chapter 02
DREAM
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「ごめんなさい…てっきりア・ジュールが攻めてきたのかと思ったの」
「…私が街を離れたばかりに、お嬢様には苦労をおかけしました」
「いいのよローエン…ここじゃ無用な騒ぎになるから屋敷に行きましょう」
22.各々の想うところ
「調教師の話だと、あの子たちの治療はもう少し時間がかかるみたい」
ドロッセルに再会した私達は怪我をしたワイバーンを馬の調教師に任せ、屋敷で待機することにしたのだ。
馬の調教師なのに魔物の治療任せてごめんなさいおじさん…。
「それまでは、街でしばらく休んでいてください。あっユウキ」
「ほい?みぎゃ!」
「足、治ったのね…よかった!」
「ど、ドロッセルぅ…」
ぼんやり立っていたらむぎゅっと抱きしめられ、そんなことを言われた。
涙声なドロッセルに、私まで泣きたくなった。
クレインのことがあるというのに、私の心配をしてくれたのだ。
「ありがと、ドロッセル…」
「やだ、ユウキったら泣いてるの?」
「な、泣いてません!これは心の汗デス!」
「ふふっ」
熱くなった瞼を擦れば、ドロッセルは笑う。
ドロッセルこそ涙目じゃないか。
このカラハ・シャールの天使ちゃんめ!
ドロッセルが兵達の指示に戻るのを見届け、私達は一休みをとることにした。
「大事の前だ。ある意味よかったかもしれないな。みんな、十分に休むといい」
「え?」
「なんだジュード?そんなに意外だったか?」
気遣いをさりげなくするミラの変化に、ジュードくんだけでなくみんなが固まるも、ローエンは楽しそうに笑う。
「ふふふ。確かにル・ロンドを発ってから、しばらく大立ち回りでしたしね」
「お前も気持ちを整える時間がいるだろう、ローエン?」
「!……お心遣い、ありがとうございます」
ローエンはナハティガルと戦うのを、いまだ悩んでいるようだった。
それを察したミラの優しい心遣いだ。
ナハティガルはローエンの親友なんだと思う。
けど、ナハティガルを疎み出した兄達のせいで歯車が軋んでしまったのだ。
キャリーは死に、ローエンは離れ、一人になったナハティガルはどんな想いで独裁者になったのだろう?
悲しみのどん底にいたナハティガルの心に、ジランドは付け込んだのだろうか。
考えても、やはり人の気持ちはわからない。
「じゃあ、しばらく解散だね」
「あ、私アルヴィンのとこ行ってくる~。みんなまた後で!」
シュバッとみんなに向かって敬礼し、街をうろついてるであろうアルヴィンを探すため屋敷を飛び出す。
ってどうせ宿屋の前だろうけどね!
