天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「みんな、ほんっとにごめんなさいッ!!!」
32.これまでのこと、これからのこと
王宮の会議室を使わせてもらいそこに全員が集合すると、私は開口一番に土下座とともに謝罪をした。
いきなりの土下座にみんなが「ええっ」と驚いている。
「ユウキっ、顔上げてよっ」
「いいやレイア。私もけじめをつけないと…私のことみんなで探してくれてたって聞いた。心配かけたし、迷惑もかけた。ほんっとにごめん!!」
「謝るくらいなら逃げるなっての…で、今回もまた馬鹿なことを考えてたんじゃねーだろうな?」
アルヴィンの言う馬鹿なこと、とはおそらく私がミラの代わりに死ねばよかったと悔やんでいたことだろう。
たしかにそれは考えていたことだったので、うぐ、と言葉を一瞬詰まらせたら、パシッとジュードくんに頭を叩かれた。
「あたっ!」
「ユウキはどうすればわかってくれるの?ミラさんだけじゃない、ユウキだってここで生きてるんだよ。ユウキが何者か、そんなのどうだっていい。…ユウキは、ユウキじゃないか」
ああ、やっぱりジュードくんは天使だ。
ジュードくんは、いつだって言ってくれていたじゃないか。
私のことを信じて、心配して、傍にいてくれるって。
私は、なんでその言葉を信じなかったのか。
「うん、ごめん」
「…でも、謝るってことは少しはわかってくれたんだよね?」
「おうよ!…ルドガー、エル。今からすごく大事なこと、えっと私的にはなんだけど、大事なこと言うから聞いてくれる?」
「ああ」
「うん!」
二人が頷いてくれたのを確認して、私は意を決して、隠していたことを口にした。
「私は、リーゼ・マクシアでもエレンピオスでもない、異世界から来たんだ。この世界が、ゲームとして作られてる世界から、一年前に」
心臓がバクバクしている。
思えば、ジュードくん達にもちゃんと説明しようと思っていたのにマクスウェルが作った私のコピーに勝手に話されてて自分で口にしたことはなかった気がする。
きっと、信じてもらえない。
信じてもらえても、怖がられるかもしれない。
そう思っていたら、ルドガーが。
「そうだったんだな」
と言った。
……それだけ?!
「よくわかんないけど、ユウキはユウキだからカンケーないよね!」
エルたんそれでいいの?!
二人の反応に唖然としていたら、ジュードくんとミラが吹き出すのが見えた。
「ユウキは考えすぎなんだよ」
「うむ。それにどこぞの元傭兵みたいに胡散臭いならまだしも、ユウキはいつだって誰かの為に奔走していただろう。その姿を見ている私達が、ユウキを拒むなどするはずがない」
「おいミラ様。それ俺のことじゃないよな?な?」
多分アルヴィンのことだけど何も言わないでおこう。
でも、そっか。私は考えすぎなのか。
思えば一年前もジュードくん達は受け入れてくれた。
ルドガーもエルも、同じだってことだよね。
二人も、仲間だから信じてくれるんだよね。
「…っ!ありがと、ルドガー!エル!」
「お礼を言われることじゃない」
「そーだよ!…エル、ミラがいなくなって、すっごく悲しかった。でも、ユウキだっていなくなっちゃダメなんだから!」
「そっか、そっか!うん、私、ミラが助けてくれたこの命、大切にする。それがミラに出来る唯一の手向けだって思うから」
ぎゅっと、胸の当たりで拳を握る。
ミラ、私頑張るからね。
必ず、ルドガー達をカナンの地に連れて行くから!
