chapter 02
DREAM
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「しかしユウキさん、その若さであの難解なロンダウ語をよく解読できましたね」
「へ?いや解読したつもりはないんだよね~」
「と、いうと?」
「頭が勝手に理解するみたいでさ…うーんミステリー…」
21.それゆけワイバーン
モン高原を抜け、シャン・ドゥに繋がる地下道を歩きながらローエンに答えたら不思議そうな顔をされた。
うん、私も不思議だからね…なんでまさかのロンダウ語解読のスペックが備わってんだ私…。
ロンダウ語理解できるならこの世界の言語理解させてくれよカミサマ…。
せっかくエリーが書いてくれた私の名前すら読めなかったんだぞちくしょー!
「あ、ねぇあそこにいるのユルゲンスさんだよ!」
地下道を先に抜けたレイアがユルゲンスが行商人のところで品物を物色しているのを見つけ、名前を呼んだ。
私達に気付いたユルゲンスはこちらへ向かってくる。
ローエンがジュードくんに耳打ちする。
「私達のことで城から報せが届いているかもしれません」
「うん……」
心配そうなジュードくんに警戒するミラだが、ユルゲンスは何をするでもなく爽やかに接してきた。
「謁見はどうだった?」
ジュードくんとミラがまだユルゲンスには私達のことを知られてないと判断し、ミラが冷静に対応した。
「すまないユルゲンス。話はまたの機会にしたい。すぐ発てるか?」
「ん?まぁできないことはないが…何か急ぐ理由でもできたのか?」
「うん!僕たちガイアスに……もがもが」
「はいはーい!!ジュードくんと空中デートを早く満喫したいから私がみんなを急かしました!!」
ティポが暴露しかけたのをジュードくんが口を押さえて止め、ローエンが優雅に微笑み私が適当な理由を言うとユルゲンスは首を傾げたものの「そうか」と笑った。
「いや、急ぐ必要はなくなったぜ」
ふぅ、と一息つきかけた時、みんなからひんしゅくをかう男が現れた。
声が聞こえたの方を振り返り、ジュードくんがその男の名前を呼ぶ。
「アルヴィン!」
「よ。やつら、今頃せっせと山狩りでもしてるからな」
自慢げにきたアルヴィンの顔面殴ってやりたい。
が、今回は許してやるのだ優姫。今回の裏切りは色々助かってるからね!
「手土産のつもりか?」
「土産も何も、仲間だろ、俺達」
「……」
「なんだよ、信じられないって?」
「信じてほしけりゃ土下座しろよ」
「ジュード君はまだ俺のこと信じてくれるよな?」
「あれ無視したぞこの裏切り者?!」
ミラに訝しげに見られたアルヴィンは私を無視し、ジュードくんの肩を抱いて聞いている。
いや萌えるけど!萌えるけどな!
「う、うん……」
「サンキュな、ジュード」
「…一つ聞いていい?」
「ん?」
「僕達のこと、好きなの?」
あ、珍しくアルヴィンが固まってる。
おそらくジュードくんは私が言った言葉の真意が知りたいのだろう。
しかしこれで何て返すのかなアルヴィンくんよぉ!にやにや!
一瞬顔を歪めたように見えたが、アルヴィンはいつもの胡散臭い笑みに戻っていた。
「当たり前だろ?じゃないと王様たち裏切ってお前らのとこに戻ってこないって」
「…よかった」
「……」
ホッと笑ったジュードくんにアルヴィンはまた固まったが、やはりそれは一瞬だけで身体を離して他の仲間へ振り返る。
「お、おかえり…帰ってきてくれて、うれしい…です」
「くくく、なんだそれお姫様?」
「…ユウキが大丈夫って言うから、少しだけ、許してあげるんです…!」
エリーがぷくっと可愛い顔をしてアルヴィンを睨みつける。
いやぁぁ可愛すぎてしぬぅぅぅ!!
天使ぃぃぃぃぃぃ!!
「アルヴィンさんの言う通りなら、しばらくは時間を稼げそうですね」
「事情は聞かない方がよさそうだな。まったく、君達と関わっていると飽きないよ」
ユルゲンスはふふ、と笑い、私達の複雑な事情を察してくれ何も聞かないでいてくれた。
なんてイケメンだ…!イスラももっとユルゲンスのイケメンぶりを知るべきだね!
