chapter 01
DREAM
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「ちょっミラ?!」
宿屋に入ると、先に入っていたミラがパタリと倒れていた。
ジュードくんが駆け寄り、状態を確認して呆れた顔で一言。
「ミラ、お腹すいたんだね」
03.友達づくり
「お、美味い」
「食事というのはなかなか楽しいな!」
宿屋専属料理人がまだ来ていなかったため、ジュードくんが厨房を借りてご飯を振る舞ってくれ、しかもそれが美味しくて頬が緩む。
はぁ~♪ほんとジュードくん良い嫁だよ~♪
可愛くて強くて頭良くて優しくて料理上手ってなにその医学生!
「美味しい~♪これカレー?マーボーカレー?」
「うん。簡単だから医学校でもよく作ってたんだ」
「ふむ。人間はこういうのをもっと大切にするべきだな」
「ミラ食べるの早っ!ああここで寝ちゃダメだって~!」
私の声もむなしく、ミラは机に突っ伏して寝てしまった。
さすがミラ様マイペース!
「私ミラを部屋まで運んでくるね」
「ありがとうユウキ」
「えへ~いいよいいよジュードくん♪後で身体で払ってくれれば♪」
「なんで僕が?!」
良いツッコミをいただき、満足した私はミラを支えて借りた部屋まで向かった。
残ったジュードくんとアルヴィンの会話も聞きたかったけど、多分私がいない方がいろいろ話しやすいだろう。主にジュードくんが。
ミラを支えながら、扉を開けるのはなかなか困難だった。
けどもベッドまで運ばなければと思い、根性で移動してから、寝ているミラに声をかけたのだが。
「ミラ~、ベッド着いたよ~。ほら靴とか脱がなきゃ…わっ!」
がしっと腕を掴まれ、身体が反転させられた。
衝撃に閉じてしまった目を開けると、ミラがしっかりと目を開けて私をベッドに縫い付けていた。
あれ、ミラ寝てなかった?あれ??
「一つ聞かなければいけないことがあるんだ、ユウキ」
「な、なに?」
「あの時…研究所で四大が私とジュードに言ってきた。《ユウキを連れて逃げろ》と」
「へ?私を?」
たしかあの場面では四大精霊はジュードくんに《ミラを連れて逃げろ》と言ったはずだ。
もしかしたら、私が『カギ』を持ったからだろうか?でも『カギ』はミラに渡したし…。
「ユウキの目的はなんだ。私と何が一致している?私は目的をほとんど話していないはずだが?」
「こ、答えたら…私も一緒に行っていい?」
「返答次第だ」
困った。
ジュードくんに言ったことと同じようには言えない。あんな言い方ではミラはきっと私を信じてはくれない。
あんなにあっさり信じてくれるのは、ジュードくんだけだ。
「私は、ただ…」
「……」
あれ?私は物語に着いていくと決めただけで、何をしようと思ってたんだ?
私はどうして、ここにいるんだ?
(私は…………帰れないなら、ジュードくんや、ミラ達を…助けたい。でも、多分本当は)
「ジュードくんを、悲しませたくないんだ」
「?」
「これから先、ジュードくんはもっとつらい経験をたくさんする。ジュードくんはお人よしだから…私のこともすぐに信じてくれた…」
もう、傷ついた彼を見たくない。
アルヴィンに騙され傷つけられ、ミラを失って心を病んで、レイアを目の前で撃たれ、最終的に大人になるしかなかったジュードくん。
その中で彼が泣いたのは、自分のためなんかじゃなくて誰かのためで。
「だから私は、ジュードくんが悲しまない道を進ませるために、ミラについていく!」
「…想いは理解した。だが、ジュードを救う道がなぜ私についていくことになる?ジュードは私についてこないかもしれないぞ」
「ううん、絶対ついてくるよ。ジュードくんはミラを放ってはおけないから」
「ふむ、そうなのか?」
ミラが首を傾げるから、真剣な話をしてるのに何だかおかしくて笑ってしまう。
不思議そうに見られて「あっいや」と慌てて首を振った。
「ミラは天然だな~って思って」
「ユウキも私からしてみれば天然だと思うが」
「えっいやいやそれはないよ!ミラには敵わないってば!」
「ふ、ふふ…」
「ミラ?」
いきなり笑い出したミラは私の上から退けてすぐ隣にそのまま寝転んだ。
横を向くと、さっきよりもミラの顔が近くてちょっとドキドキした。
「ユウキと話していると、毒気を抜かれてしまうよ」
「え、えー…私そんな惚けたこと言ってるかな?」
「ふふ…それが、ジュードを守ることが君のなすべきことなのだな」
なすべき、こと。考えたこともなかったな。
ミラはその使命を一途に遂行し続け、ジュードくんはそれを尊敬し追いかける中でなすべきことを見つけていく。
私のなすべきことは、ジュードくんを守ること?