「ところでユウキさん。聞いておきたいことがあるのですが」
「ローエン。うん、何なに?」
「ユウキさんは、今起きていることは最初からご存知だったのですか?」
今起きていること、それはルドガーと出会ってからのこの騒動のことだろう。
きっと聞かれると思っていた。でも、私の答えはこれしかなかった。
「それが、全然知らないんだ」
「?どういうことだ…?」
「あ、ルドガー達にちゃんと説明してなかったね。ユウキは一年前僕達と旅した時のことを、ゲームとしてプレイしたことがあったんだ。つまり、何が起きるか全て知っていたんだよ」
「それってつまり、未来がわかってた、ってこと?」
「うん。エルの言ってる通り、ユウキは未来を知ってたんだ。でも、今回のこと、僕達がルドガーと出会ってから今に至るまでのことを知らない。それってつまり、今僕達は誰かの書いた物語の上に立っているわけじゃない、ってことになる」
ジュードくんが私の代わりに説明してくれると、ルドガーは難しい顔をする。
ややこしい話だから、頭の中で整理してるのかもしれない。
それにしても、本当に私は今に至るまでを何も知らない。
そもそもこの世界のゲーム、エクシリアは発売して間もないゲームだったのだ。
兄貴は器用に時間を使って三周か四周くらい周回プレイしていたみたいだけど、私はやっと一回クリアした程度。
続編の話もなかったし、続編が出るような終わり方でもなかった。
だから、この世界はやっぱり、誰かの書いた物語ではないのだ。
すると、ローエンはどこかホッとしたように胸をなで下ろした。
「それを聞いて安心しました。もしまたユウキさんが未来を知っていたら、私達に隠れて誰かの代わりに傷つこうとしますからね」
「あーたしかに。ただでさえペリューンでも代わりになろうとしやがったからな…本当に何も知らないか尋問してみっか?」
「ふふふ、腕がなりますね」
「ははは、俺も気合入るぜ」
「知らないですマジで知らないですからその黒い笑顔マジでやめてくださいいいいい!!」
ノヴァさんの差し押さえの相手を前にした時と同じ顔をするローエンとアルヴィンに私は全力で訴える。
マジで知らないので、生きててごめんなさいと全力で謝罪したくなる笑顔はやめていただきたい。
ひいいっと恐怖していたら、ティポがふよふよ浮いてきて私の頭を丸かじりしてきた。
「もがふっ?!」
「もう勝手なことすんなー!次したらダンザイだー!」
「そうですよ、ユウキ。ユウキが言ったんじゃないですか、自分は誰も犠牲にしない未来推奨派だって」
言ったような…気もする…よく覚えてないけど…。
ティポの中で首を傾げていたら、エリーが私の手を握って、続けた。
「だから誰も犠牲になっちゃいけないんです。分史世界のミラだって、ユウキ自身だって同じです」
「エリー…うん、そうだよね」
ぐいーっとティポを引き剥がして、私はむんっと気合を入れる。
そうだ、誰も犠牲になっちゃいけないのだ。
誰かが犠牲になった上で成り立つ平和なんて、きっと絶対意味がない。
「もう私は逃げない。ミラが切り開いてくれた分史世界にある最後の道標、絶対に取ってカナンの地に行くんだ。だから、ルドガー、エル、一緒にいても…いいかな?」
そう言ったら、ルドガーとエルは顔を見合わせて、それからくすっと笑った。
「いいに決まってるだろ、ユウキ」
「もちのろん、だよ!」
「~っ!!わあああんルドガー!!エルうううう!!!二人ともありがとおおおおお!!」
ガバァっと二人に飛びついてわんわん泣いたら、エルが「しょうがないなーユウキは」と笑って、ルドガーが子供をあやすようにぽんぽんと背中を撫でてくれた。
エルたんマジ天使!ルドガーマジ妖精!!
「あ、そいや、最後の道標を取りにはいつ行くの?」
「ほんのさっき、連絡があった。…その前にマクスウェルを連れてクランスピア社まで来いって」
「クランスピア社…リドウは完膚無きまでに叩きのめすとして、ビズリーさんに聞かないと…答えてくれるかはさておき」
「ユウキのことをリドウが知っていた理由、それと結局のところルドガーの傍にユウキがいるだけで助けになるのは何故か、聞かないといけないことが山積みだね」
「なんやかんやで誤魔化されそうだけどね…あの人なんか怖いし…」
はふーと重いため息を吐く。
最後の道標だって、取りに行くのに私は付き合えない。ていうか何故か分史世界に飛べないので役たたずなわけですよ!
でも、やれることをやるんだ。
自分に何ができるか、自分で考えて、自分の意思で選んで決める。
それが、生きてるってことなのだから。
「そういえばユウキを見つけたのはウィンガルだったんだね。…?ローエン、何で笑ってるの?」
「いえいえ…ぜひともジュードさんにもお話したいのですが、ウィンガルさんがユウキさんのために、ユウキさんのために!おっしゃった言葉なのでじじいは聞かなかったことにしておきます。表向きは」
「……」
「………ユウキ殺す」
「なんで?!」
端で静かにしていたウィンガルがジュードくんによって話題に出されると、ローエンが何故かにやにやしてガイアスがほっこりしていて、そして私はまた何故かウィンガルに追われるのだった。
あ、ちょ、ルドガーもエルも笑ってないで助けて?!