「黄昏れアルヴィン~何してんの~」
やはり宿屋の前にいたアルヴィンを後ろから突いたら、ため息と一緒に振り返ってきた。
「おたくこそ、何してんの」
「アルヴィンにこれを渡したくて。というか…正しくはアルヴィンのお母さん宛の手紙を鳥に運んでほしいんだ」
「俺の母さんに?…ユウキ、何をどこまで知ってんだ?何を母さんに伝えるつもりだ?」
「えー…アルフレド君は元気ですとか」
そう言ったら固まるアルヴィン。
本名が出るとは思わなかったのだろう。
「アルフレド、って」
「まーまー、とにかくこれをアルヴィンのお母さんに!ほんとはイスラさんにも渡すべきなんだろうけど、あの人話聞いてくれないからなー…」
「……知ってんだな。イスラが母さんに何をしてるか」
「知ってる。だから止めたい。なんならどういう内容の手紙か今確認してもいい」
ん、と先程ここに来るまでに街の人に頼んで書いてもらっていた手紙をアルヴィンに渡したら、広げられて内容を確認される。
書いてたのはシンプルな内容だ。
イスラは食事に毒を盛っている。
食べないで、少しでも長く生きてほしいと。
それだけだ。
街の人驚いてたな…ごめんねドロドロした内容書かせて…。
読めないから確認はできないけど、でもちゃんと書いてもらってるはずだ。
アルヴィンは読み終えると、どこからか飛んできた鳥の足にくくりつけ、また空へと飛ばした。
「言っとくけど、母さんが正気になるのは稀だ。手紙を受け取るときに正気とは限らない」
「…わかってる。本当はずっと傍で守ってあげたいけど、私はクルスニクの槍も放っておけない。だから今の私にはこれくらいしかできないんだ」
「わかってる、ねぇ」
がしりと。
何故かこのシリアスな流れで頭をわしづかみされた。
「おいこらアルヴィン!なんぞこれ!どうしてこうなった!」
「いや、本当はおたくから色々聞きたいとこだが、そろそろ優等生が痺れを切らして来そうだからな。この話はおしまい」
「ゆーとーせー?」
アルヴィンがニヤニヤしてるからなんぞと後ろを向いたら、少し離れたところでオロオロとしている私の天使がいた。
私達の視線に気付き、ジュードくんが意を決してこちらへやってきた。
「えっと…な、何の話してたの?珍しく二人とも真剣な顔してたし…」
ほ、頬染めジュードくん萌えぇぇぇぇぇぇ!!
なんだいなんだいヤキモチかいジュードくん?!
そんな可愛いヤキモチ妬かなくてもアルヴィンなんか取らないよ!!
「はぁはぁジュードくん可愛いはぁはぁ」
「えっいきなり何で?!」
「ほら、変態は買い物でもしてろ。ジュード君は俺に用があるみたいだからな」
「あ、うん…僕を庇ったときの怪我は大丈夫…?」
「大丈夫大丈夫!鋼の肉体アルヴィンよろしくぅ!」
「何でおたくが答えるんだよ」
頭をぐわしっと掴まれポイッと放り投げられた。
あわあわしてるジュードくん可愛いなもう!
「アルヴィンのバホ!ジュードくんにエロいことするときは呼んでね!!」
「わかったぜってー呼ばねぇ」
「きぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」
ムキーッとアルヴィンに威嚇し、ジュードくんに「ファイト☆」とウインクしたら「何を頑張るの?!」と愛らしいツッコミを頂いた。
アルヴィン追い払われ、私は仕方なく買い物に行くことにした。
そうだ、ジュードくんとミラに友達の証を買おう!
そうと決まれば店漁りーっ!
「おっ、いつぞやのお嬢ちゃん」
「あっイフリート紋のおじさん!」
様々な行商人が店を開いてる区画で、フラフラしてる私を見たおじさんが声をかけてきたが、名前を知らないのでそう呼んだら苦笑された。
初めてカラハ・シャールに来たとき、ドロッセル達が骨董を見ていた店のおじさんだ。
イフリート紋は少しトラウマのよう。
「何か探し物かい?」
「そうです!友達に何かプレゼントしたいんだけど、何がいいか悩み中なんですよー」
「プレゼントねぇ…ペンダントとか?」
「やっぱペンダントですかね…イヤリングも悩んでるんだけどどう思います?」
う~んと二人して頭を抱えるも、答えは出ない。
ペンダントがいいかな…それともイヤリング…ハンカチはなんか違う気がするし。
「まぁ、最終的にはどのくらい気持ちがこもってるかだよ、お嬢ちゃん」
「!…気持ちかぁ」
気持ちを込めるなら、今の私が物を贈っても足りない気がする。
今の私が二人に贈れる最大級のプレゼントはないんじゃないだろうか。
「わかりました。もう少し悩んでみます!おじさんありがとう!」
