天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「うえー。リドウがいるー」
「うげー。マジだー」
「エルもユウキも声が大きいよ…」
とはいえですねジュードくん。
リドウ許すまじなのですよ!
23.歌声は海瀑に谺す
「やっときたか」
ヴェルさんからリドウがイラート海停で待っていると連絡を受けて、早足で駆けつけたもののリドウを見るとやっぱりげんなりしてしまう。
というかフルボッコされた仕返ししてやろうかこのやろう。
「!ミラ様…じゃない。お前も来たのか!紛らわしい!」
「はあ?どいつもこいつも巻き込んでおいて勝手なことを言うわね!」
「し、失礼しました…!」
と、強気なんだか弱気なんだかわからないイバルとご立腹のミラとの会話が繰り広げられている横で、ジュードくんが苦笑している。
相変わらずミラは私にとても厳しい。別に切なくなんか…なんか……うわああんとても切ないですうううう!!
「うーん…ねえ、なんでリドウ、変なメガネしてるの?」
ミラに怒られて凹んでいたイバルに、エルは首を傾げながらそう尋ねる。そういえば私もあのやけに大きいサングラスが気になっていたのだ。
なんでリドウのやつ、サングラスかけてんの?
私も気になったのでイバルのとこに教えて教えてと擦り寄ると、イバルは私を煩わしそうにした後エルに優しく教えてあげた。おい私は!
「あれ、足跡隠してるんだよ。ユリウスに逃げられた時、踏んづけられたんだとさ」
「ぷぷっ!なにそれ、みたいー!」
「笑えるぞー」
つまりリドウはユリウスさんに踏んづけられた足跡を隠すために大きなサングラスをしていると。
あれ、そういえば…。
『はい!この通りぴんぴんしてます!とはいえリドウに蹴り飛ばされたのは未だにむかつきますけどね!次会ったら本気で蹴り飛ばし返してやる!!』
『蹴り…よし、それで行くか』
ってユリウスさん逃げる前に言ってたっけ。
ということは、私がしたかったことをしてくれたのかユリウスさん!
「さすがユリウスさん!!愛してる!!」
「!?」
「えっ?!今度はユリウスさんなのユウキ?!」
「ちょっとジュードくん今度はってどゆこと?!それじゃ私が誰にでも愛を囁いてるかのような…ってわああルドガーの瞳からハイライトが消えかけてる!!」
「そうかユウキ、お前がユリウスにやらせやがったんだな?」
「ぎゃー!!ちょいこら待てリドウこのやろう頭割れる割れちゃうううううう!!」
リドウからの折檻をジュードくんに助けられて、私は隅で痛む頭を抱えて蹲る。
ちくしょうあの野郎本気で頭わしづかんできたよ!アルヴィンのしてたのがどれだけ優しかったか身にしみたよ!!
リドウははあ、とため息を吐いた後、捜索を始めるぞ、と私達にそう言った。
そう、今回は逃げたユリウスさんの捜索のために招集されたのだ。
「このイラート海停で奴の目撃情報が消えた。お前らは手分けしてあいつを捜すんだ」
というリドウの偉そうな命令を受け、私達は早速手分けして捜索にあたることとなった。
「じゃあアルヴィン、レイア、ユウキ、僕達は街道の西の方を捜してみよう」
「おう。ってユウキもかよ」
「どういう意味じゃコルア!!」
「もーユウキいじめるのやめなってばー」
「それじゃあ私は、ハ・ミルの方を捜します」
「久しぶりだねー、なつかしーねー!」
「なら俺はエリーゼに同行するよ」
「ルドガーが行くならエルもー!ミラも一緒にいこ!」
「しょ、しょうがないわね…」
「では俺達は海路を捜しましょうリドウ室長!」
「俺も同行しよう」
「おや、では私も同行させていただきましょうか」
ガイアスとローエンがイバル側に行き、リドウと王様に挟まれて涙目になっているイバルでめしうましてて、ふと気づく。
ちょい待ち…これって、もしやアルジュとジュレイとアルレイのお邪魔虫になってやしませんか私!
