chapter 02
DREAM
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「カン・バルクなう……な、う…」
「どうしたの優姫?」
「………なにこれ寒い」
19.喧嘩のち仲直り
ユルゲンスと共にカン・バルクへやってきた私達。
雪が降り積もる街だ。私の世界なら北海道的な。
カン・バルクへ行くためモン高原を魔物を倒しながら通り、街に着いた頃にはみんな身体が冷えきっていた。
私がガタブルしていたら、ジュードくんが心配してくれた。
「大丈夫?手、霜焼けしてない?」
「多分だいじょぶ…ジュードくん身体であっためてほぎゃ!」
「はいはい、元気だな」
またアルヴィンに頭を押さえられた!
私の頭が変形したらアルヴィンのせいだ!
「シャン・ドゥもそうだが、ここも変わった街だな」
「ア・ジュールはラ・シュガルに比べて精霊信仰が強いからな」
「わ、何あれ!」
ミラとアルヴィンが話していたら、先に走っていったレイアが街の奥を見て足を止めていた。
あるのはゲーム中何回も使った移動乗り物。
こう実物を見ると、なんか造りとかめちゃくちゃすごいな!
私達が空中滑車を見ていたら、ユルゲンスが説明してくれた。
「あれが世界でもカン・バルクでしかお目にかかれない、空中滑車さ」
「空中滑車?」
「カン・バルクは山地につくられた街で、いくつかの地区をあれで繋いでいるのです」
つまりロープウェイだな!
うぉぉ乗りたい乗りたい!
「景色がよくて楽しそうだね」
「……」
レイアがエリーに話しかけるも、ふいと顔を背けられレイアはガクリと肩を落とす。
うーん、今のエリーは話しかけにくいからなぁ。
そう思うと、レイアってすごいな。拒絶されても何回でも話しかける。
友達ってこういうものだよね~!
「はっ!てことは意気地無しな私は友達失格?!どうしようアルヴィン!」
「何でいきなりテンション高いんだよ」
いまだに頭を捕まれているが、最近慣れてきたせいか普通にアルヴィンに話しかけたらため息が返ってきた。
ため息吐くと幸せが逃げますぞ!
「ワイバーンの許可を取るついでに、謁見を申し入れてみるが、多くの民が謁見を望んでいるからずいぶん待たされるかもしれない。宿をとって待っててくれ」
ユルゲンスはそう言って王城へ向かって歩いていった。
顎に手をあてて何かを考え出したミラに、ジュードくんが苦笑した。
「ユルゲンスさんに頼まなくても、何とかできないかって思ってるでしょ」
「む……」
「いい人なんだから。困るようなことはしちゃダメだよ」
「そうだよミラ!宿屋で暖をとろう!私寒すぎていつジュードくんに襲い掛かるかわからない状態です!」
「何で寒すぎると僕を襲うの?!」
あはは!とミラを引っ張って宿屋に向かうが、いつも笑ってついてきてくれるエリーは今回はきてくれなかった。
「まだユルゲンスさん戻って来ないのー?」
宿を一部屋借りて、暖まりながらまったりしてからどれくらい経っただろうか。
ジュードくんは読書、ミラはローエンと何か難しい話しを、アルヴィンと私は次の戦闘でどんな技をするか話し合いをしていた。
エリーはベッドではなく床にペたりと座り込み黙ったまま。
そしてベッドでゴロゴロしていたレイアが待ちくたびれて文句を言い出したが、さらりとあしらう幼なじみジュードくん。
「まだだよレイア」
「むー…ねぇエリーゼ。街の観光でもしよーか?優姫もいいでしょ?」
「行く行くー!」
アルヴィンと座ってたベッドから飛び降り、レイアの側に立つも、エリーはこちらを向いてもくれない。
見かねたローエンも助け船を出してくれた。
「エリーゼさん、行ってきたらどうですか?」
「ねぇ、エリーゼってば~。ティポがはしゃいでくれないからわたしばっか、うるさいみたいだよ」
「前からそうでしょ」
「ジュードうるさい!べーっ」
「エリー、観光行こう?初めての街だよ!観光地だよ!」
……。
沈黙って…つらい…。