「ああ。そうだ、お嬢ちゃんの本命はあの二人のどっちなんだい?」
「なんでみんな本命を聞いてくるの…もちのろんで黒髪天使の方です!」
「あっちか。実るといいな!」
おじさんに豪快に笑われ、手を振ってその場を離れる。
実るといいなって言われたけど、実るはずがないのだ。
だって私はこの世界の人間ではないし、ジュードくんはミラを選ぶ。そういう物語。
「いやまぁミラジュ萌えだからバッチコイだけどね!」
「大きな独り言だね、ユウキ」
「うぉわっ?!れ、レイアっ!」
屋敷に戻ろうと歩いてたら、いつの間にか正面にいたレイア。
びっくりしてつい身構えたら、レイアがクスクス笑う。
「ユウキは、いっつも面白いよね」
「いや、面白くはないかと…てかどしたの?」
「うん。実はユウキを探してた。さっきミラと話してたんだけど、わたしがついていく理由を書いたメモ、ユウキは読んでないでしょ?」
「!見せてくれるの?!」
口に出して読み上げるのはダメだからね!と顔を赤くしてレイアは私にメモを渡してくれた。
えへへレイア可愛いなぁもうえへへ。
意気揚々と受け取り、メモを開く。
「………」
「ど、どうしたの?」
(…そうだ、読めなかったんだった…)
内心凹みながら、メモを閉じてレイアに返すと不思議そうな顔をされる。
「あ、えと…レイアってばホントジュードくん好きだよね!」
「も、もう!大きな声で何言うのよ!」
えへへと誤魔化す。
私くらいの年齢で字が読めないのはやはり怪し過ぎると思うから、バレないようにしないとね!
結局レイアが私達についてきた理由はわからないけど、きっとジュードくんのことなんだと思う。
レイアはメモをポケットに入れて、「だけどね」とポツポツと話し出した。
「この理由が、いつの間にか自分のためになってたって気がついたの。わたし、何のためについてきたんだろって」
「レイア」
「ねぇ、ユウキは何のために戦うの?…ジュードの、ため?」
何のために戦うのか。
すごく前にミラに聞かれたっけ。
私についてくるのは何故か、目的とは何かと。
ディラックさんにも、同じようなことを聞かれた。
その問いに私は答えたのだ。
私は、ジュードくんを。
「ジュードくんを、悲しませたくないんだ」
「え?」
「ジュードくんてさ、お人よしじゃん?だから私のことも信じてくれて、心配もしてくれる。すごく、嬉しくてさ」
イル・ファンで出会った彼は、素性を語らない私を信じてくれ、そして心配するのだと言った。
いきなり異世界に来てしまった私にとって、それがどれだけ嬉しくてたまらなかったか。
だからこそ、もっと強く思ったのだ。
ジュードくんが悲しまない道を作るのだと。
「ジュードくんが笑っていられるように、守りたい。でも、レイアと同じだよ。これはきっと、自分を保つために決めたなすべきことだ」
「ユウキ…」
「でも、それでもいい。今できることをやり遂げるって決めたからさ!」
「…ユウキって、すごいよ」
「へ?」
「鉱山でユウキ、気絶する前にうわごとでジュードが変わったのは自分の存在じゃないって言ってたけど、そんなことないよ。やっぱり、ユウキがいたからジュードは変わったんだと思う」
レイアはフワリと、けど少し寂しそうに笑った。
違うのに…私がいなくてもジュードくんは変わっていくんだ。
私がミラの代わりに足を怪我したから、みんながミラに向けなきゃいけなかった好意を私に向けてしまっただけなんだ。
「わたし、もう少し街を歩いてくるね」
かける言葉も見つからないまま、中央区へ駆けていくレイアを見送ることしかできなかった。
どうやら先程のレイアの言葉に翻弄されてしまっているようだ。
私らしくもない重いオーラを背負って歩いていたら、屋敷の前にエリーとドロッセルがいた。
「あ、帰ってきたわ。ほら、エリー」
「は、はい……ユウキ…っ」
「ん?どしたのエリー?」
ネガティブオーラを首を振って払拭して近付いたら、エリーがティポを抱えて私の腰にしがみついてきた。
クエスチョンマークを飛ばしながらエリーとドロッセルを交互に見ていたら、エリーが泣きそうな顔をあげた。
「ユウキ、本当にごめんなさい…!」
「?何が?」
「ドロッセルのお兄さんが死んじゃったのは、ユウキのせいだって、言っちゃったこと、です…」
「あ、あー…いやだから怒ってないからもういいんだよ?というか、ぶっちゃけその通りだし…」
「ユウキ、怒るわよ」
「ど、ドロッセル?」
プクーっと頬を膨らませたドロッセルに可愛いと場違いにも思ってしまった。
ドロッセルは私の側にくると、私の額にデコピンを食らわせる。
ピシッ!