それにユリウスさんにルドガー頼むって言われてるからなるべくルドガーの傍に居たいし…ジュードくんと離れるの寂しいけど仕方ない!
「ジュードくん、私ルドガーについてくよ!」
「え?」
「だって、ほら。ビズリーさんが言ってたじゃん。ルドガーは私が傍にいれば大丈夫、みたいなこと。何かあれがすごく引っかかってて…それに~私お邪魔虫だし~。ちらっちらっ」
「わざとらしくチラ見してくんなアホ。まーた変態なこと考えてただろ?」
「言っておくがアルヴィン!うちのジュードくんに手を出すなら写メと動画よろしくお願いします!!」
「何言ってるのユウキ?!手なんて出されないし写メも動画もなし!!」
「なん…だと…じゃあレイアとラッキースケベしたら報告よろしくお願いします」
「それもないからね?!」
と、顔を真っ赤にしたレイアに怒られてしまった。うふふレイア可愛いよう可愛いよう!
アルジュもいいけどジュレイもたまらんのう!
「…アレも一緒なの?」
「ミラ、人のことアレって言っちゃだめなんだよ!パパが言ってた!」
「わ、悪かったわよ…はあ、なんでアンタ達あんなのと一緒で疲れないの?」
「えっと…慣れ、ですかね?」
「わーエリーゼおっとなー!」
「俺も少し慣れてきたかな。まあ未だに言ってることの大半がよくわからないんだけども」
あれ、何か向こうでミラが大きなため息吐いてるんだけど、私のことじゃないよね?!
「ハ・ミルは私が子供の頃住んでた村なんですよ」
「今だって子供だし…」
ハ・ミルに向かう道中、エレンピオス人であるルドガーとエルに懐かしそうに村の話をしたら、エルにそう切り返されはうあっとショックを受けるエリー。
ああ子供とはいかに残酷なものか…。いや私もまだ子供なんだけども。
「それよりも、なんでメガネのおじさん逃げるのかな?」
「そ、それは…きっと理由があるんだと思いますけど…」
「理由はあるよ、絶対にある」
だって、あの弟想いのユリウスさんが理由もなく逃げるなんてしないはずだ。
そりゃあ、たしかに関わった時間は少ない。でも、あんな優しい目をした人が、あんな優しく弟を見つめる人が、悪人だなんて私にはどうしても思えないのだ。悪巧みをしてるとか、絶対にありえない。
…思えば、私の兄と少し似ていた気がする。
ルドガーを見つめる時の、一瞬の悲しげな顔。
兄貴も、私を見つめる時、ほんの一瞬だけ、どこか悲しげに――――…。
「ユウキ?どうしたの?」
「えっ?!あ、ごめんごめんエルたん!私としたことが考え込んでしまった!」
「…ユウキは、兄さんを信じてくれてるんだな」
と、ルドガーに言われたので、私はぐっと親指を立ててにっと笑った。
「もちのろんよ!ユリウスさんは良いお兄さんだって私は思ってるし!あ、もちろん私の兄貴だって良い兄貴だよ!」
「…アンタ、兄弟いるの?」
「うん!私の一個上なんだけどね、もうまるで私と似てないの!よく性格正反対兄妹なんて言われててさ~。でも兄貴ってすごく優しいんだよ。私の憧れで…」
って、あれ。ミラが話しかけてくれた?!
わあああ嬉しいいいいいい!!
はわあっと目を輝かせてミラを見つめたら、ものすごく嫌そうな顔をされた。
だがめげないぞ私は!ねばーぎぶあっぷ!
