、朝会場まで道案内?してもらって、その時のかがみんほんと天使でね…かがみんマジ天使…そういえば赤司にぶっ倒すって伝えてくれって言われてたの今思い出した」
「へえ…。返り討ちにするのが楽しみになったね。まあ、それもこの試合を勝つことができなければそんな機会はないだろうけど」
それもそうだ。今の青峰を止められるのは、キセキの世代だというのなら、誠凛に勝ち目はない。けど、何だろう。誠凛は諦めてないし、必死に立ち向かっている。かがみんも、青峰に追いついて。…追いついて?
ハッと気がついた時には、青峰のボールはかがみんの手によって弾かれ、コートの外へと転がっていった。ゾーン状態の青峰から、ボールを奪った。それは、つまり。
「火神、ゾーンに入ったのか」
「そうみたいだね。まさか誠凛に火神大我のような選手がいるとは思っていなかった。やはり、この初戦観戦にきて正解だった」
まゆゆと赤司が、少し昂ぶったように会話をしている。かくいう私もそうだ。まさか、これほどとは思わなかった。たしかにかがみんは強いだろうと思ったが、青峰と戦えるなんて思ってもみなかったのだ。そういえば、かがみんは言っていた。青峰に、一度負けたことがある、と。勝つために、努力をしたんだ。たくさん、たくさん、きっと想像もつかないくらい、たくさんの練習をして、仲間と共にリベンジするためにここまでやってきたんだ。
二人のゾーン対決は高次元で、どちらのチームも手を出すことができないでいた。一体どのくらいの時間が経ったのか。それは、突然終わりを告げる。
かがみんが青峰を抜き点を入れ、そして青峰の攻めを止めた。隣でまゆゆが「時間制限があるんだな」と呟く。なるほど、青峰の方が先に限界がきてしまったのか。いや、きっとかがみんも、だろうけども。
「かがみんも青峰も、楽しそうだね」
「お前にはあの駆け引きが楽しそう、ですむのか」
「いやだって、お互い一歩も引かない攻防戦って、めちゃくちゃ楽しくない?!青峰もさ、なんかつまらなさそうだった印象なのに、今はすごく必死に戦ってるし」
そうか。兄貴が青峰を気にかける理由が今やっとわかった。きっと、放っておけなかったんだね。孤独になりたいわけじゃないのに、バスケを楽しみたいだけなのに、強すぎた青峰は高いところに登りすぎて、一人になりかけていた。だから兄貴は、心配だったんだね。どうせこの会場まで応援に来ているだろう兄貴は、桐皇が接戦中だけど、多分喜んでるよね。
青峰、全然一人じゃないよ、兄貴。さつきちゃんだっているし、キセキの世代だっているし、それにほら、かがみんがいるんだよ。ライバルがいるって、本当にすてきなことだ。
「もちのろんで、青火だね!!」
「誰も聞いてねえよ」
まゆゆに頭を叩かれた!シリアルにしてごめんなさい!!
と、コートを見ると、審判が何か言っている。桐皇がプッシングで、誠凛にワンスローが与えられた。点数を見ると、九十九対百。ということは。
「これ決めたら誠凛は延長戦に持ち込めるってこと?!
