chapter 04
DREAM
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「マクスウェルこのやろー!輪廻の果てから舞い戻ってやったよこのやろー!クフフ!」
某パイナップルな台詞をマクスウェルに向けてやったら、イミフなんですけど的な顔をされたから舌を出してやった。
ネタがわかってもらえなくても泣かないし!
35.レプリカのココロ
「うそ…優姫なの…?」
「まさか…こんなことが…優姫さん!」
「優姫…優姫…っ!」
「優姫だーっ!」
「たく…生き返るならさっさと生き返れよ、アホ優姫」
「本当に…優姫なのだな」
みんながいて、私を見ている。
どういう想いでいるのか、全て知ってしまったのかわからないけど、またみんなに会えたことが嬉しくてブイサインをしてみせた。
さて、と。
「おいこらそこのお前!私の天使達に何しでかして」
「…ちっ、マクスウェル。オリジナルを完全に消しそこなったか」
「………へ?」
剣を構えてマクスウェル共々に文句を言ってやろうと前を向いたが、膝をついて舌打ちするのはどうひいき目に見ても、私だ。
私がもう一人いる。
てことは、つまり。
「ひ、ひいぃぃぃ!!ドッペルゲンガー?!レプリカ優姫?!」
「こんなバカが私の元だなんて、信じたくない話だな」
「ちくしょーっ!自分に馬鹿にされるなんて思いもよらなかったーっ!」
しかもあっちの私は衣装が違っていて、私がはくことはないであろうミニスカだ。
あれ私か?!いやでもあの人私のことを元だって言ったな!つまりあの人は私を元に作られたってこと?!
頭の中で必死に整理していたら、本物のマクスウェルは殴られた頬を押さえながら身体を起こした。
「く…っ、あのまま幸せな夢を見続けていればよかったものを」
「たしかに、幸せだっただろうね。魔物もいない、精霊もいない、戦わなくてもよくて、ただ学校に通って、将来を夢見てさ」
けど、と私はハッキリとぶつけてやった。
「私はみんなに会いたかった。ジュードくんに会いたかったんだよ」
「優姫…」
「この世界で私はミラの代わりだった。ミラが受ける好意をたくさん私が奪ってしまった。それでも、全部が嘘だなんて思いたくない!」
仲間を知った。
強さを知った。
優しさを貰った。
だから私も、それに応えるんだ。
みんなに、私の精一杯を返すんだ!
「てわけだマクスウェル!人の心は簡単じゃない、複雑な乙女心満載なんだよ!」
「わからぬ…!理解できぬ!」
「理解しようとしないからだろ!バカ!アホ!略してバホーっ!!」
「…マクスウェル」
ムキーッと喚いていたら、いつの間にかミラが隣に来てマクスウェルを見据えた。
「あなたの使命は、同時に私の使命でもあった。けれど私は、何度でも優姫と同じことをしていたはずだ」
「なんだと…?」
「私にも、心があるからだ」
ミラはそう言って自分の胸を指す。
そして、私の逆隣りにはジュードくん。
「マクスウェル。あなたの言う世界は、ただ存在しているだけの世界に思えた。それは、生きるとは言わないんじゃないかな」
「生きる…」
「僕は、僕達は生きたいんだ」
マクスウェルは人と精霊を守るということを義務的にしてしまっていたんだ。
生きるというのは簡単な道順で成り立つものではないのに。
心があるからこそ、生きていることを実感できるんだ。
「…人の心は時として難解よ。だが、それをないがしろにした結果、道を誤ったということか」
マクスウェルは眉を寄せ、諦めたように息を吐いた。
「…断界殻を解こう」
「おい、マジなのかよ…?」
「断界殻を解けば、断界殻を形成していた膨大なマナを世界中に供給することができる。さすればしばらくの間、世界中の精霊を守ることができるだろう」
ミラの周りにいた四大達が表情を和らげる。
精霊もマクスウェルの言う世界に納得がいかなかったんだ。
「数年…いや、長ければ数十年の猶予は稼げる」
「ありがとう、マクスウェル。僕、考えるから。エレンピオスもリーゼ・マクシアもみんな一緒に生きられる方法を!」
「おぅよ!ジュードくんなら断界殻を消してみんなを幸せにする未来を築いていくとも!」
「ああ、筋書き通りで反吐が出る」
マクスウェルの手前で膝をついていた私のコピーである彼女が、忌ま忌ましいというように口を開いた。
「マクスウェル、貴様の知る未来はこいつらがここにたどり着くまで。そこまでしか見ることが敵わなかった。だが私はオリジナルの複製品。故に、ここから先の未来も知っている」
「なんだと…?」
「結局貴様も筋書き通りにしか動けない。なのに、いや、それならどうして私を生み出したんだ。貴様に生み出された私はどうすればいい?ミラ=マクスウェルの代用として、断界殻を守れと使命を与えておきながら、貴様は…ッ!」
「…それは」
「ふざけるな…ッ!こんな筋書き通りの展開、私は認めない!認めてたまるものか!!……アースト・アウトウェイ!!」
彼女が叫ぶように名を呼び、立ち上がる。
みんなはわからないといった顔をしているけど、私にはわかっていた。
ガイアスの本当の名前だ。
「……優姫とは異なる者か」
唐突に入りこんできたガイアスに、みんなが驚愕するも、彼女はガイアスに向き直る。
「使命をなくした。私に居場所をくれ」
そう、彼女はハッキリと言った。
居場所がほしいとガイアスに懇願したのだ。
ガイアスは私を一瞥し、彼女に手を差し出す。
「いいだろう。俺とこい」
「ありがとう……アースト・アウトウェイ」
「我が字はガイアスだ。その名は捨てた」
「わかった。ガイアス」
何してんだ私!いや正確には私じゃないけど!
