chapter 03
DREAM
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誰も救えないというのなら。
私は何のためにこの世界に来たんだろう。
わからないから、まだ私は前に進むしかない。
25.滲む思考回路
「なんだお前達!所属と名前を言え!」
イル・ファンを出て、アルカンド湿原を通りファイザバード沼野までやってきた。
ラ・シュガル軍が拠点を構える場所を見つけ、近付けば今武器を向けられ警戒される。
だがローエンは怯むことなく自ら進み出た。
「私はローエン・J・イルベルト」
「え?まさか、『指揮者イルベルト』殿?」
「こんな事態です。戦況を伺えませんか?」
「ハッ、ではこちらへ!」
やはりコンダクターの名は伊達じゃない。
兵士達には憧れで、頼もしい存在なのだ。
兵士に案内され、私達は大きなテントの中に入る。
みんなが真ん中にある大きな机に向かうと、アルヴィンだけが離れて壁にもたれかかるから私もそうすることにした。
「これはリリアルオーブの反応を拾い、戦局図を見るものです」
「あれ、これだけ何か違う形してるね」
「それは参謀副長殿が進めている戦略のための部隊です。四象刃アグリアの妨害を突破したようですね」
「ジランドの戦略だということか?」
「ええ。一の鐘の後には、予定到達点に至ると思われます。詳細は聞かされていませんが、戦局の流れを一気にこちらへと向ける切り札だとか…」
兵士の丁寧な説明をぼんやりと聞く。
いや聞かなくても知っているのだ。
ジランドは兵士達を騙し、クルスニクの槍を移動させ、作戦実行と称して部隊を集めマナを吸収する。
クルスニクの槍を使うために。
「なぁ、ユウキ」
「…?なに、アルヴィン」
壁にもたれかかったままアルヴィンを見上げたら、奴はこちらを見ないまま聞いてきた。
「優等生達のとこに行かなくていいのか」
「…うん。だってさ、みんな私を慰めようとするじゃん」
「まぁ、な」
「アルヴィンはしないから、私はここの方が楽なんだ」
「……そうかよ」
何度も慰められるのは、少しつらい。
私が気持ちをすぐに切り替えられたらいいんだろうけど、そんな器用な性格じゃない。
「これから連戦かぁー…アルヴィン、新技考えようぜ。まずアルヴィンが飛ぶ」
「なんでだ」
「んで回る」
「俺をどうしたいんだ」
「どうしよう?」
「聞くなよ…」
「ユウキ?」
アルヴィンと遊んでたら、ジュードくんが私を呼んだので傍に寄ってみる。
どうやらクルスニクの槍がどこに運ばれようとしているかわかったらしい。
「だがクルスニクの槍からユウキが『カギ』を奪い、それを私がイバルに渡した。もしかしたら、新たな『カギ』が生み出された可能性がある」
「つまり、ジランドに追いついてボコボコにしてやればいいんだね?!」
「つまりそうです」
ローエンにニコリと言われ、私は俄然やる気が出た。
いつまでもウジウジしていられない。そもそもウジウジしてるからみんなに心配されてしまうのだ。
よし、頑張ろう!
「では、準備を整えたら出発だ」
「…?あれ、アルヴィン?」
みんなが外で色々話し合ってたら、ジュードくんがアルヴィンの姿が見えないことに気付き歩き出す。
何となくそれについていったら、話し声のようなものが物陰から聞こえた。
「…あんたの……信じるよ」
「アルヴィン?」
ジュードくんがおそるおそる物陰を覗くもそこに姿はない。
あれ?と首を傾げていたら、後ろから胡散臭い男が何食わぬ顔で出てきた。
「何してんの?優等生?」
「あれ?アルヴィン?確かこっちに…」
「は?大丈夫かジュード君?」
「アルヴィン…またウソですね?」
私達に気付いたエリーが腕を組んでアルヴィンを睨みつける。
とてつもなく可愛いが、アルヴィンはへらへらしていて叩いてやりたい。
「エリーゼってば、何言ってるんだよ。優等生、おたくも疑ってんの?」
「……」
「アルヴィンさん。今の状況で一人で動かれると、さすがに疑われますよ」
「アルヴィン、今は勝手に僕たちから離れないでよ」
「ジュードの言う通りだよ。約束だからね!」
「はいはい」
「もうその返事が胡散臭いよね!ていうか存在が胡散臭いよね!」
