chapter 01
DREAM
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流れの早い水の中、私と同じように落ちてきたジュードくんが同じく落ちてきたが泳げないミラを掴み桟橋へと連れて行く姿を見て、私も追いかけた。
水泳の授業、しっかり出席しててよかった。ほんとよかった。
02.怪しい傭兵さん
「ごほっ…ウンディーネのようにはいかないものだな…」
飲んでしまった水を咳込みながら吐き出すミラ。
四大精霊の力を失ってしまったんだ。ジュードくんも同じことを考えたらしく同じ台詞を呟いていた。
「ねぇ、これからどうするの?精霊の力がないと、きっとあの装置は壊せないよ」
「あいつらの力か…ニ・アケリアに戻れば、あるいは…」
ミラは立ち上がると私達を振り返り、良い案が浮かんだとばかりにお礼を口にする。
「世話になったな、二人とも。ありがとう。次はちゃんと家に帰るといい」
そう言ってミラはスタスタと橋の上へと向かって階段を登っていった。
呆気に取られたが、すぐに追いかけないといけない。物語はそうして続くのだ。
「ジュードくん、ミラを追い掛けよう!」
「あ、うんっ」
ミラに追いつくように階段を駆け足で登ると、いつの間にやらミラは兵士と対峙していた。
まぁミラって目立つ容姿してるもんな…。
「ミラ!」
「!不用意だな、ジュード。無関係を装えばよいものを」
「んなこと言ってる場合じゃないっしょ!ミラ下がってて!」
「ユウキ」
「ミラ、剣の構えがヘン!扱い方私よりわかってないだろ!」
ミラの前に立ち、剣を構える。
隣に来たジュードくんは「もう!」と可愛らしい声とともに構えるものだからあとで抱き着くことに決めた。
ミラは不相応ながらも剣を握り、眉間にシワを寄せていた。
「今まであいつらの力に頼っていたからな…こうも違うとは…」
ミラ様パワーダウン!なんかアビスのジェイド思い出す展開だ。
とりあえず、三人で兵士を撃退させることには成功したが、ジュードくんと私はミラを庇いながら戦ったため少し疲れてしまった。
ミラも少し疲れたみたいで息を乱している。
「はぁ、はぁ…僕、何やってるんだろう…」
「重ね重ねすまない、ジュード、ユウキ。助かったよ」
「気にしないで。でも、急いでイル・ファンを離れた方がいいと思うよ」
「そうしよう。ではな」
ジュードくんに言われミラはすぐに背を向けるから、私はミラの腕を掴み止める。
「待った待った!街の入り口は警備員がもう張ってるはずだよ!海停の方が良いよ!」
「む、そうか………海停とは?」
「…海停、知らないんだね」
首を傾げるミラにジュードくんが溜め息を吐いた。
まぁ仕方ないよね、マクスウェルだからシルフでピューンって移動できるだろうし。
人間が利用するものをあまり理解してない感じだったしな。
というわけで、お人よし全開なジュードくんはミラを海停まで案内することにしたのだ。
海停が見えてきたイル・ファンの中央広場を抜けた先の道で、ミラは色んなものに目を向けながら前を歩くジュードくんに声をかけた。
「すまないな、ジュード。ユウキも」
「いいよ。助けてくれたお礼だから」
「そうだ、ユウキ。先程取ったモノを私に渡してくれないか」
「さっき取った?…ああ!あれか!」
ミラに言われて思い出した。
ミラの代わりにクルスニクの槍から『カギ』を外して手荷物に突っ込んだんだっけ。
手荷物の中を漁ると、円盤の形になった『カギ』が出てきた。それを手に取りミラに渡す。
ミラはそれを胸元にしまうと、私を見て不思議そうな顔をした。
「そういえば先程の…なぜユウキはあの中で普通に動けたんだ?」
「あ、それは僕も気になってた。マナを吸われてたのに、影響を一切受けてないみたいだったよね」
「う~ん、わかんない。何か動けたよ?」
そう言ったらミラもジュードくんも「えー…」と納得いかない顔をするではないか。
いやいや、私もわかってないんだ。
クルスニクの槍がマナを吸収し始めたとき、私もヤバいと身構えたが身体に変化は何もなかった。
考えられるのは一つぐらい。
私が、この世界の人間ではなくトリップしてきた存在だからじゃないだろうか?
まぁ、なんでトリップしたかもわかってないんだけども。
話をしながらもたどり着いたイル・ファン海停。
人は賑わっていてとても活気がある。
そして船でかっ!!
「アレで海を渡るんだよ」
「なるほどな」
ジュードくんとミラが船着き場へ向かい歩いていくのを船着き歩いて私も追いかける。
船旅~♪初めての船旅~♪
「まて!そこの三人!」
ガシャガシャという金属がぶつかり合う音がして、三人で振り返った。
いつの間にか、兵士に囲まれていた。
「えっ…何?!」
「先生…?タリム医院の、ジュード先生?」
「あなた…エデさん?何がどうなってるんですかっ?」
たしか、最初の方でジュードくんに診察を受けてた人だ。
彼はジュードくんを見て残念そうに目を細めた。
「先生が、要逮捕者だなんて……ジュード・マティス。逮捕状が出ている。そっちの女二人もだ」
「ま、待ってください!たしかに迷惑かけるようなことしちゃったけど…だからって!」
「軍特法も出ている。抵抗すればこちらも応戦する」
「エデさん!」
「悪いが、私は捕まるわけにはいかない。抵抗させてもらうぞ」
ジュードくんが抗議の声を上げるが、相手もミラも誰も聞いてはくれない。
しかもミラが剣を構えたせいで術師はこちらに向かって攻撃をしてきた。しかもファイアーボール的なやつ!