「…うん、私はジュードくんを守るよ!もちろんミラも、アルヴィンも!」
「私やアルヴィンもか?」
「おうよ!だからミラ、一緒に頑張ろう!」
「…ああ、一緒に」
少し驚いた顔をしたミラは、すぐに優しく微笑むと私の頭を撫でてくれた。
朝、支度を済ませてロビーに行くとすでにアルヴィンとジュードくんが待っていた。
「おはよー!ジュードくんアルヴィン!」
「おはようジュード、アルヴィン」
「おはよう、二人とも」
「おはようさん」
すでにお金は支払ったらしく、それならとミラはジュードくんに話しを振った。
「ジュード、私はニ・アケリアに帰ろうと思っている」
「ニ・アケリア?ミラの住んでるところ?」
「ああ、正確には祀られているが。だがそこに帰れば、四大を再召喚できるかもしれない」
「マジでマクスウェルなのか…」
アルヴィンは信じられないといった表情で呟いていた。たしかこの時点ではまだアルヴィンはミラがマクスウェルってことを半信半疑なんだっけか?
まだ一周クリアだからわからないぃぃ!
「そこでだ、ジュード。私と一緒にニ・アケリアへ行かないか?」
「え?」
「今の君の状況は身から出た錆というものだが、私の責任であるのもまた事実」
「ミラ違う私がふがふが」
「はいはい今は邪魔しない」
何をするのだアルヴィンんんんん!!
私が悪いんじゃぁぁと抗議しようとした声はアルヴィンに口を塞がれたため出すことができなかった。
そんな私達に気付いてか気付かずか、ミラはジュードくんだけを見据えたまま小さく頷く。
「君が望むならニ・アケリアの者達に口添えをしよう。だから、ニ・アケリアに着いてからどうするか決めるといい」
「…うん。ありがとう、ミラ」
ジュードくんてば可愛い笑顔だな!ほらミラ様が小動物を愛でる目をしてる!
やっぱりミラはヒーローでジュードくんはヒロインだな。ミラジュ美味しいモグモグ。
「じゃ、早速行くとするか」
「アルヴィンも来てくれるの?」
「乗りかかった船ってやつだよ」
ヒラリと手を振る仕種に、ゲーム中のアルヴィンを思い出してちょっと複雑な気持ちになった。
アルヴィンはアルヴィンで大変だったんだよね。お母さんのこともあるし、エレンピオスのことも…。
「ああもう!アルヴィン撫でる!」
「待て!今何を考えてそうなった!」
「脳内優姫談議の結果アルヴィンを撫でるのが良いと決まりました!」
「たしかに、撫でるのは愛情表現の一つだと本で読んだな。ユウキ、撫でてやろう」
「ぎにゃぁぁっ!……ナニコレ幸せ…」
ミラに撫でられて悦に浸る私をジュードくんとアルヴィンが呆れた様子で見てきたが無視無視!
イラート海停を出た私達はニ・アケリアのある北の方角を目指して歩いていた。
もちろん途中魔物が出てきたが、やはり四人だと倒すのが楽だ。
それにジュードくんが敵を殴ったり蹴ったりする度にヒラヒラが、ジュードくんの服のヒラヒラが可愛く揺れるんだ!たまらん!
しかも毎回ミラやアルヴィンに「さすがだねミラ!」とか「来て!アルヴィン!」とか可愛くてどうしよう!
「ジュードくん可愛い!卑猥!歩く猥褻物!」
「わっわいせつぶつ?!何で?!」
「なぁミラ。ユウキってのはいっつもあんななのか?」
「ああ。ユウキはジュードがお気に入りみたいでな」
「ありゃお気に入りっつーか…溺愛?」
ダンッとアルヴィンが銃で魔物を撃てば、ようやく周辺の魔物の気配がなくなる。
ふぅ、さっきから戦い続けてたから疲れた~。
「ユウキ、怪我の手当てするから腕出して」
「えっあ、そいえばさっき切られたっけ」
「もう…ユウキ見てると幼なじみを思い出すよ」
ジュードくんの幼なじみ…つまりレイアちゃんですねむふふ。
しかしレイアちゃんよりも先に出会うのが…。
「あ、村が見えたよ」
エリーゼちゃんですよ!ああ早く天使に会いたい!
