天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「カナンの道標、ってお前わかるか?」
キジル海瀑に着いて、まったりのんびりと休憩をしていたら、唐突にリドウにそんな名前を言われて首を傾げた。
19.過激な出迎え要員
「カナンの道標ってことは、カナンの地に入るために必要な何か、ってことだったり?」
「その通り。どうやらこれも知ってるようだな」
「え、や、知らないけど…今適当に言っただけだけど?!」
リドウは何故か私をじいっと見てくる。一体何だって言うんだ…ていうかこれも、とか何か前にビズリーさんにも言われたような…。
もしや、二人とも私が何か知ってるとか思ってるとか?!
「ちょちょちょ!私何も知らないからね!分史世界も骸殻もクルスニク一族もカナンの地も全部最近知ったことだからね?!」
「ところでお前、ユリウスに何か言われたか?」
「え?あ、えーっと、弟を頼むってことぐらいだけど…後は骸殻とかそういう説明聞いたかなー」
少し前のことなので思い出しながらそう言ったら、リドウはくっくと肩をふるわせて笑った。
「なるほどねえ…弟思いの良いニーサンだこと。自分より弟を取ったか」
「どういう意味?」
「さあね、ユリウスに会ったら自分で聞いてみろよ」
むむむ、と睨むもリドウには効かず、仕方ないので先ほどからご飯を作っているイバルのところに行くことにした。
「はあ…あ、イバルご飯できたー?」
「今終えたところだ。…偽物二号、お前はどうやって戻って来たんだ?」
「あ、そういえばイバルには説明してなかったっけ。いやあ実はウルスカーラで消えてから、気がついたらイル・ファンにいたんだよねー。んで、ジュードくんに見つけてもらって、なんやかんやで今カン・バルクの城に住んでるフリーターってわけ」
「…そうか。ふん!貴様のような図太い輩、どうせ蘇ってくるだろうと心配などしていなかったがな!」
「なにおう!ってイバル何それ超美味しそう?!」
リドウと私の前に出されたそれは、見た目は派手でもないのに何故か食欲をそそられた。食え、と言うので手を合わせてからいただきますしたら。
「美味しい!イバルのくせに料理できるとか何なの?!」
「前々から言っていただろうが!俺の料理スキルはジュードをも越えるのだ!」
「美味しいけど何かむかつくんだよなあ…もぐもぐ」
ぎゃあぎゃあと私とイバルが騒いでる横で、リドウは参加することもなく完食していた。
ニ・アケリアに到着すると、中にさっさと入っていくリドウ。そしてその後を追うイバル。
相変わらず穏やかな雰囲気の村だが、見ればなんだかこの場に不釣り合いなOL姿の女性や、リーマンっぽい人達がちらほら見える。
これが、断界殻を壊して二つの世界が繋がった証だ。この一年でリーゼ・マクシア人とエレンピオス人が入り交じるのが当たり前の生活に変わってしまったのだ。
「んでんで、ルドガー達どこにいるの?んでなんで私連れてこられたの?お出迎え要員?」
「ある意味そうだな。さーて、ちょっと試しに反応見てみるか」
「反応って誰の?ってほぎゃっ?!」
「リドウ室長?!」
イバルの焦る声も当然だ。なぜならリドウはいきなり武器を構え、そのまま私に襲いかかってきたのだ。
ミラの社へと続く参道の手前で、私は腰に下げた剣を出すのが間に合わず、リドウからの攻撃を受けてしまう。村人達が驚いている。全部リドウのせいだ。
「このやろ…っ!いきなり何すんのさっ!!」
売られた喧嘩は買わねば、と今度こそ剣を抜き、リドウに向かって振り下ろす。
しかし容易く避けられ、代わりにリドウの蹴りは私のお腹にクリーンヒットする。ずしゃあっ、なんて効果音と共に地面に滑ると、起き上がるのが億劫に思えるくらい苦しかった。
リドウは、一瞬骸殻になったように思えた。でもそれも一瞬のことで、もしかしたら骸殻になっていないかもしれない。ただ、経験とか力量とかの差を痛いほど思い知らされた。
「げほっ、くっ、はっ…!」
「やっぱり効かないか…まあ、骸殻能力は精霊の力、ってやつらしいしな」
何を言っているか、よくわからない。やっぱり、ってどういうことだ、リドウは、私の何を知っているというのだ。リドウもビズリーさんも、ユリウスさんも。あの人達は、私の何を知って、いると…。
リドウは私の傍まで来ると、腕を掴んでまるで人形を持ち上げるかのように視線を合わせてくる。その目を薄ぼんやりと見て、なんとなく思った。ああ、何か焦っているんだなあと。何かはわからないけども。
「っ!リドウ室長!何を考えているかはわかりませんが、そこまでにっ!」
「彼女を離せッ!!」
視界も意識もぼんやりする中で、イバルの止める声に被さるように大きな声が聞こえた。
あの声は、誰だ?ああ、そうだ、ユリウスさんだ。こんな良い声忘れるわけがないもんな。
「戻って来たかユリウス。さあ、クラン社に戻ってもらおうか」
「いいからその手を離せ!彼女に触れるなッ!」
「それは、こいつの許容量がオーバーしないため、ってか?なあユリウスよお?」
「ッ?!貴様、知ったのか…!!」
なんだか、不穏な会話が聞こえる。ていうか、だから私にもわかるように説明をだな…。
「はぁっ!!」
「!ちぃッ!!」
ルドガーがリドウに斬りかかって、私はぽーいっと放り投げられる。
元気だったら「てめえこのやろう!」くらい言えたのだが、生憎そんな元気はない。身体が重い。
ちょうど近くにいたイバルにキャッチされ、「大丈夫か!」と揺さぶられる。おいやめろ、気持ち悪いからやめ…おえええ…。
「落ち着いてイバル。エリーゼ、レイア、ユウキの治療をお願い。……どういうわけか、説明してくれますよね、リドウさん」
あ、何かジュードくんの怒った声が聞こえる…はっ!そういえば、怪我でもしてたらどうなるかわかってるよね?って言われてた…!
理不尽とはいえ、見事にフルで怪我をしてしまったわけだが…!!
(……よし、現実逃避だ!)
何やら大騒動が起きている中で、私は何もなかったかのように一眠りすることにした。その際意識のなくなった私にエリーとレイアが悲痛な声を上げ、みんなを盛大に心配させたのだけど、今の私にそれを知るよしもなかった。