それを避けると、船着き場の周辺に被害が及んでしまった。
船が出ていくのを見てミラは後退りして兵士と間合いを取り、そして一気に船へと駆け出した。
「さらばだ、ジュード、ユウキ。本当に迷惑をかけた」
そう言い残して。
呆然とするジュードくん。
「僕は…僕は、ただ…」
「ジュードくん!逃げよう!」
けれど逃がさまいと私の前に立ち塞がる兵士。
囲まれた。ここでミラに着いていかないといけないのに!
後ろの兵士を倒していたら、その間にジュードくんに兵士の手が伸びる。
「ジュードくん!」
「ぐわっ!」
「はへ?」
気付けばジュードくんを囲っていた兵士はあっさりと地に伏せていた。
いつの間にかジュードくんの前に立つ男は長いスカーフを直しながら優雅に話し掛けくる。
「軍はお堅いねぇ。女と子供相手に大人げないったら」
「あ、あなたは…?」
(あ、アルヴィンきたーーーッ!!生アルヴィンんんんん!!ジュードくんがちっちゃく見えるよ可愛いよジュードくん!!)
「おっと。話はあと。連れの美人が行っちまうよ?」
「でも、僕は…!」
「軍に逮捕状が出て、特法まで適用されてるってことは、だ」
アルヴィンはジュードくんの肩を抱き寄せると、顔を近付けて結構きつい事実をつきつける。
「君はSランク犯罪人扱い。捕まったら待ってるのは…極刑だな」
「!!そんなっ!!」
「…ちっ、もう話してる余裕はないぜ!」
騒ぎを聞き付け兵士が集まってくるのが見えた。
アルヴィンが走るのを見て私とジュードくんも走り出す。
でもちょい待ち…船遠くなってない?!
間に合うかこれ?!
「よっと」
「わ!」
さすがにまずいと思ったのか、アルヴィンは隣に追いついてきたジュードくんを脇に抱えて加速する。
ってうわぁぁ置いてかれる!!
「アルヴィン!!私も!!」
「?!よっと!!」
「ひぎゃぁっ!」
手を伸ばしながらアルヴィンの横まで追いつくと、私の手を掴み勢いよく引っ張り私を肩に担いだ。
「喋るなよ、舌を噛む!」
二人を抱えているにも関わらず、アルヴィンは物凄い勢いで走り、そして飛んだ。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
「ぎにゃぁぁぁぁっ!!」
ジュードくんと私の悲鳴は、船に飛び乗るまでの短い間だが響いていた。
甲盤に落ちる前にミラがポカンとした顔をしていたのが見えたのが見えた気がした…。
――――――…
「あの…」
「アルヴィンだ」
船長さんとの事情聴取的なことを終え、甲盤へ出るとジュードくんがアルヴィンにおずおずと話し掛けるとアルヴィンは名乗った。
「名前だよ。君はジュードっつったかな?」
「う、うん。こっちはミラ。それから、こっちはユウキ」
「改めまして優姫でっす!よろしくです!」
尋問は何故か個人別にされたため、まだ自己紹介をしていなかったのだ。
しかも私とミラは身分証を持っていなくてジュードくんにいろいろ説明してもらい、なんとか許してもらったという。
アルヴィンは私とミラを見て一瞬だけ怪訝そうな顔をしたが、すぐに表情を隠すように微笑んだ。
「見ろよ。イル・ファンの霊勢が終わるぞ」
アルヴィンの言葉にジュードくんと二人で空を見上げてみる。
すると、ほんの一瞬のうちに空は夜の暗さから青空へと変わった。
「うわぁぁぁすごぉぉぉぉ!!何今の何今の!!」
「ユウキは旅人なのにイル・ファンの霊勢を越えたことなかったの?」
「ぐえぇぇそれ覚えてたの?!」
感動も束の間、ジュードくんに痛いところを指摘され崩れ落ちる。
そういえば旅人?とか疑問形だけど言っちゃってたよ私!
うーんうーんと頭を悩ませたが、私はもう一度あの台詞を口にする。
「今は上手く話せないんだ。だからもう少し待ってほしい。ちゃんと全部話すから」
「…わかったよ」
ああああそんな悲しそうに笑わないでよぉぉぉぉ!!
私の大ばか!ジュードくん悲しませるとか大ばか!優姫のバホー!
