天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「ミラのスープ私も飲みたい!飲みたい!大事なことだから二回言ったよ!飲みたい!」
「三回言った!」
25.雷鳴の遺跡
今日もジュードくんのツッコミは輝いている。
私達は今、ディールの街へとやってきた。
それというのも、ノヴァさんからルドガーに緊急コールがかかったのだ。
そしてディールの街へ着き、露店に目を奪われながら広場までやってくると、そこでノヴァさんと合流した。
何やら、これから向かう差し押さえの相手がすごく怖いので手伝ってほしいとのこと。
呆れ返っていたら、エルが辺りをキョロキョロとし始めた。
「どうかしましたか?」
「うーんと…エル、ここパパと一緒にきた時ある、気がする」
「えっ、ということはエルたんの家この辺?いよっしゃーお父様に娘さんをくださいと土下座しにいくぞー!!」
「エルまでユウキの毒牙に!!」
「毒牙?!レイア私のこと何だと思ってたの?!あっちょっと目をそらさないでくださいジュードくん切ない!」
わんわんと喚いていたら、エルが自分の家の前には大きな池があったという。
そしてエルのパパがお魚を釣ってご飯にしてくれると。
なにそれ羨ましい。ていうか微笑ましい!!
「エルは、ヒメマスの押し寿司が好きっ!」
「美味そうだな、おい」
「美味しそうだ~エルのパパに会いたいよう~ご馳走してほしいよう~」
「ていうか、ヒメマスがいるのって池じゃなく湖じゃないの?」
「それ!ミズウミ!」
ミラの疑問は当たりだったようだ。
つまり、エルの家はエレンピオスの大きな湖のある家、ということになる。
大きな湖、そんなのあったっけ?
「たしかこの近くにウプサーラ湖があるけど、もう何十年も前に干上がっちゃってるんだよね」
「じゃあ勘違いね」
「う……」
「ミラ、そんなバッサリ言わなくても…」
ノヴァさんの情報により、この近くではないとわかったもののあっさりと結論を口にしてしまったミラに、エルはぺこりと凹みレイアがたしなめる。
ミラも少し気まずそうに視線を落とした。
きっとミラには悪気はないのだ。ていうか、聞いた話によるとミラは誰かと一緒にいることとかあんまりなかったみたいだから、距離感がつかめないだけなんじゃないかな。
そう思ったら、ますますミラと仲良くなりたくなった。
だって、私達仲間なんだしね!
「でもミラって魚に詳しいんだね!私ヒメマスが湖に住んでるとか知らなかったよ~」
「別に…料理してたら覚えるわよ」
「はっ!そういえばミラ、エルにスープ作ってあげたんだよね?!私もミラのスープ飲みたい!!」
と、ここで冒頭のセリフに戻るのである。
ずいずいとミラに迫ったら、ミラは少し照れた顔をして「近いわよ!」と私の頭をひっぱたいた。
「今度飲ませてあげるわ。それでいいでしょ」
「わーい!!ミラのスープ楽しみ!」
「…はぁ…本当調子狂うわね」
えへへ。と笑ったら褒めてないわよ馬鹿とまた叩かれました。
最初のミラのツンとした態度に比べたら、少しは仲良くなれた気がする。
二回叩かれてるけどもね!!
「そういえば、その湖の底ですっごい昔の遺跡が見つかったんだって!黒匣とかと全然違う文化で、世紀の大発見なんてニュースになってた」
「そんな遺跡が?ノヴァさん、詳しいことはわかりますか?」
「さあ…よく調べる前に崩れちゃったとかなんとか」
「そうですか…」
ジュードくんが少し残念そうだ。
もしかしたら、源霊匣の開発の参考になるかもと思ったのかな。
でも遺跡かー!思えばこの世界に来てから遺跡とかいってなくない?!
