天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「う…、あ、れ?」
眩んだ目を、ゆっくり開いたら、ルドガーのお兄さんが唖然とした顔をしていた。
あれ……ジュードくん達は…?!
03.最初の選択
「ほう、君は飛ばなかったのか」
「と、飛ぶ…?ていうかジュードくんやルドガーとエルはどこ行った?!」
ビズリーさんにじろじろと見られながら、私はテンパって周囲を見回す。
一瞬にしてみんないなくなるなんて、どういうこと?
私の正面ではルドガーのお兄さんが私を見て、ハッと何かに気がついたような顔をする。
「まさか、君は…!」
「え?」
「ユリウス、彼女が何かあるのか?」
「っ!誰が貴様に教えるか…!!君!!こちらに来い!!」
「え?え?ちょ、ちょっと待った何この急展開?!だからジュードくん達どこなの?!」
「説明する!だから早くその男から離れるんだ…!!」
ルドガーのお兄さん、ユリウスさんはそう言って私に手を延ばす。
その手を取ろうかどうしようか悩んでいたら、肩をがしっとビズリーさんに掴まれてしまった。
「お、おおう?!」
「彼は、私を殺そうとしたのだぞ?そんな彼を信用するというのか?」
「ええ、今のユリウス室長は危険です。私の後ろに避難してください」
「え、ええっとおお…」
ユリウスさんを選ぶか、ビズリーさんを選ぶか。
少しだけ考えて、私は選ぶ。
やんわりとビズリーさんの手を解いて、クールビューティさんの頭を下げて、私はたったとユリウスさんのところに行くことにした。
ビズリーさんは眉をしかめ、なぜだと問いかけてきた。
なぜって、そりゃ…。
「ルドガーのお兄さんが悪い人なわけない!と思ったわけです。それに説明してくれるみたいだし…」
それにビズリーさん怖いし…雰囲気が…。
その点ユリウスさんってカッコイイし声イケメンだし、なによりルドガーを見る目が優しかった。
兄のいる身である私にとって、それは信用に値するほどの価値があるものだった。
(そういえば、さっき兄貴の声がした…ジュードくん達が消えたことに関係がある…?)
「…しっかり捕まっていろ!」
「え?ほぎゃあああああ?!」
私を担いで、ユリウスさんは窓ガラスをぶち破って外に飛び出したではないか。
ぎゃああああと悲鳴を上げて、なんとかユリウスさんにしがみつこうとしたら、硬い。
何か、すごく硬い。
閉じた目をおそるおそる開けたら、ユリウスさんは、姿が変化していた。
なんて言えばいいだろうか。
身体全体に鎧のような何かを纏っていて、人離れした身体能力で街の中に降り立った。
どうやらちょうど人がいない路地裏だったようで、誰にも見られずすんだようだ。
しゅんっと、変身を解いて、ユリウスさんは私を下ろしてくれた。
「あ、ありがとうございます…いやー、ジェットコースターな気分でしたー」
「いや、それよりも、君は…」
「はい?あ、名前言い忘れてましたね!私は優姫って言います!ルドガーとはさっき列車で知り合ったんですけど、ってそうだジュードくん達はどこですか?!」
「大丈夫だ、説明する。…先程の俺とルドガーの姿を見たね?」
「え、ああはい…何か変身しましたよね」
そう首を傾げたら、ユリウスさんは言葉を選ぶように丁寧に教えてくれた。
「あれは、『骸殻』と呼ばれるクルスニク一族のみに与えられている力だ」
「あ、そうだクルスニク!えーと、創世の賢者の名前、ですよね?」
「リーゼ・マクシアではそう伝えられているようだな。俺とルドガーはクルスニク一族の末裔。…ルドガーには、こんな力使わせたくなかったのだがな…」
ユリウスさんは、ぐっと唇を噛んだ。
あの時、ルドガーが骸殻とやらになったことがショックだったようだ。
理由はわからないけど、弟を案じてるのがわかって私はなんだかほっこりした気持ちになった。
いいお兄さんだなあ。
「…そして、今ルドガー達は『分史世界』にいる」
「分史世界?」
「この世界とは別の可能性を進んだ世界のことだ。パラレルワールド、と言ったほうがわかりやすいだろうか」
「パラレルワールド!!マジか!!」
まさかこの世界のパラレルワールドなる世界に、ジュードくん達は飛ばされてしまったのか。
あまりにも急展開で、優姫軽くパニックです。
どうにか頭を整理させていたら、ユリウスさんはフ、と笑った。
「君は会ったばかりの俺のことを信じるんだな」
「え?あー、実はですね、私もお兄ちゃんがいるんですけど、なんだかユリウスさんに似てるなーって…すみません動機が不純ですみません」
「そうなのか?…兄妹、か」
「…でも、今は会えないんですけどね…」
私は一年以上も、この世界に来てしまっている。
兄のことを、心配しない日などなかった。
だからこそ、さっき聞こえた声に驚いた。
そして、会えるかもしれないとさえ…。
「それは、君が…」
「大変だ!!アスコルドに列車が突っ込んだって!!」
ユリウスさんが何かを言いかけた時、唐突に路地の方でそう騒ぐ声が聞こえた。
アスコルドは、私達が向かう場所で、あの列車の行き先ではなかったか。
それが、突っ込んだって?!
「どうしよう!あ、でもジュードくん達が違う世界にいるから大丈夫…なのかな?!」
「いや、もし仮に『時歪の因子』を破壊していたなら、列車の中に帰ってきているはずだ…」
「え、え…ど、どうしたら…」
ユリウスさんの言っていることはよくわからなかったが、泣きそうになって思わずうつむいたらぽふと頭を撫でられた。
「大丈夫だ。俺の弟だぞ。きっと全員無事に連れ帰っているし、無事でいる」
「は、はい…そうですよね…!!あーもういかんいかん!ネガティブ禁止!よし!」
「…俺はもう行かないといけない。君にお願いがあるんだ」
「え?あ、はい?」
「弟を…ルドガーを頼む。もう『骸殻』を使わせないようにしてほしい」
それだけ言うと、ユリウスさんは路地裏を飛び出してしまった。
それを追おうと私も飛び出したら、もうユリウスさんの姿はなかった。
(え、えーと…何が起きてるのこれ?!)
骸殻だとか、分史世界だとか、パラレルワールド、タイムファクター……。
どれもエクシリアでは聞いたことのない単語だ。
そもそも、クルスニクという一族のことは…ってたしかニ・アケリアで聞いたような…。
「あーもう!!私考えるのダメなんだってばああああ!!」
うがーっと叫んで、私はとりあず駅へと向かうことにしたのだった。