chapter 01
DREAM
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なさねばならないこと。
己の使命。
そんなもの、簡単に見つかるわけないじゃないか。
だって私達は、誰かが決めたレールの上を走ってるわけじゃないんだから。
00.プロローグ
「クリアした、クリアしましたよエクシリアー!ジュードくんマジヒロイン!」
バァン!と兄貴の部屋に飛び込むと、寝ていたらしい無愛想な顔が少し歪む。
「優姫、今何時だと思ってるんだ」
「深夜3時?ってあだだだだだだっ」
明日は学校が休みでつい徹夜でゲームしてただけなのに、そしてクリアしたこの喜びを伝えたかっただけなのに兄貴は不機嫌オーラ全開にして私の頭をわしづかみにする。この人ちょっと本気で力入れてる!
「ひどい!兄貴なんて私より先にクリアして自慢までしてきたくせに!」
目元にじわりと滲む涙とガンガンと響く痛みに耐えながら私は兄貴に抗議する。
だが兄貴はそんな私を鼻で笑うと、とてつもなく誇らしげに予約特典のジュードくんマスコットチャームを取り出した。
私達兄妹は予約特典欲しさに2つソフトを買ったのだ。しかし私は本命のジュードくんが当たらず、兄貴も本命のミラ様が当たらなかった。…お互いがお互いのほしいものを当ててしまったのである。
「ジュードくんんんん!うわぁぁんミラ様あげるから交換してよぉぉぉ!!」
「ああ残念だ。お前が俺をこんな時間に起こさなければ交換してやったんだがな」
「わぁぁんごめんなさぁぁぁいっ!!ジュードくんくださぁぁぁいっ!!」
ほれほれ、と私の目の前でジュードくんを揺らして見せる鬼畜っぷり。
そう、私の兄は鬼畜眼鏡である。
「当分はこれで遊べるな」
なんとも嫌な言葉が聞こえたが、聞かなかったことにした。
ガクリと肩を落とし、机の上に置かれたジュードくんを横目で見つつベッドに腰掛ける。
兄貴も目が覚めたのか、眼鏡をかけて部屋の電気をつけた。うわまだ不機嫌そうだ。
ふと、兄貴の部屋にあるPS3が起動しているのに気付いた。
「ね、もしかしてゲームしてた?PS3点いてるよ」
「ん?おかしいな。電源は落として寝たはずだが」
「エクシリア入ってる?ジュード編OP見たい!」
テレビをつけ、コントローラーを手にするとちょうどオープニングが始まろうとしていたので私の口元は自然とにやけた。
ジュードくんが可愛すぎるのがいけないよね!ジュードくんは主人公であってヒロインだよ!
「俺はミラ編オープニングも嫌いじゃないな。まぁミラ編の内容には少し物足りなさを感じたが」
「う~ん、私ジュードくんしかクリアしてないからな~。今日はミラ様いきますよー!」
えへへーとオープニングを見てやはりにやける。
ミラ様はどんなストーリーになるんだろ、今から楽しみだ!
「そいや、なんか今回私的に『この人死ぬの?!』ってのが多かったよ。ナハティガルとか不覚にも泣きそうになった!」
「俺はアグリアとプレザがショックだった…」
そう言って肩を落とす兄貴。そういえばゲーム発売前の情報でアグリアとプレザ見て「仲間にならないのだろうか」とか言ってたっけ。
でも私もあの二人好きだったからショックだった!
「それにミラ様が死んだときのジュードくんが悲しくて悲しくて!もう泣いていいんだよって言いたかったよ私!」
「ああ、あそこか」
「もういっそ私がミラ様の代わりにみんなを守ってやる!って気分で」
ピ――――――!
「え?」
突如視界が暗転し、気が付くと暗闇の中にいた。自分が立っているのか浮いているのかもわからない、真っ暗闇の中。
(たしか、さっき兄貴と話しながらOP見てて、いきなりエラー音みたいなのが聞こえた。それに驚いた瞬間、意識が飛んだんだ)
「…っ」
声が出ない。
身体も動かない。
目は開いてるけど、真っ暗で何も見えないから意味がない。
(兄貴、どこ)
《これは…なかなか良い器だ》
暗闇の中で、聞き覚えのあるような声が響いて聞こえた。
誰?誰の声?器?何のこと?
《マクスウェルが二人となれば、あやつらは混乱するだろう》
マクスウェル?さっきゲームで散々聞いた名前だ。
二人?もしかして、ミラと本物のマクスウェルのこと?
《さぁ、行くがよい。――の代用品として》
―――――…
何か、変な夢を見たような気がする。
目を開けると、私はベッドの上にいた。
ぼんやりとした意識のまま先程見た夢を思い出そうとするが、もやがかかったように思い出せない。
とりあえず身体を起こし、周囲を見渡す。
「……ここ、どこ?!」
見慣れない部屋にしばらく放心したものの、とりあえず服があったので着替えてみた。パジャマよりはマシだろうと。
しかし、何だか変な衣装だ。なんだかファンタジーというかなんというか。
大きめの剣が傍らにあったので、またまたとりあえず背中にかけてみた。
うん、何か私旅人みたいじゃね?