ジュードくんに腕の怪我を癒してもらい、休憩がてら立ち寄ろうと思っていた村へ入っていく。
ここはハ・ミル。
果物がたくさんでとても甘い匂いに包まれていて、穏やかな村だ。
一つ、女の子を監禁していることを除けば。
「おやまぁ、こんな村にお客さんとは」
村の入口で周りをキョロキョロしていたら、おばあさんが近付いてきて私達を物珍しい目で見てきた。
たしかこの人は村長さんだ。
「ニ・アケリアへ行くにはこの道であってるか?」
「なんと…懐かしい名だ。今ではあるかどうかもわからん、忘れられた村の名…子供の頃にキジル海瀑の先にあると聞きましたが」
「キジル海瀑!」
「ユウキ、知ってるの?」
「え、あ、いやまぁ…」
えへへーと誤魔化そうとするものの、私はキジル海瀑でのイベントに心弾ませていた。
だって!プレザ出てくるよ!
そしてジュードくんの起点の良さがピックアップされた場面だよ!
早く行きたいキジル海瀑!
「大きな滝ですじゃ。ニ・アケリアをお探しなら、起伏の激しい岩場を通り抜けるのお」
「そりゃちょっと休んでいった方がよさそうだな」
「そうだね」
「賛成です!」
「なら、この村には宿がありませんので私の家の空き部屋を使ってくださって構いませんぞ」
というわけで、一旦この村で身体を休めることになりました。
「これが…ナップル!」
みんなと少し別れ、村の中をウロウロしていたら果樹園にたどり着いた。
果樹園の甘い香りに思わず口を開けて見ていたら、果樹園のおじさんが私にナップルを見せてくれたのだ。
「んでこれがパレンジ。商品にはできない品だったから二つともやるよお嬢ちゃん」
「マジでか!うわっほーいっありがとうおじさん!」
ナップルとパレンジを手に入れた!
「よーし早速食べよう!えへへ~どんな味がするんだろ~♪」
「甘い………です」
「やっぱりか!甘いってみんな言ってたからな~。あれジュードくんは甘酸っぱいって言ってたっけ?」
「………ジュード、くん?」
「おうよ!ジュードく」
あれ?私今誰と話してる?
適当に腰掛けた場所は果樹園近くの石の上。
隣にはいつの間にか誰かが座っていた。
「ふぉう?!い、いつの間に?!」
「………」
「えと……」
よく見たら、エリーゼちゃんだ。
まさかこんなすぐに出会えるなんて!しかも話しかけられちゃって!
(可愛いぃぃ天使ぃぃ人形みたいだぁぁぁぁ!!!)
「それ………」
「ほへ?」
「食べないのー?甘いけど美味しいよー?」
「うわっびっくりした!まさか真後ろからくるとは!」
後ろから私の頭に乗ってきたのはティポ。エリーゼがいつも連れている喋る人形だ。
わ、ほんとにティポって柔らかい…!
「えーと、初めまして。私は優姫っていうの」
「……」
「エリーはエリーっていうんだよ!僕はティポー!」
「エリーとティポ!えへへよろしく~♪」
エリーゼはまだ人付き合いが苦手らしい。
あまり話してはくれないが、ティポが代わりに返事をしてくれた。たしかティポはエリーゼの本音を話してるんだよね。
「んじゃ、エリー。これ半分こしよっか」
「え……?」
「ほら、一人で食べるより一緒に食べた方が美味しいじゃん♪んっと…ぎにゃっ!」
「あ……」
「あーあ!半分じゃなくなっちゃったー!ユウキの下手くそー!」
「なにおう!食べれたらそれでよし!こっちの形が残ってるのはエリーにあげるね」
はい、と割りそこなった中から唯一無事だった部分のナップルをエリーに渡すと、エリーはおそるおそる受け取った。ティポはぐるぐるエリーと私の周りを飛んでいる。
「…美味しい…です」
ナップルをかじったエリーは小さく、けれどすごく嬉しそうに笑った。
可愛いなぁエリー!!ほんとお人形さんみたいだよ!!
