chapter 04
DREAM
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「ローエン!」
「優姫さん。皆さんもご無事でなによりです」
「ってぎゃ!なにその破壊された跡?!」
38.決戦前夜祭
トリグラフに戻ると、レイアは「つかれた~」と言いながら屈んでいて、エリーもティポも座り込んでいた。
何かあったことは明らかで、駆け寄りながらミラが尋ねる。
「敵襲があったのか」
「ガイアスのやろー、嘘つきやがったのか?」
「いえ、敵襲といえば敵襲ですが、先程優姫さんのコピーさんが来ましてね」
「えっ私のコピーが?!だ、大丈夫だった?!」
「彼女の精神状態が正常でしたら少々やばかったです」
ということは、情緒不安定クライマックスでここを襲撃にきたのか。
もう…なんだって私のコピーのくせにネガティブなんだ……いや私のコピーだからネガティブなのか。
「なんか、顔が優姫だから戦いづらかったよ~」
「です…」
「レイアは盛大に棍術決めまくってたけどねー!」
「レイア…恐ろしい子…!」
「わー!ティポなんてこと言うのよっ!優姫もそんな顔でわたしを見ないで~っ」
レイアにポカポカされながらティポをグニグニしてやる。
エリーもティポも、レイアもローエンもみんな無事でよかった。
「みんな、聞いて。実はね」
少し興奮気味のジュードくんが、先程バランさんと話した内容をみんなに伝える。
レイアとエリーはよくわかっていなさそうだったけど、ローエンは「なるほど」と髭を撫でた。
「精霊を殺さない源霊匣があれば、黒匣を必要とする方々も安心して暮らせるようになるわけですね」
「うん。まだまだ考えなくちゃいけないことは沢山あるけど、これなら黒匣をなくす必要もないし精霊も死ななくなる」
「よくわかんないけど…ジュード、やったね!」
「ジュードはやるときはやる人です」
ジュードくんが諦めず、ここまできたから見つけられた答えだ。
私が手を出さなくても創られていく未来図。
みんなが自分のことのように喜ぶなか、私も嬉しくて口元が緩んでしまう。
「そういや、バランから俺らが倒れてた場所聞いたけど、今から行ってみるか?」
「そうだな。帰る手段があるかどうか、確認する必要があるだろう」
「レイア、だいじょぶ?エリーも立てる?なんなら背負うよ?アルヴィンが」
「おい。なんで俺だ…ってレイアもお姫様も登ってくんなって!!」
来た道を戻り、ヘリオボーグ基地を通り抜けてルサル街道を突き進んでいくと、崖の近くへ到着した。
アルヴィンが周囲をキョロキョロ見渡しながらバランさんに言われた場所へ誘導してくれた。
「この丘の下に俺達が倒れてたみたいだな」
「ふむ…では下に行く道を探そうか」
「あれ、なんですか?」
行く気満々のミラだったが、エリーが崖の近くで揺らめくものを見つけて指をさす。
あれが次元の裂け目だ。
「僕達、きっとあそこから崖の下に落ちたんだ」
「けど、裂け目がずいぶん小さくないか?」
「消えかかっているようだ。飛び込むのは一か八かになるな」
だがこのあとの決戦前夜でガイアスがチートアイテムを持ってきてくれるから安心だ。
……筋書き通りいけば、だけど。
「ほんとに入れないのかな…」
「わっ優姫危ないって!」
「や、人が入れない大きさか見たくて」
レイアに注意されるも近くまで行ってみる。
たしかに大きさは私の頭二個分ほどの大きさで、飛び込むのは一か八かになりそうだ。
……ガイアス、頼むからミニエターナルソード持ってきてね…。
と、願掛けをしていたらジュードくんの声がした。
「みんな、リーゼ・マクシアに帰るつもりなら、僕達ここで別れた方がいいと思うんだ」
みんなにジュードくんなりの意思表示をしているんだ。