「ていうか順応しすぎだろ私!まずここどこよ!」
兄貴もいないし、まずなにより兄貴の部屋にいたはずがいつの間にか変な部屋にいるし。
私が気を失ってた間に何があったのさ?!
「とにかく、外に出てみよう!なんかお金的なのもあるし」
荷物らしきものを肩にかけ、部屋を出てロビーに行くと、店員?に「おかえりですか?」と聞かれた。
頷くと、店員?はニコリと笑い「ご利用ありがとうございました」と見送ってくれた。
どうやら私はここに泊まっていた設定らしい。
首を傾げながら外に出ると、空は暗くてまるで夜のようだった。てか、夜?
けれど、あたりには小さな光が浮いていて、ホタルみたいですごく綺麗だった。
「そういえば、エクシリアのイル・ファンはこんな感じだったよねー」
あの街はすごく綺麗で、そこに住んでたジュードくん羨ましい!なんて思ったりもした。
ジュードくんを思い出しにやけていたら、近くにいたおじさんが私の呟きに「何言ってんだいお前さん」と笑った。
「え?」
「ここはイル・ファンだよ。知らずに来たのかい?」
イル・ファン?だって?
ここがイル・ファン?!
「えと、あの、その、マジすか?」
「さてはお上りさんだな?イル・ファンへようこそ、お嬢さん」
はい、と困惑したまま頷くと、フラフラと歩き出す。もうとにかく歩くしかなかった。
だって、ゲームの世界へようこそと言われたようなものだ。
そんなのありえない、ありえないけど。
「ありえなくても、それしかないのなら、それは真実になりえる」
ジュードくんが言っていた言葉が反芻する。
でも私がなんで?この世界にきて、私はどうすればいいのさ。
(兄貴、どこ。怖い、助けて)
不意に、街から光が消えた。
いつの間にか歩いてきた場所はもっとも暗くなる場所だったようで、小さな光だけが幻想的に揺らめいていた。
ふと後ろから足音が聞こえて、私は振り返る。
足音の主は黒髪を風になびかせ、大きめの瞳で私を見ていた。
これが、私の旅の始まり。
next
己の使命。
そんなもの、簡単に見つかるわけないじゃないか。
だって私達は、誰かが決めたレールの上を走ってるわけじゃないんだから。
00.プロローグ
「クリアした、クリアしましたよエクシリアー!ジュードくんマジヒロイン!」
バァン!と兄貴の部屋に飛び込むと、寝ていたらしい無愛想な顔が少し歪む。
「優姫、今何時だと思ってるんだ」
「深夜3時?ってあだだだだだだっ」
明日は学校が休みでつい徹夜でゲームしてただけなのに、そしてクリアしたこの喜びを伝えたかっただけなのに兄貴は不機嫌オーラ全開にして私の頭をわしづかみにする。この人ちょっと本気で力入れてる!
「ひどい!兄貴なんて私より先にクリアして自慢までしてきたくせに!」
目元にじわりと滲む涙とガンガンと響く痛みに耐えながら私は兄貴に抗議する。
だが兄貴はそんな私を鼻で笑うと、とてつもなく誇らしげに予約特典のジュードくんマスコットチャームを取り出した。
私達兄妹は予約特典欲しさに2つソフトを買ったのだ。しかし私は本命のジュードくんが当たらず、兄貴も本命のミラ様が当たらなかった。…お互いがお互いのほしいものを当ててしまったのである。
「ジュードくんんんん!うわぁぁんミラ様あげるから交換してよぉぉぉ!!」
「ああ残念だ。お前が俺をこんな時間に起こさなければ交換してやったんだがな」
「わぁぁんごめんなさぁぁぁいっ!!ジュードくんくださぁぁぁいっ!!」
ほれほれ、と私の目の前でジュードくんを揺らして見せる鬼畜っぷり。
そう、私の兄は鬼畜眼鏡である。
「当分はこれで遊べるな」
なんとも嫌な言葉が聞こえたが、聞かなかったことにした。
ガクリと肩を落とし、机の上に置かれたジュードくんを横目で見つつベッドに腰掛ける。
兄貴も目が覚めたのか、眼鏡をかけて部屋の電気をつけた。うわまだ不機嫌そうだ。
ふと、兄貴の部屋にあるPS3が起動しているのに気付いた。
「ね、もしかしてゲームしてた?PS3点いてるよ」
「ん?おかしいな。電源は落として寝たはずだが」
「エクシリア入ってる?ジュード編OP見たい!」
テレビをつけ、コントローラーを手にするとちょうどオープニングが始まろうとしていたので私の口元は自然とにやけた。
ジュードくんが可愛すぎるのがいけないよね!ジュードくんは主人公であってヒロインだよ!
