天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
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「地下とかなんぞこれ!訓練場ってなんぞこれ!!」
「ユウキ落ち着きなよ…」
13.クルスニク一族の末裔
まずは一階のエントランスに戻り、そこから反対側のエレベーターに乗って地下十階へと降りた私達。
地下訓練場というだけあってかどこもかしこもボロボロで、年季も入っているように思える。
大企業は内部がどうなってるかわからなくて怖いな…私の世界でも大企業の地下にこんなところがあったらどうしよう!!
わーいとエルと一緒にはしゃいで走り回ってたら、ジュードくんに怒られた。ジュードくんマジおかん。
「来たな、ルドガー。さっそくだが時間が惜しい。力の使い方は実践で覚えてもらうぞ」
「!」
階段を下りた先にいたビズリーさんに話しかけたら、いきなりそんなことを言われる。
と、その時壁際にいた私達の前方に、気づけば魔物が数匹群がってきていた。
ルドガーの背後をとり、今にも襲いかからんばかりに威嚇している。
手出しはするな、とビズリーさんに言われてしまえば、私達はぐっと耐えるしかない。
「さあ、見せてもらおう」
「っ、うおおおおおおっ!!」
「!!」
ルドガーが叫び、その姿が変わる。
似た姿を、私は見たことがある。
列車の時、私を連れて逃げた時のユリウスさんとそっくりだ。
これが、骸殻。
骸殻の強さは普段と格段に違って、恐ろしく強かった。
ほぼ一瞬にして敵を消し去ると、ルドガーは変身を解いて肩で息を吐いていた。
もういいだろうと私達も駆け寄る。少しして、ルドガーも息を整えたようだった。
「こんなところだな。…ユリウスに比べればまだまだか」
「今のが、骸殻…」
「なんでルドガーにこんな力があるんだよ…?」
「ルドガーがクルスニクの末裔だからだ。その時計こそ、クルスニク一族に代々伝えられる変身の鍵。お前の時計は今までユリウスが使っていたようだがな」
「……」
「ルドガーのじゃなくて、パパのだし」
…つまり、ルドガーに使わせないために時計をユリウスさんが取ってた、ってことなのかな?
やっぱり、骸殻には何か秘密がある。ユリウスさんが使わせたくないと思わせる何かが。
「クルスニクって、意志の槍を持つ創世の賢者ですよね?」
「賢者クルスニク…リーゼ・マクシアでは、そう伝わっているらしいな」
「では、ということは、エレンピオスでは違うんですか?」
「賢者じゃないなら何なの?」
「精霊どもの玩具」
その言葉に、みんなは驚いた。
ビズリーさんは少しだけ、忌々しいといったように表情を歪めたがすぐにいつもの余裕な顔へと戻った。
「骸殻はその一族に与えられた…いや、かけられた呪いだ。同時に、人間に残された武器でもある。ルドガー、お前なら使いこなせるはずだ」
「はいはーい!質問いいですか!!」
「ああ、いいとも。何が聞きたい?」
私が手を上げて質問を要求すると、あっさりとオッケーが返ってくる。
それなら遠慮なく、と私はビズリーさんに聞くことにした。
「骸殻って、回数制限とかありますか?使い続けると変なことになるとか?」
「っ?!」
「それなら心配はいらない。君はずっとルドガーについているのだろう?」
「え?」
「君がいる限り、ルドガーに何があっても心配はいらない、ということだ」
意味がわかりませんがな!と更に問いただそうとしたのだが、ビズリーさんはこちらに背を向けてさっさと出口へと向かっていってしまう。
「新たな分史世界が探知され次第連絡をいれる。それまでは休むがいい」
「と、言われましたけど…結局どういうことなの?!私何者なの?!」
「もういろんなことありすぎでよくわかんないよー!」
「ルドガー、もしかしてユウキのせいで不幸体質が移っちまったんじゃね?」
「私不幸体質?!」
とりあえず外に出よう、とエレベーターに乗ってそんなやり取りをする。
ルドガーの骸殻能力もいまいちわからないし、加えて私のことまで追加されて何が何やら。
私がルドガーの傍にいるなら、ルドガーは心配いらない、とは一体なんのことだろう?
それってつまり、私が傍にいなかったらルドガーやばいってこと?!
「……ユウキ、俺は」
「ルドガー!私ルドガーについていくからね!!結局よくわかんなかったけど、私がいれば大丈夫らしいし!ってわけで、まずは借金返済しようぜ!」
「変身できても、借金は返せないもんね」
「ナァー…」
「え、エルたんそんな切ないこと言っちゃらめえええ!!」
「…ふっ、ふふ…うん、これからもよろしく頼む、ユウキ」
そう言って、ルドガーは微笑んだのだ。
これが…妖精の微笑みか…!!
「……ユウキ」
「ひぃっ!ごめんなさいジュードくんでも別に私ルドガーぺろぺろなんて思ってなくていやちょっとだけ思ったけどでもでも!!」
「嫌な予感がするんだ。また…あの時みたいなことになったら、って…」
あの時、とはおそらく一年前の旅で私が消えたことだろう。これがジルニトラの時のことか、それともウルスカーラでのことかはわからないが、ジュードくんは私を心配してくれている。
不安げなジュードくんの手を握って、私はニッと微笑む。
「だいじょぶだいじょぶ!もうジュードくんを悲しませたりしないよ。だってそれが私の使命なんだからね!!」
「ユウキ」
「それに、ルドガーもエルもいるから大丈夫だって!いざとなったら、ルドガーに守ってもらっちゃったりするしね!」
「………………」
「とか言ってむしろ私が守りたいんだけどねー!!妖精は保護すべき!!ってあれ?ジュードくん?」
急に黙り込んだかと思えば、物凄い速さでGHSを操作して私達から離れた。
誰かに連絡しているようだけど、急にどうしたというのだろう?
首を傾げていたら、アルヴィンに「あーあ」と言われた。
「おたく、絶対恋とかしたことないだろ。どうせ小さい頃はお父さんと結婚するー、でそれ以降変態街道まっしぐらだったんだろ」
「決めつけ?!いやまあ、たしかにそうだけどちょっと違うよ!!」
「お、じゃあ恋したことが」
「小さい頃はお兄ちゃんと結婚するって言ってたよ私!!」
「そこかよ!!」
「俺も…兄さんと結婚するって言ってた…」
「ルドガーもかよ!!ああこら変態!目が輝きすぎだ落ち着け変態!!」
「で、ジュードは何してるのレイア?」
「うーん…多分長期休暇取ろうとしてるんじゃないかなー…」
「ナァー?」
その後、ジュードくんはとても良い笑顔でGHSを閉じて、「僕もついていくからね」と言ってくるのだった。