「…で、そのお兄さんとやらはどこにいるわけ?」
「え」
「?なによその顔…私変なこと聞いたかしら…?」
「…ぁ」
そうだ。言ってなかった。
ジュードくん達は私が別の世界から来たことは知ってるけど、分史世界のミラ、それにルドガーとエルには私が別の世界から来たってことを伝えてない。
いや、伝えられない。
だって、怖いんだ。
ジュードくん達は受け入れてくれたけど、ルドガー達はわからない。
いい人達だってわかってるけど、もしも、を考えてしまう。
拒絶されたら、どうしようとか。存在を否定されたら、どうしようとか。
「そっか。そんな良い兄さんなら、俺も会ってみたいな」
「!」
「また今度、俺達に紹介してくれないか、ユウキ」
私の動揺に気づいて、ルドガーはそう言ってくれた。
今は無理に話さなくてもいいと、言われた気がした。
「あ、着きましたよ!」
「あそこがハ・ミルだよー!」
「いい匂いがする!ミラいこっ!」
「あっちょっと、引っ張らなくても行くってば!」
「俺達も行こう、ユウキ」
「…うん!」
ありがとう、ルドガー。
いつか、いつか私に勇気がもてたら、絶対に言うからね。
「あら、ユウキ!」
「あっミュゼ!こんなとこにいたの?!」
ハ・ミルの村に到着し、果実のいい匂いに釣られて辺りをうろうろしていたら、正面からミュゼが飛んできた。
正史世界、つまりこの世界のミラを探してここまでやってきたようだ。
こちらのミラはミュゼを見て思わず「姉さん」と呼んでしまうも、ミュゼはすぐにミラがこの世界のミラでないことに気づく。
どういうこと?と説明を促されたルドガーはかいつまんでここまでの経緯をミュゼに伝えた。
「分史世界に、カナンの地…ね」
「何か知ってるの?」
「さあ?」
ミュゼの呟きにミラが問うも、さらりと流されてしまった。
はて、ミュゼもミラもなんだか険悪なのだけど、なぜに?
その時、ルドガーのGHSに連絡が入った。
ルドガーがそれに応答してる間、私はミュゼの持っているものが気になって聞いてみることにした。
「ところでミュゼ。何でパレンジ持ってるの?買ってきたの?」
「いいえ?お店から取ってきたの。美味しいんですもの♪」
「え、それってどろぼ…」
「へー、セーレーもお腹空くんだね」
「気分的にだけどね。ミラが食事の楽しさを教えてくれたから」
「そうなんだ、ミラ?」
「…私じゃない」
ミラが、すごくつらそうにそう呟く。
きっと、ミラは自分の世界の姉であるミュゼにも、食事の楽しさを教えたかったのかもしれない。
なんとなく、そう思った。
「いた!パレンジ泥棒!お代払いな!」
「もちろん。ユウキが払うわ」
「私かいいいい!!」
いいでしょ~とミュゼに擦り寄られ、やってきた店主に迫られ、私は泣く泣くお財布からお金を取り出すのだった…。
「…兄さんが進入したかもしれない分史世界が見つかったらしい。道標のある確率も高いみたいだ」
「追いかけましょう、ルドガー!」
「注意した方がいいわ。そのお兄さん、誘ってるみたいだもの」
「だからって逃げるわけにはいかないでしょう」
ふむ、と身を乗り出したミラを見てミュゼが頷く。
それからルドガーに向き直って、ふふっと笑った。
「ねえルドガー。私も連れて行ってくれない?」
「構わないが、どうして?」
首を傾げるルドガーの横をすり抜け、ふよふよとミラの前に立つミュゼ。
その顔は、まるでお姉さんのようだった。
「この子が心配だから。危なっかしいとこはミラとそっくりだわ」
「お、大きなお世話よっ」
と言いつつも、ミラは少し顔が赤い。どうやら照れてるみたいだ。可愛いのう可愛いのう!
エルはルルを撫でながら「また変な人が仲間になったねー」と楽しそうだ。
で、みんな分史世界に行く気満々ですけど、まあ私はいつものごとく置いてけぼりですよね知ってる!
「ユウキ」
「わかってるよう!大人しくお留守番してるよう!でも無理はしないでね、みんな。あとユリウスさんに会ったら結婚してくださいって伝えてくれてもいいのよ」
「けっこ……」
「ちょ、ちょっと!ルドガーの目からハイライトがなくなるようなこと言うんじゃないわよ!」
「ルドガーってブラコン、っていうんだって、この間アルヴィンから教えてもらったよ!」
「アルヴィン何教えてるんですか…!帰ったら断罪です!」
「断罪だー!」
「ふふ、相変わらずユウキがいると賑やかねえ」