私も振り返り、みんなの様子を少し離れた位置のまま見守ることにする。
「な、何言い出すの?!」
「もう戦うしか、ガイアスを止める方法はないと思う。だから、一時の感情に流されて、本当の気持ちをごまかさないでほしいんだ」
「私も同感だ。自分の心をごまかすような戦いなら、意味はない」
ジュードくんもミラも、これが最後で、一番危険な戦いになることを悟っている。
だからみんなをやすやすと危険な目に遭わせたくないんだ。
「己の心で、己の道を決める、ですね」
「そりゃそうだ。でなきゃ、マクスウェルにミラと優姫を認めさせたことがウソになっちまうしな」
「……もう少しだけ、考えさせて。ジュード達が出発するまででいいの」
「うん。わかった」
レイアとエリーは悩んでいるようだ。ローエンはもう、決めているんだろうな。
一旦街に戻ろうと、みんなが歩いていくなか、ミラだけが立ち止まったままだった。
「一時の感情に流されるな、か…。今の私、まるで人間じゃないか…」
「ミラは、人間になりたくない?」
「!…優姫…」
隣に並び、そう問い掛けたら困った顔をされた。
「…私は、マクスウェルとして生きてきた。それは今までもこれからも変わらないだろう。だからこそ、人間みたいになっては、自分ではない気がしてしまう…」
「ミラ。私はミラが人間らしい感情を持ちはじめていくの、すごく嬉しかったんだ」
「…?」
「マクスウェルの使命に生きるミラもカッコイイけど、人間らしくみんなと笑いあってるミラも好き。だからさ、悩まなくていいよ。ほら、ミラも言ってたじゃん!なすべきことを、そのままの自分でやればいいって!」
「優姫…」
「ほぐぁミラしゃま、私のほっぺた好きなんですかもごごご」
ミラに頬をグニグニされながら、ふと医療ジンテクスを見る。
外れてないな、よし大丈夫。
ゲームではミラのつけていた医療ジンテクスから精霊の化石が外れ、ジュードくんがそれを拾ってしまう。
別れを悟ってしまう。
決戦前に、そんな悲しい思いはさせたくない。
「ミラー?優姫ー?」
「ああ。行こう、優姫」
「おぅよ!戻ったらジュードくんの手料理食べたいな~」
「それは食べたいな…」
食欲に勝てないミラとニヤニヤする私に、待っててくれたジュードくんはビクッと肩を震わせた。
トリグラフに戻り、みんながバランさん宅で休んでるので私が買い物に行くと立ち上がったら、エリーがついて来るというので二人で行くことにした。
カラハ・シャールほど充実はしてないものの、珍しいものが沢山でそれなりに満足だ。
「エリーは何がほしい?」
「え?」
「優姫、何か買ってくれるのー?」
「友達の証をね!」
「!!ほんと…ですか?!」
うん、と頷いたらエリーは頬を赤らめて俯いてしまった。
ティポはグルグル私の周りを飛んで「わぁいわぁい!」と喜んでいる。
品物を見ながら、エリーが怖ず怖ずと指さすそれは。
「?エリー、髪結びたいの?」
「はい…優姫とお揃いです!」
「お揃い!!エリー、可愛すぎるーっ!」
ぎゅむむっと抱きしめたら「えへへ」とはにかんだ笑いがかえってきてますます愛しくなった。
指さされた先のヘアゴムの種類を見ながら、あ、と気付く。
「ね、エリー。私ジュードくん達にも友達の証をあげたいからさ、選ぶの手伝ってくれる?私センスないんだよね…」
「な、なら、みんなでお揃いがいいです!」
「でもアルヴィンはやだー!」
「ぷ、ぷふ…アルヴィン…!ざまぁ…!」
プクーと膨れるエリーの頬をプニプニしながら、なんやかんやでアルヴィン含むみんなお揃いの品を選んで買い物を終えた。
「おや、エリーゼさん上機嫌ですね」
「えへへー、私とお揃いがいいんだって可愛すぎるよねー♪」
バランさん宅のあるマンションへ戻ると、一階のロビーで佇むローエンを見つけて声をかける。