私が頭を抱えていたら、アルヴィンは腕を組み物珍しそうにジュードくんを見る。
「しかし医学生だったとはね、ジュード君。ちょっとびっくりしたよ」
「…ねぇ、聞いていい?」
「ん」
「どうして助けてくれたの?普通、あの状況じゃ助けないよ」
ジュードくんの質問にアルヴィンはニヤッと笑い答えてくれた。
「あんたらみたいなのが軍に追われてるってことは、相当やばい境遇だ。そいつを助けたとなりゃ、金をせびれるだろ?」
「つまり、金目当てか」
「そーゆーこと」
「でも僕、あんまりお金持ってないよ?」
「生憎私もだ」
「多分私も」
というか、財布らしきものを見ても硬貨や紙幣に書かれる文字が読めず金額が全くわからなかったのだ。
そんな私達にアルヴィンは肩を落としたが、代わりに値打ちものはないかと提案してきた。
「ないよ。あんな状況だったんだもの…」
「はいはーい!ジュードくんが身体で返せば良いと思います!!」
「いきなり何言い出すのユウキ?!」
「たしかに…ジュードなら高く売れそうだな…可愛らしい男の子が悪い男に身体を売るという本も読んだことがある」
「何読んでるのミラ?!」
「…ジュード君なら、まぁアリだな」
「二人に乗らなくていいよアルヴィン!」
もう!とジュードくんに怒られてしまいました。
でもジュードくんなら高く買い取ってもらえそうだけどなー♪アルジュ的にはそうなるととても萌えます!
ジュードくんは溜め息を吐くと、気を取り直してまたアルヴィンに質問をした。
「アルヴィンって何してる人なの?軍人っぽいけど、ちょっと違う感じだしさ」
「へえ、いい線いってるよ。傭兵だ。金は頂くが、人助けをするすばらしい仕事」
「うむ、それは感心なことだ」
「ミラ、今のは感心するとこじゃなくない?」
「ん?そうか?」
ミラにツッコミを入れても首を傾げられてしまう。ツッコミ殺しかミラ様!
アルヴィンはまた溜め息を吐いて頭を掻いた。
「しゃあない、ア・ジュールで仕事探すか…」
「ア・ジュール…そういえば、この船ア・ジュール行きなんだよね…外国だなんて…」
落ち込むジュードくんに不覚にも萌えたが、自重して私は優しくジュードくんに声をかけることにした。
「大丈夫ジュードくん。私達の新婚旅行だと思おうよ」
「いつ僕達結婚したの?!」
素早いツッコミいただきました!
顔真っ赤にしてもうジュードくん可愛いなぁ!!
――――――…
「外国っていっても、あんまり変わった感じしないね」
数日後、船がア・ジュールのイラート海停へ着いた。
ジュードくんの言う通り、イル・ファンの海停と変わらない。
(そいや、ゲーム中どの海停がどこにあって~てのがわからなくて迷ったっけな)
生で見てもやっぱりわからない風景だ。
「地図があるみたい。見てくるね」
そう言ってジュードくんは小走りで掲示板へと向かっていく。
誰が見ても今のジュードくんは空元気にしか見えない。
「気持ちを切り替えたのか。見た目ほど幼くないのだな」
「おたくが巻き込んだんだろ?随分と他人事だな」
「確かに世話になったが、あれは本人の意志だぞ?私は再三帰れと言ったのに」
「…いや、ちょい待って…巻き込んだの、私だ…!」
よくよく思い出せば、ゲームではジュードくんは自分でミラを助けに行くが、今回は私が引っ張っていったんじゃなかったか?
てことは、つまりは私が巻き込んだ?!
(物語に着いて行くために失念してた…ジュードくんを無理矢理物語に捩込んでしまったんだ!)
「ご、ごめんジュードくんーっ!!もう気の済むまで私を殴ってお願いだからっ!!」
「えっ?!急にどうしたのユウキ?!」
地図を見ていたジュードくんに後ろから抱き着くとジュードくんは顔を赤くしてあわあわしていた。
「……ユウキ、か」
「どうした、アルヴィン」
「いーや、何でも」
暫くジュードくんに謝りつづけていたら、アルヴィンとミラもこちらへやってきた。
地図を見てミラはニ・アケリアの場所を確認する。私は文字が読めないが、多分上の辺りだろうと思う。
「ここから北か…」
「それで?すぐに発つのか?」
「いや…アルヴィン。傭兵というからには戦いに自信はあるのだろう?」
「ああ、そりゃあな?」
「私に剣の手ほどきをしてもらえないか?できれば、ユウキにも教えてもらいたいんだが」
「えっ私も?!」
ジュードくんと顔を合わせて二人してびっくりする。
てっきりミラはアルヴィンに教わるものだと思ってたからほんとびっくりだよ!
「今の私は四大の力をもたない。この先、剣を扱えないと困難になる」
「四大…?よくわかんないけどさ、正直俺を雇ってほしいところだよ…でも金ないんだよな…」
「無理だろうか?なら、ユウキ」
「ま、待った!実戦経験で言ったらやっぱりアルヴィンが良いと思うし、お金なら…うーん…」
私は手荷物から財布を取り出すと、アルヴィンに渡す。首を傾げられたが、とにかく説明をした。
「これで、ミラに稽古してもらえない?む、無理?やっぱお金足りないかなっ?!」
「おいおいお前…これどうしたんだよ」
「へ?」
「わっ!ユウキ、これ土地が買える金額だよ?!」
「ユウキ、持ち合わせがあったのだな」
はい?土地が買える金額?
