天使と奏でるシンフォニー(TOX2)
DREAM
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「着いた!ヘリオボーグ基地!」
「それにしても、何か様子が変だよ」
08.源霊匣、暴走
ヘリオボーグ基地まで無事到着したものの、何やら慌ただしい。どうすれば、とかどこからか聞こえてくるし、これは何か一大事の予感がする。
「何かあったんですか?」
「ああ、ジュードさん、それが」
「完全に警備システムを押さえられてる。俺だけじゃどーにも…ってジュードか?」
「アルヴィン!」
「げ、ユウキまでいやがる」
「ジュードくん聞きました今の?!げって言った後の追い打ち!やろーてめーぶっころーすっ!!」
近くにいた研究員に話を聞こうとしていたら、突如現れた髭。もといアルヴィン。研究員の方は事情説明をアルヴィンに任せて他の人のところへいってしまった。
とりあえず失礼な態度を取られたのでアルヴィンに飛びかかったら、腕を掴まれてそのまま関節技をかけられた。
「痛い痛いこれいじめじゃぎゃあああ」
「アルクノアが警備システムを制圧したんだよ。加えて見学に来ていてリーゼ・マクシアの親善団体が中にいて、案内していたバランも一緒なんだと」
そこまで言い切って、アルヴィンはようやくルドガー達に気づいたらしく「お」とそっちに身体を向けた。
「ジュード君、こっちの紹介は?」
「ああ、うん。二人はルドガーとエル。僕達バランさんに用があってきたんだけど…。人手が足りないなら僕が行くよ」
「みんなで、だろ?それに俺も行くって。あ、そうだ。ルドガーだっけ?これはアルクノアのテロで、俺は元アルクノアなんだけど、信用してくれる?」
と、アルヴィンは唐突にそう切り出した。まあいずれバレるかもしれないことだし、かつ信頼を得るためには身のうちは明かしておく方がいいだろう。
と考えているかはわからないが、ルドガーはアルヴィンを見つめたままこくりと頷く。
「信用するよ」
「へえ、さすがジュードとこのバカのお友達だな」
「アルヴィンは友達じゃないの?」
「そうだといいって思ってるよ」
くっく、とアルヴィンが笑ったら、エルは少しじと目で見ていたが、それをジュードくんがくすっと笑ってフォローに入った。
「友達だよ。僕にとっては、ある意味人生の先輩かな?」
「先輩…!ジュードくんそのままアルヴィン先輩って言ってくださぎゃああああ」
「わわっ!いつまで関節技してるのアルヴィンっ!」
「ああ、わりいわりい。何かこいつに会ったらこれしないと落ち着かなくてなー」
「…やっぱり信用できなさそう…」
エルのさらなるじと目に、ルドガーが苦笑しているのが見えた。
「ふう…思いの外アルクノア多い!」
基地内に入ると、早々にアルクノアに襲撃され、連携をとりつつ死なせないように慎重に倒していく。
周辺のアルクノアを縄で縛ってその辺に転がしてから、ふうと一息ついた。ただでさえ天候が悪くて調子も狂っているというのに。
「あ、エル大丈夫?」
「うん平気。ユウキってわりとすごいんだね!」
「わりと?!私結構やる方だと自負してますが!ね、ジュードくん!」
「さっき転んだとこ見せて、治すから」
「ぐ、ぐへー…」
ほら早く出さないと怒るよ?と言わんばかりに見つめられ、仕方なく膝を出す。
そこは赤くなって、少し擦れていた。血も滲んでいる。
もう、とジュードくんはため息を吐きながら屈んだ。
「って、ジュードおま…その体勢はどうなんだ」
「え?…………うわああああ?!ユウキごめん!!」
「え?何が?!ジュードくん何に謝ったの?!」
アルヴィンがルドガーにこそこそ何か言っているが、ジュードくんはただ私の膝を癒やそうと屈んで、上を見上げただけだ。とくに変なところなどない。謝られるところもない。
首を傾げていたら、エルがハッと気がついたようにジュードくんを指さした。
「わかったーっ!ジュード、ユウキのパンツのぞいたんだ!」
「のののののぞいてないよ!!不可抗力だよ!!」
「のぞいたのか」
「ルドガーまで?!」
けらけらアルヴィンが笑っていて、ジュードくんは顔を真っ赤にしている。ていうか、別にパンツ見られてもとくに困らないし…むしろ見せちゃってごめんなさいだろ…。
それにルルなんてさっきから私の足下にいるから最前席でパンツ見てますがな。
「でも今日の私は水色の縞模様で気合いは十分で」
「言わなくていいよ!!」
「ぐほう!!」
恥ずかしいらしい純情ジュードくんは、照れ隠しに私のお腹に軽いけれどパンチを入れてきた。獅子戦孔じゃなくてほんとよかった。
ジュードやりすぎ…とひきつった笑いを浮かべるアルヴィンに、うわああ?!とまたジュードくんがテンパっている。今日も私の天使は可愛い。髪を頑張って跳ねさせているのも相まって、もう完璧な天使だ。
いや、白衣を着ているから白衣の天使だ。
「ルドガー、ユウキお腹おさえながらなんかにやにやしてるよ?」
「見ちゃいけません」
ルドガーがそっとエルの目を塞いでいたのは後から聞いた話である。
「どけ偽物二号!」
「え?ぐほう!!」
突如、上から声がして顔を上げたら、イバルが降ってきた。もう一度言う、イバルが降ってきやがった。
私の顔面にタックルするかのごとく落ちてきて、押し倒されるように地面に背中を打ち付ける。めちゃくちゃ痛い。
「この馬鹿め!なぜそんなところにぼーっと突っ立っているのだ!!」
「うっさいわこのアホ巫女!!誰が上から人が落ちてくると思うよ?!なにそのラピュタ!つーかまず謝らんかいコルア!!」
「なにおう?!それに今の俺は巫女ではない!マルチエージェントだ!」
「エージェントだあ?!エージェントってのはユリウスさんみたいなイケメンにしか出来ない仕事でしょーが!」
「んなっ?!貴様には一度力でわからせないといけないようだな…!……はっ!!」
途端に、イバルはさっと顔を横に向ける。いつの間にかあわあわしていたジュードくんはどこへやら。どこか暗黒微笑なる単語を思い出させるような笑顔でイバルに声をかけた。
「イバル、いつまでユウキの上に乗ってるの?何の用なの?」
「ひっ!!お、俺はそこのそいつに新兵器を持ってきただけだ!です!」
「なんで敬語?!」
アルヴィンが突っ込んだ。
イバルは私の上からどけると、そそくさとルドガーのところへ行く。ジュードくんに手を差し出されて起き上がると、ありがとうとお礼を言う。
「というわけだ、新兵器を持ってきてやったぞ!」
バン!バン!
