chapter 02
DREAM
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「城でかい…走り」
「回っちゃダメだからね」
しょんぼり…。
20.王様と愉快な仲間たち
王城へ入り、謁見を申し出ると名前を聞かれミラが答えたら進んでいいと許可を得た。
ローエンの提案でティポを兵士に預け、玉座へ繋がる長い道を歩きながら私はまたポカンと口を開けてしまう。
こんな凄いとこ初めてだ…。
走り回りたいがジュードくんに止められたので大人しくミラの後ろをついていく。
玉座の間へ入ると玉座には誰もおらず、側に控えていたらしいジャオが出てきて私とアルヴィン除くみんなは驚いていた。
「ジャオさんがどうして?」
「わしは四象刃が一人、不動のジャオじゃ」
「四象刃?」
「王直属の四人の戦士です。あの方がその一人だったとは…」
首を傾げたミラにローエンが説明する。
ミラが納得したと同時に、奥の扉が開いた。
(な、なななんだこの重い雰囲気はぁぁあ)
ゆっくり入ってきた男は玉座に胡座をかいた。
側には黒服を纏ういわゆる側近なるもの。
ガイアス王に、ウィンガルだ。
「イルベルト元参謀総長。お会いできて光栄だ」
「まさかア・ジュールの黒き片翼。革命のウィンガル…」
後々ローエンとは因縁の仲になるウィンガル。
ここで早速火花が見えるようだよ!
てか私この空気苦手だ!でもガイアス…いやガイジュのため!堪えろ私!
「お前がア・ジュール王か」
「我が字はア・ジュール王、ガイアス。よく来たな、マクスウェル、そして…」
「??」
なんかガイアスに見られてないか私?
き、気のせいだよね~?
内心あわあわしていたら、ウィンガルがこちらへ聞いてきた。
「お前達は陛下に謁見を申し出たそうだが、話を聞かせてもらおうか?」
「ア・ジュールでつくられた増霊極はすでにラ・シュガルに渡っています」
答えたのはジュードくんだ。
ジュードくん頑張れ…!
「もし両国で戦争が始まれば、とりかえしのつかない事態になってしまうんです」
「ほう…それを伝えるためにわざわざ来たというのか?」
「は、はい…」
ガイジュぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
ひぃぃ大人の威厳にちょっと怯むジュードくん可愛すぎるぅぅぅぅ!!
「それでわたしたち、ラ・シュガルの兵器を壊そうと思ってるんです。それがなくなれば、ラ・シュガル王は戦争が始められないんじゃないかって…」
続けたのはレイアだ。
たしかレイアは黒匣を知ってたんだっけ。
黒匣の暴発が原因で小さい頃怪我をしたから、その恐さを知っている。
「協力とか…してもらえ…ませんか?」
「用件はそれだけか?」
ウィンガルに言われ、黙ってしまった幼なじみコンビ。
けれどローエンは真剣な顔で名乗りあげた。
「もう一つお伺いしたいことがあります。以前、王の狩り場にあったという増霊極の研究所のことです」
「あの場所に親を亡くした子供を集め、実験利用していたというのは本当か?」
「ふっ、何を言い出すかと思えば。精霊のお前に関係があるのか?」
ガイアスの挑発ともとれる態度にミラは怯むことなくハッキリと答えた。
「私はマクスウェル。精霊と人間を守る義務がある」
「精霊が人を守るとは。実に面白いことを言ったな」
「貴様は王でありながらも、民を自らの手で弄んだ、違うか?」
ガイアスは答えない。
代わりに答えたのはウィンガルだ。
「その件はすべて私に任されている」
みんなの視線がウィンガルへ向けられると、ウィンガルは話しはじめた。
「あの研究所に集められた子供達は、生きる術を失った者達だった。お前達が想像するようなことはない。実験において非道な行いはしていない」
「それを信じろというのか?」
「だ、だけど、私は…」
エリーが訴えようと一生懸命声を出したら、ウィンガルが気付きジャオの方を向く。
「この娘…例の被験体か?」
「そうじゃ」
「エリーゼはハ・ミルの村でも閉じ込められていたんですよ。それじゃ、あまりにも…」
「非道だと?」
「え、あ、はい…」
ジュードくんを怯えさせるとは、なんてやつだガイアス!
