天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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――起きろ、バカ優姫。今起きないと後悔するぞ――
それは、私が寝坊をしそうな時に兄貴が使う魔法の言葉だった。
20.私だけの一番星
「起きますごめんなさああああい!!」
「何事?!」
ガバッと飛び起きて、急いで服の支度をしようとベッドから飛び降りて制服を探すが見当たらない。あれ?と思って、ああと項垂れる。
(私、今エクシリアの世界にいるんだった…)
一年前はちょくちょくこうやって飛び起きて大慌てで支度しようとしていたが、最近はなくなっていたというのに。
この間兄の声を聞いたからだろうか。はたしてアレが本当に兄の声だったのかはわからないけども。
「だ、大丈夫?ユウキ」
「え?あっ、レイアー!おはよー」
「もう昼過ぎだバカ」
「え?」
アルヴィンに言われて、壁にかかった時計を見たらどう見ても昼を過ぎてました。
えーと、私何してたんだっけ…昼寝?
「おたく覚えてないのか?俺達は分史世界から戻ってきたらリドウの野郎にフルボッコされてやがっただろうが」
「フルボ…ああっ!!そうだあのやろう!リドウを出せー!!断罪だー!!」
「あはは…とりあえず元気になってよかったよ」
「って、みんなはいずこ?」
ここはたしか、クラン社の一室だったはずだ。部屋の中にはレイアとアルヴィンしかおらず、他には誰もいない。
そう思って聞いてみたら、レイアとアルヴィンがこれまで何があったかを話してくれた。
簡単に説明すると、ルドガーはクルスニクの鍵だそうだ。ルドガーの力なら分史世界から物を持って帰ることが出来る。つまり、カナンの地への鍵、カナンの道標を手に入れることができるのだという。
ユリウスさんはビズリーさんに引き渡され、その後どうなるかはわからないんだとか。
「……つまり、カナンの道標を五つ手に入れて、んで無の大精霊オリジンがいるカナンの地に行って、願いを叶えてもらう!ってわけ?」
「ああ。ビズリーは全ての分史世界の消滅を願うらしい」
「まさかクルスニクの鍵、なんてまた聞くことになるなんて思わなかったよ。で、結構重労働だったからみんな各自休息中。ユウキのことはさっきまでルドガーとジュードとエルが見てたんだよ」
どうやら交代で私を見ていてくれたらしい。これは申し訳ないことをした。
「じゃあ次はカナンの道標探し、ってことだね!よっし、そうとなったら私も!」
「だから今日は休息とってるっつってんだろ!おたくももう少し安静にしてろ!また馬鹿騒ぎするのは明日からでいいって」
「そうそう!じゃ、私達もそろそろ休むね!ユウキもしっかり休んで明日からまた頑張ろう!」
「おうよ!ってあれ?私なんか馬鹿にされてない?大丈夫?されてない?」
してないしてない、と二人は楽しそうに笑って、それから部屋を出て行った。私も身なりを整えてから腰に剣を下げて、よしと立ち上がる。
(いつまでもこの部屋にいるのもあれだし、とりあえずヴェルさんにでもお礼言って帰ろうかな。あとリドウはぶっ飛ばす)
そう思って扉を開けたら、壁、もとい誰かが立っていた。
「うぎゃおおおお?!」
「驚かせてしまったかな、すまない」
「あっ!ユリウスさん!!お久しぶりでっす!」
どうやら立っていたのはユリウスさんだったようだ。
そういえば捕まってると聞いたが、大丈夫なのだろうか?
それとなく聞いてみたら、フッと微笑まれた。
「大丈夫。もう少ししたら逃げるけどね」
あ、今の内緒な。と言うので私はえへへと笑ってそれを了承しておいた。
「もしや私に何か用でした?」
「ああ…身体の方はもう平気なのか?」
「はい!この通りぴんぴんしてます!とはいえリドウに蹴り飛ばされたのは未だにむかつきますけどね!次会ったら本気で蹴り飛ばし返してやる!!」
「蹴り…よし、それで行くか。…ところで、これから君はどうするんだ?分史世界には行けないが、それでも…」
「一緒にいますよ?ルドガーとエル、ジュードくんやみんなと!私がいても何の役にも立たないけど、それでももしかしたら何か役に立つかもしれない。誰かに言われたからってだけじゃなくて、私自身の選択です」
これから何が起こるかも、何ができるかもわからないけど。
それでも一緒にいたい。手伝えることが少しでもあるなら何かしたい。
他でもない、これは私の意志だ。
「…そうか。君みたいな子でさえ俺は…」
「え?」
「…ルドガーを、頼む。傍にいてあげてくれ」
「もちのろんです!」
ニッと笑ったら、ユリウスさんはなんだか泣きそうな顔で笑っていた。
ユリウスさんがリドウに連れて行かれ、ぎりぃっと睨んでやったらクラン社を追い出された。解せぬ。
仕方ないなあ、と私は夜のトリグラフを散歩することにした。
今日は空がすごく綺麗で、風も気持ちが良い。
明日こそは、みんなの役に立てますように。
next
(…あれ?あそこにいるのって……)
「ジュードくん!」→sideJ
「ルドガー?」→sideL
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その後の展開には影響はないので好きなキャラへお進みください(笑)