「いや、ここで延長戦は有り得ない。誠凛は新設校故に、控えの戦力が低い。延長戦になればもはや勝ち目はなくなる」
「つーことは、やることは一つか」
「そう、フリースローをわざと外し、リバウンドを取り点を入れる。ここで全てが決まるというわけだ」
しん、と静まりかえる会場。誠凛の七番の選手が、ボールを投げた。
「外した!!」
赤司の言った通りボールは外れ、それを待っていたかのように全員が全力で飛んだ。取ったのは、かがみんだ。掴んだボールをリングに入れる間際、青峰の手がボールを弾いた。コートの真ん中へと転がっていくボール。桐皇の勝ちが決まった、誰もがそう思った。
けど、誰よりも早くボールを追いかけて走る誠凛の選手がいた。
誠凛の十一番。小柄で、儚げな印象の選手。あれは、黒子君だ。まゆゆのプレイスタイルの元となった、キセキの世代と共に戦ってた幻のシックスマン、黒子テツヤ。
黒子君の弾丸のようなパスで、ボールはあっという間にリングまで飛んだ。両チームのエースが飛び、そして。
勝ったのは、かがみんだった。黒子君のボールを受け取り、青峰を越えてボールがリングに叩きこまれたと同時に試合終了の笛が鳴る。
誠凛の勝利だ。大歓声の中、コートの中でかがみんが黒子君を支えていて、青峰と何か話しているのが見えた。
挨拶までを見届けて、私達は会場を出た。
「かがみん、すごかったね。それに黒子君のパスもめちゃくちゃ早かった」
「アレもやれなんて言わねーよな、赤司」
「まさか。やれるならやっても構わないが、アレはテツヤのプレイスタイルだろう。元にしたとはいえ、テツヤはテツヤ、千尋は千尋だ。千尋のまま、プレイしてくれたらいいよ」
「「えっ」」
まさかの赤司のデレ。希少価値の高いデレに驚いてまゆゆと二人、足を止めたら、その反応がご不満なのか、にこりと目の笑っていない笑みを向けられた。怖い。
「何か言いたいことでも?」
「「ございません」」
外はもう真っ暗で、星が見えている。今日最後に見た試合にテンション上がりすぎて、もう早く明日の試合にならないかワクワクして興奮冷めやらぬ、だ。
「なんで試合出ないお前が興奮してんだよ」
「はっ!!そういえば私出れないんだった!!」
「いや忘れるかフツー。…少しなら付き合ってやる」
「え?」
ポフッと、頭に手が乗せられる。それからしょうがないなって笑いながら、ポフポフとされる。
「バスケ。うちで借りてる調整用体育館なら、多少遅くなっても使えるからな」
「!!うんっ!!やろうやろう!!」
「全く…いつの間に千尋は優姫菌に感染してたんだい?」
「ふぎゃおう?!優姫菌って何?!」
まゆゆにポフポフされて幸せな気持ちに浸っていたら、突然の赤司!!ていうか、一瞬とはいえ赤司のこと忘れてた…。ていうか優姫菌ってなんぞ!
赤司は携帯を弄りながら、「脳天気ってことだよ」と言ってきた。誰が脳天気か。
「まあ、今日は僕も感染してやろう。ついでにあと三人も電波感染したようだよ」
「電波感染って何?!ウイルスなの私?!あっ実渕先輩から連絡きてる。三人とも体育館いるから早くおいでって!」」
「結局いつもの練習になるわけか」
「おや、千尋は二人きりが良かったのかな?」
「その意地の悪い顔やめろ。一対五にするぞ」
「それでも負ける気は全くしないが、今は優姫菌に感染しているからね。やるなら三対三がいいな。千尋もそうだろう?」
「…優姫菌のせいでな」
「さっきから優姫菌優姫菌って言い過ぎじゃない?!私そんな毒素撒いてる?!あっちょっ、二人して噴き出してなんなのさーっ!!」
何故か笑っている二人はさっさと先に行ってしまう。ちょっと!いつ黛赤会話してたんですか!私聞いてませんけど!!
調整用体育館に行けばもう実渕先輩達がバスケをしていて、そのまま三対三で練習をした。ほどよく疲れた後は、根武谷先輩おすすめの牛丼屋に行って、あの完璧超人とも思える赤司が実は紅ショウガが苦手なことを知るのだった。
「紅ショウガ苦手とか…なにそれ赤司可愛い…もがふっ!!」
「征ちゃん優姫ちゃんの口の中に紅ショウガ突っ込まないであげて!!」
「黛サン!あれ”あーん”じゃない?!”あーん”を赤司が優姫にしてあげてもがふっ!!」
「黛サンも小太郎の口の中に紅ショウガ突っ込まないで?!」
「牛丼やっぱうめー」