でもガイジュ萌える!
ガイアスは俯くジュードくんに問う。
「お前は民の幸せとはなんなのか、考えたことがあるか?」
「幸せ…?」
「人の生涯の幸せだ。何をもって幸せか答えられるか?」
「それは…」
難しい問いかけだ。
だがガイアスは、たとえ閉じ込められようとも幸せだと感じるならそれはその人の幸せであると言いたいのだろうか。
この問いに答えたのはミラだった。
「己の考えをもち、選び、生きること」
「そう。僕もそう思う」
二人がそう言えば、ガイアスは笑い、玉座から立ち上がる。
「俺は違う。人が生きる道に迷うこと、それは底無しの泥沼にはまっていく感覚に似ている」
「生きるのに迷う…?」
「そう。生き方がわからなくなった者は、その苦しみから抜け出せずにもがき、より苦しむ」
これは、この先ミラを失ったときのジュードくんのことだ。
道しるべとなっていたミラを失い、ジュードくんは生きる道に悩み苦しみ、立ち上がる。
こんなとこに伏線が張られていたとは…。
「故に民の幸福とは、その生に迷わぬ道筋を見出だすことだと俺は考える」
ガイアスは、たしかにミラに似ている気がした。
「俺の国では決して脱落者を生まぬ。王とは民に生きる道を指し示さねばならぬ。それこそが俺の進む道……俺の義務だ」
信念の強さが、二人とも同じだ。
ジュードくんが二人を憧れるのも分かる。
「お前達をここに呼んだ理由を、単刀直入に話そう。マクスウェル…ラ・シュガルの研究所から『カギ』を奪ったな?それをこちらに渡せ!」
「断る。あれは人が扱いきれるものではない。人は世界を破滅に向かわせるような力を前に、己を保つことなどできない」
「俺の言葉が、お前には理解できなかったとみえるな」
「ふふ、どれだけ高尚な道とやらを説いたところで、人は変わらない」
ミラはガイアスに臆することなく言い放った。
「二千年以上見てきた」
カッコイイですミラ様。一生着いていきます。
「では、あなたに『カギ』の所在を聞くとしよう」
ウィンガルに言われて前に出たのは、アルヴィンだった。
「アルヴィン…ウソ…だよね?」
「…ひどいです」
「…アルヴィン」
ジュードくんが困惑し、エリーが悲しそうな顔をして、ミラが静かに名前を呼ぶ。
アルヴィンはこちらをちらりと振り返り手をヒラリとさせた。
「すまんね。これも仕事ってやつなのよ」
「アルヴィン。マクスウェルは『カギ』を誰に預けた?」
「巫女のイバルだ。今頃はニ・アケリアでおとなしくしてるんじゃないか?」
アルヴィンの裏切りに、みんなが呆然としていたら、奥から誰かが走ってきた。
「!アル…どうしてあなたが?!」
相変わらずのエロい格好のプレザだ。
驚くプレザとは正反対にアルヴィンは「よっ久しぶり」と挨拶をする。
あんにゃろ叩いてやりたい。
「プレザ、何用だ?」
「…ですが」
「構わん、報告しろ」
私達がいることに一瞬話すのを躊躇したが、ガイアスの許可が出たので畏まって、しかし焦りながら報告をする。
「ハ・ミルがラ・シュガル軍に侵攻されました」
(!!しまった…忘れてた…村長さん達は、もう…)
自分の記憶力のなさに内心舌打ちをする。
私はいつもこうだ。闘技場でも気付くのが遅かったからあんな惨事を…。
「村民の大半が捕らえられ、ラ・シュガルへ送られた模様。殺害された者も多数おります。そして、その場には大精霊の力と思わしき痕跡が多数ありました」
「大精霊?四大精霊は二十年前から召喚できなくなっていたはずだったな」
ガイアスはマクスウェルであるミラを見る。
考え込んでいたミラは最悪のパターンである結論にたどり着いた。
「四大が解放されていれば、感知できるはずだ。…まさか、クルスニクの槍の力!ナハティガルは新たな『カギ』を生み出したのか?!」
すべて、ジランドの入れ知恵だろう。
ナハティガルの進む道を完全に外させたのだ。
「すべての部族に通告しろ。宣戦布告の準備だ。我が民を手に掛ける者は何人たりと許しはしない!」
「だ、ダメだ!!それじゃ相手の思う壷だ!!戦争は始めちゃいけないっ!!」
「ユウキ…?」
奥に戻ろうとしたガイアスに私は思わず声を荒げて訴えるも、ガイアスは振り返りもしなかった。
ジュードくん達には不思議がられたけども。
「…ウィンガル」
「はっ」
ちくしょー!!なんでここでウィンガルの名前呼んで帰るんだよガイアス!!ガイウィンか?ガイウィンなのか?!
