天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「ルドガーの家!ルドガーの部屋!ルドガーのベッドおおおお!!」
「人の家に入って早々ベッドに突撃しないの!」
06.反転する日常
ルドガー宅へ入らせてもらったと同時に、ルドガーがあそこが俺の部屋と指さしたのでこれはオッケーサインだと判断して部屋に飛び込んでベッドではぁはぁしたら、案の定ジュードくんに背負い投げされて部屋から追放された。
見事にソファにぼふっと吹っ飛ばされ、トランポリンを思い出して「おお」と感動したらジュードくんににっこり笑われた。あれは「これ以上おかしなことはしないでね」という忠告の笑顔だ。おけ、自重します。怖いから。
「ユウキって、もしかしてバカなの?」
「ぐほぉっ…!幼女にバカって言われた…」
私の傍までやってきたエルに、首を傾げられながらそう言われれば、ソファの上で体育座りで哀愁を漂わせるしかなくなる。
バカって攻撃力高い言葉だと思いませんか!
「ルドガーも迷惑ならちゃんと迷惑って言わないとダメだよ?ユウキはすぐ調子に乗るから…」
「いや…俺の周りにはいなかったタイプだから見てて面白いよ」
「ルドガーそれ絶対褒めてないよね?!褒めてないよね?!大事なことだから二回聞いてみたよ!!」
「何か作るから、みんなはテーブルで待っててくれ」
「あれルドガーまでスルースキル発動?!」
がくり、と項垂れたら、エルにぽんぽんと頭を撫でられた。幼女に慰められる私、そろそろ泣いていい。自業自得では絶対ない。
「ほら、ユウキ。大人しく座るよ」
「うう…ジュードくんが冷たいよう…あ、ルドガー!テレビつけていい?」
いいよーと了承の返事が返ってきたので、私はソファに座ったままリモコンでテレビをつけてみた。
いやー、まさかこの一年で私のいた世界みたいにテレビやら携帯みたいなのやらが普及するとは思わなかったなあ。
テレビ…そういえばサンオイルスターやってないかな。
《自然工場アスコルドに脱線した列車が衝突した事件は、テロ組織アルクノアの仕業だと発表されました。被害は大きく、死者の数も二千名を超えたとのことで》
「あ、ジュードくん!アスコルドのことニュースやってる!」
「本当だ…。僕達も乗ってたからこうしてみるとやっぱり怖いね…」
「エルが乗ってた列車って、これなの?」
「そうだよー。私達は運が良かったけど、もしかしたら…うう、生きててよかったー!」
それにしても、アルクノアのやつらどうして和平に反対するんだろう。どう考えたって、みんな仲良くの方がいいに決まってる。今度ガイアスに愚痴っとこう。
「出来たぞ」
簡単な料理にしたらしく、ルドガーはあまり時間をかけず調理を終えたようだ。
意気揚々と椅子に座り、テーブルに並んだスープを見ておお!と目が輝いてしまう。
「美味しそう!そういえばコックさんになる予定だったんだもんね!」
「ああ。クビだけど…」
「だ、大丈夫だよ!ルドガーならすぐに新しい仕事が見つかるよ」
「ありがとう、ジュード」
「ねえねえ!食べてもいい?」
「どうぞ」
ルドガーの返事を聞いて、エルも瞳を輝かせながらスープに手をつけた。それを見て私とジュードくんもいただきますをする。
ぱくり
「美味しい!エルのパパと同じくらい美味しい!」
「ルドガー、これプロ並みだよ!」
「よしルドガーは私の嫁な!」
「嫁?!」
「あ、ごめんルドガー。この手のユウキの発言は十割は聞かなかったことにしていいから」
「それただのシカトじゃないのジュードくん?!」
しかしこのスープはとても美味しい。見るにトマトスープだと思うが、エルは気づかず美味しいと食べている。さっき聞いたのだがエルはトマトが嫌いなんだとか。
美味しいのになあ、トマト。
「ふうー。あ、これからどうする?」
「…お金を返さないといけないから、働き口を探しながら仕事を請け負うことにしようかと」
この世界には、いわゆるクエストという仕事を請け負うことができるシステムができた。
私も大抵はそこで仕事を受けてお金を稼いでいる。
私は立ち上がって、どんっと胸を張った。
「そういうことなら、私に任せなさい!クエストの王者とは私のことなり!」
「おお!なんかかっこいい!」
「もうユウキってば…。この間迷子になってたのは誰?」
「うぐ」
「僕がたまたま近くまで来てたからよかったものの…」
「うわああんごめんなさいあの時はほんとにありがとうジュードくん愛してる!」
「愛?!」
「あ、これもいつものことだからスルーしてもいいよルドガー」
「私の愛が安売りしてるみたいに思われてる!」
何か、今日ジュードくん厳しくない?!ていうかちょっと怒ってない?!気のせい?!