「この胡散臭い変態もちゃんと束縛しておこうぜ優等生」
「いだだだだだ肩外れます肩外れます!!」
間接技をくらい悲鳴を上げていたら、何だかみんながホッとした表情で私達を見ていた。
いつものようにできる自分に、まだ頑張れるんだと気付く。
そうだよ、私がここまで来たのはジュードくんに悲しい想いをさせないためじゃないか。
今はそれだけでいいんだ。
「ラ・シュガルの戦略要点は、両軍が衝突する盆地を見下ろせる丘の上です」
「そこにクルスニクの槍をすえる気か」
「おそらく。ここなら密集した敵を確実に捉えられる。クルスニクの槍がマナを使用する兵器なら絶好の場所です」
ジランド達の部隊を追うため、道を探しながら歩いていたら、ミラとローエンが状況分析をしているのが聞こえた。
「しかし、奇襲に動ぜず的確にこの場所を見抜くとは…」
「何より、ユウキの足を負傷させたということもある。油断ならない男だ」
「ナハティガルにおもねる凡庸な男だと思っていましたが…認識を改めねばなりません。…思えば始めからユウキさんは彼の本質を見抜いていたのですね」
「…見抜いていた、かぁ…」
違うんだけどなぁ。見抜いたんじゃない。
知っていただけだ。
一度この世界が行く先を見たから、知識として備わっていただけ。
「おいティポ、気になるのはわかるけど、そんな熱い瞳で俺を見つめるなよ」
「違うー!フシンジンブツをカンシしてるんだー!」
「がんばらなきゃ…みんなのために…」
アルヴィンとティポがコントをしてる傍で意気込むエリー。
ローエンはブースターの副作用を兵士からブースターを渡された時に知ったらしく、エリーを心配そうに見つめた。
それから、私達を呼び止める。
「みなさん、私から離れないでください」
ローエンはそう言ってブースターを地面にたたき付け、発動させた。
霊勢を変化させるものだ。ローエンの傍にいれば、ここで普通に行動ができるようになる。
「思ったより視界が悪いね。敵がどこにいるか全然わからないよ」
「迂回して安全なルートを探すか?」
「ううん。まっすぐに駆け抜けようよ。それが一番早い」
「ジュードくんに賛成です!いっそアルヴィンを囮にしてるうちに私達だけ行くのも有りかと思います!」
「それは有りですね」
「おいこらじいさん。普通に納得しないでくれる?」
アルヴィンに頭をぐりぐりされていたら、ティポとエリーは敵に突っ込む作戦に不安そうだ。
「ぼくたち死んじゃうかもー!ねーレイアー!」
「だ、大丈夫だよ。ジュードが言うんだもん」
「恐れるな」
ミラが恐れを断ち切るように言い切る。
「今、最も恐れるべきは、人間と精霊の命が脅かされることだ」
「ミラ、かっこいい!」
レイアの言う通り、ミラはかっこいい。
そして、誰よりも強い信念を持っている。
ジュードくんが憧れるように、私もミラに憧れる。
ミラのように強くなれば、みんなを…ジュードくんを守れるだろうか。
(…よっし!頑張ろう!!)
「クルスニクの槍を破壊する!」
ミラの声と共にみんなが武器を構える。
目指すはジランド、そしてクルスニクの槍。
「一番、優姫!!突撃しまぁぁぁぁすッ!!」
「私も行くぞ!」
「サポートするよユウキ、ミラ!」
直線に突っ走ると、私達に気付いたア・ジュール兵が武器を構えてこちらを攻撃してくる。
それを私とミラが斬り上げ、ジュードくんが拳を入れた。
その後ろではローエンとエリーが術を唱え、レイアとアルヴィンは一番後ろを走る。
術師を間に挟み守る隊列だ。
「ミラ!危ない!」
しかしア・ジュール兵だけが敵かと思いきや、ラ・シュガル兵が私達を見つけて攻撃を仕掛けてきた。
ミラに向かう攻撃をジュードくんが受け止め、間合いをとる。
「何をするんだ!僕たちは敵じゃない!」
「ジランド参謀副長より全軍に通達があった!『指揮者イルベルト』は敵となった、殺してでも排除せよ、とな!」
「何ですと…?!」
「ラ・シュガル戦略要点の破壊など絶対にさせぐはっ!!」
「そぉいッ!!」
何か言いながら向かってくるラ・シュガル兵の顔に蹴りをかまし、ついでに周囲にいた術師達もさらに蹴り飛ばす。
私の行動にみんながキョトンとしたから私もキョトンとした。
話をまともに聞かずに攻撃したからかな?