「さて、あなたたちはもう用済みとなってしまったわけだが」
ハッと気付いたときには遅かった。
いつの間にか私達は兵士に囲まれていた。
「陛下が精霊マクスウェルを得たとなれば、反抗的な部族も従わざるを得ない」
「くっ…」
「エリーゼさん!」
「はい!ティポ!」
囲んでいた兵士の一人が抱えていたティポは、エリーの呼びかけで動き出し兵士を殴った。
兵士達の体勢が崩れたところでティポが叫ぶ。
「今のうちだー!逃げろーっ!」
「逃げるぞみんなーっ!」
うぉぉと兵士を薙ぎ倒しながらティポを抱えたエリーの隣を走る。
後ろからウィンガルの声が聞こえた。
「マクスウェルと実験体を捕らえろ!!もう一人の女もだ!!」
…もう一人の女?
えーと、レイアのこと?
「ローエン!女ってレイアのことかな?!なんでウィンガルがレイア捕まえるの?!ラブなの?!」
「いえ、おそらくユウキさんのことです。彼もガイアス王もあなたを見ていましたからね」
「え、えぇぇぇぇぇぇ?!私なんかしたかな?!さっきガイアスに偉そうに言っちゃったから?!」
「ユウキ!喋ってないで逃げるよ!!」
ジュードくんに怒られたものの、私は困惑しながら兵士を蹴り飛ばして走ることにした。
「や、やっぱり…アルヴィンはウソつきです」
外へ飛び出し階段を駆け降りたところで、エリーが悲しそうな顔のまま言った。
ローエンはエリーを宥めながら、フォローは出来ずにアルヴィンのことを思う。
「事情があるのかとも思いましたが、今回はさすがに」
「アルヴィンをダンザイしろー!引きずりだせー!」
「ミラ、アルヴィン君はどうして?」
「さすがに本心まではわからないが…」
「何が僕達が信じてるのを知ってる、だ…っ」
ジュードくんが肩を震わせた。
握った拳が、痛々しく見える。
「アルヴィンなんか……もう!」
「ジュードくん。大丈夫」
「?」
「アルヴィンはちゃんとジュードくん達のこと好きだよ」
「え……?」
カンカン!
「やつらは城外へ出たぞっ!!」
ネタばらししてやろうとしたら、おそらく緊急ベルらしき音が響き、兵士の声が聞こえてきた。
しまった入口塞がれた?!