「ねぇユウキ!僕たちと友達になってよ!」
「!ティポ…!」
私の頭に乗っかってそう言ったティポをエリーは慌てたように掴み、走っていってしまった。
「ああ!友達だよって言いそびれた!!」
「うわ、おたく何て格好してんの」
「貰ったナップルを誤って粉砕してしまいました泣きたい」
「お風呂借りてきなよっ」
「はーい」
村長さんの家に戻ってくると、みんな食事をしていたらしくリビング?にいた。
もちろんグローブと顔とブーツをどろどろにさせた私にみんなが驚いた。
ジュードくんに促され、村長さんにお風呂を借りることにしたのだが…。
何故か私はお風呂でミラと向かい合っていた。
「あの、ミラさん?」
「本で読んでから一度やってみたかったのだ、誰かと風呂に入り流し合いっこというものを!」
「ミラ様何読んでんの?!しかもそれ男女がやるエロいアレじゃないの?!」
「私が読んだのは女同士だったぞ」
「誰だそんなのミラ様に読ませたのぉぉぉ!!あっちょっミラ待って落ち着こう一旦冷静に……アーッ」
優姫はこの日、大人の階段を一段飛ばしで登りました。
「………」
「声丸聞こえだな…青少年、耳まで真っ赤だぜ」
「アルヴィンこそ…なんで鼻押さえてるの…」
「…生理現象だ」
朝、隣を見たらもうミラはいなかった。
まだ多分寝坊ではないだろうと昨日から乾かしておいたグローブとブーツを身につけ、手荷物と剣を掴む。
部屋にあった姿見に今の自分の姿が映り、思わず凝視してしまった。
今の私は、本当に旅人のようで。
「……兄貴……」
今までの自分がいなくなってしまったような気がしてしまい、兄貴の名を縋るように呟いた。無論返答などあるはずもない。
私は、この世界で一人きりなのだ。
(でも…帰れないのならジュードくんを守るって決めたんだ!ウェイクアップ私!)
レイアの戦闘中ボイスの台詞を頭の中で使わせてもらい、鏡の自分をギッと睨む。
するといきなり扉が開きミラが飛び込んできた。
「ユウキ、急げ」
「ひぁ!なになに?!」
「兵が村の入口に来ている。今すぐここを離れるぞ」
「!わかった!」
村長の家をそっと出て、アルヴィンが見つけた村の西にある出口へ向かうことにした私達。
村長さん…ありがとう。ゲーム中の二回目に来たときの態度急変は怖かったけど、でもお世話になりました。
「もう兵士がいる」
出口に近付くと、兵士が見張っているのに気付き影に身を隠して様子を伺う。
けれども道が狭いため通り抜けるのが困難だ。
「強行突破だ」
「人が集まる前に通り抜けるには、僕もその方がいいと思う」
「短い作戦会議だこと」
ミラとジュードくんの意見にアルヴィンが肩を竦める。
ふとジュードくんが後ろを振り返った。
「あ、あの……えと、なにしてる…んですか?」
エリー!あ、そういえばエリーゼって本当はここが初登場だったっけ。
おどおどと尋ねてきたエリーにミラはあっさり「あの邪魔な兵士をどうするか考えていた」と暴露してしまう。
するとエリーは兵士を見て、ティポをオンにした。
ティポはスイーッと飛んでいき、兵士達が慌てふためく姿が見える。
「これは…」
「どうなってるの?ぬいぐるみが??」
アルヴィンは何かに気付いた感じだが、ジュードくんは驚きを隠せないようだ。ミラも驚いている。
「ここで何をしておる」
大きな足音と共に来たのは、ジャオだ。
ひぃえええ生で見るとでかい!!潰される!!
ジャオは私達ではなくエリーを見て、少しだけ優しい声音で声をかける。
「こら、娘っ子。小屋を出てはならんというに。…ラ・シュガルもんめ、勝手な真似を」
それから慌てふためいている兵士を見ると、彼はそちらへ歩いて行った。
その隙にと言わんばかりにエリーは戻ってきたティポを連れて村の中へ走り去った。
「あ…行っちゃった…」
「娘っ子はどこに行った?」
「あ、広場の方に」
「なに、い、いかん!」
ジュードくんがエリーの後ろ姿を見ていたら、ラ・シュガル兵を倒してきたジャオが戻ってきたが場所を聞くと私達に目もくれず走っていってしまった。
「よくわかんないけど、手間が省けたな」
「では早速行こう」
アルヴィンとミラが出口へと歩いていくのに、ジュードくんが屈んでいたからどうしたのかと近寄ると、手にはナップル。
「ジュードくん、そのナップルは?」
「あ、多分さっきの子が置いていったんだと思うんだけど…あ、ナップルに名前掘ってある……あれ?ユウキって書いてあるよ?」
「え?!」
ジュードくんからナップルを受け取る。
名前が掘ってある場所を見るが、私は気付いた。
(字……読めねぇぇぇぇぇぇぇ!!)
勉強するべきか悩んでいたら、ジュードくんが首を傾げてくる。
「さっきの子と知り合いなの?」
「あ、いや…昨日友達になったの」
「ジュード、ユウキ!急ぐぞ!」
「あっごめんミラ!行こうユウキ」
「おうよ!」
次会う時は、ちゃんと友達だよって言おう。
ありがとうエリー!
心の中でそう言って、私はみんなの後ろを追いかけた。
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