「いや…だってこんな障害に手間取ってる場合じゃないっしょ?目指すはジランド&クルスニクの槍!ここでは私達以外はみんな敵!さぁ行こう!!」
「フ…ああ、そうだ。行くぞ!」
ミラは私の言い分に納得したようで隣を走り出す。
隣にミラがいて、後ろにはジュードくん達がいる。すごく心強い。
前を突っ走る私とミラを、アルヴィンだけが訝しんでいたのには誰も気付かなかった。
走りながら、私は戦争の恐さを知っていく。
命の重みと、生きるためには他者を殺す悪循環を知っていく。
(怖い)
「ちっ、うじゃうじゃ出てきやがるッ!」
「はぁ…はぁ…まだ、頑張れますっ」
(怖い、怖い)
「こんなのキリがないよっ!」
「援護します、レイアさん!」
(怖い……)
「ユウキ!」
「前だ!!」
ジュードくんとミラの声がして、私は剣を振って名前も知らない誰かを斬った。
生々しい感触に、真っ赤な血。
ああ、ここは、ゲームの世界だけど、違うんだ。
(ゲームなんかじゃない。この恐怖も全部、私には現実なんだ)
「あれは…ア・ジュールの四象刃?」
兵士達を錯乱し、入り組んだ道へ飛び込めば前方に見知った顔を見つけた。
「まだ増えるか。アグリアは合流できそうにないのう」
「ああ、たまんない。じらさないでよ、ウィンガル」
「奥の赤鎧。あれが指揮官だな」
兵士数十人に囲まれていたのは四象刃のジャオ、プレザ、ウィンガルだった。
ジャオはアグリアの心配をし、プレザは興奮し、ウィンガルは冷静に分析をしている。
ラ・シュガル兵は敵が三人ということに優越し、一斉にかかれと指示した。
「気に入らないな、そういった姿勢は」
ウィンガルは赤鎧の指揮が気に入らないと一人で飛び込んでいき、プレザは呆れたように肩を竦めた。
「そうやって、いつも先走るんだから…嫌いじゃないけどね」
「女だ!女を狙え!」
「邪魔しないで」
飛び掛かってくる兵達に、プレザは素早く詠唱し強い精霊術を発動させ蹴散らすと、兵達を力任せに薙ぎ払うジャオ。
「久々に血がさわぐのぉ!」
「チェックだ。…失礼、王と呼ぶにはふさわしくなかったな」
一瞬にして兵達が倒れる。
最後にウィンガルが指揮官を倒し、剣を鞘におさめると、ようやく私達に気付いたようだ。
「来たか、マクスウェル。それと…」
ウィンガルはミラを見て、それから私を見る。思わず身構えたらため息を吐かれた。
な、何だってんだ一体…?
「やはり戦場でまみえることになった、か。悲しい時代だのぉ」
「山狩りは楽しかったわ、アル」
そいつはよかったとアルヴィンが笑ったら睨まれた。
いやこれは仕方ない。
「ジランドを討ったの?」
「答える義理はないな」
「ならば話を変えるとしよう。道をあけろ!」
「うふふ、冗談でしょ?」
「槍は破壊する。それでこの戦いはお前達の勝利だろう。何故それで満足できない?」
ミラが問えば、ジャオが答えた。
「陛下の望みだからだ」
「この戦は通過点に過ぎない」
「ここで争えば、あなたたちも命を落とすかもしれない。王を支える者がいなくなるのですよ!」
「陛下は、お一人でも歩まれるわ」
「あなたのように、後ろに隠れてこそこそ戦うようなマネはされない」
ウィンガルの言葉にローエンがどういうことだと聞けば、半ば笑ったように返事がかえされた。
「イルベルト殿、なお誤魔化されるつもりか?」
「…」
「民の先陣を切り、戦わねばならない者であるあなたは、最後尾に回ってしまった。その結果がナハティガルの独裁を許し、自らの手にかける結末を迎えたのだろう」
「違うッ!!勝手なこと言うな!!」
「ユウキさん…」
気付けば、私は拳に力を入れて叫ぶように否定していた。
冷静になんてなれない。
だって私はまだ未熟で、子供なのだから。
「ローエンがどんな想いでいたか、ナハティガルがどんな想いでいたか知りもしないで勝手に決め付けるな!!」
「ユウキさん」
「クレインさんもナハティガルも、ローエンに国を託した。ローエンには王の器があるんだ!ガイアスみたいに民を犠牲にする力なんて欲しがったりしない!!あんなもの必要ない!!」
「ユウキの言う通りだ。クルスニクの槍は破壊する!」
「ミラの…マクスウェルの思いは邪魔させない!」
ミラとジュードくんが武器を構えたら、ウィンガル達も応戦モードに入る。
ウィンガルはブースターを使い、髪は白くなり言語はロンダウ語へと変わった。
「(また貴様達とやり合うことになるとはな!)」
「いっとくけど、今回は一人胡散臭い傭兵もいるから強いよ!」
「喋ってねーで戦うぞ!」
やはり解るウィンガルのロンダウ語に返事していたらアルヴィンに怒られた。
なにより、こんなとこで足止めを食らうわけにはいかんのだ!
「(貴様だけは生かして捕えよとの陛下からのご命令だ!!)」
「だぁから私はただの優姫だっての!!ローエン!!」
「参ります!!」
ウィンガルを私とローエンが、プレザをアルヴィンとミラが、ジャオをエリーとレイアとジュードくんが相手している。
みんなの様子が気になるも、相手はブースター使用中のウィンガルなため周りを見る余裕がない。
まずはウィンガルを叩く!