「!着信だ」
と、その時、ルドガーのGHSに連絡が入った。
まあこのタイミングでかかるとしたら、言わずもがなヴェルさんからですよねー。
「あ、やっぱりヴェルじゃんー!何何、何の話?え、私には関係ない?愛想ないー。そんなだから一ヶ月で振られるのよ」
ぴ、とルドガーが空気を読んでGHSを切った。
ノヴァさん…なんて言ってたかは聞こえなかったけど、ヴェルさんめっちゃ怒ってましたよ…なぜみんなの前でそんな暴露を…。
そういえば双子なんだっけ、ノヴァさんとヴェルさん。
はあ、あれ以降兄貴の声も聞こえないし、やっぱり幻聴だったのかなー。
(いるなら、出てきてよ、馬鹿兄貴)
「ルドガー、分史世界が出たんだろ?ならそっちはエリーゼあたりで十分だな」
「私あたりって何ですか!」
「ひどいー!」
「ちょっとちょっと!ヴェルばっかり贔屓しないで私の方も手伝ってよー!」
「ねえジュード、何か本当に困ってるみたいだし、手伝ってあげてよ」
「うん…ノヴァさんの相手、危ない人みたいだしね」
「…ユウキ?」
名前を呼ばれて、ハッと顔を上げる。
いつの間にか俯いてしまっていたようだ。
心配そうに覗き込んでくるルドガーに、大丈夫!と笑う。
「なんだろ、寝不足かな!でも大丈夫だから!」
「…俺とエルとミラ、それからエリーゼとレイアで分史世界に行こうと思う。ユウキは宿で休んでても…」
「大丈夫だって!私はジュードくん達と差し押さえの相手をしばいてきまっす!」
「ええ。女性を脅すような輩には、軍隊仕込みの真の恐怖を教えて差し上げましょう」
「実は、俺もそういうの大得意なんだわ」
「ローエンが言うとものすごく怖い!っていうか何この頼りがいのあるアルヴィン!アルヴィンじゃない!」
「まずはおたくから折檻してやってもいいんだぜ」
「ぎにゃあああああああ」
やる気満々のローエンとアルヴィン。そしてまたも失言したらしい私の頭をアルヴィンが鷲掴みぎにゃああと叫んでいたら、ルドガーが少し安心したように笑うのが見えた。
よかった、ルドガーはこれから頑張りに行くのに、私のことで心配かけちゃ負担になるよね。
「もうアルヴィン、ユウキが本気で泣いてるからやめてあげてよ…」
「泣いてないよジュードくん!」
「僕達はノヴァさんの手伝いをしてるね、ルドガー。みんなも気を付けて」
「ああ、そっちも気をつけてな」
そしてルドガー達と分かれると、私とジュードくん、アルヴィン、ローエンはノヴァさんの差し押さえの相手のところへ向かうことにした。
まあ、そんなに困ることなく差し押さえは終わったのだけど。
そこは…その時の恐怖が蘇るので割愛させていただく…ローエンとアルヴィンに初めて恐怖を覚えました、まる。
「私、借金しないよう気をつける…」
「うん…そうだね…」
ジュードくんも少し青ざめていた。ちなみにノヴァさんはかっこいーっとはしゃいでいた。私が言うのもなんだけどこの人色々すごいな!
「っと、結構時間かかったな。まだルドガー達は帰ってきてないか?」
アルヴィンがあたりを見渡しながらそう言う。
差し押さえを終えて広場に戻ってきたらまだルドガー達は帰ってきてなかった。
そろそろ天候も悪くなってきたし、宿で待ってた方がいいだろうか。
ちなみに、ノヴァさんは会社に報告に帰ると言ってささっと街から去っていきました。
「仕方ない。僕達は宿で帰りを待っていよう。雨降ってきそうだし」
「はーい!部屋はジュードくんとを希望します!」
「大部屋に決まってんだろアホ」
「ほっほっほ。少し早いですが食事も頂いておきましょうか。じじい、少しハッスルしてお腹がすきました」
「ガタブルガタブル」
「ユウキがさっきのローエン思い出して震えてる!」
ローエンがとってくれた宿で私達は待機することになった。
時間ももうおしく、夕飯も美味しくいただき部屋でまったりタイム。
ベッドにダイブして、ほふうと一息ついた。
「ベッドふかふか~。ねむねむ…」
「ユウキ、今日ずっと体調悪そうだったね。帰ってきたら起こすから休んでていいよ」
「えー…だいじょぶ…おきてるよー…」
「ほぼ寝かけてんじゃねえか。いいから大人しく寝てろって」
「そうですよユウキさん。休める時はしっかり休む。基本ですよ」
ローエンにまでそう言われては仕方ない。
それに、今日はなぜだかすごく眠いのだ。というか、身体がだるい、というか。
もしや風邪でもひいたのかな。元気だけが取り柄の私としたことが。
「うん…そうしよっかな…ごめん、ちょっと…寝る…」
「うん、しっかり休んで」
「…ねえ、ジュードくん」
「ん?」
「私ね、ルドガー達に、言わなきゃって…思ってるんだ…でも、怖くて…」
私の頭を撫でてくれていたジュードくんの手が止まるのにも気付かず、ふわふわした意識の中口からぽろぽろと言葉が落ちていく。
きっと私は起きたときこの話を覚えてはいないんだろうけど、ジュードくんに聞いて欲しかった、のかな。
ああ、きっと違う。あの時と同じように、後押ししてくれる言葉を、私は待っていた。
ジュードくんに『頑張れ』と言わせたあの時と同じように、私はまた人に頼ろうとしていた。
「ルドガー達に、別の世界から来た人間だって、言っても、いいかな…?」
しかしジュードくんの返答を聞けないままに、私は睡魔に負けて寝てしまった。
だから、その時ジュードくんが「大丈夫だよ」と笑ってくれていたことも、アルヴィンが「悩んでるなら相談しろっての」と怒っていたことも、ローエンが優しく布団をかけてくれたことも知らなかった。