ちなみにエリーはフワフワと愛らしい笑顔でバランさん宅へ先に帰っていった。
「ほっほっほ、やはり優姫さんはすごい方ですね」
「え?私なんかしたっけ…?!」
「皆さんを明るくしてくれます。とくにジュードさんとミラさんの変化は一目瞭然ですよ」
「ジュードくんとミラの?」
ローエンの隣に立って、首を傾げる。
変化ってなんだろう。
わかっていない私にローエンはクスリと笑った。
「優姫さんと再会してから、二人とも心の底から嬉しそうです。もちろん、私達もですがね」
「……私ほら、この世界の人間じゃないじゃん?みんなのことも……正直知りすぎてる。…私、ここにいていいのかなって…たまに思ってた」
「優姫さん」
「でも、もう思わない!」
びっくりした顔のローエンに、ビシッとブイサインをして笑ってやった。
「みんなが私を受け入れてくれた。仲間だって思ってくれた。私は私だと言ってくれた……だから、私はここにいていいんだ!……よね?」
つい最後が弱気になってしまったが、ローエンはまた笑いながら、大きく頷いてくれた。
「もちろんですとも。ジュードさんもミラさんも、私達もみな、あなたが大好きなのですから」
「~っ、私もローエン大好きだーっ!むぎゅう!」
「おやおや、皆さんに妬かれてしまいますね」
ローエンに抱き着いたら、そんな軽口と共に頭を撫でられた。
それから二人でバランさん宅へ帰ったら、ジュードくんが夕食を作ってくれていて幸せに浸りながら食べたのだった。
――――――…
夜。みんなが寝静まる頃に、私は起き上がる。
(みんな、夜会話とかしてるのかな…)
女子部屋には私しかおらず、みんな何処かへ行っているようだ。
かといってみんなのところへ行くわけにもいかないし、目が覚めてしばらく寝れないし。
(私も外の空気でも浴びようかな~)
「あ、優姫。起きたんだ?」
「レイア!おかえり~」
医療ジンテクスを足につけて立ち上がったら、ちょうどレイアが部屋に帰ってきた。
レイアは私の傍まで来ると、ポンポンとベッドを叩いた。
座れってことらしい。
とりあえず座ったら、隣にレイアも腰掛ける。
「優姫はさ」
「うん?」
「ジュードのこと、好き、なんだよね?」
「もちのろんよ!」
「…守りたい、くらい?」
レイアは、悩んでいるんだろうか。
ローエンとの夜会話で決意したであろう自分のやるべきこと、やりたいことを理由にしていいのか、まだ決断しきれてないのだろうか。
「…私、自分のコピーに言われて気付いたんだ。私がジュードくんを守りたいって思ったのは、この世界での居場所が欲しくてジュードくんに縋ったからだって」
「そんなこと!…そんなの、わたしだって…」
「でも、私がジュードくんを好きで、悲しませたくない、守りたいって思ったのは本当。だからいいんだ」
立ち上がったら、レイアが私を見上げた。
「レイアも、レイアが思ったままでいいと思う。ジュードくんが好きで、一緒にいたいならそれが理由でいいんだよ!ね?」
「もう……優姫には、かなわないなぁ」
「へ?」
「ありがと、優姫」
よくわからないが、私の熱い思いは伝わったようで笑顔でお礼を言われたので、むぎゅうと抱き着いたら抱きしめ返された。
「げ、アルヴィン」
「げ、とはなんだ」
マンションから外に出てみたら、ブランコに座る後ろ姿を見つけた。
けど、私の知る物語での背中と違い、しっかりしていた。
「一人?」
「さっきまで姫様も「寝れない~」ってそこにいたんだけどな」
「頬っぺちゅーされた?」
「されてねーけど…え、おたくの知る未来だとされんの?それは惜しい気もするな」
ハハ、とアルヴィンが笑う。
それをニヤニヤと隣に立って見てたら、なんだよと頭を叩かれた。
せ、背が高いとか卑怯だ…!座ってる奴に軽々頭を叩かれるなんて!
