chapter 02
DREAM
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「やっぱり空を飛ぶのは爽快だなぁ!人生で空を飛ぶなんて経験めったにできないよね!」
「そうか?私はよくシルフと空中散歩を楽しんだものだ」
「すみませんマクスウェル様。それは四大を従えるミラにしかできません」
ふむ?と首を傾げるミラはめちゃくちゃ可愛かったです。
23.お嬢様は復讐者
ワイバーンをイル・ファンに繋がる街道に着陸させると、ワイバーンはどこかへ飛んでいってしまった。
おそらくシャン・ドゥへ帰ったのだろう。
ありがとうワイバーン、また会おうワイバーン。
それからバルナウル街道を魔物を倒しながら進むと、イル・ファンの夜域に入り一瞬にして空が暗くなった。
(相変わらずこれは感動ものだなぁ…!どうやったらこんな一瞬で空が変化するんだ!リーゼ・マクシアのミステリーだよ!)
ほわぁぁと空を眺めながら歩いていたら、隣にいたジュードくんにクスッと笑われてしまった。
「ユウキ、たしかイル・ファン海停から船に乗って夜域を抜けたときも目をキラキラさせてたね」
「ふ、ふぉぉ…だってすごいよ!ねっレイア!」
「うん!わたしも初めてだからビックリしたよ!」
えへへ~とレイアと笑い合う。
緊張感なしですみません。でも綺麗なものは綺麗だしすごいものはすごいのだ!
「イル・ファンが見えたぞ」
ミラに言われ、前を向く。
初めて私が目を覚ました街、イル・ファン。
そしてジュードくんとミラに出会った街。
(よし!いくぞ!)
「どうなってるの…?」
街に入り、騒がしい様子にジュードくんが困惑する。
兵が辺りを忙しなく駆け回り、住民も怯えた様子だ。
「ねぇあっち見て!煙が上がってる!」
レイアが指差した先は、この物語の始まりの場所ともいえる建物。
「あっちは、研究所だよ!」
「クルスニクの槍はあそこだ、行くぞ!」
研究所の側に近付くにつれ、人が増えていく。
何かがあったことは明白だ。
「大変…!怪我人がたくさんいる!」
レイアが研究所の周辺にいる怪我人に気付き駆けていく。同じようにみんなが怪我人に駆け寄り様子を伺いに行くと、ジュードくんが驚きの声をあげた。
「ジュードくん!」
「ユウキ!ごめん、ちょっと手伝って!」
「わ、わかった!」
倒れている兵士の腕を捲るよう指示され、ふと兵士の顔を見たら。
「あれ、たしか…すっごく前に私達を捕まえようとした…エデ、さん?」
「ああ、君もいたのか…聞いてくれ、研究員の中に、ア・ジュールのスパイが紛れ込んでいたんだ」
エデさんは自分が苦しいのもおかまいなく、私達に情報を伝えようとする。
「逮捕しようとしたら…そいつらが実験室を爆発させて…」
「スパイが…?」
「ケガ人は病院へ搬送する!こちらへ来てくれ!」
街の人達がケガ人を病院へ搬送していったため、詳しい話を聞けれなかったが、今が深刻な状態であることはわかった。
「ミラ、ガイアスが動き出したんじゃ?」
「急いだ方がよさそうだな」
みんなが走って研究所の中に入っていく。
たしか、ここにはクルスニクの槍はもうないはずだ。
クルスニクの槍があった部屋は鍵がかかっていて入れないから、他の方法を探していた。
(…!ハ・ミルの村長さんがいるはずだ…!)