「私はワイバーンの檻の前にいるから、飛ぶつもりになったら来てくれ」
そう言って帰っていったユルゲンスの後ろ姿を見ながら、ふと思った。
……私、ワイバーンに誰と乗ればいいんだ?
ゲームではローエンとレイア、アルヴィンとエリー、んでミラとジュードくんだ。
おそらくワイバーンは二人乗りだろう。
……まさかの一人ぼっち?!
いやいや私ワイバーンを操縦するなんて無理だから私ただの女子高生だから!!
私が頭を悩ませている間に、ミラがみんなにワイバーンに乗る前にと呼び掛けていた。
「では、行く前に準備をしよう。何か買っておく物があるのなら、今のうちだぞ」
「あっわたしある!エリーゼ、一緒に行かない?」
「行きます…!」
「ぼくもいくー!」
「では、私もご一緒します。ジュードさん達はどうしますか?」
「あ、僕はユウキに話があるから宿屋にいるね」
ガシッと。
ジュードくんに腕を掴まれました。
「へ?は、話?」
「私も話がある。行こうか」
「ミラまで?!」
「なら俺も行こうかね。フラフラしたらまた疑われちまうし」
「えっちょ、なにこれどゆこと私も買い物……行きたかったぁぁぁぁ」
反対側の腕をミラに掴まれ、ズルズルと引きずられながら宿屋へと向かわされる私を、ローエン達はやれやれといった表情で見守ってくれていた…。
そしてIN宿屋。
まだ借りたままだった部屋に入ると、ジュードくんは私をベッドに座らせた。
「ユウキ、今だけでも医療ジンテクス外そう」
「ほい?」
「そろそろ痛みに耐え切れなくなってるのだろう?モン高原辺りから足が痙攣し始めていたぞ」
「え、あー……すんません…」
両足は常に痛いのだけど、休憩なしにずっとつけていたせいかモン高原辺りから震えていたのはたしかだ。
わからないようにしていたつもりだけど、まさかジュードくんとミラに気付かれていたとは。
申し訳なく思いながら、医療ジンテクスを外すと、一気に痛みが消え去った。
「ふぅ…いやぁ気を遣わせてごめんね~…ていうか完全に足を引っ張っててごめんなさい…」
「だから気にしないでってば。それにユウキは足を引っ張ってなんかないよ」
「ああ。むしろアルヴィンよりは信頼できる上、十分な戦力になっている。気にしなくていい」
「あらま、酷い言われようだな」
備え付けの椅子に腰掛けているアルヴィンは大袈裟に肩を竦めるのを、ジュードくんとミラがじと目で見る。
「アルヴィン、色々話してもらおうか」
「そうくると思ってたよ。何が聞きたい?」
「あのプレザって人と、どういう関係なの?」
「「「……」」」
「え?な、なに?」
ジュードくんの質問に思わず三人して固まった。
サブイベントでこの質問するジュードくん見たけど…やっぱり破壊力抜群だ…!
「優等生、嫉妬?」
「は、はぁ?!何言ってるの?!これでも僕は怒ってるんだよッ」
「だがジュード、今のは本で読んだ『彼氏の浮気を疑う彼女』と同じ台詞だったぞ」
「な、ななななな」
「ジュードくん可愛すぎるやばい涎出るはぁはぁアルジュはぁはぁ!」
「もう知らないっ!」
プイッと真っ赤な顔を背けたジュードくん。
お前は天使かぁぁぁぁぁ天使だなぁぁぁぁ!!
そんな様子を見てくっくと笑ってから、ようやくアルヴィンが話し出した。
「プレザと会ったのは、俺がラ・シュガルの情報機関に雇われていたときだ。あいつはイル・ファンにア・ジュールの工作員として潜入中だったけどな」
「それで?」
「その後、個人的になんつーのよ…色々あったのは聞かないでくれよ」
色々、とはやはり大人の関係ですよね!!
アルプレですかそうですかはぁはぁ!!