「べつにー!アルヴィンが普通に笑えててよかったなーって思っただけだし!」
「……なぁ」
「なにさ」
「俺は、おたくの知る未来の俺の気持ち、わからなくもねーんだ」
うん、と頷いたら、アルヴィンはブランコから立ち上がった。
その姿は、やっぱり私の知る物語のアルヴィンとは違って、背筋を伸ばし、前に進もうとする大人に見えた。
「俺にはなすべきことなんてない。ミラみたいには生きられない。…おたくはわざと黙っててくれたんだろうけど、ジュードのことだって、本当は嫌いだった」
「うん」
「母さんは死んで、ミラも見殺しにして…断界殻は消えなくて…正直、想像したら俺でも自暴自棄になってると思う」
けど、とアルヴィンは私を見た。
「気持ちはわかるが俺は、そんな未来にならなくてよかったってホッとしてんだぜ。優姫が未来を変えてくれたから、俺は堂々としてられる。あいつらと未来を見据えられる」
「……私、アルヴィンのお母さん、助けられなかった。クレインさんも、ナハティガルも…」
「ばーか。お前なりに努力してたの知ってんだ。ちゃんと背負ってることも知ってる。そんなお前だから、みんなが一緒にいるんだろ」
ポフポフ、とアルヴィンに頭を撫でられる。
思えば、アルヴィンにはいつも頭を撫でられたりしている。
クレインさんの時も、アルヴィンのお母さんの時も、再会した時も。
疑われたり妨害されたり利用されかけたりしたけど、ずっと助けられてきた。
あ、なんか少しジュードくんがアルヴィンを信じようとした気持ちがわかった気がする。
「アルヴィンって、見かけと違って優しいよね」
「見かけ通りって言ってくれ」
「アルヴィン、ちょい屈んで」
「ん?なんだ」
よ、と言われる前に、屈んだアルヴィンの頬にエリーがしてたようにキスしてやった。
一瞬呆然としたアルヴィンが面白くて笑ってしまう。
「今までのお礼だよ!それに、エリーにしてもらえなくて可哀相だからな!ドヤッ」
「…はぁ、こんな嬉しくないキスは初めてだ」
「んだとこら!」
「そーゆーのは優等生にやってやれよ」
「ジュードくんにはミラがいるでしょーが。何言ってんのアルヴィン?バカなの?」
そう言ったら、なぜか額を小突かれた。
なんだコノヤロー!
「大人になればなるほど、本音を言えなくなる。言うなら若いうちだぜ、優等生」
「?アルヴィン誰に向かって喋ってんの?はっ……まさか妖精的なものが見え……」
「ねーよ。…たく、先寝るわ。キスごちそーさま」
「うわぁすっげー棒読みありがとうございました」
ヒラヒラ、とアルヴィンは手を振りマンションへ帰っていく。
ベーっと舌を出してやったが、なんかまだ眠れそうにない私は、街をウロウロすることにした。
(今頃ジュードくんはミラと話をしてて、ガイアスが来てる頃かな)
断界殻を消すことは、マクスウェルの死を意味する。
ミラはマクスウェルとなることを決めているが、ジュードくんは本当はミラと別れたくないんだ。
二人が、一緒にいられなくなる。
世界中の人々と、精霊たちの未来を、守るために。
創っていくために、必要な別れ。
(でも私は、そんなの嫌だ)
ザッ
「!」
「身構えるな」
足音がして振り返ったら、今頃ミラジュに乱入してるはずのガイアスが立っていた。
思わず身構えるのは仕方ない。
「な、何のご用でしょう…?てか、ジュードくんとミラのとこにいたんじゃ?」
「すでに終えた。お前にも話があったのだ」
「な、なんですかね?」
「お前のコピーから言われた。この物語は我らの戦いで終わりを迎えると」
ぎゃー何ネタバレしてんだあのバカコピー!
エピローグが残ってるものの、たしかにガイアス戦で区切りを迎えるわけだけども!
あわわと頭を抱えていたら、ガイアスは無表情のまま尋ねてきた。
「なら優姫、これが終わればお前はどうなる」
「え」
「お前はこの物語の始まりと共に来た。ならば終わりが来れば役目を終えるのではないか?」
終わりがくれば、役目を終える。
おそらく当たりだ。
私はこの戦いが終わったら、きっとこの世界から追い出されるだろう。
マクスウェルもジルニトラ以降に私を残すつもりはなかった。だから私を完全に消そうとした。
けど、それを無理矢理私は飛び出したんだ。
だから長くは持たない身体になっているはず。
「多分、元の世界に強制送還されるか消滅するか、だと思う」
「どちらであっても、お前はこの戦い限りで消えるということか。いいのか、それで」
「うーん。よくない…けどしょーがない、って感じかな」
「仕方がない?」
「元々、私がこの世界に来たのはマクスウェルが私をミラの代わりにするためで、本来ならこんなとこまで生きてる予定じゃない存在なわけだし」
仕方がないことだと思う。
物語の最後以降もみんなといられないのは寂しいけれど、みんなといられる今が奇跡なんだ。
大切なことを、沢山知ることが出来た。
それだけで、私は幸せだったと胸を張れる。
だからこそ、私はみんなを勝たせなきゃいけない。
「今の私のなすべきことは、みんなを勝たせること。ジュードくんが創る未来を守ることだ。てわけだから、容赦しないからなガイアス!」
「フ……やはり、お前みたいな女は初めてだ」
「どーいう意味で?!絶対良い意味じゃないよね?!」
「もしお前がこの世界に留まるならば、俺のもとに来るがいい」
「え、ちょ、ガイアスさん?!」
言い逃げ…された…!