「だいたい何で私だよ!ミラじゃないのか!」
「(あれが本物のマクスウェルならな!)」
「?!」
ウィンガルに剣を弾かれ、間合いを取りながら剣を構え直す。
今、ウィンガルの奴なんて言った?
ロンダウ語を少し勉強していたというローエンも聞き取れたらしい。
驚愕を隠そうと冷静に問い質す。
「今のはどういう意味です?」
「(陛下は疑っておられる。あのマクスウェルは偽物で、本物は別にいるとな!)」
「な、んで?!証拠も何もないし、疑う理由なんてないだろっ!」
「(では聞こう。貴様はどこで生まれどこから来て、何をするためにここにいる?答えられるか?)」
「それは…っ」
答えられない。
どこで生まれたかもどこから来たかも、何をするためにここにいるのかも。
答えることができない。
グッと息を詰め、剣を握り締めればローエンが「まさか」とウィンガルを見た。
「あなたたちは、ユウキさんを」
「(陛下はそいつが、本物のマクスウェルではないかと疑っておられる!だから捕えよとな!)」
「なんだ、それ…勝手なこと言うな、勝手なこと言うなぁッ!!」
「(お喋りは終わりだ!)」
ウィンガルの振りかぶる剣を受け止める。
思考が上手く働かない。
私は本当にロンダウ語を聞けていたのか?理解出来ているのか?
ウィンガルが何を言っていたか、理解ができない。
何を寝ぼけたこと言い出してるんだこの人。
「ユウキさん!」
「!…たぁぁっ!!」
「(逃げるな!!)」
「マーシーワルツ!!」
「(ぐっ!!)」
私がウィンガルを押し退け、後退したと同時にローエンが鋭く素早い剣技を繰り出せば、さすがのウィンガルも怯みのけ反った。
「ローエン!!」
「行きますよユウキさん!!」
「「はぁぁぁぁぁッ!!」」
ローエンの精霊術で私は飛び上がり、一気に剣を振り下ろしウィンガルに当てる。
ブースターの使用とで体力の消耗しきっていたウィンガルはブースターを止め、力無く膝をついた。
「ウィンガルさん、あなたの増霊極はどこですか?」
「…ここ……だよ……」
ウィンガルが指差した場所は頭。つまり脳にブースターを埋め込んでいた。
「そうまでしてガイアスに仕えるのですね…」
場所を示してそのまま倒れ込むウィンガルにローエンは呟く。
まだ聞きたいことはあったが、私は他のみんなの様子を見渡すことにした。
見えたのはアルヴィンがもう体力の消耗と怪我で弱っているプレザに銃を向けていたところ。
「アルヴィン!もう決着はついてるじゃない!」
「…わーったよ。お前が言うならそうするよ」
私より先に止めに行ったジュードくん。
アルヴィンが銃を降ろせばプレザは奴を睨みつける。
「怖い怖い。そうやって、生きてくのよね。ボーヤ、そうやって弄ばれて、いつかは捨てられるのよ」
「けど、アルヴィンは僕の気持ち、わかってくれてると思う」
あちらはアルジュ的に萌えるから放っておこう。
あとは、ジャオとエリーだ。
「あの…どうして私を…心配してくれるんですか…?」
「理由をいえー!」
ジャオも膝をついていた。
エリーに問われるも、彼は何も答えない。
「ど、どうして…なんですか…っ」
「エリーゼ…」
レイアが声をかけるも、ミラは剣を鞘におさめながら先を見据える。
「クルスニクの槍まであと少しだ。みな、思うところもあるだろうが、先へ行かせてくれ」
みんなも本来の目的を遂行することを優先することにして、名残惜しむもミラの後を追う。
私はすぐにはついて行かず、ウィンガルの様子を確認しているジャオに声をかけた。
「…ジャオ、あのさ」
「?」
「ジャオは悪くないと思う…それに、ジャオはもう十分エリーを守ったよ」
「!小娘…?やはり、お前は…」
「世界を見守る存在…本物なの?」
「それは違う…!私は、ただの」
ジャオだけでなくプレザにもマクスウェルではないかと思われ、違うと首を振るが、ローエンが私の肩を叩く。
「行きましょう、ユウキさん」
「……うん」
きっと今は、何を言っても信用されないだろう。
なにより、なぜ私を疑ったのかガイアスに聞かなければいけない。
「ローエン、みんなにはウィンガル達が言ってたこと言わないでね」
「ユウキさん…」
「でも私はマクスウェルじゃないよ。本当に…違うから」
「わかりました」
ローエンに黙っていてもらい、私はジュードくんに向かって走る。
後ろから飛びつけば顔を赤くして焦った顔をされた。