アルヴィンは財布の中身を見てそれを横からジュードくんが覗き、二人の反応にミラまでも驚いている。
「えと、あの、そんなに入ってた?」
だって財布の中には紙幣が十枚くらいと硬貨が数枚だったよ?!
土地が買えるとか嘘でしょ?!
「この紙幣は相当位の高い貴族じゃないと持ってないやつだ。実物を見るのは久しぶりだよ」
「僕は初めて見た…」
「私も初めてだ」
「ユウキ、お前さん何者だ?」
「わ、私の素性はおいおい話すんで!とにかくこれでミラの指導お願いアルヴィン!」
「了解。これであんたら助けた甲斐があったってもんだ」
アルヴィンは紙幣を二枚抜くと、私に財布を返してくれた。
そっか、そんなに大金入ってたのかこの財布…ちょっと大事に扱おう、うん。
「なら、早速頼む」
「あ、じゃあ僕宿を見てくるよ」
「おっサンキュー」
「あっじゃあ私もぐへぇっ!」
宿屋へ向かうジュードくんに着いていこうとしたら、アルヴィンに襟を掴まれ止められる。
今首が絞まりましたけど!
「お前もミラの指導係だろ。先に二人で手合わせしな」
「ほへ?」
「貰った金の釣り分、お前さんの指導もしてやるってこと」
「アルヴィンんんんん!!!」
「お、おいおい…」
正直、自分の剣に自信がなくなりかけていたとこだったのだ。
兵士やアグリアに容易くあしらわれ、毎回ジュードくんに助けてもらっていた。
リリアルオーブがあってこの程度だとしたら、これから先戦えない。役に立たない。
そんな中、アルヴィンに指導してもらえるとは!嬉しくて抱き着くよアルヴィンんんんん!!
「まったく、変なやつだな…」
「ユウキは良いやつだぞ。もちろんジュードもな」
「まぁいいや、じゃあもう始めるか」
「あたっ!そんなあっさり引き離すなんて酷いアルヴィン!」
――――――…
「よし、こんなとこだな」
「すまないな、アルヴィン。ユウキも…ユウキ?」
「すみません…私自分の体力がこんなにもないとは…思ってなかった…疲れた」
半日かけてミラとアルヴィンと稽古をしていたのだけど、二人とも体力ありすぎる。
私はもう指一本動かすのも億劫だよ…。
グッタリと地べたに寝転んでいたら、ベンチに座り私達を見守ってくれていたジュードくんが駆け寄って来てくれた。
「大丈夫?動けるくらいになら癒せるから、ちょっと待って」
ジュードくんが私に手を翳すと、綺麗な光がジュードくんの手に集まり、私の身体を包んでいく。
あれ、ジュードくん天使?天使じゃね?
「どう?動けそう?」
「おう!ジュードくんすごいな!天使だよ天使!ジュードくんマジ天使!」
「な、何言ってるのさ!」
軽くなった身体を起こし、肩をぐるぐる回してみる。
うん、だるいのが無くなってる。
ジュードくんの癒しってすごい!これがえーと、精霊術?
「それじゃあ行こっか」
「待てジュード。ユウキも、君達はこれからどうするんだ?もう私についてこなくてもいいのだぞ?」
「!…う、うん…」
「私はミラについていくよ!」
ビシッと手を挙げ、ミラに主張するとジッと見つめられた。
ちょ、ときめくときめく。
「なぜだ?」
「ミラの目的と私の目的が一致する、からかなぁ。もちろんミラの味方としてね!」
というか、ミラに着いていかないといけない。ミラが進む先、そしてジュードくんが進む先がこの世界の物語だからだ。
もし拒絶されても、私は意地でもついていく。その覚悟はできてるはずだ、なぁ私。
私の目が真剣だったのをわかってもらえたのか、ミラは頷いた。
「わかった。これからよろしく頼む」
「うん!よろしくミラ!」
差し出された手を握り、改めて挨拶を交わした。
その姿をジュードくんが見つめていて、アルヴィンがまた怪訝な表情をしたのには気付かなかった。
「…僕は…」
「まぁ国境を越えたわけだし、まだラ・シュガルの追っ手は来ないだろうぜ?」
「何が言いたい?」
「もう少し考える時間があるんじゃないかってこと」
ミラ様の問いにアルヴィンは腕を組んだまま答えると、ジュードくんがミラの方を向く。
「ごめん…明日の朝までには考えるから」
「そうか」
あっさり頷くと、ミラはスタスタと宿へと向かい歩いていく。
その後ろ姿を見ながらアルヴィンは呟くように言葉を零す。
「軽いお節介のつもりが、いつしか重罪人扱いか…あんたらの歳じゃきついな」
「…でも、僕が選んだことだから」
「違うぅぅぅ私が巻き込んだのぉぉぉぉごめんジュードくんんんんん!!」
「わぁっ!ユウキのせいじゃないってば!」
なぜか逃げるジュードくんを追いかけ、ミラの向かった宿屋へ走っていく。
後ろでは、アルヴィンが何かを呟いていたようだが、私には聞こえていなかった。
「ユウキ…ね…。何であの時、名乗ってない俺の名前知ってたんだ?」
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水泳の授業、しっかり出席しててよかった。ほんとよかった。
02.怪しい傭兵さん
「ごほっ…ウンディーネのようにはいかないものだな…」