一応は説明したアルヴィンに、ジュードくんは背けていた顔をこちらへ向ける。
「…納得はした。けど、まだ信用しきったわけじゃないからねっ」
「じゅ、ジュードくんそれツンデレはぁはぁ!」
「ツンデレ?ってなに…?」
「くくく、ジュード君はかわいいね」
「当然だ」
「ミラ?!」
アルヴィンもミラも納得の可愛さ!!
もうっ!ジュードくんてばヒロインなんだから!!
ニヤニヤしていたらジュードくんに涙目で睨まれた。
いや可愛すぎるからね?!
「では次は私から聞こう。ア・ジュールと繋がったのはいつからだ?」
「ああ、ニ・アケリアに行ったときだよ。社から俺一人いなくなっただろ」
「そういえば…」
「そん時にウィンガルに会ったんだ」
「んで私達のために利用したんだよね~?アルヴィンは私達が好きなんだもんね~?」
「おたくに言われると腹が立つのは何でだろう、な!」
「あだぁっ!!」
むふふと笑ったら近くまできたアルヴィンに頭を叩かれた。
ちくしょーこのやり取り日常茶飯事みたいになってないか?!
頭を摩りながら、そうだと思い出した。
「ねぇねぇ!ワイバーンはどういう組み合わせで乗るの?!あれ多分二人乗りだよ?!」
「…たしか檻には三頭いたな。ということは」
「一頭は三人で乗るしかないってことだね」
さ、さささ三人乗り?!
なにそれ恐すぎる!!
「綱を持つのは、私とローエンとアルヴィンでいいだろう。問題は後の組み合わせだな」
「え、ミラ…なんで僕はダメなの…?」
「そりゃジュードくんはヒロインだからだよ!えへへジュードくんアルヴィンと乗りなよ~抱き着いちゃいなよ~はぁはぁ」
「ぼ、僕はユウキと……」
「ん?」
「な、なな何でもないよ!」
何かボソッと言ってたから聞き返したら、顔を真っ赤にして俯かれてしまった。
だからなんでそんなにヒロインで天使なのジュードくん!可愛すぎます!
ミラが「ふむ」と顎にあてていた手を降ろした。
「体型を考え、私とユウキ、ローエンとレイア、アルヴィンとジュードとエリーゼでどうだ」
「俺は二人連れなきゃいけねーのか…結構大変だな」
「ふ、少しは信頼稼ぎになると思うが?」
「へいへい」
「うぅ…僕も男なのに…」
凹むジュードくんにニヤニヤしながら、組み合わせを思い浮かべる。
アルジュエリは可愛すぎるな…ぜひ混ざりたいぐらいだ。
けど、その組み合わせになったとしたら、ワイバーンが墜落するのは私とミラになるのだろうか?もしかして、あのアルジュなくなったりしないよね?!
「ユウキもそれで構わないか?」
「へ?!ああ、もちのろんよ!アルヴィン、ジュードくんとエリー落としたらフルボッコだからな」
「落とさねーよ」
「変なことしてもフルボッコだからなこのロリショタ!」
「ミラ、俺こいつと組みたいわ。ソッコーで落とすから」
「落とされるのわかってて乗るかぁぁぁぁ!!」
と、いうわけで、組み合わせが決まりました。
「そういえば、ウィンガルの力って増霊極だったよね?」
宿屋を出て、買い出し組を探しながら歩いていたらジュードくんがいつもの考えるときの仕種をしながらそう切り出してきた。
ミラも顎に手をあて考える。
「ティポとはタイプの違うようだったが…エリーゼの様子では何も覚えていなさそうだな」
「たしか、被験体一号だった気がするぜ…うろ覚えだけど」
情報提供してくれるらしいアルヴィン。
信頼稼ぎか、そうなのか。
「アルヴィンは研究所に侵入したんだったね」
「ああ。ティポが生まれたのは、被験体一号のデータのおかげらしい」
「そうなんだ…ウィンガル、非道な行いはしてないって言ってたけど本当なのかな」
「少なくとも、無計画に非道な実験を行っていたわけではなさそうだ」
「あ、ウィンガルといえば、ユウキすごかったよね」
「へ?私?」
「ああ、ロンダウ語とやらを理解していたことだな」
ああ…あの使いどころに悩む特殊能力…。
ほんと私も謎だよ…。
だがなぜかジュードくんもミラも「すごい」と言ってくるので照れて頭をかいてしまう。
ローエンにも褒められたし、まぁいい能力だと思おうかな。
「へぇ、おたくロンダウ語わかんの?」
「わかる…のかなぁ?」
「ロンダウ語っていったら、たしかア・ジュールを支配した部族の言葉だっただろ」
「え、アルヴィンに博識アピールされたうぎゃ!」
「ユウキ…そろそろ懲りようよ」
頭をわしづかみされた私に、ジュードくんは呆れたようにそう言うのだった。
ミラ!その生暖かい眼差しいつ覚えたの!
