天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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あのあと、ジュードくんが長期休暇をとってパーティインしてからとりあえず借金返済だーっと意気込んでクエストしている最中、ルドガーのGHSが鳴った。
どうやら、新たな分史世界とやらが発見されたらしい。
14.分史世界破壊命令
《分史世界エージェントとして、ルドガー様に対処命令が下されました。これがルドガー様の初任務となりますので、十分に準備を整えてからクランスピア社までお越し下さい》
ぴ、と無機質な音とともにGHSは切れた。
ふむ、エージェントはこうして連絡を受けての任務になるのか。あ、いやもしかしたらメールの可能性もあるけども。
ルドガーとヴェルさんのやり取りを聞いていたエルがうーんと腕を組む。
「メガネのおじさん見つかるかな?あと、カナンの地にすむセーレーも」
「ナァー」
「そういえばユリウスさんイケメンだったねー!イケメン兄弟の二人暮らし…ぐふふこれは萌えの予感がぷんぷんしますなあ!」
「どうするルドガー?もう向かう?」
「…ああ、仕事、だからな」
ルドガーは、少し不安そうに見えた。
それもそのはず、今までは意図せず分史世界を破壊していたけど、今回は自らの意志で壊すのだ。
自分の今いるこの世界と似た、一つの世界を。
それがどんな仕事なのか、どうこの世界のためになっているのかわからないけど、しないといけないことなのだという。
正直、私にはよくわからない。ていうか、一年前私達が旅をしていた頃からすでに分史世界を壊している人達がいたということに驚きだ。
(…ま、考えてもよくわかんないことは考えないでおこっと!頭パンクするし!)
「だから社の秘密なの!」
「わかってるってば!誰にも言わない!わかってるんでしょ?ユリウスさんがどうなってるかくらい――…」
先にいっててと言われジュードくんと分かれた私達がクランスピア社に到着すると、何やらそんなやり取りがエントランスから聞こえてきた。
声のする方へと歩いて行ってみれば、そこにいたのはなんとヴェルさんとノヴァさんだった。
ヴェルさんはルドガーに気づくと、丁寧に会釈をしてくれる。
その横のノヴァさんはやっほーとルドガーに手を振った。
「聞いたよルドガー!エージェントになったんだって?すっごいじゃん、ユリウスさんと同じ仕事!ずっと憧れてたもんね、ルドガー」
「……」
「何で借金の人がここにいるの?」
「あ、私とヴェル、姉妹なの。双子の」
「双子おおおお?!あっ、そう言われてばどことなく似ているような…」
「似てるよユウキ!」
「ナァ!」
エルとルルと一緒に二人を見比べていたら、後ろから足音がぞろぞろと聞こえた。
振り向くと、やはりジュードくん。と、街で待機してた組のアルヴィン達がやってきたではないか。
「分史世界のこと、みんなに話しちまった」
「私達も連れて行ってはくれませんか、ルドガーさん」
「…手伝ってくれるのか?」
口の軽い男アルヴィン!よろしくぅ!と言っている間にローエンがそう頼むと、ルドガーは少し驚いたように聞き返していた。
それに対し、ローエンはもちろんです、と微笑んだ。
「ことはエレンピオスの問題ではありません。年寄りの知恵が役立つこともあるでしょうしね」
「わたしも手伝うよ!これってすっごいスクープだし!」
「私も連れてってください」
「心配だしー。主にユウキ」
「私かい!!」
「じゃあ俺もついてくわ。心配だしな、主にユウキ」
「アルヴィンまでかコルア!!」
アルヴィンの寂しがり屋ーとティポがかまって、ぐいぐい引き伸ばされている。
つまりは、全員勢ぞろいで行くということになる。
まるで一年前のようで、わくわくした瞬間、ふと悪寒がした。