ガイアスの手を取り、隣に移動した彼女を見つめるがその瞳はちらりともこちらを見ることはなかった。
「マクスウェル、この世界の神に等しい座を降りるということか。答えろ」
「人の心に振り回されるのに、いい加減疲れたのだ」
「お前がリーゼ・マクシアの神の座を降りるのであれば、俺がそこに座ろう」
「ただの人間がマクスウェルになるだと?笑い話よ。貴様など資格をもたず」
「資格の有無ではない。覚悟をもったものだけが認められる話だ。お前がやらないのであれば…俺がやる!」
ガイアスがそう宣言し、動いたのは私のコピーの彼女だった。
「マクスウェル、貴様はもう必要ない」
「ばっ、やめろ私!!」
「この重力の中で悶え苦しむがいい。グラビティ!!」
「ぐぁぁぁぁぁっ!!」
止めるも遅く、彼女はマクスウェルを精霊術で捕縛する。
マクスウェルは私のコピーに精霊術も使えるようにしたのか!私には使えないのに!
素早い行動で彼女は、もう一人の使命をなくしガイアスに仕えることを決めたミュゼを呼んだ。
「ミュゼ!やれ!」
「…仕方がなかったのです…だって、あなたは私を導いてくれませんもの…断界殻を消すなんてヒドイ!!」
ミュゼと共に空間を引き裂いて現れたのはクルスニクの槍。
怒りをあらわにしたミュゼは、マクスウェルを睨みつけていた。
「マクスウェル、貴様は世界の礎となれ」
「な、何を…っ?!」
「私には断界殻を守る役目が大事……大事、大事なの!!」
捕縛されたマクスウェルをミュゼはクルスニクの槍に張り付ける。
マクスウェルは動けない状態で私のコピーとミュゼに放すよう命令するが聞き入れられるわけがなかった。
「うごおおおぁぁぁぁッ!!」
「ミュゼ、来い」
「あなた様の御心のままに」
マクスウェルがマナを吸い取られる中、ガイアスがミュゼの身体から剣を抜いていく。
ミュゼのもつ力、時空を斬り裂くことのできる剣だ。
「ガイアス!私は未来を知っている!!こんなこと無意味だ!!」
「言っただろ。私は筋書き通りの展開は認めない」
「!!」
「オリジナルの記憶は私の中にもある。だから私が未来を変えてやる!!」
「こんのアホコピー!!」
ダッと駆け出し、コピーの彼女に剣を振りかぶるが、受け止めたのはガイアスだった。
「が、ガイアス!」
「俺は死んでいった者のためにも、エレンピオスへ行く!お前達はリーゼ・マクシアで大人しくしていろ!!」
「くっ…マクスウェル!!早く!!」
「貴様、何を!……何?!」
ガイアスの剣を動かないように押さえながら叫べば、マクスウェルは目を閉じ力を集中させた。
コピーの私が飛び掛かるより早く時空の裂け目がつくられ、みんなが吸い込まれそうになり焦っている。
マクスウェルも力を振り絞り叫んだ。
「行け!この者にマクスウェルの名を与えてはならん!」
「みんな早く!その中に飛び込め!!くぅっ!!」
「オリジナル、貴様!!」
ガイアスに吹き飛ばされ、再度剣を構え直したら今度は同じ顔が斬りかかってきた。
呻きながらもそれを受け止めて、みんなに向けてもう一度叫ぶ。
「早く飛び込めったら!!」
「優姫はどうするの?!」
「私はここで足止めするから、早く!!」
「っ!バカ優姫!!」
「へ、ほぎゃぁぁぁぁっ?!」
コピーの私を蹴り飛ばし、私を引きはがすとジュードくんは私を抱えて吸い込む力に身を任せる。
みんなもそれを確認して身体を空間の裂け目へと飛び込ませた。
私はジュードくんに抱きしめられたままで、ウルスカーラを脱出したのだった。
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