「じゃあさ、ティポみたいにエリーゼも元気におしゃべりしない?エリーゼの口から、あなたのことをもっと教えてほしいな」
レイアが話しかけたら、エリーは喋らず代わりにティポが口を開いた。
「レイアはうるさいなー。みんなの足をいっつもひっぱってるくせにー」
「え………」
とうとう、あの台詞を言ってしまった。
レイアは言われた言葉に呆然とし、固まってしまう。
さすがに言い過ぎだとミラがエリーの傍までくるが、エリーはキッとこちらを睨んできた。
「ミラも…レイアも…!優姫だって…!」
「エリー、レイアに謝ろう」
「っ、離してください!優姫のせいで、ドロッセルのお兄さん、死んじゃったのに…!」
部屋を飛び出そうとしたエリーの腕を掴んだら、そう言われてしまいさっきのレイアみたいに固まってしまった。
私の様子なんてなんのそので、エリーは続けた。
「ドロッセルが、一人ぼっちになっちゃったのは、優姫のせいです!優姫がいたから、ドロッセルのお兄さんは…っ」
私から力が抜けたのを見計らい、エリーは部屋を飛び出してしまった。
「優姫、何の話…?」
レイアはドロッセル達と面識がないため、困惑していた。
話し掛けられ、ハッとして振り返る。
「レイア、エリーを追いかけよう!んでレイアにちゃんと謝ってもらうぞ!」
「えっあ、優姫っ!」
「僕達も行こう!」
レイアの腕を引き私も飛び出す。
後ろからジュードくん達が来るのを確認しながら、エリーがいる場所へ向かった。
「エリー!」
街の奥側のプチ噴水みたいなところでこちらに背を向けているエリーを見つけると同時に、側に立つ大きな身体も目に入った。
「ジャオ!」
「安心せい。偶然会っただけじゃ」
そう言うと、ジャオはエリーから少し離れる。
代わりにレイアがエリーに近寄り、謝罪をした。
「さっきはごめんね。エリーゼ、ティポのことで寂しい想いしてたのにね」
「……」
「ほら、わたしって遠慮なく言っちゃうとこあるでしょ。許してよ」
「…イヤです…」
「そんなこと言わないで、ね?」
レイアが謝るも、エリーは拒絶する。
「レイアもミラも優姫もキライ!友達だと思ってたのに!」
「エリーゼ、わたしはただ、あなたが心配で」
「ウソ!わたしのことなんてホントはどーでもいいくせにっ!もう友達やめるっ!」
そう言ってまたどこかへと走り出すエリーを、ローエンが力強く呼び止めた。
ビクリとして足を止めたエリー。
「みんな、あなたを思って優しくしているのですよ。自分の心が傷つけられたと言っていますが、あなたはどうですか?」
「……」
「先ほどのあなたとティポさんの言葉に優姫さんとレイアさんが心痛めていることに気付いていますか?」
「優姫とレイアが……ホント?」
エリーに不安そうに見つめられ、レイアがしどろもどろにだけどちゃんと感じたことを言葉にして教える。
「傷ついたっていうかさ…その、へこんだっていうか…」
私はヒラリと手を振っておいた。
ちょっとアルヴィンみたいなことしたな。
エリーはようやく他人を傷つけたことに気づき弱々しく声を出した。
「私、優姫とレイアを傷つけてるなんて…思ってなかった…」
「エリーゼ。それじゃあ、二人に謝ろうか」
「でも、私ひどいこと言っちゃった…」
優しく謝罪を促すジュードくんに、エリーは泣きそうになる。
だがローエンは「大丈夫です」と微笑む。
「ちゃんと謝れば、許してくれますとも。それが友達です」
「……」
エリーはおそるおそるレイアに近付いた。
「レイア…ごめんなさい。許してくれますか?」
「うん。だけど、これからはエリーゼの言葉でエリーゼのことをもっと教えてほしいな」
「三歳しか違わないのにエラそうだなー」
レイアが許してくれ、笑顔になっていくエリーだったが、ティポが勝手に喋り出し慌てて口を塞ぐ。
「エリーゼ」
「は、はい…?」
「それでもわたしの方が年上だからねっ」
「!はぅ…」
「レイア怖ーっ!」
仲直りできたようだ。
やっぱり友達はこういうもんだよね!