(…一年前と、同じ?行く先々でみんなと出会って、また全員が集まって…?それって、まるで)
「ユウキ?」
「っ!あ、はいはい何何?!」
「いや…少し、顔色が悪かったから」
「えっ?そんなことないってば!さーて、初任務だから気合入れなきゃね、ルドガー!」
「ああ、そうだな」
ルドガーに心配かけてしまった。いかんいかん、一番不安で緊張してるのはルドガーだというのに、私が心配させてどうするのだ。
ふるふる、と私は顔を振ってよくない考えを払拭する。
ありえないありえない。
まさかこの世界、今起きていることが。
誰かの書いた物語に沿っているだなんて、有り得るはずがない。
分子対策エージェントの任務は、分史世界に進入し、時歪の因子を破壊することらしい。
時歪の因子は分史世界を形成する要であり、通常は“何ものか”に擬態している。
時歪の因子である可能性が高いのは正史世界と“最も異なっているもの”で、それは物だけでなく人に取憑いている場合もあるとか。
「で、この目標分史世界の座標にGHSを通して飛べばいい、ってことでファイナルアンサー?」
「つまりそういうこった。進入点…トリグラフか」
ヴェルさんからルドガーのGHSに送られた座標とやらを、アルヴィンと一緒に覗き込む。
分史世界NO.F4216。座標=深度198:偏差0.89。
うーんさっぱりわかりませんね!
「皆さん、準備はいいですね」
「ばっちり!ね、エリーゼ!」
「はい!いつでも行けます!」
「ボクもばっちりだよー!」
「エルもルルもばっちり!」
「うん、ここで躊躇してても仕方ないしね。行こう、ルドガー」
「ああ」
ルドガーが時計を使い、骸殻へと変身し、そして。
「……………置いてかれたあああああ!!」
またも、みんなは私を残して分史世界へと旅立ってしまいましたとさ。
泣いてないよこれ心の汗だよ。
「……やはり、貴女は」
「あっヴェルさん!!私だけ置いてかれたんですけど何がダメだったんですかね?!ジュードくんとルドガーでアイドルになれば金儲けできるよぐへへとか考えてたのがいけなかったんですかね?!」
「少々お待ちください」
クランスピア社の一室で、取り残された私のもとへやってきたヴェルさんに泣きついたらヴェルさんは素早い動作でGHSを操作する。
うう…なぜ私だけ残されるの…いやらしい妄想してるのがダメなの…?
「目標分史世界への進入を確認しました。直ちに時歪の因子の探索を開始してください」
「って、えええええGHS繋がんのおおおおお?!」
「骸殻能力者が接近すれば、時歪の因子に反応が出るはずです。ただし、時歪の因子を破壊できるのは骸殻能力者の武器だけです。最後に、時歪の因子を破壊しない限り正史世界には戻れませんのでご注意を」
「って、えええええそれ何で飛ぶ前に言わないのおおおおお?!」
「……はい、わかりました。伝えておきます」
ぴ、とヴェルさんがGHSをしまうと、くるりと私の方を向いた。
「ルドガー様達は無事進入に成功した模様です。それと、伝言を預かりました」
「はい?」
「ルドガー様から『連絡を入れてくれ』と」
それでは、とヴェルさんは部屋を出ていく。
私は本当に繋がるのかドキドキしながら、ルドガーのGHSにかけてみる。
と、ワンコールもしないうちにルドガーが出た。
《ユウキ、正史世界にいるんだな》
「わああんルドガー!!置いてかれた!置いてかれた!!大事なことだから二回言ったよ!!」
《俺達はこれから時歪の因子を探す。ユウキはその間…え?ああ、うん。わかった》
「ん?何何、どしたのルドガー」
《ジュードが、そこから動かず帰りを待っててくれって》
「ジュードくん!」
《もし帰ったとき怪我でもしてたら……わかってるよね?だそうだ》
「ジュードくんマジ鬼嫁!!」
《あとエルから、ルドガーのご飯はなし!ぷん!だそうだ》
「エルたんマジカワユス!ていうかルドガーぷんって可愛い可愛いあっそうだねえルドガー、今日パンツ何色……切られた!!」