飲んでしまった水を咳込みながら吐き出すミラ。
四大精霊の力を失ってしまったんだ。ジュードくんも同じことを考えたらしく同じ台詞を呟いていた。
「ねぇ、これからどうするの?精霊の力がないと、きっとあの装置は壊せないよ」
「あいつらの力か…ニ・アケリアに戻れば、あるいは…」
ミラは立ち上がると私達を振り返り、良い案が浮かんだとばかりにお礼を口にする。
「世話になったな、二人とも。ありがとう。次はちゃんと家に帰るといい」
そう言ってミラはスタスタと橋の上へと向かって階段を登っていった。
呆気に取られたが、すぐに追いかけないといけない。物語はそうして続くのだ。
「ジュードくん、ミラを追い掛けよう!」
「あ、うんっ」
ミラに追いつくように階段を駆け足で登ると、いつの間にやらミラは兵士と対峙していた。
まぁミラって目立つ容姿してるもんな…。
「ミラ!」
「!不用意だな、ジュード。無関係を装えばよいものを」
「んなこと言ってる場合じゃないっしょ!ミラ下がってて!」
「ユウキ」
「ミラ、剣の構えがヘン!扱い方私よりわかってないだろ!」
ミラの前に立ち、剣を構える。
隣に来たジュードくんは「もう!」と可愛らしい声とともに構えるものだからあとで抱き着くことに決めた。
ミラは不相応ながらも剣を握り、眉間にシワを寄せていた。
「今まであいつらの力に頼っていたからな…こうも違うとは…」
ミラ様パワーダウン!なんかアビスのジェイド思い出す展開だ。
とりあえず、三人で兵士を撃退させることには成功したが、ジュードくんと私はミラを庇いながら戦ったため少し疲れてしまった。
ミラも少し疲れたみたいで息を乱している。
「はぁ、はぁ…僕、何やってるんだろう…」
「重ね重ねすまない、ジュード、ユウキ。助かったよ」
「気にしないで。でも、急いでイル・ファンを離れた方がいいと思うよ」
「そうしよう。ではな」
ジュードくんに言われミラはすぐに背を向けるから、私はミラの腕を掴み止める。
「待った待った!街の入り口は警備員がもう張ってるはずだよ!海停の方が良いよ!」
「む、そうか………海停とは?」
「…海停、知らないんだね」
首を傾げるミラにジュードくんが溜め息を吐いた。
まぁ仕方ないよね、マクスウェルだからシルフでピューンって移動できるだろうし。
人間が利用するものをあまり理解してない感じだったしな。
というわけで、お人よし全開なジュードくんはミラを海停まで案内することにしたのだ。
海停が見えてきたイル・ファンの中央広場を抜けた先の道で、ミラは色んなものに目を向けながら前を歩くジュードくんに声をかけた。
「すまないな、ジュード。ユウキも」
「いいよ。助けてくれたお礼だから」
「そうだ、ユウキ。先程取ったモノを私に渡してくれないか」
「さっき取った?…ああ!あれか!」
ミラに言われて思い出した。
ミラの代わりにクルスニクの槍から『カギ』を外して手荷物に突っ込んだんだっけ。
手荷物の中を漁ると、円盤の形になった『カギ』が出てきた。それを手に取りミラに渡す。
ミラはそれを胸元にしまうと、私を見て不思議そうな顔をした。
「そういえば先程の…なぜユウキはあの中で普通に動けたんだ?」
「あ、それは僕も気になってた。マナを吸われてたのに、影響を一切受けてないみたいだったよね」
「う~ん、わかんない。何か動けたよ?」
そう言ったらミラもジュードくんも「えー…」と納得いかない顔をするではないか。
いやいや、私もわかってないんだ。
クルスニクの槍がマナを吸収し始めたとき、私もヤバいと身構えたが身体に変化は何もなかった。
考えられるのは一つぐらい。
私が、この世界の人間ではなくトリップしてきた存在だからじゃないだろうか?
まぁ、なんでトリップしたかもわかってないんだけども。
話をしながらもたどり着いたイル・ファン海停。
人は賑わっていてとても活気がある。
そして船でかっ!!
「アレで海を渡るんだよ」
「なるほどな」
ジュードくんとミラが船着き場へ向かい歩いていくのを船着き歩いて私も追いかける。
船旅~♪初めての船旅~♪
「まて!そこの三人!」
ガシャガシャという金属がぶつかり合う音がして、三人で振り返った。
いつの間にか、兵士に囲まれていた。
「えっ…何?!」
「先生…?タリム医院の、ジュード先生?」
「あなた…エデさん?何がどうなってるんですかっ?」
たしか、最初の方でジュードくんに診察を受けてた人だ。
彼はジュードくんを見て残念そうに目を細めた。
「先生が、要逮捕者だなんて……ジュード・マティス。逮捕状が出ている。そっちの女二人もだ」
「ま、待ってください!たしかに迷惑かけるようなことしちゃったけど…だからって!」
「軍特法も出ている。抵抗すればこちらも応戦する」
「エデさん!」
「悪いが、私は捕まるわけにはいかない。抵抗させてもらうぞ」
ジュードくんが抗議の声を上げるが、相手もミラも誰も聞いてはくれない。
しかもミラが剣を構えたせいで術師はこちらに向かって攻撃をしてきた。しかもファイアーボール的なやつ!