友達は喧嘩しても仲直りできるんだ。
よかった、ホントに!
「んじゃ次は、優姫に謝る番だな」
「へ?」
隣にいたアルヴィンがそう言い出したからびっくりしてたら、ジュードくんとミラも頷いた。
「エリーゼ、優姫にちゃんと謝って」
「さすがに度が過ぎた発言だった。クレインの死は優姫のせいではない」
「あ……」
顔を青白くしたエリーはティポを横に浮かせて、私の傍まで駆け寄ってきた。
泣きそうな顔をしている。
「優姫、私、あんなこと言うつもりじゃなくてっ!ご、ごめんなさっ」
「大丈夫大丈夫!怒ってないから安心して!仲直り仲直り~♪あ、いや私怒ってないけどね!」
ぐるぐる~とエリーを抱えて回したら、エリーは困惑しながらも「よかった」と笑った。
横にいたティポも「よかったー!」と騒ぎ出した。
「エリーゼは本当はあんなこと思ってなかったんだよー!でも優姫はいっつも笑ってるから、怒らせたかっただけなんだー」
「あはは!なら失敗だったねエリー!」
笑っていたら、みんなもようやく笑った。
ジュードくんだけは、笑ってなかったのだけど。
「娘っ子、友達を大事にな」
今まで私達のやり取りを見守っていたジャオは少し嬉しそうにそう言うと、どこかへと歩いていった。
ジャオってほんとお父さんみたいだ。
「僕達はどうしよう?ユルゲンスさんはまだ戻ってこないけど…」
「直接王城に乗り込んでみる?」
「だから、ユルゲンスさんに迷惑かけちゃダメだってば!」
「ダメか…そのアルヴィンの案はしっくりくるのだが…」
相変わらずのミラにみんながガクリと肩を落とした。
とりあえずここに居続けるのも、と思い、私達は王城に様子を見に行くことにしたのだけど。
「優姫」
「はい?ほぎゃ!」
「やっぱり…」
ジュードくんの顔が近いぃぃぃぃ!!
思わず赤面してしまうくらい顔を近付かれ、クリクリした可愛い瞳が私を見つめていた。
「ひぃぃジュードくんこんなとこで大胆な!!」
「違う。優姫、泣きそうな顔だよ」
「へ?」
「エリーゼの言葉、痛かったんでしょ?」
痛かったかどうかで言われたら、かなり痛かった。
クレインのアクセサリを見る度に傷めた胸を、先ほどエリーにえぐられてしまったのだ。
他人に言葉にされると、こんなに痛いものなんだと初めて知った。
けど、こんなの何でもない。
私より、ジュードくんの方が心が傷んでるはずだ。今まで傷め続けてきたのだから。
「大丈夫だよ。背負うって決めたんだから」
「優姫…」
「それにほら!私にはやるべきことがあるから立ち止まれないってばよ!」
「僕には、手伝えない?」
「ジュードくんは笑っててくれたら嬉しいな。ジュードくんラブ!私はジュードくんが好きだ愛してる!」
「ちょ、優姫っ」
「えへへ顔真っ赤なジュードくんカワユス~♪」
「優姫ー!ジュードー!置いてくよー」
レイアに呼ばれ、いまだに頬を膨らます可愛いジュードくんと一緒にみんなを追いかけた。
ジュードくんには心配をかけないようにしたいのに、全く私ってやつは!
「お城の前、行列だったね」
お城の入口で並ぶ行列を見ながら、ジュードくんは感嘆の息を吐いた。
この長蛇の列…オタクとしては夏と冬にあるイベントを思い出しますな!
「みんなの声をちゃんと聞いてくれるいい王様なんだね」
「現在のア・ジュール王は、かつて混乱を極めた国内をその圧倒的なカリスマで統率した人物だと言われています」
「それなら、わたし達に協力してくれるよ」
「だが、影でエリーゼのような境遇の人間を生み出しているのであれば許せはしない」
「ミラ…ありがとう…です」
ミラとも仲直りだ。よかったねエリー!
しかしとうとうここまで来ちゃいましたよ。
ガイアスだよガイアス。
ジュードくんに俺とともにとか言ってプロポーズしたガイアス様ですよ!!