「み、見ての通り危険な武器だ。扱いにはくれぐれも気をつけろ…」
「お前がな!お前がな!」
私も思わず突っ込んだ。
新兵器、もとい二丁銃をルドガーに見せつけていたイバルだが、誤って引き金を引いてしまいどこかへと銃弾が放たれる。
銃口をルドガーに向けながら渡すものだから、ルドガーも警戒しつつそれを素早く受け取り、銃口を外に向けた。
それを見て、イバルはふんっと武器を構える。
「さあこい!扱い方をたたき込んでやる!」
「いけええルドガーやっちまええええ!!」
「やっちゃえルドガー!!」
「ナァ~!」
「おーやれやれー」
「えっと、二人とも怪我したら癒やすからね」
「貴様ら少しは俺の応援を…ぐげふっ?!」
ルドガーは容赦なくイバルを蹴り上げ、威嚇するように銃弾をイバル周辺にたたき込むなど、あっさりと扱えるようになっていた。色んなことを試したいのかイバルを的にバンバンと銃を撃ちまくっている。
「ルドガーかっけええ!!銃も使えるの?!天才なの?!」
「おいアホユウキ、俺も銃使ってるし剣も使ってるから」
「…い、意外と…容赦ないな…」
ぼろぼろになったイバルはジュードくんに声をかけられるも、ふんっとそのままどこかへと去って行く。新兵器はいいけど、この救出作戦には参加せんのかあんにゃろ。
「よくわかんないけど、ルドガーの新武器も手に入ったし行こうか!ところでどこ目指してるのこれ?」
「しらみつぶしに探すしか…って、おい前!」
アルヴィンがバッと武器を構えたので、私も剣を構えつつ前を向いたらアルクノアの兵器ががしゃんがしゃんとこちらに向かってきていた。応戦しようと身構えた瞬間、横の通路から特大の精霊術が繰り出され兵器は一瞬にしてがらくたへと変貌した。
「エリー?!」
「!ユウキっ?!」
「わあユウキだーっ!ジュードもいるーっ!」
「もがっ?!」
術を放ったのはエリーだった。可愛いスカートに、大人っぽい色合いの服を着てツインテールにしている。可愛い。
そして、久しく見なかったティポまでいるじゃないか!
ジュードくんはティポにむしゃりと顔を食べられていて、エリーはたったとこちらへかけてくる。
「わあー久しぶりー!って、もしかしてリーゼ・マクシア代表一味ってエリーのとこ?!」
「言い方って大事だな。それだと悪党集団にしか聞こえねえよ」
「親善使節、ですよ。私達の学校が選ばれたんですけど、アルクノアに襲われて…私がティポを持ってて助かりました」
「友達は無事なんだね!」
「はい…でもバランさんが囮になってくれたんです。開発棟の上の方に…」
「ぷはっ!そっか…じゃあ早く助けにいかないとね。案内頼める?」
「もちろんです!ところで、ジュード、この人達は…?」
ティポを何とか引きはがしたジュードくんは、エリーにそう言われてああ、と気づいた。
ルドガーが自己紹介をしたら、エリーもにこっと笑って挨拶を返す。
「エリーゼ・ルタスです。こっちはティポ」
「よろしくねー!」
「…変なの!」
「へん?!ボクへんなの?!」
「え、えっと…ティポって言うんです。仲良くしてね」
「ねー!」
「…やっぱり変!」
があんっとなるエリーとエルが可愛いやり取りを、私はほわわーっと眺めていた。天使と天使がじゃれてる…かわゆす…。
「そうだ、忘れてた。ユウキ、足出して。傷治さなくちゃ」
「あ、うん。パンツ隠したほうがいい?」
「隠してお願いだから!」
ルドガーとアルヴィンがやれやれと、肩を竦めているのが見えて、アルヴィンてめえルドガーは妖精さんなんだから近づくなコルアと言おうとしたとき、ひときわ大きな雷が鳴った。
思わずわっと目を瞑って、ドキドキしている胸を押さえながら顔を上げる。
「びっくりしたー!ってしまったここはきゃっこわい!とか言ってジュードくんに抱きつけばよか…………誰もいない?!」
私一人を残して、ジュードくんもルドガーもエルもアルヴィンもエリーも、みんな姿を消していた。ルルすらいない。
「……私ここ……道わかんないんだけど……」
もしやまた、分史世界なるところに行ってしまったのだろうか。
とはいえ、ここでじっとしているわけにもいかず、とりあえず私は開発棟の屋上を目指すべく、身を潜めながら基地内を彷徨うことに決めたのだった。