「あだ!」
「お兄様が助けた命がずっとそんなこと思ってたら、お兄様も怒るし悲しむわ」
「あ……」
ミラを失い自暴自棄になっていたジュードくんに、レイアも同じようなことを言っていた。
ミラが助けた命なのだと。
無駄にしないでと。
手荷物から大切に布で包んだアクセサリを取り出す。
それを見て、私の手の上でドロッセルが布を開いた。
「全部終わったら、お兄様に会いに来て」
「…うん」
「お兄様のお墓に、花を供えてあげましょ?」
「…うん…っ」
「ユウキ…?まだ傷ついてますか…?」
「なんでもない、なんでもないよエリー」
熱くなった瞼を隠すために、エリーをギュウッと抱きしめたら、エリーもティポも苦しいとも言わずそのままでいてくれた。
ドロッセルも何も言わないでいてくれた。
全部が終わったら…私はどうなるのだろう。
気を遣ってくれたエリー達と別れ、屋敷に入ったら窓辺にローエンが立っていた。
ローエンは私に気付いて優しい笑みを向けてくれた。
「お帰りなさい、ユウキさん」
「ローエンただいまっ!」
「まだ皆さん街に出ているようで、今屋敷には私達だけなんです」
そうなのか。
たしかにみんなとは外で会ったしな。
「足は大丈夫ですか?」
「うん。痛くないとは言えないけど、我慢できるから大丈夫!」
「…ユウキさん、こちらへ」
「??」
ローエンにリードされ、初めて屋敷を訪れたときにみんなで色んな話しをしたソファに座らされた。
首を傾げていたら、医療ジンテクスを指差される。
「今後いつ休めるかわかりません。今だけでも外して、身体を休ませておきましょう?」
「ローエン…!ほんとローエンはイケメンだなぁ!」
お言葉に甘えて医療ジンテクスを外し、机の上に置く。
ポフッとソファに身体を沈ませたら、なんだか身体が休まる感じがした。
「とうとうナハティガルに会うんだね、ローエン」
「はい。とうとうここまで来ました」
座らず側に立っているローエンを見上げる。
私達に心配かけないように笑顔を作るローエン。
友達と戦うなんて、すごくつらいだろうな。
私の知る物語はナハティガルはジランドに殺されてしまう。
回避したい。ローエンがつらい想いをしないように。
「ユウキさんが前に言ってくださいましたよね。ナハティガルを倒すのではなく、止めるのだと」
「?うん」
「正直言いますと、私はナハティガルと刺し違える覚悟でいました。けれどユウキさんの言葉を思い出して、考え直しました」
「うん」
「間違っている友を、救おうと。もう逃げることはしないと、決めたのです」
悩み抜いた末のローエンの決意だ。
私の些細な言葉を思い出して、未来を見てくれたのだ。
初めてかもしれない。自分の存在が認められたのは。
なんだか、さっきまで悩んでいたのが吹き飛ぶくらい元気になった気がする。
「ローエン、ありがとう!なんか私も俄然やる気出たよ!よーし、ナハティガルを止めるぞ!」
「ほっほっほ、ユウキさんのその元気が、じじいにはやる気の源ですよ」
「ローエンイケメン…!えへへ、なんか私もやる気の源に会いたくなったから探してくる!また後でね!」
「はい、ジュードさんにも休むよう伝えてください」
ニコリと微笑むローエンに、医療ジンテクスをつけた私は思い切り手を振って屋敷をまた飛び出した。
屋敷を出て、街へ繰り出そうとしたらちょうどジュードくんとミラが屋敷の入口で話していた。
(しまったタイミングが悪かった!ここミラジュ同棲化計画な話じゃんか!)