「ユウキ?!な、なに?!」
「さっきのやり取り聞いたよ!まるでアルヴィンを取り合う元カノと今カノのやり取りでしたごちそうさまです」
「涎垂れてんぞKY女」
「あだだだ連戦後に頭わしづかみって意外とつらい!!」
アルヴィンに頭をわしづかみされてジュードくんから引きはがされました。
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私は何のためにこの世界に来たんだろう。
わからないから、まだ私は前に進むしかない。
25.滲む思考回路
「なんだお前達!所属と名前を言え!」
イル・ファンを出て、アルカンド湿原を通りファイザバード沼野までやってきた。
ラ・シュガル軍が拠点を構える場所を見つけ、近付けば今武器を向けられ警戒される。
だがローエンは怯むことなく自ら進み出た。
「私はローエン・J・イルベルト」
「え?まさか、『指揮者イルベルト』殿?」
「こんな事態です。戦況を伺えませんか?」
「ハッ、ではこちらへ!」
やはりコンダクターの名は伊達じゃない。
兵士達には憧れで、頼もしい存在なのだ。
兵士に案内され、私達は大きなテントの中に入る。
みんなが真ん中にある大きな机に向かうと、アルヴィンだけが離れて壁にもたれかかるから私もそうすることにした。
「これはリリアルオーブの反応を拾い、戦局図を見るものです」
「あれ、これだけ何か違う形してるね」
「それは参謀副長殿が進めている戦略のための部隊です。四象刃アグリアの妨害を突破したようですね」
「ジランドの戦略だということか?」
「ええ。一の鐘の後には、予定到達点に至ると思われます。詳細は聞かされていませんが、戦局の流れを一気にこちらへと向ける切り札だとか…」
兵士の丁寧な説明をぼんやりと聞く。
いや聞かなくても知っているのだ。
ジランドは兵士達を騙し、クルスニクの槍を移動させ、作戦実行と称して部隊を集めマナを吸収する。
クルスニクの槍を使うために。
「なぁ、ユウキ」
「…?なに、アルヴィン」
壁にもたれかかったままアルヴィンを見上げたら、奴はこちらを見ないまま聞いてきた。
「優等生達のとこに行かなくていいのか」
「…うん。だってさ、みんな私を慰めようとするじゃん」
「まぁ、な」
「アルヴィンはしないから、私はここの方が楽なんだ」
「……そうかよ」
何度も慰められるのは、少しつらい。
私が気持ちをすぐに切り替えられたらいいんだろうけど、そんな器用な性格じゃない。
「これから連戦かぁー…アルヴィン、新技考えようぜ。まずアルヴィンが飛ぶ」
「なんでだ」
「んで回る」
「俺をどうしたいんだ」
「どうしよう?」
「聞くなよ…」
「ユウキ?」
アルヴィンと遊んでたら、ジュードくんが私を呼んだので傍に寄ってみる。
どうやらクルスニクの槍がどこに運ばれようとしているかわかったらしい。
「だがクルスニクの槍からユウキが『カギ』を奪い、それを私がイバルに渡した。もしかしたら、新たな『カギ』が生み出された可能性がある」
「つまり、ジランドに追いついてボコボコにしてやればいいんだね?!」
「つまりそうです」
ローエンにニコリと言われ、私は俄然やる気が出た。
いつまでもウジウジしていられない。そもそもウジウジしてるからみんなに心配されてしまうのだ。
よし、頑張ろう!
「では、準備を整えたら出発だ」
「…?あれ、アルヴィン?」
みんなが外で色々話し合ってたら、ジュードくんがアルヴィンの姿が見えないことに気付き歩き出す。
何となくそれについていったら、話し声のようなものが物陰から聞こえた。
「…あんたの……信じるよ」
「アルヴィン?」
ジュードくんがおそるおそる物陰を覗くもそこに姿はない。
あれ?と首を傾げていたら、後ろから胡散臭い男が何食わぬ顔で出てきた。
「何してんの?優等生?」
「あれ?アルヴィン?確かこっちに…」
「は?大丈夫かジュード君?」
「アルヴィン…またウソですね?」
私達に気付いたエリーが腕を組んでアルヴィンを睨みつける。
とてつもなく可愛いが、アルヴィンはへらへらしていて叩いてやりたい。
「エリーゼってば、何言ってるんだよ。優等生、おたくも疑ってんの?」
「……」
「アルヴィンさん。今の状況で一人で動かれると、さすがに疑われますよ」
「アルヴィン、今は勝手に僕たちから離れないでよ」