「あ、ジュードー!遅いよー!」
買い出し組を探していたがどこにもおらず、もしやとワイバーンの檻まで来たら、すでにレイア達はユルゲンスと一緒にいた。
ごめんごめんと合流すると、ユルゲンスに確認される。
「イル・ファンへ向けて、出発するんだな?」
「はい」
「さすがにラ・シュガル王都に降りるわけにはいかない。近くの街道に降りることになると思うが…」
「わかっている」
「よし、じゃあ気をつけてな」
ユルゲンスに見送られ、私達はワイバーンに乗りラ・シュガルを目指した。
「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
のだけど、思ってた以上に恐いぃぃぃっ!!!
「いやぁーっ!落ちる!落ちるーっ!ローエンーっ!」
「くっ……なかなか難しい……!」
レイアの悲鳴も聞こえ、ローエンも珍しく切羽詰まった声を出していた。
「まっすぐ飛んでほしいですーっ!」
「ちゃんと操縦しろー!」
「うるせぇ!黙ってろ!」
「エリーゼ!僕とアルヴィンにしっかりしがみついてて!」
「は、はいーっ!」
アルヴィンも珍しく必死だ。
ジュエリがアルヴィンにギュウッとしがみついてるのが見えた時は生きててよかったと思いました。
ワイバーンで空中に飛んだものの、扱いが難しいらしくミラもローエンもアルヴィンも苦戦していた。
とはいえ、ミラの後ろで背中にしがみつき悲鳴をあげる私。というか悲鳴しかあげれない私。
「ミラぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「しっかりつかまっていろ!!」
「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
角度が真下へ落ち、どこかの海の水面にぶつかりそうになるがミラが手綱を勢いよく引き、ぎりぎりで軌道修正した。
そして岩の間をすり抜け、ワイバーンは雲を抜けた。
「ユウキ、見てみろ」
「う、うう?」
動きが落ち着き、ミラに促されて思い切り閉じていた目を開けたら。
「…キレイだ」
雲の少し上をワイバーンが飛行し、空にはオーロラのような虹がかかっていた。
初めてミラを見たときのような、幻想的な風景。
「すごいすごい!ミラ、すごいキレイだ!」
「ふふ。そうだな、とてもキレイだ」
普通に生活していたら見ることのできない景色に感動していたら、アルヴィンの焦った声が耳に入った。
「なんだコイツはっ?!」
アルヴィンの近くの雲の中から出てきたのは、ワイバーンと同じような飛行タイプの魔物だった。
しかもかなりでかい。
攻撃の意志のある魔物に、ワイバーンを操縦し逃げる。
「このままじゃ落とされちゃう!」
「降りよう!みんなっ!!」
ジュードくんが叫んだのを聞いて、みんなでまた雲に潜り、地上を目指し下降する。
魔物もこちらを獲物として見ているのか、追いかけてきて火を吐いてきた。
「!!ミラっ!」
「くっ!!」
ニ発は全員が避けたものの、最後の一発が私とミラの乗るワイバーンの羽に直撃した。
怪我に気絶してしまったらしいワイバーンは重力に従って下降していく。
「あっ!!」
「!!ユウキッ!!」
あまりの速さにミラから手が離れてしまった。
このままじゃ、そのまま突っ込んでしまう。
「ユウキーッ!!」
「ジュードくんッ?!!」
もうすぐ地面というところで、ワイバーンから弾かれて落ちていく私に、ジュードくんがワイバーンから飛び降りてきて手を伸ばしてきたではないか。
何をしてんだこの天使は!!
私はジュードくんの代わりに落ちたというのに!!