案の定二人に気付かれ、こっちに来いと手招きされてしまった。
「あの…お取り込み中ほんとすみませんでした…」
「ふふ、ちょうどよかったよ。ジュードとユウキの話をしていたんだ」
「私?な、何か悪いことした?!」
「違うってば…。ユウキはさ、クルスニクの槍を壊したらどうするのかなって」
う、うむ…。
それはまだ悩みどころというか、物語がどう流れるかによってはまだまだこの世界にいるしかないし、何より帰り方がわからない。
どう答えるか困惑していたら、ミラが自分の今後を話してくれた。
「私はニ・アケリアに戻り、これまでと同じように黒匣を破壊し続けようと思っている」
「ミラの使命だもんね…私は、うーん」
「ユウキ、アルヴィンから聞いたが、アルクノアはユウキの命も狙い出したそうだな」
「え…っ?!それ、本当なのミラ?!」
「あー…みたいだね~…私もシャン・ドゥで捕まったときにそんな話聞いてビックリしたよ~」
たしかアルクノアの奴らも言ってたし、アルヴィンにも言われたっけ。
初耳らしいジュードくんだけは驚いている。
ミラは腕を組み、私をジッと見つめた。
「それで、だ。もし良ければ私とニ・アケリアに来ないか?」
「へ」
「み、ミラ?!」
「だがジュードも言いたいことがあるのだろう?先程から私に相談していたじゃないか」
「う、うん…あのさ、ユウキ」
ミラのプチプロポーズにドギマギしていたら、次はジュードくんが何か言うらしい。
なんだろうとドキドキして待機してみる。
ジュードくんは頬を赤くして、少し小さな声だけどハッキリと口にした。
「ユウキ、クルスニクの槍を壊しても、ぼ、僕と一緒に…いてくれないかな…?」
「ジュードくん」
「あ、ほら!ユウキの故郷とか行ってみたいし、僕達まだ指名手配されてるから、色んな街を旅する、みたいなさっ」
「………そう、だね」
「今のミラの話が本当なら、アルクノアから身を守るのも一人じゃ大変だと思うし…ダメ、かな?」
違うんだよジュードくん。
ジュードくんのその好意も言葉も、ミラに向けるべきものなんだよ。
私は、ミラの場所を取ってしまっただけなんだ。
本当はジュードくんが私にこんな優しい好意を向けてくれるはずがないんだ。
それに、全部が終わったらどうなるかわからない。
この世界に留まるのか、世界から弾かれて元の世界に帰るのか、消滅してしまうのか。
優姫という存在は、はたしてどうなってしまうのだろうか。
(私は、どうしたいんだろう)
できることなら、私もジュードくんといたい。
みんなと一緒にいたい。
「…もう!ジュードくんにそんな熱烈プロポーズされたら断れませんがな!」
「ぷ、ぷぷプロポーズ?!ち、違うからね?!僕はただユウキが心配でっ」
「んじゃさ、ジュードくんと一緒に旅をして、帰る場所はニ・アケリアにしよう!んで黒匣を壊すときは三人で行くとかさ!」
「ふふ、それはいいな」
「って、ことは…?」
「もちのろんでオッケーだよジュードくん!全部終わっても一緒にいようね!」
「!…うん!」
ミラも一緒だよ!と笑ったら、綺麗な笑顔で頷いてくれてむぎゅーっと両手で頬を挟まれた。
ぐにぐにされて慌てる私を見て、ジュードくんもミラも笑う。
とても、幸せな気がした。
「あ、三人ともちょうどよかった!」
そんな感じで三人でいたら、街の方からドロッセルとエリーがやってきた。
「ワイバーンの治療が終わったそうなの」