「ジュードの言う通りだよ。約束だからね!」
「はいはい」
「もうその返事が胡散臭いよね!ていうか存在が胡散臭いよね!」
「この胡散臭い変態もちゃんと束縛しておこうぜ優等生」
「いだだだだだ肩外れます肩外れます!!」
間接技をくらい悲鳴を上げていたら、何だかみんながホッとした表情で私達を見ていた。
いつものようにできる自分に、まだ頑張れるんだと気付く。
そうだよ、私がここまで来たのはジュードくんに悲しい想いをさせないためじゃないか。
今はそれだけでいいんだ。
「ラ・シュガルの戦略要点は、両軍が衝突する盆地を見下ろせる丘の上です」
「そこにクルスニクの槍をすえる気か」
「おそらく。ここなら密集した敵を確実に捉えられる。クルスニクの槍がマナを使用する兵器なら絶好の場所です」
ジランド達の部隊を追うため、道を探しながら歩いていたら、ミラとローエンが状況分析をしているのが聞こえた。
「しかし、奇襲に動ぜず的確にこの場所を見抜くとは…」
「何より、ユウキの足を負傷させたということもある。油断ならない男だ」
「ナハティガルにおもねる凡庸な男だと思っていましたが…認識を改めねばなりません。…思えば始めからユウキさんは彼の本質を見抜いていたのですね」
「…見抜いていた、かぁ…」
違うんだけどなぁ。見抜いたんじゃない。
知っていただけだ。
一度この世界が行く先を見たから、知識として備わっていただけ。
「おいティポ、気になるのはわかるけど、そんな熱い瞳で俺を見つめるなよ」
「違うー!フシンジンブツをカンシしてるんだー!」
「がんばらなきゃ…みんなのために…」
アルヴィンとティポがコントをしてる傍で意気込むエリー。
ローエンはブースターの副作用を兵士からブースターを渡された時に知ったらしく、エリーを心配そうに見つめた。
それから、私達を呼び止める。
「みなさん、私から離れないでください」
ローエンはそう言ってブースターを地面にたたき付け、発動させた。
霊勢を変化させるものだ。ローエンの傍にいれば、ここで普通に行動ができるようになる。
「思ったより視界が悪いね。敵がどこにいるか全然わからないよ」
「迂回して安全なルートを探すか?」
「ううん。まっすぐに駆け抜けようよ。それが一番早い」
「ジュードくんに賛成です!いっそアルヴィンを囮にしてるうちに私達だけ行くのも有りかと思います!」
「それは有りですね」
「おいこらじいさん。普通に納得しないでくれる?」
アルヴィンに頭をぐりぐりされていたら、ティポとエリーは敵に突っ込む作戦に不安そうだ。
「ぼくたち死んじゃうかもー!ねーレイアー!」
「だ、大丈夫だよ。ジュードが言うんだもん」
「恐れるな」
ミラが恐れを断ち切るように言い切る。
「今、最も恐れるべきは、人間と精霊の命が脅かされることだ」
「ミラ、かっこいい!」
レイアの言う通り、ミラはかっこいい。
そして、誰よりも強い信念を持っている。
ジュードくんが憧れるように、私もミラに憧れる。
ミラのように強くなれば、みんなを…ジュードくんを守れるだろうか。
(…よっし!頑張ろう!!)
「クルスニクの槍を破壊する!」
ミラの声と共にみんなが武器を構える。
目指すはジランド、そしてクルスニクの槍。
「一番、優姫!!突撃しまぁぁぁぁすッ!!」
「私も行くぞ!」
「サポートするよユウキ、ミラ!」
直線に突っ走ると、私達に気付いたア・ジュール兵が武器を構えてこちらを攻撃してくる。
それを私とミラが斬り上げ、ジュードくんが拳を入れた。
その後ろではローエンとエリーが術を唱え、レイアとアルヴィンは一番後ろを走る。
術師を間に挟み守る隊列だ。
「ミラ!危ない!」
しかしア・ジュール兵だけが敵かと思いきや、ラ・シュガル兵が私達を見つけて攻撃を仕掛けてきた。
ミラに向かう攻撃をジュードくんが受け止め、間合いをとる。
「何をするんだ!僕たちは敵じゃない!」
「ジランド参謀副長より全軍に通達があった!『指揮者イルベルト』は敵となった、殺してでも排除せよ、とな!」
「何ですと…?!」
「ラ・シュガル戦略要点の破壊など絶対にさせぐはっ!!」
「そぉいッ!!」
何か言いながら向かってくるラ・シュガル兵の顔に蹴りをかまし、ついでに周囲にいた術師達もさらに蹴り飛ばす。
私の行動にみんながキョトンとしたから私もキョトンとした。
話をまともに聞かずに攻撃したからかな?