「ユウキ?」
「行かなきゃ…!」
「って、どこ行くの?!クルスニクの槍はこっちだよ!」
ジュードくん達の横をすり抜け、以前アグリアに会った部屋を目指し階段を駆け上がる。
扉を蹴破るような勢いで飛び込めば、やはり村長が倒れていた。
「村長さん!!」
「わ、わたしはもう何も…許してください…」
「しっかりしてください!!私がわかりますか?!村長さん!!」
「あ…あ…」
村長を抱き抱えて呼び掛けるも、目は開かない。
ただうわごとを繰り返すだけだ。
「ユウキ!」
「!ジュードくん!エリー!誰か治癒術を!村長さんが!」
「村長さん…!」
ジュードくんとエリーが追いかけてきてくれたらしく、部屋に入ってきたから懇願するも、治癒術では治せないらしい。
少し遅れてミラ達もやってきた。
「ハ・ミルの村長か。たしかラ・シュガル軍に侵攻されたと言っていたな」
「ああ!みなが…凍りづけにされる…」
「おい、しっかりしろ!」
「やめてくだされーっ!ぁ…あ…」
「村長さん、村長さん!」
エリーが泣きそうになりながら呼んでも、錯乱していた村長は私達に気付くことなく消滅した。
「ハウス教授の時と一緒だ…」
ジュードくんがポツリと呟く。
そうだ、ハウス教授の時と一緒だ。
私はまた間に合わなかった。
(何してんだ、私は!)
ミラにしがみついて泣くエリーを見て、自分の鈍さに歯ぎしりした。
「村の人達が凍りづけにされるとは一体…ガイアスのところで聞いた、大精霊の力でしょうか?」
「あの状態での言葉だから、どこまでアテになるかね」
「セルシウスだ…氷の大精霊セルシウスにやられたんだよ」
「セルシウス…?まさか、ユウキの足をやった大精霊か?」
グッと拳を握り締めて頷く。
ジランドの仕業だ。
また私は…間に合わなかった…。
「ユウキ、落ち着いて」
「っ、…レイア…」
「ユウキのせいじゃないんだから、ね?」
レイアにきつく握り締めた拳を優しく解かれる。
うん、とレイアの手を握り返したら、少しだけ気持ちが落ち着いた気がした。
「そうだ、クルスニクの槍は?」
「それが厳重に鍵がかかっていて中に入れなかった。すぐそばにあるというのに…」
「…まって、もしかしたら槍の様子を確認できるかもしれない」
ジュードくんは梯子を登り、以前アグリアが操作していたモニターを弄りはじめる。
後を追ってジュードくんの動作を覗き込む。
(ってまったく何してるかわかりません!ジュードくんハイスペックすぎる!)
「前にユウキと来たときに、少し操作盤を触ったから多分操作できると思う…あ、映ったよ」
パッと画面にクルスニクの槍が置かれた部屋が映し出されると、ミラは感嘆の声をあげる。
「すごいな、ジュード」
「あれ?でも何もないよ?」
レイアの言う通り、部屋には何もなかった。
「クルスニクの槍が消えている。さっきの爆発で破壊されたのか」
「ですが、それなら残骸が残っていてもおかしくはないはず…クルスニクの槍はその前にどこかへ運び出されていた?」
「そう考えるのが妥当なところか。だが一体どこへ…」
「みんな、見て!記録が残ってたんだ。この映ってるの、エデさんが言ってたスパイじゃない?」
画面に映っていたのは、アグリアだ。
兵士に不審がられたようで、アグリアは何かを取り出し爆破をした。
衝撃映像にレイアとエリーが呆然としてしまうが、アルヴィンは冷静に分析する。
「素性がばれて爆破したようだな…けど、ア・ジュールのスパイにしちゃ賢いとは言えないやり方だ」
「どういうことアルヴィン君?」
「俺なら素性がばれたとしても、自分をこんな危険にはさらさないぜ。敵にしてみれば死体だって貴重な情報源だからな」
スパイ活動ばかりしているアルヴィンが言うと信憑性の高い話だ。
それを聞いてジュードくんがいつもの考える仕種をする。
「それなら、エデさんに見つかったのは偶然で、以前から槍の爆破を計画してたんじゃない?」
「この方もクルスニクの槍が、ここには既にないことを知らなかった可能性がありますね」
「となれば、今頃は運び出した場所へ向かっているか、あるいは…」
「運び出された場所を探してるね」
「いずれにせよ、あの女を見つければ何かつかめそうだが…」
カタカタカタ
ジュードくんがもう一度モニターを操作して確認をする。
「記録の日時を見る限り、爆破されてから半の鐘しか経ってないよ」
「なら、まだこの街にいてもおかしくないんじゃない?」
「捜し出す他ないな」
…半の鐘って、つまりどのくらい経ったの?