慌てて入口へ向かったら案の定、ロックをかけられ開かないようにされていた。
近くにあった制御石に気付いたローエンが方法を私達に言う。
「5ヶ所の制御石を復帰させれば、ロックを解除できるかもしれません。石にマナを注いでください。石が完全に赤く輝いたら、完了の合図です」
「ガンダラ要塞の時と同じですね…!」
「はい。ただし、みなが同じタイミングで完了させなければ、ロックは解除できません」
「ガンダラ要塞って…??」
「大丈夫ですよ、レイアさん。普通に精霊術を使うのと同じ要領です」
となると、ここでは私は役に立たない存在だ。
私は剣を握り締める。
「みんなごめん。私は精霊術使えないから役に立たない。だから代わりに、囮になってくるよ!みんなその間に」
「!ダメだよユウキ!囮なんて許さないっ!」
「じゅ、ジュードくん…!」
またもや怒られてしまった。
しかしならどうすればとうろたえたら、ミラが「ユウキ」と私を呼んだ。
「私の隣にいろ。わかったな」
「は、はい」
「ではやるぞ。チャンスは一度きりだ」
みんなが配置につき、私もミラの隣に立つ。
そして、ローエンが掛け声をかけた。
「いきますよ!」
パァァ、とまばゆい光が五人の手から石に注がれていく。
精霊術すごい…てかマナを操れるってすごい…!
「終わりました!」
「こっちも終わったよ!」
「私も終わりました…!」
「こちらも終わったぞ!」
「えっ、えっ…」
みんなが終わるもレイアだけが終わっておらず、レイアの表情が困惑していく。
「急がなきゃ、急がなきゃ…っ!もう、みんなの足をひっぱりたくないッ!」
レイアの目に涙が溜まっていく。
レイアは足をひっぱってなんかない。
今足をひっぱってるのは私だ。
「なんで…できないのよ…っ」
「レイア、大丈夫」
「ユウキ…?!」
「私は何もできないけど、レイアならできるよ。落ち着いて、大丈夫だからさ」
「そうだレイア、気を楽にしろ」
「ミラ…」
「お前が他の者たちより、劣っているなんてことはないのだから」
ミラが手をかざし、マナを注ぐ。
私は何もできないけど、レイアの隣に立って大丈夫だって笑う。それしかできないから。
レイアは私達を見て涙を拭うと、意識を集中させる。
ガシャンッ
「!やった!」
「よっしゃさすがレイア!逃げるぞみんなーっ!」
「うんっ!」
レイアが完了し、ロックが解除された。
よしっとみんなで空中滑車に乗り込み、城から脱出したのだった。
カン・バルクから脱出するため街の入口を目指していたが、その入口にもたれる男と立ち塞がる女に気付き、私達は構える。
女ことプレザは私達を見て妖艶に微笑んだ。
「私を置いて先に行くなんて、そんなやつ滅多にいないわよ」
「プレザといったな。まさかガイアスの部下だったとは。イル・ファンを脱出した私達は、始めから狙われていたわけか」
「あら、ニ・アケリアじゃアルが陛下にあなたたちの情報を売ったのよ」
「アルヴィンは……最初からあなたたちの仲間だったんだね」
ジュードくんの言葉に、プレザはカッとなる。
「やめて。あんな男…仲間でもなんでもないわ」
「…?」
「…ふふ、私達の関係はご想像にお任せするわ。けど、アルは組織を渡り歩く根無し草の一匹オオカミよ。誰にも心を許さない。信じた方が悪いわ、ボーヤ」
「さーてそれはどうかな?」
「!あなた…」
キジル海瀑では痛くされたからね。
ちょっと挑発の一つや二つしてもいいと思うわけだよ私は!
「アルヴィンはわかりやすい人間だよ。プレザもそれはわかってるよね」
「あなた、何を知ってるの?」
「詳しいことは知らない。でもこれだけは言える。アルヴィンは私達の仲間で、アルヴィンの居場所はここだ!」
「っ!」
詠唱を始めようと本を開くプレザに私は剣を構えると、プレザの後ろにいたウィンガルが動き出した。
「戦になればクルスニクの槍が、最たる脅威となるのは明白。それがわからぬマクスウェルではないだろう」
「お前達の縄張り争いに手を貸すつもりはない。あれをお前達人間が手にすれば、待っているのは悲惨な結末だけだ」
「ずいぶん上から見られたものだな」
ウィンガルが剣を構える。
だが止めたのはローエンだ。
「おやめなさい。戦巧者と名高いあなたでも、その誉、剣で得たものではないでしょう。若さが見誤らせているのでは?」
「イルベルト殿。それがあなたの限界。古い。……故に間違い、逃げ出す!」
ウィンガルが力を集中させると、黒だった髪の色が白くなり、雰囲気が変わった。
き、キターッ!!スーパーなんちゃら人なウィンガル!!