ひぃやぁぁガイジュキタコレぇぇぇ!!
「早く、早く会いに行こう!!はぁはぁ萌えすぎて動悸がぁぁぁぁ」
「お、落ち着いて優姫っ!」
「これが落ち着けるかジュードくん!よし、ジュードくんこれはお見合いみたいなもんだ、服をお嫁さんスタイルに」
「変えてどーする」
ごふぉ!とアルヴィンに叩かれ頭を抱える。
ちくしょうお前ここで裏切るくせに生意気な!
でもあわあわしてるジュードくん可愛い!
「あれ、どうしたんだ君達」
ちょうど城から出てきたユルゲンスに会い、ジュードくんが申し訳なさそうに謝る。
「ごめんなさい、待ちきれなくて」
「いや、ちょうどよかったよ」
「ワイバーンの方はどうなった?」
「問題なしだ」
アルヴィンが手を回していたからですね。
腹立つがよくやったアルヴィン。
「それと、ミラさんに頼まれた謁見の件だが、ちょっと驚いたよ」
「どういうことだ?」
「みんなの名を伝えたら、逆に陛下が会いたいって仰ったんだ。ひょっとしてラ・シュガルじゃ有名人なのか?」
「あ、いえ、そんなことはないと思うんですけど…」
「ジュードくんの可愛さは世界遺産並ってことだね…おそるべしジュードくんのプリティフェイス」
「優姫っ!」
ポカポカとジュードくんに叩かれ幸せに頬を緩ませていたら、ユルゲンスも笑いながら嬉しそうだ。
「闘技大会の結果が陛下に届いたのかな。それならキタル族にとっても栄誉だ」
すみません闘技大会の決勝の結果はなしになったんです…みんな知らないから言わないけど。
私もサブイベントで知った話だし。
「じゃ、私は一足先にシャン・ドゥに戻ってワイバーンの用意をしておくよ」
上機嫌なユルゲンスを見送り、みんなで輪をつくり作戦会議ならぬ状況整理をする。
「思わぬ歓待だな」
「何かの罠だったりしないよね?」
「あまりいい予感はしませんね」
「そうかなー。会えないで帰るよりはよかったじゃない」
「……」
「また隠し事か、アルヴィン?」
アルヴィンが黙っていたら、ミラがそれを指摘する。
フッと笑ってアルヴィンはドヤ顔だ。
「ったり前だよ。だから俺は魅力的なんだ」
「…ジュード、今のはどういう意味だ?」
「秘密のある男はかっこいいとかいうからね…ははは…」
「はいはーい!秘密がなくてもジュードくんの方が魅力的です!てか自分で言うなアホヴィン」
「わかったおたくを王様に渡して金貰うことにするわ」
「いやぁぁぁ勘弁してくださいぃぃぃぃ」
ズルズルと引きずられる私を見て、みんながクスクス笑っていたが、ジュードくんがアルヴィンを呼び止めた。
「アルヴィン、ウソはイヤだからね」
「…お前達が俺を信じてくれてるってのは知ってるよ」
そう返すと、また私を引きずりながら先を歩いていく。
やれやれ、アルヴィンてばみんなに情が移ってるのに素直じゃないんだから。
「言っとくけど、今回は許してあげるからね」
「何をだよ」
「ジュードくんを裏切るの」
「!」
「アルヴィンにはアルヴィンの事情があるのはわかってるし、今回アルヴィンが手を回してくれたおかげでワイバーンも乗れるし」
「…俺がこっちとも繋がってること、いつから知ってた」
「えーと、たしかニ・アケリアから繋がったんだよね?」
そう答えたら、アルヴィンは後ろにまだみんなが来ていないのを確認してから私に話しかけた。
「何でそこまで知ってんだ」
「秘密のある女は魅力的ですよね」
「秘密がなくてもジュードの方が魅力的だな」
「ぐはっ!!私は女として怒るべきかアルジュ萌えを喜ぶべきかどっちだアルジュ萌えぇぇぇ!!」
「迷ってねぇじゃねぇか」
ぐおおおとアルジュ発言に悶絶していたら、後からきたみんなに心配されました。
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