半分…半日ならいなくなる可能性があるから、30分くらいかな?
(この世界の用語さっぱりわからん…今更だけど、私よく今まで生きてこれてるな…)
「ユウキ」
「ん?エリー?」
「ユウキはいつも一人で勝手に行っちゃいますから、私の手を握っててください」
「握らないと、ジュードに叱ってもらうからねー!」
「ひぃぃぃそれだけはご勘弁をぉぉぉ!!」
即座にエリーの手を握り締めたら、ギュッと握り返されて可愛すぎて吐血するかと思いました。
研究所を出て、イル・ファンの中央広場まで来たものの先程の爆破で人が増えていた。
つまり、捜すのがなかなか困難というわけで。
かく言う私もどこにアグリアがいたか覚えてないわけで!
「どこにいるんだろ…ちょっとティポ、飛んで探せたりしない?」
「んなことしたら変に注目を集めて逃げられるだろーが」
「ならアルヴィンが飛んで…」
「まず俺飛べねーから!」
「いたぞ、赤服の女だ」
アルヴィンとショートコント的なやり取りをしていたら、ミラ達が通路の端にいたアグリア達を見つけた。
私達が近付いたことで、アグリアも気付きニヤァと笑ってきた。
アグリアの目にはミラしか映っていなさそうで、物凄く嬉しそうにケタケタ笑っている。
「あんたは…!アハハハハ!ようやくあんたを殺れる日が来た!」
「恨みたっぷりのところを悪いが、聞かせてもらいたいことがある」
「アハハハハ!バーカ、答えるわけないだろ!」
完全に悪者面ですアグリアさん。
けどローエンはそんなアグリアを見て考え込んだ末、尋ねた。
「あなたは…ひょっとして、トラヴィス家のナディア様ではありませんか?」
「なっ…!」
「やはりそうでしたか。六家のお嬢様がア・ジュールのスパイとは…一体なぜ」
「あたしはトラヴィスなんて関係ない!わたしは四象刃、無影のアグリアだ!」
サブイベントで、たしかアグリアの過去を少し知ることがあった。すごく悲しい過去話。
けど絶望していたアグリアを、ガイアスが救い出したのだ。
「つまり、ガイアスの命令で動いているのか」
「だったら何だよ」
「お前はクルスニクの槍を破壊しようとしていたのだな」
「あたりだよ、アハ~」
「私も同じだ。つまり私達は敵ではない。槍の運び出された場所を知っているなら教えてくれ」
「アハハハハ!誰が教えるかっつーの」
「お願いよ。あなたもあんな危ないもの、壊したいって思うでしょう?」
ケラケラ笑うアグリアに、レイアがそう言えば、アグリアは笑うのを止めた。
ただ、侮蔑の目を向けてくる。
「くせぇな…」
「え…?」
「アハハ!決めた!槍を壊す前にラ・シュガルに向けて一発ぶっぱなしてやるよ。アハハハハ!」
「何言ってるの、あなた!みんな一生懸命やろうとしているのに、どうして邪魔しようとするの!」
アグリアの言葉をそのまま受け止めたレイアが猛反発したら、アグリアはまたケラケラと笑った。
「アハハハハ!やっぱりくせぇよお前!」
「何?失礼な人!」
アグリアは、頑張ろうとするレイアに昔の自分を重ねているんだと思う。
まるで自分に言い聞かせるように、アグリアは鋭い言葉を投げてきた。
「お前、頑張れば世の中どうにかなると思ってるだろ?」
「っ!」
「アハハハハ!お前からはそんな悪臭がぷんぷんすんだよ」
「頑張るのはいいことじゃない!」
「うっせーブス!しゃべるんじゃねーよ!」
「な、なによーっ!」
もはや悪友のやり取りのようで、みんなが苦笑している。
けど、私はイロイロ知っているせいか笑えなかった。
アグリアが剣を構えた。
視線はもうミラに向けられている。
「あんたにやられた、あの時の痛み。忘れてないからね!」
「話にならない奴だ」
どうやらアグリアの側にいる研究員らしき人達はア・ジュールのスパイらしく、アグリア同様武器を構えてきた。
こちらも武器を構えたと同時に、アグリアがミラ目掛けて飛び込んできた。
キィンッ!