その時、何かが視界の端を掠めた。
「ぐっ?!」
「ルドガー?!うわっとお?!」
「はぁっ!!」
「ぐおおっ?!」
最初に何者かに攻撃されて床に倒れたのはルドガーで、次に攻撃されそうになって転ぶように避けたのが私で、的確に狙いを定めて襲ってきた何者かを殴り、そして吹き飛ぶ何者か。
「ってイバルじゃんか?!生きてたの?!」
「そこは久しぶりだとか会えて嬉しいだとかだろうが!この偽物二号!」
「うわああん会えて嬉しいよおおお!!てっきりもう二度と会えないのかと思ってたよおおお!!」
「お、おお?!なんだ貴様とりあえず落ち着け!それから離れろ!ジュードがすごい目で俺を見ているではないか!!」
イバルとは、一年前から会えていなかった。しかもミラですら会っていないだとかで、イバルとはもう二度と会えないのではないかと思っていたのだ。ゲームの中でもジュードくんがそう言ってたし。だからこそ、今会えてめちゃくちゃ嬉しい。
そりゃ喧嘩しまくった仲だけど、会いたくないほど嫌いなわけではないのだ。
「相変わらず賑やかなお嬢さんだ」
イバルにわんわん言いながら抱きついていたら、その後ろからビズリーさんとクールビューティさんが入って来たではないか。ていうかチャイムとか鳴らしたかこの人達?!不法侵入?!
「ビズリーさん、無事だったんですね」
「私はね。君達はニュースは見たかな?」
「見ました!アルクノアまじ許さん!」
「では、これは?」
え?と思うやいな、イバルがさっさと私の傍から抜け出して、どこからかババッと三枚の紙を取り出した。
じっくり見てみると、なにやら手配書のようで、左からユリウス、ルドガー、ユウキと書いて………ホワッツ?
「私達指名手配されてるうううう?!」
「そんな…」
「ビズリーさん、これは一体?!ルドガーもユウキも指名手配されることなんて何もしてません!」
《テロ首謀者として、ユリウス・ウィル・クルスニクを指名手配することにしました》
と、タイミングよくテレビがそう報道する。
いやいや、テロ首謀者がなんでアルクノア退治すんのさ!ていうか誰だよこんなデマ流したの!
むむむ、と指名手配書を凝視していたら、イバルがばっばっとシャッフルしてきた。むかついたので腕を掴んでぐぬぬとにらみ合っていたら、その間にもビズリーさんは話を進める。
「容疑者の弟が事件の日に偶然駅に勤め、列車に乗り込んだ。そして、容疑者は君を連れて逃げた。これのどこに信じる要素があると思う?」
「信じてよーっ!エルもルドガーもユウキもカンケイないのーっ!」
「え、エルたん…!」
良い子だ!この子ほんと良い子だ!きっとこの子のパパも良い子に違いない!!
「…ルドガーに何をさせる気ですか」
「さすがはDr.マティス。聡明だな。ルドガー君、君にユリウスを探してもらいたい」
「!!」
ルドガーはくっと息を呑む。兄を、容疑者とされる兄を探せというのはつまり、売り渡すことになるのではないだろうか。
たしかにルドガーの前になら現れるかもしれない。大切であろう弟の前なら、油断するだろう。でもそれは、兄を裏切る行為ではないだろうか。たとえ理由を説明されていなくても、それでも。
「……」
「ユリウスを捕らえれば、真実が明らかになるだろう」
「っ、兄さんを…」
「協力するというなら、警察は私の力で抑えよう」
ルドガーは、わかった、と小さく頷いた。これはもはや脅迫に近い。断れば即お縄という、死ぬか生きるかと聞かれたようなものだったのだから。
(でも…きっと絶対、ユリウスさんは悪い人なんかじゃない。だって、悪い人があんな優しい目を弟に向けるわけないじゃんか)
ルドガーの了承を得て、GHSのアドレスをクールビューティさんに教えると、さっさと出て行くビズリーさんとクールビューティさん。それからイバル。
その後ろ姿を忌々しく見つめていたら、ああそうだ、とビズリーさんが振り返った。
「さすがに、情報の一切無い君に関しては警察を抑えることはできない。頑張ってくれたまえ」
「えっ」
「えっ」
「それって、つまり…」
「ユウキ捕まっちゃうのーっ?!」
ジュードくんとエルの言葉に、私は一瞬の間を置いてから叫んだ。
「この鬼社長おおおおおお!!」
「で、どうする?主にユウキ」
第一回、クルスニク会議を始めることにした。ジュードくんが先陣を切って、どうするかと聞いてくるも、どうしようかなんてわかるわけもなく。
「とりあえず、あの社長次会ったら回し蹴りする」
「やめようねユウキ」
「エルはトマト投げる!」
「食べ物で遊んじゃダメだ」
えええーっとエルと二人してブーイングしたら、ジュードくんとルドガーはため息を吐いた。
「じゃあどうすればいいのさ?!私これ街中歩いたらすぐお縄じゃない?!リーゼ・マクシアと違ってテレビとか情報網が普及しまくってるし!」
「あっ!エルいいこと思いついた!変装したらいいんじゃないかな?」
「変装かぁ…たしかにそれしか手はないけど…」
うーん、とジュードくんが私を見て困った顔をする。ていうか私モブ顔だからばれないかもしれない、と思ったが万が一を考えて変装しておいてもいいかもしれない。
「!そうだ、ちょっと待っててねー…あ、ルドガー部屋借りていい?」
「ああ、いいけど…?」
ソファから立ち上がり、てってとルドガーの部屋に入る。
「ユウキ、何する気なんだろう」
「変装するんじゃないの?」
「でも俺の部屋にそんなアイテムないぞ…?」
「ルドガーのベッドおおおお!!枕枕!!うおおおお写真飾ってある!ルドガーとユリウスさんツーショット!!ひいい兄弟かわいいよかわいいよおおお!!」
「……」
「ごめんルドガー。僕が後で叱っておくから…」
「やっぱりユウキって変態だ!ね、ルル!」
「ナァ…」