それを避けると、船着き場の周辺に被害が及んでしまった。
船が出ていくのを見てミラは後退りして兵士と間合いを取り、そして一気に船へと駆け出した。
「さらばだ、ジュード、ユウキ。本当に迷惑をかけた」
そう言い残して。
呆然とするジュードくん。
「僕は…僕は、ただ…」
「ジュードくん!逃げよう!」
けれど逃がさまいと私の前に立ち塞がる兵士。
囲まれた。ここでミラに着いていかないといけないのに!
後ろの兵士を倒していたら、その間にジュードくんに兵士の手が伸びる。
「ジュードくん!」
「ぐわっ!」
「はへ?」
気付けばジュードくんを囲っていた兵士はあっさりと地に伏せていた。
いつの間にかジュードくんの前に立つ男は長いスカーフを直しながら優雅に話し掛けくる。
「軍はお堅いねぇ。女と子供相手に大人げないったら」
「あ、あなたは…?」
(あ、アルヴィンきたーーーッ!!生アルヴィンんんんん!!ジュードくんがちっちゃく見えるよ可愛いよジュードくん!!)
「おっと。話はあと。連れの美人が行っちまうよ?」
「でも、僕は…!」
「軍に逮捕状が出て、特法まで適用されてるってことは、だ」
アルヴィンはジュードくんの肩を抱き寄せると、顔を近付けて結構きつい事実をつきつける。
「君はSランク犯罪人扱い。捕まったら待ってるのは…極刑だな」
「!!そんなっ!!」
「…ちっ、もう話してる余裕はないぜ!」
騒ぎを聞き付け兵士が集まってくるのが見えた。
アルヴィンが走るのを見て私とジュードくんも走り出す。
でもちょい待ち…船遠くなってない?!
間に合うかこれ?!
「よっと」
「わ!」
さすがにまずいと思ったのか、アルヴィンは隣に追いついてきたジュードくんを脇に抱えて加速する。
ってうわぁぁ置いてかれる!!
「アルヴィン!!私も!!」
「?!よっと!!」
「ひぎゃぁっ!」
手を伸ばしながらアルヴィンの横まで追いつくと、私の手を掴み勢いよく引っ張り私を肩に担いだ。
「喋るなよ、舌を噛む!」
二人を抱えているにも関わらず、アルヴィンは物凄い勢いで走り、そして飛んだ。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
「ぎにゃぁぁぁぁっ!!」
ジュードくんと私の悲鳴は、船に飛び乗るまでの短い間だが響いていた。
甲盤に落ちる前にミラがポカンとした顔をしていたのが見えたのが見えた気がした…。
――――――…
「あの…」
「アルヴィンだ」
船長さんとの事情聴取的なことを終え、甲盤へ出るとジュードくんがアルヴィンにおずおずと話し掛けるとアルヴィンは名乗った。
「名前だよ。君はジュードっつったかな?」
「う、うん。こっちはミラ。それから、こっちはユウキ」
「改めまして優姫でっす!よろしくです!」
尋問は何故か個人別にされたため、まだ自己紹介をしていなかったのだ。
しかも私とミラは身分証を持っていなくてジュードくんにいろいろ説明してもらい、なんとか許してもらったという。
アルヴィンは私とミラを見て一瞬だけ怪訝そうな顔をしたが、すぐに表情を隠すように微笑んだ。
「見ろよ。イル・ファンの霊勢が終わるぞ」
アルヴィンの言葉にジュードくんと二人で空を見上げてみる。
すると、ほんの一瞬のうちに空は夜の暗さから青空へと変わった。
「うわぁぁぁすごぉぉぉぉ!!何今の何今の!!」
「ユウキは旅人なのにイル・ファンの霊勢を越えたことなかったの?」
「ぐえぇぇそれ覚えてたの?!」
感動も束の間、ジュードくんに痛いところを指摘され崩れ落ちる。
そういえば旅人?とか疑問形だけど言っちゃってたよ私!
うーんうーんと頭を悩ませたが、私はもう一度あの台詞を口にする。
「今は上手く話せないんだ。だからもう少し待ってほしい。ちゃんと全部話すから」
「…わかったよ」
ああああそんな悲しそうに笑わないでよぉぉぉぉ!!
私の大ばか!ジュードくん悲しませるとか大ばか!優姫のバホー!