「悪臭の元ごと消してやるよッ!」
「あ、悪臭ってッ!!」
ミラとレイアがアグリアの応戦をしている中、私達はア・ジュールスパイ達を倒すことにして向かっていく。
(ていうか、なんで三人もいんの?!ゲームより数増えてない?!)
とは言え倒さなければいけない。
よし、やるぞ優姫!
「へいアルヴィン!!」
「派手に飛んでけッ!!」
「うぉりゃぁぁぁっ!!」
いつもの技、アルヴィンの剣に飛び乗り勢いよく振り上げてもらい、剣を構えて敵に突っ込むように落ちればまず一人終わり!
「合わせてエリーゼ!」
「はいジュード!」
「「ティポ・ザ・ビースト!!」」
か、可愛いぃぃぃぃ!!ジュエリ可愛いぃぃぃぃ!!
ジュードくんの獅子戦吼とエリーのティポ戦吼が合わさり、大きなティポが敵に噛み付いて攻撃をして二人目終わり。
もう技がすでに可愛い!!可愛いしか言えないよ天使達め!!
「行くぜじーさん!」
「まいります!」
「「紅蓮剣!!」」
大人の戦いだぁぁぁ!!アダルティな雰囲気がビシバシ伝わるよ!!
アルヴィンが敵を斬り上げながら飛び、ローエンから炎の力を受け取るとそのまま斬り下ろし炎の塊を敵にぶつけて三人目が終わった。
「うぁぁぁぁっ!!」
どうやらミラとレイアもアグリアを倒せたようだ。
吹き飛ばされて倒れるアグリアに、一瞬の隙も許さずミラが首元に剣を突き付けた。
「な…っ!」
「あいにく剣は不得手でな。うっかり手がすべらないよう、よく考えて答えることだ。槍はどこだ?」
「ちっ…!研究所の地下には秘密の通路があって、オルダ宮につながってたんだ」
「オルダ宮?」
「ナハティガルのいる城だよ」
「そのような通路があったとは初耳ですね」
ローエンが知らないとなると、やはりジランドの仕業だろうか。
あんにゃろどこまで手を引いてんだ。
「その通路はまだあるのか?」
「残念。もうつぶされたみたいだよ」
「使えないか…」
ミラが目線をずらしたその瞬間、アグリアは仰向けのまま足だけを動かしミラの下から逃げ出すと、階段を駆け上がった。
アグリアさんとてもエクソシストです!
「マクスウェル、あんたもいつかぐちゃぐちゃにしてやるからね!それとブス!これだけは言っておいてやる」
アグリアは諦めたような目をして愉快だと言わんばかりにレイアを指差し笑った。
「お前がいくら努力しよーが、報われることなんてないんだよ」
「どうしてそんなことあなたに…!あっこら逃げるな!……なんなのよあの子!」
アグリアが去っていった方へあっかんべーするレイアは可愛いです。
クルスニクの槍の在りかはナハティガルのいる城だと知り、ミラを筆頭にみんなに緊張が走る。
「オルダ宮か…敵の本陣だな。まずは様子を伺おう」
「ね、ねぇミラ…わたし、臭くないよね?」
「大丈夫、レイアは臭くないよ」
「ていうかむしろフローラルな香りがするよね!レイアまじ天使!」
「わーっ!ジュードとユウキには聞いてないーっ!」
顔を真っ赤にしたレイアに怒られてしまいました。
next