「俺はミラ編オープニングも嫌いじゃないな。まぁミラ編の内容には少し物足りなさを感じたが」
「う~ん、私ジュードくんしかクリアしてないからな~。今日はミラ様いきますよー!」
えへへーとオープニングを見てやはりにやける。
ミラ様はどんなストーリーになるんだろ、今から楽しみだ!
「そいや、なんか今回私的に『この人死ぬの?!』ってのが多かったよ。ナハティガルとか不覚にも泣きそうになった!」
「俺はアグリアとプレザがショックだった…」
そう言って肩を落とす兄貴。そういえばゲーム発売前の情報でアグリアとプレザ見て「仲間にならないのだろうか」とか言ってたっけ。
でも私もあの二人好きだったからショックだった!
「それにミラ様が死んだときのジュードくんが悲しくて悲しくて!もう泣いていいんだよって言いたかったよ私!」
「ああ、あそこか」
「もういっそ私がミラ様の代わりにみんなを守ってやる!って気分で」
ピ――――――!
「え?」
突如視界が暗転し、気が付くと暗闇の中にいた。自分が立っているのか浮いているのかもわからない、真っ暗闇の中。
(たしか、さっき兄貴と話しながらOP見てて、いきなりエラー音みたいなのが聞こえた。それに驚いた瞬間、意識が飛んだんだ)
「…っ」
声が出ない。
身体も動かない。
目は開いてるけど、真っ暗で何も見えないから意味がない。
(兄貴、どこ)
《これは…なかなか良い器だ》
暗闇の中で、聞き覚えのあるような声が響いて聞こえた。
誰?誰の声?器?何のこと?
《マクスウェルが二人となれば、あやつらは混乱するだろう》
マクスウェル?さっきゲームで散々聞いた名前だ。
二人?もしかして、ミラと本物のマクスウェルのこと?
《さぁ、行くがよい。――の代用品として》
―――――…
何か、変な夢を見たような気がする。
目を開けると、私はベッドの上にいた。
ぼんやりとした意識のまま先程見た夢を思い出そうとするが、もやがかかったように思い出せない。
とりあえず身体を起こし、周囲を見渡す。
「……ここ、どこ?!」
見慣れない部屋にしばらく放心したものの、とりあえず服があったので着替えてみた。パジャマよりはマシだろうと。
しかし、何だか変な衣装だ。なんだかファンタジーというかなんというか。
大きめの剣が傍らにあったので、またまたとりあえず背中にかけてみた。
うん、何か私旅人みたいじゃね?
「ていうか順応しすぎだろ私!まずここどこよ!」
兄貴もいないし、まずなにより兄貴の部屋にいたはずがいつの間にか変な部屋にいるし。
私が気を失ってた間に何があったのさ?!
「とにかく、外に出てみよう!なんかお金的なのもあるし」
荷物らしきものを肩にかけ、部屋を出てロビーに行くと、店員?に「おかえりですか?」と聞かれた。
頷くと、店員?はニコリと笑い「ご利用ありがとうございました」と見送ってくれた。
どうやら私はここに泊まっていた設定らしい。
首を傾げながら外に出ると、空は暗くてまるで夜のようだった。てか、夜?
けれど、あたりには小さな光が浮いていて、ホタルみたいですごく綺麗だった。
「そういえば、エクシリアのイル・ファンはこんな感じだったよねー」
あの街はすごく綺麗で、そこに住んでたジュードくん羨ましい!なんて思ったりもした。
ジュードくんを思い出しにやけていたら、近くにいたおじさんが私の呟きに「何言ってんだいお前さん」と笑った。
「え?」
「ここはイル・ファンだよ。知らずに来たのかい?」
イル・ファン?だって?
ここがイル・ファン?!
「えと、あの、その、マジすか?」
「さてはお上りさんだな?イル・ファンへようこそ、お嬢さん」
はい、と困惑したまま頷くと、フラフラと歩き出す。もうとにかく歩くしかなかった。
だって、ゲームの世界へようこそと言われたようなものだ。
そんなのありえない、ありえないけど。
「ありえなくても、それしかないのなら、それは真実になりえる」
ジュードくんが言っていた言葉が反芻する。
でも私がなんで?この世界にきて、私はどうすればいいのさ。
(兄貴、どこ。怖い、助けて)
不意に、街から光が消えた。
いつの間にか歩いてきた場所はもっとも暗くなる場所だったようで、小さな光だけが幻想的に揺らめいていた。
ふと後ろから足音が聞こえて、私は振り返る。
足音の主は黒髪を風になびかせ、大きめの瞳で私を見ていた。
これが、私の旅の始まり。
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