時空を裂いてさっさと帰ってしまったガイアスの背中にむきーッと唸ってたら、また誰かの足音がした。
「優姫…ここにいたんだ」
ジュードくんだ。
「さっき、ミラと話してたらガイアスが来たんだ」
どこかのベンチに二人で腰掛けると、ジュードくんにそう切り出された。
私のとこにも来たけどね!
結局何を言いに来たかわかんなかったけどね!
「ミュゼの力の一部を僕達にくれた。これで、リーゼ・マクシアに帰る選択肢も出来ただろうって」
「ガイアスなー…ジュードくんと戦いたくないのかね?」
「争うことで解決するのは、実はあんまり好きじゃないのかも」
「ならジュードくんと似てるのか…ガイジュたまらんハスハス」
「……優姫、は」
いきなり声のトーンが落ちたジュードくんに、ハスハス言ってたのがまずかったか、と謝る体勢を整えてたら、俯いたまま聞かれた。
「これが終わったら、どうするの?」
聞かれて、しまった。
ガイアスは多分話してはいないだろうけど、ジュードくんは勘の良い子だ。
なんとなく、察してしまったんだろう。
前の私なら、誤魔化した。
全部終わっても一緒にいると嘘をついた。
けど、もう嘘はつけない。つきたくない。
だから、言うんだ。
「この世界から、消えるよ」
本当のことを。
私の口から話すんだ。
いつか全部話すと言ったのは私なんだから。
言わなきゃいけないことの大半はコピーからばらされてしまったけど。
ジュードくんが、顔を上げた。
目が少し潤んでて、可愛いなぁなんて場違いにも思う。
「多分、私は物語の終わりと一緒に消える。元々ジルニトラまでの命だった私が、最後までみんなといられるのは、すっごく奇跡的なことだよ」
「で、も…優姫、そうなったら、もう会えないの…?」
「んー、そうだなぁ…会えないなぁ…ジュードくんの創る未来、私も見たかったなぁ」
「消えないでよ、優姫…」
「ジュードくん」
ジュードくんが私の手をギュッと握った。
少し痛かったけど、ジュードくんがこんなにも私のことを思ってくれてることが、またまた場違いにも嬉しかった。
「私さ、ジュードくんにお礼言わなきゃいけないことが沢山あるんだ」
「…僕に?」
「初めてこの世界に来た日、怖かった。いつの間にか知らない部屋にいて、手荷物とか用意されてて、外出たら見たことない街で、怖くて仕方なかった」
困惑してたら、街の人に『ここはイル・ファンだよ』と言われて、途方に暮れた。
頭の中、『ありえなくてもそれしかないのなら、それは真実になりえる』って言葉だけが反芻して、立ちすくんだ。
「何もかも怖くて、『助けて』って、心の中で呟いた。そしたら、街から光が消えてね。振り返ったら、ジュードくんがいたんだ」
「それって…初めて、会った時のこと?」
「うん。ジュードくんに泣きそうな顔してたって言われたけど、実際そうだったと思う」
けど、見つけてもらったんだ。
世界に一人ぼっちになっていた私を、ジュードくんが。
「私を見つけてくれて、ありがとう。心配してくれて、信じてくれて、本当にありがとうジュードくん!」
手を握り返して、沢山感謝をする。
ジュードくんがいなかったら、きっと今の私はいない。
変わったのはジュードくんだけじゃない、私もジュードくんのおかげで変われたんだ。
そう言って笑ったら、ジュードくんは俯いてしまった。
ポタポタと涙が落ちていく。
「ずるいよ、優姫。そんな風に言われたら、僕も決断しなくちゃいけないじゃないか」
「大丈夫だよ。だって、ジュードくんは戦いを止めるとは一度も言わなかった。ちゃんと決断出来てるよ」
「ずるい…最近優姫、アルヴィンみたいに口が上手くなってる」
「アルヴィンみたいに…!う、嬉しくない…」
そこはかとなくショックを受けていたら、ジュードくんは目を擦り、もう一度顔を上げた。
その顔に、迷いはない。
「優姫、必ずガイアスを止めようね」
「もちのろんよ!私のコピーも止めなきゃね!」
涙目も可愛いけど、やっぱりジュードくんには笑顔が一番似合ってて可愛いや!
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