私が頭を抱えていたら、アルヴィンは腕を組み物珍しそうにジュードくんを見る。
「しかし医学生だったとはね、ジュード君。ちょっとびっくりしたよ」
「…ねぇ、聞いていい?」
「ん」
「どうして助けてくれたの?普通、あの状況じゃ助けないよ」
ジュードくんの質問にアルヴィンはニヤッと笑い答えてくれた。
「あんたらみたいなのが軍に追われてるってことは、相当やばい境遇だ。そいつを助けたとなりゃ、金をせびれるだろ?」
「つまり、金目当てか」
「そーゆーこと」
「でも僕、あんまりお金持ってないよ?」
「生憎私もだ」
「多分私も」
というか、財布らしきものを見ても硬貨や紙幣に書かれる文字が読めず金額が全くわからなかったのだ。
そんな私達にアルヴィンは肩を落としたが、代わりに値打ちものはないかと提案してきた。
「ないよ。あんな状況だったんだもの…」
「はいはーい!ジュードくんが身体で返せば良いと思います!!」
「いきなり何言い出すのユウキ?!」
「たしかに…ジュードなら高く売れそうだな…可愛らしい男の子が悪い男に身体を売るという本も読んだことがある」
「何読んでるのミラ?!」
「…ジュード君なら、まぁアリだな」
「二人に乗らなくていいよアルヴィン!」
もう!とジュードくんに怒られてしまいました。
でもジュードくんなら高く買い取ってもらえそうだけどなー♪アルジュ的にはそうなるととても萌えます!
ジュードくんは溜め息を吐くと、気を取り直してまたアルヴィンに質問をした。
「アルヴィンって何してる人なの?軍人っぽいけど、ちょっと違う感じだしさ」
「へえ、いい線いってるよ。傭兵だ。金は頂くが、人助けをするすばらしい仕事」
「うむ、それは感心なことだ」
「ミラ、今のは感心するとこじゃなくない?」
「ん?そうか?」
ミラにツッコミを入れても首を傾げられてしまう。ツッコミ殺しかミラ様!
アルヴィンはまた溜め息を吐いて頭を掻いた。
「しゃあない、ア・ジュールで仕事探すか…」
「ア・ジュール…そういえば、この船ア・ジュール行きなんだよね…外国だなんて…」
落ち込むジュードくんに不覚にも萌えたが、自重して私は優しくジュードくんに声をかけることにした。
「大丈夫ジュードくん。私達の新婚旅行だと思おうよ」
「いつ僕達結婚したの?!」
素早いツッコミいただきました!
顔真っ赤にしてもうジュードくん可愛いなぁ!!
――――――…
「外国っていっても、あんまり変わった感じしないね」
数日後、船がア・ジュールのイラート海停へ着いた。
ジュードくんの言う通り、イル・ファンの海停と変わらない。
(そいや、ゲーム中どの海停がどこにあって~てのがわからなくて迷ったっけな)
生で見てもやっぱりわからない風景だ。
「地図があるみたい。見てくるね」
そう言ってジュードくんは小走りで掲示板へと向かっていく。
誰が見ても今のジュードくんは空元気にしか見えない。
「気持ちを切り替えたのか。見た目ほど幼くないのだな」
「おたくが巻き込んだんだろ?随分と他人事だな」
「確かに世話になったが、あれは本人の意志だぞ?私は再三帰れと言ったのに」
「…いや、ちょい待って…巻き込んだの、私だ…!」
よくよく思い出せば、ゲームではジュードくんは自分でミラを助けに行くが、今回は私が引っ張っていったんじゃなかったか?
てことは、つまりは私が巻き込んだ?!
(物語に着いて行くために失念してた…ジュードくんを無理矢理物語に捩込んでしまったんだ!)
「ご、ごめんジュードくんーっ!!もう気の済むまで私を殴ってお願いだからっ!!」
「えっ?!急にどうしたのユウキ?!」
地図を見ていたジュードくんに後ろから抱き着くとジュードくんは顔を赤くしてあわあわしていた。
「……ユウキ、か」
「どうした、アルヴィン」
「いーや、何でも」
暫くジュードくんに謝りつづけていたら、アルヴィンとミラもこちらへやってきた。
地図を見てミラはニ・アケリアの場所を確認する。私は文字が読めないが、多分上の辺りだろうと思う。
「ここから北か…」
「それで?すぐに発つのか?」
「いや…アルヴィン。傭兵というからには戦いに自信はあるのだろう?」
「ああ、そりゃあな?」
「私に剣の手ほどきをしてもらえないか?できれば、ユウキにも教えてもらいたいんだが」
「えっ私も?!」
ジュードくんと顔を合わせて二人してびっくりする。
てっきりミラはアルヴィンに教わるものだと思ってたからほんとびっくりだよ!
「今の私は四大の力をもたない。この先、剣を扱えないと困難になる」
「四大…?よくわかんないけどさ、正直俺を雇ってほしいところだよ…でも金ないんだよな…」
「無理だろうか?なら、ユウキ」
「ま、待った!実戦経験で言ったらやっぱりアルヴィンが良いと思うし、お金なら…うーん…」
私は手荷物から財布を取り出すと、アルヴィンに渡す。首を傾げられたが、とにかく説明をした。
「これで、ミラに稽古してもらえない?む、無理?やっぱお金足りないかなっ?!」
「おいおいお前…これどうしたんだよ」
「へ?」
「わっ!ユウキ、これ土地が買える金額だよ?!」
「ユウキ、持ち合わせがあったのだな」
はい?土地が買える金額?