「くぅっ!!」
「うぁっ!!」
イル・ファンの研究所の時とは違い、ジュードくんの伸ばした手を意地で握り返したら、庇うように抱きしめられる。
もう、地面に着く。
私は衝撃に備え、ギュウッと目を閉じた。
ドゴォッ!!
「つっ!!」
「うぐっ!!…う、ぅ…」
落ちたときの衝撃はすごかったが、思いのほか無事だった。
おそらく上からローエンが、下からミラが精霊術を唱えてくれたのだろう。
痛む身体を起き上がらせ、ジュードくんを探す。
私から少し離れた位置に倒れているのが見えた。
「ジュードくんッ!!」
「ジュード!!」
すぐそばにいたミラも気付いた。
あの魔物がジュードくんに向かっていくのに。
ここからじゃ間に合わない。
「ちぃっ!!」
「アルヴィン…!」
「今はよそ見してる暇ないぜ!」
いつの間にきたのか、アルヴィンが体勢の整わないジュードくんの前に立ちはだかり、攻撃を代わりに受けた。
どうやら、私の知る展開のようだ。
とはいえ……!
「私のジュードくんを、また傷物にする輩が出てきたとはな!!行こうミラ!!」
「ああ!よくもジュードを傷物に…!」
「ミラ!ユウキの真似しなくていいからね?!」
こんなときでもツッコミを忘れないジュードくんの声をスルーし、ローエンとエリーが術を唱え、アルヴィンが銃でレイアが棍術で応戦する中を私とミラが走る。
大きさと攻撃範囲の広さに翻弄されるも、奴が怯む隙を探す。
「ブルースフィア!!」
何度目かのローエンの精霊術がヒットし、一瞬魔物が怯んだ。
「ユウキさんミラさん!今です!」
「畳みかけるぞユウキ!ルナティックスティング!!」
「これはワイバーンの分!!」
「カタラクトレイ!!」
「次は、ミラの分!!」
「ディストールノヴァ!!」
「それからジュードくんの分!!最後は…ッ!!」
ミラが魔物を吹き飛ばし、完全に無防備状態になった奴の懐に飛び込んで剣を思い切り振った。
「アルヴィンの分だぁぁぁぁぁッ!!逆転満塁ホームラァァァァンッ!!」
カァンッ
と野球ボールが客席まで飛んだような気がしたがまぁ気のせいで。
私の渾身の一撃が腹にめりこみ、魔物は力無く倒れ地面を揺らした。
「はぁはぁ…ジュードくん大丈夫?!てか何ワイバーンから飛び降りてんのさ?!」
「いや、ユウキが落ちるのを見たら無我夢中で…ユウキこそ怪我はない?」
「ジュードくんが庇ってくれたから平気だよ!レイア!エリー!ジュードくんとアルヴィンの怪我を治療してやって!」
「わかった!」
「はい…!」
ジュードくんをレイアが癒し、アルヴィンをエリーが癒しに向かう。
しかしアルヴィンは少しバツの悪そうな顔だ。
「なんで俺が怪我してんの気付いてんだよ…いつもはアホ面ばっかしてるくせに」
「アホ面言うな。とはいえ、ジュードくんを守ったことは称賛に値する。アルヴィンにしてはよくやった。はっはっは!」
「おたくはぜってー助けねぇ。今心に決めた」
「みなさん、落ち着いて!女性と子供は家から出ないでくださいっ」
ぐったりしている私達の後ろから足音と女性の声が聞こえ、みんなで振り返ってみると。
「男の人は協力して私と戦ってくださいっ!……って、あら?」
「ドロッセル!」
「エリー…どうして?」
「ただいま…です」
戦おうと構えていたのはドロッセルだった。後ろには兵を数人引き連れている。
私達を見てキョトンとするドロッセルにエリーが駆け寄り、ふわふわと笑った。
ローエンもドロッセルの側まで行き、治療を終えた組も集まれば、ドロッセルはなにがなんだかわからないという顔だ。
「お久しぶりです」
「えっと…初めまして、レイアです」
「どうも……」
初対面のレイアが挨拶すれば、ドロッセルは困惑したまま挨拶を返す。
私達は、カラハ・シャールへ墜落したのだった。
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