「な、なにあれ?!」
「マナが急激に…?!」
「あれは、増霊極…!」
「どうして…」
「なんだお前ーっ!」
各々がウィンガルに向けて言葉を放つも、ウィンガルが発した言葉は。
「エリーゼ!―――――――、――――――!」
「言葉が…」
「これはロンダウ語…?!」
「エリーの先輩面すんなーっ!!お前に敬意なんて払うかボケーっ!」
「!ユウキさん、言葉がわかるのですか?!」
「え?あれ?ほんとだ、わかるや…」
ウィンガルはロンダウ語を話しているはずだった。
なのにみんなには意味不明の言葉の羅列のようだが、私の脳はロンダウ語を即座に日本語に変換し理解してしまっている。
…ここでようやく定番のトリップした時の特殊能力開花?
ってロンダウ語とかウィンガルにしか通用しねぇぇぇ!!誰得ぅぅぅぅぅ!!
「くっそぉぉぉまさかのウィンガルルート?!今更軌道修正してもフォーブルートは無理だろぉぉぉ!!」
「(貴様、ロンダウ語がわかるのか?)」
「ごめんねわかっちゃったよ!!」
「(貴様に問う。貴様は何者だ?)」
「は?私はただの優姫ですけど?!てかそっちこそなんで私まで狙うのさ!」
「(陛下は、貴様が何者かを知りたがっている。それ故、貴様だけでも捕える!!)」
ぎゃあっ!と叫びながらウィンガルの剣を避け、体勢を整えるも、近くでプレザが私に向かって詠唱しているのが見えた。
(ちょ、まさかの集中攻撃ぃぃぃ?!)
「はぁぁぁっ!!」
「あら、私に構ってていいのかしらマクスウェル?」
「ふ、ユウキは貴様らなんぞにやられるほど弱くはないぞ。ジュード!」
「!!いつの間に後ろに?!」
「獅子戦吼ッ!!」
「ブラッターズ・ディム!!」
ミラが詠唱を防ぎながら正面で交戦し、プレザの背後に回り込んだジュードくんが素早く技を決めてそこに畳み掛けるようにエリーが術を決めると、プレザは吹き飛ばされる。
こちらはといえば、私はいまだにウィンガルの剣を自分の構えた剣で弾き合っていた。
「(しぶとい奴だ!)」
「しぶとくてすみませんね!悪いけど、ここでやられるわけにはいかんのですよっと!!」
「(待て!!)」
「いきますよ!エアプレッシャー!!」
「(なっ!ちぃっ!)」
「ローエンユウキ避けてて!!大輪月華ーッ!!」
ローエンの詠唱が終わるのに合わせて飛びのくと、術に気付きウィンガルも飛びのくが、待ち構えてレイアの棍術がクリーンヒットした。
ウィンガルとプレザが膝をつくのを見て、私達は入口から駆け出す。
兵士の増援に気付いたのもだが、今の私達の目的は二人を倒すことではなく、ここを脱出することだ。
「また逃げるのか、イルベルト殿?」
ブースターの効果が止まり、普通に話し出したウィンガルの言葉にローエンが足を止めてしまった。
「あなたが逃げたから、ナハティガル王は…!」
「…っ」
「やかましいわウィンガルのバホ!ローエンの若さなめんな!」
「ユウキさん」
「行こうローエン!ナハティガルと仲直りして、そのあとでウィンガルにも一発叩き込んでやるんだ!」
「…ふ、行きましょうユウキさん!」
頷いたローエンと共に、みんなで行きも通ったモン高原を逃げながら私は思った。
優姫は『ロンダウ語の解るやつ』の称号を手に入れた!
………この特殊能力いつ使えばいいのかなぁぁぁぁ?!
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