「いや…だってこんな障害に手間取ってる場合じゃないっしょ?目指すはジランド&クルスニクの槍!ここでは私達以外はみんな敵!さぁ行こう!!」
「フ…ああ、そうだ。行くぞ!」
ミラは私の言い分に納得したようで隣を走り出す。
隣にミラがいて、後ろにはジュードくん達がいる。すごく心強い。
前を突っ走る私とミラを、アルヴィンだけが訝しんでいたのには誰も気付かなかった。
走りながら、私は戦争の恐さを知っていく。
命の重みと、生きるためには他者を殺す悪循環を知っていく。
(怖い)
「ちっ、うじゃうじゃ出てきやがるッ!」
「はぁ…はぁ…まだ、頑張れますっ」
(怖い、怖い)
「こんなのキリがないよっ!」
「援護します、レイアさん!」
(怖い……)
「ユウキ!」
「前だ!!」
ジュードくんとミラの声がして、私は剣を振って名前も知らない誰かを斬った。
生々しい感触に、真っ赤な血。
ああ、ここは、ゲームの世界だけど、違うんだ。
(ゲームなんかじゃない。この恐怖も全部、私には現実なんだ)
「あれは…ア・ジュールの四象刃?」
兵士達を錯乱し、入り組んだ道へ飛び込めば前方に見知った顔を見つけた。
「まだ増えるか。アグリアは合流できそうにないのう」
「ああ、たまんない。じらさないでよ、ウィンガル」
「奥の赤鎧。あれが指揮官だな」
兵士数十人に囲まれていたのは四象刃のジャオ、プレザ、ウィンガルだった。
ジャオはアグリアの心配をし、プレザは興奮し、ウィンガルは冷静に分析をしている。
ラ・シュガル兵は敵が三人ということに優越し、一斉にかかれと指示した。
「気に入らないな、そういった姿勢は」
ウィンガルは赤鎧の指揮が気に入らないと一人で飛び込んでいき、プレザは呆れたように肩を竦めた。
「そうやって、いつも先走るんだから…嫌いじゃないけどね」
「女だ!女を狙え!」
「邪魔しないで」
飛び掛かってくる兵達に、プレザは素早く詠唱し強い精霊術を発動させ蹴散らすと、兵達を力任せに薙ぎ払うジャオ。
「久々に血がさわぐのぉ!」
「チェックだ。…失礼、王と呼ぶにはふさわしくなかったな」
一瞬にして兵達が倒れる。
最後にウィンガルが指揮官を倒し、剣を鞘におさめると、ようやく私達に気付いたようだ。
「来たか、マクスウェル。それと…」
ウィンガルはミラを見て、それから私を見る。思わず身構えたらため息を吐かれた。
な、何だってんだ一体…?
「やはり戦場でまみえることになった、か。悲しい時代だのぉ」
「山狩りは楽しかったわ、アル」
そいつはよかったとアルヴィンが笑ったら睨まれた。
いやこれは仕方ない。
「ジランドを討ったの?」
「答える義理はないな」
「ならば話を変えるとしよう。道をあけろ!」
「うふふ、冗談でしょ?」
「槍は破壊する。それでこの戦いはお前達の勝利だろう。何故それで満足できない?」
ミラが問えば、ジャオが答えた。
「陛下の望みだからだ」
「この戦は通過点に過ぎない」
「ここで争えば、あなたたちも命を落とすかもしれない。王を支える者がいなくなるのですよ!」
「陛下は、お一人でも歩まれるわ」
「あなたのように、後ろに隠れてこそこそ戦うようなマネはされない」
ウィンガルの言葉にローエンがどういうことだと聞けば、半ば笑ったように返事がかえされた。
「イルベルト殿、なお誤魔化されるつもりか?」
「…」
「民の先陣を切り、戦わねばならない者であるあなたは、最後尾に回ってしまった。その結果がナハティガルの独裁を許し、自らの手にかける結末を迎えたのだろう」
「違うッ!!勝手なこと言うな!!」
「ユウキさん…」
気付けば、私は拳に力を入れて叫ぶように否定していた。
冷静になんてなれない。
だって私はまだ未熟で、子供なのだから。
「ローエンがどんな想いでいたか、ナハティガルがどんな想いでいたか知りもしないで勝手に決め付けるな!!」
「ユウキさん」
「クレインさんもナハティガルも、ローエンに国を託した。ローエンには王の器があるんだ!ガイアスみたいに民を犠牲にする力なんて欲しがったりしない!!あんなもの必要ない!!」
「ユウキの言う通りだ。クルスニクの槍は破壊する!」
「ミラの…マクスウェルの思いは邪魔させない!」
ミラとジュードくんが武器を構えたら、ウィンガル達も応戦モードに入る。
ウィンガルはブースターを使い、髪は白くなり言語はロンダウ語へと変わった。
「(また貴様達とやり合うことになるとはな!)」
「いっとくけど、今回は一人胡散臭い傭兵もいるから強いよ!」
「喋ってねーで戦うぞ!」
やはり解るウィンガルのロンダウ語に返事していたらアルヴィンに怒られた。
なにより、こんなとこで足止めを食らうわけにはいかんのだ!
「(貴様だけは生かして捕えよとの陛下からのご命令だ!!)」
「だぁから私はただの優姫だっての!!ローエン!!」
「参ります!!」
ウィンガルを私とローエンが、プレザをアルヴィンとミラが、ジャオをエリーとレイアとジュードくんが相手している。
みんなの様子が気になるも、相手はブースター使用中のウィンガルなため周りを見る余裕がない。
まずはウィンガルを叩く!
「だいたい何で私だよ!ミラじゃないのか!」
「(あれが本物のマクスウェルならな!)」
「?!」
ウィンガルに剣を弾かれ、間合いを取りながら剣を構え直す。
今、ウィンガルの奴なんて言った?
