天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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初めての任務、として俺達は分史世界にやってきた。一人、仲間を置き去りにして。
17.彼女について-sideL
《わああんルドガー!!置いてかれた!置いてかれた!!大事なことだから二回言ったよ!!》
ヴェルからかかってきた連絡で、その場にいるらしいユウキに連絡を取ってもらうように頼むと、すぐ俺のGHSにユウキから連絡が来た。
出るなり彼女は涙声でそう言ってきて、元気だなと笑いそうになるのを堪える。
ジュードとエルからの伝言を伝えると、ユウキになぜか下着の色を聞かれたのでとりあえず切っておいた。
「またあいつだけ来れなかったのかよ。戻ったらお仕置きだな」
「えー!ユウキは行く気満々だったじゃん!そんなことしたら可哀想だよ!」
「そうです!アルヴィン酷いです!」
何やらアルヴィンが総スカンをくらっている。そっとしておこう。
隣では、ジュードが苦笑している。さっきまでユウキがいないことに取り乱しかけていたが、無事だということを確認できて安心したらしい。
「あーあ、またユウキいないね、ルル」
「ナァ…」
エルもなんだかんだ言ってユウキがいないと寂しいらしく、ルルを撫でながら唇をとがらせている。かくいう俺も、少し物足りなく感じている。
ユウキの言ってることはほとんどわからないのだけど、あの賑やかさは俺の不幸な状況も明るくしてくれるのだ。そもそも、俺の借金をほとんど肩代わりしてくれたのは彼女である。そういえば、あんな大金どうして持っていたのだろう。
まあ考えていても仕方ない。また聞くとしよう。
街で情報収集すると言うジュードとレイアと分かれ、俺達は正史世界ではテロによって壊された自然都市アスコルドが存在しているということで、そちらに向かうことにした。
そこではアルヴィンの叔父であるジランドという人がいて、何やらアルヴィン含めみんなと因縁めいたものがあるようだ。ジランドを騙し、中に入らせて貰った後、俺達は大精霊アスカを探した。
途中トマトがたくさん育てられていて、エルとアルヴィンが嫌そうな顔をしていたのは少しおかしかった。今度、美味しいトマト料理を食べさせてあげよう。
「まだカナンの地を見つけられないのか?始祖と同じく、我らとの共栄を望むなら、カナンの地へ急ぐことだ。そろそろ二千年…オリジンが魂を浄化するのも限界だろう」
会うことのできたアスカは、俺を見てそう言った。俺をクルスニク一族だと見抜いて、カナンの地へ急げと。
まだ、とはどういうことなのか。クルスニク一族は、一体何をしてきたのか。何をしようとしているのか。
兄さんは、知っているのだろうか?知ってて、俺に黙っていたのだろうか?
錯乱したジランドをアスカが殺してしまうと、アスカは空高く飛び立った。
エリーゼとローエンはジランドの遺体を埋葬すると言って残り、合流したジュードとレイアと、どこか寂しそうなアルヴィンと一緒に、髪の長い女のような精霊のいたらしい場所へ向かうことに。その時、今まで鳴らなかったのが不思議なくらいな相手、ユウキから着信があった。
《あ、ルドガー?えっと、時歪の因子見つかった?》
まだ見つかっていなくて、さっき起きたことで少し混乱していた頭を整理するように、俺はユウキに説明をした。その隣でユウキからの着信とわかって貸して貸してと手を伸ばすエルに、仕方ないなと渡そうと思ったのだけど、なにやらエルではなくアルヴィンがユウキと話をしたかったようだ。すっと、無言で差し出したら、うぐぐと言いながらアルヴィンは受け取る。
お前のおかげだ、とアルヴィンはユウキに言っていた。ジランドに対して、埋葬すると言い出したのはそもそもアルヴィンだった。どうせ壊す世界だけど、あの時できなかった分をここでしてやりたい。と、アルヴィンが言ったのだが、ローエンがそれをやんわりと止めた。
決意はわかったが、身内の遺体を埋葬すればきっと、この世界に未練が残る、だから私達に任せてください。そう言った。
アルヴィンは少ししぶるも、サンキュ、と部屋を出た。
彼らは、ジランドと何かあったのだろうか。まだ仲間として日の浅い俺には、わからないことだらけだ。
「ジュード、どうかしたのか?」
アスコルドからトリグラフに戻り、ヘリオボーグの先にある丘を目指して歩く中で、何やらずっと考え事をしているジュードが気になって声をかけてみた。ジュードは俺の声にハッとして、ごめんねと謝る。
「少し考え事…ユウキのことなんだけどね。僕達、これで分史世界に来るのは四回目、になるよね?」
「ああ」
「全部、ユウキも一緒にいたんだよ。なのに、ユウキだけいつも分史世界に来れない。これって、おかしくない?」
それは、俺も思っていた。
兄さんと列車の中で会った時も、ヘリオボーグでも、ドヴォールでも、そして今回も。
一緒にいる他の仲間はみんな分史世界に飛んだのに、ユウキだけはいくら意気込んでいても一緒に来ることはなかった。
「ユウキに何かある、ってことか?」
「うん…でも、まだ分史世界も理解できてないから何か、とまではわからないんだけど…」
「あ、もしかしてユウキが、私達とは違うせかもごもご」
「レイア少し黙ろうな!」
「レイア!」
「もごっ、あ、ごめん…」
「なになにー?ユウキが何なの?」
レイアが何かを言いかけ、それを遮るようにアルヴィンがレイアの口を塞ぎ、ジュードが咎めるように名前を呼ぶとレイアも焦ったような顔をした。それにエルが聞き返しても、曖昧な返答で誤魔化されてしまう。
ユウキのことも、俺は何も知らないんだ。どこで生きてきたのか、どこで暮らしてるのか、何をしているのか、何も、知らなかった。
次元の裂け目のあるという丘には何もなく、代わりに髪の長い女みたいな精霊と出会った。彼は時を司る大精霊で、エルに攻撃をしようとしたが俺は骸殻になりそれを防ぐ。
クロノス、と名乗る精霊は、マクスウェルを時の狭間に閉じ込めたと言った。それにジュード達が怒りをあらわにし、全員で応戦するも攻撃なんて一撃も届くことはなく。なすすべもない俺達だったが、その時だった。
兄さんが来た。
俺の時計を、と手を伸ばす兄さんに、俺は意を決して差し出す。兄さんはそれを受け取り、俺を抱えてよくわからない裂け目に飛び込んだ。
飛び込む直前、男を見た。
眼鏡越しに俺達を見るその目は、酷く冷たいものだった。