アルヴィンは財布の中身を見てそれを横からジュードくんが覗き、二人の反応にミラまでも驚いている。
「えと、あの、そんなに入ってた?」
だって財布の中には紙幣が十枚くらいと硬貨が数枚だったよ?!
土地が買えるとか嘘でしょ?!
「この紙幣は相当位の高い貴族じゃないと持ってないやつだ。実物を見るのは久しぶりだよ」
「僕は初めて見た…」
「私も初めてだ」
「ユウキ、お前さん何者だ?」
「わ、私の素性はおいおい話すんで!とにかくこれでミラの指導お願いアルヴィン!」
「了解。これであんたら助けた甲斐があったってもんだ」
アルヴィンは紙幣を二枚抜くと、私に財布を返してくれた。
そっか、そんなに大金入ってたのかこの財布…ちょっと大事に扱おう、うん。
「なら、早速頼む」
「あ、じゃあ僕宿を見てくるよ」
「おっサンキュー」
「あっじゃあ私もぐへぇっ!」
宿屋へ向かうジュードくんに着いていこうとしたら、アルヴィンに襟を掴まれ止められる。
今首が絞まりましたけど!
「お前もミラの指導係だろ。先に二人で手合わせしな」
「ほへ?」
「貰った金の釣り分、お前さんの指導もしてやるってこと」
「アルヴィンんんんん!!!」
「お、おいおい…」
正直、自分の剣に自信がなくなりかけていたとこだったのだ。
兵士やアグリアに容易くあしらわれ、毎回ジュードくんに助けてもらっていた。
リリアルオーブがあってこの程度だとしたら、これから先戦えない。役に立たない。
そんな中、アルヴィンに指導してもらえるとは!嬉しくて抱き着くよアルヴィンんんんん!!
「まったく、変なやつだな…」
「ユウキは良いやつだぞ。もちろんジュードもな」
「まぁいいや、じゃあもう始めるか」
「あたっ!そんなあっさり引き離すなんて酷いアルヴィン!」
――――――…
「よし、こんなとこだな」
「すまないな、アルヴィン。ユウキも…ユウキ?」
「すみません…私自分の体力がこんなにもないとは…思ってなかった…疲れた」
半日かけてミラとアルヴィンと稽古をしていたのだけど、二人とも体力ありすぎる。
私はもう指一本動かすのも億劫だよ…。
グッタリと地べたに寝転んでいたら、ベンチに座り私達を見守ってくれていたジュードくんが駆け寄って来てくれた。
「大丈夫?動けるくらいになら癒せるから、ちょっと待って」
ジュードくんが私に手を翳すと、綺麗な光がジュードくんの手に集まり、私の身体を包んでいく。
あれ、ジュードくん天使?天使じゃね?
「どう?動けそう?」
「おう!ジュードくんすごいな!天使だよ天使!ジュードくんマジ天使!」
「な、何言ってるのさ!」
軽くなった身体を起こし、肩をぐるぐる回してみる。
うん、だるいのが無くなってる。
ジュードくんの癒しってすごい!これがえーと、精霊術?
「それじゃあ行こっか」
「待てジュード。ユウキも、君達はこれからどうするんだ?もう私についてこなくてもいいのだぞ?」
「!…う、うん…」
「私はミラについていくよ!」
ビシッと手を挙げ、ミラに主張するとジッと見つめられた。
ちょ、ときめくときめく。
「なぜだ?」
「ミラの目的と私の目的が一致する、からかなぁ。もちろんミラの味方としてね!」
というか、ミラに着いていかないといけない。ミラが進む先、そしてジュードくんが進む先がこの世界の物語だからだ。
もし拒絶されても、私は意地でもついていく。その覚悟はできてるはずだ、なぁ私。
私の目が真剣だったのをわかってもらえたのか、ミラは頷いた。
「わかった。これからよろしく頼む」
「うん!よろしくミラ!」
差し出された手を握り、改めて挨拶を交わした。
その姿をジュードくんが見つめていて、アルヴィンがまた怪訝な表情をしたのには気付かなかった。
「…僕は…」
「まぁ国境を越えたわけだし、まだラ・シュガルの追っ手は来ないだろうぜ?」
「何が言いたい?」
「もう少し考える時間があるんじゃないかってこと」
ミラ様の問いにアルヴィンは腕を組んだまま答えると、ジュードくんがミラの方を向く。
「ごめん…明日の朝までには考えるから」
「そうか」
あっさり頷くと、ミラはスタスタと宿へと向かい歩いていく。
その後ろ姿を見ながらアルヴィンは呟くように言葉を零す。
「軽いお節介のつもりが、いつしか重罪人扱いか…あんたらの歳じゃきついな」
「…でも、僕が選んだことだから」
「違うぅぅぅ私が巻き込んだのぉぉぉぉごめんジュードくんんんんん!!」
「わぁっ!ユウキのせいじゃないってば!」
なぜか逃げるジュードくんを追いかけ、ミラの向かった宿屋へ走っていく。
後ろでは、アルヴィンが何かを呟いていたようだが、私には聞こえていなかった。
「ユウキ…ね…。何であの時、名乗ってない俺の名前知ってたんだ?」
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