「そうか。では広場に向かおうか」
「行こう、ユウキ」
「おぅよ!」
とにかく今は、ナハティガルとジランドを止めるのだ。
「あれ、アルヴィンは?」
「まだ来てないみたい」
中央広場にて、みんなで集まるも、またあの胡散臭い傭兵がいない。
エリーは完全にアルヴィンに警戒心を高めているようだ。
「また…ウソつく…準備ですよ」
「そんなはずないよ、エリーゼ」
俯いてしまったエリーを宥めるジュードくん。
とても親子です…ごちそうさまですじゅるり。
「他の者はアルヴィンをどう思う?この先の戦いを共にしてもいいのか?」
ミラがみんなに問うと、レイアが先に答えた。
「お母さんのことで頑張ってるんだから、わたしは応援してあげたいな」
「私は彼自身このままでいるのか、とても心配しています」
「ぷい……」
「でも、ぼくを悪いヤツから取り戻したのはアルヴィンなんだよねー」
「!ユウキも取り戻してくれました…っ」
エリーいい子!頭撫でてやる!
うりゃうりゃとエリーを撫でてたら、ジュードくんがミラにも尋ねた。
「ミラはどう思ってるの?」
「真意が測れない以上、油断はできんが…戦いにおいては、こと信頼している」
「むしろ戦いしか役に立たない男アルヴィン!よろしくぅ!どはっ」
「本人のいないところで悪口なんて、イケナイ子のすることだぞエリーゼ」
「知りませんっ、ユウキを離してください…!」
ビシッとアルヴィンぽく決めポーズをしたら、いつ来たのか後ろからアルヴィンにいつも通り頭をわしづかみされた。
ぬぐおおとジタバタしてたらエリーがティポをけしかけ、ようやく離してもらえた。
ほんといい子だなエリー&ティポ!
「俺の味方は、お前らだけだよ」
「………」
「ジュードくんが明らかにアルヴィンを疑った目をしてる!さてはアルヴィン、ジュードくんにエロいことをふがふが」
「されてないから!!あっ妄想しないでっ!!」
顔を赤くしたジュードくんに口を塞がれるも、私の脳内はアルジュR指定妄想で埋めつくされ悦に浸る。
えへへ可愛いよジュードくんほんと天使マジ天使えへへ。
「これで全員そろったな。では…」
「待って、ください!」
ミラが出発の合図を出そうとしたが、それを止めたのはエリーだ。
エリーとティポはローエンを向き、悲しそうな目を向ける。
「ローエン、友達とケンカするのー?」
「…ナハティガルがこうなってしまったのには、私にも責任があります。私は、私の覚悟をもって戦います」
「がんばろうねローエン!わたしも頑張るから!」
「ぼくも応援してるよー!」
ローエンの覚悟を聞いて、レイアとティポが激励の声をかけた。
エリーも頷いている。
「みなさん、ありがとうございます」
「骨は拾ってやるよ、じいさん」
「おやアルヴィンさん、私は骨を落とす気はありませんよ?ねぇ、ユウキさん」
「おぅよ!あ、でもアルヴィンの骨は拾ってやらねえ」
「俺を勝手に殺すんじゃねぇ…よっ!」
「ぎゃあまた関節技?!あだだだだ!!」
アルヴィンに関節技を食らわされ悲鳴をあげる私。
みんなも緊張が少し和らいだようで、クスクス笑っていたから何だか嬉しくて私も笑った。
そして治療を終えたワイバーンにまた同じ組み合わせで乗り、目的地を目指して高く飛び上がった。
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