ロンダウ語を少し勉強していたというローエンも聞き取れたらしい。
驚愕を隠そうと冷静に問い質す。
「今のはどういう意味です?」
「(陛下は疑っておられる。あのマクスウェルは偽物で、本物は別にいるとな!)」
「な、んで?!証拠も何もないし、疑う理由なんてないだろっ!」
「(では聞こう。貴様はどこで生まれどこから来て、何をするためにここにいる?答えられるか?)」
「それは…っ」
答えられない。
どこで生まれたかもどこから来たかも、何をするためにここにいるのかも。
答えることができない。
グッと息を詰め、剣を握り締めればローエンが「まさか」とウィンガルを見た。
「あなたたちは、ユウキさんを」
「(陛下はそいつが、本物のマクスウェルではないかと疑っておられる!だから捕えよとな!)」
「なんだ、それ…勝手なこと言うな、勝手なこと言うなぁッ!!」
「(お喋りは終わりだ!)」
ウィンガルの振りかぶる剣を受け止める。
思考が上手く働かない。
私は本当にロンダウ語を聞けていたのか?理解出来ているのか?
ウィンガルが何を言っていたか、理解ができない。
何を寝ぼけたこと言い出してるんだこの人。
「ユウキさん!」
「!…たぁぁっ!!」
「(逃げるな!!)」
「マーシーワルツ!!」
「(ぐっ!!)」
私がウィンガルを押し退け、後退したと同時にローエンが鋭く素早い剣技を繰り出せば、さすがのウィンガルも怯みのけ反った。
「ローエン!!」
「行きますよユウキさん!!」
「「はぁぁぁぁぁッ!!」」
ローエンの精霊術で私は飛び上がり、一気に剣を振り下ろしウィンガルに当てる。
ブースターの使用とで体力の消耗しきっていたウィンガルはブースターを止め、力無く膝をついた。
「ウィンガルさん、あなたの増霊極はどこですか?」
「…ここ……だよ……」
ウィンガルが指差した場所は頭。つまり脳にブースターを埋め込んでいた。
「そうまでしてガイアスに仕えるのですね…」
場所を示してそのまま倒れ込むウィンガルにローエンは呟く。
まだ聞きたいことはあったが、私は他のみんなの様子を見渡すことにした。
見えたのはアルヴィンがもう体力の消耗と怪我で弱っているプレザに銃を向けていたところ。
「アルヴィン!もう決着はついてるじゃない!」
「…わーったよ。お前が言うならそうするよ」
私より先に止めに行ったジュードくん。
アルヴィンが銃を降ろせばプレザは奴を睨みつける。
「怖い怖い。そうやって、生きてくのよね。ボーヤ、そうやって弄ばれて、いつかは捨てられるのよ」
「けど、アルヴィンは僕の気持ち、わかってくれてると思う」
あちらはアルジュ的に萌えるから放っておこう。
あとは、ジャオとエリーだ。
「あの…どうして私を…心配してくれるんですか…?」
「理由をいえー!」
ジャオも膝をついていた。
エリーに問われるも、彼は何も答えない。
「ど、どうして…なんですか…っ」
「エリーゼ…」
レイアが声をかけるも、ミラは剣を鞘におさめながら先を見据える。
「クルスニクの槍まであと少しだ。みな、思うところもあるだろうが、先へ行かせてくれ」
みんなも本来の目的を遂行することを優先することにして、名残惜しむもミラの後を追う。
私はすぐにはついて行かず、ウィンガルの様子を確認しているジャオに声をかけた。
「…ジャオ、あのさ」
「?」
「ジャオは悪くないと思う…それに、ジャオはもう十分エリーを守ったよ」
「!小娘…?やはり、お前は…」
「世界を見守る存在…本物なの?」
「それは違う…!私は、ただの」
ジャオだけでなくプレザにもマクスウェルではないかと思われ、違うと首を振るが、ローエンが私の肩を叩く。
「行きましょう、ユウキさん」
「……うん」
きっと今は、何を言っても信用されないだろう。
なにより、なぜ私を疑ったのかガイアスに聞かなければいけない。
「ローエン、みんなにはウィンガル達が言ってたこと言わないでね」
「ユウキさん…」
「でも私はマクスウェルじゃないよ。本当に…違うから」
「わかりました」
ローエンに黙っていてもらい、私はジュードくんに向かって走る。
後ろから飛びつけば顔を赤くして焦った顔をされた。
「ユウキ?!な、なに?!」
「さっきのやり取り聞いたよ!まるでアルヴィンを取り合う元カノと今カノのやり取りでしたごちそうさまです」
「涎垂れてんぞKY女」
「あだだだ連戦後に頭わしづかみって意外とつらい!!」
アルヴィンに頭をわしづかみされてジュードくんから引きはがされました。
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